所得税は、1年間(1月1日〜12月31日)の所得から所得控除を引いた課税される所得金額に、5%から45%の税率を掛けて計算します。そこに復興特別所得税(2.1%)を足し、給与や年金から天引きされた源泉徴収税額と予定納税額を引いた残りが、確定申告で納める税金(マイナスなら還付される税金)です。令和8年分は、基礎控除の引上げなどの改正が令和8年12月1日に施行され、附則で令和8年分から適用されるので、令和9年2〜3月の確定申告は改正後の額で計算します。上の計算機は、国税庁「確定申告の手引き」の手順と所得税法の条文で計算します(一般的な計算方法の説明であり、個別の税務相談ではありません)。
所得税の計算の手順
確定申告書では、次の順で税額を計算します(確定申告の手引き「手順4 税金の計算をする」)。
| 課税される所得金額 | 税額 |
|---|---|
| 1,000円〜1,949,000円 | ×5% |
| 1,950,000円〜3,299,000円 | ×10%−97,500円 |
| 3,300,000円〜6,949,000円 | ×20%−427,500円 |
| 6,950,000円〜8,999,000円 | ×23%−636,000円 |
| 9,000,000円〜17,999,000円 | ×33%−1,536,000円 |
| 18,000,000円〜39,999,000円 | ×40%−2,796,000円 |
| 40,000,000円以上 | ×45%−4,796,000円 |
所得税の税額の速算表(所得税法89条1項の税率を、課税される所得金額の千円未満を切り捨てた額に当てはめたもの。確定申告の手引き「課税される所得金額に対する税額」)。
この計算機で扱う所得
所得税法は所得を10種類に分けています(所得税法23条〜35条)。この計算機が扱うのは、総所得金額に入る次の5種類の所得(いずれも黒字のもの)です。
| 所得の種類 | この計算機 |
|---|---|
| 利子所得 | 対象外(預貯金の利子は源泉分離課税で申告しない) |
| 配当所得 | 対象外(総合課税で申告すると、内国法人の配当などには配当控除があり、外国法人の配当などには無いため) |
| 不動産所得 | 対応(黒字の所得金額を入力) |
| 事業所得 | 対応(黒字の所得金額を入力) |
| 給与所得 | 対応(収入金額から計算) |
| 退職所得 | 対象外(分離課税) |
| 山林所得 | 対象外(分離課税) |
| 譲渡所得 | 対象外(土地・建物・株式等は申告分離課税、ゴルフ会員権などの総合課税の譲渡所得も扱わない) |
| 一時所得 | 対応(収入金額と支出した金額から計算し、2分の1を合計に入れる) |
| 雑所得 | 対応(公的年金等は収入金額から計算、それ以外は黒字の所得金額を入力) |
この計算機で扱う控除
- 医療費控除(セルフメディケーション税制を含む。どちらか一方)
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄附金控除(ふるさと納税など)
- 障害者控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 特定親族特別控除
- 基礎控除
- 所得金額調整控除(給与の収入金額850万円超で、本人が特別障害者・23歳未満の扶養親族がいる・特別障害者である同一生計配偶者か扶養親族がいる、のどれかに当たる人/給与と公的年金等の両方がある人)
- 住宅借入金等特別控除(税額から引く控除。1年目は計算明細書の金額を入力)
所得税法の所得控除は16種類(72条〜86条)あり、この計算機が扱わないのは雑損控除(災害・盗難・横領の損失)だけです。
寄附金控除は「特定寄附金の合計額(所得金額の合計の40%が限度)−2,000円」です(所得税法78条1項)。医療費控除は「医療費−補填金−10万円(所得金額の合計の5%の方が少なければその額)」で、上限は200万円です(所得税法73条1項)。セルフメディケーション税制は「特定一般用医薬品等の購入費−補填金−12,000円」で、上限は88,000円です(租税特別措置法41条の17)。
この計算機の対象にならない人
- 事業所得・不動産所得・雑所得のどれかが赤字の人(損益通算・雑所得の中での差引きが必要)
- 前年以前の純損失・雑損失の繰越控除を受ける人
- 申告分離課税の所得がある人(土地・建物の譲渡所得、株式等の譲渡所得、上場株式等の配当所得等を申告分離課税で申告する場合、先物取引の雑所得など)
- 退職所得・山林所得がある人(退職所得を確定申告しない場合も、合計所得金額に入って基礎控除・配偶者控除などの判定が変わるため)
- 総合課税の譲渡所得(ゴルフ会員権・金地金・書画骨とうなど)がある人
- 配当所得を総合課税で申告する人(配当控除の有無にかかわらず)や、利子所得を申告する人
- 雑損控除を受ける人、災害減免法の減免を受ける人
- 住宅借入金等特別控除以外の税額控除(配当控除・外国税額控除・政党等寄附金特別控除・認定NPO法人等寄附金特別控除・公益社団法人等寄附金特別控除・住宅耐震改修特別控除・住宅特定改修特別税額控除・認定住宅等新築等特別税額控除など)を受ける人
- 変動所得・臨時所得の平均課税を選ぶ人
- 給与所得者の特定支出控除を受ける人
- 年の中途で死亡した人の準確定申告や、年の中途で出国する人の申告(判定の時点が令和8年11月30日以前だと、改正前の基礎控除などで計算することがあります)
- 非居住者
これらに当てはまる人は、国税庁の確定申告の手引きや確定申告書等作成コーナーなどで計算してください(作成コーナーが対応していない申告もあります)。
令和8年分で変わった点
令和8年度税制改正(令和8年法律第12号)は令和8年12月1日に施行されますが、附則2条・3条・9条で令和8年分以後の所得税について適用すると定められています。令和8年分の確定申告は、1月〜12月の1年分を改正後の額で計算します。
| 項目 | 令和8年分(改正後) | 令和7年分 |
|---|---|---|
| 基礎控除(合計所得金額489万円以下) | 104万円 | 68万〜95万円 |
| 基礎控除(489万円超655万円以下) | 67万円 | 63万円 |
| 基礎控除(655万円超2,350万円以下) | 62万円 | 58万円 |
| 給与所得控除の最低額 | 74万円(令和8・9年分の特例。令和10年分以後は69万円) | 65万円 |
| 扶養親族・同一生計配偶者の所得要件 | 合計所得金額62万円以下(給与だけなら136万円以下) | 58万円以下(123万円以下) |
| 勤労学生の所得要件 | 89万円以下(給与だけなら163万円以下) | 85万円以下(150万円以下) |
給与所得者は、11月までの毎月の源泉徴収は改正前の税額表のままで、12月の年末調整で改正後の額に精算されます。年末調整 計算機で、年末調整でいくら戻るかを計算できます。
納める税金と還付される税金
「所得税及び復興特別所得税の額」から源泉徴収税額を引いた申告納税額が黒字なら100円未満を切り捨て、赤字ならそのままの金額です。そこから予定納税額を引いた第3期分の税額が、黒字なら納める税金(100円未満切捨て)、赤字なら還付される税金(1円単位)です(確定申告の手引き「申告納税額」「第3期分の税額」)。令和8年分の確定申告の期間は令和9年2月16日(火)から3月15日(月)までで、納める税金の納期限も3月15日です(所得税法120条1項・128条)。還付を受けるための申告は、令和9年1月1日から5年間提出できます。
よくある質問
令和8年分の確定申告で、所得税の計算は何が変わりますか?
合計所得金額489万円以下の人の基礎控除が104万円になり、給与所得控除の最低額が74万円になりました。扶養親族と同一生計配偶者の所得要件は合計所得金額62万円以下、勤労学生は89万円以下になりました。改正は令和8年12月1日施行ですが、附則で令和8年分以後の所得税に適用されるので、令和9年2〜3月の確定申告は1年分を改正後の額で計算します。
還付される税金が1円単位で、納める税金が100円単位なのはなぜですか?
確定申告の手引きでは、申告納税額と第3期分の税額は、黒字の場合は100円未満の端数を切り捨て、赤字の場合はそのままの金額を書くとされています。そのため納める税金は100円単位、還付される税金は1円単位になります。復興特別所得税額は基準所得税額に2.1%を掛けて1円未満を切り捨てます。
ふるさと納税のワンストップ特例を申請していても、確定申告で寄附金を入れる必要がありますか?
あります。確定申告をするとワンストップ特例の申請は無効になるため、ワンストップ特例を申請した分も含めて寄附金控除額を計算します。寄附金控除は特定寄附金の合計額(所得金額の合計の40%が限度)から2,000円を引いた額です。
ふるさと納税の返礼品は所得になりますか?
確定申告の手引きは、ふるさと納税の返礼品を一時所得の例に挙げています。一時所得は、その年の一時所得の収入金額の合計から支出した金額を引き、特別控除50万円を引いた残りで、その2分の1が所得金額の合計に入ります。生命保険の一時金などほかの一時所得と合わせて50万円以下なら、一時所得の金額は0円です。
この計算機の結果と確定申告書等作成コーナーの結果が違うのはなぜですか?
入力した所得金額・社会保険料・保険料の金額や、扶養親族の年齢区分(令和8年12月31日の現況。年の中途で死亡した親族は死亡の時の現況)が違うことが原因として考えられます。この計算機は赤字の所得・分離課税の所得・住宅借入金等特別控除以外の税額控除などを扱わないので、それらがある人は結果が変わります。正式な税額は確定申告書で計算した金額です。
出典
- 国税庁 令和7年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き(手順2 所得金額の計算、手順3 所得控除、手順4 税金の計算。令和8年分の手引きは令和9年1月ごろの公表予定のため、計算の手順は令和7年分の手引きによります)
- 所得税法22条(総所得金額)・28条(給与所得)・34条(一時所得)・35条(雑所得・公的年金等控除)・73条(医療費控除)・78条(寄附金控除)・86条(基礎控除)・89条(税率)・120条(確定所得申告)、令和8年法律第12号 附則2条・3条・9条(令和8年分以後の所得税について適用)— e-Gov法令検索
- 租税特別措置法29条の4(給与所得控除の最低控除額等の特例)・41条の3の11(所得金額調整控除)・41条の15の3(65歳以上の公的年金等控除)・41条の16の2(基礎控除の特例)・41条の17(セルフメディケーション税制)— e-Gov法令検索
- 東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法9条・10条・13条(復興特別所得税=基準所得税額×2.1%)、令和8年法律第12号 附則88条1項(税率の改正は令和9年分以後)— e-Gov法令検索
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