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適格返還請求書の書き方|記載事項・返品の見本・訂正と保存

適格返還請求書は、売上後の返品・値引き・割戻しを伝える返還インボイスです。元の請求書を書き換えるのではなく、どの売上を、いつ、いくら減らしたかを示します。現金を返す場合だけでなく、売掛金を減額する場合も対象です。

この記事では、登録済みの売手が課税事業者の買手に行う返還を扱います。記載事項と見本に続き、免除の集計単位、訂正、保存を確認できます。主な例外は交付を省ける場合にまとめました。

適格返還請求書の記載事項

返還書には、売手の名称・登録番号や返還日、元取引日、税率別の返還額などを記載します。発行日だけで済ませず、次の欄を確認します。期間表示などの条件は後述します。

記載欄記載する内容確認すること
売手適格請求書発行事業者の氏名・名称と登録番号買手の登録番号に入れ替えない
返還日・元取引日返還等を行う年月日と元取引年月日(期間表示などの条件は後述)作成日だけの書類になっていないか
返還対象の内容商品・役務の内容。軽減税率対象ならその旨「値引き」の一語で対象が不明になっていないか
返還額税率ごとに区分した税抜価額又は税込価額の合計額表示で税込・税抜のどちらか分かるか
税額・税率返還額に係る消費税額等又は適用税率どちらかを記載する。両方の記載も可能

出典:国税庁「インボイスQ&A」問60。返還書単独では買手の宛名は法定記載事項に含まれません。送り先や社内照合のために記載しておくと、対応を追いやすくなります。

書類の題名を変えるだけでは要件を満たしません。販売奨励金支払明細書などの名称でも、必要事項が記載されているかで確認します。通常の請求書とまとめる場合は、通常請求書側の記載事項も必要です。

元取引と対応させた返還書の見本

以下は、登録後に販売した文房具を後日返品し、売掛金から減額する架空の見本です。買手は課税事業者で、交付免除の取引には該当しないとします。実際の書類では自社の名称・登録番号と取引内容に置き換えます。

この見本は、2026年10月15日の文房具販売を2026年10月30日に一括返品・減額する設例です。この見本は標準税率10%を適用し、税抜返還額20,000円、消費税額等2,000円、税込返還額22,000円とします。円未満の端数は生じません。

適格返還請求書の固定条件見本
欄見本に記載する内容
書類名適格返還請求書(返品による売掛金減額)
売手自社の正式名称/自社の有効な登録番号を記載
宛名(管理用)買手の正式名称を記載
返還等を行う年月日2026年10月30日
元取引年月日2026年10月15日
内容元請求書で販売した文房具の返品
税率別の税抜返還額標準税率10%対象:20,000円
消費税額等標準税率10%分:2,000円
税込返還額合計22,000円
社内照合欄(管理用)元請求書番号・返還書番号・減額する債権の管理番号

この見本の計算は「税抜返還額×適用税率=消費税額等」「税抜返還額+消費税額等=税込返還額」です。実際の返還では元取引の税率と返還対象額を確認します。軽減税率対象品や税率が混在する取引は、この見本の対象外です。

管理番号は、照合をしやすくする任意の欄です。法定の追加記載事項ではありません。元取引日や商品名の代わりに、番号だけを記載する使い方は避けます。

元請求書売上日・商品返還書返還日・返還額決済記録返金・債権減額保存先控え・訂正履歴→→→管理番号でつなぎ、返還の処理状況を確認する
法定記載欄を埋めたうえで、任意の管理番号で処理の対応を追う社内運用例。

交付を省ける場合と返還額の集計単位

2026年10月時点では、返還等の税込価額が1万円未満なら返還インボイスの交付義務は免除されます。見るのは元の売上額ではありません。返還した金額や、値引き等の対象となる請求・債権の単位ごとの減額です。

商品ごとに小額でも、請求に対するリベートをまとめて支払う場合は、その合計返還額で判定します。標準税率と軽減税率が混在していても、免除判定のために税率別へ分ける扱いではありません。

次は国税庁のリベート公表例です。登録済みの売手が課税事業者に返還し、他の交付免除に該当しない場合の、税込金額による判定を示します。

見る単位公表例の内容判定
商品単価商品当たりのリベートは100円この単価だけでは免除を判定しない
支払う合計額後日支払うリベートの合計返還額は20,000円税込返還額が1万円以上なので少額免除は適用されない

出典:国税庁「インボイスQ&A」問28。返還書の交付免除と、仕入税額控除の少額特例は別の制度です。交付を省けるかどうかと、帳簿・税額調整が要るかどうかは分けて確認します。

主な例外:売手の登録前の売上に係る返還には交付義務がありません。取引別の交付免除を確認するときは、国税庁Q&A問27を参照してください。本記事の見本は、交付免除取引を扱いません。

振込手数料相当額を売上値引きとして扱う場合の説明は、振込手数料の勘定科目にまとめています。手数料負担の合意や取引法上の制約も、そちらで確認できます。

元取引日が分からないときの確認

元取引日は、返還書を作った日へ置き換えません。まず元の請求書・納品書・売上記録で、返品や値引きの対象になった売上を探します。

適格請求書を交付した売上については、元取引日を、その課税期間の範囲内で一定の期間として記載できます。月単位や複数月分の表示にする場合も、異なる課税期間をまとめないことを確認します。

返品処理を合理的な方法で継続して行っている場合には、その方法に基づく前月末日や最終販売年月日などの記載も認められます。「調べにくいので今月は前月末日にする」という任意の置換とは分けて考えます。

根拠:国税庁「インボイスQ&A」問60・61。

請求書との一体化・買手作成書類での対応

通常の請求書と返還書は、双方に必要な事項を記載して、同じ書類で交付できます。

通常請求書側の宛名などを落とさないよう、請求書の書き方も併せて確認します。返還書単独で宛名が法定事項でないことを、そのまま通常請求書へ当てはめないようにします。

継続して売上額から返還額を控除した差額と、それに基づく消費税額等を税率別に記載する方法もあります。この差引表示の場合、税率ごとの端数処理は1回です。元の売上と返還の対応が追える記録も残します。

売手から返還書を改めて交付する必要はありませんが、買手作成の販売奨励金請求書が返還書の必要事項を満たし、双方で返還内容を記載した書類を共有していることが条件です。金額だけの通知を受け取った場合は、記載要件の充足と内容の確認が必要です。

根拠:国税庁「インボイスQ&A」問62・63。

後日の返品と、当初の誤記を分ける

販売後の返品・値引きは返還処理、当初書類の誤記は修正処理として分けます。誤記を直すためだけに返品の明細を作ると、実際の取引と書類の意味がずれてしまいます。

発生したこと処理の区別結び付けておく記録
販売後に返品・値引き売上に係る返還の処理元売上・返還・決済の記録
当初の書類に記載誤り当初書類の記載内容の修正当初書類と修正した書類

売手による修正交付には、正しい内容で記載事項をまとめて出し直す方法があります。当初書類との関連性を明らかにして、修正事項を示す方法などもあります。後者なら、当初書類がどれか分かる表示と、誤った内容・正しい内容を対応させます。

買手が受け取った書類を書き換えて完了とするのではなく、発行した売手へ確認します。なお、課税事業者の買手が必要事項を記載した修正仕入明細書等を作り、登録済みの売手の確認を受ける方法もあります。

根拠:国税庁「インボイスQ&A」問32・33。

交付後は控えと減額記録を対応させて保存

売手は、交付した返還書の写しや提供した電子データを保存します。修正交付した場合は、当初交付分と修正した書類の写しを残します。

次は社内チェックの運用例です。管理番号や保存先の付記を、法律で定められた追加項目として扱うものではありません。

  1. 元の売上を特定し、返還対象・返還額・処理日を合意記録と照合する。
  2. 返還書の記載事項を確認し、相手へ交付した版を保存する。
  3. 返金したか、どの債権を減らしたかを決済記録に結び付ける。
  4. 訂正があれば旧版と修正版の関係を残し、同じ返還を重ねて処理していないか照合する。

売手の写し・提供データは、交付・提供日の属する課税期間末日の翌日から2か月(清算中の法人で残余財産が確定した場合は1か月)を経過した日から7年間保存します。

消費税以外の税目でも保存義務があるため、廃棄前に各税目の要件を確認します。根拠は消費税法施行令第70条の13です。電子交付したデータを含む保存方法の詳細は国税庁「インボイスQ&A」問79〜81を参照してください。

電子データの保存条件は電子帳簿保存法の解説へ。ファイルの整理には、取引先や日付から原データを探せる対応表を残します。

電子取引データの検索用索引簿を作る
確認の順番

返還の対象となった売上を特定し、交付義務と集計単位を確認します。返還日・元取引日・税率別返還額を記載し、交付した控えと決済記録を保存します。後発の返還と当初書類の修正は分けて処理します。

よくある質問

適格返還請求書は誰が発行しますか?

登録済みの売手が、課税事業者の買手へ売上に係る対価の返還等を行う場合に交付します。少額返還や一定の取引は免除され、登録前の売上に係る返還には交付義務がありません。

現金を返さず売掛金を減らすだけでも対象ですか?

対象です。返品・値引き・割戻しにより売掛金などの債権を減額する場合も、売上に係る対価の返還等に含まれます。交付義務の免除に該当するかは別に確認します。

宛名や元請求書番号は必須ですか?

返還書単独では法定記載事項に含まれません。元取引日を記載します(期間表示などの条件は元取引日の節)。元請求書番号だけで置き換えないようにします。通常の請求書とまとめる場合は、通常請求書側の宛名などの記載事項も満たします。

通常の請求書とまとめられますか?

まとめられます。通常請求書と返還書それぞれに必要な事項を記載します。差引表示を使う場合の条件は、一体交付の節で確認できます。

売手が修正した返還書を出し直した場合、当初分は捨ててよいですか?

当初の写しも残します。修正した書類の写しと、元の書類との関係が分かるように保存します。

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出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。個別の税務・労務相談には応じられません。

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