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所得控除の一覧【令和8年分】16種類の額と条文、年末調整で受けられる13種類・確定申告が要る3種類

結論から言うと、令和8年分の所得税の所得控除は 16種類 です。所得税法87条1項が、雑損控除から基礎控除までの16の名前を1つの文に並べています。特定親族特別控除(所得税法84条の2)が令和7年分から加わったためで、その前の令和6年分は15種類でした。

会社の年末調整で受けられるのは、所得税の所得控除16種類のうち 13種類 です。雑損控除・医療費控除・寄附金控除の3種類は、年末調整の計算を定める所得税法190条2号に出てこないので、確定申告で受けます。

この記事では、16種類を条文の順に1つの表に並べ、令和8年分の所得税で引く額、年末調整でどの申告書に書くか、引く順番、住民税で額が違う控除までを整理します。各控除の要件と計算は、表の控除名から個別の記事・計算機へ進んでください。

所得控除16種類の一覧表(令和8年分の所得税)

所得控除は、所得税法の第2編第2章第4節「所得控除」(72条から87条まで)にまとまっています。次の表は、控除ごとに条文・令和8年分の所得税で引く額・年末調整での扱いを並べたものです。額の欄は条文の骨組みだけを書いています。

控除の名前と条文令和8年分の所得税で居住者が引く控除の額年末調整
雑損控除
(所得税法72条)
雑損控除は、本人または生計を一にする配偶者その他の親族(政令で定める人)の資産に生じた災害・盗難・横領によるその年の損失の金額(災害などに関連するやむを得ない支出を含み、保険金などで補てんされる部分と、生活に通常必要でない資産・被災事業用資産の損失を除く)の合計額のうち、所得税法72条1項各号の基準額を超える部分。基準額は、損失の金額に含まれる災害関連支出(災害に直接関連して支出した金額として政令で定めるもの)が5万円以下の場合(ない場合を含む)は総所得金額等の合計額の10分の1、5万円を超える場合は「損失の金額の合計額から災害関連支出のうち5万円を超える部分を引いた額」と「総所得金額等の合計額の10分の1」のいずれか低い額、損失の金額がすべて災害関連支出の場合は「5万円」と「総所得金額等の合計額の10分の1」のいずれか低い額。雑損控除は年末調整では受けられない。確定申告で受ける。
医療費控除
(所得税法73条)
医療費控除は、本人または生計を一にする配偶者その他の親族のためにその年に支払った医療費(所得税法73条2項の医療費に限り、保険金などで補てんされる部分を除く)のうち、総所得金額等の合計額の5%(その額が10万円を超えるときは10万円)を超える部分で、最高200万円。医療費控除は年末調整では受けられない。確定申告で受ける。
社会保険料控除
(所得税法74条)
社会保険料控除は、本人または生計を一にする配偶者その他の親族が負担すべき社会保険料(所得税法74条2項の社会保険料で、国外勤務の在勤手当に係るものを除く)について、その年に支払った額と給与から引かれた額の全額。給与から引かれた分は会社が集計する。自分で払った分は、その年最後の給与の支払を受ける日の前日までに出す保険料控除申告書(2か所以上から給与を受ける人は主たる給与の支払者を経由して出す)に書き、国民年金の保険料と国民年金基金の掛金は証明書類を添付または提示する。
小規模企業共済等掛金控除
(所得税法75条)
小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済の掛金(政令で定める共済契約のものを除く)、確定拠出年金の企業型年金加入者掛金・個人型年金加入者掛金、地方公共団体が条例で実施する障害者に関する共済制度(政令で定めるもの)の掛金について、その年に支払った額の全額。給与から引かれた分は会社が集計する。自分で払った分は、その年最後の給与の支払を受ける日の前日までに出す保険料控除申告書(2か所以上から給与を受ける人は主たる給与の支払者を経由して出す)に書き、証明書類を添付または提示する。
生命保険料控除
(所得税法76条)
生命保険料控除は、生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の区分ごとに計算した額の合計で、所得税法76条4項により合計の最高は12万円。その年最後の給与の支払を受ける日の前日までに出す保険料控除申告書(2か所以上から給与を受ける人は主たる給与の支払者を経由して出す)に書き、証明書類を添付または提示する(旧生命保険料は、剰余金・割戻金を引いた残額が9,000円を超える契約に限る)。
地震保険料控除
(所得税法77条)
地震保険料控除は、本人または生計を一にする配偶者その他の親族が所有して常時居住に使っている家屋や、これらの人が所有する所得税法9条1項9号の資産(生活に使う家具・じゅう器・衣服その他の資産で政令で定めるもの)を対象とする損害保険契約等(所得税法77条2項)の保険料・掛金のうち、地震・噴火・津波を原因とする損害をてん補する部分のもの(政令で定めるものを除く)について、その年に支払った合計額(その年に剰余金・割戻金を受けたとき、または剰余金・割戻金を地震保険料の払込みに充てたときは、その額のうち地震保険料に係る部分を引いた残額)で、所得税法77条1項により最高5万円(旧長期損害保険料の経過措置は地震保険料控除の記事で扱う)。その年最後の給与の支払を受ける日の前日までに出す保険料控除申告書(2か所以上から給与を受ける人は主たる給与の支払者を経由して出す)に書き、証明書類を添付または提示する。
寄附金控除
(所得税法78条)
寄附金控除は、その年中に支出した特定寄附金の額の合計額(その年分の総所得金額等の合計額の40%を超える場合は、その40%にあたる額)が2,000円を超える場合の、その超える部分の額。寄附金控除は年末調整では受けられない。確定申告で受ける。
障害者控除
(所得税法79条)
障害者控除は、本人・同一生計配偶者・扶養親族が障害者なら1人につき27万円、特別障害者なら1人につき40万円、同一生計配偶者・扶養親族が特別障害者で、本人・本人の配偶者・生計を一にする親族のいずれかと同居を常況とするなら1人につき75万円。扶養控除等申告書に書く。国外に住む親族について受ける場合は、所得税法194条5項と7項の書類が提出または提示された親族に限る(所得税法190条2号ハ)。
寡婦控除
(所得税法80条)
寡婦控除は、本人が所得税法2条1項30号の寡婦にあたる場合に27万円。扶養控除等申告書に書く。
ひとり親控除
(所得税法81条)
ひとり親控除は、本人が所得税法2条1項31号のひとり親にあたる場合に35万円。扶養控除等申告書に書く。
勤労学生控除
(所得税法82条)
勤労学生控除は、本人が所得税法2条1項32号の勤労学生(同号の学校の学生・生徒などで、自己の勤労による給与所得等があり、令和8年分は合計所得金額89万円以下かつ給与所得等以外の所得が10万円以下の人)にあたる場合に27万円。合計所得金額89万円以下という条件は令和8年12月1日以後の年末調整・申告で使うもので、同日より前に令和8年分の所得税について所得税法125条または127条の確定申告書を出した人と決定を受けた人は、この改正で申告や決定の内容が変わることになったとき、同日から5年以内に更正の請求ができる(所得税法附則(令和8年法律第12号)2条2項)。扶養控除等申告書に書く。所得税法2条1項32号ロまたはハに掲げる勤労学生は、該当することを証する書類を提出または提示する(所得税法194条4項)。
配偶者控除
(所得税法83条)
配偶者控除は、控除対象配偶者がいる人について、本人の合計所得金額が900万円以下なら38万円、900万円超950万円以下なら26万円、950万円超1,000万円以下なら13万円(控除対象配偶者が70歳以上なら順に48万円・32万円・16万円)。その年最後の給与の支払を受ける日の前日までに出す配偶者控除等申告書に書く(2か所以上から給与を受ける人は主たる給与の支払者を経由して出す)。配偶者が非居住者である旨をこの申告書に書いた人は、その人が配偶者にあたることを証する書類と、生計を一にすることを明らかにする書類を提出または提示する(所得税法195条の2第2項)。
配偶者特別控除
(所得税法83条の2)
配偶者特別控除は、本人の合計所得金額が900万円以下の場合、生計を一にする配偶者(青色事業専従者等を除き、控除対象配偶者にあたらず、合計所得金額133万円以下)の合計所得金額に応じて38万円から3万円(本人の合計所得金額が900万円超950万円以下ならその3分の2、950万円超1,000万円以下ならその3分の1で、1万円未満の端数は切り上げ。配偶者が自分でこの控除を受けている場合などは所得税法83条の2第2項により対象外)。その年最後の給与の支払を受ける日の前日までに出す配偶者控除等申告書に書く(2か所以上から給与を受ける人は主たる給与の支払者を経由して出す)。配偶者が非居住者である旨をこの申告書に書いた人は、その人が配偶者にあたることを証する書類と、生計を一にすることを明らかにする書類を提出または提示する(所得税法195条の2第2項)。
扶養控除
(所得税法84条)
扶養控除は、控除対象扶養親族1人につき38万円、19歳以上23歳未満の特定扶養親族は63万円、70歳以上の老人扶養親族は48万円(老人扶養親族が本人または配偶者の直系尊属で、本人または配偶者との同居を常況とする場合は、租税特別措置法41条の16により10万円を足した58万円)。扶養控除等申告書に書く。国外に住む親族について受ける場合は、所得税法194条5項と7項の書類が提出または提示された親族に限る(所得税法190条2号ハ)。
特定親族特別控除
(所得税法84条の2)
特定親族特別控除は、生計を一にする19歳以上23歳未満の親族など(配偶者と青色事業専従者等を除き、控除対象扶養親族にあたらず、合計所得金額123万円以下)1人につき、その親族の合計所得金額が85万円以下なら63万円、85万円を超えると段階的に減り、120万円超なら3万円(その親族が自分でこの控除を受けている場合などは所得税法84条の2第2項により対象外)。特定親族特別控除申告書に書く。国外に住む特定親族について受ける場合は、所得税法190条2号ホが定める書類が提出または提示された特定親族に限る。
基礎控除
(所得税法86条、租税特別措置法41条の16の2)
令和8年分の基礎控除は、合計所得金額2,350万円以下なら所得税法86条の62万円で、居住者で合計所得金額489万円以下の人は租税特別措置法41条の16の2の42万円を足した104万円、居住者で合計所得金額489万円超655万円以下の人は5万円を足した67万円。合計所得金額が2,350万円超2,400万円以下なら48万円、2,400万円超2,450万円以下なら32万円、2,450万円超2,500万円以下なら16万円で、2,500万円を超えると基礎控除は受けられない(令和8年12月1日以後の年末調整・申告で使う額)。基礎控除申告書に書く。

※ 表の「総所得金額等の合計額」は、条文の「総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額」を縮めた書き方です。所得税の医療費控除には、居住者が平成29年1月1日から令和8年12月31日までの間に本人または生計を一にする配偶者その他の親族のための特定一般用医薬品等購入費を支払い、その年中に健康の保持増進・疾病の予防への取組として政令で定める取組を行っている場合に限り選べる特例(租税特別措置法41条の17)があります。令和8年分の所得税の基礎控除は、合計所得金額が2,350万円超2,400万円以下なら48万円、2,400万円超2,450万円以下なら32万円、2,450万円超2,500万円以下なら16万円で、2,500万円を超えると0円です。障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・特定親族特別控除は、本人や親族が該当するかどうかを、その年12月31日(本人が年の途中で死亡または出国した場合はその時、判定される親族が先に死亡している場合はその死亡の時)の現況で判定します(所得税法85条)。表の額は居住者が受ける控除の額で、1人の配偶者や親族を2人以上の居住者の控除の対象に重ねることはできません(所得税法85条4項から6項まで)。

居住者が受ける障害者控除の対象には、本人のほか同一生計配偶者と扶養親族が入ります。所得税法79条2項は「控除対象扶養親族」ではなく「扶養親族」と書いているので、扶養控除の対象にならない16歳未満の扶養親族も、障害者控除の対象になる親族の範囲に入ります。

配偶者控除・配偶者特別控除シミュレーターで、配偶者の所得から控除額を確かめる

「15種類」ではなく16種類 — 数は所得税法87条で数える

所得控除の数は、所得控除の順序を定める所得税法87条1項で数えられます。同項は次のとおり、16の控除を1つの文に並べています。

雑損控除と医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、特定親族特別控除又は基礎控除とを行う場合には、まず雑損控除を行うものとする。

16番目に加わったのが特定親族特別控除です。国税庁のタックスアンサー「No.1100 所得控除のあらまし」は、所得控除の種類として同じ16の名前を挙げ、特定親族特別控除に「令和7年分以降の年分について適用されます」と注を付けています。特定親族特別控除が加わる前の令和6年分の所得税の所得控除は、これを除いた15種類でした。

所得税の特定親族特別控除は、居住者と生計を一にする19歳以上23歳未満の親族(配偶者と青色事業専従者等を除く)が、所得が多くて控除対象扶養親族にあたらない場合でも、その親族の合計所得金額が123万円以下なら、その親族が自分でこの控除を受けている場合などを除き、段階的に控除を受けられる制度です。年末調整では、専用の「給与所得者の特定親族特別控除申告書」を出して受けます(国外に住む特定親族について受ける場合は、所得税法190条2号ホが定める書類が提出または提示された特定親族に限られます)。要件と控除額の段階は特定親族特別控除の記事にまとめています。

年末調整で受けられる13種類と、確定申告で受ける3種類

年末調整で引ける控除は、所得税法190条2号のイからヘまでに書いてあるものに限られます。同号に名前が出てくるのは、社会保険料・小規模企業共済等掛金・生命保険料・地震保険料の4つの控除と、障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除・扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除・特定親族特別控除・基礎控除の9つです。年末調整で受けられる所得控除は、合わせて13種類になります。

所得税法190条2号に出てこない雑損控除・医療費控除・寄附金控除の3種類は、年末調整を受けた人も確定申告をして受けます。

年末調整で受けられる13種類 保険料控除申告書に書かない(給与から引かれた分) 社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除 保険料控除申告書 自分で払った社会保険料・共済等掛金、生命保険料控除、地震保険料控除 扶養控除等申告書 障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除・扶養控除 配偶者控除等申告書 配偶者控除・配偶者特別控除 特定親族特別控除申告書・基礎控除申告書 特定親族特別控除・基礎控除 確定申告で受ける3種類 雑損控除 医療費控除 寄附金控除
年末調整を受ける人(給与所得者の扶養控除等申告書を出していることなど、所得税法190条の条件にあたる居住者)が、所得税の所得控除16種類をどの申告書に書くかで分けた図。年末調整で受けられるのは所得税法190条2号に書いてある13種類で、雑損控除・医療費控除・寄附金控除の3種類は確定申告で受ける。申告書に書くほかに書類の提出または提示が要るのは、保険料控除申告書に書く保険料・掛金のうち所得税法196条2項と所得税法施行令319条が定める範囲のもの(自分で払った国民年金の保険料と国民年金基金の掛金、小規模企業共済等掛金、生命保険料控除の対象になる保険料、地震保険料。旧生命保険料は、その年に支払った額から剰余金・割戻金を引いた残額が9,000円を超える契約のもの)、国外に住む親族について受ける控除(所得税法190条2号ハ・ニ・ホ)、所得税法2条1項32号ロまたはハに掲げる勤労学生の勤労学生控除(所得税法194条4項)。

どの申告書に書くか

年末調整で受ける13種類は、給与から引かれた社会保険料と小規模企業共済等掛金を除き、控除ごとに書く申告書が決まっています。

証明書類が要る控除

年末調整で支払を証する書類の提出または提示が要るのは、所得税法196条2項と所得税法施行令319条が定める範囲の保険料・掛金です。自分で払った国民年金の保険料と国民年金基金の掛金、小規模企業共済等掛金、生命保険料控除の対象になる保険料(旧生命保険料は、所得税法施行令319条4号により、その年に支払った額から剰余金・割戻金を引いた残額が9,000円を超える契約のもの)、地震保険料がこれにあたります。国民健康保険料など、同項に書かれていない社会保険料は、所得税法196条2項による証明書類の提出・提示の対象ではありません。

勤労学生控除は、扶養控除等申告書に勤労学生にあたる旨を書いた人(前年に出した申告書から異動がない旨を書いて出した人を含む)が、所得税法2条1項32号ロまたはハに掲げる勤労学生(同号ロの専修学校・各種学校の学生・生徒や同号ハの認定職業訓練を受ける人のうち、設置者と課程について同号が定める条件にあたる人)である場合に、該当することを証する書類の提出または提示が要ります(所得税法194条4項)。

国外に住む親族について年末調整で障害者控除・扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除・特定親族特別控除を受ける場合は、所得税法190条2号ハ・ニ・ホにより、所得税法194条5項・7項など同号が引く条文の書類(親族であることを示す書類と、生計を一にすることを示す書類のほか、扶養親族が所得税法2条1項34号の2ロ(1)または(3)にあたるとして扶養控除を受ける場合の、それにあたることを示す書類)の提出または提示がされた人に限られます。

確定申告で受ける3種類のうち、雑損控除は控除額の計算の基礎に災害などに関連するやむを得ない支出の金額がある場合のその領収を証する書類を、寄附金控除は特定寄附金の明細書その他財務省令で定める書類を、申告書に添付するか、提出の際に提示します(所得税法120条3項1号、所得税法施行令262条1項1号・6号)。医療費控除は、医療費の額などを書いた明細書を申告書に添付し、保険者などが出す財務省令で定める医療費通知(医療費の額などの記載があるもの)を添付した場合は、その通知に記載された分の明細書への記載を省けます(所得税法120条4項)。

年末調整の書類全体の流れは年末調整の書き方の記事、年末調整の対象にならない人は年末調整の対象外の記事で確かめられます。

医療費控除 計算機で、確定申告で引ける医療費控除の額を確かめる

引く順番 — 雑損控除があれば雑損控除から(所得税法87条)

所得控除を引く順番は、所得税法87条が2つの決まりを置いています。

雑損控除には、翌年以後へ繰り越す制度があります。所得税法71条は、確定申告書を提出する居住者について、前年以前3年内に生じた雑損失の金額(すでに引いた分を除く)を、損失が生じた年分の確定申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出している場合に限り、その年分の所得から引くことを認めています。繰り越せる年数の特例と手続は雑損控除の記事で扱っています。

引く先の順番が関係するのは、総所得金額・山林所得金額・退職所得金額のうち2つ以上がある年です。たとえば退職金を受け取った年に、所得控除の合計が総所得金額より大きく、山林所得金額が無ければ、引ききれなかった残りを退職所得金額から引きます。

税額控除・給与所得控除との違い

所得控除は、税率をかける前の所得から引く控除です。所得税法21条1項は税額の計算を5つの段階に分けており、3号が所得控除、5号が税額控除にあたります。

名前が似ている給与所得控除は、所得控除の16種類には入りません。給与所得控除は、給与の収入金額から給与所得の金額を出す段階(所得税法28条)で引くもので、所得税法21条1項でいえば1号の「所得の金額を計算する」段階にあたります。源泉徴収票の欄の読み方は源泉徴収票の見方の記事にあります。

住民税は15種類。額が違う控除の対照表

住民税(個人住民税の所得割)の所得控除は、地方税法が別に定めています。市町村民税は314条の2、道府県民税は34条です。地方税法314条の2第11項が控除の順序として並べている名前は15で、所得税の16種類のうち 寄附金控除がありません。住民税では、寄附金は所得控除ではなく、税額から引く寄附金税額控除(地方税法314条の7)で扱います。

住民税の15種類のうち、雑損控除・医療費控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除の4種類は、地方税法314条の2の計算の骨組みが所得税と同じです。次の表の11種類は、定額または最高額が住民税のほうが所得税より小さくなっています。表の住民税の額は、2026年10月時点の地方税法314条の2のものです。

控除の名前住民税の額(かっこ内は令和8年分の所得税で居住者が引く額)
生命保険料控除住民税の生命保険料控除は、前年に支払った保険料について、生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の区分ごとに計算した額の合計で最高7万円(所得税は、その年に支払った保険料について合計で最高12万円)。
地震保険料控除住民税の地震保険料控除は、本人または生計を一にする配偶者その他の親族が所有して常時居住に使っている家屋や、これらの人が所有する所得税法9条1項9号の資産(生活に使う家具・じゅう器・衣服その他の資産で政令で定めるもの)を対象とする損害保険契約等(地方税法314条の2のもので、財形貯蓄の保険契約を除く)の保険料・掛金のうち、地震・噴火・津波を原因とする損害をてん補する部分のもの(政令で定めるものを除く)について、前年に支払った合計額(前年に剰余金・割戻金を受けたとき、または剰余金・割戻金を地震保険料の払込みに充てたときは、その額のうち地震保険料に係る部分を引いた残額)の2分の1で最高2万5,000円(所得税は、前年ではなくその年に支払った地震保険料の合計額から、その年の剰余金・割戻金のうち地震保険料に係る部分を引いた残額の全額で最高5万円)。
障害者控除住民税の障害者控除は、本人・同一生計配偶者・扶養親族が障害者なら1人につき26万円、特別障害者なら1人につき30万円、同一生計配偶者・扶養親族が特別障害者で、本人・本人の配偶者・生計を一にする親族のいずれかと同居を常況とするなら1人につき53万円(所得税は順に27万円・40万円・75万円)。本人・同一生計配偶者・扶養親族が障害者・特別障害者にあたるかどうかは、住民税は前年の12月31日(前年の途中でその人が死亡した場合などは地方税法314条の2第8項が定める時)の現況で、所得税はその年の12月31日(本人がその年の途中で死亡または出国する場合などは所得税法85条が定める時)の現況で判定する。
寡婦控除住民税の寡婦控除は、本人が寡婦にあたる場合に26万円(所得税の寡婦控除は27万円)。寡婦にあたるかどうかは、住民税は前年の12月31日(前年の途中でその人が死亡した場合などは地方税法314条の2第8項が定める時)の現況で、所得税はその年の12月31日(本人がその年の途中で死亡または出国する場合などは所得税法85条が定める時)の現況で判定する。
ひとり親控除住民税のひとり親控除は、本人がひとり親にあたる場合に30万円(所得税のひとり親控除は35万円)。ひとり親にあたるかどうかは、住民税は前年の12月31日(前年の途中でその人が死亡した場合などは地方税法314条の2第8項が定める時)の現況で、所得税はその年の12月31日(本人がその年の途中で死亡または出国する場合などは所得税法85条が定める時)の現況で判定する。
勤労学生控除住民税の勤労学生控除は、本人が勤労学生にあたる場合に26万円(所得税の勤労学生控除は27万円)。勤労学生にあたるかどうかは、住民税は前年の12月31日(前年の途中でその人が死亡した場合などは地方税法314条の2第8項が定める時)の現況で、所得税はその年の12月31日(本人がその年の途中で死亡または出国する場合などは所得税法85条が定める時)の現況で判定する。
配偶者控除住民税の配偶者控除は、控除対象配偶者がいる人について、本人の前年の合計所得金額が900万円以下なら33万円、900万円超950万円以下なら22万円、950万円超1,000万円以下なら11万円で、控除対象配偶者が70歳以上なら順に38万円・26万円・13万円(所得税の配偶者控除は、本人のその年の合計所得金額の同じ区分で順に38万円・26万円・13万円、控除対象配偶者が70歳以上なら48万円・32万円・16万円)。控除対象配偶者にあたるかどうかと、70歳以上の老人控除対象配偶者にあたるかどうかは、住民税は前年の12月31日(前年の途中でその人が死亡した場合などは地方税法314条の2第8項が定める時)の現況で、所得税はその年の12月31日(本人がその年の途中で死亡または出国する場合などは所得税法85条が定める時)の現況で判定する。
配偶者特別控除住民税の配偶者特別控除は、控除対象配偶者にあたらない生計を一にする配偶者(給与の支払を受ける青色事業専従者と事業専従者、自分で配偶者控除・配偶者特別控除を受けている配偶者を除き、前年の合計所得金額133万円以下)がいる人について、本人の前年の合計所得金額が900万円以下なら配偶者の所得に応じて最高33万円(所得税の配偶者特別控除は、その年の合計所得金額で見た同じ区分で最高38万円で、所得税法83条の2第2項の場合は対象外)。生計を一にする配偶者にあたるかどうかは、住民税は前年の12月31日(前年の途中でその人が死亡した場合などは地方税法314条の2第8項が定める時)の現況で、所得税はその年の12月31日(本人がその年の途中で死亡または出国する場合などは所得税法85条が定める時)の現況で判定する。
扶養控除住民税の扶養控除は、控除対象扶養親族1人につき33万円、19歳以上23歳未満の特定扶養親族は45万円、70歳以上の老人扶養親族は38万円、老人扶養親族が本人または配偶者の直系尊属で、本人または配偶者との同居を常況とする場合は45万円(所得税の扶養控除は順に38万円・63万円・48万円・58万円)。控除対象扶養親族・特定扶養親族・老人扶養親族にあたるかどうか(年齢を含む)は、住民税は前年の12月31日(前年の途中でその人が死亡した場合などは地方税法314条の2第8項が定める時)の現況で、所得税はその年の12月31日(本人がその年の途中で死亡または出国する場合などは所得税法85条が定める時)の現況で判定する。
特定親族特別控除住民税の特定親族特別控除は、特定親族(生計を一にする19歳以上23歳未満の親族などで、配偶者・給与の支払を受ける青色事業専従者・事業専従者・控除対象扶養親族と、自分で扶養控除・特定親族特別控除を受けている人を除き、前年の合計所得金額123万円以下)1人につき、その所得に応じて最高45万円(所得税の特定親族特別控除は最高63万円で、所得税法84条の2第2項の場合は対象外)。特定親族にあたるかどうか(年齢を含む)は、住民税は前年の12月31日(前年の途中でその人が死亡した場合などは地方税法314条の2第8項が定める時)の現況で、所得税はその年の12月31日(本人がその年の途中で死亡または出国する場合などは所得税法85条が定める時)の現況で判定する。
基礎控除住民税の基礎控除は、前年の合計所得金額が2,400万円以下なら43万円、2,400万円超2,450万円以下なら29万円、2,450万円超2,500万円以下なら15万円で、2,500万円を超えると住民税の基礎控除は受けられない(令和8年分の所得税の基礎控除は、居住者で合計所得金額489万円以下なら104万円。104万円は令和8年12月1日以後の年末調整・申告で使う額で、同日より前に令和8年分の所得税について所得税法125条または127条(同法166条で準用する場合を含む)の確定申告書を出した人と決定を受けた人は、この改正で申告や決定の内容が変わることになったとき、同日から5年以内に更正の請求ができる(所得税法附則(令和8年法律第12号)9条2項))。

※ 住民税の障害者控除から特定親族特別控除までは、本人や親族が該当するかどうかを前年の12月31日(前年の途中でその人が死亡した場合はその時)の現況で判定し、納税義務者の子が同日前に既に死亡している場合に、その子が地方税法292条1項12号イの政令で定める子にあたるかどうかは、死亡の時の現況で判定します(地方税法314条の2第8項)。対照表のかっこ内の所得税の額は居住者が引く額で、所得税では1人の配偶者や親族を2人以上の居住者の控除の対象に重ねることはできません(所得税法85条4項から6項まで)。住民税は前年、所得税はその年の途中で配偶者が死亡し、同じ年のうちに本人が再婚した場合の、死亡した配偶者・再婚した配偶者についての同一生計配偶者・生計を一にする配偶者・扶養親族・特定親族の範囲には、政令で定める特例があります(地方税法314条の2第10項、所得税法85条7項)。

住民税の所得控除は、前年の所得について算定した総所得金額などから引きます(地方税法314条の2第1項)。住民税の額そのものは住民税 計算機で試算できます。

まとめ
  • 令和8年分の所得税の所得控除は16種類で、所得税法87条1項が16の名前を並べている。
  • 所得税の所得控除16種類のうち、年末調整を受ける人(給与所得者の扶養控除等申告書を出していることなど、所得税法190条の条件にあたる居住者)が年末調整で受けられるのは、所得税法190条2号に書いてある13種類。雑損控除・医療費控除・寄附金控除の3種類は確定申告で受ける。
  • 雑損控除とほかの所得控除の両方がある年は雑損控除を先に引き、控除する額は総所得金額、山林所得金額、退職所得金額の順に引く(所得税法87条)。
  • 給与所得控除は所得控除ではなく、住宅ローン控除は税額控除。
  • 住民税の所得控除は地方税法314条の2の15種類で、寄附金は税額控除。障害者控除・扶養控除・基礎控除など11種類は、定額または最高額が住民税のほうが所得税より小さい。

よくある質問

所得控除は15種類だと習いました。16種類が正しいのですか?

令和7年分以後の所得税では16種類です。国税庁のタックスアンサーNo.1100は、所得控除の種類に特定親族特別控除を加えた16の名前を挙げ、特定親族特別控除は令和7年分以降の年分について適用されると注記しています。特定親族特別控除が加わる前の令和6年分の所得税は、これを除いた15種類でした。

医療費控除やふるさと納税の寄附金控除は、年末調整で受けられますか?

所得税の医療費控除と寄附金控除は、年末調整では受けられません。年末調整の計算を定める所得税法190条2号に、雑損控除・医療費控除・寄附金控除の3種類は書かれていないためです。この3種類は、年末調整を受けた人も確定申告をして受けます。

給与所得控除は所得控除の1つですか?

所得控除には入りません。給与所得控除は、給与の収入金額から給与所得の金額を計算する段階(所得税法28条)で引くものです。所得控除は、そうして出した総所得金額などから引くもので、所得税法72条から87条までの節にまとまっています。

住宅ローン控除は所得控除ですか?

住宅ローン控除は税額控除です。租税特別措置法41条は、住宅借入金等特別税額控除額を「その年分の所得税の額から」控除すると書いています。所得控除が税率をかける前の所得から引くのに対し、税額控除は税率をかけた後の税額から引きます。要件は住宅ローン控除の要件の記事にまとめています。

日本に住所がない非居住者も、16種類の所得控除を受けられますか?

受けられる控除は限られます。国税庁のタックスアンサーNo.1100は、非居住者が適用できる所得控除を雑損控除、寄附金控除、基礎控除の3種類としています。

住民税でも同じ16種類の所得控除がありますか?

住民税の所得控除は15種類です。地方税法314条の2第11項が並べる控除の名前に寄附金控除は無く、寄附金は地方税法314条の7の寄附金税額控除で扱います。障害者控除・扶養控除・基礎控除などは、定額または最高額が住民税のほうが所得税より小さくなっています。

出典

所得税法・租税特別措置法の令和8年12月1日施行版、地方税法、国税庁タックスアンサーで確認して作成。確認日:2026年10月8日。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。

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