税金・経理・補助金ツールズ

年末調整で医療費控除はできる?受けられない理由と確定申告の流れ【令和8年分】

結論から言うと、医療費控除は年末調整では受けられません。受けるときは、本人が確定申告をします。

年末調整で差し引く所得控除は所得税法190条2号に挙がっていて、医療費控除はその中にありません。会社に医療費の領収書を出しても、会社は年末調整で医療費控除を差し引けません。

年末調整が終わった後に確定申告で受ける手順は流れの節に、申告書を出せる期間は期間の節にあります。

医療費控除は年末調整と確定申告のどちらで受けるか

令和8年分の所得税について、年末調整の対象になる給与所得者の場合です。確定申告の列は、それぞれの控除の条件を満たす場合です。

控除年末調整確定申告
医療費控除受けられない受けられる。添付する書類は流れの節
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)受けられない受けられる。条件と選び方は特例の節
雑損控除・寄附金控除受けられない受けられる

控除額の計算のしかたと、いくら戻るかの目安は医療費控除はいくらから受けられるかの記事にあります。

医療費控除の控除額と還付の目安を計算する(医療費控除 計算機)

年末調整を受けた人が医療費控除を受ける流れ

年末調整は、医療費控除を入れないまま終わります。そのあと本人が確定申告書に医療費控除を書いて、税務署へ提出します。

年末調整を受けた人が、令和8年分の医療費控除を受けるまで 1. 医療費を支払う 本人 領収書を保管する 2. 年末調整 会社 医療費控除は入らない 3. 源泉徴収票 会社 → 本人 申告書の作成に使う 4. 確定申告 本人 → 税務署 医療費控除を書く 書類を添付する 4 の申告書を出せる期間は、「還付申告書を出せる期間」の節にあります。
年末調整(会社)では医療費控除が入らず、本人が確定申告で受ける

確定申告で用意するものと手順は、次のとおりです。

  1. 書類を用意する:医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作るか、医療保険者から交付を受けた医療費通知(所定の事項の記載があるもの)を添付して、その分の明細書の記載を簡略化します。
  2. 源泉徴収票を手元に置く:確定申告書を作るときに、会社から交付された給与所得の源泉徴収票を使います。
  3. 申告書を提出する:確定申告書に医療費控除を書き、1 の書類を添付して税務署へ提出します。
  4. 領収書を保管する:領収書は申告書に付けず、医療費通知を添付した分を除いて、税務署から提示を求められる場合に備えて本人が保管します。

給与所得の源泉徴収票は、申告書を作るときに必要ですが、平成31年4月1日以後は確定申告書への添付や提出の際の提示が不要です。

税務署は、確定申告期限等から5年を経過する日まで(更正の請求があった場合の延長あり)、医療費通知を添付した分を除く医療費の領収書の提示または提出を求める場合があります。

対象になるのは、納税者が自分や生計を一にする配偶者その他の親族のために、その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費です。未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象になります。

国税庁の「令和7年分 確定申告特集」によると、マイナポータル連携を利用すれば、医療費通知情報を取得して確定申告書に自動入力できます。同じ令和7年分の案内では、家族の分を取得するには、申告する人と家族のマイナンバーカードを使って、事前にマイナポータルで代理人の設定をします。

注:源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が無い人は、申告しても還付される所得税額がありません。還付申告の書類と手続は還付申告の記事にあります。

還付申告書を出せる期間

国税庁のタックスアンサー No.2030 によると、確定申告書を提出する義務のない人の還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できます(法定申告期限までの提出が要件の特例を使う場合を除く)。確定申告の義務がない人の令和8年分の還付申告書は、令和9年1月1日から提出できます。

確定申告書を提出する義務のある人は、その確定申告書に医療費控除を書いて、確定申告の期間に提出します。義務があるかどうかの区分は確定申告はいくらから必要かの記事にあります。

注:青色申告特別控除など、法定申告期限までに確定申告書を提出することが要件になっている特例を使う場合は、還付申告でも法定申告期限までに提出します。

年末調整で受けられない理由

年末調整で給与から差し引く所得控除は、所得税法190条2号のイからヘまでに挙がっています。挙がっているのは社会保険料控除・生命保険料控除・扶養控除・基礎控除などで、医療費控除(所得税法73条)・雑損控除・寄附金控除の3つはありません。

国税庁の「令和8年版 源泉徴収のあらまし」は、源泉徴収税額のある給与所得者について、次のように書いています(文の前半を引用)。

給与や退職手当などについては、その源泉徴収の段階では雑損控除や医療費控除などの所得控除は受けられないことになっているため、これらの控除は翌年に確定申告によって受けることになります

年末調整と確定申告で、計算する人・時期・控除がどう違うかは年末調整と確定申告の違いの記事にまとめています。

セルフメディケーション税制も確定申告で受ける

セルフメディケーション税制は医療費控除の特例なので、医療費控除と同じく年末調整では受けられません。適用を受ける条件は医療費控除の記事のセルフメディケーション税制の節にあります。

通常の医療費控除とは選択適用で、併せて受けることはできず、選択した後に更正の請求や修正申告で変更することもできません(国税庁 タックスアンサー No.1129)。

令和8年分の申告で特例を選ぶときは、「医療費控除の明細書」ではなく「セルフメディケーション税制の明細書」を確定申告書に添付します。

会社の担当者が従業員に聞かれたときの答え方

年末調整の時期に従業員から受ける質問と、条文や国税庁の資料に沿った答え方です。一般的な案内で、個別の医療費が控除の対象になるかを会社が判定するものではありません。

従業員の質問答え方
年末調整で医療費控除を受けたい年末調整では受けられない。本人が確定申告をする
医療費の領収書を会社に出したい年末調整では使わない。領収書や医療費通知は、本人の確定申告で使う
年末調整が終わった後でも受けられるか確定申告で受ける。出せる期間と例外は還付申告書を出せる期間の節
申告に源泉徴収票は要るか確定申告書の作成に使う。会社が交付したものを本人が手元に置く
この医療費は対象になるか年末調整では扱わない。国税庁の案内や税務署で本人が確かめる

源泉徴収票を会社がいつまでに交付するかは源泉徴収票はいつもらえるかの記事に、年末調整で差し引ける所得控除は所得控除の一覧の記事にあります。

年末調整の還付・不足額を計算する(令和8年分の計算機)
まとめ
  • 医療費控除は年末調整では受けられません。所得税法190条2号が挙げる年末調整の所得控除に入っていないためです。
  • 受けるときは、本人が確定申告書に医療費控除を書いて税務署へ提出します。添付する書類は流れの節にあります。
  • 還付申告書を出せる期間と例外は還付申告書を出せる期間の節にあります。
  • セルフメディケーション税制も年末調整では受けられません。通常の医療費控除とは選択適用で、選択した後に更正の請求や修正申告で変更できません。
  • 年末調整では医療費控除を扱わないので、会社が従業員の医療費の領収書を集める手続はありません。

よくある質問

年末調整で医療費控除はできますか?

できません。年末調整で差し引く所得控除は所得税法190条2号に挙がっており、医療費控除はその中にありません。医療費控除を受けるときは、本人が確定申告をします。

会社に医療費の領収書を出せば、年末調整で控除してもらえますか?

控除されません。年末調整では医療費控除を扱わないためです。医療費の領収書や医療費通知は、本人が確定申告をするときに使います。

年末調整が終わった後でも、医療費控除は受けられますか?

受けられます。国税庁のタックスアンサー No.2030 によると、確定申告書を提出する義務のない人は、所得税が納め過ぎになるとき、その年の翌年1月1日から5年間、還付申告書を提出できます(法定申告期限までの提出が要件の特例を使う場合を除く)。

医療費控除の確定申告に、源泉徴収票は添付しますか?

添付しません。給与所得の源泉徴収票は、申告書を作るときに必要ですが、平成31年4月1日以後は確定申告書への添付や提出の際の提示が不要です。

セルフメディケーション税制は年末調整で受けられますか?

受けられません。セルフメディケーション税制は医療費控除の特例で、医療費控除と同じく年末調整では扱いません。通常の医療費控除とは選択適用で、併せて受けることはできず、選択した後に更正の請求や修正申告で変更することもできません(国税庁 タックスアンサー No.1129)。

12月に受診して翌年1月に支払った医療費は、どちらの年の医療費控除になりますか?

支払った年の分です。医療費控除の対象になるのは、納税者が自分や生計を一にする配偶者その他の親族のために、その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費で、未払いの医療費は現実に支払った年の医療費控除の対象になります(国税庁 タックスアンサー No.1120)。

次に読む

出典

所得税法の条文(e-Gov法令検索)と、国税庁の手引・タックスアンサーで確認して作成。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は所轄税務署・税理士にご確認ください。

この内容をXで共有