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納税証明書とは — その1〜その4の違い・手数料・証明できる会計年度

結論から言うと、納税証明書(国税)の手数料は1枚400円、オンライン(e-Tax)で請求すると370円です。その1・その2は「税目数×年度数×枚数」、その3・その4は「枚数」だけで数えます。たとえば法人税と消費税のその1を2年度分、1枚ずつ書面で請求すると、2税目×2年度×1枚×400円=1,600円です。

  1. 手数料は1枚400円・オンラインなら370円(令42条1項)。その1・その2は税目数×年度数×枚数、その3・その4は枚数で数える
  2. その1は税額、その2は所得金額、その3は未納の税額がないこと、その4は滞納処分を受けたことがないことの証明
  3. 法定納期限が、請求日の3年前の日が属する会計年度より前にある国税は、原則として証明されない。未納の国税は、その1・その3に限り古くても対象に残る
  4. 給与から天引きして納めた源泉所得税は載らない(令41条2項1号)。載るのは納税の告知を受けたものだけ
  5. 収入印紙に自分で消印してはいけない。消印するのは税務署長の側の義務(施行規則14条)
  6. 災害の復旧資金の借入れや、法律上の扶助を受けるために使う証明書は、手数料が免除される(2つの場合)

その1〜その4は何の証明か — 条文は「号」で分けている

国税庁は納税証明書を「その1」から「その4」の4種類に分けて案内しています。証明の内容は次のとおりです。

種類証明内容(国税庁の表記)条文上の位置
その1納付すべき税額、納付した税額及び未納税額等の証明施行令41条1項1号
その2所得金額の証明同 3号
その3未納の税額がないことの証明同 1号(かっこ書きの「これらの額がないことを含む」)
その4証明を受けようとする期間に、滞納処分を受けたことがないことの証明同 5号

ここで注意したいのは、「その1」「その2」という言い方が法令の用語ではないことです。条文が分けているのは、施行令41条1項に並ぶ6つの号です。

1号は、その1とその3の両方の根拠になっています。

請求に係る国税の納付すべき額として確定した税額(法第十五条第三項第二号から第四号まで及び第六号(納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定)に掲げる国税については、その納税の告知に係る税額)並びにその納付した税額及び未納の税額(これらの額がないことを含む。)

末尾のかっこ書き(これらの額がないことを含む。)が、「未納の税額がないこと」=その3を作っています。その3は独立した号ではなく、その1の一部として書かれているわけです。一方、その4は独立した号を持っています。

国税につき滞納処分を受けたことがないこと。

この一文だけで1つの号です。証明する対象が「金額」ではなく「事実の不存在」なので、後で見るとおり手数料の数え方も年度に左右されません。

国税通則法施行令41条1項(条文が分けている6つの号) 国税庁の呼び名 1号 確定税額・納付税額・未納税額 2号 法定納期限等 3号 所得税・法人税の所得金額 4号 保全差押えの通知金額 5号 滞納処分を受けたことがない 6号 財務省令で定める事項 その1 納付すべき税額・納付した税額 その3 未納の税額がないこと その2 所得金額 その4 滞納処分を受けたことがない
その3は独立した号ではなく、1号のかっこ書き(これらの額がないことを含む。)から出ている。2号・4号・6号には「その◯」という通称が付いていない。

通称の無い号のうち、6号の「財務省令で定める事項」は、施行規則13条が中身を書いています。

令第四十一条第一項第六号(納税証明書の交付の請求等)に規定する財務省令で定める事項は、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第六十八条第一項(所得税額の控除)の規定により法人税の額から控除すべき所得税の額その他国税に関する事項で地方税法第十四条の九第二項各号(法定納期限等以前に設定された質権の優先)に掲げる地方税の額の算出のため必要なもの(令第四十一条第一項第一号及び第三号に掲げる事項を除く。)とする。

ここだけ毛色が違って、地方税の額を計算するために必要な国税の情報を証明するための号です。法人住民税の計算に使う所得税額控除の額などが、これに当たります。

通常400円・電子請求370円 — 法定枚数と免除を確認する

国税庁の案内では、手数料は次の算式で計算します。

種類書面で請求オンラインで請求
その1・その2税目数 × 年度数 × 枚数 × 400円税目数 × 年度数 × 枚数 × 370円
その3・その4枚数 × 400円枚数 × 370円

手数料がかかる通常の請求の算式です。その1でも、未納の税額だけを証明するときは年度数を掛けません。免除される場合は手数料が要らない2つの場合にまとめました。

その2(所得金額の証明)は、所得税と法人税だけが対象です。法人税2年度分を1枚ずつなら、書面で800円、オンラインで740円です。

設例: 建設業許可の更新で、法人税と消費税のその1を直近2年度分そろえる 税目数 2(法人税・消費税) 年度数 2 枚数 1 単価 400円 / 370円 書面で請求 2 × 2 × 1 × 400円 1,600円 オンラインで請求 2 × 2 × 1 × 370円 1,480円 同じ場面で「その3(未納の税額がないこと)」を1枚だけ取るなら、税目数も年度数も掛からない 400円(オンラインなら370円)
年度をまたぐと枚数が増えるのはその1・その2だけ。差額120円のためだけにオンラインへ切り替える必要はないが、税目と年度が増えるほど差は広がる。

電子納税証明書は1つの請求につき1つの電子ファイルで発行されますが、PDF形式なら期限内であれば何度でも使え、同じファイルを複数枚印刷できます。紙で2部必要でも、提出先が印刷したPDFを受け付けるなら、書面交付や窓口受取に切り替える必要はありません。提出先が印刷したPDFを受け付けるかは事前に確認してください。XML形式は電子ファイルのまま提出する方式です。

算式の根拠 — 枚数の数え方は政令が決めている

手数料を定めているのは法律ではなく政令です。まず法律の側は、金額を決めずに「枚数を基準にする」ことだけを決めています。

前項の証明書の交付を請求する者は、政令で定めるところにより、証明書の枚数を基準として定められる手数料を納付しなければならない。

これを受けた施行令42条1項が、金額と枚数の数え方の両方を書いています。1項は手数料の額と枚数計算を定め、2項は納付方法、3項は免除を定めています。

法第百二十三条第二項(納税証明書の交付等)の規定により納付すべき手数料の額は、同条第一項の証明書一枚ごとに四百円(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第六条第一項(電子情報処理組織による申請等)の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用して法第百二十三条第一項の請求をする場合にあつては、三百七十円)とする。この場合において、前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項並びに同項第三号から第六号までの各号に掲げる事項ごとに一枚の証明書であるものとし、なお、その証明書が二以上の年度に係る国税に関するものであるときは、証明を受けようとする事項が未納の税額のみに係る場合を除き、その年度の数に相当する枚数の証明書であるものとして計算するものとする。

読み解くと、次の3つを言っています。

  1. 1枚400円。オンライン(電子情報処理組織=e-Tax)で請求すれば370円。差は30円です
  2. 1号と2号は合わせて1枚、3号から6号までは各号ごとに1枚
  3. 2つ以上の年度にわたるなら、年度の数だけ枚数を数える。ただし証明を受けようとする事項が未納の税額のみに係る場合(その3など)はこの年度倍しをしない

その3・その4に税目数も年度数も掛からないのは、条文の側でそう決まっているからです。その3は上の3つめのただし書き(未納の税額のみに係る場合を除く)で年度倍しから外れ、その4は「滞納処分を受けたことがない」という事実の証明なので、そもそも税目に紐づきません。

収入印紙に自分で消印してはいけない

手数料の納め方も政令が決めています。

前項の手数料は、収入印紙を前条第四項の請求書に貼つて、納めなければならない。ただし、国税局又は税務署の事務所において前項の手数料の納付を現金ですることが可能である旨及び当該事務所の所在地を国税庁長官が官報で公示した場合には、当該事務所において現金をもつて納めることができる。

原則は収入印紙で、現金で納められるのは、その事務所で現金納付ができる旨が官報で公示された場合に限られます。実務では窓口で現金が使えることが多いのですが、条文の建て付けとしては現金のほうが例外です。

そして、ここが取り違えやすいところです。貼った収入印紙に消印をするのは、請求する側ではありません。施行規則14条は、消印を税務署長などの側の義務として書いています。

国税局長、税務署長又は税関長は、令第四十一条第四項(納税証明書の交付請求の手続)に規定する請求書が提出された場合において、令第四十二条第一項(納税証明書の交付手数料)に規定する納付すべき手数料の額に相当する金額の収入印紙が貼られていることを確認したときは、その請求書の紙面と収入印紙の彩紋とにかけて明瞭に消印をしなければならない。
手数料の収入印紙に消印すると、その印紙が無効になる

契約書に印紙を貼るときの癖で、請求書に貼った収入印紙にも割印を押してしまうことがあります。国税庁は、手数料の収入印紙には消印をしないよう案内しており、消印をしたものは無効になるとしています。条文の側も、消印は税務署長が請求書の紙面と印紙の彩紋にかけて行うものと定めています。郵送で請求する場合は、貼るだけにして送ります。

この「彩紋にかけて」という言い方は、印紙税の消印と同じ発想です。もっとも、ここで貼る収入印紙は手数料の納付手段であって、納税証明書が印紙税の課税文書になるわけではありません。契約書や領収書に貼る印紙税とは、別の話として読んでください。

契約書・領収書の印紙税額を調べる(印紙税額一覧表)

手数料が要らない2つの場合

施行令42条3項は、手数料を納めずに交付を請求できる場合を2つ挙げています。

どちらも、使用目的と本人の状態の両方が要件です。請求書の使用目的欄にその目的を書いたうえで、当たるかどうかは請求先の税務署に確かめてください。国税庁の案内も「免除となる場合があります」という書き方です。

根拠の条文は次のとおりです。

震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害により財産につき相当な損失を受けた者がその復旧に必要な資金の借入れのために使用する法第百二十三条第一項の証明書については、第一項の手数料の納付を要しないでその交付を請求することができる。生計の維持について困難な状況にある者が法律に定める扶助その他これに類する措置を受けるために使用する当該証明書についても、また同様とする。

金額としては数百円ですが、被災直後に何枚も証明書を集める場面では効いてきます。

証明できる期間は会計年度で判断 — 未納国税には限定的な例外

証明されるのは、原則として、法定納期限が「請求日の3年前の日が属する会計年度」以降にある国税です。それより前の会計年度の国税は、証明の対象から外れます。根拠は施行令41条2項3号です。

法定納期限が第四項の請求書を提出する日の三年前の日の属する会計年度前の会計年度に係る国税(前項第一号の規定の適用については、未納の国税を除く。)

基準になるのは請求書を提出する日です。国の会計年度は4月から翌年3月なので、たとえば2026年8月24日に請求すると次のようになります。

未納の国税は古くても対象に残る

条文の末尾のかっこ書きが例外です。未納の国税は、3年の線より古くても、その1・その3の対象に残ります。納め終わった古い税は証明されないが、納めていない古い税は証明される。証明書の役割を考えれば筋の通った作りです。

この例外には限りが2つあります。

2項2号の対象は、国税通則法15条3項3号から6号までの国税です。源泉徴収の除外は次の節で説明します。

その4の期間は別の項で決まる

その4(滞納処分を受けたことがない証明)には、同じ3年の線が3項で別に引かれています。2項の除外は、その4には掛かりません。

次項の請求書を提出する日の三年前の日の属する会計年度前の会計年度において国税につき滞納処分を受けたことがないことは、第一項第五号に掲げる事項に該当しないものとする。
「過去5年間、滞納処分を受けていないこと」は証明できない

入札や許認可の要件が長い期間を求めていても、その4で証明できる期間は3年の線の内側だけです。条文が「該当しないものとする」と書いている以上、税務署に頼んでも出てきません。提出先の要求期間がこの線より前に及ぶときは、何を出せばよいかを提出先に確認する必要があります。

給与から天引きして納めた源泉所得税は載らない(告知分は載る)

同じ2項の1号は、源泉徴収で徴収する国税を、所得税法221条により徴収するもの(納税の告知を受けたもの)を除いて、証明の対象から外しています。

所得税法第四編第一章から第五章まで(源泉徴収)又は国際観光旅客税法第十六条第一項(国内事業者による特別徴収等)若しくは第十七条第一項(国外事業者による特別徴収等)の規定により徴収する国税(所得税法第二百二十一条(源泉徴収に係る所得税の徴収)又は国際観光旅客税法第十六条第三項若しくは第十七条第三項の規定により徴収する国税を除く。)

読みにくい構造ですが、要は「源泉徴収して納めた所得税」は納税証明書に出てこないということです。かっこ書きの除外の除外(所得税法221条により徴収するもの)は、源泉徴収義務者が納めなかったために税務署から納税の告知を受けたもの、つまり徴収手続に移った分を指します。

国税庁のA2-25「源泉徴収に係る所得税等の証明」は、国内源泉所得に課税された非居住者・外国法人が居住地国で外国税額控除を受けるための手続です。国内給与の一般的な源泉徴収義務者向けの証明手続ではありません。国税庁自身が、この種の証明書は国税通則法に定める納税証明書とは異なる、と明記しています。

誰の分でも取れるわけではない — 使用目的を書かせる理由

法123条1項には「その者に関するものに限り」という限定があります。自分(法人なら自社)に関するもの以外は請求できません。取引先の納税状況を確かめたいときは、取引先に取得してもらうか、委任状を受けて代理人として請求します。

さらに、請求書には使用目的を書く欄があります(施行令41条4項3号)。これは形式的な記入欄ではなく、交付するかどうかの判断に使われます。

国税局長、税務署長又は税関長は、請求に係る第四項の証明書の使用目的が国税又は地方税(国税徴収法第二条第二号(定義)に規定する地方税をいう。)と競合する債権に係る担保権の設定に関するものである場合、当該証明書が法令の規定に基づき国又は地方公共団体に提出すべきものである場合その他その使用目的につき相当の理由があると認める場合において、その証明書を交付するものとする。

条文が挙げているのは3つです。

  1. 国税又は地方税と競合する債権に係る担保権の設定に関するもの
  2. 法令に基づき国や地方公共団体に提出すべきもの
  3. その他、使用目的につき相当の理由があると認めるもの

融資の担保設定、建設業許可や入札参加資格の申請といった典型的な用途は1・2に当たります。実務で交付を断られることはまず無いのですが、使用目的欄を空欄にしたり「参考のため」とだけ書いたりすると、確認に手間がかかります。提出先と用途を具体的に書くのが早道です。

なお、代理人が請求することもできますが、国税庁は代理人が業務として納税証明書の請求を行うことは税理士法に規定する税務代理に該当するとしています。家族や従業員が委任状を持って窓口に行くのとは、意味が違うということです。

請求書は税目ごとに1枚 — その3・その4だけ例外

請求書そのものの作り方にも決まりがあります。

前項の請求書は、証明を受けようとする国税の税目の異なるごとに作成しなければならない。ただし、同項第一号の証明を受けようとする事項が第一項第一号に掲げる事項(未納の税額がないことに限る。)又は同項第五号に掲げる事項である場合には、この限りでない。

原則は税目ごとに別の請求書です。法人税と消費税のその1を取るなら、請求書は2枚になります。ただしその3(未納の税額がないこと)とその4(滞納処分を受けたことがない)は、この限りでない —— 税目をまたいで1枚の請求書で足ります。これは手数料の数え方(その3・その4は税目数を掛けない)と一貫しています。

請求書に書く事項は、施行令41条4項が4つ挙げています。証明を受けようとする事項、その事項に応じた年度と税目(または証明を受けようとする期間)、証明書の使用目的、証明書の枚数です。その4だけは「年度と税目」ではなく「期間」を書くのが、条文上の分かれ目です。

国税と地方税は別の証明書

ここまでは国税(法人税・所得税・消費税など)の話です。住民税・事業税・自動車税・固定資産税といった地方税の納税証明書は、まったく別の制度で、根拠条文も窓口も違います。地方税法20条の10がその根拠です。

地方団体の長は、地方団体の徴収金と競合する債権に係る担保権の設定その他の目的で、地方団体の徴収金の納付又は納入すべき額その他地方団体の徴収金に関する事項(この法律又はこれに基づく政令の規定により地方団体の徴収金に関して地方団体が備えなければならない帳簿に登録された事項を含む。)のうち政令で定めるものについての証明書の交付を請求する者があるときは、その者に関するものに限り、これを交付しなければならない。

国税の123条と読み比べると、作りの違いが分かります。国税は使用目的の要件を政令(令41条6項)に置いているのに対し、地方税は「担保権の設定その他の目的で」という形で法律の本文に書いています。「その者に関するものに限り」という限定は、どちらにも共通しています。

もうひとつ大きな違いが手数料です。国税は施行令42条が400円・370円と全国一律に決めていますが、地方税法20条の10には手数料の額を定める規定が置かれていません。地方税の証明書の手数料は、地方自治法にもとづき各自治体の条例で決まります。

普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体の事務で特定の者のためにするものにつき、手数料を徴収することができる。
分担金、使用料、加入金及び手数料に関する事項については、条例でこれを定めなければならない。

したがって地方税の納税証明書がいくらかは、自治体によって違います。この記事では金額を書きません(確かめられない数字を書かない方針です)。請求先の自治体のページで確認してください。

なお、住民税の所得や課税額を証明する書類は、ここでいう地方税の納税証明書とは別の書類です。市区町村が課税(非課税)証明書・課税(所得)証明書など自治体ごとの名前で交付しています。請求先は原則として「証明年度の1月1日の住所地」の市区町村で、国税の「現在の納税地」とは基準日が違います。

どちらを求められているかの見分け方、住所地以外の自治体が課税する場合、遡れる年数が種類で分かれる理由は課税証明書とは — 納税証明書との違いで扱っています。

国税の納税証明書地方税の納税証明書
根拠国税通則法123条・同施行令41条42条地方税法20条の10
窓口納税地を所轄する税務署(条文上は国税局長・税関長も交付する)都道府県税事務所・市区町村
手数料1枚400円(オンライン370円)で全国一律。免除される場合あり自治体の条例で定める(地方自治法227条・228条1項)
使用目的の要件政令に置かれている(令41条6項)法律の本文に書かれている

入札参加資格や建設業許可では、国税と地方税の両方を求められることがあります。窓口が別なので、同じ日に窓口で両方そろえるつもりなら移動の段取りが要ります(国税はe-Taxや郵送でも請求できます)。

なお国税庁は、調達ポータル(デジタル庁)と建設業許可・経営事項審査電子申請システム(国土交通省)を使う申請では、手数料不要で自己の納税情報を自動添付できる仕組みが令和5年1月から始まっていると案内しています。証明書を取りに行く前に、提出先のシステムがこの仕組みに対応していないかを確かめる価値があります。

法律の本文に「納税証明書」という言葉は無い

根拠になる法律は国税通則法123条です。条文はこう書かれています。

国税局長、税務署長又は税関長は、国税に関する事項のうち納付すべき税額その他政令で定めるものについての証明書の交付を請求する者があるときは、その者に関するものに限り、政令で定めるところにより、これを交付しなければならない。

「納税証明書」という語は、この本文のどこにもありません。この条に付いている見出し(納税証明書の交付等)の中にあるだけです。123条の本文は「証明書」です。

実務上の意味は2つあります。ひとつは、条文の本文では単に「証明書」と呼ばれていることです。「納税証明書」の語があるのは、123条と施行令41条・42条の見出しです。

もうひとつは、この制度が「納税したことの証明」に限られていないことです。条文が言っているのは「国税に関する事項のうち……政令で定めるもの」の証明であって、所得金額(その2)のように納税額そのものではない事項も含まれます。名前より条文の範囲のほうが広いのです。

まとめ

よくある質問

納税証明書の手数料はいくらですか?

証明書1枚ごとに400円、オンライン(e-Tax)で請求する場合は370円です(国税通則法施行令42条1項)。その1・その2は税目数×年度数×枚数、その3・その4は枚数で数えます。法人税と消費税のその1を2年度分、1枚ずつそろえるなら、書面で1,600円、オンラインで1,480円です。未納の税額だけを証明するときは年度数を掛けず、手数料が免除される場合もあります。

その1・その2・その3・その4は何が違いますか?

その1は納付すべき税額・納付した税額・未納税額等、その2は所得金額、その3は未納の税額がないこと、その4は証明を受けようとする期間に滞納処分を受けたことがないことの証明です。この呼び名は国税庁の区分で、法令の用語ではありません。条文では国税通則法施行令41条1項の1号がその1とその3、3号がその2、5号がその4に対応します。

5年前の納税証明書を取ることはできますか?

原則としてできません。法定納期限が、請求書を提出する日の3年前の日が属する会計年度より前の会計年度にある国税は、証明の対象から外れます(国税通則法施行令41条2項3号)。2026年8月に請求する場合、2022年度以前に法定納期限がある国税がこれに当たります。ただし未納のまま残っている国税は、古くてもその1・その3の対象に残ります。源泉徴収による国税など、別の理由で除かれるものは未納でも対象外です。

収入印紙は自分で消印してから出すのですか?

消印はしません。消印は、国税局長・税務署長または税関長が請求書の紙面と収入印紙の彩紋にかけて行うものと定められています(国税通則法施行規則14条)。国税庁も、収入印紙には消印をしないよう案内しており、消印をしたものは無効になるとしています。郵送で請求するときは、貼るだけにして送ります。

給与から天引きした源泉所得税を納めていることを証明できますか?

国税通則法にもとづく納税証明書では証明できません。施行令41条2項1号が、源泉徴収の規定により徴収する国税を証明の対象から外しているためです。例外は、納めなかったために納税の告知を受けた分(所得税法221条により徴収するもの)で、これは対象に残ります。源泉徴収に係る所得税等の証明は国税庁が別に案内しており、国税通則法に定める納税証明書とは異なる証明書です。

取引先の納税証明書を取り寄せることはできますか?

本人の委任を受けた代理人としてなら請求できます。委任が無ければ請求できません。国税通則法123条1項が、証明書を「その者に関するもの」に限っているためです。取引先に取得・提示してもらう方法もあります。なお国税庁は、代理人が業務として納税証明書の請求を行うことは税理士法に規定する税務代理に該当するとしています。

次に読む

出典

国税通則法123条、同施行令41条・42条、同施行規則13条・14条、地方税法20条の10、地方自治法227条・228条をe-Gov法令検索の現行リビジョンで確認した内容です(国税通則法 337AC0000000066_20260624_508AC0000000046・157,211字、同施行令 337CO0000000135_20260401_507CO0000000126・59,170字、同施行規則 337M50000040028_20260521_507M60000040025・18,883字)。手数料の算式と種類の呼び名は国税庁「G-1 納税証明書の交付請求手続」を生テキストで確認しました。

この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案についての助言ではありません。証明書の種類の選び方、提出先が求める証明内容との対応、地方税の納税証明書の手数料や様式については、提出先、所轄の税務署、自治体の税務担当窓口、または税理士にご確認ください。

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