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派遣の3年ルールと抵触日 — 延長できるのは事業所単位だけで、個人単位には延長の規定がない

結論から言うと、派遣の「3年」は2つあって、性質が違います。1つは労働者派遣法40条の2の事業所単位の3年で、これは過半数労働組合等の意見を聴けば3年ずつ何度でも延長できます。もう1つは40条の3の組織単位(いわゆる個人単位)の3年で、こちらには延長の規定が置かれていません。同じ人を同じ課で4年目も使う、という選択肢は条文上そもそも用意されていない、というのが要点です。

そのうえで、実務でいちばん誤解されているのが「うちは事業所単位を延長していないから、個人単位の3年は関係ない」という理解です。たしかに派遣先を縛る40条の3は「前条第三項の規定により派遣可能期間が延長された場合において」という条件つきです。ところが派遣元を縛る35条の3には、その条件がありません。同じ3年でも、派遣先側と派遣元側で発動の条件が違います。延長していなければ派遣先は40条の3に触れませんが、派遣元は無条件に止まるので、結局その人は4年目に入れません。

この記事では、①2つの3年の関係 ②「組織単位」は課の名前ではないこと ③抵触日の通知が誰の義務か ④延長の手続と意見聴取 ⑤異議が出たときにどうなるか ⑥5つの例外 ⑦「クーリング期間3か月」は条文にないこと ⑧違反したときの労働契約申込みみなし、を条文の実物を引きながら順に見ます。

3年は2つある — 事業所単位と組織単位

労働者派遣法40条の2第1項の本文は、次のとおりです。

派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。

主語は派遣先で、単位は事業所その他派遣就業の場所ごとです。人ではなく場所を縛っています。その「派遣可能期間」を定めているのが同条2項です。

前項の派遣可能期間(以下「派遣可能期間」という。)は、三年とする。

もう1つの3年は40条の3にあります。

派遣先は、前条第三項の規定により派遣可能期間が延長された場合において、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、派遣元事業主から三年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(同条第一項各号のいずれかに該当するものを除く。)の役務の提供を受けてはならない。

こちらは組織単位ごとで、しかも同一の派遣労働者に係ると書いてあります。人を縛る規定です。この2つを表にすると、性質の違いがはっきりします。

事業所単位(40条の2)組織単位=個人単位(40条の3)
何を縛るか事業所その他派遣就業の場所組織単位 × 同一の派遣労働者
期間3年3年
延長できる(3項。3年を限り、以後も同様)延長の規定がない
手続過半数労働組合等への意見聴取(4項)
人を入れ替えたら期間は続く(場所を縛るため)リセットされる(同一の派遣労働者が要件)
同じ人を別の課へ移したら期間は続くリセットされる(組織単位が変わるため)

つまり、事業所単位は「その職場で派遣を使い続けてよい期間」、組織単位は「その人をその課に置いておける期間」です。どちらか一方だけを見ていると、片方に必ずぶつかります。

事業所単位(40条の2)— 意見聴取をすれば3年ずつ延ばせる 1〜3年目 4〜6年目(延長) 7〜9年目(再延長) 抵触日(延長しなければここで終わり) 組織単位=同じ人を同じ課で(40条の3)— 延長の規定がない Aさん 1〜3年目 ここで打ち止め。4年目は無い → 事業所単位を延長しても、Aさんを同じ課に置き続けることはできない → 別の課(別の組織単位)へ移すか、Aさんを別の人に替えるかの二択になる ※ 40条の2第1項各号の5つの例外に当たる派遣は、どちらの3年からも外れる
事業所単位の3年は意見聴取を経て3年ずつ延長できるが、組織単位の3年には延長の条文が置かれていない。

「組織単位」は課の名前ではない。省令は法より狭い

組織単位の定義は、法26条1項2号のかっこ書きにあります。そこでは「労働者の配置の区分であつて、配置された労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者が当該労働者の業務の配分に関して直接の権限を有するものとして厚生労働省令で定めるもの」とされ、中身は省令へ投げられています。受けた施行規則21条の2は次のとおりです。

法第二十六条第一項第二号の厚生労働省令で定める区分は、名称のいかんを問わず、業務の関連性に基づいて法第二条第四号に規定する派遣先(以下単に「派遣先」という。)が設定した労働者の配置の区分であつて、配置された労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者が当該労働者の業務の配分及び当該業務に係る労務管理に関して直接の権限を有するものとする。

読むべき点が2つあります。

1つは「名称のいかんを問わず」という書き出しです。「課」「グループ」「チーム」といった呼び名は関係なく、業務の関連性に基づいて派遣先が設定した配置の区分かどうかで決まります。組織図の箱を分けただけでは組織単位は変わりません。

もう1つは、省令が法より条件を1つ増やしていることです。法26条1項2号は「業務の配分に関して直接の権限を有するもの」としか言っていませんが、施行規則21条の2は「業務の配分及び当該業務に係る労務管理に関して直接の権限を有するもの」としています。業務を割り振る権限だけでなく、労務管理の権限まで持っている単位でなければ組織単位に当たりません。

「隣の課へ移せばリセットされる」を安易に使わない

組織単位が変われば40条の3の3年は数え直しになりますが、その「別の課」が施行規則21条の2の要件を満たしていなければ、そもそも別の組織単位ではありません。長も労務管理の権限も同じで、席と呼び名だけ変えた、という形は組織単位が変わっていないと評価される余地があります。組織単位は労働者派遣契約の記載事項(法26条1項2号)でもあるため、契約書の記載と実態がずれていないかも併せて確認してください。

抵触日の通知 — 義務は派遣先、契約を禁じられるのは派遣元

「抵触日」という言葉は、40条の2第1項に抵触することになる最初の日、という意味で条文に何度も出てきます。この日を伝えるのは派遣先の義務です。法26条4項が定めています。

派遣元事業主から新たな労働者派遣契約に基づく労働者派遣(第四十条の二第一項各号のいずれかに該当するものを除く。次項において同じ。)の役務の提供を受けようとする者は、第一項の規定により当該労働者派遣契約を締結するに当たつては、あらかじめ、当該派遣元事業主に対し、当該労働者派遣の役務の提供が開始される日以後当該労働者派遣の役務の提供を受けようとする者の事業所その他派遣就業の場所の業務について同条第一項の規定に抵触することとなる最初の日を通知しなければならない。

ところが、通知がなかったときに動けなくなるのは派遣元です。同条5項がこう定めます。

派遣元事業主は、新たな労働者派遣契約に基づく労働者派遣の役務の提供を受けようとする者から前項の規定による通知がないときは、当該者との間で、当該者の事業所その他派遣就業の場所の業務に係る労働者派遣契約を締結してはならない。

★ここが非対称です。通知するのは派遣先の義務なのに、通知が無い状態で契約を結んではいけないと名指しで禁じられているのは派遣元です。派遣会社から「抵触日を書面で教えてください、いただけないと契約できません」と繰り返し求められるのは、担当者が細かいのではなく、契約締結そのものが条文で禁じられているからです。

あわせて、26条4項のかっこ書き「(第四十条の二第一項各号のいずれかに該当するものを除く。)」にも注意が要ります。後述する5つの例外に当たる派遣は、そもそも期間制限の対象外なので抵触日の通知自体が要りません。無期雇用の派遣労働者だけを受け入れている場合に抵触日の通知を求められない理由はここにあります。

延長したときの通知義務は、別に40条の2第7項に置かれています。

派遣先は、第三項の規定により派遣可能期間を延長したときは、速やかに、当該労働者派遣をする派遣元事業主に対し、当該事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について第一項の規定に抵触することとなる最初の日を通知しなければならない。

つまり抵触日の通知は契約のときに1回(26条4項)、延長したらもう1回(40条の2第7項)の、二段構えになっています。延長したのに派遣元へ通知していないと、派遣元は古い抵触日で管理を続けることになります。

延長の手続 — 意見聴取は「1か月前の日まで」

事業所単位の延長を定めるのが40条の2第3項です。長い条文ですが、期限の書き方に特徴があります。

派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から三年を超える期間継続して労働者派遣(第一項各号のいずれかに該当するものを除く。以下この項において同じ。)の役務の提供を受けようとするときは、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務に係る労働者派遣の役務の提供が開始された日(この項の規定により派遣可能期間を延長した場合にあつては、当該延長前の派遣可能期間が経過した日)以後当該事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について第一項の規定に抵触することとなる最初の日の一月前の日までの間(次項において「意見聴取期間」という。)に、厚生労働省令で定めるところにより、三年を限り、派遣可能期間を延長することができる。当該延長に係る期間が経過した場合において、これを更に延長しようとするときも、同様とする。

ここから3つ読み取れます。

意見の聴き方は40条の2第4項が過半数労働組合等への意見聴取を義務づけ、その具体的な手続を施行規則33条の3が定めています。同条1項は、過半数労働組合または過半数代表者に対し「派遣可能期間を延長しようとする事業所等」と「延長しようとする期間」を書面により通知しなければならないとしています。口頭で意向を確かめるだけでは足りません。

さらに同条3項は、意見を聴いた場合に意見を聴いた相手の名称または氏名/通知した日と通知した事項/意見を聴いた日と意見の内容/意見を聴いて延長する期間を変更したときはその変更した期間を書面に記載し、延長前の派遣可能期間が経過した日から3年間保存することを求めています。同条4項は、その内容を事業所等の労働者へ周知することまで義務づけています。周知の方法は、見やすい場所への掲示・備付け、書面の交付、労働者が常時確認できる機器を備えた電子的な記録の3つです。

過半数代表者の選び方にも要件があります。施行規則33条の3第2項は、労働基準法41条2号の監督または管理の地位にある者でないことと、意見を聴取される者を選出することを明らかにして実施される投票・挙手等の民主的な方法で選出され、派遣先の意向に基づき選出されたものでないことの両方を求めています。管理職を指名して意見を聴いた、という形は要件を満たしません。

異議が出ても延長はできる。ただし説明義務が生じる

意見聴取で異議が出たらどうなるか。条文は延長を禁じていません。40条の2第5項は、異議が出たときに派遣先が負うのは説明義務だと定めています。

派遣先は、前項の規定により意見を聴かれた過半数労働組合等が異議を述べたときは、当該事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、延長前の派遣可能期間が経過することとなる日の前日までに、当該過半数労働組合等に対し、派遣可能期間の延長の理由その他の厚生労働省令で定める事項について説明しなければならない。

期限は「延長前の派遣可能期間が経過することとなる日の前日まで」です。説明すべき事項を受けた施行規則33条の4第1項は、延長の理由およびその延長の期間と、その異議(雇用慣行が損なわれるおそれがある旨の意見に限る)への対応に関する方針の2つを挙げています。2つ目に、雇用慣行が損なわれるおそれがある旨の意見に限るという限定が付いている点は見落としやすいところです。

説明した日と内容も書面に記載して3年間保存し(同条2項)、労働者へ周知しなければなりません(同条3項)。意見聴取の記録と説明の記録は、別々の書面として残ることになります。

なお施行規則33条の5は、過半数代表者であること・過半数代表者になろうとしたこと・過半数代表者として正当な行為をしたことを理由とする不利益取扱いの禁止を定めています。40条の2第6項は、意見聴取と説明を誠実に行うよう努めなければならないという努力義務です。

個人単位の3年 — 派遣先は条件つき、派遣元は無条件

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい非対称です。もう一度40条の3を見ます。冒頭に「前条第三項の規定により派遣可能期間が延長された場合において」という条件が付いています。事業所単位を延長していない派遣先は、条文上この規定に触れません。延長していなければ事業所単位の3年で先に止まるため、個人単位を重ねて書く必要がないからです。

ところが、派遣元を縛る35条の3には、その条件がありません。

派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、三年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(第四十条の二第一項各号のいずれかに該当するものを除く。)を行つてはならない。

「前条第3項により延長された場合において」に相当する文言がまるごとありません。つまり派遣元は、派遣先が延長したかどうかに関係なく、同じ人を同じ組織単位へ3年を超えて送れません

誰を縛るか条文発動の条件
派遣先40条の3事業所単位を延長した場合に限る
派遣元35条の3無条件

実務上の帰結はこうです。「事業所単位を延長していないので個人単位は関係ない」と派遣先が考えても、派遣元の側で契約を続けられません。相手が止まるので、結果は同じです。逆に言えば、派遣先だけが条文を読んで「うちは関係ない」と判断すると、派遣会社から4年目の更新を断られた理由が分からないまま交渉することになります。

同じ構造は事業所単位にもあります。派遣元側の35条の2が、派遣先が40条の2第1項に抵触することになる日以降は継続して労働者派遣を行ってはならない、と定めています。期間制限は派遣先と派遣元の両側から書かれており、どちらか一方だけを読むと片側しか見えません。

どちらの3年からも外れる5つの例外

40条の2第1項のただし書きは、各号のいずれかに該当する労働者派遣を期間制限の対象外としています。そして40条の3も35条の3も、40条の2第1項各号に当たる労働者派遣を除く旨のかっこ書きを持っています(40条の3は「同条第一項各号のいずれかに該当するものを除く」、35条の3は「第四十条の二第一項各号のいずれかに該当するものを除く」と、指し方が違うだけです)。したがってこの5つは、事業所単位からも個人単位からも同時に外れます。号の内容を要約すると次のとおりです(逐語ではありません)。

対象補足
1号無期雇用派遣労働者に係る労働者派遣派遣元と期間の定めのない労働契約を結んでいる人
2号雇用の機会の確保が特に困難な者として厚生労働省令で定める者施行規則32条の4により60歳以上の者
3号イ事業の開始・転換・拡大・縮小・廃止のための業務で、一定の期間内に完了することが予定されているものいわゆる有期プロジェクト業務
3号ロ1か月に行われる日数が、派遣先の通常の労働者の1か月の所定労働日数に比べて相当程度少なく、かつ厚生労働大臣の定める日数以下である業務いわゆる日数限定業務
4号産前産後休業・育児休業をする労働者の業務労働基準法65条1項・2項と育児介護休業法2条1号を名指ししている
5号介護休業およびこれに準ずる休業をする労働者の業務育児介護休業法2条2号

表の行が6つあるのは、3号がイとロの2つに枝分かれしているためです。号としては5つです。

2号の「厚生労働省令で定める者」を受けた施行規則32条の4は、一文で終わります。

法第四十条の二第一項第二号の厚生労働省令で定める者は、六十歳以上の者とする。

4号の「その他これに準ずる場合」を受けた施行規則33条は、産前休業に先行し、または産後休業もしくは育児休業に後続する休業であって、母性保護または子の養育をするためのものをする場合としています。産休・育休そのものに前後してつながる休業も、代替要員の派遣は期間制限の対象外になります。

例外に当たると、抵触日の通知も要らなくなる

前述のとおり法26条4項のかっこ書きが「第四十条の二第一項各号のいずれかに該当するものを除く」としているため、5つの例外に当たる派遣は抵触日の通知の対象外です。無期雇用の派遣労働者だけを受け入れているのに抵触日を管理する台帳を作っている、という運用は必須ではありません。逆に、有期雇用の人が1人でも混ざれば通知が必要になります。受け入れている人の雇用形態が変わったら、抵触日の管理も切り替わります。

「クーリング期間3か月」は条文にない

派遣の期間制限を調べると、必ず「3か月を超える空白があれば継続とみなされない(クーリング期間)」という説明に行き当たります。ところが、これは法律にも施行規則にも書かれていません

実測すると、労働者派遣法の全文(附則を含めて約74,000字)に「クーリング」は0回、施行規則の全文(約52,000字)にも0回です。「三月」は法に4回出てきますが、確認すると4回とも附則の施行期日(「公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」など)で、期間制限とは関係がありません。施行規則の「三月」9回も、許可の有効期間の更新申請(5条)、事業報告書・収支決算書の提出期限(17条)、関係派遣先派遣割合報告書の提出期限(17条の2)などで、やはり別の話です。検索経路が生きていることは、同じ実行で「継続して」が法に14回・規則に3回、「組織単位」が法に9回・規則に4回、「抵触」が法に14回・規則に3回ヒットすることで確かめています。

条文が書いているのは「継続して」という一語だけです(40条の2第1項・40条の3・35条の3)。どれだけ空けば「継続して」に当たらないかは条文に定義がなく、3か月という数字は厚生労働省の指針および業務取扱要領による行政解釈として実務に定着しているものです。

これは「3か月空ければ安全」を否定する話ではありません

行政解釈は、行政指導や許可の判断の場面で実際に基準として使われます。否定したいのは根拠の取り違えです。条文の文言だと思って読むと、①指針は改定されうる(条文と違って国会を通らない) ②空白を作ること自体を目的とした運用は指針が是正の対象としている、という2点が視野から落ちます。3か月の空白を挟んで同じ人を同じ課へ戻す運用を検討するときは、条文ではなくその時点の指針・業務取扱要領の記載を直接確認し、必要なら社会保険労務士に相談してください

違反すると、労働契約の申込みをしたものとみなされる

期間制限に違反したときの効果は、40条の6の労働契約申込みみなし制度です。1項の柱書は、各号のいずれかに該当する行為を行った場合にはその時点で、派遣労働者に対し、その時点における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなすとしています。ただし、その行為が各号に該当することを知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったときは適用されません(同項ただし書き)。

各号には、事業所単位の違反(3号)と個人単位の違反(4号)がどちらも入っています。そのうち3号には、見落とされがちなかっこ書きが付いています。

第四十条の二第一項の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること(同条第四項に規定する意見の聴取の手続のうち厚生労働省令で定めるものが行われないことにより同条第一項の規定に違反することとなつたときを除く。)。

意見聴取の手続を踏まなかったことが原因で違反になった場合は、みなし申込みの対象から除かれます。除かれる「厚生労働省令で定めるもの」を受けた施行規則33条の9は、①33条の3第1項の通知 ②同条3項の書面の記載および保存 ③同条4項の周知、の3つを挙げています。手続の不備そのものは違法ですが、そこから直ちに労働契約の申込みが成立するわけではない、という切り分けです。逆に言えば、意見聴取をまったく行わずに4年目へ入ったような場合は3号の本体に当たり得ますので、「手続漏れは除外される」を広く読み過ぎないでください。

みなされた申込みの扱いも条文にあります。40条の6第2項は、行為が終了した日から1年を経過する日までの間は申込みを撤回できないとし、3項は、その期間内に承諾するか否かの意思表示を受けなかったときは申込みが効力を失うとしています。1年間、派遣労働者側に承諾するかどうかの選択権が残るという構造です。

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まとめ

  • 派遣の3年は事業所単位(40条の2)と組織単位=個人単位(40条の3)の2つ。
  • 延長できるのは事業所単位だけ。3年を限りだが回数の上限はない。個人単位に延長の規定はない。
  • 派遣先の40条の3は「事業所単位を延長した場合」限定だが、派遣元の35条の3は無条件。結局その人は4年目に入れない。
  • 抵触日の通知義務は派遣先。ただし通知が無いときに契約を禁じられるのは派遣元(法26条4項・5項)。
  • 意見聴取は抵触日の1か月前の日までの期間に、書面で通知して行い、記録を3年間保存して労働者へ周知する。
  • 異議が出ても延長はできる。生じるのは説明義務(40条の2第5項)。
  • 5つの例外(無期雇用・60歳以上・有期プロジェクト・日数限定・産休育休/介護休業の代替)は両方の3年から外れ、抵触日の通知も要らない
  • 「クーリング期間3か月」は法にも施行規則にも書かれていない(実測で0回)。行政解釈である。
  • 期間制限違反は労働契約申込みみなし(40条の6)。ただし意見聴取の手続漏れが原因の違反は3号のかっこ書きで除かれる。

よくある質問

Q. 事業所単位の3年を延長すれば、同じ派遣社員に4年目も同じ課で働いてもらえますか?

A. できません。労働者派遣法40条の3は、事業所単位の派遣可能期間が延長された場合において、組織単位ごとの業務について3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならないと定めており、この個人単位の3年には延長の規定が置かれていません。延長できるのは事業所単位だけです。同じ方に働き続けてもらいたい場合は、別の組織単位へ配置するか、派遣以外の雇用形態を検討することになります。

Q. 事業所単位を延長していないので、個人単位の3年は関係ないと考えてよいですか?

A. 派遣先を縛る40条の3は「前条第三項の規定により派遣可能期間が延長された場合において」という条件つきなので、延長していない派遣先はその条文には触れません。ただし派遣元を縛る35条の3には、その条件がありません。派遣元事業主は、組織単位ごとの業務について3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣を行ってはならないと無条件で定められています。したがって、派遣元の側で契約を続けられないという形で結果は同じになります。

Q. 抵触日を派遣会社に通知していませんが、契約は有効ですか?

A. 通知は労働者派遣法26条4項により派遣先の義務です。そして同条5項は、通知がないときは派遣元事業主が労働者派遣契約を締結してはならないと定めています。契約の私法上の効力について条文は直接定めていませんが、締結行為そのものが派遣元に対して禁じられている状態です。派遣会社から抵触日の通知を繰り返し求められるのはこのためですので、書面で早めに通知してください。

Q. 意見聴取で労働組合が反対したら、延長できないのですか?

A. 延長を禁じる条文はありません。労働者派遣法40条の2第5項は、異議が述べられたときは、延長前の派遣可能期間が経過することとなる日の前日までに、延長の理由その他の厚生労働省令で定める事項について説明しなければならないと定めているだけです。施行規則33条の4第1項は説明すべき事項として、延長の理由およびその延長の期間と、雇用慣行が損なわれるおそれがある旨の意見への対応に関する方針の2つを挙げています。説明した日と内容は書面に記載して3年間保存し、労働者へ周知する必要があります。

Q. クーリング期間の3か月は、何条に書いてありますか?

A. 労働者派遣法にも同法施行規則にも書かれていません。両方の全文を取得して数えたところ「クーリング」は0回で、「三月」が出てくるのは附則の施行期日や事業報告書の提出期限など、期間制限とは無関係の箇所だけでした。条文にあるのは40条の2第1項などの「継続して」という一語で、どれだけ空けば継続に当たらないかの定義はありません。3か月という数字は厚生労働省の指針および業務取扱要領による行政解釈です。運用を検討する際は、その時点の指針の記載を直接確認してください。

Q. 60歳以上の派遣社員には期間制限がかからないと聞きました。本当ですか?

A. 労働者派遣法40条の2第1項2号が、雇用の機会の確保が特に困難である派遣労働者であってその雇用の継続等を図る必要があると認められるものとして厚生労働省令で定める者に係る労働者派遣を、期間制限の対象外としています。これを受けた同法施行規則32条の4は、当該厚生労働省令で定める者は60歳以上の者とすると定めています。40条の3も35条の3も同じかっこ書きで各号を除いているため、事業所単位と個人単位の両方から外れます。法26条4項のかっこ書きにより、抵触日の通知も対象外です。

Q. 3年を超えて受け入れてしまいました。どうなりますか?

A. 労働者派遣法40条の6第1項により、その時点における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなされます。ただし同項ただし書きにより、その行為が各号に該当することを知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったときは適用されません。また同項3号のかっこ書きは、意見聴取の手続のうち厚生労働省令で定めるものが行われないことにより違反することとなったときを除いています。みなされた申込みは、行為が終了した日から1年を経過する日までは撤回できません。個別の事案の評価は事実関係によりますので、社会保険労務士や弁護士にご相談ください。

Q. 派遣社員の最低賃金は、派遣元と派遣先のどちらの都道府県で見ますか?

A. 派遣先です。最低賃金法13条が「派遣中の労働者の地域別最低賃金」として、派遣中の労働者については、その派遣先の事業の事業場の所在地を含む地域について決定された地域別最低賃金において定める最低賃金額により同法4条の規定を適用すると定めています。派遣元の本社が別の県にあっても、判定するのは就業先の県です。都道府県をまたいで受け入れているときは取り違えやすい点です。

出典

この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案に対する労務相談ではありません。自社の配置の区分が組織単位に当たるか、意見聴取の手続が要件を満たしているか、過去の受入れが期間制限に抵触していないかは事実関係によって変わりますので、実際の判断については社会保険労務士または弁護士にご相談ください。

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