税金・経理・補助金ツールズ

専業主婦は確定申告が必要?本人の申告・還付と配偶者の控除を判定

本人に課税対象の所得がなければ、専業主婦・主夫の所得税の確定申告は不要です。パート、内職、家賃、配当などがある場合は、本人の所得と年末調整の状況で確認します。「配偶者の扶養に入っているか」だけでは決まりません。

申告義務がなくても、退職前の給与などで所得税を納め過ぎていれば、本人が還付申告をできます。配偶者控除を受ける手続や、家族の医療費を申告する人は、それぞれ別に整理します。

この記事は日本の居住者の通常の申告を扱います。収入別の細かい申告不要要件は確定申告はいくらから必要か、配偶者以外の親族の記載は扶養控除の確定申告で確認できます。

収入・状況別の判定表

本人の申告と配偶者側の控除は、分けて確認します。次の表は所得税の確認の入口です。収入があるという理由だけで申告義務が生じるわけではありません。

専業主婦・主夫の確定申告の確認先
本人の状況確認すること手続する人
課税所得なし本人の所得税申告は不要。住民税の申告は自治体の案内を確認配偶者側の控除は、別に確認
パート給与年間給与・年末調整・ほかの所得から申告要否を確認給与を受けた本人
内職・販売等収入と必要経費を集計し、所得控除と税額を確認所得のある本人
年内に退職年内の給与と源泉徴収税額から、納め過ぎがないか確認退職した本人
医療費を負担対象医療費・支払者・生計同一・補填金を確認要件を満たす、実際の支払者
上場株の配当申告不要を選べるかと、申告した後の所得を確認配当の帰属する本人

まず、本人の所得から所得控除を差し引いて税額を計算します。計算した税額と税額控除・源泉徴収税額などを確認し、給与所得者などの申告不要制度も踏まえて申告義務を判断します。控除しきれない源泉徴収税額・予定納税額等がある場合は還付側になります。給与などの申告不要制度もあるため、国税庁「確定申告」の条件と併せて判断します。

本人の申告と配偶者の控除を分けて確認する流れ 本人の所得・年末調整を確認 本人の申告・還付 配偶者側の控除 医療費は支払者、配当は本人の所得へ
本人の所得税と、配偶者が受ける所得控除を分けて確認します。

パート・内職・フリマ・家賃を確認する

申告の要否は、収入の種類ごとに所得を確認して判断します。パートは年末調整の状況も確認します。

パートは年間給与と年末調整を見る

パート給与だけなら、勤務先で年末調整が済み、申告を必要とする別の事情がなければ、本人の確定申告は通常不要です。配偶者控除の対象から外れることと、本人が申告を要することは別の問題です。

本人の所得税は、令和8年分の居住者が12月1日施行後に通常申告し、給与収入が178万円以下で、ほかに所得がなければかかりません。ただし、この額を超えただけで申告義務が決まるわけではありません。年末調整・所得控除・申告不要制度を確認します(国税庁「パート収入はいくらまで所得税がかからないか」)。

掛け持ちの給与や給与以外の所得があれば、源泉徴収票と収支資料を分けて確認します。給与所得者の少額所得の申告不要制度には、給与額・源泉徴収対象・複数の支払者などの条件があります。細かな条件は収入の種類ごとの申告要否へ進んでください。

内職・ハンドメイド・家賃は売上と所得を分ける

内職の報酬、販売用に作った品物の売上、仕入れて継続販売した代金は、入金額だけで判定しません。契約・業務の実態に応じた所得区分を確認し、収入から必要経費を差し引いた所得を集計します。

給与のない人の内職を、給与所得者向けの少額所得の申告不要制度にそのまま当てはめることはできません。給与・内職・家賃などが併存する場合は、本人に帰属する各所得を集めて計算します。

家賃収入がある人も、相続した賃貸物件だから本人の所得に入らない、とは扱いません。本人に帰属する賃料収入と必要経費を整理し、家賃などの所得の申告要否を確認します。

基礎控除は、令和8年分の居住者が12月1日施行後に通常申告し、本人の合計所得金額が489万円以下の場合、104万円です。ほかの所得控除もあるため、「売上が基礎控除を超えたら申告」とは判断しません(国税庁「基礎控除」)。

家財の処分と継続販売を混ぜない

自分が使っていた衣服や家具など、生活に通常必要な動産の売却による所得には、所得税がかからない範囲があります。この非課税の生活用動産の売却損は、他の所得から差し引けません。

貴金属・宝石・書画・骨とうなどには非課税から外れる区分があるため、生活用かどうかと併せて国税庁「譲渡所得の対象となる資産と課税方法」で確認します。商品を仕入れて継続販売する取引は、家財の片付けと分けて記録します。

本人が還付を受けられる場合

源泉徴収や予定納税で納めた所得税が、年間の所得について計算した税額より多ければ、申告義務のない人も還付申告ができます。退職して専業主婦・主夫になった年や、原稿料などの報酬から所得税が差し引かれた年は確認する余地があります。

還付を確認する資料
状況用意するもの確認する点
年末調整未済退職前の給与の源泉徴収票年内の給与全体と控除を計算し直す
報酬の源泉徴収支払明細・収支の記録収入・必要経費・差し引かれた所得税を分ける
控除を追加支払資料・控除証明書等本人がその控除を受ける要件に合うか

退職した人全員に申告義務や還付があるわけではありません。源泉徴収税額等の既納税がなく、所得税を納めていない人は、控除を申告しても所得税の還付はありません。預貯金の利子など、源泉分離課税の所得も還付申告の対象外です(国税庁「還付申告」)。

還付だけを理由に申告する場合も、期限内申告が適用要件の特例は別に確認します。提出時期は確定申告の開始日と日程で確認できます。

配偶者控除は誰が申告するか

配偶者控除を受けるのは、要件を満たす配偶者がいる所得者側です。無収入の妻・夫が、配偶者控除を付けるためだけに自分の申告書を出す仕組みではありません。勤務先の年末調整に反映済みなら、同じ控除を重ねて足さないようにします。

所得税の配偶者控除は、法律上の配偶者と生計を一にし、対象配偶者が所定の所得要件を満たす場合に確認します。内縁関係は対象外で、青色事業専従者としてその年に給与を受けた人・白色事業専従者も対象から除かれます。

次の表は、配偶者の収入が給与だけの場合の、所得税の配偶者控除の所得要件です。配偶者控除を受ける居住者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、法律婚・生計同一・専従者の除外などの要件を満たすことが前提です。出典は国税庁「配偶者控除」です。

配偶者控除の給与収入要件の年分別参照表
所得が生じた年分対象配偶者の給与収入
令和6年分103万円以下
令和7年分123万円以下
令和8年分・12月1日施行後の通常申告136万円以下

令和8年分の12月1日施行後の通常申告では、配偶者控除の所得要件は配偶者の合計所得金額62万円以下です。給与以外の所得もある人は、給与収入の線だけで判断せず、合計所得金額で確認します。

配偶者特別控除も受けられる場合があります。令和8年分の12月1日施行後の通常申告では、配偶者の合計所得金額62万円超133万円以下、控除を受ける本人の合計所得金額1,000万円以下などが要件です。配偶者控除の線を超えたら控除が直ちになくなる、とは限りません。

配偶者特別控除は夫婦で互いに受けられません。専従者の除外に加え、配偶者が源泉控除対象配偶者のいる人として源泉徴収を受けている場合の扱いなど、国税庁「配偶者特別控除」の要件を確認します。年末調整や確定申告での適用状況による例外もあります。

同じ給与でも、本人の税と配偶者控除を別に確認する例

令和8年分の12月1日施行後の通常申告で、日本に住む配偶者の収入がパート給与136万円で、ほかに所得がない例を考えます。本人の所得税がかからないことを確認した後、夫側では配偶者控除の要件を別に確認します。夫の所得や婚姻・生計の条件を調べずに、妻の給与額だけで控除を確定しません。

結婚前に働いていた給与も、本人のその年の所得に含めて確認します。「結婚後は無収入」でも、年内全体で所得要件を確認する必要があります。

この記事の改正後の額は、通常の令和8年分の確定申告についての説明です。改正は令和8年12月1日施行で、令和8年分から適用されます。同日前に提出する死亡・出国に伴う申告等には経過措置があるため、国税庁「基礎控除」の注記を確認してください。

医療費控除は実際に支払った人が受ける

自己や生計を一にする家族の対象医療費を、その年に実際に支払った人が控除を受けます。妻の診療の領収書だから妻が申告する、夫の所得が高いから夫へまとめる、という決め方ではありません。

生計を一にする夫婦の医療費の確認例
支払の状況控除を確認する人
夫が負担実際に支払った夫
妻が負担実際に支払った妻
各人が負担各人が自分の支払分を確認。同じ支出を重複計上しない

妻が実際に払った対象医療費でも、妻に源泉徴収や予定納税による既納税がなければ、妻の所得税の還付はありません。その理由だけで、支払者の異なる夫の控除へ付け替えることはできません。

医療費控除額の計算条件は、下の国税庁の資料で確認します。補填金は、その給付の目的となった医療費を限度に差し引き、余った分を別の医療費から引きません。

令和2年分以後の通常の医療費控除では、領収書等から医療費控除の明細書を作成します。医療費通知で記載を簡略化する場合には、所定事項等の要件を満たす通知を添付します。詳しい対象・明細書・領収書の保存は国税庁「医療費を支払ったとき」と明細書の作成手順で確認できます。

相続した株の配当がある場合

相続した株について本人に帰属する配当を受け取った場合も、その配当の申告方法を確認します。株を相続したこと自体の税金と、その後に受け取る配当の所得税を混ぜないようにします。

上場株式等の配当は、大口株主等を除き、確定申告不要を選べる制度があります。申告不要を選んだ配当は配偶者控除等の判定の合計所得金額に含めませんが、総合課税・申告分離課税で申告すれば、その判定に含まれます。

申告分離課税を選択した配当と上場株式等の譲渡損失との損益通算を使う場合、配偶者控除等の判定では通算後の所得を使います。過去の譲渡損失の繰越控除を使う場合は、繰越控除前の所得を使います。「還付されるか」だけでなく、配偶者側の控除要件への影響も合わせて確認します。

大口株主等は少額配当などを除き申告不要を選べません。非上場株式・国外の配当等を同じ扱いにせず、国税庁「上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」で区分を確認します。申告で選択した課税方式等は、後から修正申告や更正の請求で変更できない点にも注意します。

実際の資料の仕分けは株の確定申告の確認表へ進んでください。健康保険の被扶養者の認定は所得税の申告不要制度とは別なので、加入先の保険者にも確認します。

申告前の資料と夫婦間の照合

夫婦の資料を一つの袋に集めた後は、所得が帰属する人と実際の支払者ごとに分け直します。申告書も各人の所得・控除で作成し、給与や配当を配偶者の申告書へまとめないようにします。

資料を分けるときの確認表
資料本人側で確認配偶者側と照合
給与の票年末調整・源泉徴収税額・その年の給与全体本人の年間所得の見積りが合っているか
収支記録収入・必要経費・所得区分給与以外の所得を控除判定から漏らしていないか
配当資料本人への帰属・株式区分・申告方法申告に含めた後の合計所得金額
医療費資料実際の支払者・対象医療費・補填金同じ支出を重複して申告していないか
配偶者情報自分のその年の所得を集計控除を受ける人・年末調整済みの内容

給与所得がある人は、源泉徴収票を申告書に添付する必要はありませんが、作成時に内容の入力が必要です。添付不要と、内容の入力不要を取り違えないようにします。

  1. 申告する年分を決め、本人の給与・報酬・賃料・配当などの資料を揃えます。
  2. 収入と所得を区別して集計し、年末調整と申告不要制度の条件を確認します。
  3. 本人の控除を整理し、配偶者側へ伝える年間所得も照合します。
  4. 申告が必要な場合や還付申告をする場合は、国税庁の案内から申告する年分の作成コーナーへ進みます。
  5. 提出後は控えと受付の記録を保存し、納付が必要なら納付手続も確認します。

所得税の申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合があります。無収入の人の申告の要否や所得証明への対応は、居住する市区町村の案内で確認してください。所得税の申告をした後の確認は確定申告と住民税で整理しています。

提出前に確認すること

  • 本人の申告義務は、職業名や扶養の呼び方ではなく、本人の所得・控除・年末調整等で確認します。
  • 既納税が年間税額より多ければ、申告義務がなくても本人の還付申告を確認します。
  • 配偶者控除は所得者側、医療費控除は要件を満たす実際の支払者で確認します。
  • 配当を申告する場合は、配偶者側の所得控除の判定まで照合します。
給与・内職・家賃など総合課税の所得税・還付額の目安を計算する

所得税計算機は、配当・株式等の分離課税・赤字の所得などを扱いません。対象外の所得がある人は、申告する年分の国税庁の作成コーナー等で計算します。

よくある質問

収入のない専業主婦も、配偶者控除のために確定申告が必要ですか?

本人に課税対象の所得がなければ、本人の所得税の確定申告は不要です。配偶者控除は、要件を満たす配偶者がいる所得者側の年末調整や確定申告で受ける手続です。

内職の所得が少なければ、給与の副業と同じ申告不要制度を使えますか?

給与のない人に、給与所得者向けの少額所得の申告不要制度をそのまま当てることはできません。本人の各所得と所得控除・税額で確認し、所得税の申告が不要でも住民税の申告は自治体の案内で確認します。

妻が受診した医療費は、夫が申告できますか?

夫が生計を一にする妻の対象医療費を、その年に実際に支払った場合は、夫の医療費控除を確認できます。受診した人の名前だけで申告者を決めず、実際の支払者と支払内容を確認します。

源泉徴収されていなくても、確定申告でお金が戻りますか?

源泉徴収や予定納税による既納の所得税がなければ、所得税の還付はありません。配偶者が納めた所得税を、本人の申告で取り戻す手続でもありません。

次に読む

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。個別の税務・労務相談には応じられません。

この内容をXで共有