経理ミニツールズ

生命保険料控除シミュレーター

控除証明書に書かれた年間の支払保険料を入れるだけで、生命保険料控除の控除額(所得税・住民税)と、実際に安くなる年間の節税額を計算します。新契約と旧契約の併用(どちらで計算した方が得か)や、23歳未満の扶養親族がいる場合の特例にも対応しています。

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生命保険料控除は、生命保険・医療保険・個人年金保険の保険料を払っている人の所得から、最大12万円(所得税)を差し引く所得控除です。年末調整か確定申告で控除証明書の金額を申告するだけで、所得税と住民税が安くなります。上の計算機で、控除額と実際の節税額が出せます。以下では、3区分の計算式、新契約・旧契約の見分け方と併用のルール、令和8年分・令和9年分だけの「6万円特例」まで、条文と国税庁の様式にもとづいて解説します(一般的な計算方法の説明であり、個別の税務相談ではありません)。

使い方と注意点

入れるのは「支払った保険料」と「課税される所得金額」の2つです 保険料は、毎年10〜11月に保険会社から届く控除証明書の「申告額」(その年12月まで払い込んだ場合の見込額)を入れます。節税額のほうは税率で決まり、税率は課税される所得金額で決まります。これは年収ではなく、年収から給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除などをすべて引いた後の金額です。源泉徴収票なら「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いた額、確定申告書なら「課税される所得金額」の欄そのものです。

このツールの前提

控除額は所得税法76条・地方税法314条の2の計算式で求めます。1円未満の端数は切り上げ(国税庁の保険料控除申告書の注記どおり)です。節税額のほうは、所得税を国税庁の所得税の速算表で計算し、控除で税率の段をまたぐ場合も速算表の差をとって超過累進を正しく反映します。住民税の所得割は一律10%として概算します。生命保険料控除は所得税と住民税で控除額が違う(上限が12万円と7万円)ため、住民税の減少は住民税側の控除額で計算します。復興特別所得税(所得税額の2.1%)の減少も含めています。

本ツールの結果は目安です。実際の税額は、他の所得控除や税額控除、お住まいの市区町村などによって変わります。申告の前に税務署・税理士でご確認ください。

3つの区分と上限 — 所得税12万円・住民税7万円

生命保険料控除は3つの区分に分かれていて、区分ごとに控除額を計算してから合計します。合計には上限があり、所得税は12万円、住民税は7万円です。

区分対象になる保険所得税の上限住民税の上限
一般の生命保険料死亡保険・学資保険・養老保険など4万円2.8万円
介護医療保険料医療保険・がん保険・介護保険など4万円2.8万円
個人年金保険料「個人年金保険料税制適格特約」が付いたもの4万円2.8万円
3区分の合計(上限)12万円7万円
住民税は「2.8万円×3=8.4万円」になりません。区分ごとの上限は2.8万円ですが、合計の上限は7万円で頭打ちになります(地方税法314条の2第1項5号の2)。3区分すべてを上限まで使っている人は、住民税側で1.4万円分が切り捨てられます。所得税は4万円×3=12万円がちょうど合計上限に一致するので、この現象は起きません。
3区分の控除額と合計の上限 所得税 一般 4万円 介護医療 4万円 個人年金 4万円 計12万円 3区分の合計上限(12万円)とちょうど一致 — 切り捨ては起きない 住民税 一般 2.8万 介護医療 2.8万 個人年金 2.8万 合計7万円 ← ここから先は切り捨て 単純合計8.4万円 − 合計上限7万円 = 1.4万円が使えない 23歳未満の扶養親族がいる場合(令和8年分・令和9年分) 一般 6万円(1.5倍) ← 一般の「新契約」だけ拡大。合計12万円の上限は据え置き
住民税だけ「区分ごとの上限×3」と「合計の上限」が一致しない。3区分すべて使うと1.4万円分は切り捨てになる。

控除額の計算式 — 新契約と旧契約で違う

控除額は、その保険契約が新契約(平成24年1月1日以後に締結)か旧契約(平成23年12月31日以前)かで計算式が変わります。控除証明書に「新制度」「旧制度」と印字されているので、そこで判断します。

制度年間の支払保険料所得税の控除額住民税の控除額
新契約
(平成24年1月1日以後)
2万円以下全額1.2万円以下は全額
2万円超 4万円以下支払額 × 1/2 + 1万円× 1/2 + 6,000円
4万円超 8万円以下支払額 × 1/4 + 2万円× 1/4 + 1.4万円
8万円超一律 4万円一律 2.8万円
旧契約
(平成23年12月31日以前)
2万5,000円以下全額1.5万円以下は全額
2万5,000円超 5万円以下支払額 × 1/2 + 1万2,500円× 1/2 + 7,500円
5万円超 10万円以下支払額 × 1/4 + 2万5,000円× 1/4 + 1万7,500円
10万円超一律 5万円一律 3.5万円

住民税の帯(区切りの金額)は所得税と違います。所得税が2万円・4万円・8万円で区切るのに対し、住民税は1.2万円・3.2万円・5.6万円で区切ります(新契約の場合)。所得税の帯を住民税に流用すると答えがずれるため、このツールは税ごとに別の表で計算しています。なお介護医療保険料は新契約しかありません(平成24年に新設された区分なので、旧契約という概念がそもそもありません)。

令和8年分・令和9年分の「6万円特例」

23歳未満の扶養親族がいると、一般の生命保険料(新契約)の上限が4万円→6万円に

年齢23歳未満の扶養親族がいる人は、令和8年分と令和9年分に限り、一般の生命保険料の新契約について計算式が1.5倍のものに変わります(租税特別措置法41条の15の5)。上限だけでなく帯の区切りごと1.5倍になる点に注意してください。

・3万円以下 → 全額/3万円超6万円以下 → 支払額×1/2+1万5,000円
・6万円超12万円以下 → 支払額×1/4+3万円/12万円超 → 一律6万円

この特例には、見落としやすい制限が3つあります。

  1. 「一般の生命保険料」の「新契約」だけが対象です。介護医療保険料・個人年金保険料・一般の旧契約は、これまでどおりの計算式のままです
  2. 住民税には同じ特例がありません。地方税法に読み替えの規定が無いので、住民税側の上限は2.8万円のままです(このツールは所得税と住民税を別々に計算するので、ここを取り違えません)
  3. 3区分の合計上限12万円は据え置きです(所得税法76条4項は読み替えの対象外)。一般で6万円まで使えても、他の区分と合わせて12万円を超える分は切り捨てられます

対象になる「23歳未満の扶養親族」は所得税法2条1項34号の扶養親族で、判定はその年12月31日の現況です。16歳未満の年少扶養親族も含みます(扶養控除の対象は16歳以上ですが、この特例は年齢の下限がありません)。また「世帯で1人だけ」という制限が無いため、共働きの夫婦は両方がこの特例を使えます

扶養親族がいる場合の扶養控除の節税額も計算する

新旧を併用しているときの選び方

同じ区分で新契約と旧契約の両方に入っている場合(たとえば一般の生命保険で古い契約と新しい契約を持っている場合)は、次の2つのうち有利な方を選べます。

  1. 旧契約だけで計算する(上限5万円)
  2. 新契約と旧契約を合算して計算する(上限4万円)

合算の上限は4万円なのに旧契約だけなら5万円まで使えるため、旧契約の保険料が年6万円を超えるなら「旧契約だけ」の方が得になります(6万円ちょうどならどちらも4万円で同じ)。上の計算機は両方を計算して有利な方を自動で採り、どちらを採ったかを結果に表示します。

住民税の分かれ目は6万円ではありません。住民税は合算の上限が2.8万円・旧契約だけなら3.5万円なので、切り替わるのは旧契約の保険料が4万2,000円を超えたときです。つまり同じ契約でも、所得税は「合算」・住民税は「旧契約だけ」が有利という組み合わせが実際に起こります。税ごとに別々に有利な方を採るのが正しく、このツールはそのように計算します。

節税額の例

控除額そのものではなく、実際に安くなる税金の例です。このツールと同じ計算式で出した実数です。

ケース(年間の支払保険料)課税所得控除額(所得税/住民税)年間の節税額
一般6万円・介護医療4万円・個人年金8万円300万円10万5,000円/7万円17,720円
一般6万円・介護医療4万円・個人年金8万円500万円10万5,000円/7万円28,441円
一般(新契約)8万円だけ300万円4万円/2万8,000円6,884円
一般(新契約)8万円だけ・23歳未満の子あり300万円5万円/2万8,000円7,905円
3区分すべて年10万円以上500万円12万円/7万円31,504円

3区分をすべて上限まで使っても、課税所得500万円の人で年31,504円です。掛金の全額が所得控除になるiDeCo小規模企業共済と比べると、生命保険料控除は払った保険料のごく一部しか控除にならない(8万円払って4万円)点が大きな違いです。節税のために保険に入るのは割に合いませんが、すでに入っている保険の控除を申告し忘れることは、そのまま損になります。

「6万円特例」で増えるのは、控除額で最大2万円分

一般の新契約に年12万円以上払っていて23歳未満の子がいる場合、控除額は4万円→6万円(+2万円)になります。課税所得500万円(所得税率20%)なら、節税額は10,968円→15,052円で年4,084円の差です。ただし他の区分と合わせて12万円の上限に当たっていると、この上乗せは効きません。

よくある質問

Q. 生命保険料控除は最大でいくら戻りますか?

A. 控除額の上限は所得税12万円・住民税7万円で、実際に戻る(安くなる)金額は課税所得500万円の人で年31,504円が上限のめやすです。所得税の減少は「所得税側の控除額×あなたの税率」、住民税の減少は「住民税側の控除額×10%」が基本だからです。課税所得300万円(税率10%)なら3区分上限で年19,504円ほどになります。控除額そのものが戻ってくるわけではない点に注意してください。

Q. 控除証明書をなくしました。どうすればいいですか?

A. 保険会社に再発行を依頼します。多くの保険会社はコールセンターやWebのマイページから即日〜数日で再発行でき、電子的控除証明書(XML)をダウンロードできる会社もあります。年末調整に間に合わない場合は、勤務先の期限までに提出できないことを伝えたうえで、自分で確定申告をすれば控除を受けられます。還付申告は5年以内までさかのぼれるので、過去に申告し忘れた年があっても取り戻せます。

Q. 新契約と旧契約の両方があります。どちらで申告すべきですか?

A. 有利な方を選べます。旧契約だけで計算すると上限5万円、新契約と合算すると上限4万円なので、所得税では旧契約の保険料が年6万円を超えるなら「旧契約だけ」が有利です。住民税は分かれ目が4万2,000円と違うため、所得税は合算・住民税は旧契約だけ、という組み合わせも実際に起こります。上の計算機は税ごとに有利な方を自動で選び、どちらを採ったかを表示します。

Q. 23歳未満の子がいます。夫婦のどちらか一方しか特例を使えませんか?

A. 両方が使えます。租税特別措置法41条の15の5には「世帯で1人だけ」という制限が無いため、夫婦がそれぞれ一般の生命保険(新契約)を契約していれば、両方がこの特例の計算式を使えます。対象になる扶養親族は所得税法2条1項34号の扶養親族で、16歳未満の年少扶養親族も含みます。判定はその年12月31日の現況です。

Q. 学資保険や医療保険も生命保険料控除の対象ですか?

A. 対象です。学資保険は「一般の生命保険料」、医療保険・がん保険・介護保険は「介護医療保険料」に分類されます。ただし控除の対象になるのは保険金の受取人が本人・配偶者・その他の親族である契約に限られ、財形保険や傷害保険など保険金が身体の傷害のみに基因して支払われる契約は対象外です。個人年金保険は「個人年金保険料税制適格特約」が付いているものだけが個人年金の区分になり、付いていない場合は一般の生命保険料として扱います。

出典

本ページの解説・計算例は令和8年(2026年)時点の法令にもとづく一般的な情報であり、個別の事案に対する助言ではありません。実際の節税額は、他の所得控除や税額控除、住んでいる市区町村などによって異なります。申告の前に税務署・税理士でご確認ください。