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負債比率とは|計算式・単体と連結の分母・ゼロやマイナスの読み方

負債比率は、自己資本に対して負債がどれだけあるかを示す指標です。貸借対照表の負債合計を自己資本で割り、百分率にします。

計算で迷いやすいのは分母です。純資産合計をそのまま使えるとは限らず、単体と連結でも除く項目が変わります。分母を確認してから計算し、自己資本がゼロやマイナスなら通常の大小比較から分けて報告します。

計算式と負債合計の拾い方

同じ決算日・範囲の残高で自己資本が正なら、負債比率(%)=負債合計÷自己資本×100です。ここでの自己資本は、下の単体・連結の表で純資産から必要な項目を除いた額です。

国税庁「酒類卸売業者の概況」の参考計数も、負債比率を自己資本に対する負債の割合として示しています。本記事では一般事業会社の残高から計算する手順を扱い、その統計の業種別実績値は使いません。

  1. 貸借対照表の負債の部から「負債合計」を拾います。流動負債と固定負債の両方を含む額です。
  2. 純資産の部から、次の表に従って自己資本を求めます。資本金だけを分母にしません。
  3. 決算日、単体・連結、円・千円・百万円などの単位をそろえて計算します。

分子は借入金や社債だけではありません。買掛金、未払金、引当金など、貸借対照表で負債に計上されている項目も含めます。利息の付く負債だけを取り出す分析とは分けます。

負債合計 流動負債+固定負債 純資産合計 控除する項目を確認する 内訳は次の参照表へ ↓ 自己資本 自己資本に対する負債の割合
日本基準の一般事業会社の図です。自己資本を現預金残高と読み替えないようにします。

単体・連結の自己資本を確認する表

日本基準では、単体はその会社の株主、連結は親会社株主に帰属する純資産を自己資本として使います。日本取引所グループの自己資本の説明と、財務諸表の純資産の分類を照らすと、次のように整理できます。

日本基準の一般事業会社:期末自己資本の参照表
決算書の範囲分母にする自己資本残す項目の注意
単体純資産合計−株式引受権−新株予約権株主資本に加え、評価・換算差額等を含める
連結純資産合計−株式引受権−新株予約権−非支配株主持分株主資本に加え、その他の包括利益累計額を含める

新株予約権の控除額は、自己新株予約権を差し引いた純額です。自己株式も株主資本で控除済みのため、合計額から二重に引きません(財務諸表等規則の新株予約権の表示・連結財務諸表規則の新株予約権の表示)。

単体の純資産区分は財務諸表等規則の純資産の分類、連結の区分は連結財務諸表規則の純資産の分類で確認できます。上表で除く項目の残高がなければ、純資産合計と自己資本は一致します。

非支配株主持分は、連結された子会社の純資産のうち親会社株主以外に帰属する部分です。子会社の負債を連結に含めることと、その純資産のすべてを親会社の自己資本とすることは別です。

ここでは日本基準の一般事業会社を対象とします。IFRSの決算書や銀行の規制上の自己資本は、この表へそのまま当てはめず、各資料の定義を確認します。

自己資本が少額・ゼロ・負の計算例

負債合計が正で同額なら、正の自己資本が少額なほど比率は大きくなります。負の比率が出たときは「小さいほど安全」という読み方を当てはめません。

次は同じ決算日の単体B/Sを想定した、互いに別の架空例です。この架空単体例の負債合計は600万円で、自己資本は株式引受権・新株予約権を除いた額です。式は負債合計÷自己資本×100です。金額単位は万円、比率は百分率で、△はマイナスを表します。

架空単体例:負債合計を変えずに自己資本を変える
自己資本計算比率読むときの注意
400万円600÷400×100150%自己資本に対する負債の割合
20万円600÷20×1003,000%分母が少額なことが比率を大きくしている
ゼロゼロで割れない計算不可比率を付けず、残高を報告する
△100万円600÷(−100)×100△600%算術上の値。正の自己資本の会社と大小を比べない

自己資本がゼロのときは、比率欄を「計算不可」とし、負債合計と自己資本残高を併記します。自己資本が負のときも、算術上の比率を通常の安全性ランキングに混ぜず、資本の内訳と損失の推移を確認します。

自己資本が負でも、非支配株主持分などにより純資産合計が正の場合があります。帳簿上の債務超過は純資産合計で確かめるため、「自己資本が負」と同じ意味にはしません。純資産合計が負の状態と資金不足の違いは、債務超過の記事で確認できます。

連結の純資産から計算する例

連結では、非支配株主持分まで差し引いてから割ります。純資産合計をそのまま分母にした値と混ぜないよう、報告資料にも控除の内訳を残します。

次は同一決算日の日本基準の架空連結B/Sです。この架空連結例は負債合計800万円・純資産合計1,000万円で、自己資本の控除項目は下表のとおりです。株式引受権・非支配株主持分は表示額、新株予約権は純額で示します。金額単位は万円、比率は百分率です。

架空連結例:自己資本と負債比率の計算
項目金額・式
純資産合計1,000万円
控除する株式引受権20万円
控除する新株予約権(純額)30万円
控除する非支配株主持分150万円
自己資本1,000−20−30−150=800万円
負債比率負債合計800万円÷自己資本800万円×100=100%

株式引受権や新株予約権がない会社でも、連結なら非支配株主持分の有無は別に確認します。決算短信などに自己資本の額が併記されている場合は、その定義とB/Sからの計算が合うか照合します。

自己資本比率・海外資料との違い

指標名が似ていても、分子と分母が違えば別の値です。特に英語資料のDebt ratioを、日本語の負債比率と名称だけで対応させないようにします。

式のどこを比べるか
資料の指標・式見ている関係確認点
本記事の負債比率負債合計を自己資本と比べる借入金だけを分子にしない
自己資本比率自己資本を総資産と比べる負債比率とは分母が違う
負債÷総資産という式の資料資産全体に対する負債の割合本記事の負債比率と直接比較しない
有利子負債を使う式の資料利息を伴う負債に範囲を絞った分析Debtの範囲、現預金を差し引くかも確認する

海外資料は、Total liabilitiesなのか、借入金・社債などのDebtなのかを脚注で確かめます。分母がEquityでも、親会社株主に帰属する部分か非支配持分を含むかで値が変わります。日本基準の計算結果と比較するなら、定義をそろえた値として別に作ります。

自己資本を総資産と比較する手順は、自己資本比率の記事にまとめています。純資産合計と自己資本が異なる場合は、負債と自己資本を足しても総資産には一致しません。そのため、両比率を単純に裏返す換算は避けます。

目安と比較する前の確認手順

負債比率だけで返済できるかは決められません。本記事では業種共通の安全水準を設けず、比率の変化の理由と支払原資を分けて確認します。

確認すること資料に残す内容
比較の条件決算日・対象年度、業種、企業規模、単体か連結か、自己資本の定義
比率が上がった理由負債が増えたのか、損失や配当などで自己資本が減ったのか
負債の中身借入金・買掛金・引当金などの内訳と、返済・支払いの時期
現金の確保現預金残高、売掛金の回収予定、営業活動の現金収支、支払予定
分母の状態少額・ゼロ・負の自己資本は、残高と内訳を併記する

同業他社や統計との比較でも、比率の平均と、集計した負債・自己資本から求めた比率は同じとは限りません。対象企業や集計方法が分からない平均値を、自社の合格線にはしません。

自己資本が正で他の変動がなければ、手元資金で借入金を返すと負債比率は下がります。ただし、手元資金も減ります。返済期限を延ばすだけなら、負債合計と自己資本が変わらない限り、この比率は変わりません。比率の改善と資金繰りの改善を分けて報告します。

入出金予定の日付確認には、日数計算・営業日計算ツールが使えます。契約上の支払日や金融機関の取扱いは、別に確認します。

入出金予定の営業日を確認する

まとめ

  • 負債比率は、負債合計を自己資本と比べる指標です。単体・連結の範囲と決算日をそろえます。
  • 日本基準の自己資本は、単体・連結の参照表に沿って純資産から求めます。
  • 自己資本がゼロなら計算不可、負なら正の自己資本の会社との大小比較から分け、残高を示します。
  • 比率だけを安全の判定にせず、負債の内訳と支払日の現金も確認します。

よくある質問

負債は借入金だけでよいですか?

借入金だけでは足りません。本記事の分子は貸借対照表の負債合計で、買掛金・未払金・引当金なども含みます。有利子負債だけを使う指標とは分けます。

純資産合計をそのまま分母にできますか?

控除項目の残高がなければ使えます。除く項目と新株予約権の純額は、上の単体・連結の参照表で確認します。

自己資本がマイナスなら、比率が低いので安全ですか?

安全とは読めません。自己資本が負の場合の算術上の比率は、正の自己資本の会社との大小比較には使わず、自己資本残高と資本の内訳を示します。帳簿上の債務超過かどうかは、別に純資産合計で確認します。

自己資本比率とは何が違いますか?

比べる対象と分母が違います。負債比率は負債合計を自己資本と比べ、自己資本比率は自己資本を総資産と比べます。どちらも同じ決算日と単体・連結の範囲にそろえます。

次に読む

出典

金額と比率は理解のための架空例で、特定企業の実績や安全基準ではありません。本記事は日本基準の一般事業会社を対象とし、個別の融資判断や金融業の自己資本規制は扱いません。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。

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