複利とは?単利との違いと税引後の受取額を計算
複利は、利息を元本に加え、次の期間はその合計に対して利息を計算する仕組みです。単利は当初の元本だけを計算対象にします。
税引後の金額を求めるときは、利息がいつ収入になる契約かも確認します。利息を引き出さなくても、契約上の元本繰入日が来ていれば、引き出すまで課税を待てるわけではありません。
以下は個人の国内円預金を想定した比較です。金利・期間・税率を固定した架空の計算であり、実在商品の金利や将来の収益を示していません。法人の受取利息や投資信託の税金は対象外です。
単利と複利は、利息の計算対象が違う
違いは、発生した利息を次の利息計算に含めるかどうかです。利息を別に受け取って使う場合と、元本に加えて残す場合を分けます。
利率が固定で、追加預入・元本の払戻しがなく、費用を考慮しない利息計算の対比です。税金の影響は後の節で扱います。
| 方式 | 利息を計算する対象 | 発生した利息の扱い |
|---|---|---|
| 単利 | 当初の元本 | 次の期間の計算対象に加えない |
| 複利 | 元本と、組み入れた利息の合計 | 元本に加えて、次の期間も計算する |
定義と税引前の算式は、全国銀行協会「知ってナットク『複利の魅力』」で確認できます。利息を元本に組み入れる期間も商品条件の一部です。
税引前の元利合計を同じ条件で比べる
まず税金を除いて比べます。単利の元利合計には、途中で受け取って再投資しない利息も含めます。預金口座に残る元本だけを、複利の元利合計と比べないようにします。
税引前の架空設例は、元本1,000,000円・固定年利2%・3年間とし、複利は年ごとに利息を元本へ組み入れます。追加預入・払戻し・費用はなし。途中の端数は丸めず、表示だけ円未満を四捨五入します。
| 経過期間 | 単利 | 複利 |
|---|---|---|
| 1年後 | 1,020,000円 | 1,020,000円 |
| 2年後 | 1,040,000円 | 1,040,400円 |
| 3年後 | 1,060,000円 | 1,061,208円 |
複利の列は、前の期間の元利合計を次の計算対象にしています。単利の列は当初元本から計算した利息を足し上げており、途中で受け取った利息には追加の利息を付けていません。
利息の課税時期は契約で確認する
個人の定期預金の利息は、現金を引き出したかどうかだけでは収入時期が決まりません。個人の定期預金で、満了前の既経過期間に対応する利息を特約で支払う・元本へ繰り入れる場合は、特約により支払を受けることとなる日・元本繰入日が収入時期です。
根拠は、国税庁「所得税基本通達」36−2です。個人の定期預金について、次のように分かれています。
下表は、個人の定期預金利息の収入時期です。普通預金、公社債、投資信託や法人の会計上の計上時期を示す表ではありません。
| 契約・利息の区分 | 収入時期 |
|---|---|
| 満了後に支払われる、契約期間に対応する利息 | 契約期間の満了日 |
| 満了後の期間に対応する利息 | その利息の支払を受けた日 |
| 満了前の既経過期間の利息を支払う・元本へ繰り入れる特約がある | 特約により支払を受けることとなる日、または元本繰入日 |
| 満了前に解約した預金の利息 | 解約日 |
「利息を使わず残している」と「まだ利息の収入時期が来ていない」は別です。毎期の課税後に残額を再投資する計算と、契約上、途中の利払い・元本繰入れなしで満期に利息が確定する計算を分けます。
2026年10月28日時点の居住者個人の国内銀行の課税円預金利息は、国税15.315%・地方税5%、合計20.315%です(非課税制度の適用を除く)。国税庁「利息を受け取ったとき」に課税方法と非課税制度の説明があります。
ここでいう国税は、所得税と付加税の合計です。国税の内訳変更と合計税率は区別します。マル優・財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄などの非課税制度を適用する利息、法人、海外預金、公社債はこの比較の対象外です。
毎期課税と満期一括課税の受取額
税率が同じでも、税を引いた後の利息を再投資するか、契約上の満期利息にまとめて課税するかで、次の利息を生む額が変わります。以下は、契約条件が異なる二つの数学モデルです。
課税円預金の架空設例は、元本1,000,000円・固定年利2%・3年間で、年ごとに利息を計算します。課税円預金の設例では国税・地方税合計の税率を20.315%に固定し、追加預入・払戻し・費用はなし。日割りと実務の税端数処理は省き、途中は丸めず、表示だけ円未満を四捨五入します。満期一括課税側は、途中の利払い・特約による元本繰入れがない契約と仮定します。
| 項目 | 毎期課税・残額を再投資 | 契約上の満期一括課税 |
|---|---|---|
| 途中の扱い | 各期の利息に課税し、残額を元本に加える | 途中の利払い・元本繰入れなし。満期利息を年複利で計算 |
| 累計の税引前利息 | 60,961円 | 61,208円 |
| 累計税額 | 12,384円 | 12,434円 |
| 満期時の元利合計・税引後 | 1,048,577円 | 1,048,774円 |
この設例では、満期一括課税側の受取額も累計税額も、毎期課税側より多くなります。課税前の利息を計算に含める期間があるため、課税対象となる利息自体も増える計算です。「税金が少ないほうが受取額も多い」とは読めません。
満期まで引き出さないという希望だけで、満期一括課税を選べるわけではありません。個人の定期預金で、満了前の既経過期間に対応する利息の支払・元本繰入れの特約がある場合は、その収入時期に沿う毎期課税のモデルを使います。
毎期課税側を、利息と税金に分ける
前期の税引後残高を次期の元本にし、その期の利息・税額・残高を順に計算します。
上の毎期課税側と同じ課税円預金の架空設例は、元本1,000,000円、固定年利2%、3年間、年ごとの税引後利息を全額再投資し、国税・地方税合計税率20.315%を固定。追加預入・払戻し・費用・日割りなしで、途中は丸めず、表示だけ円未満を四捨五入します。銀行の税端数処理を再現する表ではありません。
| 経過期間 | その期の税引前利息 | その期の税額 | 期末の税引後残高 |
|---|---|---|---|
| 1年後 | 20,000円 | 4,063円 | 1,015,937円 |
| 2年後 | 20,319円 | 4,128円 | 1,032,128円 |
| 3年後 | 20,643円 | 4,194円 | 1,048,577円 |
税引前利息・税額とも、各期の表示額を足した結果と、途中を丸めず求めた累計欄の額は一致しない場合があります。実際の預金では、利息・国税・地方税それぞれの計算単位と端数処理を商品規定・明細で確認します。
自分で検算するための式
固定利率の仮定計算では、元本をP、年利率を小数のr、年数をn、国税・地方税を合わせた税率を小数のtと置きます。追加預入・払戻し・費用なし、途中で丸めない年ごとの計算式です。
税引前の式と、課税円預金を想定した税引後の仮定式を分けます。r・tは期間中固定です。単利の元利合計は、再投資しない利息も含みます。
| 計算する額 | 式 |
|---|---|
| 単利・税引前 | P ×(1 + r × n) |
| 年ごとの複利・税引前 | P ×(1 + r)n |
| 各年の課税後利息を全額再投資・税引後 | P ×{1 + r ×(1 − t)}n |
| 年複利で満期利息を計算、途中利払・特約繰入れなし・満期課税後 | P +{P ×(1 + r)n − P}×(1 − t) |
満期課税後の式では、元本を除いた利息だけに税率を掛けます。元利合計全体を課税対象にする式ではありません。個人の国内円預金の課税利息は、源泉徴収前の利息が利子所得の金額です。
式の指数は、利息の計算周期に合わせます。半年ごとなど別の周期の商品を、年ごとの式にそのまま当てはめることはできません。また、実際に満期を迎えて再預入する場合には、その時点の金利を別に確認します。
明細と計算が合わないときの確認表
税引前利息、税額、税引後入金額の順に比べると、違いが生じた場所を確認できます。複利という名称だけで計算条件を決めず、契約書・商品概要・取引明細を見ます。
| 確認するもの | 計算への反映 |
|---|---|
| 金利の表示と適用期間 | 税引前か税引後か、固定か、再預入時の別金利かを区別する |
| 利息の計算周期・付利単位・付利最低残高 | どの残高に、どの周期で利息を付けるかをそろえる |
| 途中の利払い・特約の元本繰入れ | 満了前に収入時期が来る利息を、満期一括課税にしない |
| 中途解約・満了後の利息 | 解約日と満了後分の支払日を、当初満了日と分ける |
| 利息・国税・地方税の端数処理 | 比較用概算と、金融機関が支払う実額を区別する |
実在の銀行の金利・満期保有の利息は、定期預金の金利と受取利息の表へ。投資信託の分配金・売却益の課税は、投資信託の税金で区分しています。
積立額を途中で追加する試算は、次のツールで行えます。今回の毎期課税する預金利息を再現する機能ではありません。
積立シミュレーターで仮定した利回りを試算するまとめ
複利は利息を元本に加えて、次の利息を計算する仕組みです。税引後の比較では、契約上の利払い・元本繰入れ・満了の時期を確認し、税引後利息を再投資する場合と、契約上満期に利息が確定する場合を分けます。
よくある質問
複利と単利は何が違いますか?
利息の計算対象が違います。複利は元本に組み入れた利息も次の計算対象とし、単利は当初の元本だけを対象にします。利息を受け取って使う場合は、その利息を再投資した計算と分けます。
利息を引き出さずに再投資すれば、税金は満期までかかりませんか?
引き出さないだけでは、満期まで課税を待てるとは限りません。個人の定期預金で、満了前の既経過期間に対応する利息を特約により支払う・元本に繰り入れる場合は、特約により支払を受けることとなる日・元本繰入日が収入時期です。
この記事の税引後の金額は、銀行の入金額と一致しますか?
一致を保証するものではありません。固定条件の比較用概算で、日割りや金融機関の利息・国税・地方税の端数処理を省いています。実額は契約の商品規定と取引明細で確認します。
複利なら、長く続ければこの記事の金額まで増えますか?
この金額は、固定利率・期間・課税条件を置いた計算結果です。実在商品の将来の金利や再預入条件を保証しません。預入期間が異なる商品や、価格が変動する投資商品へ、そのまま当てはめることはできません。
出典
- 全国銀行協会「知ってナットク『複利の魅力』」:単利・複利の定義、税引前の式、付利条件。
- 国税庁「利息を受け取ったとき(利子所得)」:個人の利子所得と課税、非課税制度。
- 国税庁「所得税基本通達」36−2:利子所得の収入時期。
- e-Gov法令検索「所得税法」23条・36条:利子所得と収入金額。
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」3条:個人の一般利子等の課税特例。
制度・定義の確認日:2026年10月28日。計算表は記載した固定条件による比較用概算です。年次と制度変更時に利息の税率・収入時期を確認します。
この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務相談や特定の金融商品の取得・売買を勧めるものではありません。個別の税務・労務相談には応じられません。実際の取扱いは税務署・税理士・取扱金融機関にご確認ください。