健康保険 被扶養者(異動)届 — 5日以内は追加のときだけ。届け出る義務は会社ではない
結論から言うと、この届出の期限は1つではなく2つあります。解説記事がほぼ一様に書く5日以内という期限は、条文上は家族を扶養に入れるときにしかかかっていません。健康保険法施行規則38条1項が5日以内と定めているのは「被扶養者を有するに至ったとき」で、削除と変更を定める同条2項の期限は「その都度」です。日本年金機構の手続案内も、提出時期を認定は「事実発生から5日以内」、削除(非該当)は「その都度」と書き分けています。
もう1つ、実務でほとんど意識されない点があります。この届出の義務者は会社ではなく、被保険者本人です。規則38条1項の主語は「被保険者は」であり、事業主は「事業主を経由して」という通り道として書かれているだけです。事業主自身の届出義務を定める健康保険法48条の列挙は「資格の取得及び喪失並びに報酬月額及び賞与額」で、被扶養者はそこに入っていません。
この記事では、届出という1枚の紙そのもの——誰が誰に出し、いつまでに出し、どの欄に何を書き、何を添え、何を省けるのか——を条文と様式で確認します。130万円の壁や収入の数え方といった「扶養に入れるかどうか」の判定条件は社会保険の扶養の条件に譲ります。ここは、条件を満たしたあとに出す紙の話です。
届け出る義務は会社ではなく本人にある
健康保険法施行規則38条1項は、こう書いています。
被保険者は、被扶養者を有するとき、又は被扶養者を有するに至ったときは、五日以内に、次に掲げる事項を記載した被扶養者届を事業主を経由して厚生労働大臣又は健康保険組合に提出しなければならない。
主語は「被保険者は」です。事業主は経由地として名指しされているだけで、この届出そのものの名宛人ではありません。対照的なのが、事業主の届出義務を定める健康保険法48条です。
適用事業所の事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格の取得及び喪失並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を保険者等に届け出なければならない。
列挙されているのは資格の取得・喪失・報酬月額・賞与額の4つで、被扶養者は入っていません。この差は罰則にそのまま現れます。健康保険法208条1号は、48条に違反して届出をしなかった事業主を「六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金」に処すと定めていますが、被扶養者届はその48条の射程外なので、この罰条は届きません。
被扶養者届の材料——家族の収入見込み、続柄、同居か別居か、仕送り額——は、会社が自力では確認できません。義務者を本人に置いているのは、その情報を持っているのが本人だからです。会社の側から見れば、本人が出してこない限り会社には出しようがないのが法律の建て付けであり、扶養から外れる事由が起きたときに本人からの申出を待つ運用になるのはそのためです。
ただし、資格取得と同時のときだけは扱いが違います。規則24条3項が、こう定めています。
第一項の場合において、被保険者が被扶養者を有するときは、健康保険被保険者資格取得届に被扶養者届を添付しなければならない。
入社時に扶養家族がいる人については、資格取得届に添付する形になります。1項の「被扶養者を有するとき」——つまり異動が起きた瞬間ではなく、すでに扶養している状態——がここに効いています。
なお、退職後に任意継続被保険者になった人には経由すべき事業主がいません。規則38条5項がその読み替えを置いています。
第一項及び第二項の場合において、被保険者が任意継続被保険者であるときは、第一項及び第二項中「事業主を経由して厚生労働大臣又は健康保険組合」とあるのは、「保険者」とする。
期限は2つある — 5日以内は追加のときだけ
38条1項が5日以内と定めるのは「被扶養者を有するとき、又は被扶養者を有するに至ったとき」です。では扶養から外れたときや、氏名が変わったときはどうか。同条2項がこう書いています。
前項に掲げる事項に変更があったときは、その都度、事業主を経由して厚生労働大臣又は健康保険組合に届け出なければならない。
その都度であって、5日以内ではありません。これは条文の読み方の問題ではなく、日本年金機構の手続案内でも提出時期が明確に書き分けられています。
| 届出の種類 | 根拠 | 提出時期(年金機構の案内) |
|---|---|---|
| 被扶養者の認定(追加) | 規則38条1項 | 事実発生から5日以内 |
| 被扶養者の削除(非該当) | 規則38条2項 | その都度 |
| 記録事項の変更(氏名・生年月日・性別) | 規則38条2項 | その都度 |
削除が2項に当たることは、国民年金法施行規則6条の2の2第2項が裏づけています。同項は「健康保険法施行規則……第三十八条第二項の届書(当該第三号被保険者であつた者が当該第二号被保険者の被扶養者……でなくなつたことによる届書に限る。)」と書いており、扶養から外れる届出を法令自身が2項の届書として扱っています。
「その都度」は「いつでもよい」ではありません。削除が遅れると、外れた日にさかのぼって資格が取り消され、その間に使った医療費の保険者負担分を返すことになります。期限の条文が緩いことと、遅れて損がないことは別の話です。返還の実際は社会保険の扶養の条件で扱っています。
1枚の紙に2つの届出。健康保険は5日、国民年金は14日
この用紙は、年金機構の様式一覧では健康保険 被扶養者(異動)届 国民年金第3号被保険者関係届という名前で置かれています。年金機構の案内も健康保険被扶養者(異動)届と被扶養配偶者の国民年金第3号被保険者関係届が一体化した様式と説明しており、1枚に見えて、法律の異なる2つの届出が同居しています。
ここに、意識されていない食い違いが3つあります。
| 健康保険の被扶養者届 | 国民年金第3号被保険者関係届 | |
|---|---|---|
| 義務者 | 被保険者(規則38条1項) | 第3号被保険者本人=配偶者(国民年金法12条5項) |
| 期限 | 5日以内(追加の場合) | 14日以内(国民年金法施行規則1条の4第2項) |
| 事業主が受理した時点のみなし | 規定なし | あり(国民年金法12条9項) |
1つ目。国民年金側の義務者は、扶養する側の被保険者ではなく扶養される配偶者自身です。
第三号被保険者は、厚生労働省令の定めるところにより、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。ただし、氏名及び住所の変更に関する事項であつて厚生労働省令で定めるものについては、この限りでない。
だから様式のB欄(配偶者である被扶養者欄)には、「※第3号被保険者関係届の提出は配偶者(第2号被保険者)に委任します」という委任の一文と、配偶者本人が書く氏名・日付の欄があります。夫の会社に妻の届出を出してもらうという日常の風景は、法律上は「妻の届出を夫に委任している」という形をとっています。
2つ目。国民年金側の期限は14日です。
法第十二条第五項の規定による第三号被保険者(法第七条第一項第三号に規定する第三号被保険者をいう。以下同じ。)の資格の取得の届出は、当該事実があつた日から十四日以内に、次に掲げる事項を記載した届書又はこれらの事項を記録した光ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以下同じ。)を日本年金機構(以下「機構」という。)に提出することによつて行わなければならない。
3つ目が、実務でいちばん効きます。国民年金法12条9項が、事業主が受け取った時点で届出があったものとみなすと定めています。
第六項の規定により、第五項の届出が第二号被保険者を使用する事業主又は国家公務員共済組合、地方公務員共済組合若しくは日本私立学校振興・共済事業団に受理されたときは、その受理されたときに厚生労働大臣に届出があつたものとみなす。
様式に「事業主等受付年月日」という欄があり、記入方法が「事業主が、被保険者を通じて配偶者から届書を受け取った日付をご記入ください」と指示しているのは、この条文のためです。この日付が、国民年金側では法律上の届出日になります。会社の処理が混んで機構への提出が遅れても、14日の判定はこの受付日で見ることになります。
そして、健康保険法施行規則38条にはこれに対応する受理みなしの規定がありません。同じ紙の同じ日付で出しても、法律が「届いた」と扱う時点は2つの制度で違うことになります。
どの欄に何を書くか — A・B・Cの3ブロック
様式はA(被保険者欄)・B(配偶者である被扶養者欄)・C(その他の被扶養者欄)の3ブロックでできています。配偶者だけがBに分かれているのは、配偶者だけが国民年金第3号被保険者になりうるからです。子や親を扶養に入れるときはCだけを使います。
記載事項は省令が指定しています。規則38条1項1号です。
被扶養者の職業、収入、住所、氏名、性別、生年月日、個人番号(個人番号を有する者に限る。)及び被保険者との続柄
先頭に「職業」があるのが目を引きます。様式にも職業欄があり、無職・パート・年金受給者・その他から選ぶ形になっています。収入の見込みを判定する材料として、法令レベルで求められている項目です。
そして2号が、この様式のいちばん静かな仕掛けです。
被扶養者が被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫及び兄弟姉妹以外の者であるときは、同一の世帯に属した年月日及び扶養するに至った理由
「同一の世帯に属した年月日」と「扶養するに至った理由」を書くのは、直系尊属・配偶者・子・孫・兄弟姉妹以外の人のときだけです。この5つの続柄は、健康保険法3条7項1号が挙げるものと一致します。
被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。以下この項において同じ。)の直系尊属、配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この項において同じ。)、子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの
1号は「主としてその被保険者により生計を維持するもの」としか言っておらず、同居を求めていません。一方、それ以外の三親等内の親族を定める2号はこうです。
被保険者の三親等内の親族で前号に掲げる者以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
「同一の世帯に属し」が入っています。つまり様式が同居年月日を聞いてくるのは、同居が要件になっている人についてだけです。別居の父母を扶養に入れるときにこの欄が空でよいのは、記入漏れが許されているからではなく、父母が1号(直系尊属)だからです。
そのほか、様式の記入方法から拾える指示を挙げます。
- 被扶養者になった日——資格取得と同時に出すときはA欄の取得年月日と同日、それ以外は出生年月日など実際に被扶養者になった日
- 被扶養者でなくなった日——死亡による場合は死亡日の翌日、それ以外は非該当になった当日
- 個人番号を書けば住所欄の記入は不要(様式の注記)
- 配偶者の収入(年収)欄——配偶者以外を被扶養者にする場合で、配偶者が被扶養者でないときに書く。夫婦のどちらの被扶養者にするのが適正かを機構が判断するための欄
添付書類 — 省けるもの、省けないもの
年金機構の案内は、添付書類を「全員必要」と「該当する場合のみ」に分けています。全員必要とされているのは続柄確認と収入要件確認の2つです。ただしどちらにも省略の道があります。
| 種類 | 原則 | 省略できる条件 |
|---|---|---|
| 続柄確認 | 戸籍謄(抄)本、または住民票の写し(被保険者が世帯主かつ同一世帯の場合に限る) | 被保険者と扶養認定を受ける方双方の個人番号が届書に記載されていること、かつ事業主が続柄を確認した旨を届書に記載していること |
| 収入要件確認 | 退職証明書、離職票の写し、受給資格者証の写し、年金額改定通知書の写し、確定申告書の写し、課税(非課税)証明書など、事由ごとの書類 | 所得税法上の控除対象配偶者または扶養親族であることを事業主が証明する場合(被保険者の合計所得金額が1,000万円を超えるときは不可) |
| 仕送りの確認 | 別居の場合、送金者名・受取人名・金額が分かる通帳の写しや振込明細 | 扶養認定を受ける方が16歳未満、または16歳以上の学生の場合は不要 |
| 内縁関係の確認 | 両人の戸籍謄(抄)本と、被保険者の世帯全員の住民票 | — |
| 資格確認書等 | 非該当・変更のとき、交付済みの資格確認書、高齢受給者証、限度額適用認定証などを返す | 回収できないときは「資格確認書回収不能届」を添付 |
続柄確認の省略は、様式の上では備考欄の「※続柄確認済み」というチェックボックス1つで表現されます。事業主が戸籍謄本等を目で見て確認し、そこにチェックを入れることで、原本の添付が要らなくなる仕組みです。
住民票や戸籍謄(抄)本を添える場合、年金機構は提出日からさかのぼって90日以内に発行されたものを求めています。手元にある古い謄本を使い回すことはできません。また住民票はコピー不可・個人番号の記載がないものとされています。マイナンバー入りの住民票を出すと、逆に受け付けられません。
もう1つ、時期に関する条件があります。年金機構は「被扶養者になった日が、事務センター(年金事務所)の受付日より60日以上さかのぼる場合は、扶養の事実を確認出来る書類の添付が必要」としています。出生・婚姻・養子縁組(子が20歳以下の場合のみ)を契機とする届出で、双方に日本の戸籍があり双方の個人番号を記載しているときは、この追加書類は不要です。遅れて出すこと自体は可能ですが、遅れるほど添えるものが増える構造になっています。
海外に住む家族と、日本にいても入れない人
2020年4月1日から、被扶養者には国内居住要件が入りました。令和元年法律第9号(医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律)による改正です。改正前の3条7項本文は、被扶養者とは次に掲げる者をいう、と述べるだけで、住所に関する文言を持っていませんでした。現在はこうです。
この法律において「被扶養者」とは、次に掲げる者で、日本国内に住所を有するもの又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者は、この限りでない。
この「厚生労働省令で定めるもの」が、規則37条の2の5類型です。
法第三条第七項本文の厚生労働省令で定めるものは、次に掲げる者とする。一外国において留学をする学生
二外国に赴任する被保険者に同行する者
三観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者
四被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者であって、第二号に掲げる者と同等と認められるもの
五前各号に掲げる者のほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者
様式にはこれに対応して「海外特例要件」欄(1.留学 2.同行家族 3.特定活動 4.海外婚姻 5.その他)と「海外特例要件に該当した日」欄があります。条文の5類型が、そのまま丸で囲む選択肢になっています。
逆に、日本国内に住んでいても被扶養者になれない人がいます。同項ただし書を受けた規則37条の3が、在留資格「特定活動」のうち医療を受ける活動(およびその世話をする活動)と、1年を超えない期間の観光・保養等の活動で滞在する外国籍の人を除外しています。年金機構の案内も同じ内容を注記しています。
なお海外居住の家族については、上の添付書類の省略は使えません。年金機構は、現況申立書・続柄と収入金額が確認できる公的証明書・仕送りの事実と額が確認できる書類・海外特例要件に該当することを証する書類(留学なら査証、学生証、在学証明書または入学証明書等)を必ず添付とし、通常の取扱いに優先させています。
実務の落とし穴8つ
- 「該当」と「非該当」は同じ紙に書けない。様式は、被扶養者の該当と非該当(変更)は同時に提出できないこと、該当・非該当・変更はそれぞれ別の用紙で提出することを、注記で明記しています。妻が扶養を外れて子が入る、といったケースでは2枚になります。
- 健康保険組合の会社では紙が2つに割れる。様式の注記は、健康保険組合等の場合は様式コード4300の国民年金第3号被保険者関係届による届出となる旨を明記しており、年金機構の案内も、協会けんぽ以外の健康保険では第3号の届のみを機構へ、健康保険は勤め先に問い合わせるようにと書いています。条文側もこれと整合していて、国民年金法施行規則6条の2の2第2項のみなしは「機構に提出したとき」に限られています。健康保険組合に出した届書では、このみなしは働きません。
- 削除の日付は、死亡のときだけ翌日。様式の記入方法が「死亡による場合は死亡日の翌日を、それ以外の場合は非該当になった当日の日付をご記入ください」と指示しています。就職や収入増による削除は当日です。
- 失業給付の待期期間中は削除しなくてよい。年金機構は、待期期間中でも収入要件を満たしていれば認定可能とし、基本手当(3,612円以上)の支給が始まった場合に扶養削除の届出が必要としています。離職した瞬間に外す必要はありません。
- 育児休業で夫婦の収入が逆転しても届出は不要。年金機構は、主として生計を維持していた被保険者が育児休業等を取得して一時的に夫婦の年間収入が逆転した場合等でも、その休業期間中の被扶養者の異動にかかる手続きは不要としています。年収の多い方に付け替える必要はありません。
- 第3号の届出だけを止めることもできる。年金機構は、協会けんぽの被保険者の被扶養配偶者が国民年金第3号被保険者に該当しない場合について、健康保険被扶養者(異動)届の備考欄に「扶養届のみ」や「3号届なし」など、国民年金第3号被保険者関係届が不要である旨を記載することで、健康保険被扶養者(異動)届のみの提出が可能になるとしています。配偶者が60歳以上のときなど、1枚のうち片方だけを使う場面のための逃がし方です。なお外国籍の配偶者を第3号被保険者とする場合は、この届書と一緒に国民年金第3号被保険者ローマ字氏名届の提出が求められます。
- 後期高齢者医療制度の被保険者は入れられない。健康保険法3条7項ただし書が、後期高齢者医療の被保険者等である者を被扶養者から除いており、年金機構も協会けんぽの被扶養者にはなれない旨を注意喚起しています。同居している親が75歳になった時点で、収入要件を満たしていても扶養からは外れます。
- 住所変更だけは例外規定がある。規則38条2項のただし書は、健康保険組合が管掌する被扶養者について、その組合が住民基本台帳の本人確認情報の提供を受けられ、かつ事業主に住所情報の提供を求めないときは、住所変更の届出を要しないとしています。健康保険組合か協会けんぽかで、必要な届出の範囲が変わります。
よくある質問
Q. 5日を過ぎてしまいました。もう扶養に入れられませんか?
A. 入れられます。健康保険法施行規則38条1項の5日以内は届出の期限であって、認定の要件ではありません。実務上も遅れた届出は受け付けられますが、遅れるほど添付書類が増えます。年金機構は、被扶養者になった日が事務センターの受付日より60日以上さかのぼる場合には、扶養の事実を確認できる書類の添付が必要としています。ただし出生、婚姻または養子縁組(子が20歳以下の場合のみ)を契機とする届出で、被保険者と扶養認定を受ける方に日本の戸籍があり、双方の個人番号を記載しているときは、この追加書類は不要とされています。認定日そのものは事実が発生した日で判断されるのが原則なので、遅れて出したことで空白期間が生じるとは限りません。
Q. 会社が届出を出してくれません。会社の義務違反ではないのですか?
A. 被扶養者届の義務者は被保険者本人です。健康保険法施行規則38条1項の主語は「被保険者は」で、事業主は「事業主を経由して」と書かれた通り道にあたります。事業主自身の届出義務を定める健康保険法48条の列挙は資格の取得及び喪失並びに報酬月額及び賞与額で、被扶養者は含まれていません。したがって48条違反に対する健康保険法208条1号の罰則も、この届出には及びません。一方で国民年金第3号被保険者関係届については、国民年金法12条6項が事業主を経由して行うものとすると定めており、経由の事務そのものは法律上事業主に置かれています。実務では、まず何が滞っているのかを確認し、必要な添付書類が揃っていないだけでないかを見るのが早い場合が多いです。
Q. 妻の分の届出を、夫が代わりに書いてよいのですか?
A. 健康保険の被扶養者届については、義務者が被保険者である夫なので、夫が書くのが本来の形です。国民年金第3号被保険者関係届については義務者が妻自身で、国民年金法12条5項が第三号被保険者は届け出なければならないと定めています。このため様式のB欄には第3号被保険者関係届の提出を配偶者に委任する旨の記載欄と、配偶者本人の氏名を書く欄が設けられています。様式の記入方法は、氏名は住民票に登録されているものと同じものを記入し、日付は配偶者が被保険者を通じて事業主にこの届書を提出する日付を記入するよう指示しています。
Q. 別居している父を扶養に入れます。同居年月日の欄は空でよいですか?
A. 父は健康保険法3条7項1号の直系尊属にあたるため、同居年月日の記入は求められません。健康保険法施行規則38条1項2号が同一の世帯に属した年月日および扶養するに至った理由を記載事項としているのは、直系尊属、配偶者、子、孫および兄弟姉妹以外の者であるときに限られているためです。ただし別居であることは、収入要件の判定に影響します。年金機構は別居の場合の要件を、収入が被保険者からの仕送り額未満であることとしており、送金者名、受取人名およびその金額が確認できる書類の添付を求めています。16歳未満または16歳以上の学生の場合は、この仕送り書類は不要とされています。
Q. 出生した子を入れるとき、戸籍謄本は必要ですか?
A. 条件を満たせば不要です。年金機構は、被保険者と扶養認定を受ける方双方の個人番号が届書に記載されており、事業主が続柄を確認した旨を届書に記載していれば、続柄確認のための添付書類を不要とできるとしています。事業主が確認した旨を記載していない場合でも、子の出生を契機とする届出を除き、被保険者と配偶者の婚姻関係、または被保険者と20歳以下の子との親子関係を明らかにする場合で、双方に日本の戸籍があるときは添付書類を不要とできるとされています。書類を添える場合は、提出日からさかのぼって90日以内に発行されたものが求められます。
Q. 扶養に入れる日は、いつになりますか?
A. 様式の記入方法は、被保険者の健康保険加入と同時に提出する場合はA欄の取得年月日と同日、それ以外の場合は出生年月日等の実際に被扶養者になった日を記入するよう指示しています。入社と同時に家族を入れるときは、健康保険法施行規則24条3項により被扶養者届を資格取得届に添付する形になるため、日付も揃います。それ以外の場合は、退職した日の翌日や出生した日といった、扶養の事実が生じた日を書くことになります。ここが受付日より60日以上前になると、扶養の事実を確認できる書類が求められます。
Q. 健康保険組合に加入しています。届出は1枚で済みますか?
A. 一般に2つに分かれます。様式の注記が、健康保険組合等の場合は様式コード4300の国民年金第3号被保険者関係届による届出となる旨を明記しており、年金機構の案内も、協会けんぽ以外の健康保険の被保険者の配偶者が被扶養者の場合は国民年金第3号関係者届のみを機構に提出し、健康保険については勤め先に問い合わせるよう案内しています。国民年金法施行規則6条の2の2第2項のみなし規定が、健康保険法施行規則38条2項の届書を機構に提出したときと定めていることとも整合します。健康保険組合に提出した届書は機構には届かないため、第3号側は別に手当てすることになります。
出典
- 健康保険法(大正11年法律第70号)3条7項(被扶養者の定義。国内居住要件は令和元年法律第9号により2020年4月1日から。改正前のリビジョン 211AC0000000070_20191001_424AC0000000102 と突き合わせ、改正前の本文に住所に関する文言が無いことを確認した。本文の国内居住要件と厚生労働省令への委任、1号の直系尊属・配偶者・子・孫及び兄弟姉妹、2号の三親等内の親族と同一の世帯の要件、3号・4号の内縁配偶者の父母及び子)、48条(事業主の届出。資格の取得及び喪失並びに報酬月額及び賞与額)、208条1号(48条違反に対する六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金)。e-Gov 法令API v2 のリビジョン 211AC0000000070_20260801_508AC0000000031 で取得
- 健康保険法施行規則(大正15年内務省令第36号)24条3項(資格取得届への被扶養者届の添付)、37条の2(国内居住要件の例外5類型)、37条の3(適用除外。医療を受ける活動および1年を超えない観光・保養等)、38条(被扶養者の届出。1項の5日以内と記載事項1号から3号、2項の「その都度」と住所変更のただし書、3項の光ディスク、5項の任意継続被保険者の読み替え)、39条(保険者による被扶養者情報の登録)。リビジョン 215M10000008036_20260801_508M60000100117 で取得
- 国民年金法(昭和34年法律第141号)12条(届出。5項の第三号被保険者の届出義務、6項の事業主経由、8項の健康保険組合への委託、9項の受理みなし)、12条の2(被扶養配偶者でなくなったことの届出)。リビジョン 334AC0000000141_20260525_506AC0000000052 で取得
- 国民年金法施行規則(昭和35年厚生省令第12号)1条の3(国内居住要件の例外5類型)、1条の4第2項(第三号被保険者の資格取得の届出。14日以内)、1条の4第3項(添付書類)、6条の2の2(被扶養配偶者でなくなったことの届出。1項の14日以内、2項の健康保険法施行規則38条2項の届書を機構に提出したときのみなし)。リビジョン 335M50000100012_20260401_507M60000100121 で取得
- 日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」(ページID 150020010-978-859-258、2026年7月13日更新)— 被扶養者の認定・削除(非該当)・記録事項の変更の別、提出時期(認定は事実発生から5日以内、削除はその都度)、提出先と提出方法、添付書類(続柄確認・収入要件確認・仕送り・内縁関係・資格確認書)、続柄確認書類の省略条件、90日以内発行、留意事項(60日以上さかのぼる場合、同居確認は機構が行うこと)。2026年8月23日に
curlで取得。WebFetch は使用していない - 日本年金機構「健康保険 被扶養者(異動)届 国民年金第3号被保険者関係届」様式(様式コード2200/健康保険組合等の場合は4300)— A・B・Cの3ブロック構成、記入方法(事業主等受付年月日、被扶養者になった日、被扶養者でなくなった日と死亡の場合の翌日、職業欄、海外特例要件欄、続柄確認済みのチェック、配偶者の収入欄の趣旨)、および「該当」「非該当」「変更」を同時に提出できない旨の注記。エクセル様式を
curlで取得し、共有文字列を機械的に抽出して読解
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の認定可否や記載方法については、加入している健康保険の保険者(協会けんぽの場合は年金事務所、健康保険組合の場合は当該組合)または社会保険労務士にご確認ください。