登記事項証明書とは — 4つの種類は何が違い、なぜ「履歴事項の3年」が3年になったり4年になったりするのか
結論から言うと、登記事項証明書は誰でも取れます。取引先の分でも、まったく関係のない会社の分でも取れます。商業登記法10条1項が「何人も」と書いているからです。手数料は窓口で1通600円、オンラインで請求して窓口で受け取るなら490円、オンラインで請求して郵送してもらうなら520円です(登記手数料令2条1項・3条1項)。つまりオンライン請求のほうが窓口より110円安く、郵送してもらってもなお80円安いという、直感と逆の値付けになっています。
種類は4つあります。履歴事項証明書・現在事項証明書・閉鎖事項証明書・代表者事項証明書で、これを分けているのは商業登記規則30条1項です。実務でいちばん多く求められる履歴事項証明書は「過去3年ぶんの履歴が載る」と説明されることが多いのですが、これは正確ではありません。条文の起点は請求日の3年前ではなく、その3年前の日が属する年の1月1日です。この1行のせいで、同じ書類・同じ600円でも、1月に取るか12月に取るかで載る過去が357日ぶん違います。
そしてもう1つ、実務で毎回もめるのが「有効期限3か月」です。この3か月を定めた条文は実在します(商業登記規則36条の2)。ただし対象は「申請書に添付すべき」登記事項証明書、つまり登記所に登記を申請するときに付ける分だけです。銀行や補助金の窓口が言う3か月は、この条文ではありません。以下、条文を1つずつ当てて確かめていきます。
4つの種類 — 分けているのは商業登記規則30条1項
登記事項証明書という名前は商業登記法10条1項が定義しています。「登記簿に記録されている事項を証明した書面」がそれです。ただし法律は中身を決めておらず、同条3項が「登記事項証明書の記載事項は、法務省令で定める」と省令に投げています。その省令が商業登記規則30条で、1項の4つの号が4つの種類に対応しています。
| 種類 | 載るもの(規則30条1項) | 実務で使う場面 |
|---|---|---|
| 履歴事項証明書 | 現在事項に加えて、基準日から請求日までに抹消された登記事項と、その間に登記されて今は効力を持たない事項 | いちばん多い。銀行・補助金・入札・取引先の与信 |
| 現在事項証明書 | 現に効力を有する登記事項、会社成立の年月日、役員の就任年月日、そして商号と本店については「変更の直前のもの」 | 今の姿だけを見せれば足りるとき |
| 閉鎖事項証明書 | 閉鎖した登記記録に記録されている事項 | 解散・清算結了した会社、本店を他管轄へ移した後の旧記録 |
| 代表者事項証明書 | 会社の代表者の代表権に関する登記事項で現に効力を有するもの | 代表権の有無だけを示せば足りるとき |
見落とされやすいのが現在事項証明書にも過去が1つだけ載ることです。規則30条1項1号の末尾はこう書いています。
会社の商号及び本店の登記の変更に係る事項で現に効力を有するものの直前のもの
商号と本店だけは「直前のもの」が付いてきます。社名を変えた直後・本店を移した直後の会社について、現在事項証明書を取っても旧商号・旧本店は消えていません。逆に言えば、それ以外の変更(役員の交代、目的の追加、資本金の増減)は現在事項証明書には残りません。
4つ目の代表者事項証明書は存在自体があまり知られていませんが、条文はごく短く、代表権に関する登記事項で現に効力を有するものだけを載せると書いています。
会社の代表者の代表権に関する登記事項で現に効力を有するもの
役員構成も資本金も目的も載らないので、「代表者が誰か」だけを相手に示したいときに、それ以外を見せずに済みます。手数料は他の登記事項証明書と同じ600円なので安くはなりませんが、開示する情報量を絞れるという意味があります。
規則30条2項は、登記記録の一部の区について交付を請求できると定めています。この場合でも商号区と会社状態区は必ず記載されると条文が書いているので、「商号も出さずに役員区だけ」ということはできません。会社支配人区について一部の支配人だけを求めたときは、その支配人以外の事項が除かれます。
履歴事項の「3年」は3年ではない — 基準日で357日動く
ここがこの記事の核心です。履歴事項証明書の範囲を決めているのは規則30条1項2号で、条文はこうです。
前号の事項、当該証明書の交付の請求があつた日(以下「請求日」という。)の三年前の日の属する年の一月一日(以下「基準日」という。)から請求日までの間に抹消する記号を記録された登記事項及び基準日から請求日までの間に登記された事項で現に効力を有しないもの
起点は「請求日の3年前の日」ではありません。「請求日の3年前の日が属する年の1月1日」です。年の頭まで巻き戻すので、実際に覆う期間は必ず3年より長くなり、最長で4年に迫ります。
実数で見ます。いずれも基準日は同じ2023年1月1日です。
| 請求日 | 3年前の日 | 基準日 | 覆う期間 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月5日 | 2023年1月5日 | 2023年1月1日 | 1,100日(約3年0か月) |
| 2026年8月25日 | 2023年8月25日 | 2023年1月1日 | 1,332日(約3年8か月) |
| 2026年12月28日 | 2023年12月28日 | 2023年1月1日 | 1,457日(約4年0か月) |
同じ「履歴事項全部証明書」という名前の、同じ600円の書類で、載る過去の長さが357日違います。年初に請求すると3年ぴったりまで縮み、年末に請求すると4年近くまで伸びます。しかも縮む向きは年が変わった瞬間で、1日ずれただけで1年ぶん飛びます。2026年12月31日に請求すれば基準日は2023年1月1日ですが、2027年1月1日に請求すると基準日は2024年1月1日になり、1日の差で2023年ぶんがまるごと落ちます。
基準日より前に抹消された事項は履歴事項証明書には載りません。それでも過去の変更を示す必要があるときは、年をまたぐ前に請求しておく(年末のほうが長く載る)か、閉鎖された登記記録であれば閉鎖事項証明書を取ることになります。なお、この基準日の仕組みは省令が決めているだけなので、提出先が「設立からの全履歴」を求めてきた場合、履歴事項証明書1通では原理的に足りないことがあります。
誰が取れるか — 同じ法律の中に公開の度合いが3段ある
商業登記法は、書類の種類ごとにまったく違う言葉で請求できる人を決めています。3つ並べると意図した非対称が見えます。
まず登記事項証明書。10条1項の主語は「何人も」です。
何人も、手数料を納付して、登記簿に記録されている事項を証明した書面(以下「登記事項証明書」という。)の交付を請求することができる。
利害関係も理由も要りません。11条の「登記事項の概要を記載した書面」(後述の登記事項要約書)も同じ「何人も」です。
ところが、登記簿の附属書類——登記の申請書に付けられた定款、議事録、就任承諾書などの閲覧になると、主語が変わります。11条の2です。
登記簿の附属書類の閲覧について利害関係を有する者は、手数料を納付して、その閲覧を請求することができる。
そして印鑑証明書は、さらに狭くなります。12条1項の主語は「その印鑑を登記所に提出した者」で、しかも同項が6つの号で対象者を限定しています。
次に掲げる者でその印鑑を登記所に提出した者は、手数料を納付して、その印鑑の証明書の交付を請求することができる。
号に並ぶのは、登記の申請書に押印すべき者(代理申請なら委任した者またはその代表者)、支配人、そして破産法の破産管財人・保全管理人、民事再生法の管財人・保全管理人、会社更生法の管財人・保全管理人、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律の承認管財人・保全管理人です。取引先の印鑑証明書を、こちらが勝手に取ることはできません。相手に出してもらうしかない、というのはここから来ています。
この3段は、登記制度が何のためにあるかを条文の言葉で示しています。登記簿の記録は「取引の相手が誰かを外から確かめられるようにする」ためのものなので全面公開になる。その記録の裏にある生の書類は、会社の内部事情そのものなので利害関係者まで。印鑑という「本人であることの証明手段」は本人だけ。公開の広さが、その情報の役割に対応しています。
手数料 — オンラインのほうが安い
手数料の額は商業登記法13条1項が政令に委ね、登記手数料令が定めています。金額は次のとおりです(令和8年4月1日施行の現行リビジョン)。
| 請求するもの | 取り方 | 手数料 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 登記事項証明書 | 窓口(書面請求) | 600円 | 登記手数料令2条1項 |
| オンライン請求・窓口受取 | 490円 | 同3条1項 | |
| オンライン請求・送付 | 520円 | 同3条1項 | |
| 登記事項要約書 | 窓口のみ | 500円 | 同2条2項 |
| 印鑑証明書 | 窓口(書面請求) | 500円 | 同10条1項 |
| オンライン請求・窓口受取 | 420円 | 同10条2項 | |
| オンライン請求・送付 | 450円 | 同10条2項 | |
| 登記簿・附属書類の閲覧 | 窓口 | 500円 | 同5条1項 |
| 登記情報の提供(証明書ではない) | オンライン | 320円 | 同12条4号 |
読み取れることが3つあります。
1つめ。オンライン請求は窓口より110円安く、しかも郵送してもらってもなお80円安いということです。書面請求600円に対し、オンライン請求は窓口受取490円・送付520円。窓口へ出向いて600円払うのがいちばん高い、という値付けになっています。印鑑証明書も同じ向きで、500円に対し420円・450円です。
2つめ。50枚を超えると加算があることです。2条1項・3条1項とも、1通の枚数が50枚を超えるものについては、超える枚数50枚までごとに100円を加算すると定めています。設立から長い会社の履歴事項証明書は枚数が増えるので、ここに当たることがあります。
3つめ。手数料の納め方が法律で決まっています。商業登記法13条2項です。
第十条から前条までの手数料の納付は、収入印紙をもつてしなければならない。
窓口で現金を出すのではなく、収入印紙を貼って納めるのが原則です。経理側から見ると、この支出は印紙税ではなく手数料なので、租税公課ではなく支払手数料などで処理するのが一般的です(印紙という形をとっているだけで、税ではありません)。
契約書・領収書の印紙税額を調べる(印紙税額一覧表)商業登記法12条の2の電子証明書(法人の電子署名に使うもの)の手数料は、登記手数料令11条が「一件につき五百円」とし、ただし証明期間が1か月を超えるものについては超える期間1か月までごとに300円を加算すると定めています。式に当てはめると、証明期間3か月なら500+300×2=1,100円、12か月なら500+300×11=3,800円です。選べる証明期間は省令で定まるため、実際に申し込める期間は法務局の案内で確かめてください。
「登記簿謄本」という書類は、いまの商業登記法に無い
窓口でも社内でも「謄本を取ってきて」と言いますが、いまの商業登記法に「登記簿の謄本」という語は1回も出てきません。
商業登記法の条文テキスト57,344字を機械で走査した結果です。「登記事項証明書」は17回ヒットするのに対し、「登記簿の謄本」は0回。「謄本」という語自体は5回ありますが、内訳は官庁の許可書の認証がある謄本(18条)、検査役の報告に関する裁判の謄本(3か所)、設立無効判決の謄本(100条)で、いずれも登記簿の写しのことではありません。
「0回だった」という報告は、検索そのものが壊れていても同じ0を返します。そこで同じ手順で対照を取り、「登記事項証明書」が17回・「謄本」が5回ヒットすることを先に確認したうえでの0です。数え方が生きている状態での0であることを確かめています。
登記簿が紙のバインダーだった時代は、その写し(謄本・抄本)を交付していました。コンピュータ化されて登記簿が磁気ディスクの記録になった結果、「写し」ではなく「記録されている事項を証明した書面」という作りに変わり、名前も登記事項証明書になっています。「登記簿謄本」は、いまでは通称です。
ただし、法令から完全に消えたわけではありません。登記手数料令2条1項は現在もこう書いています。
登記事項証明書(第七項及び第十項に掲げる登記事項証明書を除く。)又は登記簿の謄本若しくは抄本の交付についての手数料は、一通につき六百円とする。
手数料令には「登記簿の謄本若しくは抄本」が今も残っており、しかも登記事項証明書と同じ600円で並べられています。手数料令は商業登記だけでなく不動産登記などの手数料もまとめて定めているため、紙の登記簿が残っている場合に備えた受け皿が生きている、という形です。実務上は、窓口で「謄本」と言っても登記事項証明書が出てきます。
有効期限3か月の条文は在る。ただし対象が違う
「登記事項証明書は発行から3か月以内のものを」と求められることは非常に多く、その根拠として商業登記法が挙げられることがあります。3か月を定めた条文は確かに実在します。商業登記規則36条の2で、見出しはそのものずばり「登記事項証明書の有効期間」です。
申請書に添付すべき登記事項証明書は、その作成後三月以内のものに限る。
ここで読み落としてはいけないのが、主語が「申請書に添付すべき登記事項証明書」だということです。この規則は商業登記の手続を定めた省令なので、登記所に登記を申請するときに添付する分についての規定です。銀行の融資審査、補助金の申請、入札参加資格、口座開設で求められる3か月は、この条文の効果ではありません。それぞれの提出先が自分の基準として定めているものです。
「3か月以内」という運用自体は広く共通しているので、根拠を取り違えても普段は困りません。困るのは例外に当たったときです。提出先の基準であれば、その提出先が6か月以内と定めていれば6か月で通りますし、逆に1か月以内と求めることもできます。「法律で3か月と決まっている」と思い込んでいると、この交渉や確認の余地が見えなくなります。証明書そのものに失効はありません。
そして、この3か月の話には続きがあります。そもそも添付しなくてよい場合があります。商業登記法19条の3です。
この法律の規定により登記の申請書に添付しなければならないとされている登記事項証明書は、申請書に会社法人等番号を記載した場合その他の法務省令で定める場合には、添付することを要しない。
受けた商業登記規則36条の3は、その「法務省令で定める場合」を「申請書に会社法人等番号を記載した場合」としています。会社法人等番号を書けば、登記事項証明書そのものを取らずに済みます。会社法人等番号は登記事項証明書に記載されており(規則30条1項1号の括弧書きが「会社法人等番号を含む」と明記しています)、国税庁の法人番号はこの会社法人等番号に1桁を付したものです。手数料600円と往復の手間が、番号1つで消える場面があります。
要約書と登記情報 — 安いほうには認証文が無い
登記の内容を見るだけなら、証明書より安い方法が2つあります。登記事項要約書(500円)と、登記情報提供サービスによる登記情報(320円)です。ただし、どちらも提出書類としては使えません。理由は認証文の有無です。
登記事項証明書には、規則30条3項が次の作りを義務づけています。
登記官は、登記事項証明書を作成するときは、第一項各号に掲げる事項の全部又は一部である旨の認証文を付した上で、作成の年月日及び職氏名を記載し、職印を押さなければならない。
認証文・作成年月日・職氏名・職印の4点セットです。これが「証明書」を証明書たらしめている部分で、提出先が確かめているのもここです。
一方、登記事項要約書について定めた規則31条には、この4点セットの規定がありません。31条1項は「現に効力を有する登記事項を記載して作らなければならない」と中身だけを決め、3項が準用しているのは30条5項(区および事項ごとに整理して記載すること)だけです。認証文を付ける30条3項は準用されていません。
登記事項要約書(次項に掲げる登記事項要約書を除く。)は、現に効力を有する登記事項を記載して作らなければならない。
登記情報提供サービスのほうは、そもそも根拠法が違います。登記手数料令12条は「電気通信回線による登記情報の提供に関する法律による」提供として手数料を定めており、商業登記法10条の交付とは別の制度です。画面で見る・PDFで受け取ることはできますが、証明書ではありません。
| 方法 | 費用 | 認証文 | 使いみち |
|---|---|---|---|
| 登記事項証明書 | 600円/490円 | あり(規則30条3項) | 提出できる |
| 登記事項要約書 | 500円 | なし | 窓口で内容を確かめる |
| 登記情報提供サービス | 320円 | なし | 取引先の内容確認・与信 |
費用差は最大で280円です。提出用なら証明書、確認用なら登記情報と割り切るのが実務では効率的で、取引先の登記内容を日常的に見る業務では、320円の登記情報のほうが件数の面で効いてきます。
経理実務では、どれを何通取るか
経理・総務が登記事項証明書を求められるのは、だいたい次の場面です。求められる種類と通数を整理します。
| 場面 | 通常求められる種類 | 注意点 |
|---|---|---|
| 銀行の融資・口座開設 | 履歴事項全部証明書 | 印鑑証明書も同時に求められることが多い。印鑑証明書は本人(会社)しか取れない |
| 補助金・助成金の申請 | 履歴事項全部証明書 | 発行からの期間を要領で確認する。3か月とは限らない |
| 入札参加資格の申請 | 履歴事項全部証明書 | 納税証明書とセットで求められることが多い |
| 取引先の与信・反社チェック | 登記情報(320円)で足りることが多い | 提出しないなら証明書である必要がない |
| 代表者が誰かだけを示す | 代表者事項証明書 | 手数料は同じ600円だが、開示する情報を絞れる |
| 解散・清算結了した会社の確認 | 閉鎖事項証明書 | 現在事項・履歴事項では出てこない |
通数について1つ実務的な注意があります。提出先は原則として原本を回収します。同じ時期に融資と補助金と入札が重なると、それぞれに1通ずつ要ります。窓口で1通ずつ取れば600円×3で1,800円ですが、オンライン請求なら490円×3で1,470円です。まとめて取るときほど、取り方の差が効きます。
もう1つ。本店移転や役員変更を予定しているなら、その登記が完了してから取ります。登記は申請してすぐ反映されるわけではないので、変更前の内容で証明書を取ってしまうと、提出先で差し戻されます。逆に、変更が完了した直後に現在事項証明書を取ると、前述のとおり商号と本店については「直前のもの」も一緒に載ります。
- 登記事項証明書は誰でも取れる(商業登記法10条1項の「何人も」)。附属書類の閲覧は利害関係者、印鑑証明書は本人だけ
- 手数料は窓口600円・オンライン請求490円・オンライン請求+送付520円(登記手数料令2条1項・3条1項)。オンラインのほうが安い
- 種類は履歴事項・現在事項・閉鎖事項・代表者事項の4つ(商業登記規則30条1項)
- 履歴事項の「3年」の起点は請求日の3年前の日が属する年の1月1日。請求月しだいで1,100日〜1,457日と357日動く
- 「3か月以内」の条文は実在するが、対象は登記の申請書に添付する分(商業登記規則36条の2)。提出先の3か月はその提出先の基準
- 会社法人等番号を書けば添付を省ける場合がある(商業登記法19条の3・規則36条の3)
よくある質問
Q. 登記事項証明書は他社の分でも取れますか?
A. 取れます。商業登記法10条1項は、何人も、手数料を納付して、登記簿に記録されている事項を証明した書面(=登記事項証明書)の交付を請求することができると定めており、利害関係も請求理由も要件になっていません。取引先でも、まったく関係のない会社でも取れます。ただし同じ商業登記法でも、登記簿の附属書類の閲覧は11条の2により「利害関係を有する者」に限られ、印鑑証明書は12条1項により印鑑を登記所に提出した本人などに限られます。
Q. 履歴事項全部証明書には何年ぶんの履歴が載りますか?
A. 商業登記規則30条1項2号は、起点を「請求日の3年前の日の属する年の1月1日」(基準日)と定めています。年の頭まで巻き戻すので、実際に覆う期間は常に3年より長くなります。2026年1月5日に請求すると1,100日(約3年0か月)ですが、2026年12月28日に請求すると1,457日(約4年0か月)で、同じ書類でも357日の差が出ます。基準日より前に抹消された事項は載りません。
Q. 登記簿謄本と登記事項証明書は違うものですか?
A. 実務上は同じものを指します。商業登記法の条文テキストを機械で走査すると「登記事項証明書」は17回出てきますが「登記簿の謄本」は0回で、現在の正式名称は登記事項証明書です。登記簿が紙だった時代はその写し(謄本・抄本)を交付していましたが、コンピュータ化により「記録されている事項を証明した書面」という作りに変わりました。ただし登記手数料令2条1項には今も「登記簿の謄本若しくは抄本」が残っており、手数料は同じ1通600円です。
Q. 登記事項証明書に有効期限はありますか?
A. 証明書そのものが失効する規定はありません。商業登記規則36条の2は「申請書に添付すべき登記事項証明書は、その作成後三月以内のものに限る」と定めていますが、これは登記所に登記を申請するときに添付する分についての規定です。銀行や補助金の窓口が求める「3か月以内」は、それぞれの提出先が自分の基準として定めているものなので、提出先の要領で確かめる必要があります。
Q. オンラインで請求すると本当に安いのですか?
A. 安くなります。登記手数料令2条1項は窓口での書面請求を1通600円とし、同3条1項はオンライン請求について窓口受取490円・送付520円としています。窓口へ出向くほうが110円高く、郵送してもらってもなお80円安い計算です。印鑑証明書も同じ向きで、窓口500円に対しオンライン請求は窓口受取420円・送付450円です(同10条1項・2項)。なお1通の枚数が50枚を超えると、超える枚数50枚までごとに100円が加算されます。
Q. 取引先の内容を確認したいだけなら、どれが安いですか?
A. 提出に使わないのであれば、登記情報提供サービスによる登記情報が1件320円で最も安くなります(登記手数料令12条4号)。ただしこれは登記事項証明書ではなく、商業登記規則30条3項が求める認証文・作成年月日・職氏名・職印が付きません。提出書類としては使えないため、与信や反社チェックのような内部での確認に向いています。提出用が必要ならオンライン請求の登記事項証明書490円になります。
Q. 登記の申請をするとき、登記事項証明書は必ず添付しますか?
A. 必ずしも添付しません。商業登記法19条の3は、申請書に添付すべきとされている登記事項証明書について「申請書に会社法人等番号を記載した場合その他の法務省令で定める場合には、添付することを要しない」と定めています。受けた商業登記規則36条の3は、その場合を「申請書に会社法人等番号を記載した場合」としています。会社法人等番号は登記事項証明書に記載されているほか、国税庁の法人番号から1桁を除いたものと一致します。
出典
- e-Gov法令検索「商業登記法」(昭和三十八年法律第百二十五号)第10条(登記事項証明書の交付等。1項の「何人も」、2項の他登記所への請求、3項の省令委任)、第11条(登記事項の概要を記載した書面の交付)、第11条の2(附属書類の閲覧。「利害関係を有する者」)、第12条(印鑑証明。1項柱書と6つの号)、第12条の2(電磁的記録の作成者を示す措置の確認に必要な事項等の証明)、第13条(手数料。1項の政令委任、2項の収入印紙)、第19条の3(添付書面の特例)。法令API v2 で法令全文(law_revision_id: 338AC0000000125_20260624_508AC0000000046・57,344字)を取得して確認
- 同上の全文を機械で走査し、「登記簿の謄本」の出現が0回であること、「謄本」の5回がいずれも官庁の許可書・検査役の報告に関する裁判・設立無効判決に関するものであることを確認(同じ走査で「登記事項証明書」が17回、「謄本」が5回ヒットすることを対照実験で確かめたうえでの0)
- e-Gov法令検索「商業登記規則」(昭和三十九年法務省令第二十三号)第30条(登記事項証明書の種類及び記載事項等。1項1号〜4号の4種類、2項の一部の区、3項の認証文・作成年月日・職氏名・職印、5項の整理)、第31条(登記事項要約書の記載事項等。3項が準用するのは30条5項のみ)、第36条の2(登記事項証明書の有効期間)、第36条の3(添付書面の特例)、第61条(添付書面)。法令API v2(law_revision_id: 339M50000010023_20260525_508M60000010025・78,056字)で取得
- e-Gov法令検索「登記手数料令」(昭和二十四年政令第百四十号)第2条(1項の600円と50枚超の加算・「登記簿の謄本若しくは抄本」の併記、2項の登記事項要約書500円)、第3条(1項のオンライン請求490円・送付520円)、第5条(1項の閲覧500円)、第10条(1項の印鑑証明書500円、2項の420円・450円)、第11条(電子証明書の500円と1か月ごと300円の加算)、第12条(4号の登記情報320円)。法令API v2(law_revision_id: 324CO0000000140_20260401_507CO0000000367・13,075字)で取得
- 履歴事項証明書が覆う期間の日数(1,100日/1,332日/1,457日)は、商業登記規則30条1項2号の基準日の定義(請求日の3年前の日の属する年の1月1日)に請求日2026年1月5日・2026年8月25日・2026年12月28日を当てはめ、暦日で計算したもの。手で数えず日付演算で算出しています
この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案についての助言ではありません。どの種類の証明書が必要か、提出先が求める発行からの期間、登記申請の要否や添付書類については、提出先、管轄の法務局、または司法書士・税理士にご確認ください。