信託財産留保額はいくら?基準価額・口数・解約価額・税額を表で検算
端数処理前の信託財産留保額は、適用される基準価額に料率を掛け、表示口数に合わせて換金口数へ換算して求めます。留保額の有無・料率・算出方法は商品によって違います。
先に確認したいのは、画面の「単価」が留保額を引く前か、引いた後かです。控除後の解約価額から、もう一度留保額を引くと受取額を少なく計算してしまいます。
以下では、国内公募株式投信の換金を、架空の条件で単価から税引後の受取額まで追います。実在する商品の料率や価格の比較ではありません。
留保額から解約代金までの計算表
単価の計算と、換金する口数全体の計算を分けると追いやすくなります。留保額を控除した単価を「換金価額」「解約価額」と呼ぶ資料があります。
基準日2026年10月26日の架空設例です。架空設例では国内公募株式投信の適用基準価額を1万口当たり20,000円、換金口数を100万口、留保率を0.3%と仮定します。別途の解約手数料・為替換算はなく、留保額と解約代金に端数は出ません。表は税引前です。
| 項目 | 式 | 設例の結果 |
|---|---|---|
| 留保額の単価 | 適用基準価額×留保率 | 20,000円×0.3%=60円 |
| 控除後の解約価額 | 適用基準価額−留保額の単価 | 20,000円−60円=19,940円 |
| 留保額控除前の評価額 | 適用基準価額×換金口数÷表示口数 | 20,000円×100万口÷1万口=2,000,000円 |
| 換金全量の留保額 | 留保額の単価×換金口数÷表示口数 | 60円×100万口÷1万口=6,000円 |
| 税引前の解約代金 | 解約価額×換金口数÷表示口数 | 19,940円×100万口÷1万口=1,994,000円 |
この表で求めたのは、留保額を引いた後、投資者の税金を引く前の金額です。税引後の受取額は、後の税額表で求めます。
口数と単価をそろえる計算式
基準価額の表示口数で割ってから、換金する口数を掛けます。残高画面の基準価額は単価なので、その金額が自分の換金額になるとは限りません。
留保額の合計=適用基準価額×留保率×換金口数÷基準価額の表示口数、が端数処理前の計算式です。実際の算出順序と丸めは、委託会社の取扱いに従います。
たとえば基準価額が1万口当たりの表示なら、換金口数もその表示口数で割って計算します。口数の単位が違う数値を、そのまま掛け合わせないようにします。
信託財産留保額は、換金に必要な資産売却の費用などについて、換金する投資者と継続保有する投資者との公平性を図る仕組みです。信託財産に残される額であり、販売会社へ払う解約手数料とは区別します。
信託報酬は日々の基準価額に反映されているため、この換金計算で重ねて引きません。留保額や別途の解約手数料は、それぞれの費用欄で確認します。基準価額そのものの仕組みは基準価額と口数の読み方で説明しています。
適用日・料率・丸めを確認する場所
計算に使うのは、目論見書の「換金価額」で指定される日の基準価額です。申込画面で見た直近の基準価額が、そのまま換金に適用されるとは限りません。
| 確認する欄 | 読み取ること |
|---|---|
| 目論見書「換金価額」 | どの日の基準価額が使われ、留保額を控除するか |
| 目論見書「ファンドの費用」 | 留保額の有無・料率・計算の基礎、別途手数料 |
| 目論見書と販売会社の申込案内 | 受付日・申込締切・申込不可日。適用日の確認と合わせて読む |
| 運用会社・販売会社の計算案内 | 留保額の算出方法、単価や代金の端数処理 |
| 取引報告書 | 約定した口数、単価が留保額控除後か、税引前代金と受渡金額 |
確認資料の例として、たわらノーロード新興国株式の交付目論見書には、「お申込みメモ」と「ファンドの費用・税金」が別々に載っています。上の計算表の価格・口数は、この商品の実績値ではありません。
留保額の算出方法と小数点の処理は委託会社によって異なります。切捨て・四捨五入を商品間で共通と決めず、取引報告書の単価と合わないときは販売会社・運用会社の案内を確認します。
留保額を控除してから譲渡益と税額を求める
個人居住者の課税口座にある国内公募株式投信の解約では、留保額控除後の譲渡価額から取得費と別途の売却費用を引いて譲渡損益を計算します。解約代金の全額や留保額そのものに税率を掛ける計算ではありません。
取得費には購入手数料とその消費税など、取得に要した費用を含みます。ここでは必要な調整を済ませた取得費を使い、元本払戻しや追加購入による調整は投資信託の税金にまとめています。
次の表も、基準日2026年10月26日の架空設例です。架空設例では日本の個人居住者が課税の源泉徴収あり特定口座で国内公募株式投信を換金し、取得費は調整済みの1,894,000円とします。別途手数料・他取引・分配金・通算・還付はなく、各税額に円未満の端数は出ません。設例の税率は2026年分の譲渡益に対する所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%を使います。
| 項目 | 設例の計算・金額 |
|---|---|
| 留保額控除後の譲渡価額 | 1,994,000円 |
| 調整済みの取得費 | 1,894,000円 |
| 譲渡益 | 1,994,000円−1,894,000円=100,000円 |
| 所得税・復興特別所得税 | 100,000円×15.315%=15,315円 |
| 住民税 | 100,000円×5%=5,000円 |
| 徴収税額合計 | 15,315円+5,000円=20,315円 |
| 税引後の受取額 | 1,994,000円−20,315円=1,973,685円 |
この表は単発取引の徴収額です。同じ源泉徴収口座内の別の取引との通算や還付、確定申告後の最終税額は計算していません。口座内の計算と申告の違いは特定口座と確定申告を参照してください。
主な対象外:法人、NISA、確定拠出年金、私募投信、公社債投信、外国籍投信、ETF。この税額表をそれらの取引に流用することはできません。
解約時の収入の扱いは国税庁「投資信託等の終了等の場合」、損益の式は国税庁「株式等を譲渡したときの課税」、源泉徴収は国税庁「特定口座制度」で確認できます。
取引報告書と合わないときの確認表
合わないときは、まず単価と口数、その次に適用日と控除済みの費用を見ます。丸め方だけを変えて帳尻を合わせると、二重控除を見逃します。
| ずれの原因 | 確認すること |
|---|---|
| 表示単位の違い | 基準価額の表示口数と、自分が換金する口数をそろえたか |
| 日付の違い | 申込時に見た基準価額ではなく、実際に適用された基準価額か |
| 留保額の二重控除 | 取引報告書の単価が控除済みの解約価額ではないか |
| 別途費用の見落とし | 留保額のほかに解約手数料がある商品か |
| 端数の扱い | 委託会社の算出方法・切捨て・四捨五入と同じか |
| 取得費の違い | 税金の計算に、調整済みの取得費と別途費用を使ったか |
| 源泉徴収額の違い | 源泉徴収口座内の別取引との通算や還付が反映されていないか |
留保率は換金額の計算条件であり、その大小から商品の良し悪しや売却時期が決まるものではありません。この記事の設例は計算方法を示すもので、特定商品の購入・換金を勧めるものではありません。
よくある質問
信託財産留保額は販売会社への手数料ですか?
信託財産に残される額で、販売会社へ直接支払う解約手数料とは区別します。換金に伴う資産売却の費用などを換金する投資者に負担してもらい、継続保有する投資者との公平性を図る仕組みです。
解約価額が分かっている場合も留保額を引きますか?
その解約価額が留保額控除済みなら、重ねて引きません。基準価額と解約価額を区別し、商品によって別途かかる解約手数料や、口座の税金は別に確認します。
購入金額に留保率を掛ければ計算できますか?
換金時の適用基準価額を基礎とする商品では、購入金額ではなく適用基準価額と換金口数から計算します。基準価額が購入時から変われば、同じ口数でも留保額は変わります。
会社が保有する投資信託にも、この税額表を使えますか?
使えません。この税額表は日本の個人居住者の源泉徴収あり特定口座にある国内公募株式投信の架空設例です。法人の税務・会計処理は対象外で、税引前の換金額と法人固有の処理を分けて確認する必要があります。
積立額と仮定の運用率による将来額を試す場合は、関連ツールを利用できます。
積立額と仮定の運用率で試算するこのツールは個別ファンドの信託財産留保額や実際の解約代金を求めるものではありません。
出典
- J-FLEC掲載・日本証券業協会「信託財産留保額」 — 有無は商品により異なること
- SBI証券「投資信託を解約した際、実際の受取金額が基準価額より少ないのはなぜですか?」 — 控除済み単価と端数処理
- アセットマネジメントOne「たわらノーロード新興国株式 交付目論見書」 — お申込みメモ、費用と税金
- 国税庁「株式等を譲渡したときの課税」
- 国税庁「譲渡した株式等の取得費」
- 国税庁「上場株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされる場合―投資信託等の終了等の場合―」
- 国税庁「特定口座制度」
資料確認日:2026年10月26日。計算表は架空の固定条件による設例です。制度や商品の条件が変わった場合は、適用時点の資料で確認してください。
この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務相談や特定の金融商品・口座の利用を勧めるものではありません。個別の税務・労務相談には応じられません。実際の申告は税務署・税理士にご確認ください。