経理ミニツールズ

小規模企業共済 節税シミュレーター

課税される所得金額月額掛金を入れるだけで、小規模企業共済の掛金による年間の節税額(所得税・復興特別所得税・住民税の減少)を自動計算します。掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除。国税庁の所得税速算表で計算します。

小規模企業共済は、個人事業主や小さな会社の役員が「自分の退職金」を積み立てる国の制度です。最大の魅力は、払った掛金の全額が所得控除になること。つまり掛金を払った年は、その分だけ課税所得が下がり、所得税と住民税が軽くなります。上の計算機で、あなたの課税所得と掛金から、1年でいくら税金が減るかを出せます。以下では仕組み・掛金のルール・課税所得別の早見表・受け取るときの税金まで、実数と出典つきで解説します(一般的な計算方法の説明であり、個別の税務相談ではありません)。

使い方 — 「課税される所得金額」の見つけ方

入れるのは「年収」ではなく「課税される所得金額」です 節税額は掛金にかかっていた税率で決まるため、税率を決める課税される所得金額(課税所得)を入力します。これは年収でも売上でもありません。会社員は源泉徴収票の「課税される所得金額」、個人事業主は確定申告書の「課税される所得金額」を使ってください。所得から基礎控除・扶養控除・社会保険料控除などをすべて引いた、税率をかける直前の金額です。

月額掛金は1,000円から70,000円まで・500円きざみで自由に決められます(既定は30,000円)。計算機は入力した掛金の年額(月額×12)を所得控除として、1年あたりの節税額を出します。掛金を上限の70,000円にしても、課税所得がそれより小さければ節税額はその範囲までにとどまります(下げられる税金には限りがあるため)。

本ツールの結果は目安です。所得税は国税庁の速算表で厳密に計算しますが、住民税の減少は所得割を一律10%として概算しています(住民税は課税所得の算定が所得税と少し異なるため)。均等割・調整控除などは含みません。正確な税額は税理士・お住まいの市区町村でご確認ください。

節税の仕組み — 掛金は全額が「所得控除」

小規模企業共済の掛金は、その全額が「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除になります(国税庁 No.1135)。所得控除とは、税率をかける前の課税所得から差し引ける金額のこと。掛金を年84万円払えば、課税所得が84万円下がるので、その84万円にかかっていたはずの所得税と住民税が丸ごと消えます。

年間の節税額 = 所得税の減少 + 復興特別所得税の減少(所得税の2.1%)+ 住民税の減少(所得割の概算10%)

ポイントは、減る税額は「掛金 × あなたの税率」で決まることです。所得税は課税所得が高い人ほど高い税率(5%〜45%の超過累進)がかかるので、同じ掛金でも、課税所得が高い人ほど節税額が大きくなります。ここに住民税の所得割10%が上乗せされるため、実際の節税率は「所得税率+10%」に近い水準になります。

「経費」ではなく「所得控除」— でも税金を下げる効果は同じ

掛金は事業の損金や必要経費にはなりません(中小機構)。あくまで個人の所得控除で、確定申告では経費欄ではなく所得控除欄に書きます。法人の役員が加入した場合も、法人の経費ではなく役員個人の控除です。「経費で落とす」のとは扱いが違いますが、課税所得を下げて税金を減らすという結果は同じです。

掛金の範囲と変更 — 月1,000〜70,000円

掛金月額は1,000円から70,000円まで、500円単位で設定できます。年間では最大84万円(70,000円×12か月)を所得控除にできます。掛金のルールは次のとおりです(中小機構)。

項目内容
掛金月額1,000円〜70,000円の範囲で、500円単位
変更加入後も月に1回に限り、増額・減額できる(同月中の再変更は不可)
納付方法本人名義の口座から振替。月払い・半年払い・年払いから選べる
振替日毎月18日(土日祝なら翌営業日)
前納1年以内の前納掛金も、その年の所得控除にできる

「増やして節税、苦しい年は減らす」ができる

掛金は月1回まで自由に増減できるので、利益が出た年は掛金を増やして節税し、資金繰りが苦しい年は下限の1,000円まで減らすといった調整が可能です。さらに12月にその年の分をまとめて前納すれば(1年以内の前納)、払った年の所得控除に間に合います。所得が読めない自営業・フリーランスと相性のよい仕組みです。

課税所得・掛金別の節税額 早見表

課税される所得金額と月額掛金の組み合わせで、1年あたりの節税額がどう変わるかの早見表です。所得税(速算表)+復興特別所得税(所得税の2.1%)+住民税所得割(概算10%)の合計で、いずれも上の計算機と同じ計算です。かっこ内は掛金に対する節税率です。

課税される所得金額月1万円
(年12万円)
月3万円
(年36万円)
月5万円
(年60万円)
月7万円
(年84万円・上限)
195万円18,126円
(15.1%)
54,378円
(15.1%)
90,630円
(15.1%)
126,882円
(15.1%)
300万円24,252円
(20.2%)
72,756円
(20.2%)
121,260円
(20.2%)
169,764円
(20.2%)
500万円36,504円
(30.4%)
109,512円
(30.4%)
182,520円
(30.4%)
255,528円
(30.4%)
700万円38,035円
(31.7%)
111,043円
(30.8%)
184,051円
(30.7%)
257,059円
(30.6%)
900万円40,179円
(33.5%)
120,538円
(33.5%)
200,898円
(33.5%)
281,257円
(33.5%)

同じ掛金でも、課税所得500万円の人と195万円の人では節税額が倍以上違います。課税所得が高い人ほど、上限まで掛けるうまみが大きいことがわかります。課税所得500万円で上限の月7万円を掛ければ、年84万円の積立をしながら、その約3割にあたる255,528円の税金が戻ってくる計算です。

課税される所得金額 500万円・月70,000円(年84万円)の掛金の内わけ ※幅は金額比 実質の自己負担 584,472円 節税で戻る 255,528円 節税 255,528円 の内わけ: 所得税 168,000円 住民税 84,000円 復興 3,528円 → 掛金 840,000円は「自分の退職金」として積み立てられ、そのうえで 255,528円 の税金が戻る。 ※ 掛金の全額が小規模企業共済等掛金控除。所得税は速算表・住民税は所得割10%の概算。
課税所得500万円・上限掛金の例。掛金84万円は積み立てつつ、掛金の約3割にあたる255,528円が節税で戻る。

節税額の計算方法

この計算機は、掛金を引く前と引いた後の税額の差を節税額としています。単純に「掛金×税率」で出すと、控除によって税率のブラケット(段)をまたぐ人の額がずれるため、国税庁の速算表で超過累進を厳密に反映しています。手順は次のとおりです。

  1. 所得税の減少:速算表で「課税所得の税額」と「課税所得−年間掛金の税額」を出し、その差を取る。
  2. 復興特別所得税の減少:減った所得税の2.1%(令和19年分まで課される)。
  3. 住民税の減少:所得割を一律10%として、年間掛金×10%で概算する。

この3つの合計が年間の節税額です。所得税の速算表(課税所得に応じた税率と控除額)は次のとおりで、計算機はこの表を読んで計算しています。

課税される所得金額税率控除額
1,000円 〜 194万9,000円5%0円
195万円 〜 329万9,000円10%97,500円
330万円 〜 694万9,000円20%427,500円
695万円 〜 899万9,000円23%636,000円
900万円 〜 1,799万9,000円33%1,536,000円
1,800万円 〜 3,999万9,000円40%2,796,000円
4,000万円 以上45%4,796,000円

たとえば課税所得500万円は20%の段にいます。ここから掛金84万円を引くと416万円で、まだ同じ20%の段にとどまるため、所得税は「84万円×20%=168,000円」減ります。これに復興特別所得税3,528円(168,000円×2.1%)と住民税84,000円(84万円×10%)を足した255,528円が節税額です。

受け取るときの税金

節税で得をしても「受け取るときに課税されて相殺されるのでは」と気になるところです。結論として、共済金の受け取りには、通常の所得より軽い課税の仕組みが用意されています(中小機構)。

受け取り方税金の扱い
一括で受け取る退職所得扱い(退職所得控除が使える)
分割で受け取る公的年金等の雑所得扱い(公的年金等控除が使える)
一括と分割の併用それぞれの扱い(併用も可能)

共済金は退職・廃業のときに受け取れ、満期や満額はありません。一括受け取りなら退職所得控除、分割受け取りなら公的年金等控除が働くため、掛金を払ったときに受けた所得控除が、そのまま受取時に取り返されるわけではありません。払うときに高い税率で節税し、受け取るときは軽い課税で受け取る——ここに制度の妙味があります。

ただし65歳未満で任意解約した解約手当金は一時所得扱いになります(退職所得より重くなりやすい)。受け取り時の具体的な税額は、退職所得控除・公的年金等控除の額や他の所得によって変わるため、実際の金額は税理士・お住まいの税務署でご確認ください。

加入できる人

小規模企業共済に加入できるのは、個人事業の事業主とその共同経営者、および小規模企業を経営する会社などの役員です(中小機構)。業種ごとに常時使用する従業員数の上限などの要件があり、加入資格は事業の形態(個人事業主・共同経営者・会社役員)によって細かく定められています。自分が対象かどうかは、中小機構の加入資格ページで事業形態を選んで確認してください。

会社員(給与所得だけの人)は原則対象外

この制度は小規模な事業の経営者・役員のための退職金制度です。勤め先から給与だけを受け取る会社員は原則として加入できません。給与所得者が掛金の全額所得控除で似た節税をしたい場合は、iDeCo(個人型確定拠出年金)が候補になります(iDeCoの掛金も同じ小規模企業共済等掛金控除の対象です)。副業が事業所得の規模になっているかなど、加入資格は必ず一次情報で確認してください。

始める前に知っておく注意点

節税メリットが大きい一方で、次の点は加入前に理解しておくべきです(中小機構)。

逆に言えば、長く続けられる範囲の掛金で、退職・廃業まで積み立てるのが基本の使い方です。無理のない月額から始め、利益の出た年に増額していく——上の計算機で、掛金を変えたときに節税額がどう動くかを試してみてください。

手取り計算機で、いまの手取りと社会保険料を確かめる

よくある質問

Q. 小規模企業共済でいくら節税できますか?

A. 掛金は全額が所得控除になるため、節税額は課税される所得金額と掛金月額で決まります。課税される所得金額500万円の人が上限の月70,000円(年84万円)を払うと、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて年間255,528円の節税になります(掛金の30.4%)。同じ所得でも掛金が少なければ節税額もほぼ比例して小さくなり、月30,000円(年36万円)なら109,512円です。上の計算機に課税される所得金額と掛金月額を入れると、あなたの年間節税額が出ます。

Q. 掛金はいくらから始められますか?

A. 月額1,000円から70,000円までの範囲で、500円きざみで自由に決められます。加入後も月に1回に限り増額・減額でき、1年以内の前納掛金もその年の所得控除にできます。掛金は共済契約者本人名義の口座から毎月18日(休日なら翌営業日)に振り替えられ、月払いのほか半年払い・年払いも選べます。所得が読みにくい年は少額で始め、余裕のある年に増やす使い方ができます。

Q. 払った掛金は経費になりますか?

A. なりません。掛金は事業上の損金や必要経費には算入できず、あくまで個人の「小規模企業共済等掛金控除」として課税所得から差し引きます。法人の役員が加入した場合も、法人の経費ではなく役員個人の所得控除です。税負担を下げる効果は経費と同じですが、確定申告では経費欄ではなく所得控除欄に記載する点が異なります。

Q. 受け取るときに税金はかかりますか?

A. かかりますが、受け取り方で扱いが変わります。共済金を一括で受け取ると退職所得、分割で受け取ると公的年金等の雑所得となり、どちらも退職所得控除や公的年金等控除が使えるため、通常の所得より軽い課税で済みます。ただし65歳未満で任意解約した解約手当金は一時所得扱いとなり、掛金納付月数が240か月(20年)を下回ると受取額が掛金合計を下回ることがあります。

Q. 課税される所得金額とは何ですか?

A. 年収でも、事業の売上でもありません。源泉徴収票や確定申告書に載る「課税される所得金額」で、所得から基礎控除・扶養控除・社会保険料控除などをすべて引いた後の、税率をかける直前の金額です。この額が大きい人ほど高い税率がかかるため、同じ掛金でも節税額は大きくなります。会社員なら源泉徴収票の「課税される所得金額」、個人事業主なら確定申告書の「課税される所得金額」を使ってください。

出典

本ページの解説・計算例は2026年時点の法令にもとづく一般的な情報であり、個別の事案に対する助言ではありません。住民税の減少は所得割を一律10%とした概算で、均等割・調整控除などは含みません。受け取り時の税額は退職所得控除・公的年金等控除の額や他の所得によって変わります。実際の加入資格・税額は中小機構および税理士・税務署でご確認ください。