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相続を税理士に依頼するには|申告の分担・資料・見積り

相続税の申告を税理士に頼むときは、申告書の作成・税務署への代理対応・資料の収集をどこまで任せるか、見積りと契約書で分けて確認します。依頼者側は、財産と債務の一覧、相続人の情報、資料がそろっていない点を先に伝えると、担当と日程を決めやすくなります。

このページは、相続税申告を依頼する人と、資料を取りまとめる家族・経理担当者向けの確認表です。税額の計算は相続税計算機へ、所得税申告の報酬・経費処理は確定申告を税理士に依頼する費用へ分けています。

税理士に依頼する業務の分担表

税務相談、申告書の作成、税務代理は別の業務です。税理士法2条はこれらを区別しており、申告書の作成にとどまるものは税務代理から除いています。契約名が「相続サポート」でも、下の項目ごとに範囲を確かめます。

次の表は相続税申告を依頼する際の確認例です。担当や料金は契約で決めるため、税理士へ依頼すれば各作業が自動的に含まれるという意味ではありません。

相続税申告の作業と受渡しの確認表
作業依頼者側が用意・確認すること税理士に確認する範囲
財産・債務の洗い出し把握している口座、不動産、借入先と、不明な財産の情報財産目録の作成、通帳等の確認、追加調査の範囲
証明書などの取得取得済み・申請中・未着手を区別した資料一覧取得代行の可否、依頼者が取得するもの、手数料・実費
財産評価・特例の検討土地の利用状況、賃貸借契約、同居・居住等の事実を示す資料土地や非上場株式の評価、現地確認、特例に必要な追加資料
申告書の作成財産・債務や取得者の記載内容を確認し、質問に回答作成する申告書・明細書、完成前の説明と確認方法
税務代理誰の相続税について、どの手続を任せるかを確認申告の代理提出、税務署からの連絡、調査対応の委嘱範囲
納付の段取り納税資金、利用する納付方法、実際に納める担当税額と納付方法の案内、納付完了の確認をどこまで行うか

税務代理を依頼する場合は、代理する範囲と、税理士が提出する税務代理権限証書を確認します(税理士法30条)。様式や記載欄は税務代理権限証書の解説にまとめています。

登記と相続人間の紛争は相談先を分ける

不動産の相続登記は司法書士、相続人間の紛争は弁護士への相談を分けて考えます。板橋区の相談先案内でも、相続税は税理士、登記は司法書士、遺産分割やトラブルは弁護士という分担を示しています。ここで挙げるのは相談先の目安です。

一括窓口を利用する場合も、登記や紛争対応を担当する資格者、別契約の有無、報酬の請求元を確かめます。税理士との相続税申告契約に、名義変更や相続人間の交渉まで含まれると考えず、契約書の業務一覧で判断します。

最初に渡す資料と、不足の伝え方

資料が未完成なら、そろっているものと足りないものの一覧を渡して、取得の分担から相談します。国税庁「相続税の申告のために必要な準備」は、相続人、遺言、遺産と債務、評価、分割の確認を挙げています。

次は税理士へ渡す検討資料の代表例です。全件を網羅した一覧や、申告書の法定添付書類一覧ではありません。財産・家族の状況に応じて、取得前に税理士へ必要な範囲を確認します。

財産調査・評価のために整理する資料例
区分整理する資料の例一緒に伝える点
相続人・遺言・分割取得済みの戸籍、遺言書、作成済みの遺産分割協議書相続人の連絡先、未成年者の有無、分割協議の進み具合
現金・預貯金相続開始日現在の残高証明書、通帳・取引履歴家族名義でも被相続人に帰属する可能性のある預金、海外口座
土地・建物固定資産税評価証明書、登記事項証明書、賃貸借契約書、実測図等未登記・共有・先代名義、貸付けや実際の利用状況
株式・投資信託等保有銘柄・数量が分かる資料、預り証、配当金支払通知書等非上場株式、海外資産、別名義でも被相続人に帰属する可能性
生命保険・退職手当金等保険証券、保険料の支払資料、退職金の支払調書等契約者・受取人と保険料負担者、家族名義の保険の有無
事業・農業の財産資産・負債の残高表、青色申告決算書・収支内訳書売掛金、棚卸資産、事業上の借入れなどの内訳
贈与の履歴贈与契約書、贈与税の申告書控え、送金の記録等贈与した時期・相手、相続時精算課税の選択状況
債務・葬式費用借入金の残高、未払金の請求書、葬式費用の領収書等支払者、支払先、使途が不明な支出や領収書のない支出

資料例の出典: 国税庁「相続税の申告のためのチェックシート」。控除できるか、財産に含めるかの判断は、資料と事実関係を渡したうえで税理士へ確認します。

不足資料の伝え方の例

たとえば、預金の残高証明書は申請済み、不動産は固定資産税の通知書しかなく、家族名義の口座への送金が見つかった場合です。資料をまとめて「準備中」とせず、次のように状態を分けます。

この例の目的は、未着の資料を隠さず、取得担当と回答予定を決めることです。取引履歴の必要期間や調査範囲は、税理士へ確認します。

検討資料と申告書の添付書類は別に確認

税理士が確認に使う資料が、そのまま申告書の添付書類になるわけではありません。国税庁のチェックシートは「検討資料」と「添付」の欄を分け、添付のチェックボックスがない項目は添付不要としています。税理士へ渡す必要がない、という意味ではありません。

添付書類は、適用する特例や申告方法で扱いが変わります。取得する前に、国税庁「提出書類一覧表」に沿って、必要な書類・原本か写しか・提出方法を税理士へ確認します。

主な扱いの違い: e-Taxでの相続税申告では、税務署への本人確認書類の提示・写しの提出は不要です。紙で添付する印鑑証明書は、配偶者の税額軽減、小規模宅地等、特定計画山林、農地等の納税猶予の特例を受ける場合、原本を提出します。一方、e-Taxでイメージデータとして提出した添付書類は、原本の保存が不要と国税庁の案内にあります。どの書類を電子で送るか、税理士と分担を決めてください。

申告期限から逆算した受渡し

最初の面談では、申告期限と、そこから逆算した資料受渡し・内容確認の日を決めます。財産の種類や不足資料によって必要な作業が変わるため、受任できる日程かを依頼先へ確認します。

通常の国内相続で申告義務がある場合、相続税の申告期限は被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内です(土日祝等に当たれば翌開庁日、例外は下の注)。

期限の説明は通常の申告を対象とします。納税管理人を届けずに出国する場合、申告義務者が申告前に亡くなった場合、災害による延長などは個別に期限を確認してください。根拠: 相続税法27条、国税庁「相続税の申告と納税」。

相続税申告を依頼した後の受渡しの流れ範囲・日程を合意担当を決める資料を渡す不足・質問に回答申告内容を確認納付を準備提出・納付を確認控え・資料を受領
日程は依頼時に合意する実務例です。申告の提出と納付は、それぞれ完了を確認します。

以下は日程表を作るための確認例です。法定の中間期限ではなく、依頼者と税理士で具体的な日を記入して使います。

受渡し日程に入れる確認事項
段階合意すること
依頼時申告期限、業務範囲、代表連絡先、資料の受渡し方法
資料収集各資料の取得担当、提出予定日、不足が判明した場合の連絡日
調査・評価追加質問の回答日、土地等の確認、評価の説明を受ける日
申告内容の確定財産・債務・取得者と税額の確認日、誤りがあった場合の修正連絡
提出・納付申告の提出担当と提出予定日、納付担当と資金準備、完了確認の方法

分割が期限までにまとまらない場合、未分割財産は民法に規定する相続分で取得したものとして申告します。分割成立を待って期限を過ぎないよう、未分割申告と特例の扱いを税理士へ相談します(国税庁「相続税の申告のために必要な準備」)。

延納・物納を利用しない通常の納付では、相続税は申告期限までに納めます。資金不足で延納・物納を希望する場合は、申告書の提出期限までに申請書等を提出して許可を受ける必要があるため、申告書が完成してからではなく資金の見通しが立たない段階で相談します。制度の適用可否は別途確認が必要です。

見積り・契約で確認する項目

報酬は「遺産額に対する割合」だけで比べず、同じ作業範囲で総額を確認します。日本税理士会連合会「税理士に相談する」は、税理士が報酬を算定することと、委嘱範囲・報酬額について契約書を交わすことを案内しています。全国共通の公定相場として率や金額を当てはめるものではありません。

次は相続税申告の見積りを確認する質問例です。各事務所の加算条件や料金相場を断定する表ではありません。含む・別料金・対象外の区別を、契約前に書面で残します。

見積りと契約書の照合に使う質問
項目確認する質問
基本報酬財産調査・評価・申告書作成・代理提出のどこまで含み、税込総額はいくらか
報酬の算定基準遺産額で算定する場合、債務控除・非課税枠・特例適用の前後のどの額を使うか
土地・非上場株式評価の件数・区分、現地確認、複雑な権利関係で追加報酬が発生する条件は何か
相続人・依頼者誰の申告を作成・代理する契約か。依頼者の追加や個別連絡で費用が変わるか
資料取得・実費戸籍・残高証明等の取得代行報酬と、証明書手数料・交通費等を分けているか
短納期・追加資料期限が近い場合や財産が後から判明した場合、追加料金と対応可否をいつ合意するか
別の申告・手続準確定申告、未分割申告、延納・物納の申請、登記や名義変更は含むか、別契約か
税務調査・修正税務署との連絡・調査立会い・修正申告は含むか。期間と追加報酬の条件は何か
支払・中途終了着手時と完了時の支払、追加作業の事前承認、途中終了時の精算・資料返却はどうするか

たとえば「土地評価込み」という見積りでも、現地確認の交通費、追加の土地、資料取得、申告後の修正が含まれるかは、その表示だけでは分かりません。質問への回答を見積書や契約書に追記してもらい、口頭説明と契約の範囲をそろえます。

申告を取りまとめる人と、報酬を負担する人、税理士へ申告を依頼する人が違う場合は、その関係も伝えます。家族の窓口役が連絡をまとめていても、誰の税務代理を委嘱したのかは別に確認します。

申告後に受け取るもの

申告書を提出した記録と、税金を納めた記録を分けて確認します。申告の送信が終わったことだけで、納付も完了したとは判断しません。次の項目を契約時に成果物として合意しておくと、完了時の確認に使えます。

電子申告では受信通知から提出した申告書を確認できます。書面提出では、申告書の控えを自分で作成・保管する段取りを確認します。税務署による控えへの収受日付印の押なつは行われていません(国税庁「相続税の申告のしかた」冒頭の案内)。

様式確認: 令和8年分の相続税申告では、変更前の様式を使用しないよう国税庁が案内しています。提出する年ではなく、対象の年分に合う様式を税理士へ確認してください。

依頼前にそろえること

財産・債務と不足資料の一覧を作り、申告期限、資料取得の担当、報酬に含む作業を合意します。提出後は申告と納付の記録、控え・原本の返却、追加対応の連絡先を確認します。

税額の概算を確かめる場合は、相続税計算機の対象範囲・前提も確認してください。土地などの個別評価や特例の可否を判定するものではありません。

相続税計算機で税額の概算と計算の前提を確認する

よくある質問

資料がそろっていなくても、税理士への依頼を相談できますか?

不足している資料と、把握している財産・債務の一覧を渡して、取得の分担から相談します。取得済み・申請中・未着手を分け、代行してもらう場合の範囲と費用も確認します。受任できるか、申告期限に間に合うかは税理士へ確かめてください。

相続税申告の税理士報酬は、遺産額の一定割合で決まりますか?

全国共通の割合で決まるものではありません。報酬は税理士が算定するため、財産額の算定基準、土地・非上場株式の評価、相続人の追加、調査や修正申告の扱いを含め、委嘱範囲と総額を契約で確認します。

税理士に相続税申告を頼むと、登記も含まれますか?

申告契約に含まれるとは限りません。登記の相談先として司法書士があり、一括窓口を使う場合も担当する資格者と別契約・別料金の有無を確認します。相続人間で争いがある場合の相談先は弁護士です。

申告後の税務調査や修正申告も任せられますか?

対応範囲と報酬を契約で確認します。税務署からの連絡、調査立会い、修正申告を分け、当初報酬に含むか、追加の委嘱と料金が必要かを依頼先へ確かめます。

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出典

この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案についての相談に対する回答ではありません。実際の申告要否、財産評価、特例や納付方法の適用可否は、所轄の税務署または税理士にご確認ください。

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