内容証明郵便とは — 証明されるのは「出したこと」だけ。届いたことは350円で別に買う
結論から言うと、内容証明郵便が証明するのは、日本郵便自身の言葉で言えば「いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということ」だけです。郵便法48条1項は「当該郵便物の内容である文書の内容を証明する」としか書いていません。相手に届いたかどうかは証明されませんし、書いた内容が正しいかどうかも証明されません。日本郵便自身が「当社が証明するものは内容文書の存在であり、文書の内容が真実であるかどうかを証明するものではありません」と明記しています。
ここが実務でいちばん効いてきます。売掛金の督促で内容証明を使う目的が時効を止めることなら、民法150条1項の催告として効かせる必要があり、催告は民法97条1項により相手に到達してはじめて効力を生じます。ところが到達を証明するのは内容証明ではなく、郵便法47条の配達証明という別のオプション(差し出しの際なら350円)です。350円を惜しむと、時効を止めた証拠だけが手元に残らないことになります。
そしてもうひとつ。催告で稼げる時間は6か月、しかも1回きりです。民法150条2項は猶予中の再度の催告に効力を認めず、151条3項は催告と「協議を行う旨の合意」を積み上げることも禁じています。内容証明は時効を止める道具ではなく、6か月ぶんの猶予を1回だけ買って、その間に支払督促や少額訴訟へ進むための道具です。この記事では、証明される範囲、配達証明が要る理由、6か月の使い方、遅延損害金の起算点、確定日付、書き方の字数制限、料金の実額、e内容証明との分かれ目までを条文と公表値で整理します。
内容証明が証明するのは1つだけ(郵便法48条1項)
郵便法は、書留に付けられる特殊取扱を条ごとに書き分けています。48条1項が内容証明です。
内容証明の取扱いにおいては、会社において、当該郵便物の内容である文書の内容を証明する。
証明の対象は「内容である文書の内容」だけです。すぐ前の47条を並べると、書き分けがはっきりします。
配達証明の取扱いにおいては、会社において、当該郵便物を配達し、又は交付した事実を証明する。
配達した事実を証明するのは配達証明であって、内容証明ではありません。さらに、書いてある内容が真実かどうかは、そもそもどの条文も証明の対象にしていません。この3つを取り違えたまま「内容証明を送ったから大丈夫」と考えるのが、いちばん多い誤解です。
なお、内容証明は単独では出せません。郵便法44条3項が次のように定めています。
引受時刻証明、配達証明、内容証明及び特別送達の取扱いは、書留とする郵便物につき、これをするものとする。
つまり一般書留にすることが必須で、書留の加算料金(損害要償額10万円までなら480円)が必ず乗ります。料金がまとまった額になるのはこのためです。
「届いたこと」は別のサービス — 配達証明350円の意味
民法97条1項は、意思表示について到達主義を採っています。
意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
後で見る催告(150条)も、契約の解除通知も、この到達がなければ効力が生じません。ところが内容証明が証明するのは文書の内容だけですから、内容証明の謄本を何枚持っていても、到達を示す資料にはなりません。到達を示すには、郵便法47条の配達証明を付けて、配達した事実の証明を受け取っておく必要があります。
配達証明は差し出しの際に申し出れば350円ですが、差し出した後に請求すると480円になります(日本郵便の公表料金)。130円の差より問題なのは、後から請求できるのは記録が残っている間だけという点です。到達の証明が要るとあらかじめ分かっているなら、差し出しの際に付けます。
相手が受け取りを拒んだ場合はどうなるか。ここは民法97条2項に手当てがあります。
相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
受取拒否がこの「正当な理由なく到達することを妨げた」に当たるかは事実関係の評価になりますが、拒否されたら終わり、という条文の作りにはなっていません。逆に、不在で保管期間が経過して戻ってきた場合は、受け取らなかった理由が拒否とは限らないため、同じようには扱えません。いずれにせよ、封筒と配達の記録は捨てずに残しておくことになります。
時効を止められるのは6か月、しかも1回きり(民法150条)
売掛金の消滅時効は民法166条1項が定めています。1号が「債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき」、2号が「権利を行使することができる時から十年間行使しないとき」で、通常の取引では1号の5年で先に来ます。
この5年が経ちそうなときに使うのが催告です。150条1項はこう書いています。
催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
ここで「時効は、完成しない」という言い回しに注意が要ります。これは完成猶予であって、時効期間がリセットされる更新ではありません。5年の進行はそのままで、完成する瞬間だけが6か月先送りされます。そして2項が、繰り返しを封じています。
催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。
半年ごとに内容証明を送り続ければ時効が止まり続ける、ということにはなりません。6か月は1回だけ買える猶予で、その間に次の手を打たなければ時効は完成します。
6か月の間に何をするかというと、民法147条1項が挙げる事由に進みます。同項1号が「裁判上の請求」、2号が「支払督促」です。147条1項の柱書は、その事由が終了するまで時効は完成しないとしたうえで、権利が確定せずに終わった場合は終了の時から6か月を加えています。さらに2項により、確定判決などで権利が確定したときは、そこから時効が新たに進行を始めます。催告の完成猶予とは効き方が違います。
催告が到達した日から6か月後がいつになるかを数える — 日数計算・営業日計算ツール催告と協議合意は積み上がらない(民法151条3項)
ここが条文を読まないと踏む落とし穴です。民法151条1項は、権利についての協議を行う旨の合意を書面でしたときに、最長1年の完成猶予を認めています。内容証明を送ったら相手から連絡が来て話し合いになった、という流れは実際によくあるので、「催告で6か月、協議合意でさらに1年」と足し算したくなります。できません。151条3項が両方向に封じています。
催告によって時効の完成が猶予されている間にされた第一項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。同項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた催告についても、同様とする。
前段が「催告のあとの協議合意は効かない」、後段が「協議合意のあとの催告は効かない」です。どちらの順番でも積み上がりません。内容証明を出した後に協議合意を結んでも、稼げる時間は最初の催告の6か月のままです。
151条1項の猶予は、合意から1年、当事者が1年未満の期間を定めたときはその期間、協議の続行を拒絶する旨の書面通知があったときはその通知から6か月のうち、いずれか早い時までです。さらに2項により再度の合意で延長できますが、通算5年が上限と定められています。相手が話し合いに応じる見込みがあるかどうかで、催告が先か合意が先かの答えは変わります。どちらを選ぶかは事実関係によりますので、時効の完成が迫っている場合は弁護士にご相談ください。
なお、催告や協議合意とは別に、相手が債務を承認すれば時効は更新されます(152条1項)。一部の支払いや残高確認書への署名がこれに当たりうるもので、猶予ではなく更新なので、そこから時効期間がまるごと新しく進行します。督促の目的が時効対策なら、相手に一部でも払ってもらうほうが効果は大きいことになります。
遅延損害金の時計を始動させ、利率をその日に固定する(412条3項・419条1項)
時効は5年に1度の話ですが、こちらは毎月の督促で効いてきます。支払期日を決めずに取引している場合、相手はいつから遅滞しているのかという問題です。民法412条3項が答えを持っています。
債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
口約束や、支払期日を書いていない請求書だけで動いている取引では、請求するまで遅滞が始まりません。内容証明で支払いを請求すれば、その到達日が遅滞の起算点になります。時効を止める効果より、こちらのほうが日常的に効く場面は多いはずです。
そして419条1項が、もう一段の効果を付けています。
金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
「遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率」ですから、その日の利率がそのまま固定されます。法定利率は404条2項が年3パーセントとしたうえで、3項が「三年を一期とし、一期ごとに」変動するとし、4項・5項が変動の計算方法を定める変動制です。したがって遅延損害金を計算するときは、遅滞が始まった日がどの期に属するかを確かめる必要があります。この記事では特定の年の法定利率の数値は書きません(後述の出典を参照)。
債権者側に有利な規定が2つ続きます。419条2項は「前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない」とし、3項は債務者が不可抗力をもって抗弁とすることができないとしています。資金繰りが苦しかったという事情は抗弁になりません。
確定日付が付く — 公証役場に行かずに済む唯一の郵便
内容証明にはもうひとつ、督促とは別の使い道があります。確定日付です。郵便法48条2項は、内容証明の取扱いについて郵便認証司による58条1号の認証を受けるものとしています。その58条1号は、認証の内容をこう定義しています。
内容証明の取扱いに係る認証(総務省令で定めるところにより、当該取扱いをする郵便物の内容である文書の内容を証明するために必要な手続が適正に行われたことを確認し、当該郵便物の内容である文書に当該郵便物が差し出された年月日を記載することをいう。)をすること。
差出年月日を記載することまでが認証の中身です。これを受けて、民法施行法5条1項6号が確定日付の一種として明文で挙げています(カタカナ文語のままの条文です)。
郵便認証司(郵便法(昭和二十二年法律第百六十五号)第五十九条第一項ニ規定スル郵便認証司ヲ謂フ)ガ同法第五十八条第一号ニ規定スル内容証明ノ取扱ニ係ル認証ヲ為シタルトキハ同号ノ規定ニ従ヒテ記載シタル日付ヲ以テ確定日付トス
同条1項の他の号は、公正証書、登記所または公証人役場での押印、官庁または公署の記入など、役所や公証役場に出向くことを前提にした経路ばかりです。6号だけが郵便局で完結します。債権譲渡を第三者に対抗するために確定日付のある証書による通知が要る場面で、実務が内容証明郵便を使うのはこのためです(ファクタリングと債権譲渡の対抗要件で詳しく扱っています)。
字数制限は「謄本」にしか掛からない
内容証明の解説でいちばん誤解されているのが字数制限です。日本郵便の「ご利用の条件等」は、制限を示した表の直後に、はっきりこう書いています。
内容文書は受取人へ送る文書、謄本はそれを写した書面で、差出人と郵便局が1通ずつ保存します。字数・行数の制限が掛かるのは謄本だけです。ただし実務では内容文書と謄本を同じ書式で作るのが普通なので、結果として全体を制限に合わせて書くことになります。
制限の中身は次のとおりです。横書きは3つの様式から選べます。
| 区別 | 1行の字数 | 1枚の行数 | 1枚あたりの字数 |
|---|---|---|---|
| 縦書き | 20字以内 | 26行以内 | 520字 |
| 横書き(その1) | 20字以内 | 26行以内 | 520字 |
| 横書き(その2) | 13字以内 | 40行以内 | 520字 |
| 横書き(その3) | 26字以内 | 20行以内 | 520字 |
並べると分かるとおり、4つの様式はすべて1枚520字で揃っています。日本郵便が別のページで「郵便局の窓口で差し出す場合の内容証明文書の文字数は1枚当たり520文字です」と書いているのは、この掛け算の結果です。横書きを1行26字にすれば行数は20行に減るので、様式を選んでも1枚に入る量は変わりません。枚数を減らしたいなら、削るしかありません。
字数の数え方には独特の決まりがあり、これが枚数を左右します。
- 記号は1個で1字。ただし括弧は上下(横書きでは左右)を全体として1字とし、上(左)の括弧が属する行の字数に算入します
- 文字や数字を円・三角形・四角形などの簡単な枠で囲んだものは、各文字と枠(1字)の合計で数えます。日本郵便の例では「⑤」が2字、「⑩」が3字です。ただし文中の序列を示す記号として使われているものは全体で1字とされます
- 傍点や下線を施したものは、傍点や下線を含めた全体を1字として計算します
- 末尾余白に付記する差出人・受取人の住所氏名は、字数にも枚数にも算入しません。内容文書に書いたものと同一なら、原則としてその付記自体を省略できます
使える文字も限定されています。仮名、漢字、数字、英字(固有名詞に限る)、括弧、句読点、その他一般に記号として使用されるものです。英字が固有名詞に限られている点は、商品名や型番を書くときに引っかかることがあります。
枚数が2枚以上になったときは、つづり目に契印が要ります。押す印章は封筒に記載された差出人の印章に限られるのが原則で、差出人が1名のみの場合に限り「契印」等のつづり目を明確に示せる印章で代えられます。訂正・挿入・削除をしたときは、その字数と箇所を欄外または末尾の余白に記載して差出人の印を押し、消した文字は読める字体で残します。
料金の実額 — 窓口で出すと1,070円
内容証明の加算料金は、謄本の枚数で決まります。1枚480円で、2枚目以降は290円ずつ増えます。
| 謄本 | 1枚 | 2枚 | 3枚 | 4枚 | 5枚 |
|---|---|---|---|---|---|
| 内容証明の加算料金 | 480円 | 770円 | 1,060円 | 1,350円 | 1,640円 |
これに郵便物そのものの料金と、必須である一般書留の加算料金が乗ります。日本郵便が公表している計算例は、謄本1枚を定形郵便物で出す場合です。
| 内訳 | 金額 | 根拠 |
|---|---|---|
| 内容証明の加算料金(謄本1枚) | 480円 | 郵便法48条・日本郵便の公表料金 |
| 郵便物の料金(定形・50gまで) | 110円 | 同上 |
| 一般書留の加算料金(損害要償額10万円まで) | 480円 | 郵便法44条3項により必須 |
| 小計(日本郵便の公表例と一致) | 1,070円 | — |
| 配達証明(差し出しの際) | 350円 | 郵便法47条・任意だが実務では必須級 |
| 合計(配達証明付きの標準形) | 1,420円 | 加算の明示から算出 |
1,070円は日本郵便が公表している計算例そのものの金額です。1,420円は公表された合計例ではなく、公表されている配達証明の加算料金350円を足して算出したものです。速達(250gまで300円)を付ける場合や、定形外にする場合、損害要償額を10万円超にする場合(10万円を超える5万円までごとに23円増)は、それぞれ加わります。
同じ内容の文書を複数の相手に同時に出す場合は同文内容証明となり、1通目は上記の額、2通目以降は1通ごとにその半額になります。謄本1枚なら2通目以降は240円です。連帯保証人がいる場合のように相手が複数いるときは、まとめて出したほうが安くなります。
e内容証明との分かれ目は「1枚に何字入るか」
インターネットで24時間差し出せるe内容証明(電子内容証明)もあります。Wordファイルをアップロードすると、日本郵便側で印刷・照合・封入封かんして発送する仕組みです。料金は窓口と体系が違い、単価だけを見ると1枚・通常送付で1,295円と、窓口の1,070円より高く見えます。
ところが、1枚に入る文字数がまったく違います。窓口は前述のとおり1枚520字、e内容証明は1枚あたり1,584文字が目安(Microsoft Word標準設定時、10.5pt明朝体、行間1行、文字間隔標準)とされています。約3倍です。日本郵便自身が公表している比較例が分かりやすいので、そのまま並べます。
| 1,560文字の文書を1通出す | 枚数 | 料金 |
|---|---|---|
| 窓口の内容証明 | 3枚 | 1,650円 |
| e内容証明 | 1枚 | 1,295円 |
| 差 | — | 355円 e内容証明が安い |
窓口の1,650円は、内容証明3枚(480+290×2=1,060円)+定形110円+書留480円の積み上げと一致します。つまり分かれ目は文書の長さで、520字を超えて窓口で2枚以上になるあたりから、e内容証明のほうが有利になっていきます。通数が多い場合も同様で、同文内容証明はe内容証明では100通まで扱えます。
e内容証明は日本郵便指定のWord雛形を使う必要があり、文書は最大5枚まで、余白は下7cm以上・左7cm以上(全ページ)と定められています。窓口の「1行20字・1枚26行」のような字数制限は無い代わりに、この余白の制約が実質的な分量の上限を決めています。また、差出人や受取人が自動挿入される関係で、料金の計算対象になる枚数がWordで作ったページ数より増えることがある点も公表されています。
どの郵便局でも出せるわけではない
締切のある督促でいちばん危ないのがここです。日本郵便は差出郵便局について、集配郵便局および支社が指定した郵便局に限られると案内しており、「すべての郵便局において差し出すことができるものではありません」と明記しています。さらに一部の取扱局では特定の曜日のみの取扱いとされています。近所の郵便局に持ち込んで断られる、という事態が実際に起こります。
窓口に提出するのは次の4点です。
- 内容文書(受取人へ送付するもの)
- その謄本2通(差出人および郵便局が各1通ずつ保存するもの)
- 差出人および受取人の住所氏名を記載した封筒
- 内容証明の加算料金を含む郵便料金
あわせて差出人の印鑑を持参することが勧められています(訂正や契印がその場で必要になるため)。用紙の大きさや記載用具は問われず、市販の内容証明用紙でなくてもコピーでもかまいません。制限が掛かるのは謄本の字数・行数だけです。切手で支払う場合は、封筒に貼らずに窓口へ持参します。封をしていない状態で内容を確認する必要があるためです。
内容証明にできるのは第一種郵便物(手紙)だけで、はがきでは利用できません。併用できるオプションサービスも限定列挙されていて、速達、一般書留、引受時刻証明、配達証明、特別送達、本人限定受取郵便、代金引換、配達日指定の8つ以外にすることはできません。
謄本の保存は5年 — 経理の保存年限より短い
最後に、経理の書類保存と食い違う点をひとつ。日本郵便は、差出郵便局に保存されている謄本について次のように案内しています。
差出人は、差し出した日から5年以内に限り、差出郵便局に保存されている謄本の閲覧を請求できます。また同じく5年以内に限り、差出郵便局に謄本を提出して再度証明を受けることができます。閲覧の料金は480円です。
法人税法上の帳簿書類の保存期間は原則7年で、欠損金額が生じた事業年度についてはさらに長く保存することとされています。郵便局側の5年は、それより短いということになります。5年を過ぎてから自社控えの謄本を紛失すると、郵便局から復元することはできません。督促や解除通知の内容証明は、謄本と配達証明を1組にして、取引先ごとの契約書類と同じ場所で保管するのが実際的です。回収できずに貸倒れとして処理する場合、督促の経緯を示す資料になりますので、貸倒損失の要件とあわせて確認しておくところです。
よくある質問
Q. 内容証明を送れば、相手に届いたことの証明になりますか?
A. なりません。郵便法48条1項は内容証明の取扱いについて「当該郵便物の内容である文書の内容を証明する」と定めているだけで、配達については触れていません。配達した事実を証明するのは同法47条の配達証明で、これは別のオプションサービスです。日本郵便の公表料金では差し出しの際に申し出れば350円、差出後に請求すると480円とされています。民法97条1項により意思表示は相手方に到達した時から効力を生じますので、催告や契約解除の通知として効かせる必要がある場合は、内容証明に配達証明を付けて差し出すことになります。
Q. 内容証明を半年ごとに送り続ければ、時効はずっと完成しませんか?
A. 完成しません、とはなりません。民法150条1項は催告があった時から6か月を経過するまで時効は完成しないとしていますが、同条2項が「催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない」と定めています。また151条3項により、催告で完成が猶予されている間にされた協議を行う旨の合意も効力を有せず、その逆の順序も同様です。催告で得られるのは6か月の完成猶予が1回だけですので、その間に民法147条1項が挙げる裁判上の請求や支払督促に進むことになります。
Q. 内容証明は1行20字・1枚26行以内で書かなければいけませんか?
A. その制限が掛かるのは謄本です。日本郵便は「この制限は、謄本に関するものであり、内容文書には、字数・行数の制限はありません」と明記しています。内容文書は受取人へ送付する文書、謄本はそれを謄写して差出人と郵便局が保存する書面です。謄本の様式は縦書きが1行20字以内・1枚26行以内、横書きはこれに加えて1行13字以内・1枚40行以内と1行26字以内・1枚20行以内から選べます。いずれも1枚あたり520字となり、日本郵便が別のページで窓口の内容証明文書の文字数を1枚当たり520文字と案内しているのと一致します。
Q. 窓口とe内容証明では、どちらが安くなりますか?
A. 文書の長さと通数によります。日本郵便の公表値では、窓口の内容証明は1枚520文字、e内容証明は1枚あたり1,584文字が目安とされています。同社が公表している比較例では、1,560文字の文書を1通出す場合、窓口は3枚となり1,650円、e内容証明は1枚で1,295円で、355円の差が生じます。一方で謄本1枚に収まる短い文書を1通だけ出す場合は、窓口が1,070円、e内容証明が1,295円ですので窓口のほうが安くなります。通数が多い場合、同文内容証明は窓口では2通目以降が半額、e内容証明では100通まで扱えるとされています。
Q. 内容証明はどの郵便局でも差し出せますか?
A. 差し出せません。日本郵便は差出郵便局について集配郵便局および支社が指定した郵便局に限られるとし、「すべての郵便局において差し出すことができるものではありません」と案内しています。加えて一部の取扱局では特定の曜日のみの取扱いとされています。取扱局の一覧と各局の取扱い可能な曜日は同社のページで公表されていますので、期限が決まっている通知を出す場合は、事前に差出局を確認しておくことになります。なお内容証明にできるのは第一種郵便物だけで、はがきでは利用できません。
Q. 支払期日を決めていない売掛金でも、遅延損害金を請求できますか?
A. 一般に、請求した時から遅滞が始まると考えられています。民法412条3項は「債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う」と定めています。損害賠償の額については419条1項が、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によるとし、約定利率がこれを超えるときは約定利率によるとしています。同条2項により債権者は損害の証明をすることを要せず、3項により債務者は不可抗力をもって抗弁とすることができません。なお法定利率は404条2項が年3パーセントとしたうえで3項が3年を一期として変動するとしていますので、実際の計算では遅滞が始まった日がどの期に属するかを確かめる必要があります。
Q. 差し出した内容証明の控えをなくしました。郵便局で確認できますか?
A. 差し出した日から5年以内であれば可能です。日本郵便は、差出人は差し出した日から5年以内に限り差出郵便局に保存されている謄本の閲覧を請求できるとし、同じく5年以内に限り差出郵便局に謄本を提出して再度証明を受けることができるとしています。閲覧の料金は480円です。法人税法上の帳簿書類の保存期間は原則7年ですので、郵便局側の保存期間のほうが短いことになります。5年を過ぎると郵便局から復元することはできませんので、謄本と配達証明は自社で保管しておくことになります。
Q. 相手が受け取りを拒否した場合、通知は無効になりますか?
A. 直ちに無効になるとは限りません。民法97条2項は「相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす」と定めています。受取拒否がこれに当たるかどうかは事実関係の評価によりますので、一律には決まりません。不在のまま保管期間が経過して返送された場合は、受け取らなかった事情が拒否とは限らないため、同じようには扱えません。いずれの場合も、返送された封筒は開封せずにそのまま保管しておくことになります。個別の判断については弁護士にご相談ください。
出典
- e-Gov法令検索「郵便法」(昭和二十二年法律第百六十五号)。法令API v2 の
law_data/322AC0000000165から全文を取得した。取得したリビジョンは322AC0000000165_20260619_508AC0000000042(施行日 令和8年6月19日・取得時点でCurrentEnforced)である。参照したのは44条1項〜3項(特殊取扱。3項が内容証明を書留とする郵便物につき行うとしている)、45条1項(書留)、47条(配達証明)、48条1項・2項(内容証明)、58条1号(郵便認証司の職務のうち内容証明に係る認証)である。本文中の引用はこの取得結果からの逐語である - e-Gov法令検索「民法」(明治二十九年法律第八十九号)。
law_data/129AC0000000089から全文を取得した。取得したリビジョンは129AC0000000089_20260624_508AC0000000045(施行日 令和8年6月24日)で、これはリビジョンIDを指定しないlaw_dataの応答、すなわち取得時点で施行されている最新版である。参照したのは97条1項〜3項(意思表示の効力発生時期等)、147条1項・2項(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)、150条1項・2項(催告による時効の完成猶予)、151条1項〜5項(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)、152条1項(承認による時効の更新)、166条1項(債権等の消滅時効)、404条1項〜5項(法定利率)、412条1項〜3項(履行期と履行遅滞)、419条1項〜3項(金銭債務の特則)である - e-Gov法令検索「民法施行法」(明治三十一年法律第十一号)。
law_data/131AC0000000011から全文を取得した。取得したリビジョンは取得時点でCurrentEnforcedである。参照したのは5条1項(確定日付ある証書。6号が郵便認証司による内容証明の認証を挙げている)および6条(登記所・公証人役場に確定日付を請求する場合の手続)である。同条はカタカナ文語のままの条文であり、本文の引用も原文のまま示している - 日本郵便「内容証明」(
www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/)。サービスの概要(「当社が証明するものは内容文書の存在であり、文書の内容が真実であるかどうかを証明するものではありません」)、内容文書と謄本の定義、差出郵便局が集配郵便局および支社が指定した郵便局に限られること、差出方法として提出する4点、加算料金が480円(2枚目以降は290円増)であること、同文内容証明の2通目以降が半額であること、閲覧料金480円、差し出した日から5年以内に限る閲覧請求と再度証明、はがきで利用できないこと、併用できるオプションサービスの限定列挙を確認した - 日本郵便「内容証明 ご利用の条件等」(
www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/use.html)。使用できる文字または記号の7項目、謄本の字数・行数の制限(縦書き 1行20字以内・1枚26行以内/横書き 20字26行・13字40行・26字20行)、「この制限は、謄本に関するものであり、内容文書には、字数・行数の制限はありません」、字数の計算方法(括弧は上下で1字、枠囲みは文字と枠の合計、傍点・下線を含めた全体で1字)、訂正等の方法、2枚以上の場合の契印、末尾余白への付記が字数・枚数に算入されないこと、および料金表(内容証明の加算料金 480/770/1,060/1,350/1,640円、定形50gまで110円、一般書留480円、配達証明 差し出しの際350円・差出後480円、速達250gまで300円)と計算例1,070円を確認した - 日本郵便「e内容証明(電子内容証明)」(
www.post.japanpost.jp/service/enaiyo/index.html)。料金の内訳(郵便物110円+電子内容証明文書1枚目19円+謄本1枚目382円+通常送付304円+一般書留480円=1,295円)、1枚あたり1,584文字を目安とすること(Microsoft Word標準設定時・10.5pt明朝体・行間1行・文字間隔標準)、窓口が1枚520文字であること、1,560文字を1通出す場合の比較(窓口3枚1,650円/e内容証明1枚1,295円/差355円)、文書は最大5枚まで、余白が下7cm以上・左7cm以上(全ページ)であること、同文内容証明が100通まで扱えること、差出人等の自動挿入により料金計算対象の枚数が増える場合があることを確認した。これら3ページはいずれも生のHTMLを取得して本文を読んでおり、要約ツールを介していない - 料金と字数の表は、日本郵便の公表値どうしを突き合わせて機械的に検算したもので、手で転記したものではない。具体的には、①加算料金が
480 + 290 ×(枚数 − 1)で1枚から5枚までの公表値5点すべてに一致すること、②480 + 110 + 480 = 1,070が公表の計算例と一致すること、③4つの様式の字数 × 行数がすべて520となり別ページの「1枚当たり520文字」と一致すること、④e内容証明の内訳5項目の合計が公表の1,295円と一致すること、⑤窓口で3枚のとき480 + 290 × 2 + 110 + 480 = 1,650が公表の比較表と一致し、その差1,650 − 1,295 = 355も公表の「355円お得」と一致し、かつ1,560字が520字÷枚で3枚になること、⑥同文内容証明の2通目以降が480 ÷ 2 = 240円となることの16点を確認した。異なるページに載っている数字どうしが噛み合うことを、読み違えていないことの裏付けとしている - この記事で扱っていない事項について。特定の年の法定利率の数値は記載していない。民法404条3項が3年を一期として変動するとし、4項・5項が基準割合を法務大臣の告示に委ねているため、告示を確認せずに数値を書くことができないためである。遅延損害金を計算する場合は、419条1項により遅滞の責任を負った最初の時点の法定利率で固定されるので、その日が属する期の利率を確かめる必要がある。また内容証明の文例・書式、取扱郵便局の個別の一覧および取扱曜日、受取拒否や不在返送が民法97条2項の「到達することを妨げた」に当たるかの判断、貸倒損失の計上要件への当てはめには立ち入っていない。最後のものは貸倒損失の記事で扱っている
この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案に対する法律相談ではありません。内容証明を出すべきかどうか、催告と協議合意のどちらを先にすべきか、時効がいつ完成するか、受取拒否があった場合にどう扱われるかは事実関係によって変わりますので、実際の判断については弁護士にご相談ください。