グループ会社とは?子会社・関連会社の違いと判定表
グループ会社は、親会社・子会社・関連会社など、つながりのある会社をまとめて呼ぶ言葉です。経理の判定では、この呼称をそのまま法令上の区分に置き換えず、使う制度と会社間の関係を確かめます。
まず、会社法の親子関係と、財務諸表等規則の親会社・子会社・関連会社・関係会社を分けます。そのうえで議決権、人事、契約などを確認し、連結や持分法の対象範囲と照合します。
グループ会社と法令上の区分の違い
確認表の見出しが「グループ会社」でも、何を記入するかは書類の定義次第です。会社案内の掲載範囲と、決算資料で使う範囲が一致するとは限りません。
| 用語 | 何を表すか | 経理の確認先 |
|---|---|---|
| グループ会社 | 企業間のつながりを表す呼称 | その資料での定義・掲載範囲 |
| 会社法の親会社・子会社 | 会社法上の支配する側・される側の関係 | 会社法と会社法施行規則 |
| 財規の親会社・子会社 | 意思決定機関の支配による関係 | 直接・間接の支配の根拠 |
| 財規の関連会社 | 子会社以外で重要な影響を与えられる会社等 | 子会社の判定後に影響力の根拠 |
| 財規の関係会社 | 提出会社から見た親会社・子会社・関連会社等 | 相手側からの関係も含む定義 |
以下では「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」を「財規」と略します。財規の判定表と、会社法の説明は分けて記載します。
持株会社の形態の説明はホールディングスと持株会社、完全支配関係を使う税務の説明はグループ法人税制に分けています。
会社法の親会社・子会社を確認する
会社法の子会社は、会社が総株主の議決権の過半数を有する株式会社など、経営を支配する法人を指します。親会社は、株式会社を子会社とする会社など、支配する側です。
根拠は会社法第2条第3号・第4号と、支配の内容を定める会社法施行規則第3条です。法令の書類で親子関係を確認するときは、この組み合わせを参照します。
会社法施行規則には、議決権の所有と、人事・契約・融資などを組み合わせた支配の基準があります。財務・事業の関係から支配していないことが明らかな場合の除外や、有効な支配従属関係がない再生・更生・破産手続中の会社等の扱いも確認します。
なお、会社法には「親会社等」「子会社等」という別の用語もあります。個人が頂点にいることを、ここでいう「親会社」と同じ意味に読み替えません。
財規の子会社:支配の判定表
財規の子会社判定は、意思決定機関を支配しているかで行います。直接保有だけでなく、親会社と子会社、または子会社による支配も含めます。株式の保有数だけを見て判定を終えないことが出発点です。
次は財規上の判定を整理した表です。比率は自己の計算で所有する議決権によります。支配していないことが明らかな場合は除き、有効な支配従属関係がない再生・更生・破産等の会社等も除きます。一定の特別目的会社は別扱いです(例外はこの節末尾)。
| 自己所有の議決権 | 支配の判定に必要なこと |
|---|---|
| 過半数を所有 | 支配の基準に該当するか、表の前提と例外を確認 |
| 40%以上50%以下を所有 | 下記の追加要件のいずれかに該当 |
| 上の区分に当たらない | 同一意思の者と合わせた議決権が過半数で、追加要件のうち人事・契約・融資・その他のいずれかに該当 |
追加要件は、次の内容です。低保有の区分では、同一意思の議決権を合わせて過半数という条件に加えて、人事以降の要件も必要です。
- 自己所有の議決権と、自己と緊密な関係があり同一内容の議決権を行使すると認められる者や、同一内容で行使することに同意した者の議決権を合わせて過半数となる。
- 自社の役員・使用人や、これらであった者で自社が相手先の方針決定に影響を与えられる者が、相手先の取締役会等の構成員の過半数を占める。
- 相手先の重要な財務・営業・事業の方針決定を支配する契約等がある。
- 融資(債務保証・担保提供を含む)は、緊密な関係者の分を合わせた場合も含め、負債に計上された資金調達額の総額の過半に当たる。
- ほかに意思決定機関を支配していると推測される事実がある。
特別目的会社は本文の判定表では確定しません。対象となる事業体、譲受資産・設立目的・事業遂行の条件について、財規第8条第3項・第4項・第7項を確認します。
財規の関連会社:重要な影響力の判定表
関連会社は、子会社以外の会社等に重要な影響を与えられる関係です。財規では、自社だけでなく自社の子会社を通じた関係も確認します。出資、人事、資金、技術、取引などの事実を見ます。
次は財規の関連会社判定で、対象は子会社以外です。比率は自己の計算で所有する議決権によります。重要な影響を与えられないことが明らかな場合は除き、再生・更生・破産等で重要な影響を与えられない会社等も除きます。
| 確認する区分 | 重要な影響力の基準 |
|---|---|
| 議決権を20%以上所有 | 重要な影響力の基準に該当するか、表の前提と例外を確認 |
| 議決権を15%以上20%未満所有 | 下記の追加要件のいずれかに該当 |
| 同一意思の者と合わせて議決権が20%以上 | 自己所有がない場合も含め、下記の追加要件のいずれかに該当 |
| 共同支配企業 | 複数の独立した企業により契約等に基づいて共同で支配される企業に該当 |
追加要件は、次の内容です。議決権の合算は、自社が自己の計算で所有する分に、緊密な関係から同一内容で行使すると認められる者や、同一内容で行使することに同意した者の保有分を加えます。
- 自社の役員・使用人や、これらであった者で自社が相手先の方針決定に影響を与えられる者が、相手先の代表取締役・取締役等に就任している。
- 重要な融資(債務保証・担保提供を含む)を行っている。
- 重要な技術を提供している。
- 重要な販売・仕入れなどの営業上・事業上の取引がある。
- ほかに方針決定に重要な影響を与えられると推測される事実がある。
単に少数の株式を持っているだけで関連会社と決めず、どの要件に当たるかを確認します。根拠は財規第8条第5項・第6項です。
関係会社は自社から見た方向も確認する
財規の「関係会社」は、提出会社から見た親会社、子会社、関連会社に加え、提出会社が他社の関連会社である場合のその相手側も含みます。「関連会社」と同じ言葉として使わないことが大切です。
| 提出会社から見た相手 | 関係の方向 |
|---|---|
| 親会社 | 提出会社を支配する側 |
| 子会社 | 提出会社に支配される相手 |
| 関連会社 | 子会社以外で、提出会社とその子会社から重要な影響を受ける相手 |
| その他の関係会社 | 提出会社がその相手の関連会社となっている場合の相手側 |
上の表は財規第8条第8項の区分です。相手先の会社案内から名称を転記するときも、どちらを起点にした関係かをそろえます。
同じ親会社を持つ会社の例
架空のP社がA社とB社を支配し、A社とB社の間には別の支配や重要な影響力がないとします。この場合、A社とB社は兄弟会社と呼ばれる関係ですが、そのことだけで互いに親子会社や関連会社になるわけではありません。
また、「関連当事者」は関係会社とは別の範囲です。同じ親会社を持つ会社等を含むため、関係会社の表をそのまま関連当事者の一覧に使わず、該当する定義を確認します。
連結対象と持分法対象の関係
企業間の区分を確認した後に、会計処理の対象範囲を確認します。以下は日本基準で連結財務諸表を作成する場合の概要で、グループ会社という名称から連結の作成義務を判定する説明ではありません。
次の表は、日本基準で連結財務諸表を作成する場合の概要です。
| 区分 | 日本基準での扱いの概要 | 読み違えやすい点 |
|---|---|---|
| 子会社 | 連結範囲に含め、個別財務諸表を基礎に合算・会社間取引などを調整(例外は表の直後) | グループ内の売上をそのまま積み上げない |
| 非連結子会社・関連会社への投資 | 連結財務諸表では持分法を適用 | 投資先の売上や費用を丸ごと合算する方法とは違う |
日本基準では、支配が一時的な子会社や、連結すると利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある子会社は連結範囲から除きます。重要性が乏しく合理的な判断を妨げない子会社は連結範囲から除外でき、持分法も連結財務諸表に重要な影響を与えない場合は適用しないことができます。
日本基準の持分法は、投資先の資本・損益のうち投資会社に帰属する部分の変動に応じて、投資額を連結決算日ごとに修正する方法です。議決権比率をそのまま利益に掛ければ処理が終わる、という意味ではありません。
参照先は企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」と企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」です。実際の適用基準・対象期と連結範囲の資料を合わせて確認します。
経理が集める判定資料と記録例
最初に「誰から見た、どの制度の、いつの判定か」をそろえると、資料の食い違いを探しやすくなります。次は社内準備の例で、法定書式や提出義務のある書類一覧ではありません。
| 資料の例 | 確かめること | 記録する内容の例 |
|---|---|---|
| 株主名簿・議決権の明細 | 自己の計算による保有、名義、直接・間接の関係 | 基準日・分母・保有者別の議決権 |
| 資本関係図・会社一覧 | 起点の会社と子会社経由の関係 | 矢印の方向と判定制度 |
| 役員等の一覧・就任資料 | 構成員、経歴、方針決定への影響 | 就任先の機関と関係者の範囲 |
| 株主間契約・経営管理契約 | 議決権行使の同意や方針決定への権限 | 該当条項・有効期間・変更履歴 |
| 借入・保証・担保の明細 | 資金調達と融資・保証等の関係 | 相手先と対象範囲、緊密な関係者分 |
| 技術契約・主要取引明細 | 重要な技術や販売・仕入れなどの関係 | 影響力を検討した事実と根拠 |
| 連結範囲・持分法の判定資料 | 区分と会計処理の対象の対応 | 除外・非適用の理由と確認者 |
判定記録の架空例
「A社から見たB社について、財規の関連会社かを確認する」という依頼なら、最初に子会社に当たるかを確認します。子会社でなければ、議決権と重要な影響力の裏付けを集め、関連会社の要件に照らします。
記録には、判定対象日、適用する制度、対象会社、該当要件、参照資料、確認者を分けて残します。「グループ会社一覧に載っていた」だけで結論欄を埋めず、根拠が足りなければ未確認の項目と確認先を記載する運用例です。
株式の取得・売却、契約変更、役員交代などで関係が変わったときは、前期と対象時点の判定資料の差を確認します。古い会社一覧の名称を引き継ぐだけでは、対象時点の関係を確かめられません。
判定資料の提出予定日を営業日計算で整理する営業日計算は社内の資料回収日を整理する補助です。親子会社・関連会社の判定を行うツールではありません。
よくある質問
グループ会社と子会社は同じですか?
同じではありません。グループ会社は企業間のつながりを表す呼称で、子会社は使う法令・会計基準の支配の定義に照らして確認する区分です。
議決権が過半数に達しなければ子会社ではありませんか?
過半数に達しなくても、財規では同一意思の議決権、人事、契約、融資などを組み合わせた要件で支配を判定する場合があります。非支配が明らかな場合等の除外も含め、本文の支配判定表で確認します。
関連会社と関係会社はどう違いますか?
財規の関連会社は、子会社以外で重要な影響を与えられる会社等です。関係会社には、提出会社から見た親会社・子会社・関連会社と、提出会社が他社の関連会社である場合のその相手側が含まれます。
同じ親会社を持つ会社同士も親子会社ですか?
同じ親会社を持つという事実だけでは、両社間の親子関係は決まりません。両社間に別の支配や重要な影響力があるかを確認し、財規の区分を判定します。
関連会社の売上も連結売上に足しますか?
日本基準の連結財務諸表では、関連会社への投資に持分法を適用しますが、持分法の適用が連結財務諸表に重要な影響を与えない場合は適用しないことができます。持分法は、投資先の売上を丸ごと足す方法ではありません。
出典
- e-Gov法令検索「会社法」第2条:親会社・子会社等の定義。
- e-Gov法令検索「会社法施行規則」第3条:財務・事業の方針決定の支配。
- e-Gov法令検索「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」第8条:親会社・子会社・関連会社・関係会社等。
- 企業会計基準委員会「連結財務諸表に関する会計基準」:日本基準の連結範囲・重要性の扱い。
- 企業会計基準委員会「持分法に関する会計基準」:持分法の定義と適用範囲。
この記事は一般的な情報提供であり、個別の相談への回答ではありません。実際の区分や会計処理は契約・支配関係・適用する基準により異なります。具体的な判断は会計・法務の担当者や公認会計士・弁護士等にご確認ください。個別の税務・労務相談には応じられません。