MVVとは?意味・違いと管理部門で使う理念文書の構成例
MVVとは、Mission・Vision・Valueの総称で、組織が果たす使命、目指す将来像、大切にする価値観や行動規範を示すものです。ミッションは「何のために」、ビジョンは「どんな姿へ」、バリューは「どう判断し行動するか」と分けると整理できます。
管理部門が理念文書を用意するなら、短い言葉に加えて、意味の説明と業務での行動例を残します。以下では、公的機関が公表した定義・策定例と、本記事による文書の作成例を分けて紹介します。
MVVの意味と役割の違い
使命・将来像・行動の基準は、別々の問いに答えます。人事院「令和6年度年次報告書」のMVVの説明でも、存在意義や使命、目指す将来の社会像、価値観や行動規範を区別しています。
| 要素 | 示すもの | 整理するときの問い |
|---|---|---|
| Mission/ミッション | 組織の存在意義や果たすべき使命 | 誰に、どのような役割を果たすのか |
| Vision/ビジョン | 組織が目指す将来の社会像・姿 | 使命に向けて、どのような状態を目指すのか |
| Value/バリュー | 大事にする価値観や行動規範 | 仕事で迷ったとき、何を重視して判断するのか |
たとえば、使命の欄に今期の売上目標だけを置くと、「何のためにその事業をするか」が読み取れません。数字の目標を消すという意味ではなく、目標を決める前提と、達成を追う計画を区別する整理方法です。
企業理念・パーパスとの対応は会社の文書で確認する
企業理念、経営理念、パーパスといった言葉を見つけたら、名称より本文の意味を確認します。人事院の白書は、存在意義や使命をミッションやパーパスという形で再定義する動きを紹介しています。
社内整理では、既存の企業理念がどの問いに答えているかを書き出す方法があります。「企業理念の下にMVVを新設する」と決める前に、同じ意味の文書を増やさないか確認します。この対応付けは本記事の整理例であり、名称の統一規則ではありません。
公的機関が公表するMVVの例
人事院の公表例では、使命と将来像を短い言葉で示し、それぞれに説明を添えています。次の表は人事院「ミッション・ビジョン・バリュー」からの例で、企業向けの指定文言ではありません。
以下は人事院自身のMVVの公表例です。Mission・Visionは見出しの文言を掲載し、Valueは一部を例示しています。
| 区分 | 公表されている言葉 | 資料の説明の要点 |
|---|---|---|
| Mission | 公務員を元気に 国民を幸せに | 国家公務員が働きがいを持てる環境をつくり、行政サービスの向上を通じて国民の幸せを目指す |
| Vision | 多様な才能が集い磨きあう 活気ある公務へ | 多様な人材が能力を発揮し磨きあう、活力と創造性のある公務を目指す |
| Valueの例 | 自由に異見を | 自分の意見を述べ、異なる意見にも耳を傾ける |
| Valueの例 | ユーザー視点で | 国民を意識し、国家公務員をはじめとするユーザーの立場で施策を考える |
参考になるのは、短い言葉と説明が組になっている点です。自社の文書を作るときにも、見出しだけで受け取り方が分かれそうなら、「業務ではどういう意味か」を添える作成方法があります。
公的機関の例を会社に置き換える際は、相手や仕事の範囲を自社に合わせます。人事院の使命をそのまま転用せず、理念を説明する文書の組み立て方を参考にします。
理念文書の構成例と準備
理念の本文と、説明・行動例・管理情報を分けて置くと、改訂時に確認する場所を整理できます。以下は本記事の作成例です。公的機関が企業向けに定めた様式や、法定の記載事項を示すものではありません。
次は、会社の管理部門が社内で使う理念文書の構成例です。担当部署や承認経路は、自社の文書管理ルールに合わせて決めます。
| 項目 | 書く内容 | 準備する資料・確認先 |
|---|---|---|
| 策定の背景 | 今、何を共有したいのか | 経営者の説明、既存理念、現場の困り事 |
| Mission | 誰にどんな役割を果たすか | 事業の目的、顧客に届けている価値 |
| Vision | 目指す状態と、その意味 | 経営方針、今後の事業の方向 |
| Value | 大切にする考え方と行動例 | 現場の判断事例、部門ごとの意見 |
| 管理情報 | 承認者、適用開始日、改訂履歴、保管先 | 社内の承認・文書管理ルール |
言葉を整える前に、社内の事実を集める
準備の進め方の例として、まず既存の理念文書、会社案内、採用資料、経営方針を集めます。表現が異なる箇所は、どれが承認済みで、どれが説明用なのかを確認しておきます。
現場への質問は「どんな価値観が好きか」だけで終えず、「仕事で判断に迷った場面」「顧客に喜ばれた対応」「守りたい品質」など、実際の出来事に寄せます。未確認の話は裏付けのある事実と分けてメモします。
草案では、言葉ごとに意味の説明と使う場面を添えます。経営者が方針を決める役割、管理部門が文書を整える役割、現場が意味や行動例を確かめる役割を分ける、という進め方もあります。
承認後は、公開用と社内説明用の版をそろえる
改訂する場合の管理例として、変更理由、変えた箇所、承認者、適用開始日を残します。外向けに掲げる短い文言と社内向けの説明が食い違わないよう、参照する正本の保管先も決めます。
ウェブサイト、採用資料、社内掲示などに同じ言葉を載せるなら、掲載先の一覧を持つ方法があります。旧版の資料は過去の記録と現行の案内を区別し、担当者が更新対象を確認できるようにします。
経理・管理部門での使い方の例
バリューを、実際に迷う場面と組にして説明します。以下は、地域の事業者向けに業務支援を行う架空の会社について、本記事が作った理念と行動の例です。実在企業の事例や推奨される定型文ではありません。
| 区分 | 文言の例 |
|---|---|
| Mission | 地域の事業者が、本業に向き合える環境をつくる |
| Vision | 担当者が交代しても、安心して仕事を引き継げる取引を広げる |
| Value | 分からないことを隠さず、根拠を確かめて伝える |
次も本記事の架空の社内運用例です。上のValueを経理業務で説明する場面として示します。
| 場面 | 行動の例 | 記録することの例 |
|---|---|---|
| 請求額が契約と違う | 契約書と請求内訳を確認し、相違点を担当者へ伝える | 差がある項目、確認先、回答 |
| 費用の根拠が未確認 | 不明点を確認中として区別し、資料の所在を確認する | 不足資料、確認担当、次に確かめること |
| 経理担当者が交代する | 処理手順と確認先を、後任が参照できる場所に残す | 保管先、更新担当、引継ぎの確認事項 |
この作成例では、理念文書に書くのは判断の考え方です。証憑の要件、会計処理、支払承認の権限まで理念の言葉で決める運用にはせず、適用する法令・契約・社内規程を別に確認します。
「顧客を大切にする」と「確認を省いて要望を通す」を同じ行動にしないよう、迷ったときの相談先も併記する運用例が考えられます。
事業計画・予算との分担
本記事の整理例では、MVVは方向と判断の基準、事業計画は実行する内容、予算はその金額を扱います。会社ごとの名称・区分を優先してください。ビジョンを長期経営計画として掲げる企業の例も、前掲の人事院の白書にあります。
以下は文書を準備するときの本記事の整理例です。文書の名称だけで担当範囲を決めず、社内で承認された内容を確認します。
| 文書・仕事 | 主に確認する内容 |
|---|---|
| MVV | 何を目指し、どのような考え方で判断するか |
| 事業計画 | どの事業で、誰が何を実行するか |
| 予算 | 計画に必要な売上・費用などをどう見積もるか |
| 予実管理 | 予算と実績の差は何か、次に何を確かめるか |
架空の会社例なら、引継ぎを標準化した業務支援サービスの展開を事業計画に置き、その実行項目に手順書の整備を含めます。必要な教育や整備の費用は、予算として検討します。理念の言葉を掲げただけで、必要な費用や担当が決まるわけではありません。
金額の予算と実績を比較する作業は、予実管理の月次表と差異分析で説明しています。固定費・変動費を整理した後に売上の見通しを点検する場合は、損益分岐点の計算も参照できます。
事業計画の金額を考えるときに、損益分岐点を計算する周知してから、仕事で使う
言葉を知ってもらう場と、仕事に置き換えて考える場を分けます。人事院の白書は、各府省で見られる浸透施策として、ポスターやカード、研修・ワークショップ、幹部からのメッセージを挙げています。
白書では、初期の周知と、認知が進んだ後に職員が行動へ移す段階を区別し、幹部の発信はそれらと並行するものとしています。これは各府省の取組の説明であり、企業の売上や定着率への効果を保証するものではありません。
会社内での運用例として、周知の資料には文書の保管先を載せ、対話の場では自部門の事例を持ち寄ります。「この判断はどのValueに関係したか」「言葉だけでは決められなかったことは何か」を話す方法があります。
見直しの材料には、言葉を覚えているかという回答に加え、参照した場面や解釈に迷った点を残す方法があります。売上が増えた時期とMVVの策定時期が重なっても、それだけで改善効果と結び付けません。
MVVは、使命・将来像・価値観を整理する枠組みです。管理部門向けの本記事の作成例では、理念の言葉、意味の説明、業務の行動例、管理情報を組にして残し、計画や予算へつなげます。
よくある質問
ミッションとビジョンの違いは何ですか?
ミッションは果たす使命や存在意義、ビジョンは目指す将来像です。自社の文書では名称に加えて、何を説明する欄なのかを確認すると整理できます。
MVVと企業理念は別のものですか?
名称だけで別のものと決めず、既存の企業理念が何を示しているかを確かめます。企業理念が使命を示す場合もあるため、本記事の整理例では対応する意味を書き出し、重複を確認します。
バリューには何を書けばよいですか?
組織が大切にする価値観や行動規範を書きます。本記事の作成例では、短い言葉と業務での行動例を組にし、抽象的な言葉をどう判断に使うか説明します。
この記事の理念文書は法定様式ですか?
本記事の理念文書は社内で使う構成の作成例で、法定様式を示したものではありません。MVVの説明と、法令・契約・社内規程で確認する手続きは区別して扱います。
MVVを作れば業績は改善しますか?
本記事の資料から、MVVの策定による業績改善を保証することはできません。日々の判断の指針としての役割と、周知や研修などの取組を紹介しています。
出典
- 人事院「令和6年度年次報告書」第1編第2部第3章第1節:MVVの意味、各府省の策定・浸透施策、企業での活用例。
- 人事院「ミッション・ビジョン・バリュー」:人事院自身の使命・将来像・価値観と、その説明。
- 架空の会社の理念、理念文書の構成、経理業務の行動例、文書の管理方法と計画との分担は、本記事の作成・整理例です。
この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務相談ではありません。具体的な申告や判断は、顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。