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FANG+レバとレバナスの隠れコスト — 信託報酬に出ない為替ヘッジの差を実績で推定する

結論から言うと、費用の欄だけを比べると、為替ヘッジという層を見落とします。

iFreeレバレッジ FANG+は原則として為替ヘッジを行い、auAMのヘッジ無しは行いません。ただし、この推定差はauAMの2本の比較で、FANG+レバのヘッジの負担を直接測ったものではありません。1.275%以下は目論見書作成時点の概算値、この差は為替予約の実装の差なども含む過去の実績からの推定です。

この記事は、どれかを勧めるものではありません。為替ヘッジはコストになる一方で、為替変動リスクを低減する仕組みでもあります。費用の欄に出ない差を数字にし、その評価は読む人に委ねる記事です。

目に見える費用を並べる

項目iFreeレバレッジ FANG+auAM レバレッジ NASDAQ100auAM レバレッジ NASDAQ100 為替ヘッジ無し
運用会社大和アセットマネジメントauアセットマネジメントauアセットマネジメント
目指す値動きNYSE FANG+指数(配当込み、米ドルベース)の日々の値動きの2倍程度NASDAQ100指数(米ドルベース)の日々の値動きの2倍程度同じ2倍に加え、純資産の1倍相当の米ドルを保有
為替ヘッジ原則として行う行う行わない(為替予約取引等で純資産程度の米ドルを保有)
2倍の作り方※パフォーマンス連動債券など。目論見書作成時点ではスター・ヘリオス・ピーエルシー発行・円建てで、変更となる場合がある主としてNASDAQ100指数先物の買建て(他の株価指数先物取引を利用することがある)主としてNASDAQ100指数先物の買建て(他の株価指数先物取引を利用することがある)+為替予約取引等
購入時手数料上限2.2%(税抜2.0%)で販売会社が定める上限2.2%(税抜2.0%)で販売会社が定める上限2.2%(税抜2.0%)で販売会社が定める
運用管理費用(信託報酬・税込)年率0.9845%年率0.4334%年率0.4334%
投資先の費用(目論見書作成時点)パフォーマンス連動債券の評価額に対して年率0.29%程度(ほかに運用コスト等の費用がかかる)該当する欄なし該当する欄なし
実質的に負担する運用管理費用の概算値(税込)年率1.275%以下該当する欄なし該当する欄なし
総経費率(対象期間)0.99%(2024年8月20日〜2025年8月18日)0.44%(2024年7月30日〜2025年7月28日)0.44%(2024年7月26日〜2025年7月28日)

表の注:実質的に負担する運用管理費用の概算値は、目論見書作成時点の値で、実際の組入状況等により変動します。総経費率は、原則として募集手数料・売買委託手数料・有価証券取引税を除いた値で、iFreeレバレッジ FANG+の0.99%は投資対象とする連動債券にかかる費用等も原則として含みません。「該当する欄なし」は、費用がゼロという意味ではありません。

※ 3本の交付目論見書には、当初設定日直後、大量の追加設定または解約が発生したとき、市況の急激な変化が予想されるとき、償還の準備に入ったとき等ならびに信託財産の規模によっては、ファンドの特色の運用が行われないことがあるとの注記があります。

iFreeレバレッジ FANG+の購入時手数料は販売会社によって異なり、目論見書にある上限がそのまま請求されるわけではありません。2026年10月8日に確認した楽天証券の案内では、iFreeレバレッジ FANG+の購入時手数料は無料ですが、金融商品仲介業者(IFA)と契約している顧客には別のIFA手数料が適用されます。

iFreeレバレッジ FANG+の交付運用報告書は、総経費率0.99%(対象期間2024年8月20日〜2025年8月18日)について「投資対象とする連動債券にかかる費用等を含みません」と書いています。それとは別に、投資対象とする連動債券で純資産総額に対して年率0.29%程度以下の費用がかかったとも書いています。

レバレッジ型で増える見えないコストの層

投資信託を保有している間のコストは、主に次の層に分かれています。レバレッジ型では、為替ヘッジの条件や借入金利に相当する負担も確認が必要です。

  1. 信託報酬 — 交付目論見書に年率で書かれている、いちばん目に入る費用
  2. その他費用 — 監査費用・保管費用など。総経費率は、運用管理費用の比率とその他の費用の比率を合わせた実績値で、年1回の決算ごとに運用報告書で示されます
  3. 売買委託手数料・有価証券取引税 — 総経費率の計算から原則として除かれている
  4. 配当にかかる外国の税金 — 投資先の国で差し引かれる分
  5. 為替ヘッジのコスト — ヘッジを行う商品だけ。円金利が組入通貨の金利より低いとき、金利差相当分がコストになる
  6. レバレッジの資金調達コスト — レバレッジ型だけ。目論見書は借入金利に相当する負担を説明している

為替ヘッジについては、3本のうちヘッジを行う2本の交付目論見書に同じ趣旨の記載があります。auAM レバレッジ NASDAQ100の書き方では「為替ヘッジを行う際、日本円の金利が組入資産の通貨の金利より低いときには、金利差相当分がコストとなり、需給要因等によっては、さらにコストが拡大することもあります」。

また同じ目論見書は、基準価額が指数の2倍の値動きから乖離する要因の一つに「配当利回りと短期金利の差」を挙げています。どちらも費用の欄や総経費率には数字として出てきません。

為替ヘッジに対応する差を実績から推定する

auAMの2本は、同じ運用会社・同じ指数で、どちらも先物の買建てを純資産総額の2倍程度とする運用をめざします。違うのは、投資家から見た為替の取り方です。

ヘッジ無しは、通常の運用では、NASDAQ100指数先物(米ドルベース)を純資産総額の2倍程度買い建て、為替予約取引等により純資産総額程度の米ドルを保有します(運用の例外は表の下の※)。そのため、2本の差には為替ヘッジの有無だけでなく、為替予約の実装にかかる差も混ざります。

運用会社が公開している日次の分配金再投資基準価額を、両方に値がある同じ期間で並べました。

項目ヘッジありヘッジ無し
分配金再投資基準価額(2024年7月26日)16,268円10,000円
分配金再投資基準価額(2026年9月9日)30,103円19,896円
累積騰落率85.04%98.96%
100万円に換算した場合(税金・購入時手数料を引く前の試算)1,850,443円1,989,600円

100万円あたりの差は、税金と購入時手数料を引く前の試算で139,157円です。分配金を税引前で再投資したとみなした基準価額による換算で、実際の損益は購入価額や課税条件などで変わります。

総経費率の実績は、上の費用の表で対象期間とあわせて確認できます。基準価額の比較とは別の期間です。

ヘッジ無しは米ドルを持つので、為替の動きの分を除く必要があります。為替には、日本銀行が公表する「東京市場 ドル・円 スポット 9時時点」を、基準価額と同じ日付で当てました(理由は次の節)。同じ期間、ドル円は153.71円から153.46円へ-0.16%動きました。

計算のしかた為替で説明できない差(年あたり)中身
日ごとに足し上げる+3.87pt(日ごとの騰落率の差の合計+9.07pt − 日ごとの為替変化率の合計+0.87pt)÷ 2.12年
始めと終わりの複利で比べる+3.56%(ヘッジ無しの倍率 ÷ ヘッジありの倍率 ÷ 為替の倍率)を年率にした値

計算のしかたで0.3ポイントほど違いますが、どちらでも年3.5ポイントを超える差が、為替の動きを除いても残りました。

参考として、おおむね同じ時期の短期金利を見ました。米国3か月物財務省証券の日次平均が4.04%(2024年7月26日〜2026年9月4日)、日本のコールレートの月次平均が0.47%(2024年7月〜2026年6月)で、差は3.57ポイントでした。目論見書の「金利差相当分がコスト」と同じ向き・同じ程度の大きさですが、ここで使った金利は実際の為替予約の値ではないので、一致したとまでは言えません。

為替ヘッジは為替変動リスクを低減する仕組み為替の損失を完全に避けられるわけではありません。円金利が組入通貨の金利より低いときには、金利差相当分がコストになり、需給要因等によってはさらに拡大することもあります。どちらが有利かは、将来の為替と金利で変わります。

為替の当て方で結果が変わる — 東京9時を使った理由

この計算は、どの時点の為替を当てるかで結果が変わります。当初、米国の前営業日の為替(FRB H.10)を当てたところ、米国の祝日などで為替の値が無い日の扱いによって、推定値が大きく動きました。そこで2つの当て方を、実績との連動の強さで比べました。

為替の当て方「ヘッジ無し−あり」の日次差との相関
日本銀行 東京9時・基準価額と同じ日付0.92
FRB H.10・米国の前営業日(値の無い日は直前の値を使用)0.70

東京9時のほうが日次差と強く連動しており、日次差を為替に回帰した傾きは0.95でした。ヘッジ無しが通常の運用では為替予約取引等により純資産総額程度の米ドルを保有するという交付目論見書の説明とも合います。各ファンドが実際に使った為替レートは交付目論見書・交付運用報告書に書かれていないため、実績との連動が強いほうを採用したという判断です。

1倍ファンドを代理にした日次の追跡残差

次に、3本それぞれが通常の運用で目標とする値動き(費用の表の「目指す値動き」)から、どれだけずれたかを見ます。

NYSE FANG+指数の日次データは無料で公開されていないため、3本とも同じ手法にそろえ、同じ指数に連動する1倍ファンドの日次騰落率を2倍したものを代理にしました。

代理にした1倍ファンド運用管理費用(税込)総経費率(対象期間)
FANG+の代理:iFreeNEXT FANG+インデックス年率0.7755%0.78%(2025年1月31日〜2026年1月30日)
NASDAQ100の代理:iFreeNEXT NASDAQ100インデックス年率0.495%0.51%(2024年8月31日〜2025年9月1日)

2本とも、為替ヘッジは原則として行わず、ベンチマークは税引後配当込み、円ベースです。総経費率に含まれない費用は費用の表の注と同じで、対象期間は下の計算期間とは別です。

iFreeレバレッジ FANG+(ヘッジあり)-9.48pt/年auAM レバNASDAQ100(ヘッジあり)-8.97pt/年auAM レバNASDAQ100(ヘッジ無し)-5.11pt/年期間 2024-07-26〜2026-09-09。為替は日本銀行 東京9時。代理: iFreeNEXT FANG+インデックス/iFreeNEXT NASDAQ100インデックス
日次の追跡残差(年あたり)。比べる相手は上の箇条書きのとおり。auAMのヘッジ無し−ヘッジありの差は年3.87ポイントで、上の足し上げの推定と近い。

図と同じ値を表にしました。2024年7月26日〜2026年9月9日の実績に限った年あたりの値で、比べる相手は上の箇条書きのとおりです。

ファンド為替ヘッジ日次の追跡残差(年あたり)
iFreeレバレッジ FANG+あり(原則)-9.48pt
auAM レバレッジ NASDAQ100あり-8.97pt
auAM レバレッジ NASDAQ100 為替ヘッジ無しなし-5.11pt

この残差は、そのままコストではありません。中には次のものが混ざっています。

FANG+レバとauAMヘッジ無しで、分かっていることと分からないこと

要素iFreeレバレッジ FANG+auAM ヘッジ無し分かっていること
目に見える運用管理費用(税込)年率1.275%以下(概算値)年0.4334%交付目論見書の記載。差は約0.84ポイント
為替ヘッジ原則として行う行わないauAMの同じ指数の2本では、年3.6〜3.9ポイントの差と推定。FANG+レバの実額はこの資料からは分けられない
レバレッジの資金調達にあたる差両商品の目論見書が借入金利に相当する負担を説明単独では取り出せていない

表の注:年率1.275%以下は、パフォーマンス連動債券にかかる費用等を含めた概算値です(費用の表の注)。年3.6〜3.9ポイントは、2024年7月26日から2026年9月9日までの実績で為替の動きを除いた差です。

iFreeレバレッジ FANG+の交付目論見書も、為替ヘッジを行う際、日本円の金利が組入資産の通貨の金利より低いときには金利差相当分がコストとなり、需給要因等によってはさらに拡大することもあると書いています。

費用の欄だけを比べると、為替ヘッジという層を見落とします。ただし、年3ポイントを超える差は為替予約の実装の差なども含む残差で、全額が為替ヘッジの費用とは言えません。iFreeレバレッジ FANG+のヘッジに対応する差を直接測ったわけでもありません。

上の追跡残差の表で、iFreeレバレッジ FANG+(-9.48pt)とauAMヘッジ無し(-5.11pt)の差を取ることもできますが、この差をヘッジと費用に足し引きで分けることはしません。代理の1倍ファンドがFANG+とNASDAQ100で別のファンドで、運用管理費用も年率0.7755%と年率0.495%(どちらも税込)で違い、指数の中身も違うためです。

指数が違うので、成績の比較ではないFANG+とNASDAQ100は別の指数で、値動きの大きさも中身も違います。この節で比べているのは、それぞれがどのような層のコストを負っているかであって、どちらの成績が良かったかではありません。

これとは別に起きる「日次2倍」のずれ

レバレッジ型は日々の値動きの2倍程度を目指すため、2営業日以上の期間で見た基準価額の騰落率は、通常、指数の同期間の騰落率の2倍とは一致しません。

たとえば指数が+10%の翌日に−10%になると、指数は0.99倍ですが、2倍型は1.2×0.8=0.96倍です。反対に上昇が続くと、指数の騰落率の2倍を上回ることもあります。費用や連動のずれを考えず、日々ちょうど2倍で動くと仮定した計算例で、実際とは異なります。

この記事の追跡残差は日ごとの騰落率どうしを比べているので、このずれは含めていません。ただし、保有する人の結果には効きます。

auAM レバレッジ NASDAQ100の交付運用報告書でも、2025年7月28日決算の期の分配金再投資基準価額の騰落率は29.0%で、同じ期のNASDAQ100指数(米ドルベース)の騰落率22.3%の2倍には届いていません。これはコストだけでなく、この日次2倍の性質も含んだ結果です。

この計算で言えないこと

積立シミュレーターで年率の差を金額にしてみる

よくある質問

為替ヘッジありとなしでは、どちらのコストが高いですか?

コストだけで優劣は決まりません。auAMの2本は、2024年7月26日から2026年9月9日までの基準価額の差から為替の動きを除くと、年3.6〜3.9ポイントの差が残りました。ただし、この差には為替予約の実装の差も混ざります。また、ヘッジは円高時の損失を抑える保険でもあります。

iFreeレバレッジ FANG+の信託報酬は0.98%ですか?

運用管理費用(信託報酬)は税込で年率0.9845%です。ただし、交付目論見書によると、パフォーマンス連動債券の費用(債券の評価額に対して年率0.29%程度)を含めた実質的に負担する運用管理費用の概算値は、税込で年率1.275%以下です。どちらも目論見書作成時点の値で、実際の組入状況等により変動します。

総経費率が同じなら、コストは同じと考えてよいですか?

同じとは言えません。為替ヘッジの金利差や、先物の価格に織り込まれる配当利回りと短期金利の差は、費用の欄にも総経費率にも出てきません。auAMの2本は2024年7月26日から2026年9月9日までの基準価額では、為替の動きを除いて年3ポイントを超える差が残りました。

レバレッジ型は長く持つと必ず損をしますか?

必ずとは言えません。ただし、2営業日以上の期間で見た騰落率は、通常、指数の騰落率の2倍とは一致しません。iFreeレバレッジ FANG+の交付目論見書は、細部を省略した例で、一般に、指数が上昇・下落をしながら動いた場合には基準価額は押し下げられると説明しています。結果は保有期間だけでなく、値動きの経路や金利差で変わります。

為替ヘッジに対応する差は今後も年3ポイント以上ですか?

分かりません。円金利が組入通貨の金利より低いときに生じる金利差相当分のコストは、日本の金利が上がるか米国の金利が下がれば小さくなる方向ですが、需給要因等でも動きます。参考にした米国3か月物財務省証券の日次平均は4.04%(2024年7月26日〜2026年9月4日)、日本のコールレートの月次平均は0.47%(2024年7月〜2026年6月)です。

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出典

根拠は各社の交付目論見書・交付運用報告書、各社が公開する日次の基準価額、日本銀行の東京市場ドル・円スポット(9時時点)

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得や売買を勧めるものではありません。当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言を行うものでもありません。本文の数値は、記載した期間・資料・計算方法による過去の実績と、その実績から計算した目安であり、将来の運用成果を示すものではありません。各ファンドの費用・運用方針は変更されることがあるため、購入を検討する場合は販売会社で最新の交付目論見書をご確認ください。投資による損失が生じた場合の責任は負いかねます。

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