雇用保険被保険者証とは — 誰が誰に交付し、入社時に何をし、なくしたらどう再交付するか
結論から言うと、雇用保険被保険者証(様式第七号)は、ハローワークが「この人は被保険者になった」と確認したときに、その本人に対して交付する書類です(雇用保険法施行規則10条1項)。会社に対して交付される書類ではありません。
- 交付するのは公共職業安定所長、受け取るのは本人(規則10条1項)。会社を通じて渡すことも「できる」だけで、会社は経由地にすぎない(同2項)
- 入社したときに本人がするのは、「提出」ではなく「提示」(規則6条7項)。転勤したときも同じく提示(規則13条5項)
- なくした・破れたときは雇用保険被保険者証再交付申請書(様式第八号)。条文は「再交付を受けなければならない」と義務の形で書いている(規則10条3項)
- 退職したときに返す規定は、施行規則に置かれていない
この記事のいちばん踏み込んだところは、条文が「提出」「提示」「交付」「返付」を厳密に使い分けているという点です。実務では「入社したら雇用保険被保険者証を提出してもらう」「退職時に返す」と言われますが、施行規則の言葉はどちらもそうなっていません。ここを取り違えると、会社が預かる根拠のない書類を何年も金庫に入れておくことになります。
あわせて、被保険者番号が転職しても変わらない理由も条文で確認します。これは「運用でそうしている」のではなく、資格取得届の記載事項そのものが「直近に交付された……雇用保険被保険者証……に記載されている被保険者番号」と定義されている(規則6条1項)ためです。
何が書かれている書類なのか
雇用保険被保険者証は、施行規則の様式第七号として定められた書類です。中心にあるのは被保険者番号で、これに氏名・生年月日・資格取得年月日・事業所名などが記載されます。
紙の形は、資格取得届を出したあとにハローワークから返ってくる横長の用紙で、上下に切り離せるようになっているのが一般的です。上側が「雇用保険被保険者証」、下側が「雇用保険資格取得等確認通知書」で、この2つは名宛人が違います。前者は本人あて、後者は事業主あてと本人あての2枚に分かれます。同じ紙に印刷されているので1つの書類に見えますが、条文上は別のものです。
「1枚もらったが、どれを本人に渡すのか分からない」という詰まり方が起きるのは、この構造のためです。被保険者証(様式第七号)は後述のとおり本人に交付されるもので、会社が保管し続けることを条文は想定していません。
交付するのは安定所長、受け取るのは本人
根拠は施行規則10条です。条文をそのまま引きます。
第十条 公共職業安定所長は、法第九条の規定により被保険者となつたことの確認をしたときは、その確認に係る者に雇用保険被保険者証(様式第七号)を交付しなければならない。
2 前項の規定による被保険者証の交付は、当該被保険者を雇用する事業主を通じて行うことができる。
読み取れることが2つあります。
1つめは、交付の相手が「その確認に係る者」=本人だということです。「事業主に交付する」とは書かれていません。1項は「交付しなければならない」という義務規定で、名宛人は本人に固定されています。
2つめは、会社を通す方法が「できる」で書かれていることです。2項は義務ではなく、渡し方の選択肢を1つ足しているにすぎません。実務ではほとんどの場合この2項の経路になりますが、それは会社が受け取り手になったという意味ではなく、届け方が会社経由になっただけです。
ここが「会社が預かる」の分かれ目です。条文は会社を経由地として認めているだけなので、経由が終わった時点で、その書類は本人に渡っているべきものという建て付けになります。会社が保管し続ける根拠は、施行規則の中にはありません。就業規則や労使の合意で預かること自体が禁じられているわけではありませんが、「法律で会社が保管することになっている」という説明は条文に基づきません。
なお、この「確認」は雇用保険法9条の確認のことで、被保険者になるための条件ではありません。要件を満たした日に法律上当然に被保険者になっていて、確認はそれを後から確かめる手続きです。だから被保険者証が手元に届いていないことは、被保険者でないことを意味しません。
入社したときにするのは「提出」ではなく「提示」
転職して新しい会社に入ったとき、本人がすることは施行規則6条7項に書かれています。6条は「被保険者となつたことの届出」、つまり資格取得届の条です。
7 被保険者証の交付を受けた者は、被保険者となつたときは、速やかに、その被保険者証をその者を雇用する事業主に提示しなければならない。
「提示」であって「提出」ではありません。この違いは条文の中で一貫しています。同じ施行規則の中で、書類を相手に渡し切るときは「提出」、確認のために見せるときは「提示」が使われています。たとえば後述する12条は、確認請求に係る事実がないと認められたときに「提出を受けた被保険者証をその者に返付しなければならない」と書いており、こちらは提出→返付という往復の形になっています。
会社が被保険者証を見たい理由ははっきりしています。資格取得届に書く被保険者番号を、その場で確かめるためです。番号さえ写し取れれば目的は達せられるので、原本を預かる必要はありません。
実務では「入社時に提出してください」と案内している会社が多く、それ自体が違法というわけではありません。ただし条文が求めているのは提示までなので、本人が「原本は自分で持っておきたい」と言ったときに、会社が法令を理由に拒む根拠はありません。番号の控えとコピーで足ります。
番号が転職しても変わらないのは、条文がそう定義しているから
被保険者番号は、転職しても原則として同じものを使い続けます。これは運用上の配慮ではなく、資格取得届の記載事項そのものが、そう定義されているためです。施行規則6条1項は、資格取得届に記載する事項の1つとして次のように書いています。
被保険者番号(直近に交付された第十条第一項の雇用保険被保険者証(同項を除き、以下「被保険者証」という。)に記載されている被保険者番号をいう。以下同じ。)(過去に被保険者となつたことがある者に限る。)
つまり、新しい会社が資格取得届に書くのは「新しく採番された番号」ではなく、その人が直近に交付された被保険者証に載っている番号です。だから前の番号を持ち込むことが前提になっていて、被保険者証を提示してもらう理由もここにあります。
括弧の後半、「過去に被保険者となつたことがある者に限る」も読み落とせません。初めて雇用保険に入る人には、そもそも書くべき番号が存在しません。新卒採用で「被保険者証を出してください」と求めても、持っていないのが正常です。
番号が複数ある状態が起きるのは、この仕組みが「本人が前の番号を持ってくる」ことに依存しているためです。本人が被保険者証をなくしていて、会社も過去の勤務先を把握していないと、新しい番号が振られてしまうことがあります。被保険者期間は番号に紐づいて通算されるので、番号が分かれると通算が切れる可能性があります。心当たりがあるときは、ハローワークで番号の統一(重複の解消)を申し出ることになります。
なくした・破れた — 再交付は義務の形で書かれている
再交付の根拠は施行規則10条3項です。ここも条文のまま読みます。
3 被保険者証の交付を受けた者は、当該被保険者証を滅失し、又は損傷したときは、雇用保険被保険者証再交付申請書(様式第八号)に運転免許証、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第五十一条の三第一項に規定する書面その他の被保険者証の再交付の申請をしようとする者が本人であることを証明することができる書類を添えて公共職業安定所長に提出し、被保険者証の再交付を受けなければならない。
3つ、押さえておくところがあります。
「再交付を受けることができる」ではない
末尾は「受けなければならない」です。権利ではなく義務の形で書かれています。なくしたまま放置してよいとは書かれていない、ということです。実務上は失業給付や教育訓練給付の手続きの直前に困って初めて気づくことが多いのですが、条文の建て付けとしては、なくした時点で申請することになっています。
要件は「滅失」と「損傷」の2つ
再交付の事由として挙がっているのは滅失(なくした・失われた)と損傷(破れた・汚れて読めない)だけです。「会社が返してくれない」「前の勤務先が廃業した」といった事情は、この2つのどちらかに当てはまるかを窓口で説明することになります。条文の側にそれらを名指しした受け皿はありません。
本人確認書類に何が挙がっているか
条文が例として挙げるのは運転免許証と、健康保険法51条の3第1項に規定する書面です。後者は、健康保険法を引くと「被保険者又はその被扶養者が電子資格確認を受けることができない状況にあるとき」に保険者が交付する、資格に係る情報を記載した書面と定義されています。マイナンバーカードで資格確認ができない人のために交付される書面のことで、施行規則が挙げている本人確認書類は、健康保険証そのものではありません。
もっとも条文は「その他の……本人であることを証明することができる書類」と続けているので、この2つに限られるわけではありません。実際の窓口ではマイナンバーカードなどでも足ります。
申請先は公共職業安定所長です。条文は「公共職業安定所長に提出し」としか書いておらず、どこの安定所かを限定していません。勤務先を管轄する安定所でも、住所地の安定所でも受け付けられるのが通例なのは、この書き方のためです。会社に頼まなければ手続きできない書類ではありません。
退職したときに返す規定は無い
退職時に会社へ返す、あるいはハローワークへ返すという義務は、施行規則の中に見当たりません。
これは印象で書いているのではなく、施行規則の全文504,364字を「返還」「返納」「返付」「返却」の4つの語形で走査した結果です。語形を1つに絞ると見落とすので、4つ当てました。ヒットしたもののうち被保険者証に関わるのは、次の1か所だけです。
第十二条 公共職業安定所長は、法第八条の規定による確認の請求があつた場合において、その請求に係る事実がないと認めるときは、その旨を当該請求をした者に通知しなければならない。この場合において、当該請求をした者であつて被保険者となつたことの確認に係るものが被保険者証の交付を受けた者であるときは、提出を受けた被保険者証をその者に返付しなければならない。
これは、本人がハローワークに確認請求をしたが事実がないと判断されたときに、安定所長が本人に返す場面です。退職とは関係がありません。ほかに見つかった「返還」は、特例受給資格者証の返還(規則の受給関係の条)や移転費の返還など、別の書類・別の金銭についての規定でした。
実務上の帰結。会社が入社時に原本を預かっていたのなら、退職時に本人へ渡すのが条文の建て付けに沿った扱いです。「会社に返してもらう」向きの規定は無いので、退職者から「被保険者証を返してほしい」と言われたときに、会社が保持し続ける法令上の根拠はありません。離職票などと一緒に渡すのが実務として自然です。
転勤・氏名変更のときにすること
同じ会社の中で事業所をまたいで異動したときは、本人にも動作があります。施行規則13条5項です。
5 被保険者は、その雇用される事業主の一の事業所から他の事業所に転勤したときは、速やかに、被保険者証をその事業主に提示しなければならない。
ここも「提示」です。入社時(規則6条7項)と同じ言葉が使われています。会社側は、事実のあった日の翌日から起算して10日以内に雇用保険被保険者転勤届(様式第十号)を、転勤後の事業所を管轄する安定所へ提出します(規則13条1項)。
なお個人番号(マイナンバー)が変わったときは、会社が速やかに個人番号変更届(様式第十号の二)を提出することとされています(規則14条)。日数ではなく「速やかに」で書かれている点が、10日以内と定められた転勤届と違います。同じ届出の条でも期限の書き方が揃っていないので、まとめて「10日以内」と覚えると転倒します。
離職票・資格喪失確認通知書との違い
退職の前後で似た書類が並ぶので、条文上の位置づけで整理します。
| 書類 | 根拠 | いつ | 誰に |
|---|---|---|---|
| 雇用保険被保険者証(様式第七号) | 規則10条1項 | 資格取得の確認をしたとき | 本人(事業主を通じてもよい) |
| 雇用保険被保険者離職票 | 規則7条2項 | 資格喪失の確認をしたとき | 本人(離職票が必要な場合) |
| 雇用保険被保険者資格喪失確認通知書 | 規則9条 | 資格喪失の確認をしたとき | 事業主・本人 |
| 雇用保険被保険者証再交付申請書(様式第八号) | 規則10条3項 | 滅失・損傷したとき | 本人が安定所長へ提出 |
いちばん取り違えやすいのが、被保険者証と離職票です。被保険者証は入るときに出るもの、離職票は辞めるときに出るもので、失業給付の手続きに必要なのは離職票のほうです。被保険者証は番号を示す書類であって、それ自体で給付が受けられるわけではありません。離職票の中身と受け取り方は離職票の記事で扱っています。
会社側の実務 — どこで詰まるか
経理・人事の側から見ると、被保険者証が絡む場面は次の3つに集約されます。
入社時 — 番号を確かめる
資格取得届(様式第二号)に被保険者番号を書くために、提示してもらった被保険者証から番号を写します。前述のとおり、番号があるのは過去に被保険者だった人だけです。持っていない人には、新規として届け出ます。
提示してもらえないとき(本人がなくしている、前職が遠い過去で見つからない)は、資格取得届に前職の会社名と在籍期間を書いて安定所に照会してもらうのが通常の流れになります。番号が分からないことが届出を止める理由にはなりません。資格取得届の期限は被保険者となった日の属する月の翌月10日までで、番号の確認を待って遅らせてよいものではありません(加入条件の記事で扱っています)。
交付を受けたとき — 本人に渡す
資格取得届を出すと、ハローワークから被保険者証と資格取得等確認通知書が返ってきます。規則10条2項の「事業主を通じて行うことができる」に乗っている状態なので、経由を終わらせる、つまり本人に渡すところまでが会社側の動作です。
退職時 — 預かっていたなら返す
前述のとおり返還を定めた規定はありません。預かっているものは本人のものなので、離職票などと一緒に渡します。
失業保険(基本手当)計算機で、離職後にいくら受け取れるか計算する →まとめ
- 交付するのは公共職業安定所長、受け取るのは本人(規則10条1項・様式第七号)。会社を通す方法は「できる」規定にすぎない(同2項)
- 入社したとき本人がするのは「提示」であって「提出」ではない(規則6条7項)。転勤したときも提示(規則13条5項)
- 会社が提示を求める理由は、資格取得届に書く被保険者番号を確かめるため。番号は「直近に交付された……雇用保険被保険者証……に記載されている被保険者番号」と条文が定義している(規則6条1項)
- その定義には「過去に被保険者となつたことがある者に限る」と付いている。初めて加入する人が持っていないのは正常
- 再交付は滅失・損傷のときに様式第八号で申請する。条文は「再交付を受けなければならない」と義務の形(規則10条3項)
- 本人確認書類として条文が挙げるのは運転免許証と健康保険法51条の3第1項の書面。後者は電子資格確認ができない人に交付される書面で、健康保険証そのものではない
- 退職時に返す規定は施行規則に無い。被保険者証について返付を定めているのは、確認請求に事実がないとき安定所長が本人へ返す場面だけ(規則12条)
- 失業給付の手続きに要るのは離職票。被保険者証は番号を示す書類で、給付の請求書ではない
よくある質問
Q. 雇用保険被保険者証は会社と本人のどちらが持つものですか?
A. 本人のものです。雇用保険法施行規則10条1項は、公共職業安定所長が資格取得の確認をしたときに「その確認に係る者」つまり本人に対して交付しなければならないと定めています。同条2項は、この交付を当該被保険者を雇用する事業主を通じて行うことができるとしていますが、これは渡し方として会社を経由できるという意味であって、会社が受け取り手になるという意味ではありません。したがって会社が保管し続けることを条文は想定していません。労使の合意で会社が預かること自体が禁じられているわけではありませんが、法律で会社が保管することになっているという説明は条文にもとづきません。
Q. 転職先に雇用保険被保険者証を提出しなければいけませんか?
A. 条文が求めているのは提出ではなく提示です。施行規則6条7項は、被保険者証の交付を受けた者は被保険者となったときに速やかにその被保険者証を雇用する事業主に提示しなければならないと定めています。会社が見たいのは資格取得届に記載する被保険者番号なので、番号を確認できれば目的は達せられます。原本を預けたくない場合にコピーと番号の控えで対応することは、条文上妨げられていません。
Q. 転職しても雇用保険の被保険者番号は変わらないのですか?
A. 原則として変わりません。施行規則6条1項が、資格取得届に記載する被保険者番号を「直近に交付された第十条第一項の雇用保険被保険者証……に記載されている被保険者番号」と定義しているためで、新しい会社は新規に採番するのではなく、その人が持っている番号を引き継いで届け出ます。ただしこの仕組みは本人が前の番号を持ってくることに依存しているため、被保険者証を紛失していて過去の勤務先も特定できないと、別の番号が振られてしまうことがあります。被保険者期間は番号に紐づいて通算されるので、番号が複数ある心当たりがあるときはハローワークに申し出て統一してもらうことになります。
Q. 新卒で入社する人にも被保険者証の提示を求めるべきですか?
A. 求めても持っていないのが正常です。施行規則6条1項の被保険者番号の定義には「過去に被保険者となつたことがある者に限る」という括弧書きが付いており、初めて雇用保険の被保険者になる人には記載すべき番号が存在しません。この場合は新規として資格取得届を提出し、被保険者番号はそのときに採番されます。
Q. 雇用保険被保険者証をなくしました。再発行できますか?
A. できます。施行規則10条3項が、被保険者証を滅失し、または損傷したときは雇用保険被保険者証再交付申請書(様式第八号)に本人であることを証明することができる書類を添えて公共職業安定所長に提出し、再交付を受けなければならないと定めています。条文は「受けることができる」ではなく「受けなければならない」と義務の形で書かれています。添付書類として条文が例に挙げているのは運転免許証と健康保険法51条の3第1項に規定する書面ですが、その他の本人であることを証明することができる書類と続いているため、これらに限られるわけではありません。
Q. 再交付は会社に頼まないとできませんか。どこの窓口ですか?
A. 本人が申請できます。施行規則10条3項は、申請するのを「被保険者証の交付を受けた者」つまり本人としており、会社を経由することを要件にしていません。提出先は公共職業安定所長とだけ書かれていて、どこの安定所かは限定されていません。勤務先を管轄する安定所でも住所地の安定所でも受け付けられるのが通例なのは、この書き方によるものです。
Q. 退職するとき、雇用保険被保険者証は会社に返すのですか?
A. 返還を定めた規定は施行規則にありません。施行規則の全文を返還・返納・返付・返却の4つの語形で確認したところ、被保険者証について返付が定められているのは12条だけで、これは本人が確認請求をしたが事実がないと認められたときに公共職業安定所長が本人へ返付する場面であり、退職とは関係がありません。会社が入社時に原本を預かっていたのであれば、条文の建て付けからは退職時に本人へ渡すのが自然で、離職票などと一緒に返すのが実務上の扱いです。
Q. 被保険者証と離職票は何が違いますか?
A. 出るタイミングと役割が違います。被保険者証は資格取得の確認をしたときに交付されるもので(施行規則10条1項)、被保険者番号を示す書類です。離職票は資格喪失の確認をしたときに交付されるもので(同7条2項)、失業給付の手続きに使います。失業給付の申請に必要なのは離職票のほうで、被保険者証は給付の請求書ではありません。
Q. 被保険者証が届いていないのですが、雇用保険に入れていないということですか?
A. そうとは限りません。雇用保険法4条1項により、適用除外に当たらない人は要件を満たした日に法律上当然に被保険者になっており、9条の確認はそれを後から確かめる手続きにすぎません。したがって被保険者証が手元にないことは被保険者でないことを意味しません。会社が資格取得届を出していないのではないかと心配な場合は、雇用保険法8条により、被保険者または被保険者であった者はいつでもハローワークに対して確認の請求をすることができます。
Q. 転勤したときに本人がすることはありますか?
A. 提示があります。施行規則13条5項は、被保険者は雇用される事業主の一の事業所から他の事業所に転勤したときに、速やかに被保険者証をその事業主に提示しなければならないと定めています。会社側は同条1項により、事実のあった日の翌日から起算して10日以内に雇用保険被保険者転勤届(様式第十号)を転勤後の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出します。
関連する記事
出典
- e-Gov法令検索「雇用保険法施行規則」(昭和五十年労働省令第三号)第6条(被保険者となつたことの届出。1項の被保険者番号の定義および7項の提示義務)、第7条(被保険者でなくなつたことの届出・離職票)、第8条(確認の請求)、第9条(確認の通知)、第10条(被保険者証の交付。1項の交付・2項の事業主経由・3項の再交付)、第12条(確認に係る事実がない場合の返付)、第13条(被保険者の転勤の届出。5項の提示義務)、第14条(被保険者の個人番号の変更の届出)。法令API v2 で法令全文(law_revision_id: 350M50002000003_20260801_508M60000100031・504,364字)を取得して確認
- 同上の全文に対し、「返還」「返納」「返付」「返却」の4つの語形で全数走査し、被保険者証について返付を定めているのが第12条の1か所のみであること、退職時の返還を定めた規定が存在しないことを確認(語形を1つに絞ると見落とすため、4語で当てた)
- e-Gov法令検索「雇用保険法」(昭和四十九年法律第百十六号)第4条1項(被保険者の定義)、第8条(確認の請求)、第9条(確認)。法令API v2(law_revision_id: 349AC0000000116_20260513_507AC0000000032)で取得
- e-Gov法令検索「健康保険法」(大正十一年法律第七十号)第51条の3第1項(被保険者の資格の確認に必要な書面の交付等)。雇用保険法施行規則10条3項が本人確認書類として挙げる「健康保険法(大正十一年法律第七十号)第五十一条の三第一項に規定する書面」が、電子資格確認を受けることができない状況にある被保険者に対して保険者が交付する、資格に係る情報を記載した書面であることを条文で確認(law_revision_id: 211AC0000000070_20260801_508AC0000000031)
- 様式の番号(被保険者証=様式第七号、再交付申請書=様式第八号、転勤届=様式第十号、個人番号変更届=様式第十号の二)は、いずれも施行規則の条文本文に書かれているものを引用した
この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案についての助言ではありません。被保険者番号が複数存在する場合の統一、過去の資格取得の遡及、会社が届出をしていない場合の取扱いについては、所轄のハローワーク(公共職業安定所)または社会保険労務士にご確認ください。