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ふるさと納税の確定申告のやり方|ワンストップが無効になる4つの場合と第二表の書き方

結論から言うと、ふるさと納税の確定申告はその年の寄附を全部、第一表の寄附金控除欄と第二表の2か所に書く作業です。ワンストップ特例の申請書を出した寄附も例外ではありません。確定申告書を提出した時点で、その年の申請は地方税法附則7条6項によりなかったものとみなされるので、申告書に載せなかった寄附はどこからも控除されなくなります。

控除の出方も変わります。ワンストップなら控除の全額が翌年度の住民税から差し引かれますが、確定申告では、寄附額から2,000円を引いた額に所得税率(復興特別所得税込み)を掛けた分だけが所得税から還付され、残りが翌年度の住民税から差し引かれます。令和8年分の年収500万円・単身・寄附5万円の例では、所得税分が約2,450円、住民税分が約45,550円です。還付金の少なさは損ではなく、配分の違いです。

この記事は2026年9月8日時点の一次情報(所得税法・地方税法の条文、国税庁のタックスアンサーと令和7年分の申告書の手引き、総務省のふるさと納税ポータル)に基づき、確定申告の手順に絞って説明します。控除上限の計算は限度額シミュレーション、寄附金控除の一般論は寄付金控除の記事が担当します。

ワンストップ特例は、確定申告書を出した時点で「なかったもの」になる

ワンストップ特例の正式名称は、地方税法附則7条の「寄附金税額控除に係る申告の特例」です。確定申告が不要な給与所得者などが、寄附をする際に寄附先の自治体へ申請書を出し、自治体から住所地の市区町村へ「申告特例通知書」を送ってもらうことで、住民税の申告に代える仕組みです。同条2項が、申請できるのは通知書を送る自治体の数が5以下と見込まれる場合に限ると定めています。

この特例が効力を失う場面は、同条6項が4つの号で列挙しています。柱書はこう定めています。

申告特例の求めを行つた者が、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該申告特例の求めを行つた者が申告特例対象年に支出した特例控除対象寄附金に係る申告特例の求め及び前項の規定による申告特例通知書の送付(第四号に該当する場合にあつては、同号に係るものに限る。)については、いずれもなかつたものとみなす。

4つの号を実務の言葉に直すと次のとおりです。ここで大事なのは、失効するのは「該当した寄附」だけではなく、その年に出した申請がすべてだという点です(4号だけは、住所がずれた通知書に限られます)。

条文の内容実務で起きる場面
1号その年分の所得税について、所得税法121条(確定所得申告を要しない場合)の適用を受けないこととなった副業などの所得が20万円を超えた、給与が2,000万円を超えたなどで確定申告の義務が生じた。2か所給与になっただけでは該当しない(同条1項2号イにより、従たる給与と給与・退職以外の所得の合計が20万円以下なら申告不要のまま)
2号翌年度分の住民税について、地方税法45条の2の申告書を提出した(確定申告書の提出を含む)医療費控除・住宅ローン控除の初年度・雑損控除などのために、義務はなくても確定申告書を出した
3号申告特例通知書を送付した自治体の数が5を超えた6団体以上に寄附して、それぞれに申請書を出した
4号通知書の送付を受けた市区町村長が、賦課期日(翌年1月1日)現在の住所地の市区町村長と異なった年内に引っ越したのに、翌年1月10日までの変更届出書(同条4項)を出さなかった

2号の括弧書きが、医療費控除のケースを拾う仕組みです。所得税の確定申告書を出すと、地方税法45条の3第1項により、その日に住民税の申告書を出したものとみなされます。だから「ふるさと納税は5団体以内だからワンストップ、医療費控除だけ確定申告」という切り分けは条文上成り立たず、確定申告書を出した瞬間に2号に該当します。国税庁のタックスアンサーNo.1155も、確定申告を行う人は申請が無効になるため、申請した分も含めて寄附金控除額を計算する必要があると明記しています。

もう1つ、条文には無いが実務で起きる失効があります。申請書そのものが自治体に届かなかった場合です。附則7条1項は申請を「特例控除対象寄附金を支出する際」に行うものとしており、自治体は翌年1月10日を提出期限として運用しています。この日付は、条文上は4項の変更届出書の期限と同じ日です。総務省のポータルも、払込取扱票のチェック欄に印を付けただけでは申請は完了せず、送られてきた申請書を記入して寄附先へ提出する必要があると案内しています。届かなかった申請は、そもそも「申告特例の求め」が無いので、確定申告で拾うしかありません。

「申請した5団体分だけ残る」は誤解

6団体以上に寄附して確定申告に切り替えるとき、先に出した5団体分の申請が生き残る余地はありません。3号に該当した時点で、その年の申請がすべてなかったものとみなされるからです。6団体以上の寄附を全部、確定申告書に載せます。

同じ4万8,000円でも、確定申告は所得税と住民税に割れ、ワンストップは住民税に寄る

控除の総額はどちらの手続でも変わりません。変わるのは、どの税から引かれるかです。所得税側は所得税法78条の寄附金控除(所得控除)で、同条1項はこう定めています。

居住者が、各年において、特定寄附金を支出した場合において、第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超えるときは、その超える金額を、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。

1号が特定寄附金の合計額(総所得金額等の40%が上限)、2号が2,000円です。所得控除なので、税額が減る額は「(寄附額−2,000円)×所得税率」に復興特別所得税分を加えた額になります。住民税側は地方税法37条の2(道府県民税)と314条の7(市町村民税)の寄附金税額控除で、基本分(合計10%)と、ふるさと納税にだけ付く特例分(100%−10%−所得税率)の二段になっています。特例分には所得割額の20%という上限があります。

ワンストップを使った場合に所得税分がどこへ行くかを決めているのが、附則7条の2です。1項はこう定めています。

道府県は、当分の間、所得割の納税義務者が前年中に第三十七条の二第二項に規定する特例控除対象寄附金を支出し、かつ、当該納税義務者について前条第五項の規定による申告特例通知書の送付があつた場合には、申告特例控除額を当該納税義務者の第三十七条の二第一項及び第十一項の規定を適用した場合の所得割の額から控除するものとする。

この「申告特例控除額」は、特例控除額に所得税率に応じた割合(課税所得195万円以下なら85分の5、330万円以下なら80分の10など。復興特別所得税を含む令和20年度分までは附則7条の3で84.895分の5.105などに読み替え)を掛けた額で、所得税から引かれるはずだった分をそのまま住民税に上乗せするものです。つまりワンストップとは「所得税の還付を住民税の減額に付け替える」制度であり、控除の総額を増やす制度ではありません。

実数で確かめます。令和8年分、給与収入500万円の単身者が、指定都市以外の市に住み、5万円をふるさと納税した例です。社会保険料控除は75万円と仮定し、他の所得控除は無いものとします。

計算段階計算金額
給与所得5,000,000−給与所得控除1,440,0003,560,000円
所得控除社会保険料750,000+基礎控除1,040,0001,790,000円
所得税の課税所得3,560,000−1,790,0001,770,000円
適用される所得税率195万円以下5%
控除の対象額50,000−2,00048,000円

令和8年分の基礎控除は、所得税法86条の62万円に租税特別措置法41条の16の2の加算42万円(合計所得金額489万円以下)を足した104万円です。この引上げで、年収500万円の単身者は課税所得が195万円を下回り、所得税率は5%になります。基礎控除が48万円だった年分なら10%の区分でした。年分によって所得税率の区分が動くので、去年の還付額と比べて「減った」と感じても、寄附金控除の計算が違うわけではありません。

控除の階計算確定申告ワンストップ
所得税(寄附金控除)48,000×5%×1.0212,450円0円
住民税・基本分48,000×10%4,800円4,800円
住民税・特例分48,000×84.895%40,750円40,750円
住民税・申告特例控除額40,750×5.105/84.8952,450円
合計寄附額−2,000円48,000円48,000円
確定申告(令和8年分・年収500万円・寄附5万円) ワンストップ特例(同じ条件) 所得税の還付 2,450円(左端) 住民税・基本分 4,800円 + 特例分 40,750円 = 45,550円 住民税・基本分 4,800円 + 特例分 40,750円 + 申告特例控除額 2,450円(右端)= 48,000円 棒の長さは金額に比例。左右の細い部分が、所得税と住民税の間で付け替わる分。
控除の総額は48,000円で同じです。確定申告では左端の2,450円だけが所得税から戻り、ワンストップでは同じ額が申告特例控除額として翌年度の住民税に移ります。

住民税側の税率区分が所得税と揃う理由も書いておきます。地方税法37条の2第11項は、特例分の割合を、住民税の課税総所得金額から「人的控除差調整額」を引いた額で判定します。この調整額は、調整控除の人的控除差(基礎控除なら5万円)に、所得税の基礎控除額から48万円を引いた額を足したものです。例では5万円+56万円=61万円で、住民税の課税所得238万円から引くと177万円になり、所得税の課税所得と一致します。所得税で5%なら住民税の特例分も5%基準で計算される、という対応がここで保たれています。

この例の住民税所得割は、課税所得238万円×10%から調整控除2,500円を引いた235,500円で、特例分の上限はその20%の47,100円です。特例分40,750円は上限の内側なので、自己負担は2,000円で収まります。寄附額を増やしたときにどこで上限に当たるかは、条件を変えて計算できる限度額シミュレーションで確かめられます。

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添付書類は「受領証明書」か「寄附金控除に関する証明書」のどちらか

寄附金控除は、所得税法120条3項1号により、控除額の計算の基礎となる金額を証する書類を申告書に添付するか、提出の際に提示することが要件です。ふるさと納税では、この書類が2種類あります。

書類発行者単位形式
寄附金の受領証明書(受領証・受領書)寄附先の自治体(発行事務の受託者を含む)寄附1件ごと書面。自治体によってはXMLデータ
寄附金控除に関する証明書国税庁長官が指定した特定事業者(ポータルサイトの運営者)その事業者を通じた年間の寄附額郵送された書面、またはXMLデータ(電子データはXML形式のみ。PDF形式での発行は不可)

国税庁は、令和3年分以後の確定申告では、寄附ごとの受領証明書に代えて、特定事業者が発行する年間寄附額を記載した「寄附金控除に関する証明書」を添付できるとしています。特定事業者とは、自治体と寄附の仲介契約を結び、寄附が支出された事実を適正かつ確実に管理できると認められる者として国税庁長官が指定した事業者で、令和8年6月16日現在の一覧は29行です(表示番号ANの「ANAのふるさと納税」が、令和5年4月の事業者変更で全日本空輸株式会社とANAあきんど株式会社の2行に分かれているため、表示番号の種類としては28です)。証明書には、寄附者の氏名・住所、年間寄附額、寄附番号、寄附年月日、寄附先の名称と法人番号、その他参考事項を記載することとされています。

実務で迷うのは組み合わせです。1つのポータルだけで寄附した年は、そのポータルの証明書1枚で足ります。複数のポータルを使った年は事業者ごとの証明書が要り、ポータルを通さずに自治体へ直接寄附した分は受領証明書で補います。同じ寄附について受領証明書と証明書の両方を添える必要はなく、逆に片方に載っていない寄附を落とすと、その分だけ控除から漏れます。

電子データで受け取る場合の形式は、国税庁が指定するXML形式に限られ、PDF形式での発行は認められていません。国税庁が令和3年分以後の確定申告で添付できるものとして挙げているのは、郵送された証明書XML形式の証明書データそのXMLデータをe-Taxの「QRコード付証明書等作成システム」で書面に出力したものの3つです。ポータルサイトの画面やPDFを自分で印刷したものが添付書類として足りるかは、国税庁の案内には書かれていません。XML形式で受け取っておけば、そのまま作成コーナーに読み込ませて控除額を自動計算させることもできます。

第一表は寄附額から2,000円を引いた額を1つの欄に書く

申告書の書き方は、国税庁が毎年公表する申告書の手引きに沿います。以下の欄番号は令和7年分(2026年3月提出分)の様式のもので、令和8年分の様式は例年1月ごろに公表され、控除の新設などで番号がずれることがあります。番号ではなく欄の名前で位置を確かめてください。

第一表で寄附金控除を書く欄は「所得から差し引かれる金額」の中の㉙寄附金控除1つだけです。手引きは第二表の下に計算欄を置いていて、次の順で求めます。

計算欄内容例(寄附5万円・所得356万円)
A寄附金控除の対象とする寄附金の合計額50,000円
B第一表⑫欄(所得金額の合計)+退職所得金額+山林所得金額3,560,000円
CB×0.41,424,000円
DAとCのいずれか少ない方50,000円
ED−2,000円 → ㉙へ転記48,000円

Aには、ワンストップの申請書を出した寄附も含めます。Cが所得税法78条1項1号の括弧書き(総所得金額等の40%)に当たる上限で、給与所得だけの人がこの上限に当たることはまずありませんが、退職や休業で所得が小さかった年は先にここで頭打ちになります。㉙の額は㉚(所得控除の合計)に足され、⑫からの差引で㉛課税される所得金額が決まります。

政党等寄附金特別控除や認定NPO法人等寄附金特別控除を選ぶ寄附は、この欄ではなく税額控除の欄(㊱〜㊳)へ行くので、Aに含めません。ふるさと納税にはこの選択はなく、必ず所得控除です。所得控除と税額控除の分かれ方は寄付金控除の記事で扱っています。

第二表は2か所。住民税に関する事項を落とすと住民税側だけ控除が消える

第二表には、ふるさと納税を書く場所が2つあります。1つ目は「寄附金控除に関する事項(㉙)」欄で、寄附先の名称等と寄附金の額を記入します。証明書を使う場合は、複数の自治体を証明書1枚でまとめて書けます。2つ目が「住民税・事業税に関する事項」の中の寄附金税額控除欄です。手引き(令和7年分・33ページ)は、この欄を次の4つに分けています。

名称ふるさと納税との関係
A都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)総務大臣の指定を受けた自治体へのふるさと納税を全額書く。ワンストップ申請分も含める
B共同募金、日赤その他の寄附総務大臣の指定がない自治体への寄附(特例控除対象外)はAではなくここ
C都道府県条例指定寄附ふるさと納税は書かない
D市区町村条例指定寄附ふるさと納税は書かない

2か所に書く理由は、書類の宛先が違うからです。所得税の確定申告書は、地方税法45条の3第1項により住民税の申告書を兼ねます。

第二十四条第一項第一号の者が前年分の所得税につき所得税法第二条第一項第三十七号の確定申告書(以下本条において「確定申告書」という。)を提出した場合(政令で定める場合を除く。)には、本節の規定の適用については、当該確定申告書が提出された日に前条第一項から第四項までの規定による申告書が提出されたものとみなす。ただし、同日前に当該申告書が提出された場合は、この限りでない。

同条3項は、確定申告書を提出する人に住民税の賦課徴収に必要な事項の付記を義務づけています。「住民税・事業税に関する事項」欄がその付記欄です。市区町村は税務署から回ってきた申告書のこの欄を見て寄附金税額控除を計算するので、第一表と第二表の寄附金控除欄が完璧でも、A欄が空欄なら住民税側の控除だけが落ちることがあります。国税庁のNo.1155は、この欄などが記載されていない場合には住民税の賦課決定の際に控除されないこともあると注意しています。

A欄の書き漏れは、所得税では気づけない

所得税の還付額はA欄と無関係に計算されるので、還付が正しく届いても住民税側の漏れは分かりません。気づくのは翌年6月の住民税決定通知書で、税額控除欄の金額が想定より小さいときです。住民税決定通知書の見方は別記事にまとめています。

A欄とB欄の振り分けにも注意点があります。地方税法37条の2第2項は、特例分の対象となる寄附先を、返礼品の基準などに適合する自治体として総務大臣が指定したものに限っています。指定を外れた自治体への寄附は、所得税の寄附金控除と住民税の基本分は受けられますが特例分は付かないため、手引きはこれをAではなくBに書くよう求めています。指定の有無の判定は、同条9項により寄附をした時点で行います。

作成コーナーでは、証明書データを先に読み込ませてから控除の入力に進む

国税庁の確定申告書等作成コーナーを使う場合、寄附金控除に関わる操作は3か所です。令和7年分のパソコン申告ご利用ガイドの流れで示します。

  1. 税目の選択で「所得税」を選びます。ガイドは、給与収入がある人で医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)を適用する場合を、この選択の例として挙げています。
  2. 事前準備の画面で、証明書データを取り込みます。方法は2つあり、マイナポータル連携を利用するか、xmlデータの読込画面で「ファイルを選択」からXML形式の証明書データを読み込ませます。マイナポータル連携で取れるのは、証明書を発行する自治体や特定事業者が連携に対応している場合に限られます。
  3. 控除の入力(1/2)の画面で「寄附金控除、政党等寄附金等特別控除」の入力欄を開きます。マイナポータル連携やXMLで取り込んだ寄附は自動で金額が反映され、「確認してください」と表示されるので内容を確認します。証明書に含まれない寄附は、受領証明書を見ながら寄附先・寄附日・金額を1件ずつ入力します。

ガイドは控除の入力の説明の中で、確定申告をする場合はふるさと納税のワンストップ特例申請分についても入力する必要があると注記しています。作成コーナーは入力した寄附から第一表㉙と第二表の両方の欄を自動で作るので、手書きで起きるA欄の書き漏れは、寄附の種類を「都道府県・市区町村(ふるさと納税)」として入力していれば防げます。逆に、入力画面で寄附の種類を誤って「その他の寄附」にすると、住民税側でBに流れて特例分が付きません。

提出はe-Taxで送信するか、印刷して税務署へ郵送または持参します。総務省のポータルも国税庁も、この2つの提出方法を案内しています。作成・提出の全体の流れは確定申告のやり方の記事が扱います。

寄附の年 1〜12月に寄附 翌年1月10日 変更届出書の期限 (申請書も同じ日を案内) 1月31日 通知書の送付期限 2月16日〜3月15日 確定申告。提出した時点で 申告特例は失効 6月〜 翌年度の住民税で控除 還付申告だけなら、翌年1月1日から5年間はいつでも出せる(所得税法122条・国税庁No.2030)
ワンストップの手続は寄附の翌年1月に締まり、確定申告は2月16日から3月15日です。確定申告書を出せば、1月までに済ませた申請は効力を失います。

申告を忘れても、還付申告は5年間出せる。出した後の漏れは更正の請求

ワンストップの期限を過ぎ、確定申告も3月15日に間に合わなかった場合、給与所得者で申告義務がない人は、所得税法122条の還付等を受けるための申告(還付申告)を出せます。国税庁のNo.2030は、還付申告書は確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できるとしています。寄附をした年の翌々年以降に気づいても、5年の窓の中なら所得税分は還付され、住民税分は市区町村が賦課決定をやり直します。

既に確定申告書を出していて、ふるさと納税を書き忘れていた場合は、国税通則法23条の更正の請求で追加します。同条1項の冒頭はこう定めています。

納税申告書を提出した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該申告書に係る国税の法定申告期限から五年(第二号に掲げる場合のうち法人税に係る場合については、十年)以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等(当該課税標準等又は税額等に関し次条又は第二十六条(再更正)の規定による更正(以下この条において「更正」という。)があつた場合には、当該更正後の課税標準等又は税額等)につき更正をすべき旨の請求をすることができる。

No.1155は、ワンストップの申請をした人が誤って寄附金控除の適用を受けずに確定申告をした場合に、更正の請求で寄附金控除の適用を受けられると明記しています。ただし同じページの注2が境界を示していて、寄附金控除を適用しても所得税額に異動がない場合は更正の請求ができません。住宅ローン控除で所得税がすでに0円になっている人がその典型で、この場合は所得税側に直すものが無いので、住所地の市区町村に相談して住民税側だけを直してもらいます。更正の請求の期限や手順は修正申告と更正の請求の記事で扱っています。

状況手続期限
確定申告書をまだ出していない(申告義務なし)還付申告(所得税法122条)翌年1月1日から5年間
確定申告書を出したが寄附金控除を書き忘れた更正の請求(国税通則法23条1項)法定申告期限から5年以内
寄附金控除を加えても所得税額が変わらない更正の請求は不可。市区町村へ住民税の申告市区町村に確認
ワンストップの申請書が届いていなかった(確定申告なし)申告特例の求めが無い状態。還付申告で拾う翌年1月1日から5年間

住民税側にも期間の定めがあります。附則7条の2第3項は、申告特例控除額の適用がある場合について、賦課決定の期間制限を定める17条の5第3項の「三年」を「五年」に読み替えています。ワンストップの通知書が届いていたのに控除されていなかった、という市区町村側の遡りも5年で揃えられている、と読める規定です。

提出前は、寄附の合計・団体数・第二表A欄の3点を照合する

ふるさと納税の申告で起きる誤りは、計算の誤りより「載せ忘れ」と「欄の取り違え」がほとんどです。提出前に次の3点を、ポータルの寄附履歴・証明書・申告書の3つを並べて照合します。

  1. 寄附の合計:ポータルごとの証明書の年間額と、直接寄附した分の受領証明書の合計が、第一表の計算欄Aと一致しているか。ワンストップ申請分を除いていないか。
  2. 団体数と申請の有無:ワンストップの申請書を出した団体があるなら、その全部が申告書に載っているか。6団体以上なら、5団体分だけを残そうとしていないか。
  3. 第二表A欄:「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」に、Aと同じ合計額が入っているか。指定を外れた自治体の分だけをBに分けているか。

還付を受ける口座は第一表の「還付される税金の受取場所」に書きます。公金受取口座を登録している人はその利用を選べます。還付の処理状況の追い方や、還付が目安を過ぎたときの確認は確定申告のやり方の還付の節を参照してください。

よくある質問

Q. ワンストップ特例を申請した寄附は、確定申告に書かなくてよいですか?

A. 書きます。確定申告書を提出すると、その年の申告特例の申請は地方税法附則7条6項でなかったものとみなされるので、申請済みの寄附も含めた全額を第一表の寄附金控除と第二表の2か所に記載します。書き漏らした寄附は、どちらの制度からも控除されません。

Q. 確定申告をしたのに、所得税の還付が2,000円台しかありません。損をしていますか?

A. 一般に損ではありません。所得税から戻るのは寄附額から2,000円を引いた額に所得税率(復興特別所得税込み)を掛けた分だけで、残りは翌年度の住民税から差し引かれます。年収500万円の単身者が5万円を寄附した令和8年分の例では、所得税分が約2,450円、住民税分が約45,550円という配分になります。

Q. 受領証明書と「寄附金控除に関する証明書」は両方必要ですか?

A. 同じ寄附について両方は要りません。令和3年分以後の確定申告では、寄附ごとの受領証明書に代えて、国税庁長官が指定した特定事業者が発行する年間寄附額の証明書を添付できます。複数のポータルを使った年は、事業者ごとの証明書と、証明書に含まれない寄附の受領証明書を組み合わせます。

Q. 医療費控除のために還付申告をします。ふるさと納税は別に何かしますか?

A. 同じ申告書にふるさと納税を含めます。所得税の確定申告書は地方税法45条の3で住民税の申告書とみなされるため、提出した時点でワンストップの申請は効力を失います。医療費控除だけを書いて提出すると、ふるさと納税の控除が所得税・住民税の両方から抜け落ちます。

Q. 確定申告の期限を過ぎてしまいました。もう控除は受けられませんか?

A. 給与所得者で申告義務がない人なら、還付申告として翌年1月1日から5年間提出できます。既に申告書を出していて寄附金控除を書き忘れた場合は、法定申告期限から5年以内の更正の請求で追加できます。寄附金控除を加えても所得税額が変わらない場合は更正の請求ができないので、住民税側は市区町村に相談します。

Q. 第二表の「住民税に関する事項」を書き忘れたらどうなりますか?

A. 所得税の寄附金控除は第一表と第二表の寄附金控除欄で計算されますが、住民税の寄附金税額控除は市区町村がこの欄を見て賦課決定します。国税庁は、記載がないと住民税の賦課決定の際に控除されないことがあると注意しています。気づいたら、住所地の市区町村に寄附の内容を申告し直します。

Q. 6団体以上に寄附したので確定申告します。5団体分の申請書はどうなりますか?

A. 附則7条6項3号により、通知書を送った団体の数が5を超えた時点で、その年の申告特例の求めはすべてなかったものとみなされます。5団体分だけがワンストップで残る仕組みではないので、6団体以上の全部を確定申告に載せます。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。

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