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労働保険の年度更新とは|賃金集計・対象者・申告納付

結論から言うと、労働保険の年度更新は、前年度に実際に支払った賃金から確定保険料を精算し、新年度の概算保険料を申告・納付する年1回の手続です。令和8年度の期間は2026年6月1日(月)から7月10日(金)までです。

令和8年度の継続事業では、原則として2025年4月から2026年3月までに支払が確定した賃金を集計して令和7年度の確定保険料を求め、その賃金総額を基礎に令和8年度の概算保険料を計算します。

最大の落とし穴は、労災保険と雇用保険で対象者が同じとは限らないことです。給与台帳の総支給額をそのまま一つの欄へ転記せず、月別・保険別に対象賃金を集計します。

年度更新は「前年度の精算+新年度の前払い」

労働保険料は、労災保険料と雇用保険料をまとめて扱う仕組みです。年度の初めに賃金総額の見込額で概算保険料を納め、年度が終わった後、実際の賃金総額で確定保険料を計算します。その差額を精算すると同時に次年度分を申告するため「年度更新」と呼ばれます。

令和8年度手続の部分 使う期間・内容 意味
令和7年度確定保険料 2025年4月〜2026年3月の実績賃金 前年の概算額との差額を精算
令和8年度概算保険料 2026年4月〜2027年3月の見込賃金 新年度分を先に納付

継続事業と、建設業などの有期事業では申告書や集計方法が異なります。本記事は主に一般の継続事業を扱います。

令和7年度 実績賃金を集計 2026年6月1日〜7月10日 確定+概算を申告・納付 令和8年度 概算保険料
一枚の年度更新申告書で、前年度の精算と新年度の概算申告を行います。

令和8年度の期間と対象年度

厚生労働省が公表した令和8年度の年度更新期間は、6月1日(月)から7月10日(金)です。申告書は管轄の都道府県労働局・労働基準監督署への郵送、窓口、電子申請等で提出します。納付方法は申告方法や口座振替の利用状況により異なるため、送付された申告書と令和8年度版の手引で確認します。

年度と支払月を混同しない令和8年1月〜12月の暦年集計ではありません。労働保険年度は4月から翌年3月です。賃金締日と支払日が月をまたぐ場合は、「算定期間中に支払が確定した賃金」という基準で賃金台帳を確認します。

賃金集計の方法

賃金総額に入るのは、名称ではなく労働の対償として支払うものです。基本給、残業手当、通勤手当、賞与などを給与台帳から拾い、実費弁償的な出張旅費などは区別します。非課税通勤費であっても「所得税が非課税だから労働保険料の対象外」とは限りません。税務上の課税区分をそのまま使わないことが重要です。所得税側の距離別早見表と「非課税限度額=会社の支給上限ではない」という区別は通勤手当の非課税限度額で確認できます。

  1. 2025年4月〜2026年3月の賃金台帳を月別に並べる
  2. 労働者ごとに労災保険・雇用保険の対象区分を付ける
  3. 各支給項目が労働保険上の賃金か確認する
  4. 月別の人数と賃金額を集計表へ転記する
  5. 給与台帳総額との差額を対象外項目・対象外者で説明できるようにする

例として、対象労働者10人の基本給等が月3,000,000円、賞与が年2回各1,000,000円なら、単純化した年間賃金は38,000,000円です。ただし、雇用保険対象外の人が含まれれば、雇用保険分の賃金総額は別に集計します。

会社負担の法定福利費を概算 労働保険・社会保険を含む会社負担の全体像を確認できます。年度更新は令和8年度の公式料率表・申告書で確定してください。

労災保険と雇用保険で対象者を分ける

人の区分 労災保険の集計 雇用保険の集計
正社員 原則として対象 被保険者なら対象
パート・アルバイト 原則として対象 加入要件を満たす被保険者のみ
役員 労働者性を個別判定 原則対象外、兼務役員は個別判定
出向者 賃金負担・指揮命令関係を確認 資格を取得している事業所を確認

パートを「短時間だから両方対象外」とするのは誤りです。労災保険は原則として雇用形態や労働時間にかかわらず労働者が対象です。一方、雇用保険は加入要件と被保険者資格を確認します。詳しくは雇用保険の加入条件を参照してください。

年度途中の入社・退職者も、対象期間中に支払が確定した対象賃金を集計します。3月退職者への4月支給など、年度境界は締日・支払日・賃金確定日を資料で確認します。

確定保険料・概算保険料の計算

基本形は「賃金総額×保険料率」です。労災保険率は事業の種類により異なり、雇用保険率も年度・事業区分で変わります。さらに一般拠出金を合わせて扱います。したがって、前年の料率を流用せず、令和8年度の申告書の書き方と料率表を使います。雇用保険率の年度別確認は雇用保険料率も参照できます。

令和7年度の確定保険料と、既に申告した令和7年度概算保険料を比較し、不足なら令和8年度概算保険料等と合わせて納付し、超過なら充当または還付の扱いを申告書で選びます。数字を先に丸めてから月別に合算すると差が出るため、公式手引の端数処理どおりに計算します。

競合しやすい見落とし年度の途中で事業内容が変わった、事業場を統合した、労働保険番号が複数ある場合は、全社の賃金を一枚に合算できるとは限りません。申告書に印字された労働保険番号・事業の種類ごとに集計単位を確認します。番号が1つになるか2つに分かれるかは徴収法39条1項と施行規則70条で決まり、複数の番号を1つに束ねられるかは継続事業の一括の要件によります(→労働保険番号 — 番号が2つに割れる4つの事業と一括の条文)。

申告・納付前の最終確認

電子申請が義務づけられている事業場について、厚生労働省は令和8年度から年度更新申告書を送付しないと案内しています。「用紙が届かないから対象外」と判断せず、電子申請の対象か確認します。

よくある質問

Q. 令和8年度の年度更新はいつまでですか?

A. 厚生労働省の案内では、2026年6月1日(月)から7月10日(金)までです。申告書の提出だけでなく納付も確認します。

Q. 非課税通勤手当は賃金総額から除けますか?

A. 所得税上の非課税と、労働保険上の賃金該当性は別です。通勤手当は一般に労働保険料の算定基礎となる賃金に含めて集計します。

Q. 雇用保険に入っていないアルバイトは集計しませんか?

A. 雇用保険分には含めませんが、労働者であれば原則として労災保険分には含めます。二つの賃金総額を分ける理由がここにあります。

Q. 申告書が届きません。

A. 労働保険番号や所在地を確認するとともに、電子申請義務化の対象か確認します。厚生労働省は、対象事業場には令和8年度から申告書を送付しないと案内しています。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は都道府県労働局・労働基準監督署・社会保険労務士にご確認ください。

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