復興特別所得税とは?税率・計算方法・端数処理と防衛特別所得税
復興特別所得税は、収入ではなく「基準所得税額」に掛ける付加税です。会社の経理では、源泉徴収の計算と納付の際に扱います。
個人の年税額に使う率は下の表で確認できます。改正後は復興分が下がる一方、防衛特別所得税が加わります。ここでは、年税額・源泉徴収・年末調整を分け、計算する順番と端数処理を整理します。
税率と課税期間の早見表
次の表は個人の年税額です。復興特別所得税・防衛特別所得税とも、率を掛ける相手はその年分の基準所得税額です。源泉徴収の切替えは後の節で扱います。
| 個人の対象年分 | 復興特別所得税の税率 | 防衛特別所得税の税率 | 付加税率の合計 |
|---|---|---|---|
| 2013年分〜2026年分 | 2.1% | 課税なし | 2.1% |
| 2027年分〜2047年分 | 1.1% | 1% | 2.1% |
復興特別所得税の課税期間は、改正により個人の2047年分までに延長されています。防衛特別所得税は個人の2027年分以後「当分の間」の課税で、復興分と同じ終期は定められていません。
税率の切替えを決めるのは申告書の提出年ではなく、所得税の対象年分です。改正法附則の経過措置により、個人の2026年分の復興特別所得税は、申告が翌年になっても改正前の率で計算します。
この表は付加税の内訳です。所得税本体の控除や税額が変われば合計の税額も変わるため、「付加税率の合計が同じ=手取りが同じ」とは判断できません。
基準所得税額と年税額の計算例
年収や課税所得に直接、復興特別所得税の率を掛ける計算ではありません。所得税の計算を進めてから、付加税の計算に入ります。
非永住者以外の居住者の計算では、住宅ローン控除を所得税額から差し引いた後に付加税を計算します。外国税額控除と分配時調整外国税相当額の控除は、差し引く前の額から基準所得税額を求めます。
非永住者以外の居住者で、各年分の基準所得税額を100,000円とし、外国税額控除・分配時調整外国税相当額の控除はなく、源泉徴収税額や予定納税額を差し引く前の年税額の内訳を示します。各額に端数は生じません。
| 年税額の内訳 | 2026年分 | 2027年分 |
|---|---|---|
| 所得税本体 | 100,000円 | 100,000円 |
| 復興特別所得税 | 2,100円 | 1,100円 |
| 防衛特別所得税 | 課税なし | 1,000円 |
| 合計 | 102,100円 | 102,100円 |
この設例は、基準所得税額を固定して内訳の変化を見るものです。同じ年収で両年の所得税額が等しい、という試算ではありません。所得税本体の計算は所得税の税率表と計算順で確認できます。
所得税計算ツールで年分・対象範囲を確認する報酬の源泉徴収と端数処理
報酬の源泉徴収は、税目ごとではなく合計額で端数を処理します。所得税本体と付加税をそれぞれ切り捨ててから足す計算と混同しないようにします。
国税庁の報酬・料金の公表例です。2027年〜2047年に生ずる報酬・料金で、源泉徴収対象額888,888円の全額に所得税率10%が適用され、租税条約等の例外がない場合を示します。
| 計算する項目 | 報酬・料金の源泉徴収の計算 |
|---|---|
| 付加税を含む合計税率 | 10%×102.1%=10.21% |
| 合計税率による計算 | 888,888円×10.21%=90,755.4648円 |
| 合計額の1円未満を切捨て | 源泉徴収する合計額は90,755円 |
上の例の合計額には所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税が含まれます。所得税率が異なる報酬や、支払額から控除して計算する報酬などには、そのまま当てはめません。対象判定と税率は源泉徴収の対象と計算方法で確認します。
改正後の源泉徴収の扱いは、改正法附則で定める所得の発生時期等によって判定します。支払日だけで切替えを決めず、年をまたぐ未払報酬などは対象となる所得の時期と各税の経過措置を確認します。
租税条約等による源泉徴収の例外は、海外支払等の注意点にまとめています。
給与と年末調整での扱い
税額表を用いる居住者の給与では、表の額に付加税が含まれるため、再加算しません。
居住者の給与等は、2026年分の税額表には所得税・復興特別所得税、2027年分〜2047年分の税額表には所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税を含みます。給与の支給区分、扶養控除等申告書の有無、社会保険料等控除後の金額、扶養親族等の数を確認して表を選びます。
月額表の具体的な引き方は令和9年分の源泉徴収税額表に譲ります。付加税の内訳が変わっても、税額表や給与ソフトの対象年分の確認は必要です。
年末調整の対象者は、年調所得税額に付加税を加えた合計額を求め、年間の徴収額との差額を精算します。年末調整の年調年税額は、付加税を含む合計額の100円未満を切り捨てます。
報酬の源泉徴収で行う端数処理と、年末調整の年調年税額の処理は別です。月々の天引き額を足した金額に、もう一度付加税率を掛けるものでもありません。
確定申告と納付の確認順
個人の2026年分の確定申告では、所得税と復興特別所得税を併せて申告し、源泉徴収された税額や予定納税額を差し引いて精算します。個人の2027年分〜2047年分の確定申告では、防衛特別所得税も含めて申告・精算します。復興特別所得税があるという理由だけで、給与所得者全員が別途申告するわけではありません。
- 対象年分の所得・所得控除を整理し、所得税額を計算する。
- 住宅ローン控除等と、外国税額控除等の計算順を確認して基準所得税額を求める。
- 対象年分の付加税を計算し、所得税と合わせる。
- 源泉徴収済みの税額等を差し引き、申告書の各欄の端数処理に沿って納付・還付額を確定する。
個人の年税額の計算では、課税標準となる基準所得税額の1円未満を切り捨てます。個人の申告により納付すべき確定金額は、その年分の所得税と付加税の合計額で100円未満を切り捨てます。
この申告納付の合計は、個人の2026年分は所得税・復興特別所得税、2027年分〜2047年分は防衛特別所得税を加えたものです。還付額の端数処理は、納付額と区別します。
2026年分の給与の源泉徴収票の「源泉徴収税額」は、復興分を含む額です。確定申告でこれを所得税本体だけの額と考えて付加税を追加したり、復興分を除いて源泉徴収税額を入力したりすると、精算を誤る原因になります。
納める税額がある場合の申告納付期限は、対象年分の所得税と合わせて確認します。振替納税や延納等では扱いが異なるため、通常の納期限と引落日を区別します。具体的な日付は確定申告の期限と納付方法で確認できます。
給与の源泉徴収票に未払給与の未徴収税額の内書きや、災害による徴収猶予がある場合は、国税庁の記載要領に沿って額を確認します。
会社等が徴収した源泉所得税は、付加税を含む合計額を、その所得に対応する所得税徴収高計算書で納付します。所得税と付加税を税目ごとに別の納付書に分けません。納付書の記載は源泉所得税の納付書の書き方で扱っています。
外国税額控除・海外支払等の注意点
外国税額控除は計算順が異なる
外国税額控除の適用を受ける居住者は、控除後の所得税額をそのまま基準所得税額にはしません。分配時調整外国税相当額の控除も控除前で計算するため、投資信託等の分配金がある場合は区別が必要です。
所得税の外国税額控除を受ける居住者は、その控除限度額を超えた控除対象外国所得税を、復興特別所得税の国外所得対応額を限度に控除できます(明細書添付等が必要)。
非永住者・非居住者は、基準所得税額の対象となる所得の範囲などが異なります。ここでの居住者の計算例をそのまま当てはめず、復興財源確保法の基準所得税額・外国税額控除の規定を確認します。
海外支払は租税条約等を先に確認する
所得税の源泉徴収対象には、給与、報酬・料金、利子・配当、退職手当、公的年金などがあります。ただし、同じ名称の支払ならどれも課税されるわけではなく、非課税規定や対象者によって扱いが変わります。
租税条約により国内法の税率以下の限度税率が適用される場合、または所得税が免除される場合は、復興分を併せて徴収しません。外国居住者等所得相互免除法による軽減・非課税の場合は復興分を併徴せず、2027年1月1日以後に行うべき源泉徴収では防衛分も同様です。
海外送金という事実だけでは判断せず、受取人の居住区分、所得の種類、適用条約と必要な届出を確認します。非居住者への支払すべてを免税と扱うこともできません。
法人税への上乗せとは区別する
法人の預金利息等から源泉徴収される復興特別所得税は、法人税そのものに上乗せする税ではありません。復興特別法人税という別の税と名称が似ていますが、法人が受け取る利子等の源泉所得税は別に確認します。
経理で確認する書類と順番
| 場面 | 先に確認するもの | 計算後の確認先 |
|---|---|---|
| 給与の支払 | 支給区分・対象年分の税額表・扶養控除等申告書・社会保険料等控除後の金額 | 給与台帳の徴収額と納付額 |
| 報酬・料金の支払 | 源泉徴収の対象、所得区分、計算対象額、合計税率 | 端数処理後の徴収額と振込額 |
| 年末調整 | 対象者・年調所得税額・税額控除 | 付加税込みの年税額と徴収累計額の差 |
| 個人の確定申告 | 基準所得税額、外国税額控除等、源泉徴収票等 | 源泉徴収済みの税額等を差し引いた納付・還付額 |
計算結果に違いが出たら、税率を変える前に「年税額か源泉徴収か」「所得税本体か付加税込みか」「どの段階で端数を処理したか」を照合します。合計税率の計算と基準所得税額の計算は、掛ける相手が異なります。
よくある質問
復興特別所得税は年収に掛けるのですか?
年収ではなく、その年分の基準所得税額に掛けます。
復興特別所得税はいつまでですか?
改正後は個人の2047年分まで課されます。個人の2027年分以後に創設される防衛特別所得税は「当分の間」の課税で、同じ年分に終わるとは定められていません。
給与の税額表に、復興特別所得税を足しますか?
足しません。その年分の給与の源泉徴収税額表には付加税が含まれています。表で求めた額に再び付加税を掛けると二重計算になります。
確定申告で所得税と別々に納付しますか?
確定申告で納付する所得税がある場合は、復興特別所得税と併せて納めます。個人の2027年分〜2047年分は防衛特別所得税も含めて申告・納付します。源泉徴収済みの税額等は精算で差し引くため、その分を重ねて納めるものではありません。
出典
税率・適用年分は下記の法令、源泉徴収の計算例は国税庁の案内を参照しています。
- e-Gov法令検索「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」第4章「復興特別所得税」(基準所得税額・税率・申告納付・年末調整)。
- e-Gov法令検索「同法の改正後条文・改正法附則」(令和9年施行版)。課税期間と税率、令和8年法律第12号附則88条の適用区分。
- e-Gov法令検索「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」第3章の2・改正法附則(防衛特別所得税の対象・税率・年末調整)。
- 国税庁「復興特別所得税の源泉徴収」。対象・租税条約等の例外・端数処理・納付。
- 国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」給与所得の源泉徴収票の記載要領。
- 国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税の源泉徴収のあらまし」。報酬の公表計算例と給与・年末調整。
この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談への回答ではありません。実際の判断は、所轄の税務署または税理士にご確認ください。