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振込の反映時間 — 着金は「相手の銀行がつながっている時間」で決まる

結論から言うと、振込の反映時間を決めているのは自分が使っている銀行の受付時間ではなく、受取人の銀行が全銀システムにつながっている時間です。振込を出す側の画面が「受付完了」と表示しても、受け手の金融機関が全銀システムから離れている時間帯であれば、そのお金は相手の口座にまだ入りません。「15時までに振り込めばその日に着く」という言い伝えは、この受け手側の事情を自分側の時計で言い換えたものです。

そして「24時間365日いつでも即時入金」も、そのままでは正しくありません。全銀ネットが公表しているモアタイムシステム参加金融機関の接続予定時間一覧(2026年8月3日時点・1,065機関)を全件集計すると、月曜から日曜まで一度も切れずにつながっているのは221機関=20.8%だけでした。平日は約74%が24時間つながっている一方、土曜は23.0%、日曜は21.5%まで落ちます。とくに日曜は、1,065機関のうち813機関=76.3%が「6時間を超えてつながらない時間帯」を持っています。日曜の未明に振り込むと着金が遅れるのは、この空白が理由です。

もう一段さかのぼると、いつ「支払った」ことになるかも受付時刻では決まりません。民法477条は、口座への払込みによる弁済の効力が生じるのは債権者が払戻しを請求する権利を取得した時だと定めています。支払期日の管理は、振込操作をした時刻ではなく着金した時刻を基準に考えるのが条文どおりです。

結論 — 反映時間は3つの門で決まる

振込がいつ相手の口座に反映されるかは、順番に並んだ3つの門をすべて通れるかで決まります。どれか1つでも閉じていれば、そこで待たされます。

誰が決めているか閉じているとどうなるか
① 振込を出す側の受付時間自分が使っている銀行のサービス規定予約扱いになり、翌営業日などに送信される
② 全銀システムの稼働全銀ネット(コアタイム/モアタイム)為替通知そのものが流れない
③ 受取人の銀行の接続時間受け手の金融機関が届け出た接続予定時間通知が届かず、入金記帳されない

世間で語られる「反映時間」はほとんど①の話です。しかし実際に着金の可否を分けているのは③で、しかも③は自分では選べません。相手が指定してきた口座の金融機関しだいです。

「受付完了」は「着金」ではない

全銀ネットが接続予定時間一覧に付している留意点には「振込先の口座の状況等により、接続予定時間内に行った振込も着金しない場合がございます。」と書かれています。つまり③の門が開いていても、口座の状態によっては入金されないことがあります。着金の確認は、送金側の完了画面ではなく受取側の入出金明細で行うのが確実です。

全銀システムはコアタイムとモアタイムの二階建て

銀行どうしの振込は、全銀ネットが運営する全国銀行データ通信システム(全銀システム)を通ります。1973年の稼働開始以来、日本の内国為替を集中的に処理してきた仕組みで、全銀ネットの公表によれば1日あたり約650万件・約12兆円の為替取引を扱っています。現行は2019年11月から稼働している第7次全銀システムです。

この全銀システムは、性格の違う2つのシステムに分かれています。

システム担当する時間帯稼働開始
コアタイムシステム平日日中(午前8時30分〜午後3時30分)1973年
モアタイムシステム平日夜間・土日祝日2018年10月

ここが分岐点です。モアタイムシステムに参加していない金融機関あての振込は、いまも平日の日中しか流れません。全銀ネットは、参加金融機関一覧のページに「モアタイムシステム参加金融機関以外の加盟銀行の接続時間は、平日午前8時30分~午後3時30分です(12月を除く月末日(平日)は前後1時間の拡大となります)。」と注記しています。

月末日だけ前後1時間ひろがる。ただし12月を除く

上の注記の括弧書きは見落とされがちですが、経理には効きます。月末は支払いが集中するため、コアタイムのみの金融機関でも平日の月末日に限り午前7時30分から午後4時30分までに拡大されます。そして12月だけはこの拡大がありません。年末の資金繰りを月末拡大に頼る計画にしないことです。

1日(0時〜24時)を帯にすると 平日 コアタイム 8:30〜15:30 モアタイム モアタイム 土日祝 終日モアタイム(=参加していない金融機関あては流れない) 実際は 受け手の金融機関が届け出た「接続予定時間」の内側だけ着金する 実線=コアタイム/破線=モアタイムの担当時間帯。帯の長さは時刻に比例させている。
コアタイムは平日の8時30分から15時30分まで。それ以外の時間と土日祝はすべてモアタイムが担当する。

実測 — 1,065機関の接続時間を曜日別に数えた

では、モアタイムに参加していれば本当に24時間つながるのでしょうか。全銀ネットは参加金融機関ごとの曜日別の接続予定時間を一覧で公表しています。2026年8月3日時点の一覧に載っている1,065機関を全件集計し、各曜日について「1日24時間のうち、つながっていない時間が何分あるか」を機械で数えました。

曜日切れ目なし(24時間)空白1時間以内空白1〜6時間空白6時間超
月曜778218465
火曜795219348
水曜795219348
木曜795219348
金曜795219348
土曜245764749
日曜229815813

読み方は次のとおりです。

曜日別「切れ目なく24時間つながっている」機関数(母数1,065) 778 795 795 795 795 245 229 棒の高さは機関数に比例(1,065=196px)。土日で3分の1以下に落ちる。
平日は約74%が終日つながっているのに、土日は2割程度まで下がる。「24時間365日」は平日の姿を指している。
この表が測っているのは「接続予定時間」であって、振込サービスの受付時間ではない

全銀ネット自身が一覧の留意点で「送金サービスの取扱時間と接続予定時間は異なる場合がございますので、詳細は、各金融機関にご確認くださいますようお願いいたします」と断っています。上の集計は③の門(受け手が全銀システムにつながっているか)だけを測ったもので、①の門(自分の銀行がいつ受け付けるか)は各行のサービス規定で別に決まります。

日曜だけ穴が開く理由と、大手銀行の実際

日曜に空白が集中するのは、金融機関がシステムの定期保守を週末の利用が最も少ない時間帯に置いているためです。一覧に現れる代表的な組み合わせは次の4つで、これだけで979機関=全体の92%を占めます。

機関数月〜金
3070:00〜24:000:00〜23:406:30〜24:00
2360:00〜24:000:00〜23:508:00〜24:00
2210:00〜24:000:00〜24:000:00〜24:00
2150:40〜23:400:40〜23:406:30〜23:40

都市銀行5行を同じ一覧で引くと、次のようになっていました。

銀行月曜火〜土日曜
みずほ銀行0:00〜24:000:00〜24:000:00〜24:00
三菱UFJ銀行0:00〜24:000:00〜24:000:00〜24:00
三井住友銀行7:00〜24:000:00〜24:000:00〜21:00
りそな銀行0:00〜24:000:00〜24:000:00〜24:00
埼玉りそな銀行0:00〜24:000:00〜24:000:00〜24:00

同じ都市銀行でも姿が違います。三井住友銀行あての振込は、日曜の21時以降と月曜の午前7時前が空白です。日曜の夜に「明日が期日だから今のうちに」と振り込むと、相手が三井住友銀行なら着金は月曜の朝7時以降になります。一方で、みずほ・三菱UFJ・りそな・埼玉りそなあてなら、その時間帯でも通ります。

反対の端もあります。一覧には土日を「接続なし」と届け出ている機関が16あり、大和ネクスト銀行・オリックス銀行・JPモルガン・チェース銀行・農林中央金庫のほか、信用漁業協同組合連合会が並びます。商工組合中央金庫は平日8時から21時までで、土日は接続しないと記載されています。この種の相手に対しては、土日の振込は物理的に翌営業日です。

「相手がどこの銀行か」を支払サイトの設計に入れる

支払条件を決めるとき、期日を「月末」ではなく「月末営業日」と書くだけでは足りない場面があります。相手の口座がモアタイム非参加の金融機関や土日接続なしの金融機関なら、金曜の夕方に出した振込が月曜まで届きません。期日の前日ではなく前営業日に出すのが安全側です。営業日の数え方は営業日の数え方の記事に整理しています。

営業日カウンター(土日祝を除いて〇営業日後を計算する)

1億円以上の振込は仕組みが違う

金額によって流れる経路が変わる点は、あまり知られていません。全銀システムでの銀行間の資金決済は、原則として1日1回まとめて日本銀行の当座預金で行われます(時点ネット決済)。ところが1億円以上の為替取引だけは、取引ごとに銀行間の資金決済を済ませてから為替通知を送る方式(即時グロス決済)が採られています。

全銀ネットの説明によれば、その資金決済が完了するまでのあいだ、為替通知は「全銀センターに保留されます」。決済は日銀ネットの流動性節約機能付RTGSで行われます。

高額の支払いほど、時間に余裕を持たせる理由

1億円以上の振込は、送信そのものが銀行間決済の完了を待つ構造になっています。日銀ネットの稼働時間の制約も加わるため、1億円未満の振込と同じ感覚で期日ぎりぎりに出さないほうが安全です。金額を分割して1億円未満にすれば経路は変わりますが、原因となる契約が1つなら分割の理由を記録に残しておきます。

いつ「支払った」ことになるか — 民法477条

ここまでは仕組みの話でした。経理にとってより重い問いは、いつ弁済したことになるかです。民法477条が正面から定めています。

受けた民法477条は、次のとおりです。

債権者の預金又は貯金の口座に対する払込みによってする弁済は、債権者がその預金又は貯金に係る債権の債務者に対してその払込みに係る金額の払戻しを請求する権利を取得した時に、その効力を生ずる。

ここでいう「その預金又は貯金に係る債権の債務者」とは、受取人の取引銀行のことです。つまり受取人がその銀行に対して払戻しを請求できるようになった時点で弁済の効力が生じます。振込の依頼をした時でも、自分の口座から引き落とされた時でも、送金側の画面に受付完了と出た時でもありません。

この条文は2020年4月から置かれている

477条は、2017年に成立した債権法改正で新設された規定です。それ以前は明文がなく、判例と学説の積み重ねで同じ結論が導かれていました。いま条文があるということは、契約書に別段の定めを置かない限りこの基準で判断されるということです。「振込の依頼を出した日をもって支払日とする」という運用にしたいなら、それは契約書に書いておく必要があります。

実務では、この一線が次の3つに効きます。

期日が土日祝に当たるとき — 民法142条と484条2項

支払期日が日曜や祝日に当たったら、自動的に翌営業日になる。そう理解されていることが多いのですが、条文はもう少し限定的です。民法142条を読みます。

期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。

注目すべきは「その日に取引をしない慣習がある場合に限り」という限定です。休日だから当然に翌日へ延びるのではなく、その取引について休日に取引をしない慣習があることが前提になっています。銀行振込による支払いには一般にそうした慣習があると解されていますが、条文の側は無条件の繰り延べを認めていません

加えて、弁済ができる時間帯についての定めもあります。民法484条2項です。

法令又は慣習により取引時間の定めがあるときは、その取引時間内に限り、弁済をし、又は弁済の請求をすることができる。
だからこそ契約書に書く。「翌営業日」か「前営業日」か

142条は翌日へ延びる方向しか書いていません。しかし実務では、期日が休日のときに前営業日へ繰り上げる約定も広く使われています(月末締め翌月末払いで、末日が土曜なら金曜に払う、という形)。どちらにするかは当事者が決める事柄なので、支払条件に「支払期日が金融機関の休業日に当たるときは前営業日(または翌営業日)とする」と1行入れておくのが最も確実です。書いていないと、相手は翌営業日のつもり、こちらは前営業日のつもり、という食い違いが起きます。

実務のチェックリスト

ここまでを、支払担当者が実際に確かめる順に並べ直します。

いつ確かめること根拠
取引を始めるとき支払条件に「期日が休業日のときの扱い」を書いたか民法142条は翌日方向しか定めていない
口座を登録するとき相手の金融機関がモアタイムに参加しているか非参加なら平日8:30〜15:30のみ
期日を決めるとき1億円以上になるか1億円以上は取引ごとの資金決済を待つ
振込を出す日期日の前営業日までに出せているか着金時点で弁済の効力が生じる(477条)
月末に出すとき12月の月末ではないかコアタイムの月末拡大は12月を除く
出したあと受取側の明細で着金を確認したか接続時間内でも着金しない場合がある

まとめ。振込の反映時間を決めるのは受取人側の接続時間で、モアタイム参加1,065機関のうち週を通して切れ目のないのは221機関=20.8%にとどまります。土曜は23.0%、日曜は21.5%で、日曜は76.3%の機関が6時間を超える空白を持ちます。モアタイム非参加の金融機関あては平日の8時30分から15時30分まで(12月を除く平日の月末日は前後1時間拡大)です。そして弁済の効力が生じるのは着金の時点であり(民法477条)、期日が休日のときの繰り延べは条文上は無条件ではありません(同142条)。

よくある質問

Q. 15時を過ぎたら振込は翌日になりますか?

A. 相手の金融機関によります。午後3時30分という区切りは、全銀システムのうちコアタイムシステムの終了時刻です。受取人の金融機関がモアタイムシステムに参加していれば、その後の時間帯も為替通知は流れるため当日中に着金しうる一方、参加していない金融機関あてでは翌営業日の扱いになります。全銀ネットの一覧では、参加していない加盟銀行の接続時間は平日午前8時30分から午後3時30分までと注記されています。

Q. 土日でも振込は反映されますか?

A. 多くの金融機関では反映されますが、全部ではありません。全銀ネットが公表する2026年8月3日時点の接続予定時間一覧を集計すると、土曜に切れ目なくつながっているのは1,065機関中245機関、日曜は229機関です。日曜については813機関が6時間を超えてつながらない時間帯を持ち、その多くは午前6時30分や午前8時までの未明の帯です。また土日を接続なしと届け出ている機関も16あります。

Q. 日曜の夜に振り込めば月曜の朝には入っていますか?

A. 相手の金融機関しだいです。都市銀行のうち三井住友銀行は同じ一覧で日曜が0時から21時まで、月曜が7時から24時までとなっているため、日曜21時以降に出した振込は月曜7時以降の着金になります。みずほ銀行・三菱UFJ銀行・りそな銀行・埼玉りそな銀行は月曜から日曜まで0時から24時までと記載されており、この時間帯でも通ります。

Q. 振込を出した日と着金した日、どちらが支払日ですか?

A. 民法477条により、口座への払込みによる弁済は債権者が払戻しを請求する権利を取得した時に効力を生じます。したがって原則は着金した日です。振込の依頼日を支払日とみなす運用にしたい場合は、契約書や取引基本契約にその旨を定めておく必要があります。定めがなければ、期日に着金していない支払いは履行遅滞として扱われます。

Q. 支払期日が日曜なら、自動的に月曜になりますか?

A. 条文は無条件には認めていません。民法142条は、期間の末日が日曜日や国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り翌日に満了すると定めています。銀行振込による支払いには一般にそうした慣習があると解されていますが、前営業日に繰り上げる約定も実務では広く使われているため、支払条件にどちらかを明記しておくのが確実です。

Q. 1億円以上の振込は時間がかかりますか?

A. 経路が異なります。全銀システムの銀行間決済は原則として1日1回まとめて行われますが、1億円以上の為替取引については取引ごとに仕向金融機関と被仕向金融機関のあいだで資金決済を行ってから為替通知を送る方式が採られています。資金決済が完了するまでのあいだ、為替通知は全銀センターに保留されると全銀ネットは説明しています。期日ぎりぎりの送金は避けるほうが安全です。

Q. 月末は振込の受付時間が延びると聞きましたが本当ですか?

A. 全銀システムのコアタイムについてはそのとおりですが、条件が2つあります。全銀ネットの注記は、モアタイムシステムに参加していない加盟銀行の接続時間について、12月を除く月末日で、かつその日が平日である場合に前後1時間の拡大となると記載しています。12月の月末は拡大されません。なお各金融機関の振込サービスの受付時間は、この接続時間とは別に定められています。

Q. 接続時間内に振り込んだのに着金していません。なぜですか?

A. 接続時間は着金を保証するものではありません。全銀ネットは接続予定時間一覧の留意点として、振込先の口座の状況等により接続予定時間内に行った振込も着金しない場合があると明記しています。口座が解約されている、名義が一致しない、入金制限がかかっているなどの理由が考えられます。この場合は資金が戻ってくることになりますが、いったん着金してしまった誤振込の取り戻しは別の手続きになります。

出典

この記事は一般的な情報提供であり、個別の取引についての助言ではありません。接続予定時間は各金融機関の届出にもとづき定期更新されるため、実際の取扱いは取引金融機関にご確認ください。

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