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屋号とは?個人事業主の付け方と開業届・口座・請求書での使い方

屋号は、個人事業者が事業で使う店名や事務所名です。付けなくても事業はでき、付けるなら開業届と確定申告書の屋号欄に書きます。屋号を名乗るだけなら、商号の登記は要りません。

後から付けたり変えたりしたときは、次の確定申告書に新しい屋号を書きます。この記事では、書類への書き方、使えない文字、屋号付き口座と還付金、請求書での書き方、会社の商号との違いを順に確かめます。

屋号と会社の商号の違い

屋号は個人事業の名前で、付けるかどうかは本人が決めます。国税庁は、屋号を「個人事業者の方が使用する商業上の名」と説明しています。確定申告書の屋号・雅号欄は、屋号や雅号がある場合に書く欄です。

雅号は、著述家や画家などが本名以外につける別名です。確定申告書では屋号と同じ欄に書きます。

比べる点個人事業の屋号会社の商号
付けるか任意。本名だけで事業をしてよい会社は名称を商号とする(会社法6条)
名前に入れる文字会社と誤認される文字は使えない株式会社・合同会社などの種類を入れる
登記商法上の商人は商号登記も選べる(小商人を除く)株式会社は設立の登記で商号を登記する

表の根拠は、会社法6条(会社の商号)、会社法7条(会社と誤認させる名称の禁止)、商法11条(個人の商号)、会社法911条(株式会社の設立の登記)です。

開業届屋号・フリガナ欄(空欄でも出せる) 確定申告書(毎年)屋号・雅号欄に申告時の屋号 必要なときだけ使う 屋号付き口座銀行ごとに違う インボイスの名称発行者の特定が条件 主たる屋号の公表申出したときだけ 商号の登記対象を法務局で確認
屋号を書く場所。税務署の書類は開業届と確定申告書で、口座・請求書・公表・登記は必要なときだけです。

開業届と確定申告書の屋号欄

開業届には「屋号」と「フリガナ(屋号)」の欄があり、決まっていれば書き、決まっていなければ空欄で出せます。国税庁のe-Taxの屋号欄のヘルプも、屋号がある人に入力するよう案内しています。

期限の変わり目と書き方の全体は開業届の期限の記事にまとめています。

確定申告書では、第一表の「屋号・雅号」欄に書きます。屋号がある場合、国税庁の手引きは第一表と同様に第二表にも屋号を書くとしています。税務署から送られた用紙に印字された屋号に誤りがある場合は、訂正します。

「職業」欄と「屋号・雅号」欄は別の欄です。職業欄には事業の内容を具体的に書きます(兼業なら全事業)。屋号や雅号が無ければ、屋号・雅号欄は空欄にします。

後から付ける・変えるとき

屋号を後から付けたり変えたりしたら、次に出す確定申告書の屋号欄に新しい屋号を書きます。所得税法229条は、屋号だけの変更を届出事由に挙げていません。

開業届の「届出の区分」も、開業・廃業・事務所・事業所の新設等の3つです。事務所移転や廃業を伴う場合の扱いは、開業届の解説で確認してください。

下表は、国内で不動産所得・事業所得・山林所得を生ずる個人事業の手続です。

変わったこと税務署への手続
屋号だけ次の確定申告書に新しい屋号を書く。インボイスの公表変更は別途
事務所・事業所の移転開業・廃業等届出書(区分は事務所・事業所の新設等)
住所(納税地)確定申告書に異動後の納税地を書く。年の途中に送付先を変えたいときは申出書を随時出せる
インボイスで公表している屋号公表事項の公表(変更)申出書(下の節)

納税地の扱いは国税庁 No.2091の表によります。都道府県税事務所や年金事務所などにも届出が要る場合があると、同じページが案内しています。

税務署の外では、口座の名義、請求書・名刺・ウェブサイトの表示、取引先への連絡が残ります。許認可を受けている事業は、許認可の窓口にも確かめます。

屋号に使えない文字

屋号に「株式会社」「合同会社」のような、会社と誤認される文字は入れられません。会社法7条が、会社でない者が名称に会社と誤認されるおそれのある文字を使うことを禁じているためです。

銀行のように、業法が名称の使用を制限している業種もあります。銀行法6条2項は、銀行でない者が名称に銀行であることを示す文字を使うことを禁じています。

他人の店や会社と紛らわしい名前も避けます。商法12条と会社法8条は、不正の目的で他の商人・会社と誤認されるおそれのある名称を使うことを禁じています。

決める前に、同じ地域・同じ業種の名前をネットで検索し、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で商標も調べておくと、看板や名刺を作った後の作り直しを防げます。

屋号付き口座と還付金の口座

屋号付き口座を作れるか、名義の並びや必要書類は、金融機関ごとに違います。申し込む前に、その金融機関の案内を確かめます。

確定申告の還付金は、名義に屋号が入った口座には振り込まれません。納税管理人を指定していない人は、還付金の受取りに申告者本人の氏名のみの口座を指定します。納税管理人を指定している人の還付金は、管理人名義の口座で受け取ります。一部のインターネット専用銀行には還付金を振り込めないので、事前にその銀行へ確かめます。

受取口座の書き方は還付金の振込みの記事にあります。

請求書・領収書とインボイスの屋号

インボイス(適格請求書)の発行者名は、電話番号などで発行者を特定できれば屋号でも書けます(国税庁インボイスQ&A 問55)。

インボイスの登録番号は省けません。消費税法57条の4は、適格請求書の記載事項の1つ目を「適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号」としています。

インボイスの公表サイトで個人事業者の屋号が出るのは、登録した本人が申し出た場合の主たる屋号だけです。請求書の屋号と公表サイトの氏名を取引先が結び付けられるよう、屋号と氏名を並べて書く方法もあります。

主たる屋号を公表したい・変えたいときは、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を出します。e-Taxで出すか、書面で納税地を管轄する業務センターへ送ります。登録申請書と同時に出せば、反映された状態で公表されます。

取引先の登録番号の形式を確かめる(インボイス登録番号チェック)

請求書全体の書き方は請求書の書き方、領収書は領収書の書き方を参照してください。

屋号を商号として登記するか

個人事業者のうち商法上の商人は、商号登記を選べますが、義務ではありません(小商人を除く)。商法11条は、個人の商人が氏名その他の名称を商号にできると定めています。

商法7条により、小商人には商号登記の規定が適用されません。登記を希望する場合は、自分が対象になるか管轄の法務局へ確認します。

登記する場合、商号の登記は営業所ごとにします。登記事項は商号・営業の種類・営業所・商号使用者の氏名及び住所の4つです(商業登記法28条)。

個人が本店の所在地で商号の新設(又は取得による変更)の登記をするときの登録免許税は、申請件数1件につき3万円です。支店の所在地での商号の新設登記は、この額とは異なります。

商業登記法27条が商号の登記を拒むのは、他人が既に登記した商号と同じ商号で、営業所の所在場所も同じ場合です(会社は本店の所在場所)。会社にして商号を登記する段階なら法人成りの記事を参照してください。

屋号の要点

屋号は任意で、付けるなら開業届と確定申告書の屋号欄に書きます。変えたら次の確定申告書に新しい屋号を書き、会社と誤認される文字は使いません。還付先には屋号付き口座を指定しません。

よくある質問

個人事業主は屋号を付けないといけませんか?

付けなくてかまいません。開業届の屋号欄は空欄で出せ、確定申告書の屋号・雅号欄も屋号や雅号がある場合に書く欄です。

屋号を変えたら税務署に届出が要りますか?

屋号だけを変えたなら、次の確定申告書の屋号欄に新しい屋号を書きます。所得税法229条は、屋号だけの変更を届出事由に挙げていません。インボイスで屋号を公表しているなら変更の申出書を出します。

屋号に「株式会社」や「合同会社」と入れられますか?

入れられません。会社法7条が、会社でない者が名称に会社と誤認されるおそれのある文字を使うことを禁じています。

屋号付き口座で確定申告の還付金を受け取れますか?

受け取れません。国税庁は、名義に屋号が含まれる口座には還付金を振り込めないとしています。納税管理人を指定していない人は、申告者本人の氏名のみの口座を使います。指定している人は、その管理人名義の口座です。一部のネット銀行は還付に対応しないため、利用前に銀行へ確認します。

請求書やインボイスを屋号だけで出してもよいですか?

電話番号を書くなどして発行者を特定できれば、インボイスの名称は屋号でもよいとされています。インボイスの登録番号は省けません。取引先が公表サイトで確かめやすいよう、氏名を並べて書く方法もあります。

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出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。

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