eMAXIS Slim S&P500 vs 楽天・プラス・S&P500|費用と実績を比較
S&P500に連動する人気の2本は、同じ期間で並べると実績はほとんど同じでした。2023年10月27日から2026年9月11日までの累積騰落率は、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が94.64%、楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンドが94.50%。年率に直した差は+0.031ptで、100万円を同じ日に入れていた場合の差は1,384円です。
比較表でよく見る信託報酬(税込年率)は、楽天・プラスが年0.077%、eMAXIS Slimが年0.0814%で、楽天・プラスのほうが安く見えます。ただしeMAXIS Slimの0.0814%(税込)は、段階制で最も高い区分の率です。
交付目論見書が示す実質信託報酬率の例(純資産総額11兆8,000億円のとき)は年0.07648%(税込)です。この例と比べると、eMAXIS Slimのほうが0.00052ポイント低く、実績がわずかに上だったことと向きは合っています。差の大きさは、同じ方法で比べた全世界株式(オール・カントリー)の2本の年率+0.224ptより、ひと桁小さい値です。
この記事は、どちらかを勧めるものではありません。信託報酬の欄に出ない層まで含めると、見た目の安さの差がそのまま結果に出るわけではないことを、書類と実績から確かめます。
同じ期間で並べた結果
| 項目 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド |
|---|---|---|
| 信託報酬(税込年率) | 0.0814%以内(段階制で最も高い区分の率) | 0.077% |
| 総経費率(直近の対象期間の参考値) | 0.07953%(2025年4月26日〜2026年4月27日) | 0.09%(2024年7月17日〜2025年7月15日) |
| 購入時手数料/信託財産留保額 | ありません/ありません | ありません/ありません |
| 分配金再投資基準価額(2023年10月27日) | 22,207円 | 9,888円 |
| 分配金再投資基準価額(2026年9月11日) | 43,223円 | 19,232円 |
| 累積騰落率 | 94.64% | 94.50% |
| 年率換算 | 26.069% | 26.038% |
| 100万円を2023年10月27日に入れた場合 | 1,946,368円 | 1,944,984円 |
信託報酬は、有価証券の貸付を行った場合の追加を含まない率です。総経費率は参考値で、集計の範囲は次の章にまとめました。
期間は2.87年、両方に基準価額がある702営業日です。どちらも分配金を出していません。日次の騰落率の相関は同じ日どうしで1.0000で、基準価額の日付は揃っています。1年ごとの差は次のとおりです。
| 期間 | eMAXIS Slim | 楽天・プラス | 差 |
|---|---|---|---|
| 2023年10月27日〜2024年10月25日 | 43.79% | 43.74% | +0.05pt |
| 2024年10月25日〜2025年10月24日 | 17.60% | 17.58% | +0.02pt |
| 2025年10月24日〜2026年9月11日(途中) | 15.10% | 15.09% | +0.02pt |
信託報酬の最高区分の率・実質の率の例・総経費率は、算定の範囲と条件が違う
eMAXIS Slim 米国株式の交付目論見書を読むと、費用の率として、性質の違う数字が出てきます。
| 数字 | 値 | 意味 |
|---|---|---|
| 段階の最上段(最も高い率) | 年0.08140%(税込) | 純資産総額のうち1兆円未満の部分に適用される率 |
| 段階の最下段 | 年0.07568%(税込) | 10兆円以上の部分に適用される率 |
| 実質信託報酬率の例(純資産総額11兆8,000億円のとき) | 年0.07648%(税込) | 純資産総額11兆8,000億円のときの全体の率(交付目論見書の例示) |
| 総経費率(2025年4月26日〜2026年4月27日) | 0.07953% | 運用管理費用0.07661%+その他費用0.00292% |
信託報酬の率は税込年率で、有価証券の貸付の指図を行った場合に追加される額を含みません。
総経費率は、この期間の費用から簡便法で算出した年率の参考値です(表示桁数未満四捨五入)。両社の交付目論見書とも、総経費率は原則として購入時手数料・売買委託手数料・有価証券取引税を除いて計算するとしています。実際に発生した費用の比率とは異なる参考値だという注記は、eMAXIS Slimは交付運用報告書に、楽天・プラスは交付目論見書にあります。
段階制は、純資産総額が大きくなるほど低い料率が適用される部分が増え、全体の率が下がる仕組みです。2025年4月26日〜2026年4月27日の総経費率0.07953%は、比較表でよく見る最も高い区分の率0.0814%(税込)より低い値でした。
- 実質信託報酬率の例0.07648%(税込・純資産総額11兆8,000億円のとき)よりは高い値です。
- ほかの期間でも同じ関係になるとは限りません。総経費率は、信託報酬の率とは集計の範囲も違います。
- 0.0814%(税込)を楽天・プラスの年0.077%と並べると「楽天・プラスが安い」に見えますが、実質信託報酬率の例(純資産総額11兆8,000億円のとき)と比べると順番は逆になります。
- この順番は交付目論見書の例示を使った比較で、実際に負担した率の差を示すものではありません。
有価証券の貸付を行った場合の費用
2本とも、貸付を行った場合は品貸料の一部が費用になります。上の表の信託報酬と実質信託報酬率の例は、どちらもこの額を含まない率です。
- eMAXIS Slim:貸付の指図を行った場合、運用管理費用(信託報酬)に額が追加されます。貸付で追加されるのは、ファンドの品貸料と、マザーファンドの品貸料のうちファンドに属するとみなした額の49.5%(税抜45.0%)以内です。
- 楽天・プラス:その他の費用・手数料のひとつが貸付有価証券関連報酬で、貸付取引を行った場合は、投資信託財産の収益となる品貸料に0.55(税抜0.5)を乗じて得た額です。
- 楽天・プラスの交付目論見書は、委託会社が投資信託財産の規模等を考慮して、これらの費用・手数料等の一部もしくはすべてを負担する場合があるとも注記しています。
信託報酬に出てこないコストの層
それでも総経費率がすべてではありません。投資家が負担するコストは次の層に分かれています。
- 信託報酬 — 交付目論見書に年率で書かれている、いちばん目に入る費用
- その他費用 — 監査費用・保管費用など。実績は年1回の決算ごとの運用報告書で出て、直近の運用報告書作成対象期間の値が交付目論見書に参考情報として載る(集計の範囲は前の章)
- 売買委託手数料・有価証券取引税 — 総経費率の計算から原則として除かれている
- 配当にかかる外国の税金 — 投資先の国で差し引かれる分
- 為替ヘッジのコスト — ヘッジを行う商品だけ。費用の欄ではなく、日米の金利差として基準価額に効く
- レバレッジの資金調達コスト — レバレッジ型だけ。先物や債券の価格に織り込まれる
楽天・プラスの交付運用報告書は、ベンチマークとの差の要因として次を挙げています。
- 資金流出入に伴う現物株式・ETF・株価指数先物取引の売買執行コストの積み重なり
- 保管費用
- 投資先ETFや先物とベンチマークの動きの差
- 配当課税の税率の差異
- 信託報酬
基準価額の差から、費用の差だけは取り出せない
運用管理費用(信託報酬)は日々計上されて基準価額に反映されます。ただし基準価額の動きには、費用以外の要因も入ります。楽天・プラスの交付目論見書は、組入れ方や、売買・評価に使う株価のずれなど9つの要因を挙げています。
基準価額の動きが対象指数と完全に一致しない主な要因(楽天・プラスの交付目論見書)
- 対象指数の構成銘柄のすべてを算出方法どおりに組入れない場合があること
- 運用管理費用(信託報酬)・売買委託手数料等の費用負担
- 株式売買時の約定価格と、基準価額の算出に使用する株価の不一致
- 対象指数の算出に使用する株価と、基準価額の算出に使用する株価の不一致
- 上場投資信託証券と対象指数の動きの不一致(上場投資信託証券に投資した場合)
- 株価指数先物と対象指数の動きの不一致(先物を利用した場合)
- 最低取引単位の影響
- 流動性低下時における売買対応の影響
- 対象指数の構成銘柄の入替えおよび算出方法の変更による影響
要因はこれらに限定されないとも注記されています。このため、同じ指数を追う商品を同じ期間の基準価額の騰落率で比べても、その差から費用の差だけを切り分けることはできません。ここでの基準価額は、分配金がある場合は税引前の分配金を再投資したものとして計算した値です。
起点を変えても順番は変わらないか
楽天・プラスは2023年10月27日に設定されたファンドです。設定直後の影響を外すため、終点を2026年9月11日に固定して起点をずらしました。eMAXIS Slimと楽天・プラスの列は、各起点から終点までの累積騰落率です。右端は年率に直した差です。
| 起点 | eMAXIS Slim | 楽天・プラス | 年率の差 |
|---|---|---|---|
| 2023年10月27日 | 94.64% | 94.50% | +0.031pt |
| 2024年1月4日 | 78.95% | 78.94% | +0.003pt |
| 2024年7月16日 | 34.50% | 34.44% | +0.023pt |
| 2025年1月6日 | 27.40% | 27.36% | +0.022pt |
| 2025年7月15日 | 28.26% | 28.24% | +0.019pt |
表の5つの起点ではどれもeMAXIS Slimがわずかに上ですが、年率の差は+0.003ptから+0.031ptの範囲です。起点を2023年11月2日にすると累積騰落率は89.68%と89.70%で、順序が入れ替わります。「ほぼ同じ」と読むのが妥当な大きさで、これを理由にどちらかが明確に有利とは言えません。
eMAXIS Slimは公表値で5期連続、ベンチマークを上回った
eMAXIS Slim 米国株式の交付運用報告書(第8期)に載っている直近5期の年間騰落率は、次のとおりです。ベンチマークは「S&P500指数(配当込み、円換算ベース)」です。
| 決算期 | 基準価額騰落率 | ベンチマーク騰落率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 2022年4月期 | 23.4% | 23.2% | +0.2pt |
| 2023年4月期 | 2.4% | 2.2% | +0.2pt |
| 2024年4月期 | 43.8% | 43.5% | +0.3pt |
| 2025年4月期 | 0.6% | 0.5% | +0.1pt |
| 2026年4月期 | 47.1% | 46.9% | +0.2pt |
小数第1位で公表された値で、5期すべてベンチマークを上回っています(差は0.1〜0.3ポイント)。
直近期(第8期、作成対象期間2025年4月26日〜2026年4月27日)の+0.2ポイントについて、交付運用報告書はファンドの管理コスト等による影響が△0.1%程度、マザーファンド保有による影響が0.3%程度と内訳を示しています。主なプラス要因はファンドとベンチマークで適用される配当税率の差異などを含む「その他の要因」、主なマイナス要因は「組入要因」です。それより前の4期を同じ粒度で分けた説明は、この報告書だけでは確認できません。
交付目論見書によると、有価証券の貸付の指図を行った場合、品貸料はファンドの収益として計上されます。信託報酬に追加される額(前の章)は委託会社と受託会社が受け取りますが、品貸料の寄与額は分かりません。
オルカンの比較より差が小さい理由として書類から言えること
同じ2社の全世界株式ファンドを同じ方法で比べると、年率の差は+0.224ptでした。S&P500の+0.031ptの約7倍です。書類から言えるのは、全世界株式は日本・先進国・新興国をまたぐため、国ごとの売買、保管、配当への課税、為替の評価といった層が増えるということまでです。どの層がどれだけ効いたかを分ける資料は公開されていません。
この比較で言えないこと
- 将来も同じ差とは言えません。比べたのは約2.9年の過去の実績です
- 年率0.03ポイント前後は、ほぼ同じと読むべき大きさです。起点によって+0.003ptまで縮みます
- 費用以外の条件は含めていません。取扱いの有無やポイント還元などは、この比較の外です
よくある質問
楽天証券でS&P500投信を買う手数料は無料ですか?
楽天証券では投資信託の買付手数料は無料ですが、金融商品仲介業者(IFA)と契約している人にはIFA用手数料が適用されます。購入時に無料でも、保有中の信託報酬などの運用費用がなくなるわけではありません。運用費用は比較表で、買付時の扱いは楽天証券の投資信託にまつわる費用についてで確認できます。
NISAではどの投資枠が対象ですか?
両社の交付目論見書によると、楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンドとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の対象です。ただし、販売会社によって取扱いが異なる場合があります。運用実績の比較とは別に、購入時に利用できる口座枠は販売会社で確認できます。
eMAXIS Slim 米国株式の信託報酬は年0.0814%(税込)ですか?
年0.08140%(税込)は、段階制で最も高い区分の率です。純資産総額のうち1兆円未満の部分に適用され、10兆円以上の部分は年0.07568%(税込)まで下がります。交付目論見書の実質信託報酬率の例(純資産総額11兆8,000億円のとき)は年0.07648%(税込)で、楽天・プラスの年0.077%(税込)より低い値です。どの率も、貸付の指図を行った場合の追加を含みません。総経費率は信託報酬の章にまとめました。
2本の実績に差があるのはなぜですか?
差の原因を項目ごとに分けて示す資料は、公開されていません。差そのものも小さく、この期間で年率+0.031pt(100万円あたり1,384円)、起点によっては+0.003ptまで縮みます。実質信託報酬率の例(純資産総額11兆8,000億円のとき・税込年0.07648%)は楽天・プラス(税込年0.077%)よりわずかに低く、向きは合っています。楽天・プラスの報告書が挙げる要因はコストの層の章にあります。
総経費率に含まれない費用は何ですか?
両社の交付目論見書によると、原則として購入時手数料・売買委託手数料・有価証券取引税は総経費率に含まれません。配当にかかる外国の税金も、費用の欄には出てきません。購入時手数料は「投資者が直接的に負担する費用」に区分され、この2本はどちらも「ありません」です。基準価額の差から費用の差だけを取り出せない理由はコストの層の章にまとめました。
ベンチマークを上回ることがあるのはなぜですか?
交付運用報告書は、主なプラス要因として、ファンドとベンチマークで適用される配当税率の差異などを含む「その他の要因」を挙げています。主なマイナス要因は「組入要因」です。eMAXIS Slim 米国株式の第8期(作成対象期間2025年4月26日〜2026年4月27日)は、ファンドの管理コスト等による影響が△0.1%程度、マザーファンド保有による影響が0.3%程度でした。差し引きで0.2%程度、ベンチマークを上回りました。品貸料も収益になり得ますが、寄与額は資料から分かりません。
100万円だとどのくらいの差になりますか?
2023年10月27日から2026年9月11日までの約2.9年で、eMAXIS Slimが1,946,368円、楽天・プラスが1,944,984円で、差は1,384円でした。同じ方法で比べた全世界株式の2本では、差は9,875円でした。
追加の商品名比較:eMAXIS Slim S&P500 vs SBI・V・S&P500 / eMAXIS Slim S&P500 vs 楽天VTI / eMAXIS Slim S&P500 vs iFreeNEXT FANG+
出典
根拠は両社の交付目論見書・交付運用報告書と、両社が公開している日次の基準価額(2026年9月11日まで)
- 楽天証券「投資信託にまつわる費用について」
- 三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」交付目論見書(使用開始日2026年7月25日)
- 三菱UFJアセットマネジメント「同」交付運用報告書(第8期・決算日2026年4月27日) — ベンチマークの定義(配当込み、円換算ベース)、最近5年間の年間騰落率
- 楽天投信投資顧問「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」交付目論見書(リンク先は最新版)
- 楽天投信投資顧問「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」交付運用報告書(リンク先は最新版)
- 三菱UFJアセットマネジメント・楽天投信投資顧問が各ファンドページで公開する基準価額のCSV(取得日2026年9月13日、2026年9月11日まで) — 分配金再投資基準価額
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