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リフレッシュ休暇とは — 法律に定めはない。それでも就業規則には書く義務があり、無給にすると平均賃金が下がる

結論から言うと、リフレッシュ休暇は労働基準法に定めのない法定外休暇です。何年勤めたら何日与えるか、有給か無給か、いつまでに使うか、退職者に残りを渡すか、すべて会社が決めます。「勤続10年で5日」といった数字は法律のどこにもなく、各社の制度を集計した傾向にすぎません。厚生労働省の就労条件総合調査(令和7年)では、リフレッシュ休暇の制度がある企業は15.4%、常用労働者1,000人以上の企業に限ると44.4%、30〜99人では10.4%です。

ただし「法律に無い=何も縛られない」ではありません。制度を設けた瞬間に、労働基準法89条1号の絶対的必要記載事項として就業規則に書き、届け出る義務が生じます。無給と決めると、労働基準法12条3項が平均賃金の計算から除くと定めた5つの期間にリフレッシュ休暇が含まれないため、その従業員の平均賃金が下がり、解雇予告手当や休業手当の額にまで影響します。年次有給休暇の「年5日」にはカウントされません。そして、リフレッシュ休暇の導入を後押しする助成金として名前が挙がる働き方改革推進支援助成金は、交付要綱を読むと「リフレッシュ休暇」という名では対象を定めていません

同じ法定外休暇である忌引き休暇(慶弔休暇)は忌引き休暇(慶弔休暇)は何日?で、年次有給休暇の付与日数は有給休暇の付与日数で、就業規則の作り方は就業規則とはで扱っています。この記事はそれらと役割を分け、リフレッシュ休暇という制度を作る・運用するときに条文が何を要求し、一次統計が何を示し、助成金が何を対象にしているかに絞ります。

結論 — 法定外休暇。会社が決めるが、決めたら就業規則に書く

労働基準法には「リフレッシュ休暇」という語も、勤続年数に応じた休暇を与える義務も置かれていません。労働基準法が使用者に取得させることを義務づけている休暇は、実質的に39条の年次有給休暇だけです。リフレッシュ休暇は、夏季休暇・病気休暇・ボランティア休暇・教育訓練休暇と同じく、会社が任意に設ける「特別休暇」の1つです。厚生労働省の働き方・休み方改善ポータルサイトも、特別な休暇制度を、法律によって義務とされている休暇ではなく、企業が任意に設ける休暇制度と説明し、その普及促進の対象として病気休暇・ボランティア休暇・リフレッシュ休暇・裁判員休暇・犯罪被害者等の被害回復のための休暇・ドナー休暇・更年期症状による体調不良等のための休暇を挙げています。

したがって、次の問いにはすべて「会社の規程による」が答えです。

よくある問い答えそれでも効く条文
何年勤めたら何日もらえるか規程による。法定の日数は無い
有給か無給か規程による無給なら労働基準法12条3項(平均賃金が下がる)
使わないと消えるか規程による。取得期限を定めなければ争いになる労働基準法115条の時効は「この法律の規定による」請求権が対象で、リフレッシュ休暇には及ばない
退職するときに残りを使えるか・買い取ってもらえるか規程による。買取義務は無い
パート・契約社員にも与えるか規程による。ただし対象の線引きは合理的である必要がある短時間・有期雇用労働者の待遇の相違の合理性(パートタイム・有期雇用労働法)が問題になりうる
就業規則に書かなくてよいか書く義務がある労働基準法89条1号(絶対的必要記載事項)
年5日の取得義務に数えてよいか数えられない労働基準法39条7項(年次有給休暇の日数のうち5日)

年次有給休暇との違い — 8つの軸で比べる

実務で混同が起きるのは、リフレッシュ休暇を「有給休暇の一種」と考えてしまうときです。法定の年次有給休暇(労働基準法39条)とは、根拠から扱いまで別物です。

年次有給休暇(法定)リフレッシュ休暇(法定外)
根拠労働基準法39条会社の就業規則・規程
付与の要件と日数6か月継続勤務・出勤率8割で10労働日、以後勤続に応じて最大20労働日(39条1項・2項)規程で自由に決める
賃金平均賃金・通常の賃金・標準報酬月額の30分の1のいずれか(39条9項)有給・無給を規程で決める
時季の決め方労働者の請求する時季。会社は事業の正常な運営を妨げる場合に時季変更権(39条5項)規程で決める(会社が時期を指定する制度も可)
時効2年(115条)115条の対象外。取得期限は規程で決める
年5日の取得義務対象(39条7項)対象外。カウントできない
管理簿年次有給休暇管理簿の作成・5年保存(施行規則24条の7)義務なし。ただし記録を残す実益はある
退職時の買取原則不可。退職時の未消化分の買取は例外的に可(有給の買取は違法?規程による。義務は無い

この表で見落とされやすいのが「時効」の行です。年次有給休暇の請求権が2年で消えるのは、労働基準法115条が「この法律の規定による」請求権の時効を定めているからです。

この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。

リフレッシュ休暇は労働基準法の規定による請求権ではないので、この2年は当てはまりません。取得期限を規程に書かないと、「勤続10年のときにもらった5日を、勤続15年で使いたい」という主張に対する根拠が会社側に無くなります。後述の規程の6点で、期限は最初に決める項目です。

実施率は15.4% — 企業規模で4倍以上の開きがある(一次統計)

「リフレッシュ休暇がある会社は多いのか」に答えられる一次統計は、厚生労働省の就労条件総合調査です。常用労働者30人以上の民営企業を対象に、毎年1月1日現在の状況を調べています(令和7年調査の有効回答は3,820社、有効回答率59.2%)。特別休暇制度の有無と種類は第7表にあります。

企業規模(令和7年調査)特別休暇制度がある企業夏季休暇病気休暇リフレッシュ休暇ボランティア休暇教育訓練休暇左記以外の1週間以上の長期の休暇
60.3%41.5%28.4%15.4%7.3%5.4%16.7%
1,000人以上75.0%40.1%41.5%44.4%26.5%6.9%27.8%
300〜999人72.4%46.4%36.7%29.6%14.4%6.2%20.6%
100〜299人64.5%38.7%31.4%23.5%9.4%4.1%17.8%
30〜99人57.3%41.9%26.2%10.4%5.3%5.6%15.6%
リフレッシュ休暇制度がある企業の割合(令和7年就労条件総合調査・第7表) 1,000人以上 44.4% 300〜999人 29.6% 100〜299人 23.5% 30〜99人 10.4% 全企業(計) 15.4% 0% 25% 50% 推移(計): 令和4年 11.8% → 令和5年 12.9% → 令和6年 14.7% → 令和7年 15.4%
常用労働者30人以上の民営企業が対象。全体では6〜7社に1社だが、1,000人以上では2社に1社近くが持つ。棒の長さは10ポイント=100pxで描いた。

読み取れることは3つあります。第一に、規模差が非常に大きい。1,000人以上の44.4%に対して30〜99人は10.4%で、4倍以上の開きがあります。同じ第7表で夏季休暇はどの規模でも4割前後と平坦なので、リフレッシュ休暇は「大企業の制度」という性格が数字に出ています。第二に、じわじわ増えている。令和4年11.8%、令和5年12.9%、令和6年14.7%、令和7年15.4%と、4年で3.6ポイント上がりました。第三に、特別休暇の中では3番目で、夏季休暇(41.5%)と病気休暇(28.4%)に次ぎます。

なお、この調査での「特別休暇」の定義は、法定休暇(年次有給休暇、産前・産後休暇、育児休業、介護休業、子の看護のための休暇等)以外に付与される休暇で、就業規則等で制度(慣行も含む。)として認められている休暇です。慣行も含むと明記されているので、就業規則に書いていない会社も数字に入っています。この点は次の節に関わります。

就業規則の絶対的必要記載事項になる — 労働基準法89条1号

労働基準法89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に就業規則の作成と届出を義務づけ、記載事項を並べています。

常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

その1号が「休暇」を含みます。

始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

1号から3号までは「定めをする場合においては」という条件が付いておらず、必ず書く絶対的必要記載事項です。3号の2から10号までは「定めをする場合においては」と条件が付く相対的必要記載事項で、退職手当(3号の2)や表彰・制裁(9号)はこちらです。「休暇」は1号にあるので、リフレッシュ休暇を設けた以上、慣行のままにしておく選択肢はなく、就業規則に書いて届け出ることになります。11項目の内訳と手続は就業規則とはにあります。

加えて、労働契約を結ぶときの労働条件の明示事項(労働基準法15条1項)にも「休暇」が入っています。労働基準法施行規則5条1項2号です。

始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項

この2号は施行規則5条3項により書面で明示すべき事項に含まれるので、リフレッシュ休暇があるなら労働条件通知書にも載ることになります。実務では「詳細は就業規則第○条による」と引用する形で足ります。

10人未満の会社でも、作れば労働契約の内容になる

常時10人未満の事業場には作成・届出の義務がありませんが、就業規則を作れば労働契約の内容として効力を持ちます。リフレッシュ休暇を「社長の裁量で好きなときにあげる」運用にしている小さな会社は多いですが、それを一度規程に書けば、書いた条件で与える義務が生じます。逆に書かないままだと、与えた実績が慣行として労働契約の内容になっていると主張される余地が残ります。どちらにしても、条件を文字にしておくほうが後の争いは少なくなります。

規程で決める6点 — 決めないと何が起きるか

法律が何も決めていない以上、規程で決めていない項目は争いの種になります。最低限、次の6点を文字にします。

決める項目規定の例決めないと起きること
① 対象者と付与の時期勤続満10年・満20年・満30年に達した日の属する月の初日に付与する「勤続」の起算(入社日か試用期間明けか、育児休業中を含むか)で揉める
② 日数と単位連続する5労働日。分割は2回まで1日ずつ細切れに使われ、制度の趣旨(まとまった休養)が失われる
③ 取得期限付与日から1年以内。期限を過ぎた分は消滅する115条の時効が及ばないため、何年も繰り越されて未消化残が積み上がる
④ 賃金有給とし、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払う無給と読まれるか有給と読まれるかで賃金債権の有無が変わる。無給なら平均賃金が下がる
⑤ 時期の調整取得希望日の1か月前までに申し出る。業務の都合により時期を変更することがある年休の時季変更権(39条5項)は法定外休暇には及ばないので、規程に書かなければ会社は時期を動かせない
⑥ 退職・休職との関係退職日の決まった者には付与しない。未消化分の買取は行わない退職直前の付与を求められる。買取の期待が生じる

⑤は見落とされます。年次有給休暇の時季変更権は労働基準法39条5項の「有給休暇」についての規定で、法定外の休暇には働きません。会社が繁忙期を避けてほしいなら、規程にその旨を書いておく必要があります。逆に、規程に「会社が時期を指定する」と書けば、会社が取得日を決める制度にもできます。この自由度が法定外休暇の特徴で、年休では許されない設計(会社指定・無給・繰越なし)が、リフレッシュ休暇では規程しだいで可能です。

⑥で「退職日の決まった者には付与しない」と書く場合、有期契約や短時間の従業員にだけ付与しない設計と組み合わせると、待遇の相違の合理性が問われる場面が出てきます。勤続年数という基準は正社員・パートを問わず当てはめられるので、対象を雇用形態で切るより勤続で切るほうが説明しやすい設計です。

有給か無給か — 無給は平均賃金を下げる(12条3項の5つに入っていない)

リフレッシュ休暇を無給にしても違法ではありません。しかし、無給にするとその従業員の平均賃金が下がります。平均賃金は、算定事由の発生した日以前3か月間の賃金総額をその期間の総日数で割った額です(労働基準法12条1項)。無給の休暇日は分母の日数に入ったまま分子の賃金が減るので、平均賃金は下がります。

ここで12条3項が、平均賃金の計算から除く期間を5つ定めています。

前二項に規定する期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、前二項の期間及び賃金の総額から控除する。
控除される期間
1号業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
2号産前産後の女性が65条の規定によって休業した期間
3号使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
4号育児・介護休業法2条1号の育児休業又は同条2号の介護休業をした期間
5号試みの使用期間

この5つのどれにも、法定外の無給休暇は入っていません。無給のリフレッシュ休暇を5日取った月は、その5日分だけ平均賃金の分子が減ります。平均賃金は解雇予告手当(20条)、休業手当(26条)、減給の制裁の上限(91条)、年次有給休暇の賃金(39条9項で平均賃金を選んだ場合)を決める数字なので、リフレッシュ休暇とは無関係な場面のお金にまで効きます。同じ構造は忌引き休暇にもあり、忌引き休暇(慶弔休暇)は何日?で計算例を置いています。

統計の側からも、この点は読めます。就労条件総合調査は特別休暇を「就業規則等で制度(慣行も含む。)として認められている休暇」と定義しているだけで、有給か無給かを分けていません。「リフレッシュ休暇がある」と答えた15.4%の中に無給の制度も含まれます。

有給にするなら、賃金の計算方法も書く

年次有給休暇の賃金は39条9項が3つの方法(平均賃金・通常の賃金・標準報酬月額の30分の1)から選ばせていますが、これも法定外休暇には及びません。「有給」とだけ書くと、時給者や歩合給のある人で「いくら払うか」が決まりません。規程には「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払う」のように、計算方法まで書いておきます。

年5日の取得義務にはカウントされない — 年休の計画的付与との違い

使用者は、年次有給休暇が10労働日以上ある労働者について、そのうち5日を基準日から1年以内に時季を定めて与える義務を負います(労働基準法39条7項)。

使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇(これらの規定により使用者が与えなければならない有給休暇の日数が十労働日以上である労働者に係るものに限る。以下この項及び次項において同じ。)の日数のうち五日については、基準日(継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日をいう。以下この項において同じ。)から一年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。

「第一項から第三項までの規定による有給休暇」の日数のうち5日、と書かれています。リフレッシュ休暇は39条1項から3項の休暇ではないので、有給のリフレッシュ休暇を5日与えても、年5日の義務は1日も減りません。罰則や対象者の範囲は有給休暇「年5日の取得義務」とはにあります。

ここで、リフレッシュ休暇と似て非なる制度が「年次有給休暇の計画的付与」です。労使協定を結べば、年休のうち5日を超える部分について、会社が時季を定めて与えることができます(39条6項)。

使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項から第三項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち五日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。

「勤続10年の年に年休から5日を連続で取らせる」制度を計画的付与で作れば、それは年休の消化なので、39条8項により年5日の義務の履行に数えられます。一方、年休とは別枠で5日を上乗せするのがリフレッシュ休暇です。どちらも「勤続10年で5日の連続休暇」に見えますが、前者は年休が5日減り、後者は減りません。従業員から見れば後者のほうが有利で、会社から見れば後者は賃金コストが純増します。

リフレッシュ休暇(別枠)年休の計画的付与で作る連続休暇
根拠就業規則労働基準法39条6項+労使協定
年休の残日数減らない減る(5日を超える部分から)
年5日の義務カウントされないカウントされる(39条8項)
賃金規程による年休の賃金(39条9項)
年休の残りが5日以下の人付与できる計画的付与の対象にできない(5日を超える部分が無い)

実務で注意したいのは、既にあるリフレッシュ休暇を廃止して計画的付与に置き換える変更です。従業員の休暇日数が実質的に減るので、就業規則の不利益変更に当たります。手続と効力は就業規則とはの「不利益変更」の節にあります。

助成金 — 交付要綱に「リフレッシュ休暇」という名は無い

「リフレッシュ休暇を導入すると助成金が出る」という説明を見かけます。該当するのは、厚生労働省の働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)です。令和8年度は令和8年4月13日から申請を受け付けており、交付申請期限は令和8年11月30日(月)午後5時、事業実施期間は交付決定の日から当該年度の1月31日までです。中小企業事業主が対象で、次の3つの成果目標から1つ以上を選んで取り組みます。

成果目標内容助成上限額
時間外・休日労働の上限設定(36協定の時間外・休日労働時間数を月60時間以下、または月60時間超80時間以下に設定して届け出る)設定前後の時間数の組合せにより50万円・100万円・150万円
年次有給休暇の計画的付与の新規導入25万円
時間単位の年次有給休暇の新規導入と、いずれか1種以上の特別休暇の新規導入25万円

助成額は、成果目標ごとの助成上限額と、対象経費の合計額に補助率4分の3を掛けた額のいずれか低い額です(常時使用する労働者数が30人以下で一部の改善事業を実施し所要額が30万円を超える場合は5分の4)。リフレッシュ休暇に関係するのは③ですが、③は特別休暇だけでは達成できず、時間単位の年次有給休暇(労働基準法39条4項の労使協定)を同時に新しく導入することが要件です。既に時間単位年休の労使協定がある事業場や、導入しようとする特別休暇を既に導入している事業場がある場合は、③を選べません(交付要綱5条3号ウ)。

そして、ここが要綱を読まないと分からない点です。③の特別休暇は、交付要綱5条3号アで「設定改善指針2(2)の措置として、いずれか1種以上の特別休暇」と定められています。設定改善指針とは労働時間等設定改善指針(労働時間等見直しガイドライン)のことで、その2(2)は「特に配慮を必要とする労働者について事業主が講ずべき措置」として、次の8つを挙げています。

指針2(2)特に配慮を必要とする労働者交付申請書の選択肢
特に健康の保持に努める必要があると認められる労働者あり
子の養育又は家族の介護を行う労働者なし
妊娠中及び出産後の女性労働者なし
公民権の行使又は公の職務の執行をする労働者あり
単身赴任者あり
自発的な職業能力開発を図る労働者あり
地域活動等を行う労働者あり
その他特に配慮を必要とする労働者あり(特別休暇名を記入)

交付申請書の様式では、イ・ニ・ホ・ヘ・ト・チの6つが「導入する特別休暇の種類」の選択肢になっており、ロとハ(育児・介護、妊娠・出産)は別の法律に基づく制度があるためか選択肢に入っていません。「リフレッシュ休暇」という名前は、指針にも交付要綱にも申請書にも出てきません。勤続年数に応じた休暇を「チ その他特に配慮を必要とする労働者に対する特別休暇」として申請できるかどうかは、都道府県労働局の判断になります。指針のイは、時間外・休日労働が多い労働者について代休やまとまった休暇の付与等を行い疲労の回復を図らせることを事業主に求めているので、疲労回復を目的に位置づけた休暇はイに寄せて説明できる可能性がありますが、これも要綱が明示しているわけではありません。

「導入すれば25万円」ではない

③の25万円は上限額で、実際の支給額は対象経費(就業規則の作成・変更の専門家への委託費、労務管理用の機器・ソフトウェアの導入費、研修費等の改善事業の費用)に補助率を掛けた額との低い方です。経費をかけずに規程だけ変えても、助成額は出ません。また、常時10人以上の事業場では就業規則に規定を設けて所轄労働基準監督署長に届け出ることが要件です。申請前に、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に、導入予定の休暇が③の特別休暇に当たるかを確かめるのが確実です。公募中の補助金・助成金は補助金の検索で締切順に見られます。

給与計算と記録 — 年休管理簿の対象外

有給のリフレッシュ休暇の賃金は、通常の給与と同じく給与所得として源泉徴収し、社会保険料の算定基礎にも通常どおり含めます。休暇中に賃金を払うだけなので、経理処理に特別な科目は要りません。無給の場合は、その日数分を欠勤控除と同じ扱いで減額しますが、「欠勤」と表示すると人事評価に影響するため、給与明細の項目名は「特別休暇(無給)」のように分けておくのが実務的です。

記録については、年次有給休暇管理簿の義務はリフレッシュ休暇には及びません。労働基準法施行規則24条の7です。

使用者は、法第三十九条第五項から第七項までの規定により有給休暇を与えたときは、時季、日数及び基準日(第一基準日及び第二基準日を含む。)を労働者ごとに明らかにした書類(第五十五条の二及び第五十六条第三項において「年次有給休暇管理簿」という。)を作成し、当該有給休暇を与えた期間中及び当該期間の満了後五年間保存しなければならない。

「法第三十九条第五項から第七項までの規定により有給休暇を与えたとき」に限られています。ただし、リフレッシュ休暇の付与日・取得日・残日数を記録しておかないと、取得期限(規程の③)の管理ができません。年休管理簿とは別の欄で構わないので、同じ帳票に持たせておくのが現実的です。年休の残日数と付与日は有給休暇の付与日数計算機で入社日から出せます。

入社日から年次有給休暇の付与日と日数を出し、リフレッシュ休暇の付与月と並べて管理する

よくある質問

Q. リフレッシュ休暇は法律で決まっていますか?

A. 決まっていません。労働基準法にも同施行規則にも定めがなく、会社が任意に設ける法定外の特別休暇です。日数・対象者・有給無給・取得期限はすべて会社の規程で決めます。厚生労働省の就労条件総合調査(令和7年)では、制度がある企業は15.4%です。

Q. 勤続何年で何日が相場ですか?

A. 法定の基準はなく、公的統計にも勤続年数別の日数の集計はありません。就労条件総合調査が示すのは制度の有無だけで、1,000人以上の企業で44.4%、300〜999人で29.6%、100〜299人で23.5%、30〜99人で10.4%です。日数は自社の年休の取得状況と賃金コストから決めることになります。

Q. 就業規則に書かずに運用してもよいですか?

A. 常時10人以上の事業場では、労働基準法89条1号の休暇に関する事項は絶対的必要記載事項なので、制度を設けた以上は就業規則に書いて届け出る義務があります。慣行のままにしておく選択肢はありません。10人未満の事業場に届出義務はありませんが、規程を作れば労働契約の内容として効力を持ちます。

Q. 無給のリフレッシュ休暇にすると、何が変わりますか?

A. その従業員の平均賃金が下がります。労働基準法12条3項が平均賃金の計算から控除すると定めているのは、業務上の負傷・疾病による療養のための休業、産前産後の休業、使用者の責めに帰すべき事由による休業、育児休業・介護休業、試みの使用期間の5つで、法定外の無給休暇は入っていません。平均賃金は解雇予告手当・休業手当・減給の制裁の上限を決める数字なので、休暇と無関係な場面の金額にも影響します。

Q. 有給のリフレッシュ休暇を与えれば、年5日の取得義務を果たしたことになりますか?

A. なりません。労働基準法39条7項が対象にしているのは同条1項から3項までの規定による年次有給休暇の日数のうち5日で、法定外の休暇は含まれません。年休を使って連続休暇を作りたいなら、39条6項の計画的付与を労使協定で導入する方法があり、その場合は年5日の義務に数えられます。

Q. 使い切らなかったリフレッシュ休暇は、翌年に繰り越せますか?

A. 規程によります。年次有給休暇の2年の時効は労働基準法115条の「この法律の規定による」請求権が対象で、リフレッシュ休暇には及びません。規程に取得期限を書いていなければ、期限がないものとして扱われる余地があります。付与日から1年以内など、期限を規程に明記しておくことが必要です。

Q. リフレッシュ休暇を導入すると助成金がもらえますか?

A. 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)の成果目標③が、時間単位の年次有給休暇と1種以上の特別休暇の新規導入で、助成上限額は25万円です。ただし交付要綱が定める特別休暇は労働時間等設定改善指針2(2)の措置としての休暇で、「リフレッシュ休暇」という名は指針にも要綱にも申請書にもありません。時間単位年休を同時に新しく導入することも要件で、既に導入済みの事業場は対象外です。導入予定の休暇が当たるかは、申請前に都道府県労働局に確認する必要があります。

Q. パートや契約社員にもリフレッシュ休暇を与える必要がありますか?

A. 法定の義務はなく、対象者は規程で決めます。ただし正社員にだけ与える設計は、短時間・有期雇用労働者との待遇の相違について合理性の説明が求められることがあります。勤続年数という基準は雇用形態を問わず当てはめられるので、対象を雇用形態で切るより勤続年数で切るほうが説明しやすい設計です。

出典

この記事は一般的な情報提供であり、個別の労務相談ではありません。リフレッシュ休暇の日数・賃金・対象者は各社の就業規則で決まり、助成金の対象になるかどうかは都道府県労働局の判断によります。実際の制度設計や申請にあたっては、就業規則と交付要綱の最新版を確認したうえで、社会保険労務士または都道府県労働局雇用環境・均等部(室)にご相談ください。統計・要綱の数値はいずれも記事作成時点のもので、年度により変わることがあります。

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