試用期間 — 労働基準法に「試用期間」という言葉は無い。予告なしで解雇できるのは14日まで
結論から言うと、労働基準法に「試用期間」という言葉はありません。本則の全文(約60,417字)を機械で数えても出現回数は0回で、「本採用」も0回です。法律が触れているのは2か所だけ、しかも表記が違います。21条4号の「試の使用期間」と、12条3項5号の「試みの使用期間」です。
つまり試用期間は、法律が作った制度ではなく、労働契約で定める慣行です。だから「最長6か月まで」といった長さの上限も、法律には書かれていません。ただし「法律に定めが無い=会社の自由」ではありません。実務で効くのは次の3点です。
- 予告なしで解雇できるのは入社から14日まで(21条4号ただし書)。試用期間を3か月と定めても、この線は動きません
- 社会保険の資格取得日も、有給休暇の6か月も、入社日から数える(健康保険法35条・厚生年金保険法13条・労働基準法39条1項)。条文に試用期間の例外はありません
- 試用期間中に最低賃金を下回る額にするには、都道府県労働局長の許可が要る(最低賃金法7条2号)。しかも減額できるのは20%までです
そして最も見落とされるのが平均賃金です。12条3項5号は「試みの使用期間」を計算から控除すると定めているのに、労働基準法施行規則3条がそれを打ち消して「算入する」と定めています。同じ期間が、いつ事由が発生したかによって正反対の扱いになります。解雇予告手当の金額に直接効くところなので、この記事ではそこを最も詳しく書きます。
労働基準法に「試用期間」という言葉は無い
まず言葉から確認します。労働基準法の本則を全文取得して数えると、「試用期間」は0回、「本採用」も0回です。法律が使っているのは次の2つの語で、表記がそろっていません。
| 条文 | 使っている語 | 何を定めているか |
|---|---|---|
| 労働基準法21条4号 | 試の使用期間中の者 | 解雇予告(20条)を適用しない。ただし14日を超えたら適用する |
| 労働基準法12条3項5号 | 試みの使用期間 | 平均賃金の計算から日数と賃金を控除する |
| 労働基準法施行規則3条 | 試の使用期間 | 試用期間中に事由が発生した場合は、12条3項にかかわらず算入する |
| 最低賃金法7条2号 | 試の使用期間中の者 | 労働局長の許可を受ければ最低賃金額を減額できる |
労働基準法施行規則の本則(約63,353字)も同様に数えると、「試みの使用期間」は0回、「試の使用期間」が1回(3条)だけでした。全文を数えたうえでの「定めが無い」であって、見落としではありません。
この結果、実務でよく問われる次の点には、いずれも法律上の答えがありません。試用期間を何か月にするか、延長できるか、延長は何回までか、試用期間中の賃金を本採用後より低くするか。これらはすべて労働契約と就業規則で決める事項です。「試用期間は最長1年まで」といった説明を見かけることがありますが、それは裁判例の傾向を要約したものであって、条文にその数字があるわけではありません。
試用期間は、採用時に会社が解約権を留保した労働契約だと理解されています。留保されているのは解約権であって、契約そのものは入社日に成立しています。したがって労働契約法16条(解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は無効)は試用期間中の解雇にも及びます。本採用を拒否する場合も、通常の解雇より緩やかに判断されるとしても、理由が要らないわけではありません。
予告なしで解雇できるのは14日まで(21条4号ただし書)
労働基準法20条1項は、解雇するには30日前の予告か、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を求めています。21条はその適用除外を4類型定めており、その4号が「試の使用期間中の者」です。
ここで読み落としてはいけないのが、21条本文に続くただし書です。条文は「第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない」と定めています。つまり20条が外れるのは最初の14日だけで、15日目以降は試用期間中であっても予告か手当が必要になります。
| 入社からの日数 | 20条(解雇予告)の適用 | 必要な手続 |
|---|---|---|
| 1日目〜14日目 | 適用されない(21条4号) | 予告も解雇予告手当も不要 |
| 15日目以降 | 適用される(21条ただし書) | 30日前の予告、30日分以上の平均賃金、またはその組合せ(20条2項) |
「14日を超えて引き続き使用されるに至つた場合」という書き方なので、数えるのは暦日であり、所定労働日ではありません。土日や祝日をはさんでも日数は進みます。また、20条2項により予告と手当は組み合わせられるため、15日目以降であっても「10日前に予告し、20日分の平均賃金を支払う」という処理が可能です。この計算方法は解雇予告手当の記事で詳しく扱っています。
21条が定めているのは予告という手続の要否だけです。入社14日以内であっても、労働契約法16条により解雇そのものの有効性は別に判断されます。「14日以内なら理由を問わず自由に辞めさせられる」という理解は条文の読み違いです。逆に、30日分の解雇予告手当を支払っても、それによって解雇が有効になるわけではありません。
試用期間中の平均賃金は「控除」ではなく「算入」— 施行規則3条が12条3項を打ち消す
ここがこの記事で最も踏み込む部分です。試用期間中に解雇予告手当を計算するとき、平均賃金の出し方が通常と逆になります。
平均賃金の原則は12条1項で、「算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額」です。そして12条3項が、この計算から日数と賃金の両方を控除する期間を5つ挙げており、その5号が「試みの使用期間」です。賃金が低い期間を分母・分子の両方から抜くことで、平均賃金が不当に下がるのを防ぐ規定です。
ところが、労働基準法施行規則3条が次のように定めています。
試の使用期間中に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合においては、法第十二条第三項の規定にかかわらず、その期間中の日数及びその期間中の賃金は、同条第一項及び第二項の期間並びに賃金の総額に算入する。
「かかわらず」と明示して、12条3項の控除を打ち消しています。理由は考えれば分かります。試用期間中に解雇された人は、在籍期間の全部が試用期間です。これを12条3項5号どおりに控除してしまうと、分母も分子も何も残らず、平均賃金を計算できなくなります。だから控除せず、そのまま算入すると定めているのです。
| 事由が発生した時点 | 試用期間の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 試用期間中(試用期間中の解雇など) | 算入する(控除しない) | 労働基準法施行規則3条 |
| 試用期間の終了後(本採用後の休業・解雇など) | 控除する | 労働基準法12条3項5号 |
さらに、雇入れから間もない時期には次の2つも重なります。
- 12条6項 … 「雇入後三箇月に満たない者については、第一項の期間は、雇入後の期間とする」。入社2か月目なら、3か月ではなく入社後の期間で計算します
- 施行規則4条 … 雇入れの日に事由が発生した場合の平均賃金は、都道府県労働局長の定めるところによります。入社当日の事故などがこれに当たります
計算例1 — 月給制(雇入れから50日目に解雇を通告)
月給24万円、4月1日入社、試用期間3か月、賃金締切日は末日。5月20日に解雇を通告した場合を考えます。入社から50日目なので14日を超えており、20条が適用されます。
- 12条2項により、賃金締切日があるので直前の賃金締切日(4月30日)から起算します
- 12条6項により、雇入後3か月に満たないので算定期間は雇入後の期間=4月1日〜4月30日の30日です
- 施行規則3条により、この30日はすべて試用期間ですが控除せず算入します
- 平均賃金 = 240,000円 ÷ 30日 = 8,000円
- 解雇予告手当 = 8,000円 × 30日分 = 240,000円
もしここで12条3項5号だけを読んで試用期間を控除してしまうと、分母も分子も0になり計算が成り立ちません。施行規則3条まで読んで初めて答えが出ます。
計算例2 — 時給制(最低保障が効く場合)
時給1,200円・1日6時間、4月1日入社、4月の所定労働日が17日だった場合です。同じく5月20日に解雇を通告したとします。
- 賃金総額 = 1,200円 × 6時間 × 17日 = 122,400円
- 原則(12条1項本文)= 122,400円 ÷ 30日 = 4,080円
- 最低保障(12条1項ただし書1号)= 122,400円 ÷ 17日 × 60% = 7,200円 × 60% = 4,320円
- ただし書は「下つてはならない」と定めているので、高いほうの4,320円を採ります
- 解雇予告手当 = 4,320円 × 30日分 = 129,600円
時給制・日給制では、暦日で割る原則の額より最低保障のほうが高くなることが珍しくありません。この例でも240円の差がつき、30日分では7,200円の差になります。原則の額だけを出して終わりにすると、支払額が不足します。
社会保険と有給休暇は入社日から数える
「試用期間が終わってから社会保険に入れる」「有給は本採用の6か月後から」という運用を聞くことがありますが、条文にその根拠はありません。
健康保険法35条は「適用事業所に使用されるに至った日……から、被保険者の資格を取得する」と定めています。厚生年金保険法13条1項も「適用事業所に使用されるに至つた日……に、被保険者の資格を取得する」と同じ書き方です。どちらの条文にも試用期間という区別は出てきません。使用関係が始まった日が資格取得日であり、その日が試用期間の初日であっても変わりません。
年次有給休暇も同じです。労働基準法39条1項は「その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して……十労働日の有給休暇を与えなければならない」と定めています。起算点は雇入れの日であり、本採用の日ではありません。試用期間は継続勤務の期間に当然に含まれます。短時間勤務の付与日と比例付与の日数はパート・アルバイトの有給休暇の早見表で確認できます。
| 制度 | 起算日 | 条文 | 試用期間の扱い |
|---|---|---|---|
| 健康保険の被保険者資格 | 適用事業所に使用されるに至った日 | 健康保険法35条 | 区別なし(入社日から) |
| 厚生年金保険の被保険者資格 | 適用事業所に使用されるに至つた日 | 厚生年金保険法13条1項 | 区別なし(入社日から) |
| 年次有給休暇(6か月経過で10日) | 雇入れの日 | 労働基準法39条1項 | 継続勤務に算入 |
したがって、3か月の試用期間を設けている会社であっても、有給休暇の最初の付与日は入社から6か月後です。試用期間の終了から6か月後ではありません。加入手続についても、試用期間であることを理由に資格取得届の提出を遅らせる扱いは、条文からは出てきません。
年次有給休暇の付与日数を確認する(勤続年数・週所定日数から)試用期間中に賃金を下げるには労働局長の許可が要る
試用期間中の時給を本採用後より低く設定する運用があります。最低賃金を上回る範囲で下げること自体は労働契約の問題ですが、最低賃金額そのものを下回らせるには手続が要ります。
最低賃金法7条は、「使用者が厚生労働省令で定めるところにより都道府県労働局長の許可を受けたときは」と書き出したうえで、対象者の2号に「試の使用期間中の者」を挙げています。減額できる率は厚生労働省令に委ねられており、最低賃金法施行規則5条の表が、法7条2号に掲げる者について「百分の二十」と定めています。
この減額は、会社が単独で決められるものではありません。都道府県労働局長の許可が前提であり、許可を受けずに最低賃金額を下回る賃金を支払えば最低賃金法違反になります。また、許可を受けた場合でも減額できるのは20%までで、率は職務の内容・成果・労働能力・経験などを勘案して定めるものとされています。20%が自動的に認められるわけではなく、上限です。
仮に最低賃金額が時間額1,200円の地域であれば、許可を受けたうえで減額できるのは240円までで、下限は960円という計算になります。実際の最低賃金額は都道府県ごとに異なり、毎年10月ごろに改定されます。自社の地域の額は次のツールで確認できます。
都道府県別の最低賃金と自分の時給を比較する就業規則にどこまで書くか
労働基準法89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に就業規則の作成・届出を義務づけ、記載事項を10号まで列挙しています。試用期間に関しては、2つの号を分けて考える必要があります。
まず89条3号は「退職に関する事項(解雇の事由を含む。)」です。3号の2以下が「……の定めをする場合においては」という条件付きで始まるのに対し、1号から3号までには条件節がありません。つまり絶対的必要記載事項です。試用期間中の解雇や本採用の拒否も解雇にあたる以上、その事由は就業規則に書く必要があります。
一方、試用期間を設けること自体の定め(期間の長さ、延長の有無など)は1号から9号までのいずれにも当てはまらないため、10号の「当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項」として記載することになると整理されます。こちらは条件付きの相対的必要記載事項です。
実務上の含意は単純です。試用期間を設けるなら、期間の長さだけを書いて終わりにせず、本採用しない場合の事由まで書く。前者は相対的、後者は絶対的な記載事項だからです。就業規則の作成・届出・周知の手続そのものは就業規則の記事で扱っています。
よくある質問
Q. 試用期間中なら、いつでも自由に解雇できますか?
A. できません。労働基準法21条4号は「試の使用期間中の者」を解雇予告の適用除外にしていますが、同条ただし書が「第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない」と定めているため、予告が不要なのは入社から14日までです。15日目以降は、試用期間中であっても30日前の予告か30日分以上の平均賃金が必要になります。試用期間を3か月と定めていても、この14日という線は動きません。さらに重要なのは、21条が定めているのが予告という手続の要否だけだという点です。解雇そのものが有効かどうかは労働契約法16条により別に判断され、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない解雇は無効とされます。入社14日以内であっても、理由が要らないわけではありません。
Q. 試用期間の長さに法律上の上限はありますか?
A. ありません。労働基準法の本則を全文で数えても「試用期間」という語は0回、「本採用」も0回で、長さを定めた条文は存在しません。法律が触れているのは21条4号の「試の使用期間」と12条3項5号の「試みの使用期間」の2か所だけで、いずれも期間の長短には言及していません。したがって3か月とするか6か月とするかは労働契約と就業規則で決める事項です。ただし上限が書かれていないことは、どれだけ長くしてもよいという意味ではありません。試用期間は会社が解約権を留保した状態であり、その状態を不必要に長く続けることの合理性は別に問われます。延長についても同様で、延長がありうることとその事由をあらかじめ就業規則や労働条件通知書で示していない場合、一方的な延長は難しくなります。
Q. 試用期間中に解雇したときの平均賃金は、試用期間を除いて計算するのですか?
A. 除きません。算入します。労働基準法12条3項5号は「試みの使用期間」を平均賃金の計算から控除すると定めていますが、労働基準法施行規則3条が「試の使用期間中に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合においては、法第十二条第三項の規定にかかわらず、その期間中の日数及びその期間中の賃金は、同条第一項及び第二項の期間並びに賃金の総額に算入する」と定めて、これを打ち消しています。理由は、試用期間中に解雇された人は在籍期間の全部が試用期間なので、控除すると分母も分子も残らず計算が成り立たなくなるからです。控除が適用されるのは、試用期間が終わった後に事由が発生し、算定期間の一部に試用期間が含まれている場合です。同じ期間でも、事由の発生時点によって扱いが正反対になります。
Q. 入社2か月目に解雇する場合、平均賃金は3か月分で計算できません。どうしますか?
A. 労働基準法12条6項が「雇入後三箇月に満たない者については、第一項の期間は、雇入後の期間とする」と定めているので、雇入後の期間で計算します。あわせて12条2項により、賃金締切日がある場合は直前の賃金締切日から起算します。たとえば月給24万円で4月1日入社、賃金締切日が末日、5月20日に解雇を通告したケースでは、算定期間は4月1日から4月30日までの30日となり、平均賃金は240,000円÷30日=8,000円、解雇予告手当は30日分で240,000円となります。なお雇入れの日そのものに事由が発生した場合は、労働基準法施行規則4条により都道府県労働局長の定めるところによることとされています。
Q. 試用期間中は社会保険に加入させなくてもよいですか?
A. その扱いには条文上の根拠がありません。健康保険法35条は「適用事業所に使用されるに至った日……から、被保険者の資格を取得する」と定め、厚生年金保険法13条1項も「適用事業所に使用されるに至つた日……に、被保険者の資格を取得する」と定めています。どちらの条文にも試用期間による区別は書かれていません。資格取得日は使用関係が始まった日であり、その日が試用期間の初日であっても変わりません。加入するかどうかを分けるのは試用期間かどうかではなく、労働時間・労働日数などの適用要件を満たすかどうかです。試用期間であることを理由に資格取得届の提出を先送りする運用は、条文からは導けません。
Q. 有給休暇は試用期間が終わってから6か月後に発生するのですか?
A. 違います。入社日から6か月後です。労働基準法39条1項は「その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない」と定めており、起算点は雇入れの日です。本採用の日ではありません。試用期間も継続勤務の期間に含まれるため、3か月の試用期間を設けている会社でも、最初の付与日は入社から6か月後になります。出勤率8割の判定においても、試用期間中の出勤日は全労働日として数えます。試用期間が終わってから改めて6か月を数える運用は、条文の起算点と一致しません。
Q. 試用期間中だけ時給を最低賃金より低くできますか?
A. 都道府県労働局長の許可を受けた場合に限り、20%まで減額できます。最低賃金法7条は「使用者が厚生労働省令で定めるところにより都道府県労働局長の許可を受けたときは」と書き出したうえで、対象者の2号に「試の使用期間中の者」を挙げています。減額の率は最低賃金法施行規則5条の表に定めがあり、法7条2号に掲げる者については百分の二十とされています。ここで重要なのは許可制だという点で、会社が単独で決められるものではありません。許可を受けずに最低賃金額を下回る賃金を支払えば最低賃金法違反になります。また20%は上限であり、率は職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を勘案して定めるものとされているため、常に20%が認められるわけではありません。
Q. 就業規則には試用期間についてどこまで書く必要がありますか?
A. 期間の定めと、本採用しない場合の事由の両方です。労働基準法89条3号は「退職に関する事項(解雇の事由を含む。)」を掲げており、1号から3号までには「……の定めをする場合においては」という条件節がないため絶対的必要記載事項です。試用期間中の解雇や本採用の拒否も解雇にあたる以上、その事由は書く必要があります。一方、試用期間を設けること自体の定めは1号から9号までのいずれにも当てはまらないため、10号の「当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項」として記載することになると整理され、こちらは相対的必要記載事項です。実務では、期間の長さだけを書いて解雇事由を書いていない例が見られますが、義務の強さは逆になっている点に注意が必要です。
出典
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和二十二年法律第四十九号)第12条(平均賃金。第1項=「算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額」および同項ただし書第1号=「賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十」、第2項=「賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する」、第3項=控除される期間の第1号〜第5号のうち第5号が「試みの使用期間」、第6項=「雇入後三箇月に満たない者については、第一項の期間は、雇入後の期間とする」)・第20条(解雇の予告。第1項=「少くとも三十日前にその予告」「三十日分以上の平均賃金」、第2項=「前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる」)・第21条(第4号=「試の使用期間中の者」、ただし書=「第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない」)・第39条第1項(「その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない」)・第89条(第1号〜第3号は条件節なし、第3号=「退職に関する事項(解雇の事由を含む。)」、第3号の2以下はいずれも「……の定めをする場合においては」、第10号=「前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項」)。API v2で取得(本文はいずれも本則=MainProvision)。本則全文(約60,417字)に対する語の出現回数を計数し、「試用期間」0回・「本採用」0回、「試の使用期間」1回(第21条)・「試みの使用期間」1回(第12条)であることを確認
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(昭和二十二年厚生省令第二十三号)第3条(「試の使用期間中に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合においては、法第十二条第三項の規定にかかわらず、その期間中の日数及びその期間中の賃金は、同条第一項及び第二項の期間並びに賃金の総額に算入する。」)・第4条(「法第十二条第三項第一号から第四号までの期間が平均賃金を算定すべき事由の発生した日以前三箇月以上にわたる場合又は雇入れの日に平均賃金を算定すべき事由の発生した場合の平均賃金は、都道府県労働局長の定めるところによる。」)。API v2で取得。本則全文(約63,353字)に対して計数し、「試みの使用期間」0回・「試の使用期間」1回(第3条)であることを確認
- e-Gov法令検索「労働契約法」(平成十九年法律第百二十八号)第16条(解雇。「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」)。API v2で取得
- e-Gov法令検索「最低賃金法」(昭和三十四年法律第百三十七号)第7条(最低賃金の減額の特例。「使用者が厚生労働省令で定めるところにより都道府県労働局長の許可を受けたときは」、第2号=「試の使用期間中の者」)、および「最低賃金法施行規則」(昭和三十四年労働省令第十六号)第5条(最低賃金の減額の率。表において「法第七条第二号に掲げる者」は「百分の二十」。本文は「同表の下欄に定める率以下の率であつて、当該者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を勘案して定めるものとする」)。API v2で取得
- e-Gov法令検索「健康保険法」(大正十一年法律第七十号)第35条(資格取得の時期。「適用事業所に使用されるに至った日若しくはその使用される事業所が適用事業所となった日又は第三条第一項ただし書の規定に該当しなくなった日から、被保険者の資格を取得する」)、および「厚生年金保険法」(昭和二十九年法律第百十五号)第13条第1項(資格取得の時期。「適用事業所に使用されるに至つた日若しくはその使用される事業所が適用事業所となつた日又は前条の規定に該当しなくなつた日に、被保険者の資格を取得する」)。API v2で取得
- 本文中の計算例は、上記の条文を数値例に当てはめて算出したもの。計算例1は月給240,000円・4月1日入社・賃金締切日は末日・5月20日に解雇通告という前提で、240,000円÷30日=8,000円、8,000円×30日分=240,000円。計算例2は時給1,200円・1日6時間・4月の所定労働日17日という前提で、賃金総額1,200×6×17=122,400円、原則122,400÷30=4,080円、最低保障122,400÷17×60%=4,320円、高いほうを採って4,320円×30日分=129,600円、原則との差は1日240円・30日分で7,200円。最低賃金の減額の例(時間額1,200円の20%減で960円)は、地域別最低賃金額を仮に置いた計算例であり、特定の都道府県の実際の額ではない
この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案についての助言ではありません。本記事で確認したのは労働基準法・労働基準法施行規則・労働契約法・最低賃金法・最低賃金法施行規則・健康保険法・厚生年金保険法の条文の記載までです。特定の従業員について試用期間中の解雇や本採用の拒否が有効かどうかの判断、個別の平均賃金の算定、最低賃金の減額の特例許可を受けられるかどうかの見込み、自社の就業規則の記載が十分かどうかの評価までは含みません。試用期間の設定や解雇の可否、就業規則の作成・変更については事業場を管轄する労働基準監督署または社会保険労務士に、社会保険の資格取得の手続については年金事務所または加入している健康保険組合にご確認ください。