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所得税率は何%? — 条文に「速算表」は無い。控除額は暗記する数字ではなく、1本の式から出てくる

結論から言うと、所得税の税率は5%・10%・20%・23%・33%・40%・45%の7段階です。根拠は所得税法89条1項の表で、令和8年分もこの数字は変わりません(後述のとおり、令和8年12月1日施行版の条文と機械比較して差分が無いことを確認しました)。

ただし、条文には「速算表」も「控除額」も一度も出てきません。89条1項が書いているのは、課税所得を各段に区分して、それぞれの部分に税率を乗じ、合計するという手順だけです。国税庁の速算表にある97,500円・427,500円といった控除額は、その手順を1行の掛け算に畳むために作られた差額の累積であって、法律が定めた金額ではありません。だから控除額は暗記する必要がなく、境界額と税率差から自分で出せます。

そしてこの記事で確かめるとおり、「所得税率20%」の人が実際に負担している率は20%ではありません。復興特別所得税2.1%が上に乗って20.42%になり、住民税を足せば30.42%になります。逆に、45%が最高税率だというのも正確ではありません。以下、すべて条文で順に確かめます。

条文が置いているのは「区分」だけ — 速算表は法律に無い

所得税法89条1項は、次のように書かれています。

居住者に対して課する所得税の額は、その年分の課税総所得金額又は課税退職所得金額をそれぞれ次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額と、その年分の課税山林所得金額の五分の一に相当する金額を同表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額に五を乗じて計算した金額との合計額とする。

長い一文ですが、骨は「区分して」「それぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて」「合計した金額」の3つです。これが超過累進税率の定義そのもので、所得が1段上がっても、上がった部分にだけ高い税率が掛かることを条文の書き方が保証しています。

そして条文が掲げる表は、金額の「区分」と税率だけです。控除額の欄はありません。

所得税法89条1項の表(上欄=金額の区分)下欄=税率
百九十五万円以下の金額百分の五
百九十五万円を超え三百三十万円以下の金額百分の十
三百三十万円を超え六百九十五万円以下の金額百分の二十
六百九十五万円を超え九百万円以下の金額百分の二十三
九百万円を超え千八百万円以下の金額百分の三十三
千八百万円を超え四千万円以下の金額百分の四十
四千万円を超える金額百分の四十五
同じ一文に、退職金と山林所得も入っている
89条1項は課税総所得金額だけの規定ではありません。課税退職所得金額にも同じ表を使うと書いてあり、さらに課税山林所得金額については5分の1にしてから表を当て、出た税額を5倍するという手順まで、同じ一文の中に置かれています。「所得税の税率表」は1つで、当て方だけが所得の種類で変わる構造です。退職金の側の詳しい計算は退職金の税金で扱っています。

控除額はどこから来るのか — 国税庁の6つの数字を自分で出す

実務で使うのは、国税庁タックスアンサーNo.2260が掲げる「所得税の速算表」です。

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

この控除額は、覚えるものではありません。1つ下の段の控除額に、境界の金額 × 税率の差を足していくだけで出ます。式にすると次の1本です。

その段の控除額 = 1つ下の段の控除額 + 境界額 ×(その段の税率 − 1つ下の段の税率)

実際に当ててみます。

計算出てくる控除額国税庁の表
10%0 + 1,950,000 ×(10% − 5%)97,500円97,500円
20%97,500 + 3,300,000 ×(20% − 10%)427,500円427,500円
23%427,500 + 6,950,000 ×(23% − 20%)636,000円636,000円
33%636,000 + 9,000,000 ×(33% − 23%)1,536,000円1,536,000円
40%1,536,000 + 18,000,000 ×(40% − 33%)2,796,000円2,796,000円
45%2,796,000 + 40,000,000 ×(45% − 40%)4,796,000円4,796,000円

6つとも一致します。控除額とは「本来なら低い税率で済んだ下の段の部分に、掛けすぎてしまった分」を戻す金額です。だから速算表は、89条1項の区分計算を1行に畳んだだけのもので、両者は必ず同じ答えを出します。

それを確かめるために、国税庁が同じページで挙げている具体例(課税される所得金額700万円)を、条文どおりの段ごとの計算でやってみます。

区分(89条1項の上欄)その部分の金額税率税額
195万円以下の金額1,950,000円5%97,500円
195万円超330万円以下の金額1,350,000円10%135,000円
330万円超695万円以下の金額3,650,000円20%730,000円
695万円超900万円以下の金額50,000円23%11,500円
合計974,000円

速算表で解くと 7,000,000 × 0.23 − 636,000 = 974,000円。国税庁が示している答えも974,000円で、3つとも一致します。

課税所得 700万円 — 段ごとに税率を掛けて合計する(合計 974,000円) 195万円 × 5% = 97,500円 135万円 × 10% = 135,000円 365万円 × 20% = 730,000円 5万円 × 23% = 11,500円 合計 = 974,000円 速算表で解くと 7,000,000 × 0.23 − 636,000 = 974,000円 最後の5万円にだけ23%が 掛かっている。700万円全体に 23%が掛かるのではない。 実効の税率は 974,000 ÷ 7,000,000 = 13.9%
課税所得700万円の人の「税率」は23%だが、実際に納める額は課税所得の13.9%。23%は最後の1円に掛かる率(限界税率)であって、全体に掛かる率(平均税率)ではない。
「1円超えたら手取りが減る」は、所得税では起きない
上の図のとおり、段が上がっても上がった部分にしか高い税率は掛かりません。課税所得が195万円から195万1円になっても、増えた1円に10%が掛かるだけです。手取りが逆転する現象は、所得税の税率表ではなく社会保険の扶養や住民税非課税のように「境目で資格そのものが切り替わる制度」で起きます。そちらは年収の壁シミュレーター住民税非課税のボーダーで扱っています。

実際に納めるのは2.1%増し — 5%は5.105%になる

確定申告書に書くのは「所得税及び復興特別所得税の額」です。復興特別所得税の根拠は、復興財源確保法(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法)9条1項です。

居住者又は非居住者に対して課される平成二十五年から令和十九年までの各年分の所得税に係る基準所得税額には、この法律により、復興特別所得税を課する。

税率は13条にあります。

個人に対して課する復興特別所得税の額は、その個人のその年分の基準所得税額に百分の二・一の税率を乗じて計算した金額とする。

つまり、所得税の額そのものに2.1%を掛けた金額が上乗せされます。所得が1円増えたときの負担率で言えば、次のようになります。

所得税法89条の税率復興特別所得税を含めた率住民税10%も足した率
5%5.105%15.105%
10%10.21%20.21%
20%20.42%30.42%
23%23.483%33.483%
33%33.693%43.693%
40%40.84%50.84%
45%45.945%55.945%

先ほどの課税所得700万円の例なら、974,000円 × 2.1% = 20,454円が復興特別所得税で、合計は994,454円。ここから後述の端数処理が入って994,400円になります。

2.1%が掛かるのは「税額控除を引いたあと」の所得税額
2.1%の対象になる基準所得税額について、復興財源確保法10条1号は、非永住者以外の居住者の場合を「同法その他の所得税の税額の計算に関する法令の規定(同法第九十三条及び第九十五条の規定を除く。次号において同じ。)により計算した所得税の額」としています。除かれているのは所得税法93条(分配時調整外国税相当額控除)と95条(外国税額控除)の2つだけで、それ以外の税額控除は引いたあとの金額が2.1%の対象です。住宅ローン控除を引いた結果として所得税額がゼロになれば、その年の復興特別所得税もゼロになります。住宅ローン控除シミュレーターで控除額の側を確かめられます。
いつまで続くのか
9条1項が対象としているのは「平成二十五年から令和十九年までの各年分」です。令和19年分(2037年分)までは、この2.1%が乗り続けます。
手取り計算シミュレーターで、年収から所得税・住民税・社会保険料を差し引いた手取りを確かめる

「年収」に税率は掛からない — 掛かるのは課税総所得金額

ここがいちばん誤解されるところです。速算表に入れる金額は年収ではありません。89条2項が、表を当てる金額の定義を置いています。

課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額は、それぞれ、総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から前章第四節(所得控除)の規定による控除をした残額とする。

会社員の場合、年収から給与所得控除を引いて給与所得を出し、そこからさらに所得控除(基礎控除・社会保険料控除・扶養控除・生命保険料控除など)を引いた残りが課税総所得金額です。年収と課税所得のあいだには、たいてい200万円以上の開きがあります。

だから「年収500万円だから税率20%」という言い方は成り立ちません。同じ年収でも、扶養している家族の数、社会保険料の額、iDeCoに拠出しているかどうかで課税所得は動き、段が1つ下がることもあります。所得控除の側は次の各ページで扱っています。

「所得控除」と「税額控除」は、効く場所が違う
所得控除は速算表に入れる前の金額を減らすので、効き目は「控除額 × その人の税率」です。税率5%の人が10万円の所得控除を受けても所得税は5,000円しか減りませんが、税率33%の人なら33,000円減ります。これに対して住宅ローン控除のような税額控除は、計算し終えた税額から直接引くので、税率に関係なく額面どおり効きます。同じ「控除」でも別物です。

45%は最高税率ではない — 下に抜ける道と、上に足される層

「所得税の最高税率は45%」と言われますが、条文を読むと正確ではありません。下に抜ける道と、上に足される層が両方あります。

下に抜ける道 — 分離課税は89条を名指しで外している

株式の売却益や上場株式の配当には、89条の7段階が適用されません。租税特別措置法37条の11第1項(上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)は、次のように書いています。

同法第二十二条及び第八十九条並びに第百六十五条の規定にかかわらず、他の所得と区分し

そして同項は、その金額の「百分の十五に相当する金額に相当する所得税を課する」としています。上場株式等の配当を定めた8条の4第1項も、まったく同じ構文で89条を外し、15%としています。条文が89条を名指しで排除しているので、いくら金額が大きくても45%にはなりません。

よく言われる20.315%は、この15%を土台にして次のように積み上がった数字です。

内訳根拠
所得税15%租税特別措置法37条の11第1項(配当は8条の4第1項)
復興特別所得税0.315%(15% × 2.1%)復興財源確保法13条
道府県民税2%(指定都市の区域内は1%)地方税法附則35条の2の2第1項
市町村民税3%(指定都市の区域内は4%)同条(市町村民税に係る項)
合計20.315%

ここでも住民税の内訳は指定都市かどうかで入れ替わりますが、合計の5%は変わりません。後述する所得割の4%と6%の話と、まったく同じ構造です。

上に足される層 — 3億3,000万円を超えると、別の計算が走る

令和7年分から、租税特別措置法41条の19(特定の基準所得金額の課税の特例)が動いています。

個人でその者のその年分の基準所得金額が三億三千万円を超えるもの(第四項において「特例対象者」という。)については、当該超える部分の金額の百分の二十二・五に相当する金額からその年分の基準所得税額を控除した金額に相当する所得税を課する。

ここでいう基準所得金額には、同条2項が上場株式等の配当所得・譲渡所得、一般株式等の譲渡所得、土地建物の譲渡所得、先物取引の雑所得などを号で並べて含めています。つまり、分離課税で15%になっていた所得も合算したうえで、3億3,000万円を超える部分について22.5%相当額と実際の税額を比べ、足りなければ差額を課すという仕組みです。

下に抜ける道と、上に足される層は対になっています。分離課税で税率を下げても、規模が3億3,000万円を超えると41条の19が拾いに来る、という構造です。

住民税10%は「標準税率」— 指定都市では4%と6%が入れ替わる

所得税と並べて語られる住民税の所得割10%も、条文を見ると単純な「10%」ではありません。地方税法35条1項(道府県民税)は次のとおりです。

所得割の額は、課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額の合計額に、百分の四(所得割の納税義務者が地方自治法第二百五十二条の十九第一項の市(第三十七条及び第三十七条の二において「指定都市」という。)の区域内に住所を有する場合には、百分の二)の標準税率によつて定める率を乗じて得た金額とする。

市町村民税を定めた314条の3第1項は、これと鏡になっています。

所得割の額は、課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額の合計額に、百分の六(所得割の納税義務者が地方自治法第二百五十二条の十九第一項の市(第三百十四条の六及び第三百十四条の七において「指定都市」という。)の区域内に住所を有する場合には、百分の八)の標準税率によつて定める率を乗じて得た金額とする。

読み取れることが2つあります。

住んでいる市町村道府県民税(35条)市町村民税(314条の3)合計
指定都市以外4%6%10%
指定都市(政令市)の区域内2%8%10%

1つめは、合計は10%で同じでも、内訳が入れ替わるということ。指定都市に住んでいる人は、県に2%・市に8%を納めています。そしてこの入れ替えは所得割だけの話ではありません。株式の譲渡益にかかる住民税5%も、地方税法附則35条の2の2が道府県民税を2%(指定都市の区域内なら1%)、市町村民税を3%(指定都市なら4%)と定めていて、合計5%は動かないまま内訳だけが入れ替わる、同じ形をしています。ふるさと納税の計算方法で道府県民税と市町村民税を分けて計算するのも、この内訳が制度上意味を持つからです。

2つめは、条文が「標準税率によつて定める率」と書いていることです。標準税率は、地方団体が通常よるべき税率という位置づけで、条例で別の率を定めることが否定されていません。「住民税は10%」は全国どこでもそうなる保証ではなく、標準的にはそうなるという意味です。自分の市町村の税率は条例で確かめる必要があります。

住民税は「前年の」所得に掛かる
35条2項・314条の3第2項は、掛ける対象を前年の総所得金額等と定義しています。所得税がその年の所得にその年に掛かるのに対し、住民税は1年遅れて来ます。年の途中で退職して所得が激減しても、その年に納める住民税は前年の所得ベースのままです。徴収の流れは住民税の特別徴収とはで扱っています。

端数はどこで切るか — 1,000円未満と100円未満

速算表の左端が「1,000円から」で、右端が「1,949,000円まで」と半端な数字なのは、端数処理が入っているからです。国税通則法118条1項が、税率を当てる前の金額について定めています。

国税(印紙税及び附帯税を除く。以下この条において同じ。)の課税標準(その税率の適用上課税標準から控除する金額があるときは、これを控除した金額。以下この条において同じ。)を計算する場合において、その額に千円未満の端数があるとき、又はその全額が千円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。

課税所得は1,000円未満を切り捨てるので、195万円の1つ手前は1,949,999円ではなく1,949,000円になります。速算表の区分がこの形なのはそのためです。

計算し終えた税額の側は、119条1項です。

国税(自動車重量税、印紙税及び附帯税を除く。以下この条において同じ。)の確定金額に百円未満の端数があるとき、又はその全額が百円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。

先ほどの例で、所得税974,000円+復興特別所得税20,454円=994,454円が994,400円になったのは、この規定によります。入口は1,000円未満、出口は100円未満と覚えると混乱しません。

速算表の境目で答えが割れないのはなぜか
速算表の最下段は「40,000,000円以上」ですが、89条1項の表では4,000万円ちょうどは「千八百万円を超え四千万円以下の金額」の側、つまり40%の区分に入ります。一見ずれているようですが、答えは一致します。4,000万円ちょうどを40%の行で解くと 40,000,000 × 0.40 − 2,796,000 = 13,204,000円、45%の行で解いても 40,000,000 × 0.45 − 4,796,000 = 13,204,000円で同じです。控除額が「差額の累積」として作られている以上、どの境界でも上下の行は必ず同じ値を返します。だから境界の1円をどちらの行で解いても実害が出ません。

よくある質問

Q. 年収500万円だと所得税率は何%ですか?

A. 年収からは決まりません。所得税法89条1項が税率を掛ける相手は課税総所得金額で、同条2項がこれを総所得金額から所得控除を差し引いた残額と定義しています。会社員であれば年収からまず給与所得控除を差し引いて給与所得を求め、そこから基礎控除・社会保険料控除・扶養控除などの所得控除を差し引いた金額が課税総所得金額です。同じ年収でも扶養している家族の数や社会保険料の額によって課税総所得金額は変わるため、税率の段も変わります。年収から税額の目安を出したい場合は、所得控除まで織り込んで計算する必要があります。

Q. 速算表の控除額は覚えないといけませんか?

A. 覚えなくても導けます。ある段の控除額は、1つ下の段の控除額に、その境界の金額とその段の税率と1つ下の段の税率の差を掛けたものを足すと出ます。たとえば20%の段の控除額は、10%の段の控除額97,500円に3,300,000円と10パーセントポイントの積330,000円を足した427,500円で、国税庁タックスアンサーNo.2260の表と一致します。同じ手順で23%の段は636,000円、33%の段は1,536,000円、40%の段は2,796,000円、45%の段は4,796,000円となり、6つとも表の数字どおりになります。控除額は法律が定めた金額ではなく、89条1項の区分計算を1行に畳んだときに出てくる差額の累積です。

Q. 所得が増えて税率の段が上がると、手取りが減ることはありますか?

A. 所得税の税率表では起きません。所得税法89条1項は課税所得を各区分に分けてそれぞれに税率を乗じ、合計すると定めており、上の段の税率が掛かるのはその段に入った部分の金額だけだからです。課税所得が195万円から195万1円になった場合、増えた1円に10%が掛かるだけで、195万円までの部分は5%のままです。手取りが逆転する現象は税率表ではなく、社会保険の被扶養者の要件や住民税非課税の要件のように、境目で資格そのものが切り替わる制度で生じます。

Q. 復興特別所得税は、所得税とは別に納めるのですか?

A. 併せて納めます。復興財源確保法18条2項は、復興特別所得税を納付する場合において納付すべき年分が同一である所得税があるときは、当該復興特別所得税は当該所得税に併せて納付しなければならないとしています。税率は同法13条により基準所得税額の2.1%です。基準所得税額の意味は同法10条にあり、非永住者以外の居住者については所得税法その他の所得税の税額の計算に関する法令の規定により計算した所得税の額とされ、所得税法93条と95条だけが除かれています。同法9条1項は対象を平成25年から令和19年までの各年分としています。

Q. 株の利益にも45%まで税率が上がりますか?

A. 上場株式等の譲渡益については上がりません。租税特別措置法37条の11第1項が、所得税法22条・89条・165条の規定にかかわらず他の所得と区分するとしたうえで、上場株式等に係る課税譲渡所得等の金額の15%に相当する所得税を課すと定めているためです。上場株式等の配当等についても同法8条の4第1項が同じ構文で15%としています。ただし同法41条の19第1項は、その年分の基準所得金額が3億3,000万円を超える個人について、超える部分の22.5%相当額からその年分の基準所得税額を控除した額の所得税を課すとしており、同条2項はその基準所得金額に上場株式等の配当所得等や譲渡所得等を含めています。

Q. 住民税は全国どこでも10%ですか?

A. 条文が定めているのは標準税率です。地方税法35条1項は道府県民税の所得割を100分の4(指定都市の区域内に住所を有する場合は100分の2)の標準税率によって定める率とし、314条の3第1項は市町村民税の所得割を100分の6(指定都市の区域内は100分の8)としています。合計はいずれも10%ですが、指定都市に住んでいるかどうかで内訳が入れ替わります。また条文の文言は標準税率であって一律の率ではないため、実際に適用される率は各地方団体の条例で確かめる必要があります。

Q. 課税所得の1,000円未満はいつ切り捨てるのですか?

A. 税率を当てる前です。国税通則法118条1項が、国税の課税標準を計算する場合においてその額に千円未満の端数があるとき、またはその全額が千円未満であるときは、その端数金額またはその全額を切り捨てると定めています。国税庁タックスアンサーNo.2260の速算表が1,949,000円や3,299,000円という区分になっているのはこのためです。計算し終えた税額の側は同法119条1項により100円未満を切り捨てます。入口が1,000円未満、出口が100円未満という順序です。

Q. 令和8年分から税率は変わりますか?

A. 所得税法89条1項の税率表について、令和8年12月1日施行版(e-Gov法令API v2 のリビジョン 340AC0000000033_20261201_508AC0000000012)と令和8年8月12日施行の現行版を条文どおりに突き合わせたところ、区分も税率も同一でした。5%から45%の7段階という構造は令和8年分でも変わりません。ただし税率が同じでも、基礎控除や給与所得控除など所得控除の側が改正されると課税総所得金額が動くため、同じ年収でも税額は変わり得ます。税率表と控除の改正は別々に動くものとして分けて確認するのが確実です。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。

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