法人事業概況説明書 — 添付は義務。条文に様式名は無く、単位は3つ混ざっている
結論から言うと、法人事業概況説明書は「出しておくと調査で心証が良い参考資料」ではありません。決算書や勘定科目内訳明細書とまったく同じ根拠で、法人税の確定申告書に添付することが求められている書類です。根拠は法人税法74条3項と、それを受けた法人税法施行規則35条1項で、貸借対照表・損益計算書が1号、勘定科目内訳明細書が3号、そして事業等の概況に関する書類が5号に並んでいます。1号と3号だけを義務だと思って5号を落とす、という形で扱いが割れやすい書類です。
もう一つ、実務でいちばん多い事故は単位です。この様式は金額を千円単位で書くのが原則ですが、海外取引状況の「取引金額」欄だけは百万円単位、月別の状況の「源泉徴収税額」欄だけは円単位と決まっています。3つが1枚の紙の上に同居しているので、うっかり全部を千円で揃えると、取引金額は1,000倍に、源泉徴収税額は1,000分の1に見えます。決算書の数字が合っていても、この1枚だけが桁違いになります。
そして、令和6年3月1日以後に終了する事業年度分から様式が改訂され、電帳法適用状況の欄と年末調整関係書類の電子化の状況の欄が加わりました。優良な電子帳簿を保存している法人が会計ソフト名の末尾に付けていた表記は、この改訂で不要になっています。古い書き方のまま転記していると、様式に無い欄を探すことになります。
結論 — 決算書と同じ「添付書類」である
法人税の確定申告は、法人税法74条1項により、各事業年度終了の日の翌日から2月以内に、確定した決算に基づいて申告書を提出して行います。その申告書に何を付けるかを決めているのが同条3項です。
第一項の規定による申告書には、当該事業年度の貸借対照表、損益計算書その他の財務省令で定める書類を添付しなければならない。
条文の言葉は「添付しなければならない」です。財務省令で定める書類の中身は法人税法施行規則35条1項に7つの号で並んでいて、次のような構造になっています。
根拠は74条3項と施行規則35条1項5号
5号の条文はこれだけです。短いので、かっこ書きまで含めて全文を引きます。
当該内国法人の事業等の概況に関する書類(当該内国法人との間に完全支配関係がある法人との関係を系統的に示した図を含む。)
読みどころはかっこ書きです。実務で「出資関係図」と呼ばれている、グループ内の資本関係を系統的に示した図は、独立した号ではなくこの5号の中に畳み込まれています。つまり概況説明書と出資関係図は、条文上は同じ1つの書類として扱われている、という構造です。完全支配関係のある法人がある会社が、概況説明書だけ付けて出資関係図を付けないのは、5号のかっこ書きの部分を落としていることになります。
5号は書類の内容を求めているだけで、様式を指定していません。国税庁が公開している様式は、この号を満たすために用意された便宜的なもので、条文の側から名前が降りてきているわけではありません。次の節で見るとおり、この一点が「同じ義務なのに2つの様式がある」という状態を生んでいます。
条文に「法人事業概況説明書」という名前は無い
法人税法施行規則35条1項5号を何度読んでも、法人事業概況説明書という語は出てきません。出てくるのは事業等の概況に関する書類という一般的な言い方だけです。その結果、国税庁は所管によって別々の様式を用意しています。
| 所管 | 使う様式 | 典型的な法人 |
|---|---|---|
| 税務署所管 | 法人事業概況説明書 | 大多数の中小法人 |
| 国税局の調査課所管 | 会社事業概況書 | 調査課が所管する大規模法人 |
国税庁の申告手続に係る参考情報のページでも、この2つは「署所管法人用」「調査課所管法人用」という見出しで分けて掲載されています。自社がどちらの所管かは、申告書の提出先と、これまで受け取ってきた通知の差出人で分かります。名前が似ているので、検索して出てきた記載要領が自社の様式のものとは限りません。以下この記事で扱うのは、税務署所管の法人が使う法人事業概況説明書の方です。
単位が3つ混ざっている(千円・百万円・円)
記載要領の冒頭にある一般的留意事項が、この様式でいちばん実害の出る箇所です。金額の単位は次の3つが混在します。
| 欄 | 単位 | 端数 |
|---|---|---|
| 原則(主要科目・月別の売上高等ほか) | 千円単位 | 千円未満は切捨て |
| 海外取引状況の「取引金額」欄 | 百万円単位 | 百万円未満は切捨て |
| 月別の状況の「源泉徴収税額」欄 | 円単位 | そのまま |
あわせて記載要領は、金額がマイナスのときは数字の1つ上の桁の枠内に △ または - を付けること、▲ は使わないことを求めています。切捨てた結果として書くべき金額が無くなった場合や、もともと書くべき金額が無い場合は、0ではなく空欄のままにします。枠が設けられている数字の欄は1枠に1文字を右詰めで書き、桁があふれる場合は枠を無視して書きます。
令和6年3月1日以後終了事業年度分の改訂
この様式は、令和6年3月1日以後に終了する事業年度分から改訂されています。変わったのは次の2か所です。
| 欄 | 改訂の内容 |
|---|---|
| 5 PCの利用状況 (7) 電帳法適用状況 | 新設。過少申告加算税の軽減措置の要件を満たす優良な電子帳簿を保存等しているときは「優良」、それ以外は「一般」に印を付ける。国税関係書類をスキャナ保存しているときは「スキャナ」にも印を付ける |
| 20 年末調整関係書類の 電子化の状況 | 新設。年末調整関係申告書の取扱の有無、電磁的方法での受付の可否、利用しているシステムなどを答える |
実務で効くのは、この改訂に伴ってやめてよくなった書き方がある点です。改訂前は、優良な電子帳簿の要件を満たしている場合、会計ソフト名を書く欄でソフトの名称の末尾に軽減である旨を書き添える運用でした。電帳法適用状況の欄ができたことで、その書き添えは不要になりました。前期の控えをそのまま写している会社は、ここが二重になっていないか確認しておくとよいでしょう。
電子帳簿の話は帳簿類の備付状況の欄にも出てきます。こちらは国税関係帳簿ごとに優良な電子帳簿の要件を満たして保存等をしている場合、帳簿書類の名称の末尾に〇を書くという書き方です。電帳法適用状況の欄が法人単位の申告であるのに対し、こちらは帳簿1本ずつの申告になっている、という違いがあります。
法人税・地方法人税がいくらになるか試算する20の記載欄 — 表面と裏面で何を聞かれるか
様式は表裏1枚で、番号の付いた記載欄が20あります。前半(表面)が会社の形と数字、後半(裏面)が事業の中身と経理の体制、という並びです。
| 番号 | 記載欄 | 何を聞かれているか |
|---|---|---|
| 1 | 事業内容 | 営む事業の内容。詳細は裏面の事業形態の欄へ |
| 2 | 支店・子会社の状況 | 国内外の支店等の数、子会社の数と出資割合 |
| 3 | 海外取引状況 | 輸出入の有無・相手国・商品・取引金額、輸出入以外の海外取引 |
| 4 | 期末従事員等の状況 | 職種別の人数、うち代表者の家族数、うちアルバイト数 |
| 5 | PCの利用状況 | OS・利用形態・会計ソフト名・メールソフト名・データの保存先・電帳法適用状況 |
| 6 | 販売形態 | 電子商取引の有無と内容、販売チャネル |
| 7 | 株主又は株式所有異動の有無 | 株主の異動・持株数の異動。株式交付に伴うものかどうか |
| 8 | 経理の状況 | 現金出納と預金通帳の管理責任者、試算表の作成状況、源泉徴収対象所得、消費税の課税売上高と経理方式、社内監査 |
| 9 | 役員又は役員報酬額の異動の有無 | 役員の異動、報酬額の異動 |
| 10 | 主要科目 | 売上高から純資産の部合計まで、決算書の主要な科目 |
| 11 | 代表者に対する報酬等の金額 | 同族会社の場合。報酬・賃借料・支払利息・貸付金・仮払金と、代表者からの借入金・仮受金 |
| 12 | 事業形態 | 兼業の状況、事業内容の特異性、売上区分(現金売上と掛売上の割合) |
| 13 | 主な設備等の状況 | 機械装置・車両・店舗・倉庫・客室などの名称、用途、台数、面積 |
| 14 | 売上・仕入等の決済日の状況 | 売上・仕入・外注費・給与の締切日と決済日(支給日) |
| 15 | 帳簿類の備付状況 | 作成している帳簿類の名称。優良な電子帳簿なら末尾に〇 |
| 16 | 税理士の関与状況 | 氏名・事務所所在地・電話番号と、関与している事務の範囲 |
| 17 | 加入組合等の状況 | 主な加入組合・団体と役職名 |
| 18 | 月別の売上高等の状況 | 月ごとの売上・仕入・外注費・人件費・源泉徴収税額・従事員数 |
| 19 | 当期の営業成績の概要 | 経営状況の変化や経営方針の変更で影響のあった事項 |
| 20 | 年末調整関係書類の電子化の状況 | 年末調整の電子化の取扱い・受付方法・利用システム |
数字を写す欄は10と18と11だけで、残りは会社の形と運用のしかたを聞く欄です。ここに何を書いたかは、翌期以降の控えとも突き合わせられる形になっています。
主要科目は「申告調整後」。ただし交際費だけ違う
主要科目の欄は、決算書から機械的に写せばよさそうに見えますが、記載要領は基本的には決算額によるとしたうえで、申告調整(別表四または別表五(一)での加減算)がある場合は、交際費を除きその調整後の額を書くよう求めています。損金不算入で加算した交際費は、交際費の欄については支出額の合計額を書く、という扱いです。
受取手形と売掛金は貸倒引当金を控除する前の額。建物・機械装置・車両船舶は減価償却累計額を控除した後の額。土地には借地権等の額を含めます。受取手形には融通手形を含めず、支払手形には融通手形と、固定資産の購入に係るもので区分できるものを含めません。買掛金には原価性のある未払金等を含めます。労務費からは福利厚生費等を除き、退職金は人件費の各科目に含めません。個人借入金の欄は、銀行・信用金庫・信用組合からの借入金以外の借入金の合計です。
最後に検算があります。資産の部合計=負債の部合計+純資産の部合計が一致するように確かめる、と記載要領に明記されています。逆に言えば、ここが合わない状態で提出される様式が実在する、ということでもあります。
業種による読み替えも用意されています。不動産賃貸業の原価性のある支払地代家賃・リース料、運送業の原価性のある燃料費、金融業・保険代理業の原価性のある支払利息割引料は、いずれも原材料費(仕入高)の欄に入れます。金融業・保険代理業では未収利息を売掛金の欄に、未払利息を買掛金の欄に書きます。自社の決算書の科目名と様式の科目名が一対一で対応しない業種は、この読み替えが先にあると迷いません。
消費税の経理方式の欄にも独特の決めごとがあります。売上等の収益に係る取引に税抜経理方式を適用している場合において、固定資産等の取得または経費等の支出のどちらかに税込経理方式を適用しているときは、「税抜」に印を付けるという扱いです。混合方式を採っている会社が、どちらに印を付けるか迷う箇所です。税抜経理と税込経理そのものの違いは税抜経理と税込経理の記事で整理しています。
省略してよい欄と、してはいけない欄
記載要領は、いくつかの欄について明示的に省略を認めています。認められている省略と、そうでない空欄は別物なので、区別して扱う価値があります。
| 欄 | 省略できる条件 |
|---|---|
| 13 主な設備等の状況 | 申告書の内訳明細書等に記載がある事項は省略して差し支えない |
| 19 当期の営業成績の概要 | 同様の内容を書いた別途の書類を作成している場合は、その書類を添付することで省略して差し支えない |
| 20 年末調整関係書類の電子化の状況 | 源泉所得税について税理士の関与がない場合は記載を省略して差し支えない |
| 11 代表者に対する報酬等の金額 | そもそも同族会社の場合に記載する欄(同族会社でなければ書かない) |
20の欄は、16の税理士の関与状況で源泉徴収関係事務に印がある場合に記載への協力を求める、という書き方になっています。ここで言う年末調整関係申告書は、扶養控除等申告書(従たる給与に係るものを含む)・配偶者控除等申告書・基礎控除申告書・保険料控除申告書・所得金額調整控除申告書・住宅借入金等特別控除申告書の6つです。保険料等の支払を証する書類は、生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金の各控除証明書と、住宅借入金等特別控除証明書・年末残高等証明書を指します。一部でも電磁的方法で受け付けられるなら「可」を選ぶ、という緩い基準です。
e-Taxで出さなければならない法人
法人税法75条の4は、特定法人である内国法人について、確定申告書の記載事項だけでなく添付書類に記載すべき事項も電子情報処理組織を使用する方法で提供して行わなければならない、と定めています。概況説明書は添付書類なので、この義務の中に入ります。ただし同項ただし書により、添付書類に係る部分については光ディスクその他の記録用の媒体を提出する方法によることもできます。
特定法人は同条2項に5つ挙げられています。1号は資本金基準です。
当該事業年度開始の時における資本金の額又は出資金の額が一億円を超える法人
残りは、通算法人、保険業法に規定する相互会社、投資法人、特定目的会社です(それぞれ前の号に掲げる法人を除く、というかっこ書きが付いています)。資本金1億円以下の一般的な中小法人は、この義務の対象ではありません。もっとも、義務でなくても電子申告を選ぶ会社は多く、その場合の様式はe-Taxのソフト上で入力する形になります。
記載要領は、記載を終えた法人事業概況説明書を他の書類とホチキス止め等をしないで、申告書に挟み込んで提出するよう求めています。理由は様式の欄外に書かれていて、この用紙は機械で読み取られるためです。折ったり汚したりしない、という注意も欄外に印字されています。
実務でつまずきやすい7点
- 記載要領は全欄を説明していない。 記載要領の冒頭が、特に明らかにしておく必要があると思われる項目のみを取りまとめたもので、記載事項の全てを説明しているものではない、と自ら断っています。実際、記載要領の項目番号は13の次が15へ飛んでいて、14の売上・仕入等の決済日の状況には解説がありません。8の経理の状況でも、(1)の次が(3)で、(2)の試算表の作成状況が飛んでいます。様式にはあるのに要領には無い欄がある、という前提で読む必要があります。
- 「無」も答えである。 海外取引・電子商取引・株主の異動・役員報酬額の異動などは、該当がなければ「無」に印を付けます。空欄のままにすると、答えていないのか無いのかが区別できません。
- 子会社の出資割合は小数点以下を切り捨てる。 海外子会社が複数ある場合は出資割合の高いものから2社、海外支店等が複数の国にある場合は従業員数の多いものから2つ、と数まで決まっています。
- 期末従事員の「計のうち代表者家族数」に代表者本人は含めない。 同居か別居かは問いません。
- 月別の人件費には役員分を含める。 その月の俸給・給与・賞与の支給総額で、役員に対するものを含みます。従事員数も役員を含む支給人員です。源泉徴収税額は、年末調整で過不足を精算した月については精算後の税額を書きます。
- 税理士が複数関与していても、書くのは主な1名。 記載要領がそう指定しています。
- 記載欄が足りないときは別紙で足す。 様式の欄外に、記載欄が不足する項目は適宜の用紙に別途記載のうえ添付するよう案内があります。無理に詰め込んで読めなくするより、別紙にする方が様式の想定どおりです。
まとめ — 法人事業概況説明書は法人税法74条3項と施行規則35条1項5号による添付書類で、決算書や勘定科目内訳明細書と同じ位置づけです。5号のかっこ書きには出資関係図も含まれます。条文に様式名が無いため、税務署所管なら法人事業概況説明書、国税局の調査課所管なら会社事業概況書と様式が分かれます。金額は千円単位が原則ですが、取引金額欄は百万円単位、源泉徴収税額欄は円単位です。令和6年3月1日以後終了事業年度分から、電帳法適用状況の欄と年末調整関係書類の電子化の状況の欄が加わりました。
よくある質問
Q. 法人事業概況説明書は、提出しなくてもよい任意の書類ですか?
A. 任意の参考資料ではありません。法人税法74条3項が確定申告書に財務省令で定める書類を添付しなければならないと定め、その財務省令である法人税法施行規則35条1項の5号に、事業等の概況に関する書類が挙げられています。貸借対照表・損益計算書の1号や、勘定科目内訳明細書の3号と同じ項の中に並んでいるので、条文上の位置づけはこれらと同じです。国税庁が公開している様式の欄外にも、法人税確定申告書を提出する際には添付するよう案内があります。
Q. 法人事業概況説明書と会社事業概況書は何が違いますか?
A. どちらも法人税法施行規則35条1項5号の事業等の概況に関する書類にあたる様式ですが、使う法人が違います。国税庁の申告手続に係る参考情報のページでは、法人事業概況説明書が署所管法人用、会社事業概況書が調査課所管法人用として分けて掲載されています。条文が様式名を定めておらず、書類の内容だけを求めているため、このように所管ごとに別の様式が用意される形になっています。自社がどちらかは、申告書の提出先で判断します。
Q. 金額はすべて千円単位で書けばよいですか?
A. すべてではありません。記載要領は金額を千円単位(千円未満切捨て)で記載するとしたうえで、取引金額欄については百万円単位(百万円未満切捨て)で、源泉徴収税額欄については円単位で記載するよう定めています。3つの単位が1枚の様式の中に混在しているため、全部を千円単位で揃えると、取引金額欄は1,000倍に、源泉徴収税額欄は1,000分の1に読まれることになります。
Q. 主要科目には、決算書の数字をそのまま写せばよいですか?
A. 基本的には決算額によりますが、別表四または別表五(一)での申告調整がある場合は、交際費を除き調整後の額を記載するよう記載要領が定めています。交際費の欄については、交際費等の支出額の合計額を記載します。また、受取手形と売掛金は貸倒引当金の控除前、建物・機械装置・車両船舶は減価償却累計額の控除後など、科目ごとの決めごとがあります。最後に資産の部合計が負債の部合計と純資産の部合計の計と一致するか検算します。
Q. 出資関係図も一緒に出す必要がありますか?
A. 完全支配関係がある法人がある場合は必要です。法人税法施行規則35条1項5号は、事業等の概況に関する書類のかっこ書きとして、当該内国法人との間に完全支配関係がある法人との関係を系統的に示した図を含む、と定めています。独立した号ではなく同じ5号の中に置かれているため、概況説明書と出資関係図は条文上ひとまとまりの添付書類として扱われる形になっています。
Q. 電子帳簿保存法の欄には何を書きますか?
A. 令和6年3月1日以後に終了する事業年度分から、PCの利用状況の中に電帳法適用状況の欄が設けられました。過少申告加算税の軽減措置の適用要件を満たして、その措置の対象となる優良な電子帳簿の保存等を行っているときは優良に、それ以外のときは一般に印を付けます。国税関係書類をスキャナ保存している場合はスキャナにも印を付けます。この欄ができたことで、会計ソフト名の末尾に軽減である旨を書き添える従来の方法は不要になりました。
Q. 電子申告が義務になるのはどんな法人ですか?
A. 法人税法75条の4第1項の特定法人です。同条2項が、事業年度開始の時における資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人、通算法人、保険業法に規定する相互会社、投資法人、特定目的会社の5つを挙げています。この場合、申告書の記載事項だけでなく添付書類に記載すべき事項も電子情報処理組織を使用する方法で提供して行うこととされており、法人事業概況説明書も添付書類としてこの中に入ります。ただし添付書類に係る部分は、光ディスクその他の記録用の媒体を提出する方法によることもできます。
Q. 書ききれない欄があるときはどうしますか?
A. 様式の欄外に、記載欄が不足する項目については適宜の用紙に別途記載のうえ添付するよう案内があります。また、主な設備等の状況については申告書の内訳明細書等に記載がある事項を省略して差し支えないとされ、当期の営業成績の概要については同様の内容を記載した別途の書類を作成している場合にその書類を添付することで記載を省略して差し支えないとされています。省略が認められている欄とそうでない欄があるので、区別して扱うのが安全です。
出典
- e-Gov法令検索「法人税法」(昭和四十年法律第三十四号)。法令API v2 の
law_data/340AC0000000034にelm=Article_74およびelm=Article_75_4を付けて条単位で取得した。参照したのは74条(確定申告)と75条の4(電子情報処理組織による申告)である。本文のblockquoteはこの取得結果からの逐語である - e-Gov法令検索「法人税法施行規則」(昭和四十年大蔵省令第十二号)。
law_data/340M50000040012にelm=Article_35を付けて取得した。参照したのは35条(確定申告書の添付書類)で、事業等の概況に関する書類は同条1項5号、勘定科目内訳明細書は3号、貸借対照表及び損益計算書は1号である。号の数え方は条の木構造(Article > Paragraph > Item)から数えたもので、目視ではない - 国税庁「法人事業概況説明書の記載要領」(署所管法人用の様式および記載要領のPDF)。単位(千円単位・取引金額欄は百万円単位・源泉徴収税額欄は円単位)、マイナスの表記、記載要領が全項目を説明したものではない旨、令和6年3月1日以後終了事業年度分からの改訂の内容、各記載欄の記載要領は、このPDFの本文から確認した。記載欄の一覧は、同じPDFに収録されている様式そのものの番号(1から20)を数えたものである
- 国税庁「法人事業概況説明書の書き方」(申告手続に係る各種参考情報に掲載されているPDF)。記載要領と重なる内容の確認に用いた
- 国税庁「『法人事業概況説明書』の様式が改訂されます。」(令和6年1月)。電帳法適用状況の欄の新設と、優良な電子帳簿に係る会計ソフト名末尾の表記が不要になったこと、年末調整関係書類の電子化の状況の欄の新設を確認した
- 国税庁「申告手続に係る各種参考情報」。法人事業概況説明書が署所管法人用、会社事業概況書が調査課所管法人用として別々に掲載されていることを、同ページの掲載区分から確認した
- 本記事が扱っていない事項: 会社事業概況書(調査課所管法人用)の記載要領の中身。地方税(法人事業税・法人住民税)の申告に添付する書類。添付が漏れた場合の税務上の取扱い。e-Taxソフト上での具体的な入力手順と、光ディスク等の媒体による提出の手続
この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務相談ではありません。具体的な申告や判断は、顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。