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年末調整のやり方・計算方法 — 年税額を求める6つの手順と過不足額の精算(令和8年分)

結論から言うと、年末調整の計算は、従業員から受け取った申告書で控除額を確かめたあと、年税額を求める6つの手順を源泉徴収簿の欄の順に進め、最後に過不足額を精算する作業です。国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」(以下、手引(令和8年分))は、年税額を求める6つの手順を、給与と徴収税額の集計、給与所得控除後の給与等の金額(調整控除後)の計算、扶養控除額等の合計額の計算、所得控除額の合計額の計算、課税給与所得金額と算出所得税額の計算、年調年税額の計算の順に示しています。

この記事は、会社の経理・給与担当者が年末調整の計算を進めるときに、手順ごとに「どの表を使うか」「端数をどう処理するか」「どの欄に書くか」を確かめられるように、手引(令和8年分)の記載に沿って整理します。従業員が申告書に何を書くかは年末調整の書き方、源泉徴収簿そのものの作り方と保存は源泉徴収簿とは、還付金がいつ・いくら戻るかは年末調整の還付金で扱っています。個々の従業員がどの控除に当たるかの判断はしません。

年末調整の計算の全体像

手引(令和8年分)は年末調整を、1年間の給与総額が確定する年末にその年に納めるべき税額を正しく計算し、それまでに徴収した税額との過不足額を求め、その差額を徴収または還付して精算する手続だと説明しています。毎月の給与から源泉徴収税額表で徴収してきた税額の合計を、1年分の正しい税額(年調年税額)に合わせる作業です。

手引(令和8年分)によると、年末調整は、原則として給与の支払者に扶養控除等(異動)申告書を提出している人の全員について行いますが、本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人など6区分の人は年末調整の対象とならない人とされています。6区分の中身と、年の中途で退職した人でも対象となる場合は年末調整の対象とならない人にまとめています。

手引(令和8年分)によると、年末調整は本年最後に給与の支払をする時に行うことになっているので通常は12月に行いますが、年の中途で死亡により退職した人など手引が挙げる5区分の人については、退職の時または非居住者となった時に行います。その年最後に給与の支払をする月中に普通給与と賞与とを支払う場合で、普通給与の支払よりも前に賞与を支払うときは、後で支払う普通給与の見積額とこれに対応する見積税額を加えたところで、その賞与を支払う際に年末調整を行ってもよいとされ、後で支払う普通給与の実際の支給額が見積額と異なることとなったときは、実際の支給額によって年末調整をやり直します。

年税額を求める6つの手順に入る前に、扶養控除等(異動)申告書、基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書・所得金額調整控除申告書、保険料控除申告書、住宅借入金等特別控除申告書を受理して内容を確認し、各人の控除額を確かめておきます。申告書と添付・提示を受ける証明書類は年末調整の必要書類で一覧にしています。

年末調整の計算の流れ。各種申告書の受理と控除額の確認のあと、年税額を求める手順を、給与と徴収税額の集計、給与所得控除後の給与等の金額(調整控除後)の計算、扶養控除額等の合計額の計算、所得控除額の合計額の計算、課税給与所得金額と算出所得税額の計算、年調年税額の計算の順に進め、最後に過不足額を精算する。 各種申告書の受理と控除額の確認 計算の前に済ませる 手順1 給与と徴収税額の集計 源泉徴収簿 ⑦・⑧欄 手順2 給与所得控除後の給与等の金額(調整控除後) ⑨〜⑪欄 手順3 扶養控除額等の合計額 ⑲欄 手順4 所得控除額の合計額 ㉑欄 手順5 課税給与所得金額と算出所得税額 ㉒・㉓欄 手順6 年調年税額 ㉔〜㉖欄 過不足額の精算(還付・徴収) ㉗欄・納付書
図1 年末調整の計算の流れと、源泉徴収簿で使う欄(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」の手順と源泉徴収簿の欄番号から作成)

手引(令和8年分)は、国税庁ホームページに掲載している「年末調整計算シート」(Excel)を使うと、各手順の計算の一部が自動計算されると案内しています。

手順1 給与と徴収税額を集計する

最初に、給与の支払を受ける人の一人一人について、本年分の毎月の給与とその給与から徴収した税額を集計し、年末調整の対象となる給与の総額と徴収税額の合計額を計算します(未払給与、現物給与、本年最後に支払う給与の税額、前職分の給与、前年分の過不足額など、集計に含める範囲は次の表の注意事項によります)。手引(令和8年分)は、このとき毎月の給与から差し引いた社会保険料と小規模企業共済等掛金の額も併せて集計しておくと便利だとしています。

次の表は、手引(令和8年分)が「集計に当たっての注意事項」として挙げる6項目を、項目の順に並べたものです。

項目集計での扱い
未払給与とその税額本年中に支給日が到来して支払の確定した給与は、未払となっている場合でも本年の年末調整の対象となるので、その未払給与と未徴収の税額を集計に含める。前年分の未払給与で本年に繰り越して支払った給与と、その給与からの徴収税額は、集計に含めない
現物給与とその税額食事の支給や各種保険料の使用者負担などの現物給与のうち課税の対象となるものは、その支給額と徴収税額を、給与の総額と徴収税額の合計額にそれぞれ含めて集計する
本年最後に支払う給与の税額年末調整をする本年最後に支払う給与は、通常の月分としての税額計算を省略してもよく、省略した場合はその給与に対する徴収税額はないものとして集計する(不足額の徴収繰延べを受けようとする人については、その給与についても通常の税額計算をした上で年末調整を行う)
年の中途で再就職した人年の中途で就職した人で、就職前に他の給与の支払者に扶養控除等(異動)申告書を提出して支払を受けていた給与がある人は、前の給与の支払者から本年中に支払を受けた給与と、その給与から徴収された税額を集計に含める。前職分の給与と徴収税額を源泉徴収票などで確認できるまでは、その人の年末調整を見合わせる
前年分の年末調整による過不足額前年分の年末調整による過納額や不足額を本年に繰り越して充当したり徴収したりしている場合でも、徴収税額は本年の給与から徴収すべきであった税額によって集計する
年の中途で扶養控除等(異動)申告書の提出先を変更した人2か所以上から給与の支払を受けている人が年の中途で扶養控除等(異動)申告書の提出先を変更したときは、前の提出先からその変更の時までに支払を受けた給与と、後の提出先から支払を受けた給与の全部が、後の提出先が行う年末調整の対象となる

前職の源泉徴収票が手元に無い従業員への対応は、源泉徴収票の再発行で扱っています。

手順2 給与所得控除後の給与等の金額(調整控除後)を求める

令和8年12月1日以後に行う令和8年分の年末調整では、集計した本年分の給与の総額(源泉徴収簿の「計⑦」欄の金額)を、手引(令和8年分)に載っている「令和8年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」(以下、算出表)に当てはめて、「給与所得控除後の給与等の金額⑨」欄の金額を求めます(本年分の給与の総額が741,000円未満の場合は0となり、本年分の給与の総額が6,600,000円以上の人については算出表に金額の表示がなく算式が示されているので、その算式に従って計算し、求めた金額に1円未満の端数があるときは切り捨てます)。手引(令和8年分)は、令和8年12月1日以後に行う令和8年分の年末調整について、令和8年分の算出表は令和7年分のものから改正されているので、必ず令和8年分の表を使うよう求めています。

手引(令和8年分)によると、令和8年12月1日以後に行う令和8年分の年末調整では、本年分の給与の総額が741,000円未満の場合、給与所得控除後の給与等の金額は0となります。

令和8年分の算出表では、本年分の給与の総額が6,600,000円以上の人については金額の表示がなく算式が示されていて、給与等の金額が6,600,000円以上8,500,000円未満の行は「給与等の金額に90%を乗じて算出した金額から1,100,000円を控除した金額」、8,500,000円以上20,000,000円未満の行は「給与等の金額から1,950,000円を控除した金額」で、算式で求めた給与所得控除後の給与等の金額に1円未満の端数があるときは切り捨てた金額によります(算出表の最後の行は、給与等の金額20,000,000円に対して18,050,000円です)。

手引(令和8年分)の計算例では、給与の総額7,654,321円を算出表の算式に当てはめると7,654,321円×90%−1,100,000円=5,788,888.9円となり、1円未満の端数を切り捨てた5,788,888円が給与所得控除後の給与等の金額です。

所得金額調整控除の適用を受ける人

所得金額調整控除の適用を受ける人(会社が所得金額調整控除申告書の提出を受けて内容を確認した人)については、手引(令和8年分)の算式「所得金額調整控除額=(本年分の給与の総額−850万円)×10%(最高15万円)」で控除額を求めて源泉徴収簿の「所得金額調整控除額⑩」欄に記入し、この算式の給与の総額は1,000万円を超える場合には1,000万円とし、算出した金額に1円未満の端数があるときは切り上げます。所得金額調整控除の適用を受けない人については、給与所得控除後の給与等の金額がそのまま「給与所得控除後の給与等の金額(調整控除後)」になります。

手引(令和8年分)の所得金額調整控除額の計算例では、給与の総額8,765,432円のとき(8,765,432円−8,500,000円)×10%=26,543.2円となり、1円未満の端数を切り上げた26,544円が所得金額調整控除額です。この控除を受けられる人の要件は所得金額調整控除で扱っています。

手順3・4 所得控除額を合計する

手順3では、扶養控除等(異動)申告書に基づいて確認した扶養控除、障害者控除などの控除額の合計額を、各人の源泉徴収簿の「扶養控除等の申告・各種控除額」欄の記載に従って求め、「扶養控除額及び障害者等の控除額の合計額⑲」欄に記入します(手引(令和8年分)の注記のとおり、この⑲欄には基礎控除額、配偶者(特別)控除額、特定親族特別控除額は含まれません)。

手順4では、源泉徴収簿に記載されている次の7つの控除額を合計し、「所得控除額の合計額㉑」欄に記入します。

このうち社会保険料等控除額の「給与等からの控除分⑫」は、本年中に給与から差し引かれた社会保険料等の総額を集計した金額(本年中に他から転職してきた人については、前の勤務先に扶養控除等(異動)申告書を提出して支払を受けた給与から差し引かれた社会保険料等を、その人が転職前の勤務先から交付を受けた本年分の「給与所得の源泉徴収票」などにより確認して含め、給与の支払者が負担した社会保険料等の金額で給与として課税されるべきものも含めます)で、そのほかの控除額は、計算に入る前に各申告書で確認した金額です。申告書のどの欄からどの控除額が出てくるかは年末調整の書き方で扱っています。

手順5 課税給与所得金額と算出所得税額を求める

源泉徴収簿の「給与所得控除後の給与等の金額(調整控除後)⑪」欄の金額から「所得控除額の合計額㉑」欄の金額を控除した残りの金額が課税給与所得金額で、「差引課税給与所得金額㉒」欄に記入し、この課税給与所得金額に1,000円未満の端数があるときは切り捨てます。

次の表は、手引(令和8年分)の「令和8年分の年末調整のための算出所得税額の速算表」です。課税給与所得金額(1,000円未満の端数を切り捨てた後の金額)に応じた速算表の行の算式で、算出所得税額を求めて源泉徴収簿の「算出所得税額㉓」欄に記入します(課税給与所得金額が18,050,000円を超える場合は、年末調整の対象となりません)。

課税給与所得金額(A)税率控除額税額の算式
1,950,000円以下5%—(A)×5%
1,950,000円超 3,300,000円以下10%97,500円(A)×10%−97,500円
3,300,000円超 6,950,000円以下20%427,500円(A)×20%−427,500円
6,950,000円超 9,000,000円以下23%636,000円(A)×23%−636,000円
9,000,000円超 18,000,000円以下33%1,536,000円(A)×33%−1,536,000円
18,000,000円超 18,050,000円以下40%2,796,000円(A)×40%−2,796,000円

※ この速算表の注によると、課税給与所得金額が18,050,000円を超える場合は、年末調整の対象となりません。

手順6 年調年税額を求める

住宅借入金等特別控除を受ける人(会社が住宅借入金等特別控除申告書の提出を受けて内容を確認した人)については、その申告書に記載の控除額を源泉徴収簿の「住宅借入金等特別控除額㉔」欄に記入し、「算出所得税額㉓」欄の金額から控除した金額を「年調所得税額㉕」欄に記入します(住宅借入金等特別控除額が算出所得税額より多くて控除しきれないときは、年調所得税額㉕の欄に0と記入し、控除しきれない部分の金額は切り捨てます)。住宅借入金等特別控除の適用を受けない人については、算出所得税額がそのまま年調所得税額になります。

手引(令和8年分)は、住宅借入金等特別控除額が算出所得税額を超える場合には、住宅借入金等特別控除額の全額(源泉徴収簿の㉔欄の金額)を給与所得の源泉徴収票の「住宅借入金等特別控除可能額」欄に記載することになっているとして、注意を促しています。

令和8年分の年末調整では、年調所得税額㉕の欄の金額に102.1%を乗じて復興特別所得税を含む年調年税額を求め、100円未満の端数を切り捨てた金額を「年調年税額㉖」欄に記入します。

端数処理の一覧

次の表は、令和8年分の年末調整について手引(令和8年分)が端数処理を示している金額を、源泉徴収簿の欄の順に並べたものです(生命保険料の控除額と地震保険料の控除額は1行にまとめています)。

計算する金額端数処理
給与所得控除後の給与等の金額⑨(給与の総額が6,600,000円以上で、算出表の算式で求めるとき)1円未満の端数を切り捨て
所得金額調整控除額⑩1円未満の端数を切り上げ
生命保険料の控除額⑮・地震保険料の控除額⑯(控除額の計算において算出した金額)1円未満の端数を切り上げ
差引課税給与所得金額㉒(課税給与所得金額)1,000円未満の端数を切り捨て
住宅借入金等特別控除額㉔(住宅借入金等特別控除申告書での控除額の計算)住宅借入金等特別控除の控除額の100円未満の端数を切り捨て
年調年税額㉖年調年税額の100円未満の端数を切り捨て

国税庁の設例を源泉徴収簿の欄の順に追う

次の表は、手引(令和8年分)の設例の金額を、源泉徴収簿の欄の順に並べたものです。この設例は、他の所得がない人について、本年最後に支払う給与(賞与)に対する税額計算を省略して年末調整を行った場合のもので、所得控除額は設例の家族構成(一般の控除対象配偶者、一般の控除対象扶養親族、特定扶養親族、同居老親等で一般の障害者である老人扶養親族、特定親族)と、設例の生命保険料・地震保険料・旧長期損害保険料(地震保険料と旧長期損害保険料に同一の損害保険契約に基づいて支払ったものはない前提)の支払額によっています。

源泉徴収簿の欄金額求め方
給与の総額⑦8,970,000円1月から12月までの普通給与と賞与の合計額
徴収税額の合計額⑧156,670円1月から12月までに徴収された税額の合計額(本年最後に支払う賞与の税額計算は省略)
給与所得控除後の給与等の金額⑨7,020,000円算出表の算式により8,970,000円−1,950,000円
所得金額調整控除額⑩47,000円所得金額調整控除の算式により(8,970,000円−8,500,000円)×10%。給与の総額が850万円超で年齢23歳未満の扶養親族を有するため所得金額調整控除の適用がある
給与所得控除後の給与等の金額(調整控除後)⑪6,973,000円7,020,000円−47,000円
所得控除額の合計額㉑4,826,102円社会保険料等1,386,102円+生命保険料の控除額120,000円+地震保険料の控除額50,000円+配偶者控除額380,000円+特定親族特別控除額410,000円+扶養控除額及び障害者等の控除額の合計額1,860,000円+基礎控除額620,000円
差引課税給与所得金額㉒2,146,000円6,973,000円−4,826,102円=2,146,898円。課税給与所得金額の1,000円未満の端数を切り捨て
算出所得税額㉓117,100円速算表により2,146,000円×10%−97,500円
住宅借入金等特別控除額㉔76,500円設例の前提として与えられた控除額
年調所得税額㉕40,600円117,100円−76,500円
年調年税額㉖41,400円年調所得税額40,600円×102.1%=41,452.6円。年調年税額は100円未満の端数を切り捨て
差引超過額㉗115,270円徴収税額の合計額156,670円の方が年調年税額41,400円より多いため、差額が超過額になる

手引(令和8年分)は、本年最後に支払う給与(給料・手当)に対する税額計算を省略しないで年末調整を行う場合の設例を、国税庁ホームページに掲載していると案内しています。

年末調整の計算機で、年調年税額と還付・不足額を確かめる

過不足額の精算 — 還付と不足額の徴収

年調年税額が求められたら、先に集計した本年分の徴収税額の合計額と比べます。徴収税額の合計額が年調年税額より多いときの差額が過納額(超過額)、少ないときの差額が不足額で、過納額は本人に還付し、不足額は本人から徴収します(実際に還付する金額と徴収する時期には、下の「過納額の還付」「不足額の徴収」に書いた条件があります)。源泉徴収簿では、「年調年税額㉖」欄の金額と徴収税額の合計額の⑧欄の金額との差額を、超過額か不足額かを表示して「差引超過額又は不足額㉗」欄に記入します。

手引(令和8年分)によると、年末調整による過不足額の精算方法には、本年最後に支払う給与(賞与を含みます)についての税額計算を省略し、その給与に対する徴収税額はないものとして精算する方法と、本年最後に支払う給与についても通常の月分の給与としての税額計算を行った上で精算する方法の2つがあります(不足額の徴収繰延べを受けようとする人については、通常の税額計算を行った上で精算する方法によります)。

過納額の還付

手引(令和8年分)によると、過納額は、年末調整を行った月分(通常は12月分で、納期の特例の承認を受けている場合には本年7月から12月までの分)として納付する「給与、退職手当及び弁護士、司法書士、税理士等に支払われた報酬・料金に対する源泉徴収税額」から差し引いて本人に還付し、その月分の徴収税額だけでは還付しきれないときは、その後に納付する同じ源泉徴収税額から差し引いて順次還付します(本年最後の給与について通常の税額計算をした場合と未払の給与が含まれる場合は次の段落の残額を還付し、給与の支払者が還付できない場合は税務署から還付されます)。

年末調整をする本年最後の給与について通常の月と同じように税額計算を行った上で年末調整をして超過額が生じた場合は、その給与から徴収すべき税額はまだ納付されていないので、超過額からその徴収すべき税額を控除した残額を還付し、超過額よりもその徴収すべき税額の方が多いときは、その徴収すべき税額から超過額を差し引いた残額を徴収します(年末調整をした給与に未払の給与も含まれている場合は、次の文のとおり未徴収の税額も控除します)。年末調整をした給与に未払の給与が含まれている場合は、超過額からその未払の給与についての未徴収の税額を控除した残額を還付し、控除した部分の税額は、その未払の給与を支払うときに徴収すべき税額に充当されます。

手引(令和8年分)は、給与の支払者のところで過納額の還付をすることができない場合として、解散・廃業などにより給与の支払者でなくなった場合、徴収して納付する税額が全くなくなった場合、納付する源泉徴収税額に比べて過納額が多額であるため還付することとなった日の翌月から2か月を経過しても還付しきれないと見込まれる場合の3つを挙げ、この場合は税務署から給与の支払者に一括して還付するか、過納となった各人に直接還付するとしています。この場合、給与の支払者は「源泉所得税及び復興特別所得税の年末調整過納額還付請求書 兼 残存過納額明細書」を作成し、各人の源泉徴収簿の写しと、過納額の請求及び受領に関する委任状を添付して、所轄税務署に提出します(退職した人などで委任状の提出ができない人の分は、税務署から過納となった人に直接還付することになるので、この請求書は用紙を別にして作成し、過納額を令和9年に繰り越して還付しているときは、令和9年分の源泉徴収簿の写しも併せて提出します)。

不足額の徴収

不足額は、年末調整をする月分の給与から徴収し、なお不足額が残るときは、その後に支払う給与から順次徴収します(次の段落の徴収繰延べの承認を受けた場合を除きます)。

手引(令和8年分)によると、年末調整をする月分の給与から不足額を徴収すると、その月の税引手取給与(賞与がある場合にはその税引手取額を含みます)が、本年1月から年末調整を行った月の前月までの税引手取給与の平均月額の70%未満となるような人については、「年末調整による不足額徴収繰延承認申請書」を給与の支払者の所轄税務署に提出して承認を受け、不足額を翌年1月と2月に繰り延べて徴収することができます(繰り延べられるのは、年末調整をする月分の給与(賞与)についても通常の税額計算をした上で年末調整をしてもなお不足となる税額で、その月の給与に対する通常の税額は徴収繰延べが認められません)。

精算のあと — 納付書と源泉徴収票

過納額や不足額の精算をしたら、その内容を年末調整をした月分の所得税徴収高計算書(納付書)に記載して徴収税額を納付します(12月中に精算しきれないで翌年1月又は2月に繰り越して精算する分は、その精算をした月分の納付書に記載し、過納額の充当・還付で納付する税額がなくなった場合でも納付書は所轄税務署に提出します)。納付書には、過納額を充当または還付したときは「年末調整による超過税額」欄に、不足額を徴収したときは「年末調整による不足税額」欄に、実際にその月に精算をした金額を記入します。

12月中に精算しきれないで翌年1月又は2月に繰り越して精算する場合には、その精算をした月分の納付書の該当欄に、その金額を記入します。過納額を充当または還付したために納付する税額がなくなった(「本税」欄が0の)場合でも、手引(令和8年分)は、納付書に上記の事項を記入して必ず所轄税務署に提出するよう求めていて、この場合の納付書のデータはe-Taxで送信することもできます。納付書の書き方は源泉所得税の納付書の書き方、納付の期限は年末調整はいつまでで扱っています。

手引(令和8年分)は、年末調整が終わり、税金の過不足額の精算や納付などを済ませると、令和8年分についての給与の源泉徴収事務は全て終了したことになるとしています。給与所得の源泉徴収票の作成と交付は、国税庁の「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」に沿って行う別の作業で、各欄の意味は源泉徴収票の見方にまとめています。

まとめ
  • 年末調整の計算は、申告書で控除額を確かめたあと、手引(令和8年分)が示す年税額を求める6つの手順を源泉徴収簿の欄の順に進め、最後に過不足額を精算する
  • 手順1の集計では、未払給与、現物給与、本年最後に支払う給与の税額、年の中途で再就職した人の前職分、前年分の過不足額、申告書の提出先を変更した人の扱いを確かめる
  • 令和8年分の年末調整では、年調所得税額に102.1%を乗じ、100円未満の端数を切り捨てた金額が年調年税額になる
  • 過不足額の精算方法には、本年最後に支払う給与の税額計算を省略する方法と、通常の税額計算を行った上で精算する方法があり、不足額の徴収繰延べを受けようとする人は通常の税額計算を行った上で精算する方法による
  • 精算した金額は、実際に精算をした月分の納付書の「年末調整による超過税額」欄・「年末調整による不足税額」欄に記入する

よくある質問

年末調整の計算は、どの順番で進めますか?

国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」は、年税額を求める手順を、給与と徴収税額の集計、給与所得控除後の給与等の金額(調整控除後)の計算、扶養控除額等の合計額の計算、所得控除額の合計額の計算、課税給与所得金額と算出所得税額の計算、年調年税額の計算の順に示していて、年調年税額が求められたら徴収税額の合計額と比べて過不足額を精算します。

年調年税額の端数は、どう処理しますか?

国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」によると、令和8年分の年末調整では、年調所得税額に102.1%を乗じて復興特別所得税を含む年調年税額を求め、100円未満の端数は切り捨てます。

本年最後の給与の税額は、計算しなくてもよいのですか?

国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」によると、年末調整をする本年最後に支払う給与については、通常の月分としての税額計算を省略してもよく、省略した場合はその給与に対する徴収税額はないものとして集計し、その給与の通常の月分としての税額は年末調整により一括精算されます(不足額の徴収繰延べを受けようとする人については、年末調整をする月分の給与(賞与)についても通常の税額計算をした上で年末調整を行わなければなりません)。

還付する金額が、納付する源泉徴収税額より多いときはどうしますか?

国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」によると、過納額は年末調整を行った月分(通常は12月分で、納期の特例の承認を受けている場合には本年7月から12月までの分)として納付する源泉徴収税額から差し引いて還付し(本年最後の給与について通常の税額計算をした場合はその給与から徴収すべき税額を、年末調整をした給与に未払の給与が含まれる場合はその未徴収の税額を、超過額から控除した残額を還付し、超過額よりも本年最後の給与から徴収すべき税額の方が多いときは、その税額から超過額を差し引いた残額を徴収します)、その徴収税額だけでは還付しきれないときは、その後に納付する「給与、退職手当及び弁護士、司法書士、税理士等に支払われる報酬・料金に対する源泉徴収税額」から差し引いて順次還付し、納付する源泉徴収税額に比べて過納額が多額であるため還付することとなった日の翌月から2か月を経過しても還付しきれないと見込まれる場合などは、税務署から還付を受ける手続があります。

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出典

国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」の原文を読んで確認。

この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案に対する助言ではありません。特定の人が年末調整の対象かどうか、どの控除を受けられるかは、その人の給与の支払状況や申告の内容ごとに判断されます。具体的な対応は、税理士または所轄の税務署にご相談ください。

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