パート・アルバイトも年末調整は必要?対象と書類の確認表
パート・アルバイトも、勤務先に扶養控除等申告書を出し、年末まで勤務して対象外の区分に当たらなければ、年末調整の対象です。
家族の扶養に入っていることや、給与から所得税が引かれていないことだけで、対象から外れるわけではありません。まずは申告書の提出先と、年末まで働くかを確認します。
この記事は国内で給与を受ける居住者向けに、年末まで働く人・掛け持ちする人・途中で辞めた人の確認事項を整理します。日雇など丙欄の給与や非居住者は、年末調整の対象外の区分で確認してください。
年末まで働くパートの確認表
年末まで勤務する人は、次の表で自分の勤務先が年末調整をするかを確認できます。雇用形態の呼び名による違いはなく、パートとアルバイトで判定を分けません。
令和8年分の年末調整について、国内で給与を受ける居住者の確認表です。主たる給与は、本年中に支払が確定した分で数えます(未払分・対象となる前職分を含む)。
| 確認すること | 対象になる側 | 当てはまらないとき |
|---|---|---|
| 扶養控除等申告書の提出先 | 年末調整時までに、その勤務先へ提出している | 未提出なら提出状況を確認。他社へ提出済みなら掛け持ちの節へ |
| 勤務の状況 | 通年勤務、または途中入社して年末まで勤務する | 途中で辞めた人は、退職の節へ |
| 本年中の主たる給与の収入金額 | 2,000万円以下 | 上限を超える人は年末調整の対象外 |
災害減免法により、その年の給与の源泉所得税等の徴収猶予・還付を受けた人も対象外です。日雇など丙欄の給与・非居住者・中途退職者の例外を含む全体の区分は、対象とならない人の一覧にまとめています。
年末調整は勤務先が行う手続きです。従業員は、対象年分の申告書と、受ける控除に必要な書類を勤務先に提出します。国税庁 No.2665「年末調整の対象となる人」でも、申告書の提出を対象判定の前提にしています。
掛け持ちでは申告書の提出先を確認
掛け持ちをする居住者は、丙欄の給与を除き、通常の扶養控除等申告書をいずれかの勤務先に提出します。両方へ重ねて出すことはできません。提出した先を「主たる給与の支払者」と呼びます。
例えば、飲食店と小売店で掛け持ちし、通常の申告書を飲食店へ出している人は、飲食店で対象の条件を確認します。その年に申告書を出していない小売店の給与を、飲食店の年末調整に足して精算することもできません。
副業分について所得税の確定申告が必要かは、別に確認します。詳しい条件は副業がある人の年末調整へ進んでください。年内に申告書の提出先を変えた人の給与の集計も、同記事で扱っています。
「従たる給与についての扶養控除等申告書」という別の様式もあります。通常の申告書とは異なり、これを出しても乙欄側の勤務先が年末調整をするわけではありません。
途中で辞めた・別の勤務先に移った人
途中で辞めた人は、退職時に年末調整をする例外に当たるかを確認します。死亡退職などの例外に当たらなければ、前の勤務先では年末調整をしません。
通常の扶養控除等申告書を出している居住者のパート等には、年内の給与が基準額以下で、退職後その年に他の勤務先等から給与を受ける見込みがない場合の例外もあります。具体的な条件は、中途退職者の例外で確認してください。
例えば、夏に退職してその年は再就職しない場合も、「退職したから対象外」と決めず、この例外を確認します。年末調整を受けなかった給与は、確定申告が必要な場合や還付申告をする場合に、本人が精算します。
年内に別のパート先へ移った場合
再就職先で年末調整の対象になる人は、前職で通常の扶養控除等申告書を出していた本年分の給与・徴収税額を、源泉徴収票などで確認して通算します。前職の源泉徴収票などで給与と徴収税額を確認できるまでは、新しい勤務先は年末調整を見合わせます。
集計は本年中に支給日が到来して支払が確定した給与が基準で、未払分も含め、前年分の繰越未払給与は除きます。具体的な書類の渡し方は中途入社した年の年末調整で確認してください。同時に掛け持ちしている乙欄の給与と、通算する前職給与を混同しないことが大切です。
年収が低い人も申告書を確認する理由
国内で給与を受ける居住者は、扶養する家族がいない場合も提出対象です(日雇など丙欄の給与を除く)。掛け持ちの提出先は前の節のとおりです。
自分が家族の扶養に入っていることと、自分の勤務先へ申告書を出すことは別です。配偶者や親が勤務先へ出す申告書が、自分の申告書の代わりになるわけではありません。
扶養控除等申告書には、住民税の扶養親族等申告書を兼ねる部分もあります。所得税の税額だけで記入の要否を判断せず、該当する住民税欄も確認します。欄ごとの書き方は扶養控除等申告書の書き方、住民税との関係は年末調整と住民税で扱っています。
家族が受ける税の控除と、健康保険などの被扶養者の判定も分けて確認します。社会保険の収入条件は社会保険の扶養条件、配偶者の税の控除は配偶者控除・配偶者特別控除へ進んでください。
年末調整を受ければ還付される?
還付があるとは限りません。年末調整は、給与から徴収した所得税等と、計算した年税額の過不足を精算する手続きです。過納なら還付、不足なら追加で徴収します。徴収済みの所得税等がなければ、その税の還付はありません。
年末調整の計算機で、対象給与の還付・不足額を確かめる計算機は対象となる給与の精算額を確認するためのものです。対象者の判定と、計算に入れる給与の範囲は、先に確認してください。還付の受け取り方は年末調整の還付金にまとめています。
勤務先へ出す書類と確認する順番
令和8年分の年末調整で、受ける控除に応じて確認する主な書類です。全員がすべての欄を記入するものではありません。
| 書類 | 確認する役割 | 詳しい書き方 |
|---|---|---|
| 扶養控除等申告書 | 提出先と本人・扶養親族等の状況 | 扶養控除等申告書 |
| 基礎控除申告書などの兼用様式 | 本人の所得の見積額と、該当する控除 | 基礎控除申告書 |
| 保険料控除申告書 | 申告する保険料控除と、必要な証明書 | 保険料控除申告書 |
| 前職の源泉徴収票など | 通算対象の前職給与と徴収税額の確認 | 中途入社の年末調整 |
経理担当は、まず申告書の提出先と在職状況を確認し、前職給与があれば源泉徴収票などを確認します。その後に、該当する控除の申告書・証明書をそろえると、対象外の人と書類待ちの人を分けて管理できます。
用紙や入力画面の対象年分も確認してください。必要書類の全体像は年末調整の必要書類、提出に間に合わなかった場合は年末調整はいつまでにまとめています。
- 年末まで働く人は、申告書の提出先と対象外の区分を確認する
- 掛け持ちは主たる勤務先と乙欄の勤務先を分ける
- 退職者は例外を確認し、再就職者は通算対象の前職分を確認する
- 家族の扶養や還付の有無と、申告書を出すことを混同しない
よくある質問
扶養内のパートでも年末調整を受けますか?
対象の条件を満たせば受けます。扶養内という理由では対象から外れません。勤務先へ扶養控除等申告書を出し、年末まで勤務する人は、本文の確認表で対象外の区分にも当たらないかを確認してください。
アルバイト先を掛け持ちしています。両方で年末調整をしますか?
同時に掛け持ちし、年内に申告書の提出先を変えていない場合は、通常の扶養控除等申告書を出した主たる勤務先で、対象の条件を満たせば行います。乙欄の勤務先では行いません。日雇など丙欄の給与は別扱いです。
途中でパートを辞めたら、自分で確定申告が必要ですか?
退職したという理由だけでは、確定申告の要否は決まりません。退職時に年末調整をする例外や、再就職先で前職分を含める場合があります。年末調整を受けなかった給与は、確定申告が必要な場合や還付申告をする場合に本人が精算します。
所得税が給与から引かれていなくても申告書を出しますか?
国内で給与を受ける居住者は、税額や扶養する家族の有無だけでは提出対象から外れません。日雇など丙欄の給与は除きます。掛け持ちなら通常の扶養控除等申告書の提出先を確認してください。
出典
- 国税庁 No.2665「年末調整の対象となる人」
- 国税庁 令和8年分「年末調整のしかた」:対象者、各種申告書、前職給与の集計、過不足額の精算
- 国税庁 源泉徴収のあらまし(令和8年版)第2 給与所得の源泉徴収事務:扶養控除等申告書と税額表の適用欄
- 国税庁 源泉徴収のあらまし(令和8年版)第13 給与所得者の確定申告
- e-Gov法令検索 所得税法190条(年末調整)
この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案に対する助言ではありません。具体的な税務判断は税務署または税理士にご確認ください。個別の税務・労務相談には応じられません。