源泉徴収とは — 支払う側が税を差し引いて納める制度。誰が・何から・いつ引くのかを条文で
結論から言うと、源泉徴収とは、特定の所得を支払う人が、その支払の際に所得税額を計算し、支払金額から差し引いて国に納める仕組みです。税を納める手続をするのは、所得を得た人ではなく支払った側です。国税庁は「源泉徴収のあらまし」で、この制度を①所得を支払う者が、②支払う際に所定の方法で所得税額を計算し、③支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付するもの、と3段で説明しています。
実務で押さえる点は4つです。①引く義務があるのは「支払う人」(会社だけでなく個人や官公庁も含むが、常時2人以下の家事使用人のみへ給与を払う個人の給与・退職手当と、給与の徴収義務を持たない個人の居住者への国内報酬は免除、ただしバー等経営者・派遣事業者が払うホステス等の報酬(客の経由払いを含む)は後者の免除対象外)。②給与(所得税法183条・185条)と報酬・料金(204条・205条)は、別の系統として動く(どちらも居住者への国内払いについての比較で、非居住者等への支払は別の表で判定し、名目が報酬・料金でも給与所得・退職所得に当たるものは給与等・退職手当等として徴収し、徴収する人の範囲・税額の決め方・精算の出口がそれぞれ違う)。③引くのは原則「現実に支払う時」で、通常の未払は徴収しませんが、未払配当・役員賞与等のみなし支払など、下の徴収時期の節に5項目の別扱いがあり、「支払」には元本繰入れ・口座振替等の支払債務が消滅する一切の行為を含みます。④納めるのは通常、支払った月の翌月10日まで(給与の支給人員が常時10人未満で納期の特例の承認を受けた者の給与・退職手当等と弁護士・税理士等の204条1項2号報酬の税額(原稿料・講演料等は対象外)は1〜6月支払分が7月10日・7〜12月支払分が翌年1月20日、国内に事務所等を有する者の非居住者等への国外払いの国内源泉所得は翌月末日(納期の特例の承認を受けた対象税額を除く)、いずれも休日・土曜は休日明け)。
この記事は制度の輪郭を扱います。税額そのものの計算は源泉徴収税額 計算機と源泉徴収税額表の見方に、納付書の書き方は所得税徴収高計算書に置いてあります。金額・年分は令和8年分です。
源泉徴収とは何か — 申告納税制度と並んで置かれている
所得税は、所得を得た本人がその年の所得金額と税額を計算し、自主的に申告して納付する「申告納税制度」を建前にしています。源泉徴収制度は、その建前を置き換えるものではなく、特定の所得についてだけ、これと併せて採用されている仕組みです。国税庁「源泉徴収のあらまし(令和8年版)」の第1は、次のように書いています。
所得税は、所得者自身が、その年の所得金額とこれに対する税額を計算し、これらを自主的に申告して納付する、いわゆる「申告納税制度」が建前とされていますが、これと併せて特定の所得については、その所得の支払の際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度が採用されています。
ここから、源泉徴収の性格が2つ読めます。1つは対象が「特定の所得」に限られること。支払うものが何でも引くわけではなく、受給者の区分ごとに法律が名指しした所得が対象です(居住者については下の13区分)。もう1つは、源泉徴収された税額が多くの場合は仮の金額にとどまることです。源泉徴収だけで納税義務が完結する源泉分離課税とされる利子所得などを除き、報酬・料金等に対する源泉徴収税額は確定申告により、給与に対する源泉徴収税額は通常は年末調整という手続を通じて精算される仕組みになっています。
この制度は新しいものではありません。国税庁の同じ節に、利子所得については明治32年から、給与所得については昭和15年から採用されていると書かれており、外国でも多くの国で採用されている、と続きます。「会社が勝手に天引きしている」のではなく、100年近く使われてきた徴収方法だということです。
源泉徴収義務者は「支払う人」。義務者側の所得別免除を2つ紹介
源泉徴収に係る所得税や復興特別所得税を徴収して国に納付する義務のある者を「源泉徴収義務者」といいます。ここを法人だと思い込むと判定を外します。国税庁は、源泉徴収の対象とされている所得の支払者は、会社や協同組合である場合はもちろん、学校、官公庁であっても、個人や人格のない社団・財団であっても、全て源泉徴収義務者となると書いています(所得税法6条、復興財確法8条2項。ただし常時2人以下の家事使用人のみへ給与を払う個人の給与・退職手当と、給与の徴収義務を持たない個人の居住者への国内報酬は免除、ただしバー等経営者・派遣事業者が払うホステス等の報酬(客の経由払いを含む)は後者の免除対象外)。源泉徴収対象所得を支払う個人事業主や、町内会のような人格のない社団も義務者となります(個人の所得別免除: 常時2人以下の家事使用人のみへ給与を払う個人の給与・退職手当と、給与の徴収義務を持たない個人の居住者への国内報酬は免除、ただしバー等経営者・派遣事業者が払うホステス等の報酬(客の経由払いを含む)は後者の免除対象外)。
そのうえで、同じ節が源泉徴収を要しない場合を2つ挙げています。「小規模だから対象外」という枠はここにありません。2つとも支払う所得の種類ごとの免除で、その人が源泉徴収義務者でなくなるわけではありません(1は給与と退職手当について、2は居住者への国内報酬・料金等についての免除で、バー等経営者・派遣事業者が支払うホステス等の報酬(客の経由払いを含む)は除き、それ以外の者の直接払いは対象外です)。なお、そもそも源泉徴収の対象にならない所得(居住者については13区分に載っていないもの、非課税の所得。非居住者・外国法人等には別の対象表があります)は別の軸の話です。
源泉徴収を要しない2つの場合(令和8年版「源泉徴収のあらまし」第1のⅡ)
- 常時2人以下の家事使用人のみに対して給与の支払をする個人は、その支払う給与や退職手当について源泉徴収は要しない(所得税法184条、200条)。例えば、家政婦・ベビーシッターなど家事使用人のみへ給与を払い、その人数が常時2人以下の個人家庭です。
- 給与所得について源泉徴収義務を有する個人以外の個人が居住者へ国内で支払う弁護士報酬などの報酬・料金等については、源泉徴収を要しない(所得税法204条2項2号。ただし、バー等経営者・派遣事業者が支払う204条1項6号のホステス等の報酬(客の経由払いを含む)はこの免除の対象外で、それ以外の者が直接払うホステス等の報酬はそもそも源泉徴収の対象外)。給与を払っていない個人事業主が居住者へ国内で通常の税理士報酬を払うときは、引かずに全額を支払います。
2の例外にも、さらに例外があります。居住者へ国内で支払うホステス、バンケットホステス・コンパニオン等の報酬・料金(204条1項6号)は、この除外の対象から外されているため、給与を払っていない個人でも、バー・キャバレー等の経営者やバンケットホステス・コンパニオン等をホテル・旅館等へ派遣する事業者が支払う場合は源泉徴収が必要です。それ以外の者の直接払いは対象外ですが、客が経営者を通じて支払うものは経営者の支払として徴収します。
2の読み替えに注意してください。この除外は「個人であること」ではなく「給与について源泉徴収義務を有しない個人であること」を条件にしています。家事使用人のみへ常時2人以下の給与を払う場合を除き、従業員に給与を払う個人事業主が居住者に国内で対象となる税理士報酬・原稿料・デザイン料を払うときは徴収が必要です。支払者が法人なら給与の支払の有無にかかわらず、居住者への国内の対象報酬を徴収します。内国法人への通常の原稿料・税理士法人への報酬は対象外で、非居住者・外国法人は別の対象表で判定します。
なお、源泉徴収をする側の義務と、報酬を受け取る側が事業者か給与所得者かの判定は別の問題です。受け取る側の区分で結論が変わる場面は外注費と給与の区分に、受け取ったあとの申告は業務委託の確定申告にまとめています。
何から引くのか — 居住者に支払う所得の13区分
源泉徴収の対象になる所得の範囲は、支払を受ける者の区分(居住者・内国法人・非居住者および外国法人)に応じて別の表になっています。同じ原稿料でも、相手が個人か法人かで結論が変わるのはこの構造によります。居住者に支払う所得として国税庁の表が挙げるのは、次の13区分です。
| 区分 | 内容(主なもの) | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 利子等 | 公社債・預貯金の利子、合同運用信託や公社債投資信託の収益の分配など(分離利子公社債に係るもの、法律の規定によらない学校債・組合債等の利子、貯蓄金管理協定のない勤務先預金の利子や協定があっても代表権や業務執行権のある役員や従業員の家族などの勤務先預金の利子は対象外で、後2者は雑所得。合同運用信託からは委託者非指図型投資信託と委託者が実質的に多数でないものとされる一定の信託等を除く。児童・生徒が学校長の指導で預け入れた預貯金等の利子と、原則として納税準備預金・納税貯蓄組合預金の利子は非課税で、徴収しない(ただし納税準備預金から租税の納付の目的以外に引き出した金額があれば、その引出しの日の属する利子計算期間の利子は課税される)。このほか、所定の手続をとることを要件として一定限度額までの元本の利子等を非課税とする障害者等の少額預金・少額公債の非課税制度(所得税法10条・租税特別措置法4条)と勤労者財産形成住宅貯蓄・年金貯蓄の非課税制度(租税特別措置法4条の2・4条の3)があり、対象者・手続・限度額の要件は各条による) | 所得税法23条・181条1項ほか |
| 2 配当等 | 法人(公益法人等・人格のない社団等を除く)が支払う剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うもの・分割型分割によるもの・株式分配を除く)、利益の配当、剰余金の分配、投資法人の金銭の分配(出資等減少分配を除く)、基金利息、投資信託(公社債投資信託・公募公社債等運用投資信託を除く)と特定受益証券発行信託の収益の分配など(オープン型証券投資信託の元本払戻しに当たる特別分配金は非課税で含まない。協同組合等の事業分量配当は配当所得ではなく事業所得等。適格現物分配に係るものも除く。居住者又は恒久的施設を有する非居住者(口座を開設しようとする年の1月1日に18歳以上)の非課税口座(NISA)内の上場株式等の配当等で、口座を開設した金融商品取引業者等が国内の支払の取扱者で一定のものであるもののうち、非課税管理勘定は設けた日から同日の属する年の1月1日以後5年を経過する日まで、累積投資勘定は同じく20年を経過する日までの間に、特定累積投資勘定・特定非課税管理勘定は設けた日以後に支払を受けるべきものは所得税が課されない) | 所得税法24条・25条・181条ほか |
| 3 給与等 | 俸給、給料、賃金、歳費、賞与その他これらの性質を有するもの(通常の給与に加算して支給する通勤手当や通勤用定期乗車券のうち、通勤手段・通勤距離の区分に応じた一定の金額までの非課税部分を除く) | 所得税法28条・183条 |
| 4 退職手当等 | 退職手当、一時恩給、社会保険制度等に基づく一時金など(確定給付企業年金法の規定に基づく一時金は加入者の退職により支払われるものが対象で、加入者が負担した掛金がある場合はその負担額を控除した部分に限る。退職によらない一時金で退職所得とされるもの(年金に代えて支払われる一時金など)は所得税基本通達31−1による。死亡した人に対する退職手当で死亡後に支給期の到来するものは、相続税の課税価格の計算の基礎に算入されるものは所得税が課されず、それ以外は支払を受ける遺族の一時所得) | 所得税法30条・31条・199条ほか |
| 5 公的年金等 | 国民年金法・厚生年金保険法等に基づく年金、恩給(一時恩給を除く)、確定給付企業年金の年金など(その年中に支払を受けるべき金額が65歳未満の人は155万円未満、65歳以上の人は205万円未満(65歳以上の人の農業者老齢年金・国民年金基金等の年金・旧共済の退職共済年金(一定のものを除く)など所定の5区分の年金は127万円未満)なら源泉徴収は不要。ただし確定給付企業年金の年金など扶養親族等申告書を提出できない年金はこの基準の対象外。同じ支払者が同じ受給者に2以上の年金を払う場合は原則として合計額で判定) | 所得税法35条3項・203条の2 |
| 6 報酬・料金等 | 給与・退職所得に該当するものを除く、①原稿料・デザイン料(織物業者が支払う意匠料・紋切料と字・絵等の看板書き料はデザインの報酬に当たらない)・講演料・放送謝金・工業所有権使用料・技芸等の教授指導料など、②弁護士・公認会計士・税理士等の報酬、③社会保険診療報酬支払基金が払う診療報酬、④外交員・集金人・検針人・プロ選手等の報酬(製造業者・卸売業者等が特約店等の専属セールスマン等のために支出する慰安の運動会・演芸会・旅行等に通常要する費用や、一定の基準に従って交付する慶弔・禍福の金品の費用によりセールスマン等が受ける経済的利益は課税しなくて差し支えない)、⑤芸能・放送の出演演出等と芸能人役務提供事業の報酬(料理屋・旅館等で特定の客の求めに応じて軽易な芸を披露した者(専属・常時出演など専ら客に芸能を提供する人を除く)に客が直接又は料理屋・旅館等を通じて払う報酬は含まず、芸能人役務提供事業の報酬には自ら主催する公演の入場料等の不特定多数から受けるもの、脚本・楽曲等の著作権の対価、実演の録音物の増製や所定の放送につき支払われる著作隣接権の対価で実演による役務提供の対価と併せて支払われるもの以外のもの、大道具・衣装等の物だけの貸与や犬・猿等の動物だけの出演の対価を含まない)、⑥バー等経営者・派遣事業者が払うホステス・コンパニオン等の報酬(客の経営者経由払いを含む)、⑦使用人雇用の支度金等の契約金(就職に伴う転居のための旅費に当たるものは除く)、⑧事業の広告宣伝のために賞として支払う賞金品(物品などの経済上の利益を含む。ただし旅行その他の役務の提供を内容とする経済上の利益で金品との選択ができないものは対象外。主な対象外はほかに、寄贈者等の事業の広告宣伝のための賞金品等と認められるもの以外の、社会的に顕彰される行為・業績等の表彰(支払者の収益事業と密接な関連がないもの)、使用者・団体による使用人等・構成員の成績の表彰、行政官庁等の行政上の広報を目的とする賞金品等)と、馬主の競馬賞金(金銭で支払うものに限り、副賞の賞品は対象外)。給与の支払者でない個人・常時2人以下の家事使用人のみに給与を払う個人が支払うものは、⑥のホステス等の報酬を除き徴収不要。ネオンサイン・広告塔・ショーウィンドー・陳列棚・商品展示会場・庭園等のデザインとその施工、又は建築士の業務と建築の施工を併せて請け負った者に対価を一括して払う場合は、デザイン・建築士業務の報酬部分と施工の対価に区分して報酬部分を徴収対象とし、その部分が極めて少額なら徴収しなくて差し支えない。ただし、第1・2・4・5号の報酬で役務提供のための通常必要な旅費・宿泊費を支払者が交通機関・ホテル等へ直接払う分、第1号の同一人への1回の支払がおおむね5万円以下の懸賞応募作品等の入選賞金・読者投稿等の謝金・聴視者番組への投稿等の謝金(後2区分はあらかじめ委嘱した人への対価を除く)、第2号の報酬の支払者が国・地方公共団体への登記・申請等のために本来納付すべき登録免許税・手数料等に充てるものとして支払ったことが明らかな金銭は徴収不要(又は徴収しなくて差し支えない)で、第5号の芸能人役務提供事業を営む個人が源泉徴収を要しないことの証明書を提示して受けるものも徴収不要 | 所得税法204条ほか |
| 7 生命保険契約等の年金 | 生命保険会社・損害保険会社等の保険契約等に基づく年金。主な除外: 年額から対応保険料等を控除した残額25万円未満、将来年金に代わる一時所得の一時金、次の関係の契約の年金(ただし保険金等の支払事由発生後に年金支給へ変更した契約は除外されない): 年金受取人と契約者が異なる契約(団体保険を除く)、同一だが支払事由発生により契約者を変更した契約、団体保険で被保険者と年金受取人が異なる契約 | 所得税法207条 |
| 8 定期積金の給付補塡金等 | 定期積金の給付補塡金など | 所得税法174条3〜8号・209条の2ほか |
| 9 匿名組合契約等の利益の分配 | 匿名組合契約等に基づいて受ける利益の分配 | 所得税法210条 |
| 10 源泉徴収選択口座内の譲渡所得等(差益が生じた場合) | 源泉徴収の選択をした特定口座を通じた上場株式等の譲渡等により一定の方法で計算した差益が生じた場合の所得等 | 措置法37条の11の4 |
| 11 懸賞金付預貯金等の懸賞金等 | 懸賞金付預貯金等の懸賞金など | 措置法41条の9 |
| 12 割引債の償還差益 | 発行時徴収の対象割引債(割引発行の国債・地方債・内国法人社債・外国法人の一定の債券。外貨公債の発行に関する法律1条1項の外貨債、住宅金融支援機構・沖縄振興開発金融公庫・都市再生機構の債券、平成28年1月1日以後発行の公社債を除く。ただし長期信用銀行債等・農林債は最後の除外の対象外)の償還差益(外国法人が国外で発行した割引債は、償還差益のうちその外国法人が国内で行う事業に帰せられる部分) | 措置法41条の12 |
| 13 割引債の償還金の差益金額 | 平成28年1月1日以後に個人・一定の内国法人・外国法人へ国内で支払う対象割引債の償還金の差益(非居住者等が受ける特定振替割引債の償還金に係る差益金額で、非課税適用申告書の提出など一定の要件を満たすものは非課税で、発行者と特殊の関係のある者が受けるものはこの非課税から除く)(対象割引債は平成28年1月1日以後発行の一定の公社債などのうち、割引の方法で発行されるもの・分離元本公社債・分離利子公社債・発行価額の額面金額に対する割合が90%以下の利付公社債の4区分。償還時に特定口座で管理されるものと外貨債を除く。特定割引債取扱者が徴収する場合は支払者の徴収不要) | 措置法41条の12の2 |
相手が内国法人のときは対象が8区分に減り、給与等・退職手当等・通常の報酬・料金等が入りませんが、国内で支払う馬主への金銭の競馬賞金は第5Ⅱの報酬・料金等の対象です(副賞の賞品は対象外。内国法人の利子等は公社債・預貯金の利子及び合同運用信託・公社債投資信託・公募公社債等運用投資信託の収益分配に限り、勤労者財産形成貯蓄保険契約等の差益を含みません。8区分は利子等、配当等、定期積金の給付補塡金等、匿名組合契約等の利益の分配、馬主が受ける競馬の賞金、懸賞金付預貯金等の懸賞金等、割引債の償還差益、割引債の償還金に係る差益金額。最後の1つは一定の内国法人に限られます)。内国法人に原稿料を払っても源泉徴収しないのは、表に載っていないからです。非居住者および外国法人に支払う場合はさらに別の表で、恒久的施設を通じて行う組合契約事業から生ずる利益の配分や国内にある土地等の譲渡による対価など国内源泉所得として13の類型が挙げられ、これに特定口座内保管上場株式等の譲渡による所得等(恒久的施設を有する非居住者が源泉徴収選択口座を通じて譲渡等を行い、一定の方法で計算した差益が生じた場合に限られます)・懸賞金付預貯金等の懸賞金等・割引債の償還差益・割引債の償還金に係る差益金額の4区分が続きます。
居住者かどうかは国籍やビザでは決まらない
居住者とは、国内に住所を有する個人または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人のことです(所得税法2条1項3号)。国税庁は、居住者と非居住者の区分はその人の国籍や在留資格(入国ビザ)には関係がないと注記しており、住所は「個人の生活の本拠」をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定します(所得税基本通達2−1)。国内に居住することとなった人が、国内に継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する場合は、国内に住所を有する人と推定されます(所得税法施行令14条)。
給与と報酬・料金は、別の系統として動く
会社の経理が日常で扱うのは、13区分のうち3の給与等と6の報酬・料金等です。この2つは同じ「源泉徴収」という言葉で呼ばれますが、根拠条文から精算の出口まで別に組まれています。
| 比べる点 | 給与等(所得税法183条・185条) | 報酬・料金等(204条・205条) |
|---|---|---|
| 対象の決まり方 | 俸給・給料・賃金・歳費・賞与その他これらの性質を有するもの(通常の給与に加算して支給する通勤手当や通勤用定期乗車券のうち、通勤手段・通勤距離の区分に応じた一定の金額までの非課税部分を除く) | 居住者への国内払いで204条1項第1号から第8号までのいずれかに該当し、給与・退職所得に当たらないもの(給与の徴収義務を持たない個人は免除、ただしバー等経営者・派遣事業者のホステス等への報酬は免除対象外。客の経由払いを含み、その他の者の直接払いは対象外。第1・2・4・5号の報酬で、役務提供のための通常必要な旅費・宿泊費を支払者が交通機関・ホテル等へ直接払う分は徴収不要として差し支えない。第5号の芸能人役務提供事業を営む個人が所轄税務署長から交付を受けた源泉徴収を要しないことの証明書を提示して受けるものは徴収不要。第1号の同一人への1回の支払がおおむね5万円以下の懸賞応募作品等の入選賞金・読者投稿等の謝金・聴視者番組への投稿等の謝金(後2区分はあらかじめ委嘱した人への対価を除く)は徴収しなくて差し支えなく、第2号の報酬の支払者が国・地方公共団体への登記・申請等のために本来納付すべき登録免許税・手数料等に充てるものとして支払ったことが明らかな金銭は徴収不要。第4号の外交員等の報酬について、製造業者・卸売業者等が特約店等の専属セールスマン等のために支出する慰安の運動会・演芸会・旅行等に通常要する費用や、一定の基準に従って交付する慶弔・禍福の金品の費用によりセールスマン等が受ける経済的利益は課税しなくて差し支えない。第7号の契約金には就職に伴う転居のための旅費に当たるものを含まず、第8号の広告宣伝の賞金品には旅行その他の役務の提供を内容とする経済上の利益で金品との選択ができないものを含まず、寄贈者等の事業の広告宣伝のための賞金品等と認められるもの以外の、社会的に顕彰される行為・業績等の表彰(支払者の収益事業と密接な関連がないもの)、使用者・団体による使用人等・構成員の成績の表彰、行政官庁等の行政上の広報を目的とする賞金品等も含まない。ネオンサイン・広告塔・ショーウィンドー・陳列棚・商品展示会場・庭園等のデザインとその施工、又は建築士の業務と建築の施工を併せて請け負った者への一括対価は、報酬部分と施工の対価に区分して報酬部分を徴収対象とし、その部分が極めて少額なら徴収しなくて差し支えない。第1号のデザインの報酬には織物業者が支払う意匠料・紋切料と字・絵等の看板書き料を含まず、第5号の報酬には料理屋・旅館等で特定の客の求めに応じて軽易な芸を披露した者(専属・常時出演など専ら客に芸能を提供する人を除く)に客が直接又は料理屋・旅館等を通じて払う報酬を含まず、芸能人役務提供事業の報酬には自ら主催する公演の入場料等の不特定多数から受けるもの、脚本・楽曲等の著作権の対価、実演の録音物の増製や所定の放送につき支払われる著作隣接権の対価で実演による役務提供の対価と併せて支払われるもの以外のもの、大道具・衣装等の物だけの貸与や犬・猿等の動物だけの出演の対価を含まない) |
| 支払先が法人のとき | 対象外(法人に給与は発生しない) | 内国法人への通常報酬は対象外(国内で支払う馬主の金銭の競馬賞金は対象、副賞の賞品は対象外)。外国法人は国内源泉所得の別表で判定 |
| 税額の決め方 | 賞与以外は月額表・日額表。通常賞与は算出率表、前月普通給与なし又はその10倍超の賞与は月額表(普通給与を月の整数倍の期間ごとに払うため前月中に支払がない又は前月中にまとめて払った場合は、直前に払った普通給与の月割額を前月中の普通給与として算出率表を使う)。丙欄適用者の臨時手当等は通常の日雇賃金と合計して計算するのが原則 | 号ごとに決まった率や算式で計算する |
| 一般的な税率 | 税額表の甲欄・乙欄・丙欄による | 10.21%が基本。号・業務区分ごとに算式が異なり、原稿料等は同一人に対する1回支払の100万円を超える部分は20.42%、または一定額を控除してから10.21% |
| 申告書の提出 | 丙欄対象を除き「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出ありは甲欄、なしは乙欄。丙欄は提出不要で、①日・時間により算定し労働日ごとに支払う日雇給与、②日々雇い入れられる者の日・時間により算定し労働日以外に支払う給与、③契約期間2か月以内で日・時間により算定する給与の3区分(同一雇用主のもと継続2か月超の部分は甲欄又は乙欄) | 給与の扶養控除等申告書による甲欄・乙欄の区分はない |
| 年末調整 | 対象者について通常は最後の給与時(所得税法190条)。12月に賞与を通常の給与より先に払う場合は、その賞与を払う時に、後で払う12月分の通常の給与とその税額の見積額を含めて行うことができ、実際の額が見積額と異なれば12月分の通常の給与を払う時に再計算する。年の中途で死亡退職した人・海外転勤で非居住者となった人など所定の中途退職等の場合は、それぞれに該当することとなった時にその人について行う(対象者の全区分と対象外は下の精算の節に記載) | ない |
| 精算の出口 | 対象者は通常年末調整。確定申告義務又は任意の還付申告は本人の所得・税額等の条件で判定 | 確定申告で年税額との差額を精算(申告不要の場合もある) |
| 納期の特例の対象 | 対象(給与等・退職手当等) | 204条1項2号の弁護士・税理士等の報酬だけが対象 |
| 納付書 | 給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書 | 2号の報酬は給与と同じ用紙、それ以外は報酬・料金等の用紙 |
最後の2行が、現場でいちばん事故になります。納期の特例の承認を受けていても、原稿料や講演料は半年分にまとめられません。特例の対象は給与等・退職手当等(非居住者に支払ったものを含む)と、204条1項2号の弁護士・司法書士・土地家屋調査士・公認会計士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士・測量士・建築士・不動産鑑定士・技術士などに支払う報酬・料金に限られているためです(所得税法216条)。デザイン料・原稿料は1号で、2号ではありません。使う納付書も分かれます。対象の線引きは源泉所得税の納期の特例、用紙の選び方は所得税徴収高計算書の書き方にあります。
報酬・料金の側には、給与には無い取扱いがあります。報酬・料金等の金額に消費税額が含まれている場合、原則は消費税を含めた金額が源泉徴収の対象ですが、支払を受ける者からの請求書等で報酬額と消費税・地方消費税額が明確に区分されていれば報酬額のみを対象にできます。ただし、支払を受ける者からの請求書等で報酬・料金等の額と消費税額等とが明確に区分されている場合には、報酬・料金等の額のみを対象として差し支えありません。また、謝礼・賞金・研究費・取材費・材料費・車賃・記念品代・酒こう料等の名義で支払われても、204条1項第1・2・4〜7号の報酬・料金又は契約金の性質を持つものは対象です(所得税基本通達204−2、第4号の外交員等の報酬について、製造業者・卸売業者等が特約店等の専属セールスマン等のために支出する慰安の運動会・演芸会・旅行等に通常要する費用や、一定の基準に従って交付する慶弔・禍福の金品の費用によりセールスマン等が受ける経済的利益は課税しなくて差し支えない、第6号のホステス等の報酬はバー等経営者・派遣事業者が支払うもの(客からバー等経営者を通じて支払うものを含む)に限り、その他の者が直接払うものは対象外、給与の支払者でない個人・常時2人以下の家事使用人のみに給与を払う個人が支払う場合は第6号のホステス等の報酬を除き不要で、第5号の芸能人役務提供事業を営む個人が所轄税務署長から交付を受けた源泉徴収を要しないことの証明書を提示して受けるものも徴収不要、第5号の芸能人役務提供事業の報酬には自ら主催する公演の入場料等の不特定多数から受けるもの、脚本・楽曲等の著作権の対価、実演の録音物の増製や所定の放送につき支払われる著作隣接権の対価で実演による役務提供の対価と併せて支払われるもの以外のもの、大道具・衣装等の物だけの貸与や犬・猿等の動物だけの出演の対価は含まれず、また第1・2・4・5号の報酬について、その報酬の役務を提供するための旅行・宿泊等に通常必要な旅費を交通機関等へ直接払う場合は徴収不要可、また、同一人への1回の支払がおおむね5万円以下の懸賞応募作品等の入選賞金、新聞・雑誌等の読者投稿・ニュース写真等の謝金、ラジオ・テレビの聴視者番組への投稿・ニュース写真等の謝金(後2区分の事前委嘱の対価を除く)は徴収不要として差し支えなく、第2号の報酬の支払者が委嘱事項に関連して渡す金銭でも、国・地方公共団体への登記・申請等のために本来納付すべき登録免許税・手数料等に充てるものとして支払ったことが明らかなものは徴収不要です)。名目だけではこの性質は変わりませんが、直接払い旅費・少額投稿謝金等の上記例外は適用されます。ただし逆向きの取扱いもあります。居住者に国内で支払う204条1項第1・2・4・5号の報酬・料金について、支払者が、その役務を提供する人(第5号の芸能人役務提供事業を営む個人を含む)の役務提供のための旅行・宿泊等の費用を負担する場合に、その金銭等が本人に交付されるのではなく支払者から交通機関・ホテル・旅館等へ直接支払われ、かつ通常必要と認められる範囲内のものであるときは、源泉徴収をしなくて差し支えありません(所得税基本通達204−4)。
源泉徴収税額を計算する(給与・賞与・報酬の区分別/令和8年分)引くのは原則「現実に支払う時」。未払配当・役員賞与等のみなし支払には注意
源泉徴収をする時期は、原則として現実に源泉徴収の対象となる所得を支払う時です。国税庁は続けて、これらの所得を支払うことが確定していても、現実に支払われなければ原則として徴収不要としつつ、未払配当・役員賞与等のみなし支払など次の5項目を別扱いとしています。決算で未払費用に計上した役員報酬や外注費について、通常は支払前の徴収・納付は不要ですが、役員賞与等のみなし支払に当たる場合は別です。
ただし「支払」の範囲は、現金を渡す行為だけではありません。
源泉徴収を行う際の「支払」には、現実に金銭を交付する行為のほか、元本に繰り入れ又は預金口座に振り替えるなどその支払の債務が消滅する一切の行為が含まれます
所得税基本通達181〜223共−1です。相殺で清算した場合や、本人の求めで未払金を貸付金に振り替えた場合も、債務が消滅していれば「支払」に当たります。「振り込んでいないから引かなくてよい」とは限りません。
この原則には例外があり、国税庁の同じ節が5つ挙げています。次の5項目は、みなし支払や割引債の徴収時期を定めるものです。1〜3は支払がないまま一定期間が過ぎたときに支払があったものとみなすもの、4・5は割引債に固有の時期です。
| 所得 | 源泉徴収をする日 | 根拠 |
|---|---|---|
| 配当等(投資信託・特定受益証券発行信託の収益の分配を除く)で、支払の確定した日から1年を経過した日までに支払がないもの(源泉徴収の対象となる配当等に限り、非課税法人への配当等と、一般社団法人等以外の内国法人への、その内国法人が自己の名義で有する(組合・信託経由の所有を除く)完全子法人株式等・他の内国法人(一般社団法人等を除く)の発行済株式等の3分の1超保有等の一定の株式等に係る配当等は源泉徴収不要) | その1年を経過した日 | 所得税法181条2項 |
| 法人税法2条15号に規定する役員に対する賞与で、支払の確定した日から1年を経過した日までに支払がないもの | その1年を経過した日 | 所得税法183条2項 |
| 非居住者・外国法人(契約を締結していた組合員や外国の類似契約の組合員も含む)が配分を受ける、国内の恒久的施設を通じて行う組合契約事業から生ずる利益で、計算期間(1年超なら開始日以後1年ごとに区分し、最後の1年未満も含む)の末日の翌日から2か月を経過する日までに金銭等の交付がないもの(恒久的施設を有する非居住者等が所轄税務署長の源泉徴収免除証明書を提示した場合、その有効期間内に支払う恒久的施設に帰せられる組合利益の配分は徴収不要、また租税条約・外国居住者等所得相互免除法の適用により、恒久的施設が存在しない場合や組合契約事業の利益が恒久的施設に帰属しない場合はその利益は我が国で課税されない。また、投資事業有限責任組合契約(外国の類似契約を含む)に基づいて恒久的施設を通じて事業を行う外国組合員で、有限責任組合員であること・組合の業務を執行しないこと・組合財産に対する持分割合が25%未満であること・無限責任組合員と特殊の関係にないこと・その契約(既にこの特例の適用を受けている場合は、その外国組合員が締結している他の適用対象の投資組合契約を含む)に基づいて恒久的施設を通じて事業を行っていないとしたならば恒久的施設帰属所得を有しないことの5要件を満たし、特例適用申告書に有限責任組合員であること・業務を執行しないこと・持分割合25%未満であることの3要件を満たすことを証する書類を添付して、組合利益の配分の取扱いをする無限責任組合員経由で所轄税務署長へ提出したもの(原則として組合契約締結日から提出日まで5要件を継続して満たす場合に限り、提出日以後の期間に適用し、5要件のいずれかを満たさなくなった場合はその日以後、一定の事由が生じるまで適用しない)の恒久的施設帰属所得は、免除証明書とは別の制度で所得税が課されない) | その2か月を経過する日(免除証明書の提示がある恒久的施設帰属分は徴収不要) | 所得税法212条5項 |
| 発行時徴収の対象割引債(割引発行の国債・地方債・内国法人社債・外国法人の一定の債券。外貨公債の発行に関する法律1条1項の外貨債、住宅金融支援機構・沖縄振興開発金融公庫・都市再生機構の債券、平成28年1月1日以後発行の公社債を除く。ただし長期信用銀行債等・農林債は最後の除外の対象外)の償還差益(外国法人が国外で発行した割引債は、償還差益のうちその外国法人が国内で行う事業に帰せられる部分) | その割引債の発行の際 | 措置法41条の12第3項 |
| 平成28年1月1日以後に個人・一定の内国法人・外国法人へ国内で支払う対象割引債の償還金の差益(非居住者等が受ける特定振替割引債の償還金に係る差益金額で、非課税適用申告書の提出など一定の要件を満たすものは非課税で、発行者と特殊の関係のある者が受けるものはこの非課税から除く)(対象割引債は平成28年1月1日以後発行の一定の公社債などのうち、割引の方法で発行されるもの・分離元本公社債・分離利子公社債・発行価額の額面金額に対する割合が90%以下の利付公社債の4区分。償還時に特定口座で管理されるものと外貨債を除く。特定割引債取扱者が徴収する場合は支払者の徴収不要) | その償還金の支払の際 | 措置法41条の12の2第2項 |
一定の内国法人とは、公益法人を除く一般社団・財団法人、労働者協同組合、人格のない社団等、他の法律で公益法人等とみなされる一定の法人です。償還時の対象は措法37条の10第2項第7号の公社債のうち割引発行債・分離元本公社債・分離利子公社債・発行価額が額面の90%以下の利付債で、償還時に特定口座で管理されるものと外貨債は除きます。平成28年1月1日以後に支払われる国外発行・国外払いの対象債の償還金は、居住者又は一定の内国法人へ国内取扱者が交付する際に徴収します。
2段目が中小企業で起きます。役員賞与を決めたまま資金繰りの都合で払わずにいると、支払の確定した日から1年を経過した日に支払があったものとして源泉徴収義務が発生します。起算点は「支払の確定した日」で、利益基準の役員賞与は決議等の日(総額のみの決議なら各人の額が具体的に確定した日)です。利益を基礎として支給金額が定められる役員賞与では決議等があった日ですが、その決議が総額だけを定め各人ごとの具体的な支給金額を定めていない場合は、各人ごとの支給金額が具体的に定められた日になります(所得税基本通達36−9)。ここでいう役員は、法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事および清算人、ならびにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち一定の者です。
通常の給与の徴収は「支払時」、年末調整は「その年1月1日〜12月31日に支給日が到来して確定した給与」で数える(支給日の定めがある一般の給与の場合で、支給日の定めがなければ受領日、利益基準の役員賞与は決議等の日(決議等が総額だけを定め各人ごとの支給額を定めていなければ各人ごとの支給額が具体的に定められた日)、遡及改訂の差額給与・認定賞与も別区分の時期による)
同じ給与を扱いながら、2つの手続は違う物差しを使います。通常の給与の月々の徴収は支払時(未払役員賞与等は上表の別扱い)ですが、年末調整の対象となる給与は、その年1月1日から12月31日までの間に支給日が到来して支払うことが確定した給与です。国税庁は、実際にその給与を支払ったかどうかに関係なく、その年中に支払うことが確定している給与は、たとえ未払であってもその年中の給与に含めて年末調整を行うと書いています。たとえば居住者へ国内で払う、支給日が12月25日の給与を資金繰りの都合で年内に払えなかった場合、支給日は年内に到来しているので年末調整には含める一方、徴収は現実に支払った時、納付は通常その翌月10日(給与の支給人員が常時10人未満で納期の特例の承認を受けた者の給与・退職手当等と弁護士・税理士等の204条1項2号報酬の税額(原稿料・講演料等は対象外)は1〜6月支払分が7月10日・7〜12月支払分が翌年1月20日。休日・土曜は休日明け)です。逆に、契約や慣習などで支給日が翌年1月と定められている一般の給与(利益基準の役員賞与等を除く)は、収入すべき時期がその支給日なので翌年分です(所得税法36条1項、所得税基本通達36−9)。一般の給与(利益基準役員賞与・遡及改訂差額給与・認定賞与の別区分を除く)は定められた支給日、支給日の定めがなければ受領日によります。別扱いの全区分: 利益基準の役員賞与は決議等の日(総額のみの決議なら個別額確定日)、遡及改訂の差額給与は支給日(定めがなければ改訂効力発生日)、認定賞与は予定支給日(定めがなければ受領日、不明なら該当事業年度末)によります。前年以前に確定した未払給与を今年支払っても今年の年末調整には再び含めません。年末調整の期限と対象者は年末調整はいつまで?にあります。
どこへ・いつ納めるか — 納税地と通常・特例の納期限
源泉徴収した所得税は、その納税地の所轄税務署に納付します。この納税地は、所得別の特例や移転の場合を除き、源泉徴収の対象とされている所得の支払事務を取り扱う事務所や事業所等の、その支払の日における所在地です(所得税法17条)。本店の使用人の給与の支払事務を本店で、支店の使用人の給与の支払事務を支店で取り扱っている場合は、本店・支店それぞれの所在地が納税地(移転前支払分は届出に記載すべき移転後所在地)になり、それぞれの所轄税務署に納めます。給与計算の場所だけでなく、支払事務をどこで取り扱うかを確認します。
この原則にも例外があり、主な例外: 国債の利子は日本銀行の本店の所在地、内国法人が支払う剰余金の配当等はその内国法人の本店または主たる事務所の所在地など、14の類型が納税地の特例として定められています(所得税法17条、所得税法施行令55条2項ほか。特例の指定所在地が移転した場合も移転前支払分の納税地は届出に記載すべき移転後所在地)。特例で指定された所在地の移転でも、移転前支払分は届出に記載すべき移転後所在地です。国内で支払う通常の給与・報酬はこの特例に当たりませんが、国外において支払う国内源泉所得としての給与その他人的役務の提供に対する報酬や、支払確定後1年を経過して支払があったとみなされる役員賞与は特例の側に入ります。また、支払事務を取り扱う事務所等の移転があった場合、移転前の支払に対する納税地は移転の届出書に記載すべき移転後の所在地とされるので、支払の日の所在地だけでは決まりません(所得税法17条、所得税法施行令55条1項)。新たに給与の支払事務を取り扱う事務所等を設けたときの届出は給与支払事務所等の開設届出書にまとめています(期限は事実が生じた日から1か月以内。所得税法230条、所得税法施行規則99条)。
納期限は通常、源泉徴収の対象となる所得を支払った月の翌月10日(休日・土曜なら休日明け)です。所得税と復興特別所得税は区分せず合計額で併せて納付します(租税条約で国内法以下の限度税率が適用される場合や、外国居住者等所得相互免除法で税率が軽減される場合は、復興特別所得税は課されません)。納期限には例外もあります。
- 国外払いの国内源泉所得: 国内に事務所、事業所等を有する者が非居住者または外国法人に対し国外において国内源泉所得を支払った場合に源泉徴収をした税額の納付期限は、その支払った月の翌月末日です(納期の特例の承認を受けた対象税額を除き、休日・土曜は休日明け)(所得税法212条2項、措置法6条2項・41条の22第1項)。
- 期限が休日のとき: 納付期限の日が日曜日、祝日などの休日や土曜日に当たる場合には、その休日明けの日が納付期限です(国税通則法10条2項、国税通則法施行令2条2項)。
- 納期の特例: 給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者は、承認を受ければ、給与等・退職手当等(非居住者へのものを含む)と204条1項2号の報酬の税額に限り、1〜6月支払分は7月10日、7〜12月分は翌年1月20日の年2回にまとめて納付できます(所得税法216条。休日・土曜は休日明け)。申請月の翌月末日までに承認・却下通知がなければ同日に承認とみなされ、申請月の翌々月納付分から適用されます。
納付期限までに納付されない場合、源泉徴収義務者は延滞税や不納付加算税などを負担することがあることになっています(国税通則法60条、67条、68条3項・4項)。負担するのは、税を負担すべき受給者ではなく源泉徴収義務者です。不納付加算税が減る条件・ゼロになる条件は所得税徴収高計算書の記事で扱っています。
納付の手続は、「所得税徴収高計算書データ」をe-Taxにより送信した上で納付する(キャッシュレス納付)か、「所得税徴収高計算書(納付書)」を添えて最寄りの金融機関または所轄の税務署の窓口で納付します。納付書は所得の種類に応じて9種類に分かれており(給与所得・退職所得等の計算書は一般用と納期特例用に分かれるので、用紙としては10種類)、居住者への国内払いでは給与と204条1項2号の報酬は同じ用紙、それ以外の報酬・料金等は別の用紙です。非居住者・外国法人への所得は別用紙ですが、償還差益・割引債償還金の差益・源泉徴収選択口座の所得はそれぞれ「償」「割」「株」の用紙です。給与等で納付税額がゼロでも本税0の計算書を提出します。
10.21%の「0.21%」は何か — 復興特別所得税
令和8年分の報酬の源泉徴収で見る「10.21%」は、所得税10%に復興特別所得税0.21%を加えた合計税率です。源泉徴収義務者は、本記事が扱う令和8年分の源泉徴収対象所得について令和8年中に源泉所得税を徴収する際、国内法以下の条約限度税率・相互免除法の軽減の場合を除き、復興特別所得税を併せて徴収し、源泉所得税の法定納期限までに併せて国に納付します(復興財確法28条1項)。税率と内訳は令和8年分の説明です。令和9年1月1日以後に生ずる所得では、防衛特別所得税(所得税額の1%)が創設され、復興特別所得税は所得税額の1.1%に下がり、両者の合計2.1%は変わりません。
国内法以下の条約限度税率・相互免除法の軽減を適用しない場合、源泉徴収すべき復興特別所得税の額は、源泉徴収すべき所得税の額に2.1%の税率を乗じて計算した金額です。ところが端数計算は所得税と復興特別所得税の合計額によって行うこととされているため、実際には、一定の所得を除き、国内法以下の条約限度税率・相互免除法の軽減を適用しない場合、支払金額等に所得税率×102.1%の合計税率を乗じて合計額を計算できます(復興財確法28条2項、31条1項・2項)。国内法以下の条約限度税率・相互免除法の軽減の場合は復興税が課されません。国税庁が挙げている合計税率の例は次のとおりです。
| 所得税率 | 5% | 10% | 15% | 16% | 18% | 20% |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 合計税率(所得税率×102.1%) | 5.105% | 10.21% | 15.315% | 16.336% | 18.378% | 20.42% |
居住者への国内払いの原稿料・弁護士報酬等の10.21%、同一人への1回支払で100万円を超える部分の20.42%、非居住者の国内勤務等に基因する給与その他人的役務の提供に対する報酬の20.42%は、いずれもこの表の税率の例です(条約等による軽減・免除を適用する場合を除く)(非居住者への支払は国内源泉所得の種類ごとに税率が違い、土地等の譲渡対価は10.21%、利子等は15.315%です)。納付する際は、所得税と復興特別所得税を区分することなく合計額を納付します。納付書に0.21%相当分を書く欄はありません。
復興特別所得税が課されない場合
合計税率は常に当てはまるわけではありません。租税条約の規定により、所得税法および租税特別措置法に規定する税率以下の限度税率が適用される場合には、復興特別所得税は課されません(復興財確法33条9項1号)。また、外国居住者等所得相互免除法の適用により、所得税法および租税特別措置法に規定する税率が軽減される場合も課されません(同法33条4項1号)。国内法以下の条約限度税率を適用するときは102.1%を掛けません。国内法の税率の方が条約限度税率より低く、その国内法税率を適用するときは復興税も徴収します。
引かれた税の主な出口 — 年末調整・確定申告・源泉徴収で完了
主な出口を3つに整理します。所得の種類に加え、受給者の年末調整対象要件や申告義務・申告不要の条件で決まります。
- 年末調整で精算する(通常は対象要件を満たす給与所得者)。年末調整とは、給与の支払者が対象者について通常その年最後に給与の支払をする際、各人別に、それまでその年中に給与を支払う都度源泉徴収をした税額の合計額と、その年中の給与の支給総額について納付すべき税額(年税額)とを比較して過不足額の精算を行うことです。国税庁はこれを、給与の支払を受ける大部分の人にとって確定申告に代わる役目を果たす重要な手続と位置づけています。
- 確定申告で精算する(申告義務がある人、又は任意の還付申告をする人)。報酬・料金等の税額は確定申告で年税額との差額を精算しますが、報酬を受けたことだけで申告義務が生じるわけではありません。主な申告不要の例: 給与収入2,000万円以下で、1か所から受ける給与の全部が源泉徴収対象となり、給与・退職所得以外の所得が20万円以下の場合(同族会社役員等がその会社から利子・賃料・機械器具使用料等を受ける場合や災免法の徴収猶予・還付を受ける場合は別判定。源泉分離課税所得、申告不要を選択した利子・配当・源泉徴収選択口座の譲渡所得等は集計から除きますが、土地建物等の譲渡所得(特別控除後の金額)、申告分離課税の上場株式等の配当所得等(譲渡損失の損益通算後・繰越控除前の金額)、一般株式等・上場株式等の譲渡所得等(繰越控除前の金額)、先物取引の雑所得等(繰越控除前の金額)は集計に含めます)。申告義務は所得控除・税額控除後の税額等の条件によるので、全要件を確認します。給与所得者でも、本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人は年末調整の対象になりません。年末調整を受けなかった人でも義務の有無は所得・税額等で判定します。中途退職後に他の所得がないなどで税が納め過ぎとなる人や、医療費控除・雑損控除・寄附金控除等の要件を満たし還付となる人は任意の還付申告ができます。令和8年分の通常の税務署窓口相談・受付(閉庁日を除く。還付申告は期前提出可)は令和9年2月16日(火)から同年3月15日(月)までです。通常、閉庁日(土・日・祝日等)は窓口相談・受付を行いませんが、e-Tax・郵便・信書便・時間外収受箱で提出できます。還付申告はこの期間前にも提出できます。
- 源泉徴収で完了する(源泉分離課税の所得、「退職所得の受給に関する申告書」を提出して源泉徴収された退職所得(一般に完了し、医療費控除などで確定申告書を出す場合は退職所得の金額も記載)など)。源泉分離課税とされる利子所得などは、源泉徴収された時点で納税義務が完結します。精算の手続はなく、確定申告に含めません。退職所得は源泉分離課税とは別の分離課税です。支払者に「退職所得の受給に関する申告書」を提出し、退職所得が源泉徴収されていれば、一般に源泉徴収で課税が完了し、退職所得の申告は不要です(医療費控除などで確定申告書を提出する場合は、その申告書に退職所得の金額を記載します)。外国企業から受け取った退職金などで源泉徴収されないものは、申告が必要です。
令和8年分の給与について年末調整が行われないのは、令和8年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人のほか、「給与所得者の扶養控除等申告書」をその年最後に給与を支払う時までに提出していない人(2か所以上から給与を受けて他の支払者に提出しているいわゆる乙欄適用者、日額表の丙欄を適用する日雇労働者、非居住者)、年の中途で退職した人(死亡退職など次の文で年末調整を行うとする中途退職者を除く)、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の規定により令和8年分の給与に対する源泉所得税及び復興特別所得税の徴収猶予や還付を受けた人です。中途退職でも、扶養控除等申告書を提出していて、令和8年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人・災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律により徴収猶予や還付を受けた人に当たらない人のうち、死亡退職のほか、海外転勤で非居住者となった場合、著しい心身の障害で退職しその年中に再就職できないと認められ、かつ退職後その年中の給与支払予定もない場合、12月に支給期の到来する給与を受けた後に退職した場合、パートタイマー等の中途退職で令和8年中に支払を受ける給与の総額が136万円以下の場合(退職後令和8年中に他の勤務先等から給与の支払を受けると見込まれる場合を除き、令和8年分の年末調整は「年末調整のしかた」の136万円により、「源泉徴収のあらまし」令和8年版の123万円ではない)は、年末調整を行います。12月に通常給与より先に賞与を払う場合、その賞与時に通常給与・税額の見積りを含めて年末調整でき、実額と違えば通常給与時に再計算します。対象者ごとの扱いは年末調整はいつまで?に分けて書いています。
この記事のまとめ(令和8年分)
- 源泉徴収は、申告納税制度と併せて特定の所得について採用されている、支払者が徴収して納める制度。
- 源泉徴収義務者は、次の2つの所得別の免除を除き、対象所得を支払う人で、会社・学校・官公庁・個人・人格のない社団等を含み、源泉徴収を要しないのは①常時2人以下の家事使用人のみに給与を払う個人のその給与・退職手当 ②給与について源泉徴収義務を有しない個人が居住者へ国内で払う報酬・料金等(バー等経営者・派遣事業者が払うホステス等への報酬(客の経由払いを含む)を除き、その他の者の直接払いは対象外)の2つで、どちらも所得の種類ごとの免除。
- 対象は居住者で13区分。内国法人は8区分で、給与と通常の報酬・料金は入らないが、国内で支払う馬主への金銭競馬賞金は対象(副賞の賞品は対象外)。内国法人の利子等は公社債・預貯金の利子及び合同運用信託・公社債投資信託・公募公社債等運用投資信託の収益分配に限る。
- 給与(183条・185条)と報酬・料金(204条・205条)は別系統(どちらも居住者への国内払いについての比較で、非居住者等への支払は別の表で判定し、名目が報酬・料金でも給与所得・退職所得に当たるものは給与等・退職手当等として徴収)。計算・年末調整・納期特例の範囲を区別する。居住者への国内払いの2号報酬の納付書は給与と共通で、その他の報酬は別。
- 徴収は原則支払時(「支払」には元本への繰入れや預金口座への振替えなど支払の債務が消滅する一切の行為を含む)。未払配当・役員賞与等のみなし支払と割引債の時期を上表の5項目で確認する(未払配当は源泉徴収の対象となる配当等に限り、組合契約利益は租税条約等で課税されないものを除く)。法人の法定役員賞与は支払確定から1年経過日まで未払の場合にその日で徴収する。
- 納付は通常翌月10日、給与の支給人員が常時10人未満で納期の特例の承認を受けた者の給与・退職手当等と弁護士・税理士等の204条1項2号報酬の税額(原稿料・講演料等は対象外)は1〜6月支払分が7月10日・7〜12月支払分が翌年1月20日、国内に事務所等を有する者の非居住者等への国外払いの国内源泉所得は翌月末日(納期の特例の承認を受けた対象税額を除く)、いずれも休日・土曜は休日明け。納税地は通常支払事務の事務所等だが所得別特例・移転後所在地の扱いがある。遅れると義務者が延滞税等を負担することがある。
- 令和8年分の10.21%の0.21%は復興特別所得税。合計税率=所得税率×102.1%(一定の所得を除き、国内法以下の条約限度税率又は相互免除法の軽減の場合は復興税なし)。
よくある質問
個人事業主でも源泉徴収をしなければならないのですか?
対象給与を払う個人事業主は通常義務者です(常時2人以下の家事使用人のみへの給与・退職手当は免除)。源泉徴収の対象とされている所得の支払者は、会社だけでなく個人や人格のない社団・財団であっても全て源泉徴収義務者とされています(所得税法6条。ただし常時2人以下の家事使用人のみへ給与を払う個人の給与・退職手当と、給与の徴収義務を持たない個人の居住者への国内報酬は免除、バー等経営者・派遣事業者が払うホステス等の報酬は後者の免除対象外で、客の経由払いを含み、その他の者の直接払いは対象外)。源泉徴収を要しないのは、常時2人以下の家事使用人のみに給与を払う個人がその給与・退職手当を支払うとき(184条・200条)と、給与について源泉徴収義務を有しない個人が居住者へ国内で報酬・料金等を支払うとき(204条2項2号。バー等経営者・派遣事業者が払うホステス等への報酬(客の経由払いを含む)を除き、その他の者の直接払いは対象外)の2つで、いずれも所得の種類ごとの免除です。源泉徴収の対象にならない所得そのものの範囲は、これとは別に定められています。
支払いが決まっているのに、まだ払っていない報酬からも源泉徴収するのですか?
一般にはしません。通常は現実の支払時に徴収し、未払なら不要ですが、未払の配当(投資信託・特定受益証券発行信託の収益分配と、非課税法人への配当や、一般社団法人等以外の内国法人が自己の名義で有する(組合・信託経由の所有を除く)完全子法人株式等・3分の1超保有等の一定の株式等に係る源泉徴収不要の配当を除く)と法人の法定役員賞与は支払の確定した日から1年を経過した日、非居住者等が配分を受ける、国内の恒久的施設を通じて行う組合契約事業から生ずる利益は計算期間(1年を超える期間は開始日以後1年ごとに区分した各期間で、最後の1年未満の期間も含む)の末日の翌日から2か月を経過する日までに金銭等の交付がない場合のその2か月を経過する日に、みなし支払として徴収します(組合契約利益のうち、恒久的施設を有する非居住者等が源泉徴収免除証明書を提示した場合の、その有効期間内の恒久的施設帰属分は徴収不要、また租税条約・外国居住者等所得相互免除法の適用により、恒久的施設が存在しない場合や組合契約事業の利益が恒久的施設に帰属しない場合はその利益は我が国で課税されない。また、投資事業有限責任組合契約(外国の類似契約を含む)に基づいて恒久的施設を通じて事業を行う外国組合員で、有限責任組合員であること・組合の業務を執行しないこと・組合財産に対する持分割合が25%未満であること・無限責任組合員と特殊の関係にないこと・その契約(既にこの特例の適用を受けている場合は、その外国組合員が締結している他の適用対象の投資組合契約を含む)に基づいて恒久的施設を通じて事業を行っていないとしたならば恒久的施設帰属所得を有しないことの5要件を満たし、特例適用申告書に有限責任組合員であること・業務を執行しないこと・持分割合25%未満であることの3要件を満たすことを証する書類を添付して、組合利益の配分の取扱いをする無限責任組合員経由で所轄税務署長へ提出したもの(原則として組合契約締結日から提出日まで5要件を継続して満たす場合に限り、提出日以後の期間に適用し、5要件のいずれかを満たさなくなった場合はその日以後、一定の事由が生じるまで適用しない)の恒久的施設帰属所得は、免除証明書とは別の制度で所得税が課されない)。割引債も発行時又は償還金支払時の規定を確認します。ただし「支払」には、元本への繰入れや預金口座への振替えなど支払の債務が消滅する一切の行為が含まれます。また、法人の法人税法2条15号に規定する役員に対する賞与で支払の確定した日から1年を経過した日までに支払がないものなど、5つの例外があります。
法人に原稿料を払うときも源泉徴収が必要ですか?
一般に、内国法人に支払う報酬・料金等は源泉徴収の対象ではありません。源泉徴収の範囲は支払を受ける者の区分ごとに別の表で定められており、内国法人の表に報酬・料金等は含まれていません(国内で支払う、馬主が受ける金銭の競馬賞金は対象で、副賞の賞品は対象外です)。相手が個人か法人かを請求書と登記で確かめてから判断します。
10.21%の端数が出たときはどう処理しますか?
源泉徴収に係る所得税と復興特別所得税の額の端数計算は、合計額によって行うこととされています。一定の所得を除き、国内法以下の条約限度税率・相互免除法の軽減を適用しない場合は、支払金額等に合計税率(所得税率×102.1%)を乗じ、その結果について1円未満の端数を処理します。所得税分と復興特別所得税分を別々に端数処理してから足す方法ではありません。
納期の特例を受けていれば、外注のデザイン料も半年ごとの納付にできますか?
一般にできません。納期の特例の対象は給与等・退職手当等と、所得税法204条1項2号の弁護士・税理士等の報酬・料金に限られています。デザイン料(織物業者が支払う意匠料・紋切料や字・絵等の看板書き料はデザインの報酬に当たらない)・原稿料・講演料は同項1号で、2号ではないため、居住者への国内払いで給与所得・退職所得に該当するものを除いて徴収対象に該当し(ただし、同一人への1回の支払がおおむね5万円以下の懸賞応募作品等の入選賞金、新聞・雑誌等の読者投稿・ニュース写真等の謝金、ラジオ・テレビの聴視者番組への投稿・ニュース写真等の謝金(後2区分はあらかじめ投稿・提供を委嘱した人への対価を除く)と、講演等の役務提供のための通常必要な旅費・宿泊費を本人に渡さず支払者が交通機関・ホテル等へ直接払う分は徴収しなくて差し支えなく、ネオンサイン・広告塔・ショーウィンドー・陳列棚・商品展示会場・庭園等のデザインとその施工を併せて請け負った者への一括対価のうちデザインの報酬・料金の部分が極めて少額なら徴収不要として差し支えありません)、給与の徴収義務を持たない個人の免除に当たらない支払者は、通常翌月10日までに納付します(休日・土曜は休日明け)。主な対象外: 織物業者が支払う、図案を基に織原版を作成するのに必要な下画の写調料(いわゆる意匠料)や下画を基にする織原版の作成料(紋切料)、字・絵等の看板書き料。上記の居住者への国内払いで、支払者が給与の徴収義務を持たない個人の免除に当たらず、給与所得・退職所得にも該当しない場合、織物に関するデザインの報酬そのものは対象です。同じ前提(居住者への国内払いで、支払者が給与の徴収義務を持たない個人の免除に当たらず、給与所得・退職所得にも該当しない場合)で、ネオンサイン・広告塔・ショーウィンドー・陳列棚・商品展示会場・庭園等のデザインとその施工を併せて請け負った者に対価を一括して払う場合は、デザインの報酬・料金と施工の対価に区分してデザイン部分を徴収対象にしますが、その部分が極めて少額なら徴収不要として差し支えありません。
出典
国税庁「源泉徴収のあらまし(令和8年版)」第1・第2・第5・第6・第10・第13、同庁「令和8年分 年末調整のしかた」と、所得税法・租税特別措置法・復興財確法・国税通則法の該当条文で確認して作成。
- 国税庁「源泉徴収のあらまし(令和8年版)」第1 源泉徴収制度について(源泉徴収制度の意義・源泉徴収義務者・納税地・対象所得の範囲・徴収の時期・納付・復興特別所得税)
- 同 第2 給与所得の源泉徴収事務(税額表の適用区分・年末調整・給与の支払明細書の交付)
- 同 第5 報酬・料金等の源泉徴収事務(204条1項の各号と税率・消費税の取扱い・納付書の区分)
- 同 第6 生命保険契約等に基づく年金等の源泉徴収事務(保険年金の徴収除外・割引債の発行時と償還時の対象範囲)
- 同 第10 非居住者又は外国法人に支払う所得の源泉徴収事務(国内源泉所得の税率・租税条約と復興特別所得税)
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」(加算税・延滞税の留保、未払給与の年分と集計)
- 同 第13 給与所得者の確定申告(確定申告が必要な人・還付される場合)
- e-Gov法令検索「所得税法」6条・17条・181条・183条・184条・185条・190条・200条・204条・205条・216条・230条・231条(法令ID 340AC0000000033)
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。