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eMAXIS Slimオルカン vs 楽天・プラス・オルカン|費用と実績を比較

全世界株式(オール・カントリー)に連動する人気の2本は、目に見える信託報酬の差と、実際の基準価額の差が、大きさも向きも一致しませんでした。

年率に直した差は+0.224ptで、信託報酬の料率差とは桁が違います。楽天・プラスが設定された直後の期間を外しても差は残り、後ろの起点では年率+0.079pt〜+0.120ptでした。

この記事は、どちらを買うべきかを勧めるものではありません。信託報酬の数字の順番と、費用などを差し引いた後の基準価額の順番は、必ずしも一致しないことを、公開資料と実績から確かめる記事です。差がどこから来るのかも、書類に書かれている範囲で整理します。

同じ期間で並べた結果

項目eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドたわらノーロード 全世界株式
信託報酬(税込年率)0.05775%以内(純資産総額に応じた段階制で最も高い区分の率)0.0561%0.10989%
総経費率(直近の対象期間)0.07061%(2025年4月26日〜2026年4月27日)0.08%(2025年7月16日〜2026年7月15日・表示桁数未満を四捨五入)0.14%(2024年10月16日〜2025年10月14日・表示桁数未満を四捨五入)
購入時手数料/信託財産留保額ありません/ありませんありません/ありませんありません/ありません
分配金再投資基準価額(2023年10月27日)19,163円9,924円17,862円
分配金再投資基準価額(2026年9月11日)37,123円19,127円34,522円
累積騰落率93.72%92.73%93.27%
年率換算25.863%25.639%25.761%
100万円を2023年10月27日に入れた場合1,937,223円1,927,348円1,932,706円
3本目の選び方eMAXIS Slim と楽天・プラスは楽天証券の買付金額ランキング1位・3位ですが、信託報酬がほぼ同じ(0.05775%と0.0561%)なので、費用差が結果にどう出るかを見るには幅が足りません。そこで同じ指数・同じ為替ヘッジなし・購入時手数料も信託財産留保額もなしで、信託報酬が約2倍の「たわらノーロード 全世界株式」(0.10989%)を1本加えました。ランキング上位からの選定ではなく、費用帯を広げるために選んだ例です。

3本を同じ702営業日で並べると、累積は 93.72% / 92.73% / 93.27% でした。信託報酬がいちばん高いたわらが、いちばん安い楽天・プラスを上回っています。 ただし、この2本の差は優劣として書けません(理由は次の段落)。

組み合わせ年率差(全期間)起点を5つずらしたとき日次差のばらつき(年率)読み方
eMAXIS Slim − 楽天・プラス+0.224pt符号は変わらない—差と言える
eMAXIS Slim − たわら+0.102pt+0.102 / +0.115 / +0.111 / +0.097 / +0.109pt0.08%差と言える
楽天・プラス − たわら−0.121pt−0.121 / −0.005 / +0.016 / −0.008 / +0.029pt0.67%優劣を書けない

楽天・プラスとたわらの差は、起点を変えると符号が入れ替わります。日次の差のばらつき(年率約0.67%)は、全期間の差の絶対値(0.121pt)の約5.6倍でした。この2本のどちらが上かは、この期間のデータからは決められません。

一方、eMAXIS Slim とたわらの差は、起点を5つずらしても +0.097〜+0.115pt の範囲に収まり、符号も変わりません。日次のばらつきも0.08%と小さく、差のほうが大きい。こちらは差として扱えます。

ばらつきの差はどこから来るかeMAXIS Slim とたわらの日次相関は 1.0000、楽天・プラスとたわらは 0.9991 でした。楽天・プラスの交付目論見書には、ETFや株価指数先物取引を利用する旨の記載があります。指数への近づけ方が違うと、日々のずれ方も変わります。 推測ですが、ばらつきの差はここに由来する可能性があります。同じ指数を追っていても、運用の手法まで同じとは限りません。

信託報酬でいえば、たわら(0.10989%)は楽天・プラス(0.0561%)の約2倍です。それでも実績ではどちらが上か決められませんでした。信託報酬の差が、そのまま結果の差になるとは限らないということです。逆に、信託報酬が近い eMAXIS Slim とたわら(1.9倍差)では、費用差(0.052pt)より大きい0.102ptの差が安定して出ています。

ここからは、eMAXIS Slim と楽天・プラスの2本に戻ります。期間は2.87年、両方に基準価額がある702営業日です。どちらも分配金を出していないので、分配金再投資基準価額と基準価額は同じ値になっています。1年ごとに区切ると、差は次のとおりでした。

期間eMAXIS Slim楽天・プラス差
2023年10月27日〜2024年10月25日37.79%37.33%+0.45pt
2024年10月25日〜2025年10月24日19.99%19.85%+0.14pt
2025年10月24日〜2026年9月11日(途中)17.18%17.10%+0.08pt
+0.45pt2023/10〜2024/10+0.14pt2024/10〜2025/10+0.08pt2025/10〜2026/9※差=eMAXIS Slim の騰落率 − 楽天・プラスの騰落率(分配金再投資基準価額)。※は途中
1年ごとに見ると、どの区間もeMAXIS Slimが上回り、差は年を追って縮んでいる。

成績とは別の軸で見るなら、オルカンとS&P500の下落からの回復日数も確認できます(比較する商品と期間はこの記事とは異なります)。

信託報酬に出てこないコストの層

投資信託で投資家が負担するコストは、交付目論見書の「信託報酬」の1行だけではありません。実際には次の層に分かれています。

  1. 信託報酬 — 交付目論見書に年率で書かれている、いちばん目に入る費用
  2. その他費用 — 監査費用・保管費用など。信託報酬と合わせたものが総経費率で、年1回の運用報告書で実績が出る
  3. 売買委託手数料・有価証券取引税 — 総経費率の計算から除かれている
  4. 配当にかかる外国の税金 — 投資先の国で差し引かれる分
  5. 為替ヘッジのコスト — ヘッジを行う商品だけ。円金利が組入通貨の金利より低いとき、金利差相当分がコストになる
  6. レバレッジの資金調達コスト — レバレッジ型だけ。先物や債券の価格に織り込まれる

このうち3番目は、両社の書類にはっきり書かれています。三菱UFJアセットマネジメントの交付目論見書は、総経費率を「当期間の運用・管理にかかった費用の総額(原則として購入時手数料、売買委託手数料および有価証券取引税を除く。消費税等のかかるものは消費税等を含む。)」から計算すると書き、楽天投信投資顧問の交付目論見書も「原則として、購入時手数料、売買委託手数料および有価証券取引税を含みません」と書いています。総経費率ですら、売買にかかるコストは入っていないということです。

1〜6をまとめて捉えられるのは、実際の基準価額の動きだけです。同じ指数を追う2本の同期間の基準価額差は、費用だけでなく組入内容などの影響も受けるため、費用だけの差とはみなせません。この記事の中心がその比較です。

総経費率を比べる — 精度と期間が揃っていない

信託報酬の次に見るべき数字は総経費率ですが、この2本ではそのまま比べられない事情が2つあります。

eMAXIS Slim楽天・プラス
公表の精度小数第5位まで(0.07061%=運用管理費用0.05746%+その他費用0.01315%)小数第2位まで(0.08%=運用管理費用0.06%+その他費用0.02%)
対象期間2025年4月26日〜2026年4月27日2025年7月16日〜2026年7月15日

決算日が違うため、同じ1年の総経費率はどちらの書類にも載っていません。また楽天・プラスの0.08%は四捨五入後の値なので、0.075%以上0.085%未満のどこかです。「0.07%と0.08%で、差は0.01ポイント」とは言えません。

信託報酬の段階制で、実際の料率は最も高い区分の率より低くなるeMAXIS Slimの信託報酬は純資産総額に応じて下がる段階制で、5,000億円未満の部分が年0.05775%、1兆円以上の部分が年0.05753%です。交付目論見書には、純資産総額11兆9,000億円のときの実質信託報酬率の例として0.05755%が載っています。楽天・プラスの0.0561%は、この例と比べても0.00145ポイント安い率です。表の0.05775%は最も高い区分の率で、有価証券の貸付の指図を行った場合に運用管理費用(信託報酬)に追加される額(「書類に書かれている運用の違い」の表)を含みません。

同じ期間の基準価額で比べる方法

計算は単純です。両社が公開している日次の「分配金再投資基準価額」を取り、両方に値がある日だけを残して、起点と終点の比を取りました。

この方法では各社の決算期に合わせず共通期間を比べられますが、ベンチマークの定義の違いが運用に与える影響までは除けません。ここで並べるのは税引前分配金再投資の基準価額による結果で、購入・換金時の費用や投資家の税金を含む実際の手取りとは異なります。

起点を変えても差は残るか

楽天・プラスは2023年10月27日に設定されたばかりのファンドです。設定直後の期間を含めた結果だけで、長期の優劣や差の原因を決めることはできません。そこで起点をずらし、終点を2026年9月11日に固定して計算し直しました。

起点eMAXIS Slim楽天・プラス年率の差
2023年10月27日93.72%92.73%+0.224pt
2024年1月4日78.85%78.39%+0.120pt
2024年7月16日38.33%38.09%+0.094pt
2025年1月6日35.13%34.93%+0.106pt
2025年7月15日31.08%30.99%+0.079pt

設定日を起点にした差がいちばん大きく、設定直後の期間が差を押し上げていたことが分かります。後ろの4つの起点では年率+0.079pt〜+0.120ptの範囲で、起点を遅らせるほど小さくなる、という単調な動きではありません。それでもどの起点から見てもeMAXIS Slimが上回り、差は0になりませんでした。

書類に書かれている運用の違い

差の原因を1つに特定する資料はありません。ここでは、両社の書類に書かれている違いを並べるにとどめます。

eMAXIS Slim楽天・プラス
組入先(交付運用報告書)外国株式インデックスマザーファンド83.0%、新興国株式インデックスマザーファンド12.0%、日本株式インデックスマザーファンド5.0%マザーファンド経由。組入上位に株価指数先物(買建)が並ぶ
ETF・先物の扱い(書類の記載)—連動性を維持するためETFと株価指数先物取引を利用することがあり、規模や資金流出入によってはその割合が相対的に大きくなることがある
有価証券の貸付収益(品貸料)にかかる報酬の書き方品貸料のうちファンドに属するとみなした額の49.5%(税抜45.0%)以内を、委託会社と受託会社が受け取る(運用管理費用に追加)「貸付有価証券関連報酬」として、品貸料に0.55(税抜0.5)を乗じて得た額を投資信託財産から支払う

楽天・プラスの交付運用報告書は、ベンチマークとの差の要因として、マザーファンドへの継続的な資金流出入に伴う現物株式やETF、株価指数先物取引の売買執行コストの積み重なり、保管費用、投資先ETFや先物とベンチマークの動きの差、為替評価タイミングのずれ、配当課税の税率の差異、信託報酬を挙げています。総経費率、売買委託手数料、品貸料に関する報酬は開示の欄や定義が異なるため、信託報酬の表示料率だけで結果の差は説明できません。

品貸料は「隠れた収益」で、その配分も費用の一種保有する株式を貸し出すと、貸付料がファンドの収益になります。これは基準価額を押し上げる方向に働きますが、両ファンドとも、品貸料に応じた報酬が差し引かれる仕組みです。割合と書き方は上の表のとおりで、楽天・プラスの書類は報酬の受取先までは書いていません。実際に品貸料がいくら発生したかは、交付目論見書からは分かりません。3本目のたわらノーロード 全世界株式の交付目論見書には、品貸料についての記載がありません。

かい離は定義と期間をそろえて比べる

運用報告書には「ベンチマークとの差(かい離)」が載っています。

eMAXIS Slimの直近期(+0.2ポイント)について、交付運用報告書は内訳を外国株式インデックスマザーファンド0.3%程度、新興国株式インデックスマザーファンド0.0%程度、日本株式インデックスマザーファンド△0.1%程度としています。主なプラス要因はいずれも「その他の要因」で、配当評価差異や配当税率の差異などを含みます。主なマイナス要因は日本株式・外国株式では「組入要因」、新興国株式では「銘柄選択要因」です。

ただし、この数字だけでは、定義と対象期間の異なる2本の実績の優劣は判断できません。

基準とする指数の定義が違えば、「ファンド−指数」の差は同じ物差しではなくなります。だからこの記事では、指数を介さず、2本の基準価額どうしを直接並べました。

この比較で言えないこと

積立シミュレーターで年率の差を金額にしてみる

よくある質問

信託報酬が安いほうを選べば、コストは低くなりますか?

そうとは限りません。この2本では、信託報酬は楽天・プラスのほうが、eMAXIS Slimの段階制で最も高い区分の率と比べて年0.00165ポイント安いのに、2023年10月27日から2026年9月11日までの基準価額は、eMAXIS Slimのほうが累積で+0.99pt上でした。信託報酬は負担するコストのうち1つの層にすぎず、売買委託手数料や配当にかかる税金などは総経費率にも含まれません。同じ指数を追う商品を同じ期間の基準価額で比べると実績差が見えますが、費用だけでなく組入内容なども影響するため、コストの合計差とはみなせません。

総経費率は信託報酬より正確なコストですか?

信託報酬に監査費用や保管費用などを足した実績値なので、信託報酬より実態に近い数字です。ただし交付目論見書が明記しているとおり、購入時手数料、売買委託手数料、有価証券取引税は含まれていません。また対象期間は各ファンドの決算期ごとに違い、公表の桁数も運用会社によって違います。この2本では、eMAXIS Slimが小数第5位まで、楽天・プラスが小数第2位までの公表でした。

かい離がプラスの年があるのはなぜですか?

eMAXIS Slimの交付運用報告書では、直近5期のうち3期でファンドの騰落率がベンチマークを上回っています。直近期の+0.2ポイントについては、主なプラス要因はいずれも「その他の要因」で、配当評価差異や配当税率の差異などを含みます。主なマイナス要因は日本株式・外国株式では「組入要因」、新興国株式では「銘柄選択要因」です。過去の各期を同じ粒度で分けた説明はこの報告書だけでは確認できません。交付目論見書には、有価証券の貸付を行った場合に品貸料がファンドの収益になることも書かれていますが、その寄与額は資料から分かりません。

楽天・プラスは設定から日が浅いので不利なのではありませんか?

設定直後の期間を含めると差は大きく出ます。起点を2023年10月27日にすると年率の差は+0.224ptですが、後ろの4つの起点では+0.079pt〜+0.120ptです。ただし、どの起点から見てもeMAXIS Slimが上回っていました。今後、純資産が増えることで差が縮むかどうかは、この実績からは分かりません。

年率0.2ポイントの差はどのくらいの金額になりますか?

この記事の期間では、100万円が約2.9年で9,875円の差になりました。同じ実績差を当てはめれば、元本に比例して金額差も大きくなります。ただし、差は起点によって年率+0.079ptから+0.224ptまで動いており、将来も同じ差が続くとは限りません。期間が延びれば差が広がるとも言えません。

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追加の商品名比較:eMAXIS Slimオルカン vs S&P500 / eMAXIS Slimオルカン vs 楽天VTI / 楽天・プラス・オルカン vs 世界のベスト

出典

根拠は両社の交付目論見書・交付運用報告書と、両社が公開している日次の基準価額(2026年9月11日まで)

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得や売買を勧めるものではありません。当サイトは金融商品取引業者ではなく、投資助言を行うものでもありません。本文の数値は、記載した期間・資料・計算方法による過去の実績と、その実績から計算した目安であり、将来の運用成果を示すものではありません。各ファンドの費用・運用方針は変更されることがあるため、購入を検討する場合は販売会社で最新の交付目論見書をご確認ください。投資による損失が生じた場合の責任は負いかねます。

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