経営事項審査(経審)とは — P点の6割は決算書で決まる。「1年7か月」は受けた日から数えない
結論から言うと、経営事項審査(けいえいじこうしんさ、略して経審)は、建設業許可を取った会社が全員受けるものではありません。受けなければならないのは公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者だけです。建設業法27条の23が定めており、しかも対象になる工事には1件あたり請負代金500万円(建築一式工事は1,500万円)以上という下限が政令で置かれています。民間工事だけの会社や、下請専門の会社に受審義務はありません。
そのうえで、この記事がいちばん伝えたいことがあります。経審の点数は、ほとんど決算書で決まります。総合評定値Pの計算式は建設業法施行規則21条の3に書かれており、P=0.25X1+0.15X2+0.2Y+0.25Z+0.15Wです。このうちX1は完成工事高、X2は自己資本額と利益額、Yは経営状況分析(決算書だけを分析するもの)ですから、この3つだけでウェイトの0.60、つまり6割を占めます。Zに含まれる元請完成工事高も決算由来なので、実質はさらに大きくなります。点数を上げる仕事の主戦場は現場ではなく経理です。
もうひとつ、実務でよく誤解されているのが「経審の有効期間は1年7か月」という言い方です。条文(建設業法施行規則18条の2)は審査を受けた日からではなく、契約を結ぶ日から遡って数える形で書かれています。起点は事業年度終了の日(審査基準日)であって、通知書の日付ではありません。ここを取り違えると、空白期間の計算が数か月ずれます。
受けなければならないのは誰か — 許可業者全員ではない
建設業法27条の23第1項が、受審義務の対象をこう定めています。
公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。
ここには3つの限定が入っています。①公共性のある施設または工作物に関する建設工事で、②政令で定めるもので、③発注者から直接請け負おうとする——この3つを全部満たす場合だけです。③の「直接」は元請を意味するので、公共工事の下請しかしない会社は、義務としては受審の対象外です。
②の「政令で定めるもの」が建設業法施行令45条です。ここに金額の下限が入っています。
法第二十七条の二十三第一項の政令で定める建設工事は、国、地方公共団体、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)別表第一に掲げる公共法人(地方公共団体を除く。)又はこれらに準ずるものとして国土交通省令で定める法人が発注者であり、かつ、工事一件の請負代金の額が五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、千五百万円)以上のものであつて、次に掲げる建設工事以外のものとする。
金額の線が500万円(建築一式工事は1,500万円)で、建設業許可が要るかどうかの線とまったく同じ数字になっています。ただし向きが逆です。許可のほうは、500万円未満の軽微な工事だけを請け負うのであれば許可が要らないという線。経審のほうは、500万円以上の公共工事を元請で受けるのであれば審査が要るという線。同じ500万円でも、片方は不要になる線、もう片方は必要になる線です。
施行令45条にはさらに2つの除外が置かれています。1号が堤防の欠壊・道路の埋没・電気設備の故障など、放置すると著しい被害を生ずるおそれのあるものによって必要を生じた応急の建設工事、2号が緊急の必要その他やむを得ない事情があるものとして国土交通大臣が指定する建設工事です。災害復旧の応急工事は、経審を受けていない業者でも直接請け負えるということになります。
発注者は「役所」だけではない — 省令が31法人を名指ししている
施行令45条の「これらに準ずるものとして国土交通省令で定める法人」は、建設業法施行規則18条で具体名の列挙になっています。これは「公共工事」という言葉から想像する範囲を超えています。列挙されている法人を数えると31法人で、たとえば次のようなものが入っています。
日本たばこ産業株式会社/NTT株式会社・NTT東日本株式会社・NTT西日本株式会社/北海道旅客鉄道株式会社・四国旅客鉄道株式会社・日本貨物鉄道株式会社/東京地下鉄株式会社/成田国際空港株式会社・新関西国際空港株式会社/東日本高速道路株式会社・首都高速道路株式会社・中日本高速道路株式会社・西日本高速道路株式会社・阪神高速道路株式会社・本州四国連絡高速道路株式会社/独立行政法人中小企業基盤整備機構/国立研究開発法人理化学研究所/公益財団法人JKA ほか(合計31法人)
民間企業の名前が並んでいるのが要点です。NTTや高速道路会社、東京メトロ、JR貨物の工事を元請として500万円以上で直接受けるのであれば、それは施行令45条の「政令で定める建設工事」に当たり、経審の受審が必要になります。「うちは役所の仕事はしていないから経審は関係ない」という判断は、この列挙を見ずには成り立ちません。
なお、JR東日本・JR東海・JR西日本・JR九州はこの列挙に含まれていません。含まれているのは北海道旅客鉄道・四国旅客鉄道・日本貨物鉄道の3社です。名前が似ていても扱いが違うので、条文の列挙をそのまま当たってください。
P点の6割は決算書で決まる — 計算式を条文で読む
経審の結果として最終的に出てくる数値が総合評定値(P点)です。その計算式は建設業法施行規則21条の3にあります。
法第二十七条の二十九第一項の総合評定値は、次の式によつて算出するものとする。
そして条文が示している式が、P=0.25X1+0.15X2+0.2Y+0.25Z+0.15Wです。同じ条文が、それぞれの記号の中身も定義しています。
| 記号 | 条文が定義している中身 | ウェイト | 決算書から来るか |
|---|---|---|---|
| X1 | 経営規模等評価のうち、完成工事高に係るもの | 0.25 | 来る(損益計算書・工事経歴書) |
| X2 | 経営規模等評価のうち、自己資本額および利益額に係るもの | 0.15 | 来る(貸借対照表・損益計算書) |
| Y | 経営状況分析の結果に係る数値 | 0.20 | 来る(決算書だけを分析する) |
| Z | 経営規模等評価のうち、技術職員数および元請完成工事高に係るもの | 0.25 | 一部来る(元請完成工事高) |
| W | 経営規模等評価のうち、X1・X2・Y・Z以外に係るもの | 0.15 | 一部来る(経理の状況・会計監査人等) |
X1+X2+Y = 0.25+0.15+0.20 = 0.60。この3つは、どれも決算書の数字がそのまま入力になります。点数の6割は、決算が締まった時点でほぼ決まっているということです。さらにZの一部(元請完成工事高)とWの一部(後述する経理の状況)も経理側の話なので、経理が動かせる範囲は6割よりも広くなります。
「1年7か月」は受けた日から数えない
経審の結果には「有効期間1年7か月」という説明が広く使われています。その根拠になっている条文が建設業法施行規則18条の2です。読むと、期限の数え方が世間の説明とは逆向きに書かれています。
法第二十七条の二十三第一項の建設業者は、同項の建設工事について発注者と請負契約を締結する日の一年七月前の日の直後の事業年度終了の日以降に経営事項審査を受けていなければならない。
条文が基準にしているのは「契約を締結する日」で、そこから1年7か月前まで遡り、その日の直後にやってくる事業年度終了の日を見つけ、それ以降に受けた経審であることを求めています。つまり起点は事業年度終了の日(審査基準日)であって、審査を受けた日でも通知書の日付でもありません。
契約日2027年10月1日の1年7か月前は2026年3月1日です。その日の直後にやってくる事業年度終了の日は2026年3月31日。したがって、2026年3月31日を審査基準日とする経審(またはそれ以降のもの)を受けていればよいことになります。2025年3月31日基準の経審しか持っていなければ、この契約には使えません。
実務上の帰結は2つあります。第一に、審査を早く受けても期限は延びません。期限を決めているのは決算日であって、申請日でも通知日でもないからです。第二に、決算日から経審の結果が出るまでの期間が長いと、その分だけ手元に有効な経審が無い時期が生まれます。決算 → 税務申告 → 決算変更届 → 経営状況分析 → 経営規模等評価 → 総合評定値の請求、という順に進むので、決算作業が遅れれば遅れるほど、空白期間が伸びることになります。1年7か月という幅は、この一連の手続きにかかる期間を織り込んだものと理解されています。
1年7か月という数字がなぜ7か月なのかについて、条文は理由を書いていません。上記の説明は手続きの順序から見た理解であって、条文が定めているものではありません。
W点の「建設業の経理に関する状況」— 経理担当者そのものが点数になる
Wの中身は建設業法施行規則18条の3第1項に列挙されています。号を数えると8つで、次のとおりです。
- 建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況
- 建設業の営業継続の状況
- 法令遵守の状況
- 建設業の経理に関する状況
- 研究開発の状況
- 防災活動への貢献の状況
- 建設機械の保有状況
- 国又は国際標準化機構が定めた規格による認証又は登録の状況
このうち4号の「建設業の経理に関する状況」が、同条第3項でさらに分解されています。柱書はこうです。
第一項第四号に規定する事項は、次の各号に掲げる事項により評価することにより審査するものとする。
受けている号は3つで、内容は次のとおりです。
| 号 | 評価される事項 | 誰が動かせるか |
|---|---|---|
| 1号 | 会計監査人又は会計参与の設置の有無 | 株主総会・取締役会の決議事項。中小企業でも会計参与は設置できる |
| 2号 | 建設業の経理に関する業務の責任者による、建設業の経理が適正に行われたことの確認の有無 | 経理の責任者本人。所定の資格または研修・講習が要る |
| 3号 | 建設業に従事する職員のうち、2号のイからニに掲げる者の数 | 経理部門の人数と資格の維持 |
2号で認められる「責任者」は4種類(イからニ)です。イが公認会計士または税理士で国土交通大臣の指定する研修を受けたもの、ロが登録経理試験(いわゆる建設業経理士検定)に合格した者、ハが登録経理講習を受講した者、ニが国土交通大臣がこれらと同等以上と認める者です。
注目すべきは2号が「確認の有無」を評価対象にしていることです。資格者が在籍しているかどうかではなく、その責任者が「経理が適正に行われた」と確認したという事実が点になります。経理担当者の署名そのものが経審の点数の一部になっている——これは他の業種の経理にはない構造です。
建設業経理士の5年は「合格日から5年」ではない
施行規則18条の3第3項2号ロを、括弧書きごとそのまま読みます。
登録経理試験(建設業の経理に必要な知識を確認するための試験であつて、第十八条の十九、第十八条の二十及び第十八条の二十二において準用する第七条の五の規定により国土交通大臣の登録を受けたものをいう。以下同じ。)に合格した者であつて、合格した日の属する年度の翌年度の開始の日から起算して五年を経過しないもの
ここは読み飛ばされやすいところです。5年の起算点は「合格した日」ではなく「合格した日の属する年度の翌年度の開始の日」です。年度は国の会計年度(4月1日から翌年3月31日まで)として運用されているので、同じ年度に合格した人は、4月に合格しても翌年3月に合格しても、期限日が同じになります。
2026年4月20日に合格した場合も、2027年3月10日に合格した場合も、どちらも「合格した日の属する年度」は2026年度です。翌年度の開始の日は2027年4月1日で共通なので、5年を経過するのは2032年4月1日、数えてもらえるのは2032年3月31日まで。前者は合格から約5年11か月、後者は約5年ちょうどです。年度の早い時期に受けるほど得をします。
そして5年を過ぎたら数えてもらえなくなります。資格そのものが失効するわけではありませんが、経審のこの号に該当する者ではなくなります。復活の道は同じ条文のハに置かれていて、登録経理講習を受講すれば「受講した日の属する年度の翌年度の開始の日から起算して五年」まで、また数えられるようになります。起算のしかたは試験と同じなので、講習も年度の早いうちに受けるほうが有利です。
合格や受講から何点が加算されるか、資格の級によって扱いがどう違うかは、この記事では扱いません。点数の配分は法令ではなく国土交通大臣の告示で定められているためです(後述)。ここで確かめられるのは「数えてもらえる期間の決まり方」までです。
公共工事の請負契約書に貼る印紙税額を調べる(印紙税額の早見)手続きは2本立て — 分析は登録機関、評価は許可行政庁
経審は1か所に申請して終わりではありません。YとX・Z・Wで、審査する主体が違います。
Yにあたる経営状況分析は、建設業法27条の24第1項により民間の登録機関が行います。
前条第二項第一号に掲げる事項の分析(以下「経営状況分析」という。)については、第二十七条の三十一の規定及び第二十七条の三十二において準用する第二十六条の七の規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下「登録経営状況分析機関」という。)が行うものとする。
一方、X1・X2・Z・Wにあたる経営規模等評価は、法27条の26第1項により国土交通大臣または都道府県知事(=許可を出した行政庁)が行います。つまり先に登録機関で分析を受け、その結果通知書を添えて許可行政庁へ評価を申請するという順番になります。
経営状況分析の申請に添える書類は施行規則19条の4に列挙されています。中心はこれです。
前号の会社以外の法人である場合においては、別記様式第十五号から第十七号の二までによる直前三年の各事業年度の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び注記表
「直前三年」が要点で、単年ではなく3期分の決算書を出します。1期分だけ良く見せても効きません。個人事業の場合は貸借対照表と損益計算書(様式18号・19号)で足り、株主資本等変動計算書と注記表は求められません。大会社かつ有価証券報告書提出会社の場合だけは連結ベースで、連結キャッシュ・フロー計算書まで要求されます。
見落とされやすいのが同条1項4号です。
建設業以外の事業を併せて営む者にあつては、別記様式第二十五号の十二による直前三年の各事業年度の当該建設業以外の事業に係る売上原価報告書
建設業と兼業している会社は、建設業以外の事業についての売上原価報告書を別途3期分作らなければなりません。通常の決算では作らない帳票なので、決算が締まってから慌てることになりがちです。兼業がある会社は、決算の段階で建設業とそれ以外の原価を分けて集計しておくと後が楽になります。
手数料は条文に書いてある — 総合評定値は400円
ここは条文に金額が明記されている数少ない部分です。国土交通大臣の許可を受けた業者について、建設業法施行令46条・47条が次のように定めています。
| 手続き | 根拠 | 基本額 | 1業種あたり加算 |
|---|---|---|---|
| 経営規模等評価の申請 | 施行令46条1項 | 8,100円 | 2,300円 |
| 総合評定値の請求 | 施行令46条2項 | 400円 | 200円 |
| 経営状況分析(大臣が行う場合) | 施行令47条 | 15,900円 | — |
総合評定値の請求について、条文はこう書いています。
法第二十七条の三十の政令で定める手数料の額のうち総合評定値の請求に係るものは、四百円に審査対象建設業一種類につき二百円として計算した額を加算した額とする。
そしてP点は、請求しないと通知されません。建設業法27条の29第1項が「請求があつたときは」と定めているためです。
国土交通大臣又は都道府県知事は、経営規模等評価の申請をした建設業者から請求があつたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、当該建設業者に対して、総合評定値(経営状況分析の結果に係る数値及び経営規模等評価の結果に係る数値を用いて国土交通省令で定めるところにより算出した客観的事項の全体についての総合的な評定の結果に係る数値をいう。以下同じ。)を通知しなければならない。
さらに同条3項のただし書に、実務で効く一文があります。発注者が行政庁に総合評定値を請求しても、その建設業者本人が1項の請求をしていなければ、発注者には経営規模等評価の結果に係る数値だけを通知すれば足りるとされています。つまりP点を請求し忘れると、発注者が見に来たときにP点が存在しない状態になります。2業種なら400円+200円×2=800円の話です。金額の小ささと、忘れたときの影響の大きさが釣り合っていません。
上の手数料は国土交通大臣が行う場合の金額です。都道府県知事の許可を受けている業者の経営規模等評価は各都道府県の条例で手数料が定められるため、金額が異なることがあります。申請先の窓口で確認してください。
項目と基準は法令に無い — 大臣が告示で定める
「Y点はどう計算するのか」「完成工事高は何点になるのか」を条文に探しても見つかりません。それは条文の側が、そこを外に委ねているからです。建設業法27条の23第3項がこう定めています。
前項に定めるもののほか、経営事項審査の項目及び基準は、中央建設業審議会の意見を聴いて国土交通大臣が定める。
したがって、点数の算出方法そのもの(Y点を構成する経営状況分析の指標、X1・X2・Z・Wの評点表、上限や下限の値)は、法律・政令・省令のどれにも書かれていません。国土交通省の告示「経営事項審査の項目及び基準を定める件」で定められ、改正もそこで行われます。
本記事は建設業法・建設業法施行令・建設業法施行規則の現行施行版を取得して条文を読んで書いています。告示は e-Gov 法令検索の対象ではないため取得していません。そのため、評点の配分・経営状況分析の指標の式・加点の幅といった数字は、所在(告示であること)を示すにとどめ、この記事では断定していません。他の解説で見かける具体的な点数は、告示または国土交通省の手引きに当たって確かめてください。
逆に言えば、この記事に書いた事柄(誰が受けるか、500万円の下限、P点の計算式とウェイト、1年7か月の数え方、経理の状況の3つの評価事項、5年の起算点、添付書類、手数料)はすべて法令に書かれている部分です。告示は毎年のように改正されますが、ここまでの枠組みは告示の改正では動きません。
実務の落とし穴
- 「許可を取ったから経審も受ける」と考える。民間工事だけ、あるいは下請だけの会社に受審義務はありません。逆に、公共工事の元請になる予定があるなら、契約日から逆算して間に合う審査基準日の経審を持っている必要があります。
- 「役所の仕事はしていないから関係ない」と考える。施行規則18条は31法人を名指ししており、NTT・高速道路各社・東京地下鉄・成田国際空港などの民間企業が含まれます。
- 審査を早く受ければ期限が延びると考える。施行規則18条の2の起点は事業年度終了の日です。申請日を早めても期限日は動きません。動くのは「空白期間の短さ」だけです。
- 単年の決算だけを整える。経営状況分析の添付書類は直前三年の決算書です(施行規則19条の4)。
- 兼業の売上原価報告書を作っていない。建設業以外の事業を併営している場合、通常の決算では作らない様式25号の12を3期分作る必要があります。
- 建設業経理士の期限を「合格日から5年」で管理している。起算点は翌年度の開始の日です。年度末に合格した人ほど、有効に数えられる期間が短くなります。
- 総合評定値を請求し忘れる。P点は請求しないと通知されません(法27条の29第1項)。手数料は400円+業種ごとに200円です。
- 決算変更届と経審を同じものだと考える。決算変更届は毎事業年度経過後4か月以内に提出する建設業許可の維持のための手続きで、経審とは別の制度です。ただし経審は決算変更届の提出を前提に進むので、決算変更届が遅れれば経審も遅れます。
よくある質問
Q. 建設業許可を取ったら、経営事項審査も受けなければなりませんか?
A. いいえ。建設業法27条の23第1項が受審義務を課しているのは、公共性のある施設または工作物に関する建設工事で政令で定めるものを、発注者から直接請け負おうとする建設業者だけです。民間工事だけを行う会社や、公共工事でも下請しか行わない会社に受審義務はありません。ただし公共工事の元請として入札に参加するには経審の結果が前提になるため、実務上は「公共工事に入るなら受ける」と整理されます。
Q. 経営事項審査が必要になる工事の金額はいくらからですか?
A. 建設業法施行令45条により、工事1件の請負代金の額が500万円以上、建築一式工事の場合は1,500万円以上のものです。あわせて発注者が国・地方公共団体・法人税法別表第一に掲げる公共法人、または国土交通省令で定める法人であることも条件になります。堤防の欠壊や道路の埋没などによって必要を生じた応急の建設工事と、緊急の必要その他やむを得ない事情があるものとして国土交通大臣が指定する建設工事は、同条により除かれています。
Q. 総合評定値(P点)はどのように計算されますか?
A. 建設業法施行規則21条の3が、P=0.25X1+0.15X2+0.2Y+0.25Z+0.15W という式を定めています。X1は完成工事高、X2は自己資本額および利益額、Yは経営状況分析の結果、Zは技術職員数および元請完成工事高、WはX1・X2・Y・Z以外の項目に係る数値です。X1・X2・Yのウェイトを合計すると0.60になり、いずれも決算書の数字が入力になります。なお、それぞれの数値をどう点数化するかは法令ではなく国土交通大臣の告示で定められています。
Q. 経営事項審査の有効期間1年7か月は、いつから数えますか?
A. 建設業法施行規則18条の2は、契約を締結する日の1年7か月前の日の直後の事業年度終了の日以降に経営事項審査を受けていなければならない、と定めています。基準になるのは事業年度終了の日、つまり審査基準日であって、審査を受けた日や結果通知書の日付ではありません。したがって申請を早めても期限日は動かず、動くのは有効な経審が手元にない空白期間の長さだけです。
Q. 建設業経理士の資格は経営事項審査で何年数えてもらえますか?
A. 建設業法施行規則18条の3第3項2号ロにより、合格した日の属する年度の翌年度の開始の日から起算して5年を経過しない者が対象です。起算点が合格日ではないため、同じ年度に合格した人は合格月にかかわらず期限日が同じになり、年度の早い時期に合格したほうが有効に数えられる期間が長くなります。5年を過ぎた場合は、同項2号ハの登録経理講習を受講することで、受講した日の属する年度の翌年度の開始の日から起算して5年まで、再び対象になります。
Q. 経営状況分析にはどの決算書を出しますか?
A. 建設業法施行規則19条の4により、法人の場合は別記様式第15号から第17号の2までによる直前三年の各事業年度の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書および注記表です。個人の場合は様式第18号および第19号による直前三年の貸借対照表と損益計算書になります。建設業以外の事業を併せて営む場合は、様式第25号の12による直前三年の当該事業に係る売上原価報告書も必要です。すでに提出済みで内容に変更がないものは、同条2項により添付を省略できます。
Q. 経営状況分析と経営規模等評価は、どこに申請しますか?
A. 別々です。経営状況分析は建設業法27条の24第1項により国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関が行い、経営規模等評価は同法27条の26第1項により国土交通大臣または都道府県知事、つまり許可を出した行政庁が行います。順序としては先に登録経営状況分析機関で分析を受け、その結果通知書を添えて許可行政庁へ経営規模等評価を申請します。
Q. 総合評定値は自動的に通知されますか?
A. されません。建設業法27条の29第1項は、経営規模等評価の申請をした建設業者から請求があったときに通知すると定めています。同条3項ただし書により、建設業者本人が請求していない場合、発注者から請求があっても経営規模等評価の結果に係る数値のみを通知すれば足りるとされています。手数料は建設業法施行令46条2項により400円に審査対象建設業1種類につき200円を加算した額です。
Q. 経営事項審査の点数の付け方は、どの法令を見ればわかりますか?
A. 法令には書かれていません。建設業法27条の23第3項が、経営事項審査の項目および基準は中央建設業審議会の意見を聴いて国土交通大臣が定めると規定しており、実際の評点表や経営状況分析の指標は国土交通省の告示で定められています。法律・政令・省令に書かれているのは、誰が受けるか、対象工事の範囲、総合評定値の計算式とウェイト、受審の時期、添付書類、手数料までです。
出典
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「建設業法」(昭和24年法律第100号) — 27条の23(経営事項審査)・27条の24(経営状況分析)・27条の25(経営状況分析の結果の通知)・27条の26(経営規模等評価)・27条の27(経営規模等評価の結果の通知)・27条の28(再審査の申立)・27条の29(総合評定値の通知)・27条の30(手数料)・28条(指示及び営業の停止)。法令API v2 の現行施行版(2025年12月12日施行・令和6年法律第49号)を取得
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「建設業法施行令」(昭和31年政令第273号) — 45条(公共性のある施設又は工作物に関する建設工事)・46条(国土交通大臣が行う経営規模等評価等手数料)・47条(国土交通大臣が行う経営状況分析手数料)。法令API v2 の現行施行版(2026年4月1日施行)を取得
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「建設業法施行規則」(昭和24年建設省令第14号) — 18条(令第45条の法人)・18条の2(経営事項審査の受審)・18条の3(経営事項審査の客観的事項)・19条の3から19条の7まで(経営状況分析・経営規模等評価の申請)・21条の2(総合評定値の請求)・21条の3(総合評定値の算出)・21条の4(総合評定値の通知)。法令API v2 の現行施行版(2026年7月1日施行)を取得
- 国土交通省告示「経営事項審査の項目及び基準を定める件」 — 評点の算出方法および経営状況分析の指標の所在(本記事では点数や指標の式を断定せず、所在を示すにとどめています)
この記事は一般的な情報提供であり、個別の申請についての助言ではありません。経営事項審査の評点の算出方法は国土交通大臣の告示で定められており改正されることがあります。また、都道府県知事許可の場合の手数料や申請の時期・方法は許可行政庁ごとに公示されるため異なります。実際の申請は許可行政庁の窓口または行政書士に、税務および決算書の作成については税理士にご確認ください。