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子の看護休暇(看護等休暇)と介護休暇 — 年5日は労働日。無給でも違法ではないが、勤続6か月未満を除外する労使協定は令和7年4月に使えなくなった

結論から言うと、子の看護休暇介護休暇は、育児・介護休業法(正式名称は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)が定める、1年度あたり5労働日の休暇です。対象となる子や家族が2人以上いる場合は10労働日になります。根拠条文は、子の看護休暇が法16条の2、介護休暇が法16条の5で、条文の作りは驚くほどよく似ています。

まず名称から整理します。令和7年4月1日から、法律上の名前は「子の看護休暇」ではなく「子の看護等休暇」に変わりました。「等」が1文字入っただけに見えますが、これは取得できる事由が増えたことに対応した改称です。この記事では、実務で通じる「子の看護休暇」と、法律上の「子の看護等休暇」を、文脈に応じて使い分けます。

そして、実務で毎年もめるのに、あまり正面から書かれていない点が3つあります。1つ目は、この休暇に賃金を支払えという規定が、条文のどこにも書かれていないこと。年次有給休暇には労働基準法39条9項が明確に支払義務を置いているのに、こちらには対応する条文がありません。2つ目は、「5日」の単位が暦日ではなく「労働日」であること。3つ目は、令和7年4月1日の改正で、勤続6か月未満の労働者を労使協定で除外する仕組みが廃止されたことです。この3つ目は、条文の上ではかっこ書きが14文字入っただけの、非常に見つけにくい改正でした。

子の看護休暇と介護休暇は、条文が対になった双子の制度

この2つを別々に調べると倍の手間がかかりますが、条文を並べると同じ構造をしていることがわかります。育児・介護休業法は、第4章に子の看護等休暇(16条の2〜16条の4)、第5章に介護休暇(16条の5〜16条の7)を置いており、章の作りがそのまま対応しています。

子の看護等休暇介護休暇
根拠条文法16条の2法16条の5
事業主が拒めない旨法16条の3第1項法16条の6第1項
不利益取扱いの禁止法16条の4(法16条を準用)法16条の7(法16条を準用)
日数1年度に5労働日(対象が2人以上なら10労働日)
1日未満の単位時間単位で取得可(規則34条/規則40条)
年度の既定4月1日〜翌年3月31日(事業主が別段の定めをする場合を除く)
賃金の定め条文に規定なし
労使協定で除外できる者規則36条規則42条
対象9歳に達する日以後の最初の3月31日までの子を養育する労働者要介護状態にある対象家族の介護等を行う労働者

日数・単位・年度・除外の枠組みは共通で、違うのは誰のために取るかと、何のために取れるかの2点だけです。就業規則を作るときも、この2点以外は同じ文言で書けます。

「対象が2人以上なら10日」は合算ではありません 子が2人いれば子の看護等休暇は10日、要介護状態の対象家族が2人いれば介護休暇は10日です。ただし子が2人・要介護の親が1人という労働者は、子の看護等休暇10日と介護休暇5日をそれぞれ別枠で持ちます。2つの休暇は別制度なので、片方を使い切っても、もう片方の日数は減りません。

介護休暇と介護休業はまったく別の制度

実務でいちばん多い混同がこれです。「介護休暇」と「介護休業」は、名前が1文字違うだけですが、条文の章も、日数も、給付金の有無も違います。

3つの制度は根拠法から違う 育児・介護休業法 労働基準法 介護休業 法11条 通算93日 3回まで分割 介護休業給付金 の対象 長期の体制づくり 介護休暇 法16条の5 年5労働日 時間単位も可 給付金なし 賃金の定めなし 通院の付添いなど 年次有給休暇 労基法39条 勤続6か月・出勤率8割で10日〜 理由を問われない 39条9項に賃金支払義務あり ←この条文が、左の2つには 対応するものが無い
介護休業・介護休暇・年次有給休暇。左の2つは育児・介護休業法、右は労働基準法が根拠。賃金の支払義務を明文で置いているのは労基法39条9項だけ。
介護休暇介護休業
根拠条文法16条の5法11条
期間1年度に5労働日(2人以上なら10労働日)対象家族1人につき通算93日
分割1日単位・時間単位3回まで
申出の時期取得する日を明らかにして申し出る原則として開始予定日の2週間前まで
雇用保険の給付なし介護休業給付金がある
使う場面通院の付添い、ケアマネジャーとの面談、手続の代行介護の体制を組むためのまとまった休み

介護休業のほうは雇用保険から介護休業給付金が出ますが、介護休暇には対応する給付が存在しません。「休んだ分は給付でカバーされるだろう」という前提で介護休暇を無給にすると、労働者の手取りはそのまま減ります。介護休業給付金の計算については介護休業給付金の記事で扱っています。

対象になる子は「9歳に達する日以後の最初の3月31日」まで

令和7年4月1日から、子の看護等休暇の対象となる子の範囲が広がりました。改正前は小学校就学の始期に達するまで(=小学校入学前)でしたが、改正後は法16条の2第1項が次のように定めています。

九歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子(以下この項において「小学校第三学年修了前の子」という。)を養育する労働者は…

条文が自らかっこ書きで「小学校第三学年修了前の子」と言い換えているとおり、実質は小学校3年生の年度末までです。ただし、条文が書いているのは学年ではなく年齢です。この違いが効いてくるのが、4月1日生まれと4月2日生まれの子です。

「9歳の誕生日」と読むと、4月1日生まれの子だけ1年ずれます 年齢計算ニ関スル法律は「年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス」とし、民法143条を準用します。同条2項により期間は起算日に応当する日の前日に満了するので、9歳に達する日は誕生日ではなく、その前日です。2018年4月1日生まれの子は2027年3月31日に9歳に達し、その日が「9歳に達する日以後の最初の3月31日」そのものになります。誕生日で読むと2028年3月31日まで対象と誤読し、まる1年ずれます。
1日違いで、就学も休暇の終期も1年ずれる 2024年4月 2025年4月 2026年4月 2027年3月 2028年3月 2018年4月1日生まれ 小1(2024年度)〜 小3(2026年度) 2027-03-31 9歳に達する日=ここまで対象 2018年4月2日生まれ 小1(2025年度)〜 小3(2027年度) 2028-03-31 同じく9歳に達する日=まる1年あと
学校教育法17条の就学時期も、育児・介護休業法16条の2の「9歳に達する日」も、どちらも「誕生日の前日に年齢に達する」という同じ数え方をしている。だから両者は必ず一致し、4月1日生まれの子は就学も1年早く、対象から外れるのも1年早い。

学校教育法17条は「子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから」就学させる義務を定めています。2018年4月1日生まれの子は満6歳に達する日が2024年3月31日、その翌日以後の最初の学年の初めが2024年4月1日なので、小学校入学は2024年度です。小3は2026年度、修了は2027年3月です。育児・介護休業法の「9歳に達する日以後の最初の3月31日」も同じ2027年3月31日になります。2つの法律が同じ年齢の数え方を使っているので、条文どおりに計算すれば必ず学年と一致します。

介護休暇の対象家族は6区分。要介護状態は「2週間以上」

介護休暇を取れるのは、法2条4号の対象家族要介護状態にある場合です。どちらも法律と省令で定義が置かれています。

用語根拠定義
対象家族法2条4号配偶者(事実婚を含む)・父母・子・配偶者の父母
(同上、省令で追加)規則3条祖父母・兄弟姉妹・孫
要介護状態法2条3号負傷・疾病または身体上もしくは精神上の障害により、省令で定める期間にわたり常時介護を必要とする状態
(同上、期間)規則2条2週間以上の期間

ここで2つ、実務上の注意があります。

1つ目は、祖父母・兄弟姉妹・孫について「同居・扶養」の要件が付いていないことです。規則3条は「祖父母、兄弟姉妹及び孫とする」と書くだけで、同居も扶養も条件にしていません。かつては同居かつ扶養が要件でしたが、現在の条文にその文言はありません。就業規則に古い要件が残っている会社は少なくありません。

2つ目は、要介護状態は介護保険の要介護認定とは別物だという点です。法2条3号の定義は「常時介護を必要とする状態」であって、介護保険法の要介護認定を受けていることを要件にしていません。認定を受けていなくても、定義に当てはまれば介護休暇の対象になります。

証明書類を求めることはできるが、提出を取得の条件にはできない 規則41条2項は、事業主が申出をした労働者に対し、対象家族の続柄と要介護状態にある事実を「証明することができる書類の提出を求めることができる」と定めています。求めること自体は適法です。ただし、法16条の6第1項は申出があったときは拒むことができないと定めており、書類の提出を取得の前提条件として扱う根拠は条文にありません。診断書の取得には時間も費用もかかるため、急な取得を書類の到着まで認めない運用は、この条文と整合しません。

何のために取れるか — 省令が事由を限定列挙している

「子どもの行事なら何でも取れるのか」「介護のためなら何でもよいのか」は、条文と省令を読むと答えが出ます。どちらも限定列挙です。

子の看護等休暇(法16条の2第1項・規則32条・33条・33条の2)

取得できる事由根拠令和7年4月からの新設か
負傷し、または疾病にかかった子の世話法16条の2第1項従来から
予防接種または健康診断を受けさせること規則32条従来から
学校保健安全法20条による学校の休業(学級閉鎖・学校閉鎖)に伴う世話法16条の2第1項新設
学校保健安全法19条による出席停止に伴う世話規則33条1号新設
保育所等における学校の休業に準ずる事由等に伴う世話規則33条2号新設
入園・卒園・入学の式典その他これに準ずる式典への参加規則33条の2新設

ここが「子の看護休暇」から「子の看護休暇」へ改称された理由です。学級閉鎖と式典は「看護」ではないので、名前に「等」を足す必要がありました。

条文が書いているのは「行事」ではなく「式典」です 法16条の2第1項は「教育若しくは保育に係る行事のうち厚生労働省令で定めるもの」と書いていますが、それを受けた規則33条の2は「入園、卒園又は入学の式典その他これに準ずる式典とする」と定めています。法律が「行事」と広く書いた枠を、省令が「式典」に絞り込んでいる形です。運動会・学芸会・授業参観は、条文の文言の上では「式典」に当たりません。個別の行事が「これに準ずる式典」に含まれるかどうかの判断は、厚生労働省の通達・Q&Aや所轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に確認するのが確実です。

介護休暇(法16条の5第1項・規則38条)

取得できる事由根拠
介護規則38条1号
通院等の付添い、介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行その他の必要な世話規則38条2号

介護休暇のほうは「その他の必要な世話」という受け皿が置かれているため、子の看護等休暇より広く読めます。ケアマネジャーとの面談、施設の見学、要介護認定の申請手続なども、対象家族の介護のために必要な世話であればこの2号に収まります。

「5労働日」の数え方と、時間単位取得の1時間未満切り上げ

条文は「一の年度において五労働日」と書いています。暦日ではなく労働日なので、もともと所定労働日でない日は数に入りません。週3日勤務のパートタイマーでも、5労働日は5労働日です。

次に時間単位です。法16条の2第2項・16条の5第2項が「厚生労働省令で定める一日未満の単位で取得することができる」と定め、規則34条1項・40条1項がその単位を次のように具体化しています。

…厚生労働省令で定める一日未満の単位は、時間(一日の所定労働時間数に満たないものとする。)であって、始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続するものとする。

ここから2つのことが読み取れます。

1つ目。単位は時間であり、分単位ではありません。2つ目。始業から連続するか、終業まで連続するものと定義されているため、いわゆる「中抜け」(勤務時間の途中だけ抜けて戻る取り方)は、省令が定める単位には含まれていません。就業規則で中抜けを認めることは差し支えありませんが、法律上の義務として求められているのは始業側または終業側に連続する時間単位までです。

1日の時間数は「所定労働時間を1時間未満切り上げ」

時間単位で取った休暇を積み上げて「何日ぶん使ったか」を数えるとき、1日が何時間かが問題になります。規則34条2項・40条2項がこれを定めています。

…一日未満の単位で取得する子の看護等休暇一日の時間数は、一日の所定労働時間数(日によって所定労働時間数が異なる場合には、一年間における一日平均所定労働時間数とし、一日の所定労働時間数又は一年間における一日平均所定労働時間数に一時間に満たない端数がある場合は、一時間に切り上げるものとする。)とする。

この切り上げは、労働者に有利に働きます。具体例で見ます。

1日の所定労働時間切り上げ後の「1日の時間数」年5日ぶんの時間数実労働時間との差
8時間00分8時間40時間±0
7時間30分8時間40時間+2時間30分
7時間45分8時間40時間+1時間15分
6時間15分7時間35時間+3時間45分
5時間00分5時間25時間±0

所定労働時間が7時間30分の会社では、5日を丸ごと休むと実労働37時間30分ぶんですが、時間単位で使い切ると40時間取れます。差は2時間30分です。給与計算のシステムに「1日=7.5時間」で日数換算を仕込んでいると、この2時間30分ぶんが足りなくなります。

時間単位で取得できない労働者は、いま1人もいません 法16条の2第2項と16条の5第2項は「一日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるもの以外の者は…時間単位で取得することができる」と書いており、条文上は除外の余地を残しています。ところが現行の施行規則には、この「省令で定めるもの」を定めた条文がありません。施行規則が「一日の所定労働時間が短い労働者」を定義しているのは、法23条1項の育児のための所定労働時間の短縮措置(1日6時間以下)と、法61条28項の行政執行法人の職員についてだけです。法律が留保した除外を、省令が一度も埋めていないため、結果として全員が時間単位で取得できます。「所定労働時間が短い人は時間単位では取れない」という説明が残っている就業規則は、条文上の根拠を失っています。
年次有給休暇の付与日数を計算する(勤続年数・週の所定労働日数から)

無給でも違法ではない — 労働基準法39条9項と読み比べる

検索でいちばん多い質問が「介護休暇は有給ですか、無給ですか」です。答えは、法律は何も決めていない。だから就業規則しだいで、無給でも違法ではないです。

これは条文を並べると一目でわかります。年次有給休暇について、労働基準法39条9項は次のように書いています。

使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇の期間又は第四項の規定による有給休暇の時間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない

一方、育児・介護休業法の第4章(16条の2〜16条の4)と第5章(16条の5〜16条の7)を全部読んでも、賃金という語が1度も出てきません。日数、単位、申出の方法、事業主が拒めないこと、不利益取扱いの禁止までは書いてありますが、支払いについては何も書かれていないのです。

つまり、「有給休暇」の「有給」は法律が付けた性質で、子の看護等休暇・介護休暇にはその性質が付いていません。取得の権利は保障されているが、賃金は保障されていないという構造です。有給とするか無給とするかは、就業規則で決めることになります。

ただし「無給でよい」と「何をしてもよい」は別です 法16条の4・16条の7が法16条を準用しており、休暇の申出をしたこと・取得したことを理由とする解雇その他不利益な取扱いは禁止されています。無給とした場合に賃金が支払われないこと自体は「不利益な取扱い」ではありませんが、取得したことを理由に賞与を減額する、昇給・昇格の査定でマイナスに扱う、皆勤手当を不支給とするといった扱いは、休んだ事実そのものへの制裁になるため、この禁止に触れる可能性があります。欠勤控除として当該時間ぶんの賃金を支払わないことと、それ以上のペナルティを課すことは、条文上まったく別の話です。

令和7年4月改正の実体は、かっこ書き14文字だった

令和7年4月1日施行の改正で、勤続6か月未満の労働者を労使協定で除外する仕組みが廃止されました。この改正は、条文の見た目としては非常に地味です。改正されたのは16条の2でも16条の5でもなく、16条の3第2項と16条の6第2項という「準用」の条文だからです。

法16条の3第2項(子の看護等休暇)
改正前
(令和5年4月1日施行版)
第六条第一項ただし書及び第二項の規定は…準用する。この場合において、第六条第一項第一号中「一年」とあるのは「六月」と、同項第二号中…と読み替えるものとする。
現行
(令和7年4月1日施行〜)
第六条第一項ただし書(第二号に係る部分に限る。)及び第二項の規定は…準用する。この場合において、同号中…と読み替えるものとする。

変わったのは2か所です。

  1. 「(第二号に係る部分に限る。)」というかっこ書き14文字が挿入された。これにより、準用されるのは法6条1項ただし書の第2号だけになり、勤続期間による除外を定めた第1号が準用の対象から外れた
  2. 「第六条第一項第一号中『一年』とあるのは『六月』と、」という読み替え規定(25文字)が削除された。もともと「6か月」という数字は、育児休業の「1年」を読み替えることで作られていた。読み替え元の第1号が外れたので、読み替え規定も不要になった。

法6条1項ただし書の中身は次のとおりです。

対象子の看護等休暇・介護休暇での扱い
1号引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
(読み替えて「6月」とされていた)
令和7年4月1日から準用されない=除外できない
2号1号のほか、合理的な理由があると認められる労働者として省令で定めるものいまも準用される=労使協定で除外できる
就業規則と労使協定の見直しが必要です 改正前は「入社6か月未満の者は子の看護休暇・介護休暇を取得できない」と労使協定で定めることが適法でした。この条項が就業規則や労使協定に残っていると、現在は条文上の根拠を失った定めになります。法16条の3第1項・16条の6第1項は「事業主は…当該申出を拒むことができない」と定めており、除外の根拠がなければ入社初日の労働者からの申出も拒めません。改正から1年以上が経っていますが、就業規則の全面改定は数年に一度という会社も多く、条項が残ったままになっている例は珍しくありません。

労使協定で除外できるのは誰か

いま残っている除外は、法6条1項2号の「省令で定めるもの」だけです。それを受けているのが規則36条(子の看護等休暇)と規則42条(介護休暇)で、どちらも規則8条2号の労働者と定めています。規則8条2号はこう書いています。

一週間の所定労働日数が著しく少ないものとして厚生労働大臣が定める日数以下の労働者

ここで注意が必要です。日数そのものは施行規則に書かれていません。「厚生労働大臣が定める日数」とあるとおり、数字は告示で定まる形になっています。参考として、同じ法律の中で所定外労働の制限(法16条の8第1項2号)については、規則44条が「一週間の所定労働日数が二日以下の労働者」と数字を規則に直接書いています。子の看護等休暇・介護休暇の除外についても実務上は週2日以下として運用されていますが、その数字の出どころは施行規則ではなく告示であるため、労使協定を作るときは根拠を告示まで遡って確認することをおすすめします。

もう1つ、時間単位取得についての除外があります。法16条の3第2項・16条の6第2項の読み替え規定により、業務の性質または業務の実施体制に照らして時間単位で取得することが困難と認められる業務に従事する労働者は、労使協定で時間単位での取得だけを除外できます。読み替え後の条文がかっこ書きで「(同項の規定による厚生労働省令で定める一日未満の単位で取得しようとする者に限る。)」と限っているとおり、この除外は時間単位に対してのみ働き、1日単位での取得は除外できません

拒んだらどうなるか — 罰則ではなく勧告と公表

法16条の3第1項・16条の6第1項が「拒むことができない」と書いていても、では拒んだ場合に何が起きるのかは、別の条文を見ないとわかりません。育児・介護休業法の罰則は、次のようになっています。

条文内容子の看護等休暇・介護休暇の拒否に及ぶか
法56条厚生労働大臣による報告の徴収、助言・指導・勧告及ぶ
法56条の2勧告に従わなかったときの公表及ぶ(16条の3第1項・16条の6第1項が明示列挙されている)
法66条報告をせず、または虚偽の報告をした者は20万円以下の過料報告義務違反に対するもの。休暇の拒否そのものへの罰則ではない

つまり、休暇を拒んだこと自体に刑事罰や過料は科されません。制裁の経路は、報告徴収 → 助言・指導・勧告 → 従わなければ企業名の公表という行政上のものです。法56条の2は勧告の対象となる条文を列挙しており、その中に16条の3第1項(子の看護等休暇を拒めない旨)と16条の6第1項(介護休暇を拒めない旨)が明示的に入っています。

なお、20万円以下の過料が科されるのは、法56条による報告を怠ったり虚偽の報告をしたりした場合です。行政から報告を求められた段階での対応を誤ると、休暇の運用とは別の理由で過料の対象になり得ます。

「年度」は4月始まりでなくてもよい

最後に、見落とされがちな条文を1つ。法16条の2第4項と16条の5第4項は、どちらも次のように定めています。

第一項の年度は、事業主が別段の定めをする場合を除き、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。

4月1日〜3月31日は既定値であって、強行規定ではありません。「事業主が別段の定めをする場合を除き」とあるとおり、就業規則で別の期間を定めることができます。

これが効くのは、年次有給休暇の付与基準日を統一している会社です。年休の付与日を10月1日に統一しているのに、子の看護等休暇・介護休暇だけ4月始まりだと、休暇管理台帳の締めが年2回になります。就業規則で年度をそろえておけば、管理は1回で済みます。逆に、何も定めていなければ自動的に4月1日始まりになるので、「うちは年休と同じ10月始まりのつもりだった」という運用は、条文上の裏付けを欠くことになります。

この記事の要点

  • 子の看護等休暇(法16条の2)と介護休暇(法16条の5)は、条文の構造が対になった双子の制度。年5労働日、対象が2人以上なら10労働日
  • 単位は暦日ではなく労働日。時間単位でも取得でき、その1日の時間数は所定労働時間を1時間未満切り上げ(7時間30分の人は8時間×5=40時間)
  • 時間単位は「始業から連続、または終業まで連続」と定義されており、中抜けは法律上の義務ではない
  • 賃金の定めは条文にない。労基法39条9項が年休について支払義務を明文で置いているのと対照的で、無給でも違法ではない。ただし取得を理由とする不利益取扱いは禁止(法16条の4・16条の7)
  • 令和7年4月1日から、勤続6か月未満を労使協定で除外できない。改正の実体は、準用条文へのかっこ書き14文字の挿入と読み替え規定の削除
  • 拒んだ場合の制裁は罰則ではなく、勧告 →従わなければ企業名の公表(法56条の2)

よくある質問

Q. 介護休暇は有給ですか、無給ですか?

A. 法律は決めていません。育児・介護休業法の第5章(16条の5〜16条の7)には、賃金の支払いに関する規定が置かれていません。年次有給休暇について労働基準法39条9項が「平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金…を支払わなければならない」と明文で定めているのと対照的です。したがって、有給とするか無給とするかは就業規則で決めることになり、無給としても違法ではありません。ただし法16条の7が法16条を準用しており、休暇の申出や取得を理由とする解雇その他の不利益な取扱いは禁止されています。休んだ時間ぶんの賃金を支払わないこと自体は不利益取扱いに当たりませんが、取得を理由に賞与を減額したり、皆勤手当を不支給としたり、査定でマイナスに扱ったりする運用は、この禁止に触れる可能性があります。

Q. 子の看護休暇は何歳まで取れますか?

A. 育児・介護休業法16条の2第1項により、9歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子が対象です。条文自身がこれを「小学校第三学年修了前の子」と言い換えているとおり、実質は小学校3年生の年度末までです。令和7年4月1日の改正前は「小学校就学の始期に達するまで」つまり小学校入学前までだったため、対象が3学年ぶん広がりました。なお「9歳に達する日」は9歳の誕生日ではありません。年齢計算ニ関スル法律が年齢は出生の日から起算するとし、民法143条2項を準用しているため、年齢に達するのは誕生日の前日です。2018年4月1日生まれの子であれば2027年3月31日に9歳に達し、その日が「9歳に達する日以後の最初の3月31日」になります。誕生日で数えると1年ずれます。

Q. 入社したばかりのパートですが、子の看護休暇を取れますか?

A. 取れます。令和7年4月1日の改正前は、労使協定を結べば継続雇用期間6か月未満の労働者を除外することができましたが、この仕組みは廃止されました。改正後の法16条の3第2項は、法6条1項ただし書のうち「第二号に係る部分に限る」として準用しており、勤続期間による除外を定めた第1号は準用の対象から外れています。法16条の3第1項が「事業主は…当該申出を拒むことができない」と定めているため、除外の根拠がなければ入社初日でも拒めません。労使協定で除外できるのは、法6条1項2号を受けた規則36条の労働者、すなわち規則8条2号の「一週間の所定労働日数が著しく少ないものとして厚生労働大臣が定める日数以下の労働者」だけです。就業規則に「入社6か月未満は取得できない」という条項が残っている場合は、見直しが必要です。

Q. 介護休暇と介護休業は何が違いますか?

A. 別の制度です。介護休暇は法16条の5に基づく1年度あたり5労働日(対象家族2人以上なら10労働日)の休暇で、通院の付添いや手続の代行といった短時間の用事に使います。介護休業は法11条に基づき、対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分割して取得できる休業で、介護の体制を組むためのまとまった休みです。雇用保険からの給付にも違いがあり、介護休業には介護休業給付金がありますが、介護休暇には対応する給付がありません。したがって介護休暇を無給と定めている会社では、休んだぶんの収入を補う仕組みが制度上存在しないことになります。申出の時期も異なり、介護休業は原則として開始予定日の2週間前までの申出が必要ですが、介護休暇は取得する日を明らかにして申し出る形で、当日の申出も想定されています。

Q. 半日単位や時間単位でも取れますか。中抜けは認めなければいけませんか?

A. 時間単位で取得できます。法16条の2第2項・16条の5第2項が1日未満の単位での取得を認め、規則34条1項・40条1項がその単位を「時間(一日の所定労働時間数に満たないものとする。)であって、始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続するもの」と定めています。したがって法律上の義務として求められているのは、始業側または終業側に連続する時間単位までです。勤務時間の途中だけ抜けて戻る、いわゆる中抜けの形は、この省令が定める単位には含まれていません。就業規則で中抜けを認めることは差し支えありませんが、認めないことが直ちに違法になるわけではありません。なお、業務の性質や実施体制に照らして時間単位での取得が困難と認められる業務に従事する労働者については、労使協定により時間単位での取得のみを除外できます。この場合も1日単位での取得は除外できません。

Q. 所定労働時間が7時間30分の場合、時間単位では何時間まで取れますか?

A. 年40時間です。規則34条2項・40条2項は、1日未満の単位で取得する休暇の「一日の時間数」を1日の所定労働時間数とし、1時間に満たない端数がある場合は1時間に切り上げると定めています。所定労働時間が7時間30分であれば、切り上げて8時間が1日ぶんとなり、5労働日では8時間×5=40時間になります。5日を丸ごと休んだ場合の実労働時間は37時間30分ですから、時間単位で使い切るほうが2時間30分ぶん多く取れる計算です。給与計算や勤怠管理のシステムで「1日=7.5時間」として日数換算していると、この差ぶんが不足します。なお日によって所定労働時間数が異なる場合は、1年間における1日平均所定労働時間数を用い、これにも1時間未満の切り上げが適用されます。

Q. 対象家族に祖父母や兄弟姉妹は含まれますか。同居していなくても取れますか?

A. 含まれます。法2条4号が配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)・父母・子・配偶者の父母を対象家族とし、これを受けた規則3条が祖父母・兄弟姉妹・孫を加えています。規則3条は「祖父母、兄弟姉妹及び孫とする」と定めるだけで、同居や扶養を要件としていません。したがって別居している祖父母についても、要介護状態にあれば介護休暇の対象になります。要介護状態については法2条3号と規則2条が定義しており、負傷・疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます。介護保険法の要介護認定を受けていることは要件になっていません。就業規則に同居・扶養の要件が残っている場合は、現行の条文と整合しないため見直しが必要です。

Q. 子どもの運動会や授業参観にも使えますか?

A. 条文の文言の上では、式典に限られています。法16条の2第1項は「教育若しくは保育に係る行事のうち厚生労働省令で定めるもの」への参加を取得事由としていますが、これを受けた規則33条の2は「入園、卒園又は入学の式典その他これに準ずる式典とする」と定めています。法律が「行事」と広く書いた枠を、省令が「式典」に絞り込んでいる構造です。運動会・学芸会・授業参観は、条文の文言としては式典に当たりません。ただし「その他これに準ずる式典」の範囲がどこまでかは条文だけでは決まらないため、個別の行事について判断が必要な場合は、厚生労働省が示す通達やQ&A、または所轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に確認することをおすすめします。なお就業規則で法定を上回る範囲を認めることは差し支えありません。

Q. 学級閉鎖のときにも取れるようになったと聞きました。本当ですか?

A. 令和7年4月1日から取得事由に加わりました。法16条の2第1項が「学校保健安全法第二十条の規定による学校の休業その他これに準ずるものとして厚生労働省令で定める事由に伴う」子の世話を取得事由として挙げています。学校保健安全法20条は「学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる」と定めており、学級閉鎖・学年閉鎖・学校閉鎖がこれに当たります。さらに規則33条が、これに準ずる事由として、学校保健安全法19条による出席停止(校長が感染症にかかった児童生徒等の出席を停止させるもの)と、保育所等における学校の休業に準ずる事由等を挙げています。この改正で「看護」に当たらない事由が加わったため、制度の名称も「子の看護休暇」から「子の看護等休暇」に改められました。

Q. 年度は必ず4月から3月ですか?

A. 変更できます。法16条の2第4項と16条の5第4項は、いずれも「第一項の年度は、事業主が別段の定めをする場合を除き、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする」と定めています。「事業主が別段の定めをする場合を除き」とあるとおり、4月始まりは既定値であって強行規定ではありません。就業規則で別の期間を定めれば、その期間が年度になります。年次有給休暇の付与基準日を全社で統一している会社では、休暇管理の締めをそろえる目的で年度を合わせておくと管理が簡素になります。逆に、就業規則に何も定めていなければ自動的に4月1日始まりになりますので、運用が別の期間になっている場合は就業規則の記載を確認してください。

Q. 令和8年10月1日の法改正で、この2つの休暇は変わりますか?

A. 変わりません。育児・介護休業法には令和8年10月1日施行の改正(令和7年法律第63号による改正)がありますが、条文を版ごとに突き合わせて確認したところ、子の看護等休暇を定める第4章(16条の2〜16条の4)と介護休暇を定める第5章(16条の5〜16条の7)は、現行版と令和8年10月1日施行版とで完全に同一でした。したがって、この記事で説明した日数・単位・対象・除外の枠組みは、令和8年10月1日以降も変わりません。ただし同じ改正法は育児・介護休業法の他の部分には及んでおり、また労働施策総合推進法の改正によるカスタマーハラスメント対策の義務化など、同日施行の別の制度変更があります。就業規則の改定を検討する際は、この2つの休暇以外の部分もあわせて確認してください。

出典

この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案に対する助言ではありません。自社の就業規則や労使協定が現行の条文に適合しているか、特定の労働者が対象に当たるか、特定の行事が「これに準ずる式典」に含まれるか、また休暇を有給とする場合の賃金の計算方法については、個別の事情によって結論が変わります。就業規則・労使協定の整備や個別事案の判断については社会保険労務士へ、所轄の運用については都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へご確認ください。

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