年末調整の必要書類 — 令和8年分の申告書と、添付又は提示する証明書類を「誰が何を出すか」で一覧にする
結論から言うと、令和8年分の年末調整で従業員が勤務先(給与の支払者)に出す書類は、控除を受けるための申告書、申告書に添付して提出又は提示する証明書類、年の中途で就職した人のうち就職前に他の給与の支払者に扶養控除等(異動)申告書を提出して支払を受けていた給与がある人の、前職分の給与を確かめる「給与所得の源泉徴収票」などに分かれます。国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」が挙げる申告書は、扶養控除等(異動)申告書、基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、特定親族特別控除申告書、所得金額調整控除申告書、保険料控除申告書、住宅借入金等特別控除申告書です。
証明書類は、申告書に書いた控除の全部に要るわけではありません。「年末調整のしかた」は、社会保険料のうち国民年金の保険料と国民年金基金の掛金で本人が直接支払ったものについては保険料等を支払ったことを証明する書類が必要で、それ以外の保険料等については必要ないとしています。毎月の給与から差し引かれる小規模企業共済等掛金も、掛金を支払ったことを証明する書類は必要ないとされています。
この記事は、誰が何を出すかの一覧に絞ります。各欄の書き方は年末調整の書き方、提出の期限は年末調整の期限の記事、データで出す場合の要件は年末調整の電子化で扱っています。特定の給与ソフトの紹介はしません。
誰が何を出すかの一覧(令和8年分)
下の表は、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」が挙げる申告書と、それぞれの申告書について同じ資料が挙げている添付又は提示の書類を並べたものです。右の列の書類は、その行に書いた場合に当たる人が用意します。
| 書類(令和8年分の年末調整) | この申告書で受ける控除・出す場面 | 「年末調整のしかた」が挙げる添付又は提示の書類(書面で出す場合、データで提供する場合の扱いは下の節) |
|---|---|---|
| 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除。年末調整は、年末調整を行う時までにこの申告書を提出している人について行うことになっている(提出している人の中にも、例外的に年末調整の対象とならない人がいる) | 専修学校等の生徒等が勤労学生控除を受ける場合の証明書、国外居住親族に係る扶養控除又は障害者控除を受ける場合の親族関係書類・送金関係書類など。親族関係書類は扶養控除等(異動)申告書を提出する際、送金関係書類は年末調整の際に添付又は提示し、外国語の書類は訳文も必要(下の節) |
| 給与所得者の基礎控除申告書 | 基礎控除 | 添付又は提示の書類の説明は無い |
| 給与所得者の配偶者控除等申告書 | 配偶者控除、配偶者特別控除 | 非居住者である親族に係る配偶者控除又は配偶者特別控除を受ける場合の親族関係書類・送金関係書類。扶養控除等(異動)申告書を提出する際に親族関係書類を提出又は提示していれば親族関係書類は不要で、外国語の書類は訳文も必要(下の節) |
| 給与所得者の特定親族特別控除申告書 | 特定親族特別控除 | 非居住者である親族に係る特定親族特別控除を受ける場合の親族関係書類・送金関係書類。扶養控除等(異動)申告書を提出する際に親族関係書類を提出又は提示していれば親族関係書類は不要で、外国語の書類は訳文も必要(下の節) |
| 所得金額調整控除申告書 | 所得金額調整控除(子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除) | 添付又は提示の書類の説明は無い |
| 給与所得者の保険料控除申告書 | 生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除(申告分)、小規模企業共済等掛金控除(申告分) | 保険料を支払ったこと等の証明書類。保険料の種類によって要るものと要らないものがある(下の節) |
| 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書 | 住宅借入金等特別控除。最初の年分(やむを得ない事由で居住の用に供しなくなった後に再び居住の用に供して適用を受ける最初の年分を含む)は確定申告で受け、その後の年分を年末調整で受ける人が出す | 調書方式の場合は控除証明書、証明書方式の場合は控除証明書と年末残高等証明書(下の節) |
| 前の給与の支払者から交付を受けた「給与所得の源泉徴収票」など | 年の中途で就職した人で、就職前に他の給与の支払者に扶養控除等(異動)申告書を提出して支払を受けていた給与がある人の、前職分の給与とその徴収税額の確認に使う(下の節) | 申告書ではないので、添付する書類の説明は無い |
申告書の種類と、出さないと受けられない控除
「令和8年分 年末調整のしかた」の申告書の一覧には、扶養控除等(異動)申告書から住宅借入金等特別控除申告書まで、1から7までの番号で7つの申告書が並んでいます。同じ資料は、このうち2から5までの様式(基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、特定親族特別控除申告書、所得金額調整控除申告書)について、国税庁ホームページに掲載しているものはこれらの兼用様式だとしています。1から6までの様式は国税庁ホームページの「年末調整がよくわかるページ」に掲載されていて、7の住宅借入金等特別控除申告書は税務署から所得者本人に交付されています。
一覧で見落としやすいのは、扶養控除等(異動)申告書に書いてあっても、別の申告書を提出(一定の要件のもとで、書面に代えて電磁的方法により記載事項を提供する場合を含みます)しないと年末調整で受けられない控除があることです。「年末調整のしかた」は次のように注記しています。
- 配偶者控除・配偶者特別控除: 年末調整で適用を受けるには、扶養控除等(異動)申告書の「源泉控除対象配偶者」欄への記載の有無にかかわらず、配偶者控除等申告書を給与の支払者に提出する必要があります(一定の要件のもとで、書面に代えて電磁的方法により記載事項を提供する場合を含みます)。
- 特定親族特別控除: 年末調整で適用を受けるには、扶養控除等(異動)申告書の「源泉控除対象親族」欄への記載の有無にかかわらず、特定親族特別控除申告書を給与の支払者に提出する必要があります(一定の要件のもとで、書面に代えて電磁的方法により記載事項を提供する場合を含みます)。
扶養控除等(異動)申告書は、「年末調整のしかた」によると原則として本年最初に給与の支払を受ける時までに給与の支払者に提出し(一定の要件のもとで、書面に代えて電磁的方法により記載事項を提供する場合を含みます)、年の中途で源泉控除対象親族の数などに異動があった場合にはその都度異動申告をすることになっていますが、まだ提出していない人や異動申告をしていない人についても、年末調整を行う時までに申告があれば、その申告に基づいて年末調整を行うことになっています。基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、特定親族特別控除申告書、所得金額調整控除申告書は、給与の支払者が用紙をあらかじめ各人に配付し、年末調整を行う時までに提出を受けるものとされています(一定の要件のもとで、書面に代えて電磁的方法により記載事項を提供する場合を含みます)。
国税庁「源泉徴収のあらまし(令和8年版)」の控除と申告書の対応表は、申告書の根拠の条文を、扶養控除等申告書は所得税法194条、配偶者控除等申告書は所得税法195条の2、特定親族特別控除申告書は所得税法195条の3、基礎控除申告書は所得税法195条の4、保険料控除申告書は所得税法196条と示しています。保険料の証明書類を条文から読む場合は、保険料控除申告書の記事の、証明書が要るもの・要らないものの節に政令の規定を整理しています。
保険料控除申告書に添える証明書類 — 要るもの・要らないもの
保険料控除申告書に添付して提出又は提示する証明書類は、保険料の種類ごとに扱いが違います。下の表は「令和8年分 年末調整のしかた」の、生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除のそれぞれの「証明書類」の説明を並べたものです。
| 保険料・掛金の種類(令和8年分の年末調整) | 証明書類の添付又は提示(書面で保険料控除申告書を出す場合の「年末調整のしかた」の説明、データで提供する場合と証明書類が年末調整に間に合わない場合の扱いは下の節) |
|---|---|
| 旧生命保険料 | 本年中に支払った一契約の保険料の金額(剰余金の分配や割戻金の割戻しを受けた場合などは、その剰余金や割戻金の額を差し引いた残額)が9,000円を超えるものについて必要(勤務先を対象とする団体特約に基づく保険料など、勤務先の確認で提出又は提示を省ける保険料を除く) |
| 旧生命保険料以外の生命保険料(新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料、旧個人年金保険料) | 金額の多少にかかわらず全てのものについて必要(勤務先を対象とする団体特約に基づく保険料など、勤務先の確認で提出又は提示を省ける保険料を除く) |
| 地震保険料・旧長期損害保険料 | 保険料の金額の多少に関係なく必要 |
| 国民年金の保険料・国民年金基金の掛金で、本人が直接支払ったもの | 支払った保険料等の多少に関係なく必要 |
| 国民年金の保険料・国民年金基金の掛金以外の社会保険料(国民健康保険など、本人が直接支払っていて保険料控除申告書で申告するもの) | 保険料等を支払ったことを証明する書類は必要ない |
| 小規模企業共済等掛金のうち、毎月の給与から差し引かれるもの | 掛金を支払ったことを証明する書類は必要ない |
| 小規模企業共済等掛金のうち、本人が直接支払ったもの | 支払った掛金の金額の多少に関係なく必要 |
健康保険や厚生年金保険、雇用保険などの保険料のように毎月の給与から差し引かれている社会保険料は、給与の支払者が本年中に給与から差し引いた総額を集計するもので(本年中に他から転職してきた人が前の勤務先に扶養控除等(異動)申告書を提出して支払を受けた給与から差し引かれた分と、給与の支払者が負担した社会保険料等で給与として課税されるべきものを含み、転職前の勤務先の分は、その勤務先から交付を受けた本年分の「給与所得の源泉徴収票」などにより確認します)、保険料控除申告書で申告する対象は、国民健康保険や国民年金などのように本人が直接支払っているものです。
「年末調整のしかた」は、生命保険料のうち、勤務先を対象とする団体特約に基づいて支払った保険料と、確定給付企業年金に係る規約又は適格退職年金契約に基づいて支払った保険料について、「あなたが本年中に支払った保険料等の金額」「保険等の契約者の氏名」「保険金等の受取人」などに誤りがないことをその勤務先で確認すれば、証明書類を提出又は提示しなくてもよいとしています(確認した場合は、保険料控除申告書などに確認した旨を明らかにしておきます)。
「証明書類」が何を指すかも、同じ資料に説明があります。
- 生命保険料の証明書類は、保険会社や郵便局などが発行した保険料などの領収書や、支払った生命保険料の金額と保険契約者などの氏名を証明するために特に発行した書類をいいます(郵便振替などを利用して支払った生命保険料の証明書類は、保険契約者の氏名に代えて、保険証券や年金証書の記号と番号が記載されていればよいことになっています)が、月払契約により支払った生命保険料の証明書類は、「本年中に支払った生命保険料の金額」に代えて、毎月の払込保険料の金額と本年1月から9月までの払込みの状況がわかる事項が記載されていればよいことになっています。
- 国民年金の保険料と国民年金基金の掛金の証明書類は、厚生労働省又は各国民年金基金が発行した保険料等の領収書や証明書などをいいます(証明書類の範囲には、証明書類に記載すべき事項を記録した電子証明書等に係る電磁的記録印刷書面が含まれます)。
- 2年前納された国民年金保険料について、各年分の保険料に相当する額を各年において控除する方法を選ぶ場合は、各年分に対応する社会保険料控除証明書を本人自らが年分ごとに切り取り、書面の証明書で申告するときは、保険料控除申告書に添付して給与の支払者へ提出又は提示することになっています。
控除の中身は、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、iDeCoの年末調整の各記事にあります。
住宅借入金等特別控除申告書に添える証明書
住宅借入金等特別控除は、「令和8年分 年末調整のしかた」によると、控除を受けようとする最初の年分については確定申告により適用を受ける必要があり、その後の年分について、年末調整の際に住宅借入金等特別控除申告書に基づいて控除を行うことができます(やむを得ない事由で住宅を居住の用に供しなくなった後に再び居住の用に供し、控除の適用を受ける最初の年分も、確定申告による点は同じです)。
住宅借入金等特別控除申告書に添付が必要な証明書は、方式によって違います。
| 方式 | 住宅借入金等特別控除申告書に添付が必要な証明書(「令和8年分 年末調整のしかた」、電磁的記録印刷書面を含み、申告書の記載事項を電子データで提供する場合は、証明書に記載されるべき事項が記録された情報で電子証明書等(発行者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書)が付されたものを併せて電子データで提供することを含む) |
|---|---|
| 調書方式(金融機関等が税務署に年末残高調書を提出し、国税当局から所得者本人に年末残高情報を提供する方式) | その人の住所地の税務署長が発行した「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」(控除証明書)。年末残高等証明書の添付は不要 |
| 証明書方式(所得者本人が金融機関等から交付を受けた年末残高等証明書を勤務先に提出する方式) | 控除証明書と、借入等を行った金融機関等が発行した「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」(年末残高等証明書) |
税務署から送付された令和8年分の住宅借入金等特別控除申告書(「平成38年分」と記載されたものを含みます)は、用紙の下の部分が控除証明書になっています。「年末調整のしかた」は、税務署から送付された住宅借入金等特別控除申告書や控除証明書を紛失したときなどには、本人から税務署にこれらの書類の再交付を申請するよう指導することとしています。方式ごとの書き方と、印字された年末残高の扱いは住宅借入金等特別控除申告書の書き方にあります。
扶養控除等(異動)申告書などに添える書類 — 勤労学生と国外居住親族
扶養控除等(異動)申告書に証明書の添付又は提示が必要になる場面として、「令和8年分 年末調整のしかた」は勤労学生と国外居住親族を挙げています。
専修学校等の生徒等が勤労学生控除を受ける場合
専修学校等の生徒若しくは学生又は認定職業訓練を行う職業訓練法人の訓練生が勤労学生控除を受けるためには、次の証明書を扶養控除等(異動)申告書に添付して提出又は提示する必要があります。
- 在学する学校等が一定の要件に該当する課程を設置する専修学校等又は職業訓練法人であることを証明する、専修学校等の長又は職業訓練法人の代表者から交付を受けた文部科学大臣又は厚生労働大臣の証明書の写し
- その人がその課程を履修する生徒、学生又は訓練生であることを証明する、専修学校等の長又は職業訓練法人の代表者の証明書
「年末調整のしかた」がこの証明書の添付又は提示が必要だとしているのは、専修学校等の生徒若しくは学生と職業訓練法人の訓練生です。勤労学生の対象となる学校等にはこのほか、学校教育法に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校が挙げられています。
国外居住親族について控除を受ける場合
国外居住親族(非居住者である親族)に係る扶養控除又は障害者控除の適用を受けるためには、親族関係書類(留学により国内に住所及び居所を有しなくなった人に該当するものとして扶養控除の適用を受ける場合は、加えて留学ビザ等書類)を扶養控除等(異動)申告書を提出する際に、送金関係書類(所得者から本年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている人に該当するものとして扶養控除の適用を受ける場合は、38万円送金書類)を年末調整の際に、それぞれ添付又は提示する必要があり、これらの書類が外国語により作成されている場合には訳文も提出又は提示する必要があり、年末調整の際に国外居住親族に係る扶養控除等を受けようとする場合は、既に提出した扶養控除等(異動)申告書の「生計を一にする事実」欄にその年に国外居住親族に対して送金等をした金額を追記するか、同欄を記載した申告書を別途作成して提出します。
非居住者である親族に係る配偶者控除、配偶者特別控除、特定親族特別控除の適用を受けようとする給与所得者は、配偶者控除等申告書及び特定親族特別控除申告書にその旨を記載した上で、その申告書に親族関係書類及び送金関係書類を添付して給与の支払者に提出するか、申告書の提出をする際にこれらを提示する必要があり、外国語により作成されている書類は訳文も提出又は提示します(扶養控除等(異動)申告書を提出する際に、非居住者である親族に係る親族関係書類を提出又は提示している場合には、親族関係書類の提出は不要です)。
年の中途で就職した人 — 前職の源泉徴収票
年の中途で就職した人で、就職前に他の給与の支払者に扶養控除等(異動)申告書を提出して支払を受けていた給与がある人については、「令和8年分 年末調整のしかた」は、その前職分の給与を含めて年末調整を行うこととし、前職分の給与とその徴収税額を、その人が前の給与の支払者から交付を受けた「給与所得の源泉徴収票」などで確認し、その確認ができるまではその人の年末調整は見合わせるよう求めています。
本年中に他から転職してきた人が前の勤務先に扶養控除等(異動)申告書を提出して支払を受けた給与から差し引かれた社会保険料等も、転職前の勤務先から交付を受けた本年分の「給与所得の源泉徴収票」などにより確認して、社会保険料等の集計に含めます。前の勤務先から源泉徴収票を受け取っていない従業員への案内は、源泉徴収票の再発行を頼まれたらに手順をまとめています。
証明書類が年末調整に間に合わないとき
「令和8年分 年末調整のしかた」は、生命保険料、地震保険料、社会保険料のそれぞれについて、証明書類の交付を請求中などのため証明書類が確認できない場合でも、翌年1月末日までに提出又は提示することを条件として、控除をしたところで年末調整を行ってもよいとしています。
国民年金の保険料又は国民年金基金の掛金、小規模企業共済等掛金、新生命保険料、旧生命保険料(1口9,000円を超えるもの)、介護医療保険料、新個人年金保険料、旧個人年金保険料、地震保険料及び旧長期損害保険料について、翌年1月末日までに証明書類を提出することを条件として年末調整を行った場合で、証明書類がその期日までに提出されないときは、それらの保険料を除いたところで控除額を計算して年末調整のやり直しをし、不足額を徴収することになります。
住宅借入金等特別控除申告書は、年末調整が終わった後に給与所得者から提出があった場合に、その申告を基にして年末調整のやり直しをすることができますが、このやり直しができるのは、「給与所得の源泉徴収票」を受給者に交付することとなる翌年1月末日までです。令和8年分の具体的な日付と、期日を過ぎた後に本人が確定申告で精算する流れは、年末調整の期限の記事にあります。
紙の証明書類の代わりに使えるもの
保険会社などから届く書面の証明書類のほかに、「令和8年分 年末調整のしかた」は次の形も挙げています。
- 電磁的記録印刷書面: 証明書類に記載すべき事項を記録した電子証明書等に係る電磁的記録印刷書面を、保険料控除申告書に添付して提出又は提示できます。電磁的記録印刷書面とは、電子証明書に記録された情報の内容と、その内容が記録された二次元コードが付された出力書面をいいます。
- データでの提供: 給与の支払者が電磁的提供を受けるための必要な措置を講じる等の一定の要件を満たしていて、保険料控除申告書に記載すべき事項を電子データにより提供する場合は、証明書類等の提出又は提示に代えて、その証明書類等に記載されるべき事項が記録された情報で電子証明書等(証明書類の発行者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書)が付されたものを、保険料控除申告書に記載すべき事項と併せて電子データにより給与の支払者に提供することができます。
申告書そのものをデータで出せるのは、給与の支払者が電磁的提供を受けるための必要な措置を講じる等の一定の要件を満たしている場合です。要件の中身と、データで受け取れる書類の範囲は年末調整の電子化で扱っています。
会社側が確かめること
書類を集める側の確認事項のうち、「令和8年分 年末調整のしかた」が書類の有無に関して挙げているものを拾うと、次のとおりです。
- 年末調整の事務を始めるに当たっては、まず、各人から扶養控除等(異動)申告書が提出されているかどうかを確かめます。
- 扶養控除等(異動)申告書には給与所得者本人及び源泉控除対象親族等のマイナンバー(個人番号)を記載することとされており、給与の支払者は給与所得者の本人確認(番号確認と身元確認)を行う必要があります(一定の要件のもと、マイナンバーの記載を省略できる場合があります)。
- 提出を受けた住宅借入金等特別控除申告書は、給与の支払者の下で保管することとされています。
- 翌年分の準備として、給与の支払者は「令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の用紙をあらかじめ各人に配付し、記載が終わったときは確実に回収します(一定の要件の下で、書面による提出に代えて電磁的方法による提供を受けることもできます)。受理した令和9年分の扶養控除等(異動)申告書は、税務署長から提出を求められるまでの間、受理した給与の支払者が保存するものとされています。
誰の申告書を集めるかの前提になる、年末調整の対象となる人・ならない人の区分は年末調整の対象とならない人に、年税額と過不足額の試算は下の計算ツールにあります。
年末調整の還付・不足額を計算する(令和8年分)よくある質問
年末調整で全員が出す書類はどれですか?
国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」によると、年末調整は、年末調整を行う時までに扶養控除等(異動)申告書を提出している人について行うことになっていますが、提出している人の中にも例外的に年末調整の対象とならない人がいます。基礎控除、配偶者控除又は配偶者特別控除、特定親族特別控除、所得金額調整控除(子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除)は、各人から提出された基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、特定親族特別控除申告書、所得金額調整控除申告書に基づいて行うので、受ける控除に応じてこれらを出します(非居住者である親族に係る配偶者控除、配偶者特別控除、特定親族特別控除の適用を受ける場合は、その旨を配偶者控除等申告書又は特定親族特別控除申告書に記載した上で、親族関係書類及び送金関係書類の添付又は提示も必要で、扶養控除等(異動)申告書を提出する際に親族関係書類を提出又は提示していれば親族関係書類の提出は不要、外国語の書類は訳文も必要です)。保険料控除申告書は、生命保険料控除、地震保険料控除と、社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除のうち本人が直接支払った申告分を受ける人が出し、住宅借入金等特別控除申告書は、確定申告で控除の適用を受けた最初の年分より後の年分に年末調整で控除を受ける人が出します(やむを得ない事由で居住の用に供しなくなった後に再び居住の用に供して適用を受ける最初の年分は、確定申告で適用を受けます)。
給与から天引きされている健康保険料や厚生年金保険料にも、証明書類は要りますか?
「令和8年分 年末調整のしかた」は、国民年金の保険料及び国民年金基金の掛金で本人が直接支払ったものについては保険料等を支払ったことを証明する書類が必要で、それ以外の保険料等については必要ないとしています。健康保険や厚生年金保険、雇用保険などの保険料のように毎月の給与から差し引かれているものは、給与の支払者が本年中に給与から差し引いた総額を集計します(本年中に他から転職してきた人が前の勤務先に扶養控除等(異動)申告書を提出して支払を受けた給与から差し引かれた分と、給与の支払者が負担した社会保険料等で給与として課税されるべきものを含み、転職前の勤務先の分は、その勤務先から交付を受けた本年分の「給与所得の源泉徴収票」などにより確認します)。
控除証明書がまだ届いていません。年末調整では控除を受けられませんか?
「令和8年分 年末調整のしかた」は、生命保険料、地震保険料、社会保険料について、証明書類の交付を請求中などのため証明書類が確認できない場合でも、翌年1月末日までに提出又は提示することを条件として、控除をしたところで年末調整を行ってもよいとしています。翌年1月末日までに証明書類を提出することを条件として年末調整を行った場合で、証明書類がその期日までに提出されないときは、それらの保険料を除いたところで控除額を計算して年末調整のやり直しをし、不足額を徴収することになります。
年の中途で入社した人が前職の源泉徴収票を持っていない場合、年末調整はどうなりますか?
「令和8年分 年末調整のしかた」は、就職前に他の給与の支払者に扶養控除等(異動)申告書を提出して支払を受けていた給与がある人について、その前職分の給与を含めて年末調整を行うこととし、前職分の給与とその徴収税額を前の給与の支払者から交付を受けた「給与所得の源泉徴収票」などで確認し、その確認ができるまではその人の年末調整は見合わせるよう求めています。
住宅借入金等特別控除申告書や控除証明書を失くした場合はどうしますか?
「令和8年分 年末調整のしかた」は、税務署から送付された住宅借入金等特別控除申告書や控除証明書を紛失したときなどには、本人から税務署にこれらの書類の再交付を申請するよう指導することとしています。年末調整が終わった後に住宅借入金等特別控除申告書の提出があった場合は、「給与所得の源泉徴収票」を受給者に交付することとなる翌年1月末日までであれば、その申告を基にして年末調整のやり直しをすることができます。
出典
国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」と「源泉徴収のあらまし(令和8年版)」の原文を読んで確認。
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」(各種申告書の一覧、扶養控除等(異動)申告書の受理と内容の確認、基礎控除申告書等の受理、保険料控除申告書の証明書類、住宅借入金等特別控除申告書の受理、年の中途で再就職した人の取扱い、年末調整のやり直し、令和9年分の扶養控除等(異動)申告書の受理)
- 国税庁「源泉徴収のあらまし(令和8年版)」(控除の種類と申告書の対応表、扶養控除等申告書の添付書類)
この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案に対する助言ではありません。自分の契約や親族がどの書類の対象になるかは、勤務先の案内と書類の発行元の説明で確かめてください。具体的な対応は、税理士または所轄の税務署にご相談ください。