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子ども・子育て拠出金とは — 法律に「負担」の条文が無い。あるのは事業主の納付義務だけ

結論から言うと、子ども・子育て拠出金は従業員から1円も引かずに、会社だけが納めるお金です。令和8年度の率は0.36%で、これは子ども・子育て支援法施行令27条が「法第七十条第二項の拠出金率は、千分の三・六とする。」と定めています。厚生年金保険料と同じ標準報酬月額・標準賞与額にかかりますが、厚生年金保険料と違って労使折半ではありません。

ここで多くの解説が「全額事業主負担だから」と説明しますが、条文を読むともう少し正確な言い方ができます。子ども・子育て支援法には、そもそも「負担」を定めた条文が1つも無いのです。あるのは69条2項の「一般事業主は、拠出金を納付する義務を負う。」という納付義務だけ。比べる相手を厚生年金保険法に取ると差がはっきりします。厚年法82条は、1項で「それぞれ保険料の半額を負担する」(=負担)、2項で「納付する義務を負う」(=納付義務)と、同じ条の中で2つを書き分けています。拠出金にあるのは、このうち2項に当たるものだけです。

そしてもう1つ、令和7年に静かに動いたことがあります。法律上の上限が、千分の四・五(0.45%)から千分の四・〇(0.40%)へ下がりました。引き下げたのは、給与明細に新しく現れた「子ども・子育て支援金」を作ったのと同じ改正法です。この記事では、率と上限、何にかかって何にかからないか、そして名前がよく似た支援金との違いを、すべて条文で確かめながら見ていきます。

子ども・子育て拠出金とは — 誰から取り、何に使うか

根拠は子ども・子育て支援法69条1項です。条文は、政府が「一般事業主」から拠出金を徴収すると定め、その一般事業主として4つの類型を挙げています。実務でまず当たるのは1号です。

厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第八十二条第一項に規定する事業主(次号から第四号までに掲げるものを除く。)

残りの3号は、私立学校教職員共済法28条1項の学校法人等(2号)、地方公務員等共済組合法144条の3第1項の団体その他政令で定めるもの(3号)、国家公務員共済組合法126条1項の連合会その他政令で定めるもの(4号)です。つまり厚生年金保険(または各共済)の適用を受けている事業主であれば、業種を問わず対象になります。従業員に子どもがいるかどうか、事業主に子どもがいるかどうかは、条文のどこにも出てきません。

使い道も69条1項が列挙しています。要約ではなく、条文が名前を与えている順に並べると次の4つです。

条文が付けた呼び名中身
拠出金対象児童手当費用児童手当の支給に要する費用のうち、児童手当法19条1項の国の交付金を充てる部分で、拠出金を原資とする部分
拠出金対象施設型給付費等費用市町村が支弁する施設型給付費等負担対象額のうち、満三歳未満保育認定子どもに係るものに相当する費用
拠出金対象地域子ども・子育て支援事業費用地域子ども・子育て支援事業のうち、59条2号・5号・11号に掲げるものに要する費用
仕事・子育て両立支援事業費用仕事・子育て両立支援事業に要する費用(59条の2第2項の事業に係るものを除く)

ここで目に留めておきたいのは「満三歳未満」という限定です。保育に関する部分は、拠出金が全部を賄っているのではなく、3歳未満の枠に対応する部分に絞られています。また地域子ども・子育て支援事業も、13ある事業のうち3つ(59条2号・5号・11号)だけが名指しされています。「子育て全般に広く使われている」というより、条文が用途を細かく指定している種類のお金です。

「全額事業主負担」の条文上の根拠 — 負担の規定が無い

拠出金の説明でいちばん多いのは「厚生年金保険料と違って労使折半ではなく、全額事業主負担」という表現です。実務上の結論としては正しいのですが、条文の作りはもう一段はっきりしています。

まず、比較対象の厚生年金保険法82条を見ます。見出しは「保険料の負担及び納付義務」で、負担と納付義務という2つの言葉が、そもそも見出しに並んでいます。

被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。
事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。

1項が負担の分け方(折半)を決め、2項が納付を誰がするか(事業主がまとめて)を決めています。給与から従業員負担分を差し引けるのは、1項が「被保険者も半額を負担する」と言っているからです。

これに対して、子ども・子育て支援法69条には1項に当たるものがありません。1項は「政府は……拠出金を徴収する」という徴収の規定で、2項は次の一文だけです。

一般事業主は、拠出金を納付する義務を負う。

つまり支援法は、拠出金について「誰がいくら負担するか」を一度も書いていません。書いてあるのは「事業主が納める」ということだけです。被保険者が負担するという条文が無いのだから、報酬から差し引く根拠も無い——これが「全額事業主負担」と呼ばれている状態の中身です。

さらに細かいことを言うと、69条1項1号は、厚生年金保険法82条1項に規定する事業主を名指しで引いています。折半を定めているまさにその項から、「事業主」という登場人物だけを連れてきて、折半のルールは連れてこなかったという構造です。条文の書き方として、これは偶然そうなったのではなく、意識的にそう作られていると読むのが自然でしょう。

実務上の含意としては、給与計算ソフトで拠出金を「従業員の控除項目」として設定する場面は通常ありません。会社側の費用(法定福利費)として計上する項目です。仕訳の考え方は法定福利費の計算にまとめています。

令和8年度は0.36%。上限を決めているのは法律、率を決めているのは政令

率がどこで決まるかは、法律と政令で役割が分かれています。子ども・子育て支援法70条2項は、拠出金率が満たすべき条件と上限だけを定め、具体的な数字は政令に渡しています。条文の末尾はこうです。

おおむね五年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならないものとし、千分の四・〇以内において、政令で定める。

そして受けた政令、子ども・子育て支援法施行令27条(見出しは「法第七十条第二項の政令で定める拠出金率」)が一文で答えています。

法第七十条第二項の拠出金率は、千分の三・六とする。

千分の三・六=0.36%が、令和8年度に適用される拠出金率です。ここでいう施行令は、令和8年4月1日施行の版(令和8年政令第83号による改正後)を確認しています。

決めているものどこに書いてあるか現在の内容
拠出金率そのもの子ども・子育て支援法施行令27条千分の三・六(0.36%)
率の上限子ども・子育て支援法70条2項千分の四・〇(0.40%)以内
率が満たすべき条件同70条2項おおむね五年を通じ財政の均衡を保てること
決めるときの手続同70条3項内閣総理大臣が厚生労働大臣に協議しなければならない
事業主側の関与同70条4項全国的な事業主の団体が内閣総理大臣に意見を申し出ることができる

4項の存在は覚えておくと役に立ちます。拠出金は事業主だけが納めるものなので、率の決定過程に事業主団体が意見を出す道が、法律のレベルで開けてあります。厚生年金保険料率のように法律本体で固定されているのとは、決まり方が違うということです。

率を調べるときの実務的な注意として、法律の「千分の四・〇以内」を率そのものと読み違えないこと。法律に書いてあるのは上限で、実際に使う数字は施行令27条にあります。同じ理由で、上限が動いた年でも率が動くとは限りません(現に次の節のとおり、上限は下がりましたが率は0.36%のままです)。

上限が0.45%から0.40%へ下がった(令和7年4月1日)

e-Gov 法令API で子ども・子育て支援法の施行版を1つずつ取り出し、70条2項の上限がいつ変わったかを突き合わせると、境目がはっきり出ます。

施行日70条2項の上限
令和6年6月12日施行版千分の四・五以内(0.45%)
令和6年10月1日施行版千分の四・五以内(0.45%)
令和7年4月1日施行版千分の四・〇以内(0.40%)
令和8年4月1日施行版(現行)千分の四・〇以内(0.40%)

令和7年4月1日を境に、0.45%から0.40%へ引き下げられています。改正したのは令和6年法律第47号です。この法律は、同じ改正で子ども・子育て支援納付金(いわゆる子ども・子育て支援金)の仕組みを新設したものでもあります。つまり、働く人と保険者を含む新しい財源をつくると同時に、事業主だけが負う拠出金の上限は下げたという組み合わせになっています。

なお、e-Gov には将来施行される版も入っています。令和8年10月1日施行版と令和9年4月1日施行版のどちらも、70条2項の上限は千分の四・〇のままです。少なくとも現時点で公布されている改正の範囲では、上限がさらに動く予定は入っていません。

上限が0.40%になったことで、率が動く余地は0.36%から0.40%までの0.04ポイントに狭まりました。従来の0.45%と比べると、上振れの幅がおよそ半分になった計算です。予算を組むときに「上限まで上がったら」を試算するなら、いま置くべき数字は0.45%ではなく0.40%です。

何にかかるか — 賦課標準と、育休・産休の除外

かける対象は70条1項が定めており、条文はこれを「賦課標準」と呼んでいます。長い括弧書きを外すと、骨格はこうです。

拠出金の額は、厚生年金保険法に基づく保険料の計算の基礎となる標準報酬月額及び標準賞与額

に拠出金率を乗じて得た額の総額とする、と続きます。厚生年金保険料とまったく同じ土台を使うということです。したがって、標準報酬月額の決め方(定時決定・随時改定)も、標準賞与額の決め方も、厚生年金保険のルールをそのまま持ち込むことになります。

そのうえで、70条1項の括弧書きが除外を1つだけ置いています。育児休業等および産前産後休業をしている被用者について、

当該育児休業若しくは休業又は当該産前産後休業をしたことにより、厚生年金保険法に基づき保険料の徴収を行わないこととされた場合にあっては、当該被用者に係るものを除く

厚生年金保険料が免除される期間は、その従業員分の拠出金も自動的に外れます。別途の申請書があるわけではなく、厚生年金保険料の免除が決まれば連動する形です。実務では、育休の免除手続をきちんと出せば拠出金側は放っておいてよい、と理解しておけば足ります。逆に言えば、免除の届出を出し忘れると、厚生年金保険料だけでなく拠出金も余分に払い続けることになります。

上限についても、賦課標準が厚生年金保険のそれである以上、厚生年金保険の頭打ちがそのまま効きます。ここは数字の書き方に注意が要る箇所です。厚生年金保険法24条の4第1項は標準賞与額の上限を150万円としていますが、条文はその金額に括弧書きを付けています。

当該標準賞与額が百五十万円(第二十条第二項の規定による標準報酬月額の等級区分の改定が行われたときは、政令で定める額。以下この項において同じ。)を超えるときは、これを百五十万円とする。

つまり等級区分の改定が政令で行われると、150万円という数字自体が政令の額に置き換わると条文が自分で書いています。標準報酬月額のほうも同じ構造で、法20条1項の等級表は第31級の62万円で終わっていますが、同条2項が政令でその上に等級を追加できると定めています。したがって「いまの上限額」は、法律の表を見ても確定しません。その時点の等級区分の改定に関する政令まで当たる必要があるため、この記事では確定額として書かないでおきます。実額を使う場面では、その年度の厚生年金保険料額表で確認してください。

いくらになるか — 計算例

令和8年度の0.36%で計算します。厚生年金保険料と違って折半しないので、表に出てくる金額がそのまま会社の負担額です。

標準報酬月額0.36%(令和8年度)0.40%(上限まで上がった場合)
200,000円720円/月800円/月+80円
300,000円1,080円/月1,200円/月+120円
500,000円1,800円/月2,000円/月+200円

賞与にもかかります。標準賞与額40万円なら1,440円、60万円なら2,160円です。1人あたりの年額を通しで出すと、月額の標準報酬月額30万円・賞与が年2回で各60万円という前提で、賦課標準は480万円。

1人あたり年額従業員50人分
0.36%(令和8年度)17,280円864,000円
0.40%(法律上の上限)19,200円960,000円
0.45%(令和7年3月31日までの上限)21,600円1,080,000円

1人あたりで見ると年1万7千円台と小さく見えますが、50人規模で年86万円、上限まで上がれば年96万円です。賞与を年間で1か月分増やすと、その1か月分にも0.36%が乗ります。人件費のシミュレーションで法定福利費を「厚生年金+健康保険+雇用保険+労災」の4つで組んでいると、この0.36%が丸ごと抜けます。

無料ツール:法定福利費の計算 給与額を入れるだけで、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険と子ども・子育て拠出金を含めた会社負担の合計を出します。拠出金・労災は全額事業主負担、雇用保険は労使で率が違うので、まとめて折半として計算すると会社の負担を過少に見積もります。そこを分けて計算します。

従業員1人ごとの内訳(本人負担と会社負担)を見たい場合は社会保険料 計算機が使えます。

支援金・支援納付金との違い — 誰から取るかが違う

令和8年度から給与明細に現れるようになった子ども・子育て支援金と、この拠出金は名前がよく似ています。混同されやすいのですが、条文のレベルでは別の節に置かれた別の制度です。同じ子ども・子育て支援法の中で、第二節が「拠出金の徴収等」(69条〜71条)、第三節が「子ども・子育て支援納付金の徴収等」(71条の2以下)と分かれています。

いちばん効く違いは「政府が誰から取るか」です。拠出金は69条1項が「一般事業主……から、拠出金を徴収する」と書いているのに対し、支援納付金は71条の3第1項がこう書いています。

政府は、次に掲げる費用(以下「支援納付金対象費用」という。)に充てるため、令和八年度から毎年度、健康保険者等から、子ども・子育て支援納付金を徴収する。
子ども・子育て拠出金 支援法69条〜71条(第二節) 政 府 拠出金 0.36% (69条1項) 一般事業主 納付義務者(69条2項) 子ども・子育て支援納付金 支援法71条の2以下(第三節) 政 府 支援納付金(71条の3) 健康保険者等 保険料として 被保険者・事業主 給与明細に現れるのはここ
政府が誰から徴収するかが違う。拠出金は一般事業主から直接(69条1項)で、被保険者は登場しない。支援納付金は健康保険者等から徴収し(71条の3第1項)、その保険者が保険料として集める二段構え。給与明細に現れるのは右下だけで、左の拠出金は明細に出ない。

相手が「健康保険者等」——つまり保険者です。事業主でも被保険者でもありません。納付義務も同条2項が「健康保険者等は、子ども・子育て支援納付金を納付する義務を負う。」としています。給与明細に載る支援金は、法律が事業主や本人から直接取っているのではなく、国に納付金を納める義務を負った保険者が、その原資を保険料として集めているという二段構えです。

子ども・子育て拠出金子ども・子育て支援納付金
条文支援法69条〜71条(第二節)支援法71条の2以下(第三節)
政府が徴収する相手一般事業主健康保険者等
納付義務者一般事業主(69条2項)健康保険者等(71条の3第2項)
賦課の土台厚生年金保険の標準報酬月額・標準賞与額各健康保険者等の概算支援納付金の額(71条の4)
いつから制度としては従前から条文が「令和八年度から毎年度」と明記
徴収事務厚生年金保険料の徴収の例による(71条1項)社会保険診療報酬支払基金(第三節第五款)
給与明細への現れ方現れない(本人負担の条文が無い)健康保険料等を通じて現れる

もう1つ、支援納付金の側には子ども・子育て支援特例公債という枠組みが第三節第六款として置かれています。拠出金の側にはこれに当たるものがありません。制度の規模と資金の作り方が、そもそも別の設計になっているということです。

給与明細に出てくる側の話は子ども・子育て支援金とはにまとめています。「うちの給与明細に子ども・子育て拠出金が出ていないのはおかしいのでは」という相談は、この2つの取り違えであることがほとんどです。拠出金は本来、明細には現れません。

徴収と時効 — 厚年保険料の例による・2年で消える

徴収の手続は、71条1項の一文で厚生年金保険に丸ごと寄せられています。

拠出金の徴収については、厚生年金保険の保険料その他の徴収金の徴収の例による。

「徴収の例による」ため、納付の期日や告知の仕組みは厚生年金保険料と同じ枠組みで動きます。日本年金機構は、健康保険・厚生年金保険の保険料について、納付期限は納付対象月の翌月末日(末日が休日の場合は翌日以降の最初の営業日)とし、毎月20日頃に事業所へ「保険料納入告知書」または「保険料納入告知額・領収済額通知書」を送付すると案内しています。

滞納した場合の道筋は、71条3項以下がかなり細かく書いています。国税滞納処分の例による処分に係る事務は日本年金機構に行わせるのが原則で(3項)、機構による実施が困難と認める場合などには厚生労働大臣が自ら行い、その権限の一部を財務大臣に委任できます(4項)。財務大臣は国税庁長官に委任し(5項)、国税庁長官は国税局長へ(6項)、国税局長は納付義務者の事業所または事務所の所在地を管轄する税務署長へ(7項)と、順に下りていける建て付けです。

時効は73条1項です。

拠出金等及び子ども・子育て支援納付金その他この法律の規定による徴収金を徴収する権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によって消滅する。

2年です。厚生年金保険料の徴収権と同じ長さで、税金の一般的な期間より短いのが特徴です。ただし同条3項が「拠出金等及び子ども・子育て支援納付金その他この法律の規定による徴収金の納入の告知又は催促は、時効の更新の効力を有する。」としているため、告知や催促を受ければそこから数え直しになります。「2年経てば自動的に消える」と読める条文ではありません。

よくある質問

Q. 子ども・子育て拠出金は給与から引いてよいのですか?

A. 子ども・子育て支援法は、69条2項で「一般事業主は、拠出金を納付する義務を負う。」と定めるだけで、被保険者に負担させる規定も、報酬から控除してよいとする規定も置いていません。厚生年金保険料には、82条1項に被保険者と事業主がそれぞれ半額を負担するという条文があり、それが給与控除の前提になっていますが、拠出金にはそれに当たる条文がありません。したがって、一般に給与明細に子ども・子育て拠出金の欄は現れません。

Q. 令和8年度の子ども・子育て拠出金率は何%ですか?

A. 子ども・子育て支援法施行令27条が「法第七十条第二項の拠出金率は、千分の三・六とする。」と定めており、0.36%です。この0.36%は政令で定められる数字で、法律側(子ども・子育て支援法70条2項)が定めているのは千分の四・〇以内という上限のほうです。率を確認するときは、法律の上限ではなく、その時点の施行令27条を見ることになります。

Q. 子ども・子育て拠出金と子ども・子育て支援金は同じものですか?

A. 別の制度です。拠出金は子ども・子育て支援法69条により政府が一般事業主から徴収し、賦課標準は厚生年金保険の標準報酬月額と標準賞与額です。一方、子ども・子育て支援納付金は同法71条の3により政府が健康保険者等から徴収するもので、令和8年度から始まります。納付義務を負う相手が、前者は事業主、後者は保険者であって、条文の置かれている節も第二節と第三節に分かれています。

Q. 育児休業中の従業員の分も拠出金はかかりますか?

A. かかりません。子ども・子育て支援法70条1項は、育児休業や産前産後休業をしたことにより厚生年金保険法に基づき保険料の徴収を行わないこととされた場合には、その被用者に係るものを賦課標準から除くと定めています。厚生年金保険料が免除される期間は、その従業員分の拠出金も同時に外れる仕組みです。子どもがいるかどうかで拠出金の要否が変わるわけではない点とあわせて押さえておくと混乱しません。

Q. 従業員に子どもがいなくても拠出金はかかりますか?

A. かかります。子ども・子育て支援法69条は、厚生年金保険法82条1項に規定する事業主などを一般事業主として、そこから拠出金を徴収すると定めているだけで、その事業主が使用する従業員に子どもがいるかどうかを条件にしていません。賦課標準を定める70条1項も、除外しているのは育児休業等・産前産後休業により厚生年金保険料の徴収を行わないこととされた被用者に係る部分だけです。

Q. 拠出金だけを滞納するとどうなりますか?

A. 子ども・子育て支援法71条1項が、拠出金の徴収については厚生年金保険の保険料その他の徴収金の徴収の例によると定めているため、手続は厚生年金保険料と同じ例によります。同条3項以下では、国税滞納処分の例による処分に係る事務を日本年金機構に行わせること、厚生労働大臣が自ら行う場合には権限の一部を財務大臣に委任でき、財務大臣から国税庁長官、国税局長、税務署長へと順に委任しうることが定められています。

Q. 過年度の拠出金は、いつまでさかのぼって請求されますか?

A. 子ども・子育て支援法73条1項は、拠出金等を徴収する権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは時効によって消滅すると定めています。厚生年金保険料の徴収権と同じ2年です。ただし同条3項が、拠出金等の納入の告知または催促は時効の更新の効力を有すると定めているため、告知を受けた時点で期間の数え直しになります。

Q. 拠出金率はこれから上がりますか?

A. 将来の率は分かりませんが、動ける範囲は条文で決まっています。子ども・子育て支援法70条2項が千分の四・〇以内と定めているため、政令で上げられるとしても0.40%が天井です。令和8年10月1日施行版と令和9年4月1日施行版のいずれも上限は千分の四・〇のままで、現時点で公布されている改正の範囲では上限自体が動く予定は入っていません。予算上の上振れを見るなら0.40%で置くことになります。

出典

この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務・社会保険についての助言ではありません。拠出金率は政令で改定されることがあり、標準報酬月額の等級区分および標準賞与額の上限も政令で改定されることがあります。実際の金額は、その年度の厚生年金保険料額表と所轄の年金事務所にご確認ください。

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