年末調整は、毎月の給与から概算で天引きしてきた所得税を、1年分の給与が確定した12月に正しい年税額で計算し直して精算する手続きです。天引きの合計が年税額より多ければ超過額が出て、まだ天引きしていない税額に充当した残りが戻り、少なければ12月の給与から追加で引かれます(不足額)。令和8年分は、基礎控除の引上げなどの改正が令和8年12月1日に施行され、11月までの天引きは改正前の税額表のままなので、改正の効果がまとめて12月の年末調整に出ます。上の計算機は、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」の手順と表で計算します(一般的な計算方法の説明であり、個別の税務相談ではありません)。
年調年税額の計算の手順
年末調整の年税額(年調年税額)は、次の順で計算します(年末調整のしかた37〜39頁)。
| 課税給与所得金額 | 算出所得税額 |
|---|---|
| 1,950,000円以下 | ×5% |
| 1,950,000円超 3,300,000円以下 | ×10%−97,500円 |
| 3,300,000円超 6,950,000円以下 | ×20%−427,500円 |
| 6,950,000円超 9,000,000円以下 | ×23%−636,000円 |
| 9,000,000円超 18,000,000円以下 | ×33%−1,536,000円 |
| 18,000,000円超 18,050,000円以下 | ×40%−2,796,000円 |
令和8年分の年末調整のための算出所得税額の速算表(年末調整のしかた55頁)。課税給与所得金額が18,050,000円を超える場合は年末調整の対象になりません。
令和8年分で変わった点
令和8年度税制改正は令和8年12月1日に施行されますが、附則で令和8年分以後の所得税について適用すると定められています。11月までの給与の源泉徴収には変更がなく、12月の年末調整で改正後の額を使って1年間の税額を計算し、改正前の税額表で引いた税額と精算します(年末調整のしかた4頁)。
| 項目 | 令和8年分(改正後) | 令和7年分 |
|---|---|---|
| 基礎控除(合計所得金額489万円以下) | 104万円 | 68万〜95万円 |
| 基礎控除(489万円超655万円以下) | 67万円 | 63万円 |
| 基礎控除(655万円超2,350万円以下) | 62万円 | 58万円 |
| 給与所得控除の最低額 | 74万円(令和8・9年分の特例。令和10年分以後は69万円) | 65万円 |
| 扶養親族・同一生計配偶者の所得要件 | 合計所得金額62万円以下(給与だけなら136万円以下) | 58万円以下(123万円以下) |
| 特定親族(19〜22歳)の所得の範囲 | 62万円超123万円以下 | 58万円超123万円以下 |
| 勤労学生の所得要件 | 89万円以下(給与だけなら163万円以下) | 85万円以下(150万円以下) |
| 一般の生命保険料控除の上限(23歳未満の扶養親族がいる人の新契約・新旧併用) | 6万円 | 4万円 |
年末調整で受けられる控除・受けられない控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 障害者控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 特定親族特別控除
- 基礎控除
- 所得金額調整控除(給与の収入金額850万円超で、本人が特別障害者か、23歳未満の扶養親族・特別障害者である同一生計配偶者や扶養親族がいる人)
- 住宅借入金等特別控除(2年目以降。税額から引く控除)
- 医療費控除(セルフメディケーション税制を含む)
- 寄附金控除(ふるさと納税など)
- 雑損控除
- 住宅借入金等特別控除の1年目
所得税法190条2号が年末調整で差し引くと定めているのは、上の一覧の1〜13の所得控除だけです。医療費控除(73条)・寄附金控除(78条)・雑損控除(72条)は入っていません。
年末調整の対象にならない人
- 本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人
- 災害により被害を受けて、災害減免法の規定により本年分の給与に対する源泉所得税及び復興特別所得税の徴収猶予又は還付を受けた人
- 2か所以上から給与の支払を受けている人で、他の給与の支払者に扶養控除等(異動)申告書を提出している人や、扶養控除等(異動)申告書を提出していない人(乙欄の人)
- 年の中途で退職した人で、①死亡により退職した人、②著しい心身の障害のため退職した人で本年中に再就職ができないと見込まれる人、③12月中に支給期の到来する給与の支払を受けた後に退職した人、④パートタイマーなどが退職した場合で本年中に支払を受ける給与の総額が136万円以下の人(退職後本年中に他の勤務先等から給与の支払を受けると見込まれる人を除く)のいずれにも当たらない人
- 非居住者(ただし、年の中途で海外の支店へ転勤したことなどにより非居住者となった人は、非居住者となった時に年末調整をします)
- 継続して同一の雇用主に雇用されない日雇労働者など(丙欄の人)
対象にならない人は、原則として自分で確定申告をして精算します(確定申告を要しない場合(所得税法121条)に当たる人もいます)。
還付・不足額の精算
徴収税額の合計が年調年税額より多いと超過額が出ます。最後の給与の税額や未払給与の税額をまだ天引きしていないときは、超過額をまずその税額に充当し、残りを本人に還付します。勤務先は、年末調整をした月分(通常は12月分)として納める源泉所得税から差し引いて還付し、引ききれないときはその後に納める源泉所得税から順次還付します。少ないと不足額が出て、年末調整をする月の給与から徴収されます。不足額を引くと12月の手取りが1〜11月の平均の70%未満になる人は、勤務先が税務署の承認を受けて、翌年1月と2月に分けて徴収できます(その月の給与の通常の税額は繰り延べられないので、繰延べを受ける人は最後の給与の税額計算を省略せずに年末調整をします)(年末調整のしかた39〜41頁)。
よくある質問
令和8年の年末調整は何が変わりましたか?
合計所得金額489万円以下の人の基礎控除が104万円になり、給与所得控除の最低額が74万円になりました。扶養親族と同一生計配偶者の所得要件は合計所得金額62万円以下、勤労学生は89万円以下に上がり、23歳未満の扶養親族がいる人は一般の生命保険料控除(新契約・新旧併用)の上限が6万円になりました。改正は令和8年12月1日施行で令和8年分から適用されますが、11月までの天引きは改正前の税額表のままなので、改正による減税分は12月の年末調整でまとめて精算されます。
年末調整で医療費控除やふるさと納税の控除は受けられますか?
受けられません。年末調整で差し引くのは所得税法190条2号が定める社会保険料控除・生命保険料控除・扶養控除などの13の所得控除と、所得金額調整控除・住宅借入金等特別控除だけで、医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税)・雑損控除は確定申告で受けます。住宅借入金等特別控除も1年目は確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で受けられます。
年末調整の還付金はいつ戻りますか?
勤務先が、年末調整をした月分(通常は12月分)として納める源泉所得税から差し引いて本人に還付します。勤務先が納める源泉所得税だけでは還付しきれないときは、その後に納める源泉所得税から順次還付し、還付することとなった日の翌月から2か月を経過しても還付しきれない見込みのときなどは、勤務先が税務署に還付請求書を出し、税務署から還付されます。
不足額が出たら、どうなりますか?
年末調整をする月の給与(賞与を含む)から徴収されます。引ききれないときは、その後の給与から順次徴収されます。不足額を引くと、その月の税引き後の手取りが1月から前月までの手取りの平均の70%未満になる人は、勤務先が「年末調整による不足額徴収繰延承認申請書」を税務署に出して承認を受ければ、翌年1月と2月に分けて徴収できます。
この計算機の結果と会社の源泉徴収票が違うのはなぜですか?
入力した徴収税額・社会保険料・保険料の金額が、会社の集計(源泉徴収簿)と違うことが原因として考えられます。12月の給与の税額計算を省略する会社では、12月分の税額を徴収税額に含めずに精算します。また、前の勤務先の給与や現物給与の課税分の有無、扶養親族の年齢区分(令和8年12月31日の現況)でも結果が変わります。正式な金額は勤務先の年末調整の結果(源泉徴収票)で確認してください。
出典
- 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた(3〜4頁 改正点、5〜6頁 対象となる人、35〜41頁 年税額の計算と過不足額の精算、47〜54頁 給与所得控除後の給与等の金額の表、55〜56頁 速算表・控除額の表、57〜59頁 設例)
- 国税庁 過不足額の精算の設例(本年最後に支払う給与(賞与)についての税額計算を省略しないで年末調整を行う場合)
- 所得税法190条(年末調整)・79条(障害者控除)・84条(扶養控除)・84条の2(特定親族特別控除)・86条(基礎控除)、令和8年法律第12号 附則2条・3条・9条(令和8年分以後の所得税について適用)— e-Gov法令検索
- 租税特別措置法29条の4(給与所得控除の最低控除額等の特例)・41条の3の11/41条の3の12(所得金額調整控除)・41条の15の5(生命保険料控除の特例)・41条の16の2(基礎控除の特例)— e-Gov法令検索
関連するツール・記事
- 源泉徴収票の書き方 — 年末調整の結果を源泉徴収票のどの欄に書くか
- 生命保険料控除シミュレーター — 保険料控除申告書の生命保険料控除の内訳
- 地震保険料控除シミュレーター — 地震保険料と旧長期損害保険料
- 配偶者控除・配偶者特別控除シミュレーター — 配偶者控除等申告書の控除額
- 年末調整の書き方 — 各申告書の記入のしかた
- 年末調整の還付金はいつ・いくら? — 還付の時期と条件
- 年末調整の対象とならない人 — 6つの区分と中途退職の例外