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パートとアルバイトの違い — 法律上の区別は無い。どちらも同じ定義・同じ基準で判定する

結論から言うと、パートとアルバイトに法律上の違いはありません。どちらも、パートタイム・有期雇用労働法の同じ定義で「短時間労働者」「有期雇用労働者」に当たるかを判定します。

労働条件の明示・有給休暇・最低賃金・社会保険・雇用保険・年末調整も、根拠の条文は呼び名を要件にしていません。

呼び名で変わらないもの(早見表)

次の7つは、パートでもアルバイトでも同じ基準で判定します。決め手は所定労働時間・契約期間・学生かどうかなどの実態です。

表は会社に雇われる人についての要約です。家事使用人と同居の親族のみを使用する事業は労働基準法と最低賃金法の、船員は労働基準法15条・39条などの対象外です(労働基準法116条・最低賃金法2条1号)。公務員・船員はパートタイム・有期雇用労働法の対象外です(同法29条)。

パートとアルバイトで扱いが変わらないもの
項目決め手根拠
労働条件の明示呼び名に関係なく必要。短時間・有期雇用労働者には追加の明示事項がある労働基準法15条、パートタイム・有期雇用労働法6条
年次有給休暇雇入れから6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した人に付与。業務上の傷病の療養、育児休業・介護休業、産前産後の休業の期間は出勤とみなす労働基準法39条
最低賃金呼び名に関係なく適用。例外は許可を受けた減額の特例など最低賃金法4条・7条
健康保険・厚生年金保険所定労働時間・日数、学生かどうかなど健康保険法3条1項9号、厚生年金保険法12条5号
雇用保険所定労働時間、雇用見込みの期間、学生かどうかなど雇用保険法6条
年末調整扶養控除等申告書を出した会社が年最後の給与を払う居住者で、その年に支払確定の給与等(一定の前職分を含む)が2,000万円以下。年内に他社へ出す見込みの人を除く所得税法190条
待遇差のルール短時間・有期雇用労働者と通常の労働者の待遇差。要件は下の「呼び名で待遇を分けるとき」パートタイム・有期雇用労働法8条・9条
最低賃金チェッカーで、時間給が都道府県の最低賃金を下回っていないか確かめる

法律上の位置づけ — 短時間労働者と有期雇用労働者

パートタイム・有期雇用労働法は、呼び名ではなく所定労働時間と契約期間で、短時間労働者・有期雇用労働者を定義しています(公務員・船員は同法29条で対象外)。同法2条1項は、短時間労働者を次のように定めています。

この法律において「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者(当該事業主に雇用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業主に雇用される労働者にあっては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該労働者と同種の業務に従事する当該通常の労働者)の一週間の所定労働時間に比し短い労働者をいう。

厚生労働省も、パートタイマーやアルバイトなど呼び方が違っても、この条件を満たせばパートタイム労働者になると案内しています。

短時間労働者・有期雇用労働者に当たるかは、2条1項の所定労働時間の比較と契約期間で決まり、呼び名では決まらない 2条の区分は呼び名でなく2つの軸で決まる 期間の定めあり(有期) 期間の定めなし(無期) 所定労働時間が 通常の労働者 より短い 所定労働時間が 通常の労働者 と同じ 短時間労働者 +有期雇用労働者 短時間労働者 有期雇用労働者 どちらにも 当たらない
所定労働時間は2条1項の比べ方(同種の業務の通常の労働者と比べるなど)で見る。破線の枠の人は、呼び名がアルバイトでも同法の短時間・有期雇用労働者ではない

2条1項で比べる相手と所定労働時間が同じで、期間の定めも無い人は、呼び名がパートやアルバイトでも、この法律の短時間・有期雇用労働者に当たりません。

雇い入れるときに明示すること

労働基準法15条1項により、労働契約を結ぶときは、呼び名にかかわらず労働者(船員・家事使用人などを除く)に労働条件を明示します。賃金・労働時間など一定の事項は書面の交付が原則です。本人が希望すれば、出力して書面にできるFAX・電子メール等でも明示できます。

短時間・有期雇用労働者(公務員・船員を除く)を雇い入れたら、速やかに次の5つも文書の交付等(本人が希望すれば、出力して書面にできるFAX・電子メール等も可)で明示します(パートタイム・有期雇用労働法6条1項・同法施行規則2条1項)。

パートタイム・有期雇用労働法6条1項に違反した者は、同法31条により10万円以下の過料の対象です。書き方は労働条件通知書の記事にまとめています。

学生かどうかで変わる場面

社会保険と雇用保険には、呼び名ではなく学生かどうかで加入の扱いが変わる場面があります。どちらも学生を一律に除くわけではありません。

呼び名で待遇を分けるとき

社内でパートとアルバイトを呼び分けていても、その人がパートタイム・有期雇用労働法の短時間・有期雇用労働者(公務員・船員を除く)なら、同じ事業主の通常の労働者との待遇差には表の3つのルールがかかります(9条は表の要件を満たす人だけ)。

短時間・有期雇用労働者の待遇についての3つのルール
ルール中身
不合理な待遇の禁止(8条)基本給・賞与その他の待遇ごとに、待遇の性質・目的に照らして適切な事情(職務の内容、職務の内容と配置の変更の範囲など)を考慮し、不合理な差を設けない
差別的取扱いの禁止(9条)職務の内容が同じで、雇用が終わるまで職務の内容と配置の変更の範囲も同じと見込まれる人は、短時間・有期雇用であることを理由に差別しない
説明義務(14条2項・3項)求めがあれば、待遇の相違の内容と理由、6条〜13条の措置を決めるときに考慮した事項を説明する。求めたことを理由に不利益に扱わない

8条・9条で比べる相手は通常の労働者で、短時間・有期雇用労働者どうしの差はこの2つの条の対象ではありません。詳しくは同一労働同一賃金とはで扱っています。

正社員・派遣社員との違い

正社員との違いも、呼び名ではなく所定労働時間と契約期間で考えます。パートタイム・有期雇用労働法が比べる相手は「通常の労働者」です。統計上の区分(労働力調査の7区分)は非正規雇用とはで扱っています。

派遣社員は、雇用主が違います。労働者派遣法2条1号・2号により、派遣社員は派遣元が雇用する労働者で、派遣先の指揮命令を受けて派遣先のために働きます。派遣ではなく働く会社に直接雇われているパートやアルバイトは、その会社が雇用主です。期間の制限は派遣の3年ルールで確かめてください。

間違えやすい点

まとめ
  • パートとアルバイトに法律上の区別は無い。どちらも同じ定義で短時間労働者・有期雇用労働者に当たるかを判定する
  • 労働条件の明示・有給・最低賃金・社会保険・雇用保険・年末調整の根拠の条文は、呼び名を要件にしていない
  • 短時間・有期雇用労働者(公務員・船員を除く)を雇い入れたら、昇給・退職手当・賞与の有無など5つも、速やかに文書を交付して明示する(FAX・出力できる電子メール等は本人が希望した場合だけ)
  • 社会保険・雇用保険には、学生かどうかで扱いが変わる場面がある(例外あり)

よくある質問

パートとアルバイトに法律上の違いはありますか?

ありません。どちらも、パートタイム・有期雇用労働法2条の同じ定義で、短時間労働者(1項)・有期雇用労働者(2項)に当たるかを判定します。定義の中身は本文の「法律上の位置づけ」の節にあります。

アルバイトにも有給休暇はありますか?

あります(船員などは対象外)。雇入れから6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤すれば(業務上の療養のための休業・育児休業などの期間は出勤とみなす)、呼び名にかかわらず付与されます(労働基準法39条1項・10項)。週の所定労働時間が30時間未満で、週の所定労働日数が4日以下の人(週以外で日数を定める人は年48〜216日)は、日数が比例して少なくなります(同条3項)。

フルタイムで働くアルバイトは、短時間労働者ですか?

2条1項で比べる相手(同じ会社の通常の労働者で、同種の業務の人がいれば、省令の例外を除きその人)と所定労働時間が同じなら、短時間労働者ではありません。その場合、契約に期間の定めがあれば有期雇用労働者、無ければ同法のどちらの区分にも当たりません。

パートとアルバイトで年末調整の扱いは変わりますか?

変わりません。年末調整の対象は、その会社に扶養控除等申告書を出した居住者で、その年に支払が確定した給与等(一定の前職分を含む)が2,000万円以下の人です。その会社がその年最後の給与を払うときに行い、年内に他の会社へ申告書を出す見込みの人は除かれます(所得税法190条)。

学生アルバイトは雇用保険に入りますか?

高校・大学などの学生は、原則として雇用保険の適用除外です(雇用保険法6条4号)。卒業後も同じ会社で引き続き働く予定の人、休学中の人、定時制の課程の人などは除外されず、他の要件を満たせば加入します(同法施行規則3条の2)。

次に読む

出典

e-Gov法令検索の条文と、厚生労働省の公表資料を読んで確認。

この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案に対する助言ではありません。ある従業員が短時間労働者・有期雇用労働者に当たるか、社会保険・雇用保険の被保険者になるかは、所定労働時間・契約内容などの実態で判断されます。個別の判断は社会保険労務士・労働基準監督署・ハローワーク・年金事務所にご確認ください。

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