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育児時短就業給付金はいくらもらえるか|賃金の10%と、90%を超えたときの支給率の正体

結論から言うと、育児時短就業給付金は時短勤務をした月に支払われた賃金の10%です。2歳に満たない子を養育するために1週間当たりの所定労働時間を短縮して働いた月について、雇用保険から支給されます。2025(令和7)年4月1日に創設された、まだ新しい給付です。

ただし「10%」で終わらないところが3つあります。時短後の賃金が時短前の90%を超えていると支給率は10%より下がり、100%以上なら1円も出ません。賃金と給付の合計には484,121円という上限があり、算定額が2,562円以下なら不支給になります。そして月の途中で退職するとその月は丸ごと対象外になります。

この記事では、支給率が下がるときの計算式を条文から確認します。厚生労働省のパンフレットに載っている式は一見複雑ですが、整理すると「賃金が下がった分の9割を配る」という単純な形になります。この形が分かると、早見表を引かなくてもおおよその額を暗算できます。

いくらもらえるか — 額は3段階で決まる

支給額は、その月に支払われた賃金と、時短を始める前の賃金水準との比で決まります。比べる相手を「育児時短就業開始時賃金月額」といい、原則として最初の育児時短就業を始める前の直近6か月に支払われた賃金の総額を180で割り、それに30を掛けた額です。臨時に支払われる賃金と、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)は含みません。育児休業給付の対象となる育児休業から引き続いて時短に入った場合は、その育児休業給付で使った休業開始時賃金日額をそのまま使います。

この開始時賃金月額を分母、その月に実際に支払われた賃金を分子とした割合を、パンフレットは「賃金率」と呼んでいます。賃金率がどこにあるかで、次の3段階に分かれます。

賃金率(その月の賃金 ÷ 開始時賃金月額)支給額
90%以下その月の賃金 × 10%
90%超 100%未満その月の賃金 × 調整後の支給率(10%未満に逓減)
100%以上支給されません(時短の前後で賃金が減っていないため)

いちばん多いのは1行目です。たとえば開始時賃金月額が300,000円で、時短後の月給が200,000円になった月であれば、賃金率は約66.7%で90%以下ですから、支給額は200,000円 × 10% = 20,000円となります。所定労働時間をそれなりに短くすれば賃金率は90%を大きく下回るので、実際にはこの単純な10%で計算できる人が多数派です。

問題になるのは2行目です。時短の幅が小さく、賃金があまり下がらなかった月がこれに当たります。この場合の支給率が、次の節で扱う逓減率です。

支給率 10% 5% 0% 10.00% 4.74% 0.00% 90% 95% 100% 賃金率(その月の賃金 ÷ 開始時賃金月額) ← 90%以下はすべて10%
賃金率が90%を超えると支給率は10%から下がりはじめ、100%でちょうど0%になる。曲線上の値は厚生労働省の早見表と一致する。

90%を超えると支給率が下がる — その正体は「下がった分の9割」

賃金率が90%超100%未満のときの支給率は、雇用保険法61条の12第6項2号が「百分の十から一定の割合で逓減するように厚生労働省令で定める率」とし、その厚生労働省令が雇用保険法施行規則101条の47です。同条は、開始時賃金月額から「その月の賃金」と「開始時賃金月額の1%にイをロで割った率を掛けた額」の合計を引き、それをその月の賃金で割った率と定めています。イは開始時賃金月額からその月の賃金を引いた額、ロは開始時賃金月額の10%です。

厚生労働省のパンフレットは、これを次の形で示しています。開始時賃金月額を9,000倍し、その月の賃金を100倍した額で割り、90を引いてから100で割る、という式です。どちらも文章で読むと何をしているのか分かりませんが、記号に置き換えると同じ一つの式になります。開始時賃金月額をW、その月に支払われた賃金をwとすると、支給率は次のとおりです。

支給率 = 0.9 ×(W − w)÷ w
W=育児時短就業開始時賃金月額/w=その支給対象月に支払われた賃金額
規則101条の47の定義からも、パンフレットの式からも、整理すると同じこの形になります。

この式は境界でうまく噛み合っています。w が W の90%のとき、0.9 ×(W − 0.9W)÷ 0.9W = 0.1 となって、ちょうど10%です。w が W と等しいとき分子が0になるので、支給率は0%です。90%から100%へ向かって10%から0%へなめらかに落ちる、というのが条文の意図した形だと分かります。

さらに一段だけ整理すると、実務で使いやすい形になります。支給額はその月の賃金に支給率を掛けたものですから、w × 0.9 ×(W − w)÷ w となり、w が約分されて消えます

支給額 = 0.9 ×(W − w)= 賃金が下がった分の9割
賃金率が90%超100%未満の範囲では、支給額は「時短前より下がった金額の9割」になります。

たとえば開始時賃金月額が300,000円、その月の賃金が280,000円だったとします。賃金率は約93.3%なので逓減の範囲です。下がった額は20,000円ですから、その9割の18,000円がおおよその支給額になります。パンフレットの計算例も同じ条件を扱っており、支給率を6.4285…%と算定したうえで小数第2位に四捨五入して6.43%とし、280,000円 × 6.43% = 18,004円としています。四捨五入を挟むぶん4円だけ差が出ますが、額の見当をつけるには十分です。実際に受け取る額は、パンフレットの手順どおり支給率を四捨五入してから掛けた額で確認してください。

この整理が効くのは、早見表が手元になくても判断できるようになるところです。時短の幅を決める段階で「月給が1万円下がる時短なら、給付は9,000円くらい戻る」と見積もれます。逆に言えば、賃金率が90%を超える範囲の時短では、下がった賃金の9割しか戻らないということでもあります。90%以下まで下げれば賃金の10%が丸ごと出るので、賃金率が90%のすぐ上と下では給付の性格が変わります。

賃金率支給率賃金率支給率
100.00%0.00%95.00%4.74%
99.00%0.91%94.00%5.74%
98.00%1.84%93.00%6.77%
97.00%2.78%92.00%7.83%
96.00%3.75%91.00%8.90%
95.50%4.24%90.00%10.00%

この表の値は厚生労働省の早見表から引いたものです。上の「0.9 ×(W − w)÷ w」に賃金率を入れて計算すると、早見表に載っている21点すべてが小数第2位まで一致します。

支給限度額484,121円と最低限度額2,562円

上下に頭打ちがあります。まず、その月に支払われた賃金の額が支給限度額以上であれば支給されません(雇用保険法61条の12第2項)。また、賃金と支給額の合計が支給限度額を超えるときは、支給限度額から賃金を引いた額が支給額になります。逆に下側では、算定した支給額が最低限度額以下であれば支給されません(同条8項)。金額は毎月勤労統計の平均定期給与額に応じて毎年8月1日に見直されます。

区分額(2027年7月31日までの額)
支給限度額484,121円
最低限度額2,562円
開始時賃金日額の上限/下限16,540円/3,203円
開始時賃金月額の上限/下限496,200円/96,090円

上限が効く例を見ておきます。開始時賃金月額が上限の496,200円、その月の賃金が445,000円だったとします。90%の線は496,200円 × 0.9 = 446,580円で、445,000円はこれ以下ですから支給率は10%、いったん44,500円と算定されます。ところが445,000円 + 44,500円 = 489,500円となり、支給限度額484,121円を超えます。そこで支給額は484,121円 − 445,000円 = 39,121円に切り下げられます。

パンフレットの計算例と算数が合わない箇所があります
この例は厚生労働省のパンフレットにも同じ数字で載っていますが、90%の額が「445,580円」と記されています。496,200円の90%は446,580円です。例に出てくる賃金445,000円はどちらの額よりも低いので、支給率10%という判定も、最終的な39,121円という答えも変わりません。自分で計算し直して数字が合わないときのために書き添えておきます。

最低限度額のほうは、時短の幅が小さく、かつ賃金率が100%に近いときに効きます。たとえば下がった額が2,800円しかない月なら、支給額はその9割の2,520円で、2,562円以下ですから支給されません。ごくわずかな時短では給付が出ないということです。

誰がもらえるか — 12か月要件を問われない人がいる

受給資格は2つの条件でできています。1つ目は、2歳未満の子を養育するために1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業する被保険者であること。ここでいう被保険者は、雇用保険の一般被保険者と高年齢被保険者です。

2つ目が被保険者期間の要件で、ここに2つの入口があります。原則は、育児時短就業を開始した日の前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある)完全月が12か月あること、です。育児休業給付や基本手当と同じ数え方です。

もう1つの入口が見落とされがちです。育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き、同一の子について育児時短就業を開始した場合は、この12か月を問われません(雇用保険法61条の12第1項)。育休から復帰してそのまま時短に入る人は、要件を数え直す必要がないということです。出生時育児休業給付金を受けていて出生時育児休業の終了後に引き続き時短へ入った場合も同じです。

「引き続き」には14日の幅があります
復帰日がそのまま時短の開始日である場合だけでなく、育児休業期間の末日の翌日から時短開始日の前日までが14日以内であれば「引き続き」として扱われます。復帰後に有給休暇を数日はさんでから時短に入る、といったよくある形もここに収まります。この扱いに当てはまる場合は、賃金証明書(雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書・所定労働時間短縮開始時賃金証明書)の提出も不要です。

なお受給資格とは別に、その月ごとの要件が4つあります。初日から末日まで続けて被保険者である月であること、週の所定労働時間を短縮して就業した期間がある月であること、初日から末日まで続けて育児休業給付または介護休業給付を受給していない月であること、高年齢雇用継続給付の受給対象となっていない月であることです。最後の点は法律にも定めがあり、同一の就業について高年齢雇用継続基本給付金または高年齢再就職給付金を受けたときは育児時短就業給付金を支給せず、逆もまた同じとされています(同条10項)。両取りはできません。

育児休業給付金の額を計算する(時短に入る前の段階の給付)

支給対象月になる月・ならない月

支給されるのは「支給対象月」だけです。原則は、育児時短就業を開始した日の属する月から、終了した日の属する月までの各暦月です。月の途中で始めても、その月から対象になります。

ここで実務上いちばん引っかかるのが、月の初日から末日まで続けて被保険者でなければならないという要件です。雇用保険の被保険者資格は離職日の翌日に喪失するので、月の途中で退職するとその月は要件を満たさず、対象外になります。前月までは対象です。

1日違いで結論が変わります
3月20日に退職すると資格喪失は3月21日で、3月は「初日から末日まで続けて被保険者」ではなくなるため、3月は支給の対象になりません。一方、3月31日(月の末日)に退職した場合は、3月も支給の対象になります。退職日を月末にするかどうかで、給付が1か月分変わります。

終わりの側にも決まりがあります。次の①〜④の日が属する月までが支給対象月です。①その子が2歳に達する日の前日、②産前産後休業・育児休業・介護休業を開始した日の前日、③その子とは別の子について育児時短就業を開始した日の前月末日、④子の死亡その他の事由により子を養育しないこととなった日。④の「その他の事由」には、子の離縁や養子縁組の取消し、他の者の養子となったこと等により同居しなくなったこと、特別養子縁組の成立の審判が確定せずに終了したこと、被保険者自身の疾病・負傷や障害により子が2歳に達するまで養育できない状態になったことが挙げられています。

①は日付の数え方に注意が要ります。「子が2歳に達する日」とは2歳の誕生日の前日のことなので、①の日は誕生日の2日前になります。誕生日が月の3日以降であれば、その2日前は同じ月に収まるので誕生月まで対象です。しかし誕生日が月の1日または2日だと、2日前は前の月に入ってしまい、支給対象月は誕生月ではなく前月で終わります。たとえば11月3日生まれなら11月まで、11月2日生まれなら10月までです。

育児休業 育児時短就業 通常勤務 時短を開始した日 その月から対象 時短を終了した日 その月まで対象 この各暦月が「支給対象月」 ただし ①子が2歳に達する日の前日 ②産前産後・育児・介護休業の開始日の前日 ③別の子の時短開始日の前月末日 ④子を養育しないこととなった日 — が属する月まで
支給対象月は時短の開始月から終了月まで。ただし4つの事由のいずれかが先に来れば、その日の属する月で打ち切られる。

「時短」の範囲は育児・介護休業法の措置より広い

誤解されやすいのですが、この給付の対象になる「育児時短就業」は、育児・介護休業法にもとづく所定労働時間の短縮措置(1日の所定労働時間を原則6時間とするもの)に限られません。被保険者からの申出にもとづいて事業主が講じた、1週間当たりの所定労働時間を短縮する措置であれば対象です。1週間当たりの所定労働日数を変更した結果として週の所定労働時間が短くなる場合も含まれます。

短縮後の週の所定労働時間に、上限も下限も設けられていません。子を養育するために短時間正社員やパートタイム労働者へ転換したり、転職したりして週の所定労働時間が短くなっている場合も、育児時短就業として扱われます。1日6時間という数字にこだわる必要はない、ということです。

ただし週20時間を下回ると崖があります
短縮後の週の所定労働時間が20時間を下回ると、雇用保険の被保険者資格そのものを失うため、給付の対象になりません。例外は、子が小学校就学の始期に達するまでに週の所定労働時間が20時間以上となる労働条件に復帰することが前提であると、就業規則等の書面により確認できる場合です。週20時間を割り込む時短を設計するなら、復帰の前提を書面に残しておく必要があります。

この点は雇用保険の加入条件と地続きです。週20時間は雇用保険の加入基準そのものなので、時短の設計が加入条件を割ってしまうと、給付以前に被保険者でなくなります。

フレックス・変形・裁量・シフト制のときの判定

所定労働時間が単純な「1日8時間×5日」でない働き方については、どこを短縮すれば育児時短就業と扱われるかが個別に示されています。

制度育児時短就業として扱われる扱われない
フレックスタイム制清算期間における総労働時間を短縮して就業するとき総労働時間は変えずに、フレキシブルタイムの一部または全部を勤務せず、清算期間ごとに欠勤控除を受けるとき
変形労働時間制対象期間の総労働時間を短縮して就業するとき総労働時間を変えないときの、対象期間中の1週間の平均労働時間を下回る期間(いわゆる閑散期)
裁量労働制みなし労働時間を短縮して就業するとき
シフト制実際の労働時間から1週間当たりの平均労働時間を算定し、短縮が確認できるとき

フレックスタイム制の行が実務では効きます。清算期間の総労働時間そのものを短くする手続きを取らずに、実際の勤務を減らして欠勤控除で調整している場合は、賃金が下がっていても育児時短就業には当たりません。賃金が減っているのに給付が出ない、という結果になりがちなところなので、労使協定や個別の合意で総労働時間を短縮する形にしておく必要があります。

申請はいつまでに、誰が出すか

初めて支給を受けようとするときは、最初の支給対象月(時短を開始した日の属する月)の初日から起算して4か月以内に申請します(雇用保険法施行規則101条の48第1項)。書類の名前は「育児時短就業給付受給資格確認票・(初回)育児時短就業給付金支給申請書」で、事業所の所在地を管轄するハローワークへ提出します。

提出は事業主を経由して行うのが原則です。ただし、やむを得ない理由のため事業主を経由して提出することが困難であるときは、被保険者が経由せずに提出できるとされています(同項ただし書)。添付するのは、休業等開始時賃金証明票、母子健康手帳、労働者名簿、賃金台帳など、子がいること・雇用されていること・週の所定労働時間が短縮されていること・賃金の支払状況と額を証明できる書類です。前述のとおり、育児休業給付の対象となる育児休業から引き続いて時短に入った場合は賃金証明書の提出が不要になります。

2回目以降は、初回の申請を受けてハローワークが「次はいつからいつまでに出すか」を指定します。指定できるのは、1つまたは連続する2つの支給対象月について、その支給対象月の初日から起算して4か月を超えない範囲です(同条3項)。育児休業給付のように2か月ごとにまとめて申請する運用と近い形になります。

資本金・出資金の額が1億円を超える法人などの「特定法人」の事業所については、これらの届出は電子情報処理組織を使用して行うものとされています(同条7項)。電気通信回線の故障や災害などで使用が困難な場合は例外です。

時短で賃金が下がると、社会保険料の側も動く可能性があります。固定的賃金の変動があって標準報酬月額に2等級以上の差が生じれば随時改定(月額変更届)の対象になり、育児休業等の終了後であれば終了時改定という別の仕組みもあります。給付の手続きと保険料の手続きは別々に走るので、どちらも忘れないようにしてください。

よくある質問

Q. 育児時短就業給付金はいつから始まった制度ですか?

A. 2025(令和7)年4月1日に創設されました。根拠となる雇用保険法61条の12は、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47号)の第13条によって新設されたもので、同法の附則1条4号ヘがこの規定の施行日を令和7年4月1日と定めています。適用範囲について同法の附則14条2項は「新雇用保険法第六十一条の十二の規定は、第四号施行日以後に同条第一項に規定する育児時短就業を開始する者について適用する」としており、施行日以後に育児時短就業を開始する人が対象です。同じ改正で出生後休業支援給付金も創設されました。どちらも制度として新しいため、社内の育児関連規程がこの2つの給付に触れていないことがあります。

Q. 賃金が下がった分は全部は戻らないのですか?

A. 戻りません。賃金率が90%以下であればその月の賃金の10%が支給されるので、下がった額との関係は時短の幅によって変わります。賃金率が90%超100%未満の範囲では、支給額は整理すると「開始時賃金月額とその月の賃金の差額の9割」になります。たとえば月給が1万円下がった月であれば、給付はおよそ9,000円です。この給付は減った賃金を補填しきるものではなく、時短を選びやすくするために一部を戻す設計になっています。なお、賃金と支給額の合計が支給限度額484,121円を超える場合は、支給限度額から賃金を引いた額まで切り下げられます。

Q. 育児休業給付金と同じ月に両方もらえますか?

A. もらえません。各月の支給要件として「初日から末日まで続けて育児休業給付または介護休業給付を受給していない月」であることが求められています。また雇用保険法61条の12第5項は支給対象月を定義するなかで、その月の初日から末日まで引き続いて被保険者であり、かつ介護休業給付金・育児休業給付金・出生時育児休業給付金・出生後休業支援給付金の支給を受けることができる休業や、教育訓練休暇給付金の支給を受けることができる休暇を取得しなかった月に限る、としています。育児休業から時短へ移った月については、この定義に照らして支給対象月になるかどうかが決まります。高年齢雇用継続給付との関係も同様で、同条10項により、同一の就業についてどちらか一方しか受けられません。

Q. 時短勤務をしていた月の途中で退職しました。その月はもらえますか?

A. もらえません。雇用保険の被保険者資格は離職日の翌日に喪失するため、月の途中で離職するとその月は「初日から末日まで続けて被保険者である月」という要件を満たさなくなります。前月までは支給の対象です。ただし月の末日に離職した場合は、その月も支給の対象になります。3月20日退職なら3月分は出ず、3月31日退職なら3月分も出る、という違いです。退職日を決める段階で確認しておくと、1か月分の給付の有無が変わります。

Q. 1日6時間の時短でなければ対象になりませんか?

A. そうではありません。対象となる育児時短就業は、被保険者の申出にもとづいて事業主が講じた1週間当たりの所定労働時間を短縮する措置であり、育児・介護休業法にもとづく短縮措置に限られていません。短縮後の週の所定労働時間に上限も下限もなく、1週間当たりの所定労働日数を変更した結果として週の所定労働時間が短縮される場合も含まれます。子を養育するために短時間正社員やパートタイム労働者に転換した場合、転職によって週の所定労働時間が短くなった場合も同様に扱われます。ただし短縮後の週の所定労働時間が20時間を下回ると雇用保険の被保険者資格を失うため、支給対象になりません。子が小学校就学の始期に達するまでに週20時間以上の労働条件に復帰することが前提であると就業規則等の書面で確認できる場合が例外とされています。

Q. 申請が遅れてしまいました。4か月を過ぎたらもう受けられませんか?

A. 規則が定めているのは、初めて支給を受けようとするときは最初の支給対象月の初日から起算して4か月以内に申請しなければならない、という期限です。2回目以降についても、ハローワークが指定する申請期間は支給対象月の初日から起算して4か月を超えない範囲で定めるものとされていますが、同項にはハローワークが必要があると認めるときはこの限りでないという例外が置かれています。実際に期限を過ぎた場合の取扱いは個別の事情によるため、この記事では断定を避けます。期限に間に合わないことが分かった時点で、事業所を管轄するハローワークに事情を伝えて相談してください。

出典

この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案に対する助言ではありません。育児時短就業給付金を受けられるかどうか、いくらになるか、どの月が支給対象月になるかは、被保険者期間、所定労働時間の短縮の内容、その月に支払われた賃金の額、他の給付の受給状況によって結論が変わります。実際の手続きにあたっては、事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)にご確認ください。

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