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家族信託の費用:現金・株式・不動産の構成と契約・登記・口座費用を同条件で集計

家族信託の費用は、専門家への報酬に、公証・登記・口座の費用を足して集計します。財産の総額だけで決めず、現金・株式・不動産の内訳と依頼する作業の範囲をそろえると、見積書を照合できます。

この記事では、同じ混合財産に対する架空の見積例を使います。初期費用と、管理中・終了時に別途確かめる費用を分けます。未見積もりの欄が残っている間は、総額を確定させない集計方法を示します。

費用の内訳を先に分ける

見積書は「報酬」と「実費」を分けて読みます。口座の開設を支援する専門家への報酬と、金融機関へ払う口座開設手数料は別の費用です。同じ作業が基本報酬にも追加費用にも入っていないかを照合します。

開始時の費用確認表
項目確認する範囲
専門家報酬信託の設計、契約書案、公証役場との調整、登記、口座支援のどこまで含むか
公証関係基本手数料、信託加算、証書の枚数加算、交付費用、出張等の有無
登記関係信託登記の登録免許税と、申請を依頼する報酬を区別
預金口座開設手数料、契約書の事前確認、管理料や変更手続きの費用
証券口座受入可能な商品、移管、開設支援、売買等の費用と口座区分
書類・送付証明書、登記事項証明書、郵送等の実費と、代行報酬の重複

総額だけが書かれた見積書では、契約成立までの費用なのか、登記・口座開設まで完了する費用なのかを判別できません。「完了する作業」と「別途請求の項目」を、費用ごとに書き添えます。

家族信託の費用を集計する順序 財産構成を固定評価の基準も記録作業範囲を固定報酬と実費を分ける見積もりを照合未回答は照会する開始費用を合計継続・終了の費用は別表で管理
未見積もりは「費用なし」と区別する。開設や移管が可能かも先に確認する。

同じ混合財産の見積例

以下は、費用の足し方を示す架空設例です。相場や実在する依頼先の料金ではありません。委託者と受益者が同じ個人で、家族が受託者となる契約型信託を想定します。報酬に含む作業は、契約書案の作成・公証調整・登記申請まで同じとします。

架空設例の財産は、金銭500万円・株式500万円・土地1,500万円・建物500万円で合計3,000万円です。設例では公証人の作成着手時の目的価額もこの合計額と仮定し、登記の課税標準は表の土地・建物の額とします。

架空設例の財産構成
財産確認する資料・評価
金銭信託する金額と、手元に残す生活費を区別
株式銘柄・数量・評価日と、証券会社が受け入れるかを確認
土地・建物所在地・持分・固定資産評価資料を分けて確認

実際には、公証手数料の目的価額・専門家報酬の算定基礎・登記の課税標準が同じになるとは限りません。評価日と評価方法を、それぞれの見積書に記録します。

次表は上の架空設例の開始費用だけを税込で集計した見積A・Bです。架空設例は契約型信託で、信託財産総額と公証人の作成着手時の目的価額はともに3,000万円、土地の課税標準は1,500万円、建物は500万円と仮定します。仮登記はなく、土地は令和11年3月31日までの登記とします。三十三銀行の開設条件を満たす場合の口座費を消費税率10%で換算し、報酬・追加実費・証券支援費は仮定です。公証基本・加算と登録免許税は、仮定の評価額に公表料金・法定税率を適用した計算額です。継続・終了費と所得税・相続税等は含めません。

架空設例の税込見積A・B(開始費用)
費用見積A見積B
専門家報酬(仮定)330,000円440,000円
公証基本・信託加算39,000円39,000円
土地建物の登録免許税65,000円65,000円
預金口座開設(公表例換算)55,000円55,000円
公証追加分(仮定)6,000円6,000円
証明書等実費(仮定)11,000円11,000円
証券関連支援等(仮定)30,000円30,000円
開始費用合計536,000円646,000円

この架空設例では、報酬以外の費用と依頼範囲を同じにしています。実際の照合では、見積Bの報酬に証券関連支援も含まれているなら、その支援費を重ねて足しません。金額を比べる前に、各行の「含む・含まない」をそろえます。

証券関連費用がまだ分からなければ、上のような開始費用合計は確定できません。見積書に「別途実費」とある欄は、対象作業・請求元・金額が判明するまで未見積もりとして扱います。分かっている費用の小計とは分けます。

公証費用は基本額と追加費用を分ける

公証費用は、基本額と信託加算に加え、証書の枚数などによる追加費用を確認します。日本公証人連合会の手数料案内では、法律行為ごとの目的価額を公証人の証書作成着手時に算定します。信託する不動産の評価資料や株式の評価日を、契約書案とともに公証役場へ確認します。

次表は上の架空設例の契約型信託です。架空設例の信託財産総額と公証人の作成着手時の目的価額をともに3,000万円と仮定し、遺言による信託は含めません。枚数加算・交付・出張等は別です。

架空設例の公証基本額と信託加算
内訳計算
公証基本手数料目的価額が千万円超・三千万円以下の区分:26,000円
信託加算信託財産の価額が1億円以下の契約型信託:13,000円を基本額に加算
基本・加算の小計架空設例:26,000円+13,000円=39,000円

根拠は公証人手数料令9条・別表と22条の2です。証書の内容・枚数や受取方法による追加分は、公証役場の見積もりで確定させます。

複数の法律行為を含む証書は、法律行為ごとの計算や主従関係の扱いがあります。総財産額を料金表に当てるだけで公証費用全体は決まりません。公正証書全般は公正証書の効力と費用の解説で確認できます。

不動産は土地・建物を別々に計算する

信託登記にかかる税は、土地と建物を別々に計算します。信託開始時に、委託者から受託者へ信託のために財産を移す所有権移転登記は、登録免許税法7条の非課税区分です。ただし、信託登記にかかる税は別に計算します。「移転が非課税」を登記費用全体が不要という意味で使いません。

次表は架空設例の所有権の信託登記です。登記の課税標準は土地1,500万円・建物500万円とします。仮登記はなく、土地は令和11年3月31日までに登記を受ける条件です。この設例の計算では端数処理・最低税額による調整は生じません。

架空設例の信託登記にかかる登録免許税
対象税額の計算
土地所有権の信託架空設例:1,500万円×0.3%=45,000円
建物所有権の信託架空設例:500万円×0.4%=20,000円
土地・建物の合計架空設例:45,000円+20,000円=65,000円

税率は登録免許税法別表第一と租税特別措置法72条を参照。将来の登記や仮登記のある案件には、この設例の税額をそのまま使いません。

登記を依頼する報酬、登記事項証明書等の実費は、上の税額とは別です。財産の時価と登記の課税標準を混同せず、固定資産評価資料の対象年度・持分を登記の担当者と照合します。

預金と証券は別の口座費用を確認する

金融機関の開設手数料は、取扱条件とセットで読みます。次は公表内容の例であり、金融機関の順位や選び方を示すものではありません。金銭と株式を同じ契約に入れても、口座ごとに受付条件と費用を確認します。

以下は2026年11月4日に確認した公表例です。開設条件を満たし、各金融機関の事前確認を通った場合の取扱いを示します。管理料、移管料、取引費用、専門家の支援報酬は開設費用と分けて照会します。

金融機関へ支払う開設費用の公表例
金融機関公表内容
三十三銀行信託口口座の開設手数料:税抜50,000円。消費税率10%で税込換算すると55,000円
楽天証券家族信託口座開設に同社へ払う費用なし。公証役場等の費用と取引手数料は別

主な受付条件:三十三銀行は専門士業作成の公正証書、双方署名、金銭の分別管理条項、後継受託者指定。楽天証券は自益信託・双方のIFAコース口座開設済みなどで、一般口座のみです。契約内容の事前確認により利用できない場合があります。

株式があるときの照会票

証券会社へは、保有商品の一覧を付けて、現物のまま受け入れられるかを照会します。通常の証券口座で保有できる商品が、そのまま信託口座でも使えるとは限りません。売却を前提に費用だけを計算すると、税金や管理方法の検討が抜けます。

管理中・変更・終了の費用を別に残す

受託者が無報酬でも、管理の実費や作業がなくなるわけではありません。信託法37条は受託者の帳簿等の作成・保存を定めています。誰が帳簿を作り、請求書・残高資料を保管するかも費用確認の対象です。

開始費用に含めない継続・終了費用の確認票
場面見積もりに残す項目
管理中受託者報酬の定め、専門家の継続支援契約、口座管理料、取引・送金費
不動産管理固定資産税等、修繕・保険・管理委託の支出と支払元
税務・帳簿申告や帳簿作成を依頼するか、依頼範囲と報酬、税額との区別
変更時変更契約、受託者交代、公証・登記・金融機関の変更手続き
終了時財産の引渡し、登記・口座の手続き、清算事務と専門家報酬

受託者報酬と立替費用の精算は区別します。報酬の定めは信託法54条、必要な費用の償還等は同48条を踏まえて契約内容を確認します。支出した人の名前だけで、報酬や立替金と決めません。

費用の記録には、請求元・請求先・実際に支払った人・支払口座・対象作業・精算予定を残します。信託開始前の費用や家族間の立替えを、確認せず信託財産から返す処理にはしません。

終了時の登記費用は、財産を受け取る人や経緯で区分が変わるため、開始時の税額を再利用しません。信託終了後も清算が結了するまで存続する扱いは、信託法176条で確認できます。終了時の手続きを見積もりから落とさないための確認点です。

見積もりを確定する前の確認

家族信託の費用表は、財産構成・評価・作業範囲を固定してから作ります。公証・登記・口座の実費と専門家報酬を分け、未見積もりを照会し、管理中・終了時の費用も別に記録すると、開始時の合計だけで判断するのを防げます。

この費用表は信託の設立・管理費用を扱います。相続税の課税価格や税額とは別の集計です。相続人を証明する書類は法定相続情報一覧図の解説へ、一般の相続税の概算は次の計算機へ進めます。

一般の相続税の概算を計算する(信託固有の課税判定は対象外)

よくある質問

家族信託の費用は財産総額だけで決まりますか?

決まりません。財産の種類、専門家へ依頼する作業、公証・登記・金融機関の手続きによって内訳が変わります。同じ財産構成と依頼範囲で見積もりをそろえ、別途請求と未見積もりを確認します。

家族が無報酬で受託者になれば維持費はかかりませんか?

受託者報酬がなくても、口座・取引・不動産管理等の実費や帳簿作成の作業は別に確認が必要です。継続支援を依頼する契約があれば、その報酬も受託者報酬と分けて費用表に残します。

自分で契約書を作れば口座開設できますか?

金融機関の受付条件によります。契約型信託の法律上の効力と、金融機関が口座を受け入れる条件は別です。専門士業の作成や公正証書を条件とする銀行もあるため、契約書を確定する前に候補の金融機関へ照会します。

次に読む

出典

日本公証人連合会の手数料案内、法令、金融機関の公表条件を確認。料金の確認日は2026年11月4日です。

この記事は一般的な情報提供です。個別の税務・法務相談には応じられません。契約・登記は弁護士・司法書士、課税は税務署・税理士、口座の取扱いは各金融機関にご確認ください。

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