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労災保険料率とは — 業種で35倍違う。令和8年度は据え置きで、全額が会社負担

結論から言うと、労災保険料率は会社ごとに決まるのではなく、事業の種類ごとに法令で決まっています。令和8年度は1000分の2.5から1000分の88まで、53種類が定められていて、最小と最大で35.2倍の開きがあります。そして労働者の負担はゼロで、全額が会社負担です。給与から労災保険料を引くことはありません。

実務でいちばん多い誤りは、「法定福利費はだいたい給与の15%」という目安をそのまま建設業や林業に当てはめてしまうことです。その目安は労災保険料率が1000分の3の事業を前提にしています。林業は1000分の52、金属鉱業は1000分の88なので、労災だけで数%上乗せになり、予算が合わなくなります。

この記事では、令和8年度の53業種すべての率を法令の別表そのままの並びで載せます。そのうえで、建設業だけ保険料の土台が「賃金総額」ではなく「請負金額×労務費率」になること、メリット制で率が最大±40%動くこと、そして「労災保険料率」は実は法令用語ではないことまで、条文で確認していきます。

労災保険料率は「事業の種類」で決まる

労災保険料率は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の別表第1(労災保険率表)に定められています。ここに53の事業の種類が並び、それぞれに率が振られています。会社の規模や経営状態で決まるものではなく、その事業がどの種類に当たるかだけで決まるのが基本です。

率の幅は次のとおりです。同じ「会社の保険料」でありながら、業種が違うだけで35倍以上変わります。

令和8年度 労災保険率(1000分の◯・抜粋) 金属鉱業・非金属鉱業・石炭鉱業 88 林業 52 定置網漁業・海面魚類養殖業 37 水力発電施設・ずい道等新設事業 34 建築事業 9.5 食料品製造業 5.5 卸売業・小売業・飲食店・宿泊業 3 金融業・保険業・不動産業 2.5 0 20 40 60 80 労災保険率(1000分の◯)
事業の種類ごとの労災保険率(令和8年度・抜粋)。最大の金属鉱業等(1000分の88)と最小の金融・保険・不動産(1000分の2.5)で35.2倍の開きがある。数値は徴収法施行規則 別表第1から機械抽出。

率が高い事業ほど、災害の発生率が高いと評価されているということです。徴収法12条2項は、労災保険率を「全ての事業の過去三年間の業務災害、複数業務要因災害及び通勤災害に係る災害率」などを考慮して厚生労働大臣が定める、と書いています。実績にもとづいて事後的に見直される仕組みです。

令和8年度の労災保険率表(53業種の全率一覧)

令和8年度に適用される労災保険率の全部です。単位は1000分の◯で、たとえば「3」は賃金総額の0.3%を意味します。並びは法令の別表第1のままです。

事業の種類の分類事業の種類労災保険率(1000分の)
林業林業52
漁業海面漁業(定置網漁業又は海面魚類養殖業を除く。)18
定置網漁業又は海面魚類養殖業37
鉱業金属鉱業、非金属鉱業(石灰石鉱業又はドロマイト鉱業を除く。)又は石炭鉱業88
石灰石鉱業又はドロマイト鉱業13
原油又は天然ガス鉱業2.5
採石業37
その他の鉱業26
建設事業水力発電施設、ずい道等新設事業34
道路新設事業11
舗装工事業9
鉄道又は軌道新設事業9
建築事業(既設建築物設備工事業を除く。)9.5
既設建築物設備工事業12
機械装置の組立て又は据付けの事業6
その他の建設事業15
製造業食料品製造業5.5
繊維工業又は繊維製品製造業4
木材又は木製品製造業13
パルプ又は紙製造業7
印刷又は製本業3.5
化学工業4.5
ガラス又はセメント製造業6
コンクリート製造業13
陶磁器製品製造業17
その他の窯業又は土石製品製造業23
金属精錬業(非鉄金属精錬業を除く。)6.5
非鉄金属精錬業7
金属材料品製造業(鋳物業を除く。)5
鋳物業16
金属製品製造業又は金属加工業(洋食器、刃物、手工具又は一般金物製造業及びめつき業を除く。)9
洋食器、刃物、手工具又は一般金物製造業(めつき業を除く。)6.5
めつき業6.5
機械器具製造業(電気機械器具製造業、輸送用機械器具製造業、船舶製造又は修理業及び計量器、光学機械、時計等製造業を除く。)5
電気機械器具製造業3
輸送用機械器具製造業(船舶製造又は修理業を除く。)4
船舶製造又は修理業23
計量器、光学機械、時計等製造業(電気機械器具製造業を除く。)2.5
貴金属製品、装身具、皮革製品等製造業3.5
その他の製造業6
運輸業交通運輸事業4
貨物取扱事業(港湾貨物取扱事業及び港湾荷役業を除く。)8.5
港湾貨物取扱事業(港湾荷役業を除く。)9
港湾荷役業12
電気、ガス、水道又は熱供給の事業電気、ガス、水道又は熱供給の事業3
その他の事業農業又は海面漁業以外の漁業13
清掃、火葬又はと畜の事業13
ビルメンテナンス業6
倉庫業、警備業、消毒又は害虫駆除の事業又はゴルフ場の事業6.5
通信業、放送業、新聞業又は出版業2.5
卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業3
金融業、保険業又は不動産業2.5
その他の各種事業3

上の53行は、e-Gov法令API v2 が返す徴収法施行規則の別表第1から機械的に抽出したものです(手で書き写していません)。自社がどの種類に当たるかの細目は、徴収法施行規則6条2項により厚生労働大臣が別に定めることになっており、判断に迷う場合は所轄の労働基準監督署が窓口になります。

事務所だけの会社は「その他の各種事業」1000分の3 小売業・飲食店・宿泊業も1000分の3、金融業・保険業・不動産業は1000分の2.5です。いわゆるオフィスワーク中心の会社は、この2つのどちらかに落ちることがほとんどです。ただし製造や運送を自社で行っていれば、そちらの種類で判定されます。

令和8年度の率は据え置き — 令和6年4月の改定から変わっていない

労災保険率はおおむね3年ごとに見直されるのが通例で、直近の改定は令和6年4月1日でした。では令和8年度はどうなったのか。これは推測せずに確かめられます。

e-Gov法令API v2 は、法令を版(リビジョン)ごとに取得できます。そこで令和6年4月1日施行版の別表第1と、今日現在の現行版(令和8年5月21日施行版)の別表第1を取り出して突き合わせたところ、53行すべてが完全に一致しました。分類名・事業の種類の文言・率のいずれにも差はありません。

つまり令和8年度に適用される労災保険率は、令和6年4月の改定内容がそのまま続いているということです。「今年の率は変わったのか」を毎年たしかめる必要はありますが、令和8年度に関しては、令和6年4月以降に作った料率表をそのまま使えます。

ただし雇用保険料率は別の話 労働保険料は労災保険料と雇用保険料の合算で、雇用保険料率は毎年度見直されます(徴収法12条1項1号は、両方に保険関係が成立している事業の保険料率を「労災保険率と雇用保険率とを加えた率」と定めています)。労災が据え置きでも、雇用保険側が動けば労働保険料の合計は変わります。

「労災保険料率」は法令用語ではない

細かい話に見えて、資料を探すときに効いてくる点です。法令の条文に「労災保険料率」という語は出てきません。徴収法12条も、施行規則の別表第1の表題も、いずれも「労災保険率」で、「料」が入りません

一方で、雇用保険のほうは条文でも「雇用保険率」と書かれますが、実務では「雇用保険料率」と呼ばれます。労災も同じで、現場の呼び名が「労災保険料率」、法令上の名前が「労災保険率」という関係になっています。厚生労働省の資料や法令検索で当たるときは「労災保険率表」で探すと目的の別表にたどり着きます。

ちなみに、「労働保険料率」という単一の率も存在しません。徴収法11条・12条が定めているのは「一般保険料」の額とその「保険料率」で、その保険料率が労災保険率と雇用保険率の合計になる、という組み立てです。

なぜ全額会社負担なのか — 条文は雇用保険だけを名指ししている

労災保険料に労働者負担がないことは広く知られていますが、その根拠を条文で見ると分かりやすくなります。負担を定めているのは徴収法31条です。同条1項1号は、労災保険と雇用保険の両方が成立している事業について、被保険者が負担する額を「当該事業に係る一般保険料の額のうち雇用保険率に応ずる部分の額」を出発点に計算すると定めています。

つまり条文は雇用保険率に応ずる部分だけを名指ししていて、労災保険率に応ずる部分には触れていません。そして同条3項が、「事業主は、当該事業に係る労働保険料の額のうち……被保険者の負担すべき額を控除した額を負担する」と定めています。労働者が負担する範囲に労災が入っていない以上、残りは全部事業主、という作りです。

だから給与明細に「労災保険料」の欄は無い 健康保険・厚生年金・雇用保険は労働者負担分を毎月控除しますが、労災保険料は1円も控除しません。もし給与から労災保険料が引かれている明細があれば、それは誤りです。会社側は年度更新でまとめて納付します。

この「本人が払わない」という性質は、所得税のほうにも跡を残しています。所得税法74条2項が社会保険料を列挙するとき、労働保険に触れているのは4号の「雇用保険の被保険者として負担する労働保険料」だけで、労災保険料は列挙に入っていません。本人が負担しないものについて、本人の所得控除を定める必要がないからです。例外は特別加入で、こちらは加入者本人が保険料を負担するため、所得税法施行令208条1号が別途これを社会保険料として拾っています。→ 一人親方労災保険の保険料と経理 — 保険料は必要経費ではなく社会保険料控除

計算のしかた — 土台は「賃金総額」

徴収法11条1項は、一般保険料の額を「賃金総額に……保険料率を乗じて得た額」と定めています。同条2項の「賃金総額」とは「事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額」です。

ここで間違えやすいのが、社会保険(健康保険・厚生年金)の標準報酬月額とは土台が違うことです。労働保険は実際に支払った賃金の総額で計算します。したがって残業代・通勤手当・賞与もすべて含みます。標準報酬月額のような等級のあてはめや、上限・下限もありません。

労働保険(労災・雇用)社会保険(健保・厚年)
保険料の土台賃金総額(実際に支払った額)標準報酬月額・標準賞与額
賞与の扱い賃金総額に含める標準賞与額として別に計算
上限無し等級の上限がある
労災部分の労働者負担無し(全額事業主)

計算例。「その他の各種事業」(1000分の3)で、年間の賃金総額が3,000万円の会社の場合、労災保険料は 3,000万円 × 3 ÷ 1000 = 9万円です。同じ賃金総額でも「林業」(1000分の52)なら 3,000万円 × 52 ÷ 1000 = 156万円になります。差は147万円で、業種の判定を間違えるとこれだけずれます。

法定福利費(会社負担の社会保険料)を業種を選んで計算する →

建設業だけ土台が違う — 請負金額×労務費率

徴収法11条3項は、「厚生労働省令で定める事業については、厚生労働省令で定めるところにより算定した額を……賃金総額とする」という例外を置いています。これを受けたのが施行規則13条1項で、請負による建設の事業については「請負金額に別表第2に掲げる率を乗じて得た額を賃金総額とする」と定めています。この率が労務費率です。

下請けを多数使う建設現場では、元請けが払った賃金だけを集計しても実態に合わないため、請負金額から逆算する方式が採られています。令和8年度の労務費率は次のとおりです。

事業の種類請負金額に乗ずる率(労務費率)
水力発電施設、ずい道等新設事業19%
道路新設事業19%
舗装工事業17%
鉄道又は軌道新設事業19%
建築事業(既設建築物設備工事業を除く。)23%
既設建築物設備工事業23%
機械装置の組立て又は据付けの事業(組立て又は取付けに関するもの)38%
機械装置の組立て又は据付けの事業(その他のもの)21%
その他の建設事業23%
請負金額に足すものがある(見落としやすい) 施行規則13条2項1号は、注文者から工事に使う物の支給を受けたり、機械器具の貸与を受けたりした場合には、その物の価額または機械器具の損料に相当する額を請負代金に加算すると定めています。しかも加算する額からは消費税等相当額を除くと明記されています。支給材のある工事で請負代金の額だけを見ていると、賃金総額が過小になります。

メリット制 — 収支率で±40%動く

ここまで「率は事業の種類で決まる」と書いてきましたが、一定規模以上の事業には例外があります。それがメリット制(徴収法12条3項)です。労災の発生が少ない事業は率が下がり、多い事業は上がります。

判定に使うのは収支率で、ざっくり言えば「支払われた保険給付等の額」÷「納めた保険料のうち業務災害に対応する部分」です。条文は、この割合が100分の85を超えるか、100分の75以下である場合に、率を100分の40の範囲内で引き上げ・引き下げできると定めています。収支率75%超85%以下の帯では動きません。

メリット制 — 収支率で労災保険率が±40%動く(立木の伐採の事業以外) +40% +20% +0% -20% -40% 増減なし 75〜85% 0 25 50 75 85 100 125 150 収支率(%)
メリット制による労災保険率の増減(立木の伐採の事業以外の事業)。収支率が75%以下で引き下げ、85%超で引き上げ。増減幅は徴収法施行規則 別表第3による最大±40%。収支率75%超85%以下は増減なし。

実際の増減幅は施行規則の別表第3が段階的に定めています。収支率10%以下なら40%減、10%超20%以下なら35%減……と5%刻みで動き、150%超で40%増が上限です(立木の伐採の事業は幅がやや狭く、最大35%)。

±40%がかかるのは「労災保険率そのもの」ではない ここは資料によって説明が省かれがちなところです。条文は「労災保険率から非業務災害率を減じた率を……引き上げ又は引き下げた率に非業務災害率を加えた率」と書いています。つまり増減の対象は、労災保険率から非業務災害率(通勤災害や複数業務要因災害などに対応する部分。厚生労働大臣が定めます)を差し引いた残りです。そこを±40%した後で、非業務災害率を足し戻します。したがって最終的な労災保険率の変動幅は、40%よりも小さくなります。

メリット制の対象は、条文上連続する3保険年度のいずれでも一定規模がある事業で、100人以上の労働者を使用する事業、20人以上100人未満で「労働者数×(労災保険率−非業務災害率)」が厚生労働省令で定める数以上の事業、そのほか省令で定める規模の事業とされています。数人規模の会社は原則として対象外で、率は別表第1のままです。

なお徴収法12条の2に特例メリット制があります。中小規模の事業主が労働者の安全・衛生を確保するための措置を講じ、所定の期間内に申告書を出した場合、増減の範囲が100分の40から100分の45に広がります。安全衛生への投資を率で報いる仕組みです。

間違えやすい点

よくある理解実際
労災保険料も労使折半全額が事業主負担。徴収法31条1項は雇用保険率に応ずる部分だけを労働者負担としている
保険料は標準報酬月額から計算する賃金総額(実際に支払った額)で計算する。通勤手当・残業代・賞与を含み、上限は無い
会社ごとに1つの率が決まる事業の種類ごと。1つの会社が複数の事業を行っていれば、事業ごとに判定される
建設業も賃金総額×率でよい請負による建設の事業は請負金額×労務費率。支給材・機械器具の損料は請負代金に加算する
労災を使うと必ず翌年の率が上がるメリット制の対象規模でなければ率は動かない。対象でも収支率75%超85%以下なら増減なし
アルバイトは労災保険に入らない労災保険の給付対象は労働者であり、雇用保険のような週20時間などの加入要件は無い。賃金総額にも含める

もう一点、納付実務での注意です。労災保険適用事業主は、労働保険料とあわせて石綿健康被害救済法37条にもとづく一般拠出金を納めます。これは労働保険料とは別の負担で、同条は一般拠出金の額を「一般保険料の計算の基礎となる賃金総額に一般拠出金率を乗じて得た額」と定めています。率は政令の定めにより環境大臣が厚生労働大臣等と協議して定めるもので、労災保険率表には載っていません。年度更新の申告書で労働保険料と一緒に扱うため、労災保険料の一部だと誤解されやすい項目です。

よくある質問

Q. 労災保険料は給与から引かれますか?

A. 引かれません。労災保険料は全額が事業主負担です。根拠は徴収法31条で、同条1項1号は被保険者が負担する額の計算を「一般保険料の額のうち雇用保険率に応ずる部分の額」から始めると定めており、労災保険率に応ずる部分は労働者負担の対象に入っていません。そのうえで同条3項が、労働保険料から労働者の負担額を差し引いた残りを事業主が負担すると定めています。したがって給与明細に労災保険料の控除欄が現れることはありません。もし控除されている場合は誤りの可能性が高く、確認が必要です。会社は年度更新の手続きでまとめて納付します。

Q. 令和8年度の労災保険料率は変わりましたか?

A. 変わっていません。労災保険率を定めている徴収法施行規則の別表第1について、令和6年4月1日施行版と現行版(令和8年5月21日施行版)を条文単位で突き合わせたところ、53行すべてが完全に一致しました。分類名・事業の種類の文言・率のいずれにも差がありません。したがって令和8年度は令和6年4月の改定内容がそのまま適用されます。ただし労働保険料は労災保険料と雇用保険料の合算で、雇用保険料率のほうは年度ごとに見直されるため、労働保険料の総額は労災が据え置きでも変わることがあります。労災保険率はおおむね3年ごとに見直されるのが通例です。

Q. 自社がどの事業の種類に当たるか分からないときは?

A. 徴収法施行規則6条2項は、別表第1に掲げる事業の種類の細目を厚生労働大臣が別に定めるとしており、実際の判定はこの細目にもとづいて行われます。判断に迷う場合の窓口は事業所を管轄する労働基準監督署です。実務上迷いやすいのは、1つの会社が複数の事業を行っている場合ですが、労災保険率は会社単位ではなく事業単位で決まるのが原則です。たとえば製造部門と小売部門を別の事業として扱うのか、主たる事業に一括するのかで率が変わります。金額の差が大きくなる業種では、自己判断せず先に確認しておくほうが安全です。

Q. 労災保険料率がいちばん高い業種と低い業種はどこですか?

A. 令和8年度でいちばん高いのは金属鉱業、非金属鉱業(石灰石鉱業又はドロマイト鉱業を除く。)又は石炭鉱業の1000分の88です。いちばん低いのは1000分の2.5で、通信業・放送業・新聞業・出版業金融業・保険業・不動産業原油又は天然ガス鉱業など複数の種類が該当します。差は35.2倍です。同じ鉱業の分類の中に最大の88と最小の2.5が同居している点が特徴で、分類名だけで率を推測すると外れます。なお全53種類の中央値は1000分の7で、事務系の事業が該当することの多い「その他の各種事業」は1000分の3です。

Q. 労災を使うと翌年から保険料率が上がりますか?

A. 必ず上がるわけではありません。率が動くのはメリット制の対象となる事業だけです。徴収法12条3項は対象を、連続する3保険年度において100人以上の労働者を使用する事業、20人以上100人未満で「労働者数×(労災保険率−非業務災害率)」が厚生労働省令で定める数以上である事業などに限っています。これに当たらない規模の事業では、労災を使っても別表第1の率のままです。対象になる場合でも、収支率が75%超85%以下の範囲であれば増減しません。なお、保険料が上がることを避けるために労災を使わせない取扱いは、労働者の給付を受ける権利とは別の問題であり、認められるものではありません。

Q. 建設業の労災保険料はどう計算しますか?

A. 請負による建設の事業では、賃金総額を実際の支払額から集計するのではなく、施行規則13条1項により請負金額に労務費率を乗じた額を賃金総額とみなします。労務費率は事業の種類ごとに定められており、令和8年度は舗装工事業17%、水力発電施設・ずい道等新設事業と道路新設事業と鉄道又は軌道新設事業が19%、機械装置の組立て又は据付けの事業のうち組立て・取付けに関するものが38%などとなっています。さらに施行規則13条2項1号により、注文者から支給された物の価額や貸与された機械器具の損料に相当する額を請負代金に加算します。このとき加算する額から消費税等相当額は除きます

Q. パート・アルバイトも労災保険の対象ですか?

A. 対象です。労災保険には、雇用保険のような「週の所定労働時間が20時間以上」といった加入要件がありません。労働者として使用されていれば、労働時間や雇用期間にかかわらず給付の対象になります。保険料の面でも、徴収法11条2項の賃金総額は「事業主がその事業に使用するすべての労働者に支払う賃金の総額」と定義されているため、パート・アルバイトに支払った賃金も含めて計算します。したがって、短時間勤務者が多い事業所ほど雇用保険と労災保険で対象者の範囲がずれることになり、年度更新の賃金集計ではこの2つを分けて集計する必要があります。

出典

この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案に対する助言ではありません。労災保険率は事業の種類の判定によって決まり、判定が変わると保険料が大きく変動します。自社の事業の種類の判定、メリット制の適用の有無、有期事業の取扱いについては、所轄の労働基準監督署または社会保険労務士にご確認ください。

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