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取締役会とは|設置義務・決議・招集・議事録の確認表

取締役会は、株式会社の全取締役で構成され、会社の意思決定と職務執行の監督を担う機関です。設置が必要か、何を決議するか、どう招集して記録するかは、会社の機関設計と定款を確認してから判断します。

経理・総務が準備する順番は、機関設計の確認 → 議案と資料の整理 → 招集 → 議案ごとの決議 → 議事録の作成・保存です。この記事は、監査等委員会・指名委員会等を置かない会社の通常の取締役会を中心に、開催準備の確認表をまとめます。

委員会型の会社の権限は別に示します。特別取締役による会議、登記の添付書類、決議の有効性が争われた場合の判断は対象外です。

開催準備で確認すること

最初に定款と登記事項証明書を手元に置き、機関設計を確認します。そのうえで、議案ごとに「決めること」と「報告すること」を分けて資料を用意すると、当日の採決と議事録を対応させやすくなります。

段階準備・確認するもの見落としやすい点
機関設計定款、登記事項証明書、取締役・監査役の一覧非上場と非公開会社を同じ意味で扱わない
議案の整理決議事項と報告事項、判断に使う資料社内の稟議の承認だけで法定の取締役会決議を代えない
招集招集権者、通知先、定款の通知期間招集手続の省略と決議の省略を混同しない
採決議案ごとの議決参加者、出席者、賛成者特別利害関係者を議決の人数に入れない
記録議事の経過と結果、署名等、保存先決議省略でも議事録と同意の記録を残す
機関設計・定款議案を整理招集の手続通知先を確認議案ごとに採決利害関係を確認議事録・同意の記録を保存
開催を伴う通常の取締役会の準備例。決議省略の場合は、定款と書面等の同意要件を別に確認します。

取締役会の設置義務と取締役の人数

取締役会の設置が義務となるのは、次の会社です。それ以外の株式会社も、定款の定めによって取締役会を置けます。根拠は会社法326条・327条です。

会社の区分取締役会の設置
公開会社義務
監査役会設置会社義務
監査等委員会設置会社義務
指名委員会等設置会社義務
上の区分に当たらない株式会社定款の定めによる任意設置

公開会社は、全部又は一部の株式について、譲渡による取得に会社の承認を要する旨の定款の定めがない株式会社です。「上場しているか」ではなく、株式の譲渡制限の定めを見ます。非上場でも公開会社に当たることがあります(会社法2条5号)。

取締役会設置会社では、取締役は3人以上必要です。監査等委員会設置会社では、監査等委員である取締役が3人以上で、その過半数が社外取締役でなければなりません(会社法331条)。

監査等委員会・指名委員会等を置かない取締役会設置会社には、公開会社でない会計参与設置会社を除き、監査役の設置義務があります。監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社は監査役を置けず、会計監査人を置く必要があります。

監査役と監査役会、会計参与と会計監査人は別の機関です。人数だけで会社の機関構成を決めず、定款上の組合せも確認します。

権限と取締役に委任できない重要事項

監査等委員会・指名委員会等を置かない取締役会設置会社では、取締役会が業務執行の決定、取締役の職務執行の監督、取締役の中からの代表取締役の選定・解職を担います(会社法362条)。

社長の決裁印があることと、取締役会の決議があることは分けて管理します。

監査等委員会・指名委員会等を置かない取締役会設置会社は、次の事項とその他の重要な業務執行の決定を取締役に委任できません(会社法362条4項の要約)。

事項議案・資料の整理例
重要な財産の処分・譲受け対象財産、取引条件、会社への影響を整理
多額の借財借入先、金額、返済条件、資金使途を整理
重要な使用人の選任・解任支配人などの役職、職務、権限を整理
重要な組織の設置・変更・廃止支店などの対象組織と変更内容を整理
社債募集の省令所定の重要事項募集条件と決定する事項の範囲を確認
業務の適正を確保する体制の整備法令・定款への適合と、企業集団を含む内部統制の体制を整理
定款に基づく一定の責任免除法定要件を専門家と確認し、単なる社内承認で処理しない

「重要な財産」「多額の借財」という言葉だけで、どの会社にも共通する金額の線を引くことはできません。該当性が判断しにくい案件は、取締役会規程の確認に加え、法務担当者や弁護士へ確認する事項として整理します。

委員会型の会社は権限規定が異なる

監査等委員会設置会社は、取締役の過半数が社外取締役の場合又は委任を可能にする定款の定めがある場合、法定の委任禁止事項を除き、取締役会決議で重要な業務執行の決定を取締役に委任できます(会社法の委任特例)。

指名委員会等設置会社では、取締役会決議によって業務執行の決定を執行役に委任できますが、法定の委任禁止事項を除きます(会社法416条4項)。通常型の決裁表をそのまま転用せず、それぞれの条文に照らして委任範囲を確認します。

招集権者・招集通知と手続の省略

通常の取締役会は各取締役が招集しますが、定款又は取締役会で招集する取締役を定めた場合は、その取締役が招集します。通常の取締役会で指定外の取締役が招集を請求する場合は、目的事項を示して招集権者に請求します(会社法366条)。

招集権者が請求に応じない場合や、株主・監査役等からの請求には別の要件があります。ここでは、指定された招集権者が通常の取締役会を開く手順を扱います。

通常の取締役会の招集通知は、定款で期間を短縮した場合を除き開催日の1週間前までに、各取締役と、監査役設置会社では各監査役に発します(会社法368条)。

通常の取締役会は、取締役全員と、監査役設置会社では監査役全員の同意により、招集手続を省略して開催できます。

休日だから通知を後へずらせると扱わず、定款の期間を確認して余裕を持った日程を組みます。

事務局の準備メモには、開催日時・場所、通知先、議案、添付資料、オンライン出席がある場合の接続方法をまとめると管理しやすくなります。これは社内で準備する項目の例であり、法律上の通知記載事項を列挙したものではありません。

開催準備の日程をカレンダーで確認する →

営業日・期限計算ツールの休日補正を、そのまま取締役会の招集期間の判定に使わないでください。招集期間は定款と法令に照らして別に確認します。

決議要件と特別利害関係

通常の取締役会決議は、定款による割合の加重がなければ、議決に加われる取締役の過半数が出席し、その出席者の過半数の賛成で行います(会社法369条)。

議案について特別の利害関係を有する取締役は、その議決に加われません。議決可能な人数は在籍人数のまま固定せず、議案ごとに確認します。監査役は取締役の議決人数には含めません。

次は通常決議の仮例です。この仮例は定款による割合の加重はなく、在籍取締役は5人とします。「過半数」は半数を超える人数であり、特別利害関係者は議決に加われる人数から除きます。

仮例の議案議決に加われる人数出席人数可決に必要な賛成人数
特別利害関係者がおらず全員出席5人5人3人
特別利害関係者が1人で議決可能者の一部が欠席4人3人出席2人賛成

欠席者の委任状を集めて株主総会のように集計するのではなく、取締役会の出席と議決参加を記録します。特別利害関係に当たるかが争点となる議案は、採決前に法務担当者や弁護士へ確認します。

決議省略は招集省略と別の制度

通常の取締役会は、定款の定めがあり、取締役の提案に議決可能な取締役全員が書面又は電磁的記録で同意し、監査役設置会社では監査役が異議を述べなければ、決議を省略できます(会社法370条)。

通常の取締役会の手続について、招集省略と決議省略を比べます。

方法省くもの確認する要件
招集手続の省略開催前の招集手続取締役全員、監査役設置会社では監査役全員の同意
決議の省略会議を開いて採決すること定款、取締役の提案、議決可能者全員の書面等の同意、監査役設置会社では異議なし

口頭で全員が賛成しているというだけでは、決議省略に必要な書面等による同意を代えられません。同意を求めた議案と最終的な同意の内容が一致するように整理し、同意の記録も保存します。

職務執行状況の報告は通知だけで省略できない

取締役会設置会社の代表取締役と、取締役会で選定された業務執行取締役は、3か月に1回以上、自己の職務執行状況を取締役会に報告しなければなりません(会社法363条2項)。

この職務執行状況の報告は、全員へ通知して取締役会への報告を省略する制度の対象外です(会社法372条2項)。決議省略だけで運営を済ませず、報告を受ける取締役会の日程も管理します。

指名委員会等設置会社の執行役による職務執行状況報告は、別の規定によります(会社法417条4項)。

議事録の作成・署名と本店での保存

開催後は議事録を作り、議案ごとの経過と結果を残します。書面で作成した開催議事録には、出席した取締役と監査役が署名又は記名押印します。電磁的記録の場合は、省令所定の署名等に代わる措置が必要です(会社法369条3項・4項)。

次は、通常の開催議事録と決議省略時の議事録に記載する主な事項です。開催議事録には、該当する招集の経緯や法定の意見・発言なども記載します。具体的な記載事項は会社法施行規則101条を確認します。

記録の種類整理する内容
開催議事録開催日時・場所、遠隔出席方法、議事の経過の要領と結果、特別利害関係取締役の氏名、該当する意見・発言や出席者、議長等
決議省略時の議事録決議があったものとみなされた事項、提案取締役の氏名、みなし決議日、議事録作成の職務を行った取締役の氏名

取締役会設置会社は、開催日から10年間、議事録等を本店に備え置きます。取締役会の決議省略の場合も、みなし決議日から10年間、同意の意思表示を記載・記録した書面等を本店に備え置く必要があります(会社法371条1項)。

保管の実務では、議案資料、最終議事録、同意の記録が対応するように、開催日や案件名で検索できる状態にしておくと確認しやすくなります。議事録の備置きと、社内資料の任意の管理方法は区別します。

株主総会の議事録は別の制度です。両方の会議が同じ日にあっても、決議機関と記録を分けて整理します。株主総会用の様式・署名の取扱いは株主総会議事録、代表者の変更後の手続は代表取締役の選定と登記で扱っています。

よくある質問

非上場の会社なら取締役会は不要ですか?

非上場という理由だけでは決まりません。公開会社、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社には設置義務があります。それ以外の株式会社は、定款の定めによって任意に設置できます。

全員が賛成なら、メールだけで決議できますか?

決議省略を認める定款の定めがあり、取締役の提案に議決可能な取締役全員が電磁的記録で同意するなど、法定要件を満たせば可能です。監査役設置会社では、監査役が異議を述べた場合は利用できません。

決議のない回は開催を省けますか?

決議事項がなくても、職務執行状況の報告は別に管理します。取締役会設置会社の代表取締役と選定された業務執行取締役の職務執行状況報告は、通知による報告省略の対象外です。

議事録には欠席した取締役の署名も必要ですか?

開催して書面で作る取締役会議事録の署名又は記名押印を求められるのは、出席した取締役と監査役です。決議省略時の同意書面や登記の添付書類とは分けて確認します。

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出典

この記事は一般的な情報提供を目的とし、個別の事案についての助言ではありません。機関設計、重要事項の該当性、決議手続、議事録や登記書類の具体的な判断は、弁護士・司法書士などにご確認ください。

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