産休から育休への手続き|日程・本人の申出・会社の届出
産休から続けて育休を取る母親の育休開始日は、産後休業終了日の翌日です。育休の申出と、保険料免除・給付の手続きは別々に進めます。
会社の担当者は、休業の日程・保険料免除・給付申請を分けて管理すると、提出漏れを見つけやすくなります。産休の届出が済んでも、育休の申出や給付申請が済んだことにはなりません。
この記事は、会社に雇用される母親が産後休業から育休へ続けて入る場面の手続表です。産休の日数や保護は産前産後休業の解説、給付額は育児休業給付金の解説で確認できます。
産休から育休へ移る手続きの順番
本人からの連絡、社内の休業手続き、外部への届出を対応させて進めます。以下は会社での管理順の例です。実際の提出時期・必要書類は、各手続きの公式案内と照合してください。
次の表は、健康保険・厚生年金に加入する従業員の手続き一覧です。産後休業から育児・介護休業法に基づく育休へ続けて入る場合を示しています。会社・本人の役割は健康保険や申請方法で異なります。出産手当金は加入先、育休給付は事業所所在地を管轄するハローワークで確認します。
| 時期 | 本人・社内で確認 | 会社が進めること |
|---|---|---|
| 報告時 | 出産予定日、休業の希望、会社への連絡方法 | 本人又は配偶者の妊娠・出産の申出を受け、制度の個別周知と取得意向確認 |
| 産休前 | 産休開始日、育休の希望、社内の申出様式 | 予定日を基に日程表を用意し、育休の申出時期を本人と共有 |
| 産休中 | 休業開始の実績、出産予定日 | 健康保険・厚生年金の「産前産後休業取得者申出書」を提出 |
| 出産後 | 実際の出生日、産後休業と育休の接続日 | 予定との相違を確認し、産休免除の変更届や育休日程の変更を確認 |
| 育休前 | 育児休業の正式な申出、開始・終了予定日 | 本人へ開始・終了予定日等を書面等で速やかに通知 |
| 育休中 | 休業の実績、給付申請に必要な本人の資料 | 育休の保険料免除の申出と、育休給付の受給資格確認・支給申請を別に処理 |
| 継続中 | 休業継続・変更・復帰の予定 | 給付の継続申請、免除の延長・終了、復帰後の給与処理をそれぞれ確認 |
社内の育児休業申出書は本人から会社へ、保険料免除の育児休業等取得者申出書は会社から提出先へ送る書類です。名前が似ていても用途が違います。
出産後に休業日程を確定する
産後の日程は、予定日ではなく実際の出産日で確かめます。出産当日は産前休業に含まれ、産後休業はその翌日から始まります。産休の起算方法は産前・産後の期間の解説にまとめています。
次は、実際の出産日が2026年11月5日の母親の設例です。産後休業を出産翌日から8週間取り、早期復帰せずに、取得要件を満たして育休へ続けて入ります。育休開始の申出を済ませる前提で、日程を計算しています。
| 確認する日 | この設例の日程 |
|---|---|
| 産後休業の開始 | 出産日の翌日 |
| 産後休業の終了 | 2026年12月31日 |
| 産後休業に続く育休の開始 | 2027年1月1日 |
日程表では「休業終了日」と「復帰日」を別の欄にします。産後休業の終了を会社への復帰と取り違えると、続けて育休に入る人を出勤予定にしてしまいます。
早期の就業を伴うケースは別に確認します。育休の終了日は子の年齢と利用する制度で決まるため、産休終了から新しく休業期間を数え直す扱いにはしません。延長やパパ・ママ育休プラスは別の要件です。
本人の申出と会社の通知をそろえる
育休の正式な申出と、それを受けた会社の通知をそろえます。育休を希望していると伝えることと、休業期間を定めて正式に申し出ることは、社内の記録上で区別します。本人又は配偶者の妊娠・出産の申出を受けた会社は、育休制度等を個別に周知し、取得意向を確認する必要があります。
子が1歳未満の通常の育休申出は、開始予定日の1か月前までが原則です。会社の有利な期限や、早産等による繰上げは例外です。書面等で会社に申し出ます。会社の様式がなければ、厚生労働省の育児休業ページにある様式例を参照できます。
申出を受けた会社は、育児休業開始予定日・終了予定日等を本人に速やかに書面等で通知します。申出書と通知の期間が一致しているか、実際の出生日を受けて変更が必要かを照合します。
主な例外:会社が労働者に有利な短い申出期限を設けている場合や、早産等による開始予定日の繰上げがあります。延長等の申出期限も通常の取得とは異なります。遅れた申出を取得不可と即断せず、希望開始日の取扱いを会社・労働局で確認します。社内の休業日を理由に申出期限が延びると考えず、受付方法を早めに確認してください。
取得資格は申出時点で確認します。日々雇用を除くこと、有期雇用の契約更新の見込み、労使協定による対象外の範囲などが確認項目です。勤続年数や契約書の文言だけで決めず、公式の対象労働者の説明と実態を照合します。
保険料免除は産休と育休で別の申出
産休の保険料免除を届け出た後も、育休の保険料免除には別の申出が必要です。対象は健康保険・厚生年金保険です。育休については育児・介護休業法に基づく休業等が対象となり、通常の事業主・役員は労働者に当たらず申出できません。
| 休業の区分 | 会社から提出する書類 |
|---|---|
| 産前産後休業 | 産前産後休業取得者申出書 |
| 育児休業等 | 育児休業等取得者申出書 |
本人が事業主へ申し出て、会社が手続きを進めます。日本年金機構へは、電子申請、郵送、年金事務所への窓口持参で提出できます。郵送先は事務センター又は管轄の年金事務所です。健康保険組合に加入する事業所は、組合側の手続きも確認します。
社内の予定は、各休業の期間中に提出する流れで組みます。終了後に提出できる期間もあるので、休業中に出しそびれた場合は、上の公式案内の「提出時期」を確認します。育休を取得・延長するたびに手続きの確認が必要です。
免除申出の提出と、免除対象月の判定は別です。月額保険料と賞与保険料では育休の期間要件が異なります。短期間の育休や賞与支給があるときは、日本年金機構の免除期間の説明で対象を確かめてから給与計算へ反映します。
給付申請は保険料免除と別に進める
保険料免除の届出をしても、出産手当金や育児休業給付金の申請は完了しません。出産手当金は健康保険、育児休業給付金は雇用保険の制度です。休業を取得できることと、給付の要件を満たすことも分けて確認します。
| 給付 | 確認先と準備 |
|---|---|
| 出産手当金 | 協会けんぽ加入者は加入支部、組合健保の加入者は加入組合。申請期間・賃金支払・申請書を確認 |
| 育児休業給付金 | 事業所所在地を管轄するハローワーク。受給資格確認と初回申請、以後の支給申請を確認 |
育休給付は会社経由で申請し、本人が希望する場合は本人による提出もできます。提出担当を決めたうえで、次のように資料を対応させておくと、申請書と実績の食い違いを探せます。
| 確認する内容 | 対応する資料の例 |
|---|---|
| 休業の開始・終了 | 育児休業申出書、会社の取扱通知、出勤簿等 |
| 賃金の額と支払状況 | 賃金台帳、出勤簿、タイムカード等 |
| 出産・育児の事実 | 母子健康手帳の出生届出済証明のページ等、出産日・予定日と育児の事実を確認できる資料 |
これは申請準備の資料例です。必要書類は、厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」の該当する手続きで確認します。出生後休業支援給付金を併せて申請する場合は、その要件と確認書類も別に確認します。
同じ育休中の継続申請と、育休を分割して取り直す場合の申請は区別します。分割して取得する2回目の育休では、受給資格の再確認は不要ですが、初回用の申請書を使います。申請期限と詳しい書類は育児休業給付金の手続き解説から確認できます。
変更があったときに見直す記録
予定と実績が変わったら、日程表だけでなく、申出・届出・給付申請の該当箇所を見直します。以下は社内での照合順の例です。
| 変わったこと | 照合する記録 |
|---|---|
| 予定日と実出生日が異なる | 産後休業終了日、育休開始予定日、産休免除の変更届の要否 |
| 育休の終了予定を延ばす | 本人の申出・会社の通知、育休免除の延長、給付の延長手続き |
| 予定より早く育休を終える | 実際の終了日、育休免除の終了届、給付申請に使う休業・賃金記録 |
出産日が予定と異なり産休期間を変更したときは、会社は産前産後休業取得者変更(終了)届の手続きを確認します。予定どおりの出産で変更がなければ、出産したという理由だけで変更届が必要になるわけではありません。
育休の延長では、会社の休業手続き、保険料免除、給付を別々に確認します。会社の休業延長が決まったことだけで給付の延長も決定したと扱わず、給付側の延長要件を確かめます。
引継ぎ前の確認
引継ぎでは、休業日程と提出状況が分かる記録を残します。「産休育休の手続き済み」というまとめ方より、どの書類を、誰が、どこへ出し、何の結果を確認したかを分けるほうが、次の担当者が続きを進めやすくなります。
- 実際の出生日、産後休業終了日、育休開始・終了予定日を日程表で照合する。
- 本人の育休申出と会社からの通知の内容、産休・育休それぞれの免除申出の提出記録をそろえる。
- 出産手当金と育休給付の提出担当・申請状況を記録し、給付の通知と次の申請時期を確認する。
よくある質問
産休が終われば、自動で育休が始まりますか?
育休には本人の申出が必要です。母親が産後休業に続けて育休を取る場合は、産後休業終了日の翌日を開始日として、本人の申出と会社の通知を照合します。取得要件と給付要件は別に確認します。
育休の申出と、保険料免除の申出は同じですか?
別の手続きです。休業を取る申出は本人から会社へ行い、健康保険・厚生年金の育休免除は本人の申出を受けた会社が取得者申出書を提出します。産休の免除を届け出ていても、育休の免除を別に確認する必要があります。
出産が予定日とずれたら、何を直しますか?
実際の出産日で産後休業の日程を見直し、続けて取る育休の開始予定日、本人の申出・会社の通知、産休免除の変更届の要否を確認します。給付の申請資料に記載する出生日とも照合します。
育休の申出をすれば、給付金も受け取れますか?
給付金には休業の取得とは別の要件があります。育児休業給付金は雇用保険の受給資格や休業中の就業・賃金などを確認し、事業所所在地を管轄するハローワークへ申請します。保険料免除の申出だけでは給付申請は完了しません。
出典
- 厚生労働省「育児休業の期間は、出産後の期間か、産休終了後の期間か」— 産後休業と育休の開始日。
- 厚生労働省「育児休業制度特設サイト・育児休業」— 対象労働者、申出、通知、個別周知・意向確認。
- 日本年金機構「従業員が産前産後休業を取得したときの手続き」— 免除申出と変更届。
- 日本年金機構「従業員が育児休業等を取得・延長したときの手続き」— 免除申出の提出先・提出時期、期間要件。
- 全国健康保険協会「出産手当金」— 加入支部への申請。
- 厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」— 受給資格確認・申請・確認書類。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・労務相談への回答ではありません。休業制度は都道府県労働局、保険料は年金事務所・加入する健康保険、給付は各保険者・ハローワーク、具体的な労務手続きは社会保険労務士にご確認ください。