株の確定申告【令和8年分】必要・不要と申告前の確認表
株の売却益は、源泉徴収ありの特定口座なら口座ごとに確定申告をしないことを選べます。一般口座・源泉徴収なしの特定口座は、利益と他の所得から申告の要否を確認します。
申告義務がなくても、別口座との通算や損失繰越を利用するには申告が必要です。配当を申告する場合は、課税方式によって使える控除が変わります。
この記事は令和8年分の居住者による国内上場普通株の現物取引を扱います。まず口座別の早見表で必要な手続きを選び、次に資料と申告後の影響を確認します。
口座別:株の確定申告が必要か
株の申告要否は、口座の種類や源泉徴収の設定によって異なります。「特定口座」という名前だけでは、申告を省略できるか決まりません。
居住者の国内上場普通株の現物売却についての早見表です。特定口座の「源泉あり・なし」は源泉徴収の設定を指します。配当は下の配当の節で分けて確認します。「申告を判定」は、利益があるだけで申告義務が決まる意味ではなく、所得全体と申告不要規定を確認する扱いです。
| 口座 | 所得税の申告 | 確認するもの |
|---|---|---|
| 特定口座 源泉あり | 口座ごとに申告不要を選択できる | 他口座との通算・損失繰越を使うなら申告 |
| 特定口座 源泉なし | 年間の利益と他の所得から申告を判定 | 特定口座年間取引報告書 |
| 一般口座 | 年間の損益を自分で計算し、申告を判定 | 購入・売却の取引報告書、費用の記録 |
| NISA口座内の売却 | 非課税の譲渡益について申告は不要 | NISA内の損失は課税口座と通算・繰越不可 |
根拠は国税庁の特定口座制度とNISA制度です。NISAから課税口座へ移した後の取引は、移した先の口座で確認します。
上場株の配当は、NISAでも受取方法に注意が必要です。非課税には株式数比例配分方式などの要件があり、発行会社から直接受け取る配当は課税されます。大口株主等の配当も含め、詳細はNISAと確定申告で確認できます。
一般口座は売却代金ではなく利益を計算
一般口座で確認する所得は、売却代金から取得費と売却手数料等を引いた金額です。口座へ入った売却代金を、そのまま株の利益として扱いません。
令和8年分の居住者が一般口座の国内上場株式を売る架空例では、売却代金90万円−取得費70万円−売却手数料1万円=譲渡所得19万円です。
設例の取得費は購入手数料等を含めて計算済みです。購入以外の取得や移管・株式分割等はなく、他の売買・配当もないものとしています。この所得額は納税額や還付額ではありません。
購入した株の取得費には購入代金に加えて購入手数料等も含めます。同じ銘柄を何度も買った場合や相続・贈与で取得した場合の扱いは、一般口座の確定申告と取得費の計算にまとめています。
特定口座では、証券会社が口座内の所得を計算し、特定口座年間取引報告書を交付します。一般口座で自分が計算した所得と、特定口座の報告書に記載された所得を区別して整理します。
「一般口座」と「一般株式等」は別の言葉です。一般株式等は上場株式等以外の株式等を指し、上場株式等とは別の区分で計算します。
会社員の申告不要規定を確認
会社員は、株の利益だけで申告義務を決めません。給与や他の所得を含めて確認します。次の表は給与所得者の申告不要規定を確かめるための、対象を絞った整理です。
令和8年分について、給与を1か所から受け、給与収入が2,000万円以下の居住者を想定します。その給与は源泉徴収・年末調整済みとします。同族会社役員等の会社からの利子・賃貸料、災害減免による源泉猶予、退職所得の税額不足など、他の申告事由がある場合は別に判定します。
| 場面 | 扱い |
|---|---|
| 給与・退職以外の所得合計が20万円以下 | 他の申告事由がなければ所得税の申告不要規定の対象。非課税という意味ではない |
| 給与・退職以外の所得合計が20万円超 | 所得税の申告を確認。株だけでなく副業等の所得も合計する |
| 申告不要を選ぶ株式所得 | 源泉徴収あり口座の譲渡所得・対象配当は、給与・退職以外の所得合計の判定から除く |
| 医療費控除等で給与の還付申告をする | 給与の少額所得の申告不要規定だけで一般口座等の所得を省略できない |
対象や例外は国税庁の給与所得者で確定申告が必要な人と確定申告を要しない場合の意義で確認できます。複数の勤務先から給与を受ける場合は、この表の対象に含めていません。
この節は所得税の扱いです。所得税の申告をしないときの住民税の手続きは、所得別の住民税申告と居住する自治体の案内で確認します。
損失の通算・繰越を使う場合
別の証券口座の上場株式等の利益と損失を相殺する場合は、対象の口座を確定申告に含めます。源泉徴収ありの特定口座を持っていても、証券会社をまたぐ通算は自動では行われません。
同じ源泉徴収あり口座に受け入れた対象配当等と口座内の譲渡損失は、証券会社が通算して精算します。確定申告では、年間取引報告書の譲渡損益と配当等を区別します。精算後の残損失をさらに重ねて控除しないよう照合します。
源泉徴収あり口座の譲渡損失を申告する場合、その口座に受け入れた配当等・利子等も全額併せて申告します。
繰越は損失年から連続申告が必要
上場株式等の対象損失の繰越手続です。NISA・ジュニアNISA内や相対取引の損失は対象外です。控除先は上場株式等の譲渡所得等と申告分離課税の対象配当等で、一般株式等の利益や給与からは引けません。以下の付表は損益通算及び繰越控除用、明細書は株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書を指します。
| 申告する年分 | 必要な対応 |
|---|---|
| 損失が生じた年 | 確定申告書に付表・計算明細書を添付 |
| その後の継続年 | 付表付きの確定申告を連続して提出。株を譲渡しなかった年も申告 |
| 繰越控除を受ける年 | 付表を添付。一般株式等・上場株式等の譲渡所得等がある場合は計算明細書も添付 |
繰越は、損失が発生したことだけで自動的に登録される制度ではありません。対象範囲と配当との通算手続は、国税庁の上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除と、損益通算の解説で確認できます。
配当を申告する目的と課税方式
配当控除を使うのか、売却損失と通算するのかで、配当を申告する方式が変わります。同じ配当について、総合課税の配当控除と申告分離課税の損失通算を同時に使うことはできません。
申告不要・申告分離課税を選べる国内上場普通株の配当が対象です。大口株主等の配当は除き、同族会社との合算判定の対象者も含めて区別します。外国法人や投資法人等の配当は、この表の配当控除の対象ではありません。
| 目的 | 確認する課税方式 |
|---|---|
| 申告不要のままにする | 申告不要制度。配当控除や申告による損失通算は使わない |
| 配当控除を使う | 国内法人の対象配当を総合課税で申告。所得全体で税額を比較する |
| 対象損失と通算する | 金融商品取引業者等を通じた課税口座の上場株式等の対象損失は、申告分離課税の対象配当と通算。配当控除は使えない |
申告する対象配当の全額について、総合課税か申告分離課税のどちらかにそろえます。配当の申告方式は、後から修正申告や更正の請求で変更できないため、提出前に比較します。
主な配当控除の対象外は外国法人・投資法人などの配当です。国内株という名称だけで控除できると決めず、国税庁の配当控除の対象範囲を確認します。
配当の受取単位・課税方式ごとの比較は配当金の確定申告へ。源泉徴収あり口座の申告選択や口座内通算の詳しい設例は、特定口座と確定申告で扱っています。
還付額と別に確認する扶養・保険料
申告で税金が戻ることと、負担全体が減ることは別です。申告した株式の所得が、扶養や保険料の計算にどう入るかを確認します。
申告不要の対象となる上場株式等の所得を、あえて確定申告する場合の主な確認点です。税法上の扶養の判定と国民健康保険料では、損失繰越を適用する前後が異なります。
| 確認する制度 | 確認する所得・資料 |
|---|---|
| 税法上の扶養等 | 合計所得金額は、当年の対象損益通算後、前年以前の損失繰越控除前の所得を含めて判定 |
| 横浜市の国民健康保険料 | 損益通算・繰越控除の適用後の所得を算定対象に含める |
扶養の扱いは国税庁の上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度、国保料の扱いは横浜市の株式所得の申告に関する案内で確認できます。国保料の実額は、住む自治体の算定方法と他の所得も含めて確認します。
勤務先の健康保険の被扶養者の認定は、税法上の扶養控除と同じ判定ではありません。所得税の還付額だけで結論を出さず、加入する健康保険側の取扱いも確認します。
申告前の資料仕分けと照合表
入力を始める前に、口座ごとに資料を分けます。年間取引報告書と個別の取引報告書を混ぜると、同じ売買や配当を重ねて入力しやすくなります。
国内上場普通株の売買・配当について、申告の入力前に使う資料の確認表です。税務署への添付の要否ではなく、金額と申告範囲を確かめるために用意する資料を示しています。
| 対象 | 用意する資料 | 照合する点 |
|---|---|---|
| 特定口座 | 申告する口座の特定口座年間取引報告書 | 源泉徴収の有無、譲渡損益、配当等、徴収税額 |
| 一般口座 | 購入・売却の取引報告書、取得費・手数料の記録 | 売却代金と所得を区別。購入以外の取得等は別途確認 |
| 口座外の配当 | 配当金計算書・支払通知書など | 特定口座年間取引報告書と重複していないか |
| 前年の繰越損失 | 前年の申告書・付表の控え | 発生年、未控除残高、連続申告の有無 |
| 給与も申告 | 給与所得の源泉徴収票 | 給与収入・所得控除・源泉徴収税額 |
源泉徴収あり口座の申告選択は、個々の銘柄の利益だけを抜き出して行うものではありません。申告する口座を先に決め、損失を申告する口座の受入配当等が漏れていないかを確かめます。
提出前には、作成した申告書・付表・明細書の金額を、元の資料と照合します。特に、繰越損失の残高、口座内で通算済みの配当、徴収済み税額の重複を確認します。
国税庁の損失繰越の案内にある確定申告書等作成コーナーでは、入力内容に応じて必要な付表や明細書も作成されます。電子申告の準備・受付確認はe-Taxで確定申告する手順で扱っています。
まとめ
株の確定申告は、口座の設定、年間の譲渡損益、配当、損失繰越の順に確認します。源泉徴収あり特定口座の申告不要と、給与所得者の少額所得の申告不要は別の制度です。
申告を選ぶ場合は、還付額だけでなく、扶養・保険料への影響と翌年以後の繰越手続も確認します。年間取引報告書等と申告書の金額を照合してから提出します。
積立の将来額を試すツールです。確定申告の税額・損失通算・配当控除は計算しません。
よくある質問
源泉徴収あり口座から株の損益を申告するのは、どんな場合ですか?
口座内の上場株式等の譲渡所得は、口座ごとに申告不要を選べます。ただし、別口座との通算や損失繰越を使う場合は申告が必要です。損失を申告する口座の受入配当等も併せて申告します。
株で損をした年は、申告しなくても翌年に繰り越せますか?
繰り越せません。課税口座の上場株式等の対象損失を繰り越すには、損失年から所定の付表等を添付した確定申告を連続して行います。株を譲渡しなかった年も申告が必要です。NISA・ジュニアNISA内や相対取引の損失は、この繰越の対象外です。
医療費控除の申告では、一般口座の少額の利益も載せますか?
載せます。給与所得者が医療費控除のために還付申告をする場合、一般口座の所得は給与の少額所得の申告不要規定だけでは省略できません。
株の利益は年末調整で精算できますか?
株の譲渡所得は年末調整で精算しません。源泉徴収あり口座の申告不要制度を選ぶか、確定申告の対象に含めるかを別に確認します。一般口座等の利益がある場合は、給与や他の所得も含めて申告の要否を判断します。
出典
- 国税庁「特定口座制度」
- 国税庁「株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」
- 国税庁「譲渡した株式等の取得費」
- 国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」
- 国税庁「確定申告を要しない場合の意義」
- 国税庁「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
- 国税庁「上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」
- 国税庁「配当所得があるとき(配当控除)」
- 国税庁「NISA制度」
- 国税庁「特定口座とは」
- 横浜市「株式等の譲渡所得や配当所得などにより確定申告する方へ」
この記事は一般的な情報提供です。個別の税務・労務相談には応じられません。実際の申告や取扱いは、税理士・所轄の税務署等にご確認ください。