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欠勤控除の計算方法|モデル就業規則の算式と遅刻早退の扱い

結論から言うと、欠勤控除の規定がある賃金制度では、就業規則・賃金規程に定めた計算式で、働かなかった時間に対応する賃金を控除します。全国共通の唯一の割り算はありません。完全月給制では控除しません。

厚生労働省のモデル就業規則の月給の算式を使い、基本給30万円・月平均所定労働時間160時間・欠勤8時間と仮定すると、30万円÷160時間×8時間=15,000円です。

ただし、固定残業代、通勤手当、家族手当まで分子へ含めるか、月ごとの所定日数か年間平均を使うかで結果は変わります。規程にない式を給与計算のたびに選ぶ運用は避け、対象賃金、分母、端数処理を明文化することが重要です。

3つの日割り方法

欠勤控除の規定がある賃金制度で、規程に定める日割りの式の例です。完全月給制では控除しません。

方法式特徴
当月所定労働日数対象月給÷当月所定日数×欠勤日数月ごとに1日単価が変わる
年間平均所定労働日数対象月給÷1か月平均所定日数×欠勤日数月間の単価が安定する
暦日数対象月給÷当月暦日数×不就労日数月途中入退社などの規程で見られる

どれが常に正解という関係ではありません。ただし同じ欠勤に月ごと都合よく方式を替えたり、所定休日まで欠勤日として数えたりすると説明できません。年間平均を使う場合は、年間所定労働日数を12で割った値と端数処理を賃金規程に置きます。

月給30万円の計算例

基本給30万円、当月所定労働日数20日、所定労働時間160時間、欠勤1日(8時間)とします。

当月所定労働日数方式

300,000円 ÷ 20日 × 1日 = 15,000円

欠勤控除後の基本給は 300,000円 − 15,000円 = 285,000円

年間所定労働日数240日なら、1か月平均は20日なので同じ15,000円です。しかし当月が22日なら当月方式は300,000÷22=約13,636円、年間平均方式は15,000円となり差が出ます。どちらを使ったか給与明細だけで分からない場合、賃金規程と計算書を照合します。

手当を分子に含めるかも結果を左右します。たとえば基本給30万円と役職手当2万円を欠勤控除の対象と定めるなら、対象月給は32万円です。一方、実費弁償的な通勤手当の扱い、皆勤手当の不支給条件などは、それぞれの規程を確認します。

遅刻・早退の控除

遅刻・早退は時間単価を作り、不就労時間を掛ける形が明快です。月給30万円、月平均所定労働時間160時間、遅刻2時間なら、300,000÷160×2=3,750円です。15分未満を毎回一律に切り捨てて働いた時間を無給にするのではなく、実労働時間を適切に把握します。

逆に、遅刻した日に終業後まで働いた時間を当然に相殺できるとも限りません。始業前後の労働が時間外労働になるかは、法定労働時間、変形労働時間制、当日の実労働時間で判定します。残業代は残業代計算と残業代の計算方法で切り分けられます。

懲戒の減給とは分けて計算する

欠勤控除と懲戒の減給は別物です。欠勤控除は提供されなかった労務分を支払わない計算、懲戒減給は制裁です。遅刻時間分を控除したうえで制裁も行う場合、就業規則上の根拠と労働基準法91条の制限が別途問題になります。91条の制限は次の2つです。

たとえば次の3つを仮定すると、1回の上限はおよそ4,891円です。上の遅刻2時間の控除額3,750円とは、根拠も上限も別に計算します。

欠勤分の減額と減給制裁は区別し、制裁分が91条の上限を満たすか、内訳と計算記録で確認します。詳しくは懲戒処分の種類と減給の上限で条文と計算例を整理しています。

欠勤控除の法的な位置づけ

月給制でも、欠勤した時間の賃金を支払わない「ノーワーク・ノーペイ」の考え方により控除することがあります。一方、労働基準法24条には賃金全額払いの原則があるため、欠勤時間と無関係な制裁として過大に差し引く話とは分けなければなりません。

常時10人以上の労働者を使用する事業場では、労働基準法89条により賃金の決定・計算・支払方法などを就業規則に記載します。厚生労働省モデル就業規則も、欠勤等について基本給から当該日数または時間分の賃金を控除する規定例を示しています。つまり重要なのは「会社に都合のよい式」ではなく、あらかじめ定めて周知された一貫した式です。

対象となる月給基本給+対象手当規程の分母所定日数・時間欠勤日数・時間を掛ける÷×
欠勤控除の規定がある制度では、分子・分母・欠勤量を規程で固定する

完全月給制では欠勤控除をしない

ハローワークの資料でいう完全月給制は、月額で賃金を定め、有給休暇を使い切った後の欠勤・遅刻・早退でも賃金を減額しない制度です。

「月給」という名称だけでは欠勤控除の有無は決まりません。就業規則・賃金規程に定めた賃金制度と控除の規定を確認します。

就業規則で決める項目

月途中入退社と通常の自己都合欠勤は、同じ「日割り」に見えても規程上の式が異なることがあります。営業日を数える必要がある場合は営業日計算が使えます。

計算例を賃金規程へ入れておくと、従業員と担当者が同じ結果を再現できます。「月給」とだけ書かず、どの手当を含めるか、年間所定日数をいつ更新するか、円未満をどの段階で処理するかまで示します。

制度を変更するときの手続き

制度を変更するときは、不利益変更の問題に加えて、常時10人以上の事業場では次の手続きを切り離さずに進めます。

パートタイム・有期雇用労働者に関する規則では、その過半数を代表すると認められる者の意見を聴くよう努めます(パートタイム・有期雇用労働法7条)。

裁判員の休みと給与の扱い

裁判員等に選ばれた従業員が、裁判員の仕事に必要な休みを取ることは法律で認められています。ただし、その休暇を有給とするか無給とするかは会社の定めによります。

労働基準法の公民権行使の保障では、労働者が労働時間中に、公の職務の執行に必要な時間を請求した場合、使用者は拒めません。ただし、職務の執行に妨げがない範囲で、請求された時刻を変更できます。

裁判員法は、裁判員の職務のために休暇を取得したことや、裁判員・補充裁判員・選任予定裁判員・裁判員候補者であること、またはこれらの者であったことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁止しています。

落とし穴

控除後に最低賃金を下回らないか

月給者も、最低賃金の対象となる賃金を時間額へ換算して、最低賃金を確認します。欠勤控除そのものとは別に、通常の時間単価が最低賃金以上である必要があります。

欠勤控除後の源泉徴収税額の求め方

令和8年分の月額表の甲欄を使う場合は、次の順で税額を求めます。甲欄を使うのは、給与所得者の扶養控除等申告書を提出している人です。

  1. 欠勤控除を反映した課税対象の給与から、給与支払時に控除する社会保険料等を差し引きます。これが「社会保険料等控除後の給与等の金額」です。
  2. その金額で、月額表の該当する行を選びます。
  3. 甲欄の「扶養親族等の数」の該当人数欄と交わる税額を読みます。

扶養親族等の数が7人を超える場合は、月額表の甲欄の7人の欄の税額から、7人を超える1人ごとに1,610円を差し引きます。

健康保険・厚生年金保険の月々の保険料は、適用中の標準報酬月額を基に計算するため、欠勤控除でその月の給与が減っただけでは自動的に下がりません。

休職・無給休暇は別に設計する

長期欠勤や休職では、単純に毎月の日割り式を繰り返すだけでは処理できないことがあります。支給額と控除額を分け、健康保険料の本人負担分や住民税について、適用条件と徴収方法を確認してください。控除しきれない額を翌月へ無断で繰り越さず、本人からの振込、復職後の精算など会社の手続を定めます。

傷病手当金は健康保険から支給される給付であり、会社が支払う通常の給与とは分けます。会社独自の休職給を支払う場合は、欠勤控除後に別項目として支給するのか、月給を一定割合に減額するのかを規程上明確にすると、社会保険や税の計算根拠も追いやすくなります。

手取り額を計算する

よくある質問

欠勤1日は必ず月給÷所定労働日数ですか?

必ずではありません。就業規則・賃金規程の算式を確認します。厚生労働省のモデル就業規則の月給例は、基本給を月平均所定労働時間で割って時間単価を求めています。

有給休暇の日も欠勤控除できますか?

できません。年次有給休暇は取得日の賃金を法定の方式で支払う休暇であり、無給欠勤とは異なります。パート・アルバイトの付与日、日数、取得日に支払う賃金の方式はパートの有給休暇で確認できます。

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出典

労働基準法24条・89条、厚生労働省モデル就業規則に基づいて作成。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は労働基準監督署・社会保険労務士にご確認ください。

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