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流動比率とは?計算式・目安の読み方と当座比率との違い

流動比率は、流動負債に対して流動資産がどれだけあるかを示す、短期の支払能力を見る指標です。貸借対照表の流動資産合計を流動負債合計で割り、百分率で表します。

計算に使うのは現預金だけではありません。流動資産には現金以外の項目もあるため、比率が高くても支払日の現金が足りるとは限りません。まず合計額で計算し、次に内訳と入出金の期日を確認します。

流動比率の計算式と貸借対照表の見方

同一時点・範囲の貸借対照表で、流動負債が正の場合、流動比率(%)=流動資産合計÷流動負債合計×100です。財務省の「法人企業統計における財務営業比率の算式」もこの形です。

  1. 資産の部で「流動資産合計」を拾います。資産合計や現金及び預金の残高とは区別します。
  2. 負債の部で「流動負債合計」を拾います。固定負債や純資産は分母に足しません。
  3. 分子と分母の決算日、単体・連結、金額の単位をそろえて計算します。

流動負債がゼロの場合は割り算ができません。比率を無理に表示せず、流動負債がないことと資産の内訳を示します。

流動資産合計 分子に使う 流動負債合計 分母に使う 固定資産・繰延資産 固定負債 純資産
流動比率に使うのは、それぞれの部の流動区分。総資産と負債合計の比率ではありません。

決算書全体の区分や純資産の読み方は、貸借対照表の見方で確認できます。

内訳から計算する架空例

以下は同一決算日の単体B/Sの架空例です。区分は確認済み、売掛金は貸倒引当金控除後で、表以外の流動資産・流動負債はありません。金額単位は万円、流動比率は百分率です。

架空例:流動資産と流動負債の内訳
区分科目・合計金額
流動資産現金及び預金300万円
流動資産売掛金400万円
流動資産棚卸資産500万円
流動資産その他(前払費用等)200万円
流動資産合計1,400万円
流動負債買掛金400万円
流動負債短期借入金300万円
流動負債合計700万円

この架空例の流動比率は、流動資産1,400万円÷流動負債700万円×100=200%です。

ただし、流動資産合計の全額が手元の現金ではありません。在庫は販売、売掛金は回収を経て現金になります。前払費用は支払い済みの費用を期間に配分する項目で、将来の入金予定額ではありません。

流動比率の目安はどう読む?

「目安を超えたら安全」とは判断できません。流動比率の計算式は資産と負債の金額を比べるもので、入金と支払いの順番までは表さないからです。

以下は流動負債が正の場合の、流動比率の算式上の意味です。安全性を保証する合格線ではありません。

流動比率帳簿上の意味読み違えない点
100%未満流動資産が流動負債より少ない入金予定や借入更新を含め、資金不足の時期を調べる
100%流動資産と流動負債が同額回収より先に支払日が来れば、現金は不足し得る
200%流動資産が流動負債の倍在庫や回収の遅い債権が多ければ安心できない

業種や取引条件で必要な資金量は変わります。現金販売が中心の会社と、掛け売上や在庫を多く持つ会社を、同じ目安だけで比べると判断を誤ります。

他社や統計と比較するときは、業種・企業規模・対象年度・単体か連結かを合わせます。統計の比率が資産・負債の集計額から求めたものか、個々の企業の比率を平均したものかも確認します。統計値は目標の強制ではなく比較の材料です。

流動資産・流動負債に入るもの

営業取引の循環に入るものを先に判定し、それ以外は期限や性質を確認します。「一年以内に現金になるか」だけで流動資産を決めるわけではありません。

企業会計原則注解16は、主目的の営業取引の循環を、流動・固定を分ける基準にしています。これが正常営業循環基準です。前払費用については、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に費用となる部分を流動資産としています。

財務諸表等規則第15条と第47条の主要例を表にします。全科目の一覧ではなく、比率を計算するときに区分を確かめたい項目です。

項目流動区分に入る主なもの・条件確認する資料
現金・預金現金と預金。ただし一年内に期限が到来しない預金は除く残高証明・定期預金の満期
売掛金・受取手形等通常の取引で生じた債権。ただし破産更生債権等で一年内に回収されないことが明らかなものは除く売掛金明細・回収予定
棚卸資産販売用の商品・製品、原材料、仕掛品など棚卸表・滞留在庫明細
買掛金・支払手形等通常の取引で生じた債務買掛金明細・支払予定
借入金一年内に返済予定の部分。長期借入金の該当部分も含む返済予定表
その他の負債前受金・契約負債なども含む。すべてが現金返済の義務とは限らない契約書・科目明細

現預金や債権の名称だけで判定せず、上表の期限・取引の性質を確認します。

通常の営業循環に含まれる売掛金は、回収まで一年を超える場合もあるため、流動資産をそのまま入金予定に読み替えないようにします。一年基準で判定する場合の「一年内」は、財務諸表等規則第8条では貸借対照表日の翌日から起算します。

決算書に流動区分の合計があるときは、まずその表示額を使います。科目の区分や評価に疑問があれば内訳を調べ、表示額による比率と分析のために調整した比率を分けて残します。

当座比率との違いと計算例

当座比率は、流動資産の中でも換金性の高い資産に分子を絞る指標です。本記事では財務省の算式に合わせ、当座資産を現金・預金、受取手形、売掛金、有価証券の合計とします。

流動負債が正の場合、この定義の当座比率(%)は、当座資産÷流動負債×100です。流動資産から棚卸資産を引くだけでは、前払費用などが分子に残るため、同じ値になるとは限りません。

次は先の同一決算日の単体B/Sの架空例です。売掛金は貸倒引当金控除後、受取手形・有価証券はなく、その他流動資産は当座資産に入らない前払費用等です。この架空例の流動負債は700万円のみ、百分率は小数第2位を四捨五入します。

計算する指標計算結果
流動比率1,400万円÷700万円×100200%
当座比率(財務省の定義)(300万円+400万円)÷700万円×100100%
参考:在庫だけを除く略式(1,400万円−500万円)÷700万円×100約128.6%

この架空例では、前払費用等を除くかどうかで当座資産の範囲が変わります。社内資料と外部資料の当座比率が合わないときは、誤計算と決める前に、分子に含めた科目を確認します。

当座比率でも売掛金の回収は確約されません。回収予定日が支払日より後なら、比率と別に資金手当てを考える必要があります。

高い・低いときに確認すること

高いときは資産の中身、低いときは支払までの現金の動きを確認します。数字の上下だけで結論を出さず、前期や前月から変わった科目を調べます。

比較は決算末だけでなく、仕入れや納税、賞与支払いなどが集中する月も含めて行います。入出金予定表に落とすと、比率だけでは分からない資金不足の時期を確認できます。

入出金予定の営業日を日数計算・営業日計算ツールで確認する

営業日計算は日付確認の補助です。実際の支払日は契約や銀行の取扱いに合わせて確認します。

資金繰りの改善と比率の変化を分ける

現金が増えても流動比率が上がるとは限りません。比率を動かすには、流動資産合計か流動負債合計が変わる必要があります。

対応例比率を読むときの注意
売掛金を回収する同額回収で値引き・貸倒れ・手数料や他の変動がなければ、売掛金が預金に替わるだけで流動比率は不変
在庫を現金販売する帳簿価額と同額で費用・税金等もなければ合計は不変。売却益・損失等があれば変わる
短期借入金の返済期限を延ばす契約の合意により適正に固定区分となる部分は分母から外れるが、債務総額は消えない
流動負債の借入金を現金で返す流動資産と流動負債の双方が減る。返済後の現金不足を招かないかも確認する

長期借入金でも一年内に返済予定の部分は流動負債に残します。実際の期限が変わらないのに、科目名だけを長期へ付け替えて比率を高くすることはできません。

売掛金の回収や在庫の適正化は、比率が変わらなくても現金の確保につながり得ます。社内報告では「比率が改善したか」と「支払に使える現金を確保できたか」を分けて記録すると、対応の意味が伝わります。

まとめ

  • 流動比率は、同じ時点・範囲の流動資産合計と流動負債合計で計算します。
  • 営業循環で流動区分に入る資産があるため、流動資産をそのまま直近の入金予定とみなしません。
  • 目安との比較に加え、当座資産の範囲、回収予定、支払期日を確認します。

よくある質問

流動比率が高ければ資金繰りは安心ですか?

安心とは言い切れません。在庫や回収の遅い売掛金が多いと、流動資産が多くても支払日に現金が足りない場合があります。当座比率と入出金予定を併せて確認します。

流動比率と当座比率は何が違いますか?

分子に入れる資産の範囲が違います。流動比率は流動資産合計、当座比率は換金性の高い当座資産を使います。本記事の当座資産は財務省の定義による現金・預金、受取手形、売掛金、有価証券の合計で、在庫や前払費用は含めません。

売掛金を回収すると流動比率も上がりますか?

同額で回収し、値引き・貸倒れ・手数料や他の資産・負債の変動がなければ、比率は変わりません。売掛金から預金へ振り替わるだけで流動資産合計は変わらず、支払いに使いやすい現金が増えるという違いがあります。

長期借入金は流動負債から外してよいですか?

名称だけで全額を外すことはできません。長期借入金でも一年内返済予定の部分は流動負債に含めるため、返済予定表と決算書の区分を確認します。

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出典

金額は説明用の架空例で、特定企業の実績や安全水準ではありません。一般事業会社の流動区分を扱い、金融業などの特別な表示規則や個別の融資判断は対象外です。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。

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