財団法人とは|一般・公益の違いと機関・決算書類の確認表
財団法人は、一定の目的のために拠出された財産を基礎とする法人です。一般財団法人のうち、行政庁の公益認定を受けたものを公益財団法人といいます。
経理で確認する入口は、正式名称と定款、その事業年度の決算資料です。この記事では、一般と公益の区分、機関の役割、計算書類・公告・公表資料の見分け方を整理します。
一般財団法人・公益財団法人・社団法人の違い
一般財団法人と公益財団法人の違いは、公益認定の有無です。一方、社団法人との違いは、法人の基礎が財産か、社員という構成員かにあります。
| 比較する点 | 一般財団法人 | 公益財団法人 | 一般社団法人 |
|---|---|---|---|
| 法人の基礎 | 設立者が拠出する財産 | 設立者が拠出する財産 | 社員という構成員 |
| 公益認定との関係 | 一般財団法人の設立と公益認定は別の手続 | 公益認定を受けた一般財団法人 | 公益認定を受けると公益社団法人になる |
| 決議をする機関 | 法律・定款の事項は評議員会で決議 | 法律・定款の事項は評議員会で決議 | 社員総会。理事会を置く場合は権限の分担がある |
| 経理資料の確認先 | 定款、計算書類、監査報告、決議の記録など | 左記に加え、公益認定に関する書類や財産目録など | 定款、計算書類、社員総会の記録など |
社団法人の「社員」は、団体の構成員を指す言葉で、雇用されて働く従業員とは別です。財団法人の意思決定を読むときは、株主総会や社員総会の資料を探すのではなく、評議員会と理事会の資料を確認します。
公益認定には、事業内容・財務・機関などの基準があります。特定の活動をしていることや、名称に公益という言葉があることだけで判断せず、正式な法人名と認定に関する資料を照合します。
拠出財産と基本財産は分けて確認する
一般財団法人の設立時に設立者が拠出する財産の価額の合計は、300万円以上でなければなりません。これは設立費用や毎年の利益の最低額ではなく、金銭以外の財産も含む拠出財産の基準です。
基本財産は、その法人の目的事業に不可欠なものとして定款で定めた財産です。設立時に拠出された財産が、そのまま全額、基本財産に当たるとは限りません。
| 区別する言葉 | 確認する資料 | 混同しやすい点 |
|---|---|---|
| 設立時の拠出財産 | 設立時の定款、拠出の記録 | 現在の現預金残高とは別 |
| 定款で定めた基本財産 | 現行の定款、該当する財産の明細 | 拠出財産の全額と同義ではない |
| 決算時点の純資産 | 対象事業年度の貸借対照表 | 現預金だけの残高ではない |
基本財産がある一般財団法人の理事は、定款に従ってこれを維持し、目的事業を妨げる処分をしない義務を負います。資産の名称だけでなく、定款で何を基本財産とし、どのような制限を置いているかを読むことが確認の要点です。
また、設立時の拠出財産と、運営中の純資産不足による解散の判定は別です。純資産不足には継続期間や新設合併の特則があるため、ある日の預金残高だけで解散の有無を判断できません。
評議員会・理事会・監事の役割
一般財団法人には、評議員、評議員会、理事、理事会、監事を置きます。評議員会が経営のあらゆる事項を決めるわけではなく、法律と定款で定めた事項を決議します。
| 機関 | 主な役割 | 経理で照合する資料の例 |
|---|---|---|
| 評議員会 | 理事・監事の選任など、法律・定款で定めた事項を決議する | 定款、評議員会議事録、決算承認の記録 |
| 理事会 | 業務執行を決定し、理事の職務を監督。代表理事を選定する | 理事会議事録、決算書類の承認記録 |
| 監事 | 理事の職務執行を監査する | 監査報告、計算書類等への監査記録 |
| 会計監査人 | 設置している法人で計算書類等の会計監査を担う | 定款、会計監査報告 |
一般財団法人の理事と評議員はそれぞれ3人以上、監事は1人以上が必要です。評議員はその法人・子法人の理事、監事、使用人を兼ねられず、監事もその法人・子法人の理事、使用人を兼ねられません。
大規模一般財団法人は会計監査人を置く必要があり、それ以外も定款で置くことができます。公益財団法人については、公益認定の基準による会計監査人の設置要否も確認します。
経理の承認経路を作る際は、機関の権限と、日々の支払に関する社内の決裁規程を分けて読みます。重要な財産の処分など、理事会が理事へ委任できない事項もあるため、金額だけを理由に担当者の承認で足りると決めつけない整理が必要です。
決算書類の作成から承認まで
一般財団法人は、各事業年度の貸借対照表・損益計算書、事業報告と、これらの附属明細書を作成します。書類を作成した段階と、監査・承認を終えた段階は区別します。
次は一般財団法人の年次決算の流れです。計算書類は貸借対照表・損益計算書を指します。会計監査人を置く法人では、計算書類とその附属明細書に会計監査人の監査も加わります。
| 段階 | 確認すること |
|---|---|
| 作成 | 計算書類・事業報告と、それぞれの附属明細書をそろえる |
| 監査 | 計算書類等は監事の監査を受ける。事業報告とその附属明細書は、会計監査人を置く場合も監事が監査する |
| 理事会の承認 | 監査を受けた計算書類・事業報告と、それぞれの附属明細書を理事会で承認する |
| 評議員への提供 | 定時評議員会の招集通知に際し、承認済みの計算書類・事業報告と監査報告等を提供する |
| 定時評議員会 | 計算書類は承認を受け、事業報告の内容は報告する。計算書類には、下の承認不要の特則がある |
会計監査人を置く一般財団法人で、理事会承認済みの計算書類が法務省令の要件を満たす場合は、定時評議員会の承認に代えて内容を報告します。会計監査人を置くだけで自動的に承認不要になるわけではありません。
取引先や寄附先の資料を読む場合も、「決算書」というファイル名だけで最終版と判断せず、対象年度と承認・報告の記録を対応させると確認しやすくなります。内部の確認表に、資料名、対象期間、版、監査・承認の状態、保存先を分けて記録する方法があります。
公告・閲覧・行政庁の公表の違い
公告と、事務所での閲覧、行政庁による公表は別の仕組みです。公表資料が見つかったことだけで、法人内部の監査・承認や公告の手続まで終わっていると判断しないよう区別します。
| 仕組み | 対象・確認先 | 注意点 |
|---|---|---|
| 一般財団法人の決算公告 | 定時評議員会終結後遅滞なく、貸借対照表を公告。大規模一般財団法人は損益計算書も対象 | 官報・日刊新聞紙での要旨公告や、下記の電磁的方法による代替措置がある |
| 一般財団法人の計算書類等の閲覧 | 評議員・債権者は法人の業務時間内に法定の閲覧請求ができる | 一般の第三者に同じ閲覧請求権があるという制度ではない |
| 公益財団法人の財産目録等の閲覧 | 誰でも法人の業務時間内に請求でき、法人は正当な理由なく拒めない | 評議員以外への役員等名簿の閲覧では、個人の住所部分を除外できる |
| 公益財団法人の行政庁への提出・公表 | 財産目録等は、定款を除き年次提出の対象。行政庁は提出を受けた財産目録等を公表する | 行政庁の公表では、名簿中の個人の住所部分を除く |
公告方法が官報・日刊新聞紙の一般財団法人が電磁的方法による代替措置をとる場合は、定時評議員会終結後遅滞なく公開を始め、終結の日後5年を経過する日まで継続します。
公益財団法人の行政庁への提出では、事業計画・予算の書類と、事業年度経過後の書類では提出時期が異なり、認定年度には特則もあります。提出担当者は、法人の事業年度と認定時期に合う提出書類の案内を確認します。
公益法人の資料を探す入口として、公益法人Informationや法人自身の情報公開ページがあります。資料が見つからない場合は、同じ法人名・同じ年度か、別の掲載場所がないかを確認します。検索に出ないことだけで、未作成や未提出とは断定できません。
株式会社の決算公告との違いは、決算公告の解説と分けて確認できます。株式会社の制度を財団法人にそのまま当てはめないことが要点です。
公表資料を読むときの確認例
次は、取引先から届いた資料を社内で整理する際の確認例です。法定の提出様式ではなく、書類の取り違えを防ぐための運用例として使います。
| 手元の状況 | 次に確かめる資料・項目 |
|---|---|
| ウェブサイトには「財団」とだけある | 正式名称、所在地、定款、公益認定の有無を確認する |
| 貸借対照表しか見当たらない | 決算公告の資料か、計算書類一式かを区別し、必要な資料の掲載先を確認する |
| 寄附金と委託事業の入金がある | 契約、使途の指定、対象事業年度と、該当する収支資料を対応させる |
| 計算書類と事業報告で期間が違う | 年度違いや改訂前の版が混在していないかを確認する |
| 財産明細に「基本財産」とある | 定款で定める対象と、決算時点の明細を照合する |
たとえば、ウェブ上で見つけた貸借対照表と、別の事業年度の事業報告を並べても、同じ活動の収支は確認できません。資料の数を増やすより先に、法人名、対象期間、資料の種類をそろえます。
また、公益認定の有無と、個々の支出・寄附の税務上の扱いは別に確認します。法人側の課税区分は法人税の基礎、個人の寄附金控除は寄附金控除の解説で扱っています。
株式会社などの普通法人の税額試算には法人税計算機へ上の計算機は、財団法人の課税区分や個別の公益認定の適否を判定するものではありません。
よくある質問
一般財団法人と公益財団法人はどう違いますか?
公益認定の有無が違います。公益財団法人は、行政庁の公益認定を受けた一般財団法人です。一般財団法人として設立登記をしただけで公益財団法人になるわけではありません。
財団法人では理事会と評議員会のどちらが決算を承認しますか?
一般財団法人の年次決算では、監査後に理事会が計算書類等を承認し、定時評議員会で計算書類の承認を受けます。ただし、会計監査人を置く法人で、理事会承認済みの計算書類が法務省令の要件を満たす場合は、定時評議員会の承認に代えて報告します。事業報告は定時評議員会への報告対象です。
設立時に拠出した財産は、そのまま基本財産になりますか?
自動的に基本財産になるわけではありません。一般財団法人の基本財産は、目的事業に不可欠なものとして定款で定めた財産です。設立時の拠出財産と基本財産の範囲は、定款と財産明細を分けて確認します。
出典
- e-Gov法令検索「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」:設立時の定款・拠出財産、機関、基本財産、計算書類と公告、解散の事由。
- e-Gov法令検索「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」:公益認定の定義・基準、財産目録等の閲覧、行政庁への提出・公表。
この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案に対する法律相談・税務相談への回答ではありません。設立・登記や機関の権限についての実際の判断は法務局・司法書士・弁護士へ、公益認定は行政庁へ、税務上の判断は税務署・税理士へご確認ください。