経理ミニツールズ

iDeCo節税シミュレーター

iDeCo(イデコ)の掛金は全額が所得控除になります。加入区分課税される所得金額月額掛金を入れるだけで、掛金でどれだけ所得税・住民税が下がるか(年間の節税額)を自動計算します。所得税は速算表で厳密に計算します。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の最大の魅力は、払った掛金の全額がその年の所得から差し引かれ、所得税と住民税が下がることです。上の計算機で、自分の加入区分・課税所得・掛金から年間の節税額が出せます。以下では、なぜ節税になるのか、区分ごとの上限、課税所得別の節税額、そして受け取るときの税金まで、計算のしくみを一次資料にもとづいて解説します(一般的な計算方法の説明であり、個別の税務相談ではありません)。

使い方と注意点

入れるのは「年収」ではなく「課税される所得金額」です 節税額は税率で決まり、税率は課税される所得金額で決まります。これは年収ではなく、年収から給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除・扶養控除などをすべて引いた後の金額です。源泉徴収票なら「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いた額、確定申告書なら「課税される所得金額」の欄そのものです。年収を入れると節税額を大きく見積もりすぎます。

このツールの前提

所得税は国税庁の所得税の速算表で計算します。掛金による控除で税率の段(ブラケット)をまたぐ場合も、速算表の差をとって超過累進を正しく反映します(「掛金×税率」の概算ではありません)。住民税の所得割は一律10%として概算します(住民税は課税所得の算定が所得税と少し違うため概算)。復興特別所得税(所得税額の2.1%)の減少も含めています。

本ツールの結果は目安です。実際の税額は、他の所得控除や税額控除、お住まいの市区町村、受け取り方などによって変わります。加入や受け取りの前に、運営管理機関や税務署・税理士でご確認ください。

iDeCoの節税のしくみ — 掛金は全額が所得控除

iDeCoの掛金は、小規模企業共済等掛金控除として全額が所得から差し引かれます。所得が減れば、その減った分にかかっていた所得税と住民税がまるごと軽くなります。節税額は次の式で決まります。

年間の節税額 = 所得税の減少 + 復興特別所得税の減少 + 住民税の減少

所得税の減少は、掛金を引く前と引いた後の所得税を速算表で計算した差です。住民税の減少は、掛金 × 10%(所得割)で概算します。

ポイントは、節税率が「所得税率+住民税率10%」でおおよそ決まることです。課税所得が高く所得税率が高い人ほど、同じ掛金でも節税額が大きくなります。たとえば課税所得300万円(所得税10%)の会社員が月23,000円(年276,000円)を積み立てると、所得税が27,600円、住民税が27,600円、復興特別所得税が579円軽くなり、年間の節税額は55,779円になります。掛金に対する節税率は約20.2%です。

課税所得300万円・会社員が月23,000円を積み立てた場合(年間の掛金 276,000円) 実質の負担 220,221円 節税 55,779円(掛金の20.2%) 節税 55,779円 の内わけ(税目ごと): 所得税 27,600円 住民税 27,600円 ↑ 復興特別所得税 579円 ※ 掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除。所得税は速算表(超過累進)、住民税所得割は一律10%で計算。
掛金276,000円のうち55,779円(20.2%)が所得税・住民税の減少として戻る。実質の負担は220,221円。

加入区分別の月額掛金の上限

iDeCoの掛金には、加入区分ごとに上限があります。最低は月5,000円で、1,000円単位で決められます。上限は次のとおりです。

加入区分月額の上限年額の上限備考
自営業・フリーランス(第1号)68,000円816,000円国民年金基金・付加保険料と合算した上限
会社員(企業年金なし)23,000円276,000円 
会社員(企業型DCあり)20,000円240,000円企業型DC等との合算上限あり
会社員(DB等あり)・公務員20,000円240,000円合算上限あり
専業主婦・主夫(第3号)23,000円276,000円 

自営業(第1号)の枠がいちばん大きい

自営業・フリーランスは月68,000円(年816,000円)まで積み立てられ、会社員の約3倍です。ただし、この68,000円は国民年金基金や国民年金の付加保険料と合わせた上限なので、それらに加入している場合はiDeCoに回せる額がその分だけ減ります。会社員(企業型DCあり)・会社員(DB等あり)・公務員の枠も、企業型DCや確定給付企業年金(DB)との合算で上限が決まります。

課税所得別の節税額の例

会社員(企業年金なし)が上限の月23,000円(年276,000円)を積み立てた場合、課税所得ごとの年間の節税額は次のようになります(このツールと同じ速算表で計算した実数です)。

課税される所得金額年間の掛金年間の節税額掛金に対する節税率
150万円276,000円41,689円15.1%
300万円276,000円55,779円20.2%
500万円276,000円83,959円30.4%
700万円276,000円85,490円31.0%
900万円276,000円92,413円33.5%

課税所得が上がるほど所得税率が上がるため、同じ掛金でも節税額が増えます。掛金の枠が大きい自営業(第1号)が上限の月68,000円(年816,000円)を積み立てると、課税所得300万円で年164,913円、課税所得500万円で年248,227円と、節税額はさらに大きくなります。

節税率は「所得税率+10%」でおおよそ決まる

住民税所得割が一律10%なので、節税率は「その人の所得税率+10%」に近い値になります。課税所得195万円以下(所得税5%)なら約15%、330万円以下(10%)なら約20%、695万円以下(20%)なら約30%です。復興特別所得税(所得税額の2.1%)の分だけ、実際はこれより少し高くなります。

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受け取るときの税金 — 一時金と年金で違う

iDeCoは積み立てるときに全額を所得控除できますが、60歳以降に受け取るときには課税されることがあります。ただし大きな控除が用意されているため、受取時の負担が積立時の節税額を上回ることは多くありません。受け取り方で税金の種類が変わります。

受け取り方所得の種類使える控除
一時金(まとめて受け取る)退職所得退職所得控除
年金(分割で受け取る)公的年金等の雑所得公的年金等控除

国税庁のタックスアンサーNo.1420は、「確定拠出年金法に規定する…個人型年金規約に基づいて老齢給付金として支給される一時金…は退職所得とみなされます」と明記しています。退職所得の金額は、(収入金額 − 退職所得控除額)× 2分の1で計算します。退職所得控除額は勤続年数(iDeCoでは掛金を払った年数)に応じて決まり、20年以下は40万円×年数、20年を超える部分は1年あたり70万円(20年で800万円+超えた年数×70万円)です。

年金として分割で受け取る場合は、公的年金等の雑所得となり、公的年金等控除を差し引いて所得を計算します(国税庁No.1600)。公的年金や他の企業年金と合算されるため、受け取る年齢や金額の配分で税額が変わります。

受取時のいちばんの注意点は「退職金との重なり」

退職所得控除は、会社の退職金とiDeCoの一時金で枠を共有します。同じ年や近い時期に両方を一時金で受け取ると、退職所得控除を使い切って課税される部分が増えることがあります。受け取り方(一時金・年金・併用)とタイミングは、退職金の予定と合わせて事前に確認してください。

2027年1月からの上限引き上げ

2027年1月から、iDeCoの掛金の上限が引き上げられる予定です。自営業(第1号)は月75,000円、企業年金なしの会社員は月62,000円になる見込みで、いずれも現行より大きく増えます。上限が上がれば所得控除できる額も増えるため、節税の効果はさらに大きくなります。上の計算機は現行の上限で試算しています(改正が施行されたら上限を差し替えます)。

よくある質問

Q. iDeCoは課税所得がいくらから得ですか?

A. 課税される所得金額が1円でもあれば、掛金の分だけ所得税と住民税が下がるので節税になります。節税率は所得税の税率で決まり、課税所得195万円以下なら所得税5%+住民税10%で約15%、330万円以下なら10%+10%で約20%、695万円以下なら20%+10%で約30%です。会社員(企業年金なし)が月23,000円(年276,000円)を積み立てると、課税所得300万円で年55,779円、課税所得500万円で年83,959円の節税になります。課税所得が高い人ほど節税額は大きくなります。ただし課税される所得金額が0円の人(掛金より所得控除が大きく所得税がかからない人)は、そもそも引く税金がないので節税にはなりません。

Q. 課税される所得金額とは年収のことですか?

A. 違います。年収から給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除・扶養控除などをすべて引いた後の金額が課税される所得金額です。源泉徴収票では「課税される所得金額」ではなく「給与所得控除後の金額」と「所得控除の額の合計額」が載っているので、前者から後者を引いた額が課税所得です。確定申告書ならB表の「課税される所得金額」の欄そのものです。年収500万円の会社員でも、課税される所得金額はおおむね200万〜250万円程度になります。年収を入れると節税額を過大に見積もるので、必ず課税所得を入れてください。

Q. iDeCoの掛金の上限はいくらですか?

A. 加入区分で決まります。自営業・フリーランス(第1号)は月68,000円(年816,000円・国民年金基金や付加保険料と合算した上限)、会社員(企業年金なし)と専業主婦・主夫(第3号)は月23,000円(年276,000円)、会社員(企業型DCあり)と会社員(DB等あり)・公務員は月20,000円(年240,000円)です。最低は月5,000円で、1,000円単位で決められます。なお2027年1月からは上限が引き上げられる予定で、第1号は月75,000円、企業年金なしの会社員は月62,000円になる見込みです。

Q. iDeCoは受け取るときに税金がかかりますか?

A. かかることがありますが、大きな控除が用意されています。一時金でまとめて受け取ると退職所得として扱われ、退職所得控除(勤続年数=掛金を払った年数が20年以下なら40万円×年数、20年超なら800万円+70万円×20年超の年数)を引いた残りの2分の1だけが課税対象になります。年金として分割で受け取ると公的年金等の雑所得となり、公的年金等控除を差し引いて所得を計算します。積立時に全額を所得控除できるうえ、受取時にもこれらの控除が使えるため、多くの人は受取時の税負担が積立時の節税額より小さくなります。ただし退職金と重なると退職所得控除を使い切ることがあるため、受け取り方は事前に確認してください。

出典

本ページの解説・計算例は令和8年(2026年)時点の法令にもとづく一般的な情報であり、個別の事案に対する助言ではありません。実際の節税額・受取時の税額は、他の所得控除や税額控除、住んでいる市区町村、受け取り方、退職金の有無などによって異なります。加入・受け取りの前に運営管理機関・税務署・税理士でご確認ください。